(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】車体広告による宣伝効果評価装置、宣伝効果評価方法、および宣伝効果評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221118BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
G09F21/04 C
(21)【出願番号】P 2018161446
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公基
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-141535(JP,A)
【文献】特開2005-010839(JP,A)
【文献】特開2003-223130(JP,A)
【文献】特開2005-017526(JP,A)
【文献】特開2017-207796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G09F 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続され、
前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出部と、
予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成部と、
前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された
最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得部と、
前記走行時間ポイント値算出部で算出された走行時間ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出部と
を備えることを特徴とする車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項2】
車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続され、
前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出部と、
予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成部と、
前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された
最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得部と、
前記走行距離ポイント値算出部で算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出部と
を備えることを特徴とする車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項3】
車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続され、
前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出部と、
前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出部と、
予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成部と、
前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された
最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得部と、
前記走行時間ポイント値算出部で算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出部で算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出部と
を備えることを特徴とする車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項4】
管理対象エリアの地図情報を、所定間隔の複数の縦線および横線により複数のマス目に分割したメッシュ情報を記憶するメッシュ情報記憶部をさらに備え、
前記走行時間ポイント値算出部は、前記車両が、前記メッシュ情報記憶部に記憶されたメッシュ情報内の所定のマス目に対応するエリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出し、
前記走行距離ポイント値算出部は、前記車両が、前記メッシュ情報内の前記所定のマス目に対応するエリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出し、
前記混雑状況ポイント値生成部は、前記メッシュ情報内の複数のマス目それぞれに対応する各エリアに関する混雑状況ポイント値を生成し、
前記混雑状況ポイント値取得部は、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された各エリアに関する混雑状況ポイント値の中から、前記所定のマス目に対応するエリアに関する混雑状況ポイント値を取得し、
前記評価値算出部は、前記走行時間ポイント値算出部で算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出部で算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記所定のマス目に対応するエリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項5】
前記走行時間ポイント値算出部は、走行時間が長い程高い値で前記走行時間ポイント値を算出し、予め時間帯ごとまたは日ごとに設定された補正値で当該走行時間ポイント値を補正する
ことを特徴とする請求項1、3、または4に記載の車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項6】
前記走行距離ポイント値算出部は、走行距離が長い程高い値で前記走行距離ポイント値を算出し、予め地域特性に基づいて設定された補正値で、算出した走行距離ポイント値を補正する
ことを特徴とする請求項2~4いずれか1項に記載の車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項7】
前記混雑状況ポイント値生成部は、予め、施設ごと、地価の情報ごと、時間帯ごと、特定日ごと、天候情報ごと、地域特性ごとの少なくともいずれかに対して設定された補正値で、生成した混雑状況ポイント値を補正する
ことを特徴とする請求項1~
6いずれか1項に記載の車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項8】
前記車両情報取得部は、前記車両の走行速度情報をさらに取得し、
前記評価値算出部は、前記車両情報取得部で取得された走行速度情報が所定値以上であったエリアに関しては、該当するエリアに対応する評価値を算出しないかまたは、評価値を下げて算出する
ことを特徴とする請求項1~
7いずれか1項に記載の車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項9】
前記評価値算出部で算出された、複数エリアに関する評価値の合計値に基づいて、車両が前記所定のマス目に対応するエリア内を走行したことによる広告費を算出する広告費算出部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~
8いずれか1項に記載の車体広告による宣伝効果評価装置。
【請求項10】
車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続された宣伝効果評価装置が、
前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出ステップと、
前記車両情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出ステップと、
予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成ステップと、
前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成ステップで生成された
最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得ステップと、
前記走行時間ポイント値算出ステップで算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出ステップで算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得ステップで取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出ステップと
を有することを特徴とする車体広告による宣伝効果評価方法。
【請求項11】
車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続された宣伝効果評価装置に、
前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得機能と、
前記車両情報取得機能により取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出機能と、
前記車両情報取得機能により取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出機能と、
予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成機能と、
前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成機能で生成された
最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得機能と、
前記走行時間ポイント値算出機能で算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出機能で算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得機能で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出機能と
を実行させるための車体広告による宣伝効果評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体に掲示した広告による宣伝効果を評価するための、車体広告による宣伝効果評価装置、宣伝効果評価方法、および宣伝効果評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用車やバスなど、公共の屋外を移動する車両の車体に広告を掲示することが行われている。車体に広告を掲示した車両が移動することにより、当該広告がより多くの人の目に留まるようになり、高い宣伝効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両の車体に広告を掲示するにあたり、その宣伝効果に応じた報酬を当該車両の持ち主に還元するビジネスモデルが考えられている。しかし、車体に掲示した広告の宣伝効果は、広告を掲示した車両の移動状態、例えば、移動した地域や、移動時間、移動距離などによって異なるため、客観的に高い精度で評価することが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車両の車体に掲示した広告による宣伝効果を精度良く評価する、車体広告による宣伝効果評価装置、宣伝効果評価方法、および宣伝効果評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の車体広告による宣伝効果評価装置は、車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続され、前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出部と、予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成部と、前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得部と、前記走行時間ポイント値算出部で算出された走行時間ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、他の形態の車体広告による宣伝効果評価装置は、車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続され、前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出部と、予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成部と、前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得部と、前記走行距離ポイント値算出部で算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、他の形態の車体広告による宣伝効果評価装置は、車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続され、前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得部と、前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出部と、前記車両情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出部と、予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成部と、前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成部で生成された最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得部と、前記走行時間ポイント値算出部で算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出部で算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得部で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車体広告による宣伝効果評価方法は、車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続された宣伝効果評価装置が、前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得ステップと、前記車両情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出ステップと、前記車両情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出ステップと、予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成ステップと、前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成ステップで生成された最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得ステップと、前記走行時間ポイント値算出ステップで算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出ステップで算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得ステップで取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の車体広告による宣伝効果評価プログラムは、車体に広告が掲示された車両の車載器に無線接続された宣伝効果評価装置が、前記車両の車載器から、前記車両の位置情報を取得する車両情報取得ステップと、前記車両情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内を走行した時間に基づく走行時間ポイント値を算出する走行時間ポイント値算出ステップと、前記車両情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が、所定エリア内で走行した距離に基づく走行距離ポイント値を算出する走行距離ポイント値算出ステップと、予め設定された時間間隔で前記エリア内の混雑情報を取得し、取得した混雑情報に基づいて、前記エリア内の混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する混雑状況ポイント値生成ステップと、前記車両が前記エリア内から外に出たことを検知すると、前記混雑状況ポイント値生成ステップで生成された最新の混雑状況ポイント値を取得する混雑状況ポイント値取得ステップと、前記走行時間ポイント値算出ステップで算出された走行時間ポイント値と、前記走行距離ポイント値算出ステップで算出された走行距離ポイント値と、前記混雑状況ポイント値取得ステップで取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、前記車両が前記エリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する評価値算出ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車体広告による宣伝効果評価装置、宣伝効果評価方法、および宣伝効果評価プログラムによれば、車両の車体に掲示した広告による宣伝効果を精度良く評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による宣伝効果評価装置を用いた車体広告システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による宣伝効果評価装置を用いた車体広告システムで生成された混雑状況ポイント値がメッシュ情報上に表示された状態を示す説明図である。
【
図3】一実施形態による宣伝効果評価装置において実行される動作を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態による宣伝効果評価装置において取得および生成された情報を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〈一実施形態による宣伝効果評価装置を用いた車体広告システムの構成〉
本発明の一実施形態による車体広告システム1の構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態による車体広告システム1は、車体に広告Cが掲示された車両Xに積載された車載器10と、当該車載器10に無線接続された宣伝効果評価装置20とを備える。
図1においては説明を簡略化するため、宣伝効果評価装置20に1台の車両Xの車載器10のみが接続されている状態を示しているが、実際には複数台の車両の各車載器が接続されていてもよい。
【0014】
車載器10は、当該車両XのイグニッションON/OFF情報や走行速度情報等の運転情報を取得する運転情報取得部11と、当該車両Xの位置情報であるGPS(global positioning system)情報を取得するGPS情報取得部12とを有する。
【0015】
宣伝効果評価装置20は、メッシュ情報記憶部21と、混雑情報取得部22と、混雑状況ポイント値生成部23と、車両情報取得部24と、走行情報算出部25と、走行時間ポイント値算出部26と、走行距離ポイント値算出部27と、混雑状況ポイント値取得部28と、評価値算出部29と、広告費算出部30とを有する。
【0016】
メッシュ情報記憶部21は、管理対象エリアの地図情報を、所定間隔の複数の縦線および横線により複数のマス目に分割したメッシュ情報を記憶する。
【0017】
混雑情報取得部22は、管理対象エリア内の混雑情報を、外部のWebサーバから取得する。
【0018】
混雑状況ポイント値生成部23は、混雑情報取得部22で取得した混雑情報に基づいて、メッシュ情報記憶部21に記憶されたメッシュ情報内の複数のマス目それぞれに対応する各エリアに関し、混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値を生成する。
【0019】
車両情報取得部24は、車載器10から、車両XのGPS情報を取得する。
【0020】
走行情報算出部25は、車両情報取得部24で逐次取得された車両XのGPS情報に基づいて車両Xの移動状況を監視して、メッシュ情報内の所定のマス目内に対応するエリアにおける走行時間および走行距離の積算値を算出する。
【0021】
走行時間ポイント値算出部26は、走行情報算出部25で算出された、所定のマス目内に対応するエリアにおける車両Xの走行時間に基づく走行時間ポイント値を算出する。
【0022】
走行距離ポイント値算出部27は、走行情報算出部25で算出された、所定のマス目内に対応するエリアにおける車両Xの走行距離に基づく走行距離ポイント値を算出する。
【0023】
混雑状況ポイント値取得部28は、混雑状況ポイント値生成部23で生成された各エリアに関する混雑状況ポイント値の中から、走行情報算出部25で判定されたマス目に対応するエリアに関する混雑状況ポイント値を取得する。
【0024】
評価値算出部29は、走行時間ポイント値算出部26で算出された走行時間ポイント値と、走行距離ポイント値算出部27で算出された走行距離ポイント値と、混雑状況ポイント値取得部28で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、車両Xが該当するマス目に対応するエリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値を算出する。
【0025】
広告費算出部30は、評価値算出部29で算出された、複数エリアに関する評価値の合計値に基づいて、車両Xが所定エリア内を走行したことによる広告費を算出する。
【0026】
〈一実施形態による宣伝効果評価装置を用いた車体広告システムの動作〉
次に、本実施形態による車体広告システム1の動作について説明する。本実施形態において、宣伝効果評価装置20のメッシュ情報記憶部21には、管理対象エリアの地図情報を、所定間隔の複数の縦線および横線により複数のマス目に分割したメッシュ情報が記憶されている。また、混雑情報取得部22では、外部のWebサーバから、管理対象エリアに関する混雑状況を地図情報上にヒートマップで示した混雑情報が、1時間間隔で毎時0分に取得されている。また、混雑状況ポイント値生成部23では、混雑情報取得部22で管理対象エリアの混雑情報が取得される都度、メッシュ情報記憶部21に記憶されたメッシュ情報内の複数のマス目それぞれに対応する各エリアに関し、混雑状況を数値化した混雑状況ポイント値が生成される。
【0027】
混雑状況ポイント値生成部23で生成された混雑状況ポイント値の例を、
図2に示す。
図2は、午前10時に取得された混雑情報に基づいて生成された混雑状況ポイント値が、メッシュ情報記憶部21に記憶されたメッシュ情報上に表示された状態を示す。当該メッシュ情報は、管理対象エリアの地図情報が7本の縦線および7本の横線により分類された、横8個×縦8個の計64個のマス目を有している。各マス目は、横方向の列番号1~8と、縦方向の列番号1~8とを組み合わせた情報で識別され、例えば、最下列は左から、マス目(1,1)、マス目(1,2)、マス目(1,3)・・・マス目(1,8)とし、最上列は左から、マス目(8,1)、マス目(8,2)、マス目(8,3)・・・マス目(8,8)とする。
【0028】
そして、各マス目について生成された混雑状況ポイント値が、各マス目内に重畳される。例えば、マス目(1,1)内には、当該マス目(1,1)について生成された混雑状況ポイント値「1.4」が重畳され、マス目(1,2)内には、当該マス目(1,2)について生成された混雑状況ポイント値「1.7」が重畳され、・・・マス目(8,8)内には、当該マス目(8,8)について生成された混雑状況ポイント値「1.0」が重畳されている。
【0029】
これらの混雑状況ポイント値は、予め、施設ごと、地価の情報ごと、時間帯ごと、特定日ごと、天候情報ごと、地域特性ごとの少なくともいずれかに対して設定された補正値で補正してもよい。例えば、若者向けの広告が掲示された車両が走行する場合には、原宿等の若者が多い地域の走行に対して混雑状況ポイント値が高くなるように補正し、サラリーマン向けの広告が掲示された車両が走行する場合には、新橋等のサラリーマンが多い地域の走行対して混雑状況ポイント値が高くなるように補正する。
【0030】
このように、混雑状況ポイント値生成部23で混雑状況ポイント値が生成された状態で、管理対象エリア内にある車両XにおいてイグニッションがON操作されると、車載器10の運転情報取得部11においてイグニッションON情報が取得され、宣伝効果評価装置20に無線送信される。
【0031】
宣伝効果評価装置20において、車載器10から送信されたイグニッションON情報が取得されたときに実行される処理について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
宣伝効果評価装置20では、車載器10から送信されたイグニッションON情報が車両情報取得部24で取得されると(S1の「YES」)、車載器10に対して車両XのGPS情報の要求情報が無線送信される。車載器10では、宣伝効果評価装置20からGPS情報の要求情報が取得されると、GPS情報取得部12で取得されたGPS情報が、所定時間間隔で宣伝効果評価装置20に送信される。これにより、宣伝効果評価装置20の車両情報取得部24では、所定時間間隔での車両XのGPS情報の取得処理が開始される(S2)。
【0033】
車両情報取得部24で車両XのGPS情報が取得されると、走行情報算出部25において、取得されたGPS情報に基づいて当該車両Xの現在位置に該当するメッシュ情報内のマス目が特定される(S3)。そして、所定時間間隔で逐次取得される車両XのGPS情報に基づいて車両Xの移動状況が監視され、同一のマス目内に対応するエリアにおける走行時間および走行距離の積算値が算出される(S4)。このステップS3およびS4の処理は、車両Xが当該マス目に対応するエリア内にいる間、継続して実行される(S5の「NO」)。
【0034】
その後、走行情報算出部25により車両Xが当該マス目に対応するエリア外に出たことが検知されると(S5の「YES」)、走行時間ポイント値算出部26により、走行情報算出部25で算出された当該マス目内における車両Xの走行時間に基づく走行時間ポイント値が算出される。
【0035】
走行時間ポイント値は、走行時間が長い程高い値で算出されるとともに、予め時間帯ごと、曜日ごと、または特定日ごとに設定された補正値で、当該走行時間ポイント値が補正される。例えば、人が活動していない早朝や深夜は、日中に比べて走行時間ポイント値が低くなるように補正される。また、人が多い土曜日や日曜日、またはイベントが開催される特定日は、通常の平日に比べて走行時間ポイント値が高くなるように補正される。
【0036】
また、車両Xが当該マス目に対応するエリア外に出たことが検知されると、走行距離ポイント値算出部27により、走行情報算出部25で算出された当該マス目内に対応するエリアにおける車両Xの走行距離に基づく走行距離ポイント値が算出される。
【0037】
走行距離ポイント値は、走行距離が長い程高い値で算出されるとともに、予め地域特性に基づいて設定された補正値で、当該走行距離ポイント値が補正される。例えば、交通量が多い地域、人口密度が高い市町村に関しては、走行距離ポイント値が高くなるように補正される。
【0038】
また、車両Xが当該マス目に対応するエリア外に出たことが検知されると、混雑状況ポイント値取得部28により、混雑状況ポイント値生成部23で生成された各エリアに関する最新の混雑状況ポイント値の中から、該当するマス目に対応するエリアに関する混雑状況ポイント値が取得される(S6)。
【0039】
そして、評価値算出部29により、走行時間ポイント値算出部26で算出された走行時間ポイント値と、走行距離ポイント値算出部27で算出された走行距離ポイント値と、混雑状況ポイント値取得部28で取得された混雑状況ポイント値とに基づいて、車両Xが該当するマス目に対応するエリア内を走行したことによる宣伝効果を評価した評価値が算出される(S7)。
【0040】
例えば、該当するマス目に対応するエリア内の車両Xの走行に関し、走行時間が2分であったことにより走行時間ポイント値「2」が算出され、走行距離が200mであったことにより走行距離ポイント値「200」が算出され、該当するマス目の混雑状況ポイント値「1.4」が取得された場合、走行時間ポイント値「2」×(走行距離ポイント値「200」/100)×混雑状況ポイント値「1.4」により、評価値「5.6」が算出される。
【0041】
上述したステップS3~S7の処理は、車両XにおいてイグニッションOFF操作が行われるまで、メッシュ情報の各マス目に対応して繰り返される。このようにして複数のマス目に関して取得された情報の例を、
図4に示す。
図4では、時刻10:50~11:20の間に、車両Xが走行した経路に基づいて、メッシュ情報のマス目ごとに算出された評価値が示されている。
【0042】
そして、広告費算出部30により、当該日の当該車両Xの評価値の合計値「102.6」に、予め設定された評価値「1」あたりの金額(例えば「1円」)が掛け合わせられ、当該車両が当該日に走行したときの宣伝効果に対する広告費として、約200円が算出される。算出された広告費は、当該車両Xの持ち主に還元される。
【0043】
上述した実施形態において、車両情報取得部24が、車両Xの走行速度情報を取得し、評価値算出部29が、車両情報取得部24で取得された走行速度情報が所定値以上であったエリアに関しては、該当するエリアに対応する評価値を算出しないかまたは、評価値を下げて算出するようにしてもよい。このように処理をすることにより、高速道路等、車体の広告が人目につきにくい場所での走行に関しては、評価値を低くすることができる。
【0044】
以上の実施形態によれば、車両の車体に掲示した広告による宣伝効果を精度良く評価することができる。
【0045】
上述した宣伝効果評価装置20に搭載される機能をプログラム化してコンピュータに組み込むことにより、当該コンピュータを宣伝効果評価装置として機能させるための宣伝効果評価プログラムを構築することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 車体広告システム
10 車載器
11 運転情報取得部
12 GPS情報取得部
20 宣伝効果評価装置
21 メッシュ情報記憶部
22 混雑情報取得部
23 混雑状況ポイント値生成部
24 車両情報取得部
25 走行情報算出部
26 走行時間ポイント値算出部
27 走行距離ポイント値算出部
28 混雑状況ポイント値取得部
29 評価値算出部
30 広告費算出部