(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】過酸化水素含有水の処理方法および処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/70 20060101AFI20221118BHJP
C02F 1/58 20060101ALI20221118BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C02F1/70 Z
C02F1/58 H
G01N27/416 311K
(21)【出願番号】P 2018164474
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】成田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】水間 翔平
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-269002(JP,A)
【文献】特開2009-247944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
1/58 - 1/64
1/70 - 1/78
G01N 27/26 -27/404
27/414-27/416
27/42 -27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素を含む被処理水を活性炭層に通す通水工程を有して前記被処理水中の過酸化水素を除去する処理方法において、
前記通水工程の前段に、前記被処理水に還元処理用の薬品を添加して過酸化水素の還元を行なう還元処理工程を有し、
前記薬品はカタラーゼを含有し、
前記通水工程に供給される水における過酸化水素濃度が一定となるように、
前記被処理水における過酸化水素濃度を計測した結果に基づいて、前記還元処理工程に
用いられる装置への前記薬品の
注入量を制御
し、
前記還元処理工程において、前記被処理水中の過酸化水素濃度を50mg/L以下にまで低減させることを特徴とする処理方法。
【請求項2】
前記装置における前記被処理水の滞留時間と、前記薬品による過酸化水素の還元分解反応の反応速度定数とを使用して、前記薬品の添加量を算出し、前記添加量を制御する、請求項
1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記還元処理工程に供給される前記被処理水を一時的に貯える原水槽に接続する循環配管において、前記被処理水における前記過酸化水素濃度を計測する、請求項
1または
2に記載の処理方法。
【請求項4】
過酸化水素を含む被処理水を分解除去する処理装置であって、
前記被処理水が供給され、還元処理用の薬品によって前記被処理水中の過酸化水素の還元処理を行なう反応槽と、
前記反応槽の出口に接続する活性炭充填塔と、
前記被処理水の過酸化水素濃度を計測する過酸化水素濃度センサーと、
を有し、
前記薬品はカタラーゼを含有しており、
前記反応槽から排出されて前記活性炭充填塔に供給される水における過酸化水素濃度が一定となるように
、前記過酸化水素濃度センサーによって計測した結果に基づいて、前記薬品の
前記反応槽への注入量が制御され、
前記反応槽から排出される水に含まれる過酸化水素が前記活性炭充填塔において除去され
、
前記反応槽から排出される水の過酸化水素濃度が50mg/L以下である、処理装置。
【請求項5】
前記反応槽における前記被処理水の滞留時間と、前記薬品による過酸化水素の還元分解反応の反応速度定数とを使用して、前記薬品の注入量を算出して制御する、請求項
4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記反応槽の前段に前記被処理水を一時的に貯える原水槽を備え、前記過酸化水素濃度センサーは、前記原水槽に接続した循環配管に設けられている、請求項
4または
5に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素含有水の処理方法および処理装置に関し、特に、活性炭層に過酸化水素含有水を通水して過酸化水素を除去する処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄や殺菌用途で過酸化水素が広く使用されており、洗浄や殺菌などの工程からは、過酸化水素を含む排水が排出される。過酸化水素を含む排水をそのまま外部に排出することはできず、排水中の過酸化水素を除去することが必要となる。排水には過酸化水素のほかに他の成分、例えば有機物が含まれる場合もあるが、その場合には、まず過酸化水素を除去した後に、後段の設備において有機物や窒素、フッ素などの他の成分の除去を行なうことになる。被処理水である過酸化水素含有水に含まれる過酸化水素を除去する方法としては、活性炭による触媒的な反応を利用して過酸化水素を分解除去する方法などが知られている。
【0003】
活性炭による触媒的な反応を利用する方法は、活性炭を充填した塔の設置スペースが比較的小さく済む上に、活性炭の寿命が長いので、ランニングコストを低減できるという利点がある。しかしながら活性炭による方法では、被処理水のpHが4以下であると除去効率が低下する。そこで特許文献1は、被処理水に含まれる過酸化水素を分解する活性炭充填塔を用いるときに、活性炭充填塔から排出される処理水での過酸化水素濃度を例えば滴定法あるいはポーラログラフ法などを適用した分析計によって測定し、測定された過酸化水素濃度が所定値を超えたときに、活性炭充填塔に供給される被処理水にアルカリを添加することを開示している。アルカリ添加により除去効率が上昇するので、特許文献1の方法によれば、被処理水中の過酸化水素濃度の変動に対して安定した活性炭処理を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
活性炭層に通水することによって被処理水中の過酸化水素を分解除去する方法は、他の方法に比べ、ランニングコストが低いという利点を有するが、被処理水中の過酸化水素濃度が数十mg/L以下であることが必要であり、過酸化水素濃度がこの値よりも高い場合には、過酸化水素の除去が不十分になったり、使用する活性炭の寿命が短くなる。特許文献1に記載されるように活性炭充填塔から排出される処理水の過酸化水素濃度を計測して被処理水へのアルカリ添加量を制御したとしても、被処理水における過酸化水素濃度に変動があった場合には活性炭の寿命も変動し、活性炭充填塔内の活性炭を交換する時期の予測が難しくなる。さらに、特許文献1に示される方法は、活性炭充填塔から排出される処理水の過酸化水素濃度を計測して制御を行なうので、処理水に過酸化水素が含まれることを前提とした方法であり、被処理水における過酸化水素濃度の変動によっては、高濃度の過酸化水素が処理水に含まれてしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、過酸化水素を含む被処理水を活性炭層に通して被処理水中の過酸化水素を除去する処理方法および処理装置であって、被処理水中の過酸化水素濃度が変動しても活性炭の寿命に変動が生じることがなく、また、活性炭層からの処理水への過酸化水素の流出を防ぐことができる処理方法および処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の処理方法は、過酸化水素を含む被処理水を活性炭層に通す通水工程を有して被処理水中の過酸化水素を除去する処理方法において、通水工程の前段に、被処理水に還元処理用の薬品を添加して過酸化水素の還元を行なう還元処理工程を有し、薬品はカタラーゼを含有し、通水工程に供給される水における過酸化水素濃度が一定となるように、被処理水における過酸化水素濃度を計測した結果に基づいて、還元処理工程に用いられる装置への薬品の注入量を制御し、還元処理工程において、被処理水中の過酸化水素濃度を50mg/L以下にまで低減させることを特徴とする。
【0008】
本発明の処理装置は、過酸化水素を含む被処理水を分解除去する処理装置であって、被処理水が供給され、還元処理用の薬品によって被処理水中の過酸化水素の還元処理を行なう反応槽と、反応槽の出口に接続する活性炭充填塔と、被処理水の過酸化水素濃度を計測する過酸化水素濃度センサーと、を有し、薬品はカタラーゼを含有しており、反応槽から排出されて活性炭充填塔に供給される水における過酸化水素濃度が一定となるように、過酸化水素濃度センサーによって計測した結果に基づいて、薬品の反応槽への注入量が制御され、反応槽から排出される水に含まれる過酸化水素が活性炭充填塔において除去され、反応槽から排出される水の過酸化水素濃度が50mg/L以下である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、活性炭により過酸化水素を除去する前に、被処理水に還元処理用の薬品を添加して過酸化水素の還元を行なうことにより、被処理水における過酸化水素濃度に変動があっても活性炭層に供給される水における過酸化水素濃度を低く抑えることができるので、活性炭の寿命の変動を抑えることができて活性炭交換時期を容易に予測でき、また、活性炭層からの処理水に過酸化水素が流出することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の一形態の処理装置の構成を示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の一形態の処理装置を示している。この処理装置は、過酸化水素(H
2O
2)を含む水を被処理水として、被処理水中の過酸化水素を除去し、過酸化水素濃度が所定値以下となった処理水を得るものである。
【0012】
図1に示す処理装置では、活性炭が活性炭層を形成して充填された活性炭充填塔40が設けられており、過酸化水素が除去された処理水が活性炭充填塔40から例えば有機物などを除去する設備である後段設備に送られる。活性炭により被処理水中の過酸化水素を除去する場合、被処理水中の過酸化水素の濃度が数十mg/L以下であることが望ましいが、被処理水における過酸化水素濃度がこのような濃度範囲にあるという保証はなく、より高い濃度である場合もあり得る。そこで本実施形態に示す処理装置では、活性炭充填塔40の前段に、被処理水が供給されて還元処理用の薬品によって被処理水中の過酸化水素の還元処理を行なう反応槽21を設け、反応槽21において被処理水中の過酸化水素濃度を、活性炭充填塔40において処理可能なレベルにまで低減させる。これにより、被処理水において過酸化水素濃度の変動があっても活性炭充填塔40から過酸化水素を含む処理水が排出されることを防ぐことができる。またこのとき、反応槽21から排出される被処理水すなわち活性炭充填塔40に供給される被処理水の過酸化水素濃度が一定となるように反応槽21において被処理水に添加する薬品の濃度を制御することによって、活性炭充填塔40内に充填されている活性炭の寿命が延びるとともに、活性炭の交換時期の予測も容易となる。
【0013】
以下、本実施形態の処理装置について、さらに詳しく説明する。被処理水を一時的に貯える原水槽11が設けられており、原水槽11の出口にはポンプ13が設けられており、原水槽11内の被処理水が配管15を介してpH調整槽16に導かれる。pH調整槽16には貯槽17からpH調整剤も供給される。pH調整槽16は、被処理水のpHを過酸化水素の還元処理に適した値に調整するために設けられている。pH調整槽16内の被処理水のpHを計測するpHセンサー(不図示)を設け、pHセンサーの計測値に基づいてpH調整槽16へのpH調整剤の供給量を制御するようにしてもよい。pH調整槽16の出口は、配管18を介して反応槽21に接続している。原水槽11に供給される被処理水のpHが既に還元処理に適した値である場合には、pH調整槽16を設けなくてもよく、そのときは、配管15に配管18を直結して被処理水が反応槽21に直接供給されるようにしてもよい。
【0014】
さらに配管15には、ポンプ13から吐出される被処理水の少なくとも一部を原水槽11に戻す循環配管12が接続されている。循環配管12は、pH調整槽16に供給される被処理水の量を調節するためのものであるとともに、処理を停止している際にも原水槽11内の被処理水を滞留させないようにするためのものであり、必要に応じて設けられる。循環配管12には、被処理水中の過酸化水素濃度をオンライン計測する過酸化水素濃度計14が設けられている。過酸化水素濃度計14は、被処理水中の過酸化水素濃度を測定できるのであれば原水槽11に設けてもよいが、原水槽11への被処理水の供給によっては原水槽11内の過酸化水素濃度は一様でない場合があり、また、配管15上に設けてもよいが、配管15を介してpH調整槽16に供給される被処理水の流量が多いと配管15の配管口径も大きくなり、過酸化水素濃度計14のメンテナンスを考慮した配管設計上の影響が大きくなることから、循環配管12に設けるのが好ましい。前述のとおり循環配管12は、pH調整槽16に供給する被処理水の量を調整するために設けられるので、その流量は少なく、配管15の配管口径も小さくなるため、過酸化水素濃度計14の配管設計上の影響も小さくて済む。また、原水槽11内の被処理水が循環するため、循環配管12内の被処理水の過酸化水素濃度が一様となり、計測誤差が生じにくくなる。
【0015】
反応槽21では、配管18を介して供給された被処理水に対して還元処理用の薬品すなわち過酸化水素分解剤が添加され、この薬品により被処理水中の過酸化水素が還元分解され、その結果、反応槽21からは、過酸化水素濃度が所定の濃度に低減された被処理水が配管24を介して排出される。反応槽21には、不図示の撹拌装置が取り付けられていてもよい。反応槽21に対して還元処理用の薬品を供給するために、水溶液の形態である還元処理用の薬品を一時的に貯える貯槽22と、貯槽22から薬品を反応槽21に注入する注入ポンプ23とが設けられている。
【0016】
反応槽21から排出された被処理水を一時的に貯える中継槽31が設けられており、配管24は中継槽31に接続している。中継槽31の出口は配管32を介して活性炭充填塔40に接続し、配管32には、被処理水を給送するためのポンプ33が設けられている。活性炭充填塔40において最終的に過酸化水素を除去して得られる処理水は、例えば有機物や窒素、フッ素などを除去する設備である後段設備に送られる。
【0017】
反応槽21における過酸化水素の還元反応速度は、滞留時間あるいは反応時間が長いほど、過酸化水素濃度が高いほど、また還元処理用の薬品の濃度が高いほど高くなる。本実施形態では、特開2000-269002号公報に記載されるように、反応槽21として、複数の(例えば2つの)区画された反応域が直列に接続した構成のものを用い、初段の反応域に対して配管18からの被処理水と還元処理用の薬品が供給され、最終段の反応域から排出される被処理水が活性炭充填塔40に送られるようにしてもよい。
【0018】
活性炭充填塔40は、加圧型と開放型のいずれでもよく、また、下向流通水でも上向流通水でもよいが、過酸化水素の処理能力が比較的小さい、加圧型下向流式の活性炭充填塔の場合に、本発明はより有効である。
【0019】
本実施形態において、還元処理用の薬品(すなわち過酸化水素分解剤)としては、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムの水溶液などの還元剤を用いることもできるが、このような還元剤の場合は消費量が多くなりがちであるので、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼを用いることが好ましい。カタラーゼは生物界に広く一般的に存在する酵素であるが、微生物産生のカタラーゼを例えば水溶液の形態で容易に入手することができる。微生物から生産されるカタラーゼとしては、アスペルギルス(Aspergillus)属の微生物から生産されるカタラーゼ、サーモマイセス(Thermomyces)属の微生物から生産されるカタラーゼ、ミクロコッカス(Micrococcus)属の微生物から生産されるカタラーゼなどがある。これらの微生物由来のカタラーゼは、微生物の種類によって異なった性質を有することが知られている。中でもアスペルギルス属の微生物に由来するカタラーゼは、高濃度の過酸化水素に対しても失活しにくく、そのため添加量を少なくすることが可能であるので、本実施形態において還元処理用の薬品として用いるのに好ましい。本実施形態において還元処理用の薬品として使用できるカタラーゼとしては、オルガノ社製のオルソーブEZ-800H(主成分:アスペルギルス属産生のカタラーゼ)などが挙げられる。
【0020】
この処理装置では、被処理水に対する還元処理用の薬品の添加量を最適化するために、過酸化水素濃度計14からの計測出力信号に基づいて注入ポンプ23の動作が制御され、過酸化水素濃度計14での計測結果に基づいて反応槽21への還元処理用の薬品の添加量が最適量となるようにされる。処理装置は、その供給される被処理水中の過酸化水素濃度が変動する場合であっても、反応槽21から排出される被処理水中の過酸化水素濃度が、活性炭充填塔40での処理に適した所定の値となるように、過酸化水素の分解除去処理を行う。具体的には、反応槽21から排出される被処理水における過酸化水素濃度が、50mg/L以下であるように制御を行なう。
【0021】
反応槽21の容積と反応槽21への被処理水の流量とが分かれば、反応槽21において確保される滞留時間(反応時間)が算出される。温度が一定であるとして還元処理用の薬品による過酸化水素の分解反応の反応速度定数(あるいは反応速度式)は、薬品の種類(例えばカタラーゼを産生する微生物の菌種の違い)などによって異なり得るが、薬品の種類が定まれば一意に決まるといってよい。被処理水の過酸化水素濃度が計測結果として与えられたときに、反応槽21での滞留時間と反応速度定数と基づいて、反応速度計算により、反応槽21の出口での過酸化水素濃度が所定値となるような薬品の添加量を算出することができる。図には示していないが、還元処理用の薬品の添加量を反応速度計算から算出する算出部を設け、算出部によって注入ポンプを制御してもよい。
【0022】
次に、過酸化水素濃度計14について説明する。過酸化水素濃度の測定法としては、過マンガン酸カリウムやヨウ素を使用した滴定法やボルタンメトリー法、化学発光検出器を用いたポストカラムHPLC法、センサーと検出器とを用いる方法などがあるが、過酸化水素濃度計14は、過酸化水素濃度センサーを備えて過酸化水素濃度をオンライン計測し、その計測結果に基づいて還元処理用の薬品の添加量を制御するために計測出力信号を出力するものである。オンライン計測を行なって薬品の添加量の制御のために用いられることから、過酸化水素濃度計14に設けられる過酸化水素濃度センサーには、連続分析が可能であり、かつ、応答速度が速いことが求められる。この観点から、過酸化水素濃度センサーとしては、電流測定に基づく2電極型のセンサーを用いることが好ましい。
【0023】
2電極型の過酸化水素濃度センサーは、例えば棒状の部材の先端に作用極である第1の電極を設け、その部材の側面に対極および参照極を兼ねる第2の電極を設け、第1の電極に比べて第2の電極の方が十分に面積が大きくなるようにしたものである。第1の電極は例えば金(Au)や白金(Pt)からなる電極であり、第2の電極は、例えば銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極や、特開平9-178700号公報に示されるように不活性化可能な金属からなる電極である。過酸化水素濃度センサーは、過酸化水素を透過する隔膜によって測定対象の液体から隔てられていてもよく、隔膜を設ける場合には、隔膜と各電極との間は一定のイオン活量を有する内部電解液(例えば、所定濃度の塩化カリウム(KCl)溶液)で満たされる。このような過酸化水素濃度センサーでは、第1の電極と第2の電極との間に所定の直流電圧を印加することにより、過酸化水素が電子を受け取って還元される。このときに電極間を流れる電流は過酸化水素濃度に比例するから、過酸化水素濃度計14は、電極間に流れる電流に応じた計測出力信号を出力する。本実施形態において使用可能な過酸化水素濃度センサーとしては、例えば、ドイツ国所在のプロミネント(Prominent)社製のPER1あるいはPEROXが挙げられる。
【0024】
図1に示した構成では、被処理水を一時的に貯える原水槽11に接続する循環配管12に対して過酸化水素濃度計14が接続し、循環配管12を介して原水槽11に循環する被処理水における過酸化水素濃度を計測している。しかしながら過酸化水素濃度計14の設置位置はこれに限られるものではなく、活性炭充填塔40より前の位置であって、かつ過酸化水素濃度に基づいて還元処理用の薬品の添加量を最適化することができる位置であれば、処理装置内の任意の位置に過酸化水素濃度計14を設けることができる。
【符号の説明】
【0025】
11 原水槽
13,33 ポンプ
14 過酸化水素濃度計
16 pH調整槽
21 反応槽
23 注入ポンプ
31 中継槽
40 活性炭充填塔