(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】バイオトイレシステム
(51)【国際特許分類】
E03D 9/10 20060101AFI20221118BHJP
E03D 5/016 20060101ALI20221118BHJP
C02F 3/06 20060101ALI20221118BHJP
C02F 3/00 20060101ALI20221118BHJP
C02F 3/30 20060101ALI20221118BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20221118BHJP
B02C 19/10 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
E03D9/10 ZAB
E03D5/016
C02F3/06
C02F3/00 B
C02F3/30 A
C02F3/30 B
C02F11/02
B02C19/10 A
(21)【出願番号】P 2018165978
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110778
【氏名又は名称】ニシム電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】倉山 功治
(72)【発明者】
【氏名】天本 遼介
(72)【発明者】
【氏名】和田 将
(72)【発明者】
【氏名】原田 力
(72)【発明者】
【氏名】東 孝彦
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-222700(JP,A)
【文献】特開2013-047420(JP,A)
【文献】特開2015-121095(JP,A)
【文献】特開2001-200571(JP,A)
【文献】特開平08-041945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
C02F 3/06
C02F 3/00
C02F 3/30
C02F 11/02
B02C 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムにおいて、
便器から排出される汚物を含む被処理水が投入される原水槽と、
前記被処理水を微生物処理する浄化槽と、
浄化された被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、
前記原水槽が、前記便器からの汚物を含む被処理水が直接投入される汚物投入領域を有し、当該汚物投入領域において前記汚物を粉砕するための撹拌手段が配設されており、当該汚物投入領域の高さが、前記便器が設置されている床面から前記便器が汚物を排出する排出口までの高さの範囲内であ
り、前記汚物投入領域を含む第1領域と、粉砕された汚物を含む被処理水を次段の処理に送出するための第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを区画するための原水槽仕切板とを備え、前記原水槽仕切板が、少なくとも粉砕された汚物及び被処理水が流通する大きさの穿孔を有することを特徴とするバイオトイレシステム。
【請求項2】
汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムにおいて、
便器から排出される汚物を含む被処理水が投入される原水槽と、
前記被処理水を微生物処理する浄化槽と、
浄化された被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、
前記原水槽が、前記便器からの汚物を含む被処理水が直接投入される汚物投入領域を有し、当該汚物投入領域において前記汚物を粉砕するための撹拌手段が配設されており、当該汚物投入領域の高さが、前記便器が設置されている床面から前記便器が汚物を排出する排出口までの高さの範囲内であり、前記汚物投入領域の内面から、当該汚物投入領域の内側方向で且つ前記撹拌手段による撹拌方向に傾斜した方向に突起状の破砕部を備えることを特徴とするバイオトイレシステム。
【請求項3】
汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムにおいて、
便器から排出される汚物を含む被処理水が投入される原水槽と、
前記被処理水を微生物処理する浄化槽と、
浄化された被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、
前記原水槽が、前記便器からの汚物を含む被処理水が直接投入される汚物投入領域を有し、当該汚物投入領域において前記汚物を粉砕するための撹拌手段が配設されており、当該汚物投入領域の高さが、前記便器が設置されている床面から前記便器が汚物を排出する排出口までの高さの範囲内であり、前記撹拌手段が、前記原水槽内における前記汚物投入領域外に貯留されている被処理水を前記汚物投入領域内に戻す際に生じる水流で撹拌を行うことを特徴とするバイオトイレシステム。
【請求項4】
請求項
1に記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記原水槽
仕切板の上方に前記第1領域の空間と前記第2領域の空間とを連通する解放領域を有するバイオトイレシステム。
【請求項5】
請求項
1又は4に記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記汚物投入領域の上端部に配設され、当該汚物投入領域からオーバーフローする被処理水を当該汚物投入領域を除く前記第1領域に送出する汚物配管を備えるバイオトイレシ ステム。
【請求項6】
請求項
1ないし5のいずれかに記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記汚物投入領域
が、被処理水が流通可能な穿孔を有する投入領域仕切板により原水槽内の他の領域と区分けされているバイオトイレシステム。
【請求項7】
請求
項6に記載のバイオトイレシステムにおいて、
前記
投入領域仕切板が円筒状に形成され、当該円筒状の中心軸で撹拌羽が回動するバイオトイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオトイレに関する技術として、例えば特許文献1に示す技術が開示されている。特許文献1に示す技術は、洗浄水によりトイレを洗浄した際の汚物を含む被処理液を複数の槽を介して前記洗浄水に循環するバイオトイレシステムにおいて、前記被処理液を貯留する受入槽と、前記受入槽に貯留された前記被処理液を次の生物処理槽に移送する移送ポンプと、前記被処理液を前記洗浄液に処理する複数の処理槽と、処理された前記洗浄水を貯留する洗浄水槽とを備え、前記移送ポンプが、一定の流量で前記被処理液を次の生物処理槽に移送するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に示すようなバイオトイレシステムにおいて、一般のトイレと同様にバリアフリー化する技術が望まれている。一般のトイレであれば、下水処理施設を利用して、便器から排出される汚物等を床下の配管に沿って浄化槽に送出することができるが、下水処理施設を不要とする移動式の仮設トイレの場合は、便器の位置をある程度高くした上で床上に設置されている処理槽に汚物等を送出する必要がある。すなわち、便器の位置が高くなることで、段差が生じてしまいバリアフリー化することが極めて困難となる(
図7を参照)。
【0005】
特許文献1に示すバイオトイレシステムは、このようなバリアフリー化の問題を解決できる技術ではない。
【0006】
本発明は、便器の位置を高くすることなく、当該便器から排出される汚物等を次段の原水槽に送出すると共に、原水槽において固形物等の細かい粉砕を十分に行うことができるバイオトイレシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバイオトイレシステムは、汚物を含む被処理水を微生物処理し、洗浄水として循環するバイオトイレシステムにおいて、便器から排出される汚物を含む被処理水が投入される原水槽と、前記被処理水を微生物処理する浄化槽と、浄化された被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、前記原水槽が、前記便器からの汚物を含む被処理水が直接投入される汚物投入領域を有し、当該汚物投入領域において前記汚物を粉砕するための撹拌手段が配設されており、当該汚物投入領域の高さが、前記便器が設置されている床面から前記便器が汚物を排出する排出口までの高さの範囲内であるものである。
【0008】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、便器から排出される汚物を含む被処理水が投入される原水槽と、被処理水を微生物処理する浄化槽と、浄化された被処理水を便器の洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、原水槽が、便器からの汚物を含む被処理水が直接投入される汚物投入領域を有し、当該汚物投入領域において汚物を粉砕するための撹拌手段が配設されており、当該汚物投入領域の高さが、便器が設置されている床面から便器が汚物を排出する排出口までの高さの範囲内とするため、便器を床面に設置したバリアフリーの状態で汚物等を原水槽に確実に送出することができると共に、原水槽においては撹拌手段により固形物を確実に破砕して細かくし、後段の微生物処理への負荷を抑えて高品質な洗浄水を作ることが可能になるという効果を奏する。
【0009】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記汚物投入領域が、被処理水が流通可能な穿孔を有する投入領域仕切板により原水槽内の他の領域と区分けされているものである。
【0010】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、汚物投入領域が、被処理水が流通可能な穿孔を有する投入領域仕切板により原水槽内の他の領域と区分けされているため、汚物投入領域に投入された固形の汚物が、撹拌羽によりある程度小さく粉砕されるまで汚物投入領域外に流出してしまうことを防止し、ポンプ等の詰まりを防ぐことができるという効果を奏する。
【0011】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記投入領域仕切板が円筒状に形成され、当該円筒状の中心軸で前記撹拌羽が回動するものである。
【0012】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、投入領域仕切板が円筒状に形成され、当該円筒状の中心軸で前記撹拌羽が回動するため、撹拌羽の回転形状に合わせた投入領域仕切板内で固形物を効率良く破砕することができるという効果を奏する。また、投入領域仕切板が円筒状に形成されることで、破砕された固形物が被処理水の撹拌羽による流動に伴って常に移動することができ、一定の箇所に止まって凝集することを防止することができるという効果を奏する。
【0013】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記原水槽が、前記汚物投入領域を含む第1領域と、粉砕された汚物を含む被処理水を次段の処理に送出するための第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを区画するための原水槽仕切板とを備え、前記原水槽仕切板が、少なくとも粉砕された汚物及び被処理水が流通する大きさの穿孔を有するものである。
【0014】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、原水槽が、前記汚物投入領域を含む第1領域と、粉砕された汚物を含む被処理水を次段の処理に送出するための第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを区画するための原水槽仕切板とを備え、前記原水槽仕切板が、少なくとも粉砕された汚物及び被処理水が流通する大きさの穿孔を有するため、汚物投入領域である程度破砕された固形物が、投入領域仕切板を通して汚物投入領域外の第1領域内に移動し、その移動した固形物が原水槽仕切板を通して第2領域に移動することで、原水槽の次段の処理に送出される被処理水にはポンプや配管の詰まりの原因となる大き目の固形物を確実に排除することができるという効果を奏する。
【0015】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記原水槽仕切板の上方に前記第1領域の空間と前記第2領域の空間とを連通する解放領域を有するものである。
【0016】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、原水槽仕切板の上方に前記第1領域の空間と前記第2領域の空間とを連通する解放領域を有するため、万が一、原水槽仕切板の穿孔が詰まった場合であっても解放領域から被処理水を流通させて、原水槽のオーバーフローの発生を防止することができるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記汚物投入領域の上端部に配設され、当該汚物投入領域からオーバーフローする被処理水を当該汚物投入領域を除く前記第1領域に送出する汚物配管を備えるものである。
【0018】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、汚物投入領域の上端部に配設され、当該汚物投入領域からオーバーフローする被処理水を当該汚物投入領域を除く前記第1領域に送出する汚物配管を備えるため、万が一、投入領域仕切板の穿孔が詰まった場合であっても、オーバーフローした被処理水を汚物投入領域外の第1領域に送出することができ、オーバーフローによるシステム停止等を防ぐことができるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記汚物投入領域の内面から、当該汚物投入領域の内側方向で且つ前記撹拌手段による撹拌方向に傾斜した方向に突起状の破砕部を備えるものである。
【0020】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、汚物投入領域の内面から、当該汚物投入領域の内側方向で且つ前記撹拌手段による撹拌方向に傾斜した方向に突起状の破砕部を備えるため、破砕部により固形物の破砕効率を上げることができると共に、破砕部が撹拌手段の撹拌方向に傾斜しているため、固形物が破砕部に引っ掛かることなく常に移動することで、当該固形物が一定の箇所に止まって凝集することを防止することができるという効果を奏する。
【0021】
本発明に係るバイオトイレシステムは、前記撹拌手段が、前記原水槽内における前記汚物投入領域外に貯留されている被処理水を前記汚物投入領域内に戻す際に生じる水流で撹拌を行うものである。
【0022】
このように、本発明に係るバイオトイレシステムにおいては、撹拌手段が、前記原水槽内における前記汚物投入領域外に貯留されている被処理水を前記汚物投入領域内に戻す際に生じる水流で撹拌を行うため、撹拌するための部品(例えば、撹拌棒、撹拌羽、撹拌刃、モーター等)が不要となり、コスト及びメンテナンスに掛かる労力を低減することが可能になると共に、汚物投入領域外の被処理水が汚物投入領域内に循環することで、固形物をより細かく破砕することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施形態に係るバイオトイレシステムの構成を示す模式図である。
【
図2】第1の実施形態に係るバイオトイレシステムにおけるトイレと原水槽との配置関係を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の構造を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の側断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の上面図である。
【
図6】第2の実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の上面図である。
【
図7】従来のバイオトイレシステムにおけるトイレと原水槽との配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0025】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係るバイオトイレシステムについて、
図1ないし
図5を用いて説明する。本実施形態に係るバイオトイレシステムは、トイレの洗浄に使用した水を微生物処理することで再び洗浄水として再利用可能とする循環式のバイオトイレシステムである。なお、必要なエネルギーは、太陽光などの自然エネルギーを利用することで、独立して機能することができる完全独立型の循環式バイオトイレシステムとしてもよい。
【0026】
図1は、本実施形態に係るバイオトイレシステムの構成を示す模式図、
図2は、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおけるトイレと原水槽との配置関係を示す図である。
図1において、バイオトイレシステム1は、トイレ2から水洗された汚物を物理的に細かく分解する原水槽3と、細かくなった汚物を含む処理対象となる被処理水31を貯留しながら好気性菌による第1の好気処理を行う第1調整槽4と、嫌気性菌による第1の嫌気処理、及び好気性菌による第2の好気処理を行う浄化槽5と、浄化槽5で処理された被処理水31を貯留しながら嫌気性菌による嫌気処理を行う第2調整槽6と、被処理水に含まれる有機物を二酸化炭素と水に分解する反応槽7と、再生水として浄化された処理水を貯留する洗浄槽8と、システム全体を監視・制御する制御装置101や各槽内に配設されている散気管に空気を送出するブロア102等を有する制御部100とを備える。
【0027】
なお、バイオトイレシステム1は、太陽光から得られるエネルギーを電気に変換する太陽光パネルや、発電した電気を充電する二次電池を備えるようにしてもよい。
【0028】
ここで、上述したように、一般的には便器から水洗された汚物はその下方に設置されている汚物排出用の配管を通して下水処理システムに排出される。下水処理システムを不要とする簡易トイレや移動式トイレの場合は、
図7に示したように、トイレ2を床面から上げて汚物を排出するための高さを稼ぐ必要がある。そうすると、足腰が弱っているお年寄りや車椅子での利用が非常に不便なものとなりバリアフリーを実現することができない。
【0029】
本実施形態においては、
図2に示すように、トイレ2から水洗された汚物を受け入れる原水槽3の高さをトイレ2が設置されている床面から汚物が排出される排出口までの間に設定する。そうすると、原水槽3の高さが従来から知られているバイオトイレシステムよりも非常に低くなるが、本実施形態においては、高さが低い原水槽であっても固形物を確実に粉砕して後段の処理への負荷を低減する機能を有している。
【0030】
図3は、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の構造を示す斜視図、
図4は、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の側断面図、
図5は、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の上面図である。トイレ2で洗浄に使用された洗浄水と排泄物等の汚物とが混合された被処理水31は、まず
図3、
図4及び
図5に示す原水槽3に投入される。この原水槽3の高さは、トイレ2が設置されている床面からトイレ2の排出口の最下端部の高さ以下の高さとなっている。
【0031】
原水槽3は、被処理水31が投入される投入領域32と、当該投入領域32を含む第1領域35と、固形物が細かく分解された被処理水31を次の槽に送出する第2領域34とを有している。投入領域32は投入領域仕切板32aで他の領域と区切られており、第1領域35と第2領域34とは第1原水槽仕切板35a及び第2原水槽仕切板36で区切られている。第1原水槽仕切板35aは大き目の固形物を第2領域34に流通されることを防止すると共に、第2原水槽仕切板36は第1領域35の水位を所定の高さに保つために設置されている。投入領域32内には原水槽3の垂直方向を軸として回動する撹拌羽32eが配設されており、この撹拌羽32eが投入領域32の上部に配設されたモータ32fを動力として回動することで、投入領域32内の被処理水31に含まれる固形物を細かく破砕すると共に、撹拌羽32eの回動により投入領域32内の被処理水31が撹拌されて固形物を細かく分解する。
【0032】
投入領域仕切板32aには小さな孔32bが開けられており、撹拌羽32eの回動により小さく破砕された固形物と被処理水31は、その孔32bを通じて投入領域32外の第1領域35内に流通される。このとき、撹拌羽32eによる破砕が十分ではない固形物は、孔32bに引っ掛かって投入領域32の外に流通することができない。つまり、投入領域仕切板32aがフィルタの役割をしており、破砕が十分でない固形物を投入領域32外に移動させないことで、ポンプ33や配管の詰まりを防止する。
【0033】
投入領域仕切板32aの内側面には突起状の破砕部603が形成されている。この破砕部603は、被処理水31に含まれる固形物が、撹拌羽32eの回転に伴って生じる流水により流動し、破砕部603に衝突することで当該固形物の破砕を促進するものである。破砕部603は、例えば、
図4及び
図5に示すように、投入領域仕切板32aの内側側面から突起状に形成されており、且つ、被処理水31の撹拌方向(
図3~
図5の場合は仮に左時計回りの方向とする)に傾斜して配設されている。このような破砕部603を形成することで、固形物の破砕効率を上げることができると共に、固形物が破砕部603に引っ掛かることなく常に移動させることができ、当該固形物が一定の箇所に止まって凝集することを防止し、メンテナンスの手間を格段に低減することができる。
【0034】
なお、破砕部603は、投入領域仕切板32aの内側面に限らず、投入領域32の内面から内側方向に向かって突起状に形成されていればよく、例えば、投入領域32の上面内側、下面内側、及びそれらのいずれかを組み合わせて突起状に形成されてもよい。
【0035】
投入領域32の上面32cには、トイレ2の排出口にも連通している配管32dと、撹拌羽32eを駆動するモータ32fと、投入領域32において被処理水31のオーバーフローが発生した場合に、溢れた被処理水31を投入領域32外の第1領域35内に送出する配管32gとが配設されている。そして、上面32cにおける配管32d及び配管32g以外の領域は蓋32hで閉じられている。この蓋32hで上面32cを閉じることで、撹拌羽32eの回転により破砕される固形物や被処理水31が外部に飛散するのを防止することができる。また、投入領域仕切板32aの孔32bが目詰まりし、投入領域32において万が一被処理水31のオーバーフローが発生した場合であっても、配管32cにより固形物及び被処理水31を投入領域32外に放出し、オーバーフローによるシステム停止等を防止することができる。
【0036】
なお、投入領域32からオーバーフローしてしまった固形物は、撹拌羽32eにより十分に破砕されていない可能性があるが、第1領域35と第2領域34との間には、第1原水槽仕切板35aが設置されており、この第1原水槽仕切板35aには孔35bが開けられているため、大き目の固形物(孔35bの径よりも大きい径を有する固形物)が第2領域34に流通することがなく、第2領域34に設置されているポンプ33や配管の詰まりの原因となることはない。
【0037】
また、配管32gを通じて投入領域32外の第1領域35内に送出された固形物が大き目であったとしても、第1領域34内は撹拌羽32eにより常に流動しているため、多少の時間を要するもののいずれ細かく分解されて孔35bを通って第2領域34に移動して次段の処理で生物処理を行うことが可能となる。
【0038】
第1領域35と第2領域34との間に配設される第1原水槽仕切板35aの上方部分には、孔35bよりも大きく、第1領域35の空間と第2領域34の空間とを繋ぐ解放領域35cが設けられている。この解放領域35cは、万が一孔35bが塞がって目詰まりした場合であっても、第1領域35から第2領域34への固形物及び被処理水31の流通を可能とすることで、原水槽3のオーバーフローを防止することができる。
【0039】
第2領域34には、第1領域35に貯留されている被処理水31のうち、第2原水槽仕切板36をオーバーフローした被処理水31が投入される。第2領域34に投入される被処理水31は、固形物が細かく破砕されて次段以降の生物処理を効率よく行うことができる状態となっている。第2領域34の被処理水31は、ポンプ33により次段の第1調整槽4に送出される。ポンプ33の駆動は、制御部100の制御装置101により行われるが、制御装置101は、後段の第1調整槽4の水位に余裕がある場合は、随時原水槽3の被処理水31を第1調整槽4にポンプアップする。第1調整槽4の水位に余裕がない場合は、ポンプ33を駆動せずに第2領域34に被処理水31を貯留するが、送出領域34にはフロート302が設置されており、予め設定されている水位を超える場合は、第1調整槽4の水位に関係なく、ポンプアップして被処理水31を送出する。
【0040】
なお、水位センサとしては、例えば静電容量式のセンサを用いるようにしてもよい。原水槽3の外側面の任意の位置に静電容量センサを設置し、内側方向に向かって静電容量を測定することで、その高さにおける被処理水31の有無を判定し水位を検出するようにしてもよい。また、水位の測定は後段処理の性能に影響してくることから、より正確に測定されることが望ましい。そこで、上記のフロート302及び他の水位センサを複合的に利用して感度を高めるようにしてもよい。
【0041】
原水槽3の第2領域34からポンプ33で送出された被処理水31は、第1調整槽4に貯留される。この第1調整槽4では、次段の浄化槽5の処理の進行具合に応じて被処理水31が貯留される。これは、制御装置101において、浄化槽5の浄化処理が遅れていると判断された場合、すなわち、第2調整槽6の水位が高くなり浄化槽5から排出される被処理水31が増加していると判断される場合には、浄化槽5の浄化処理をスローペースにするために、被処理水31を第1調整槽4に貯留する。また、浄化槽5の浄化処理が順調に進行していると判断された場合、すなわち、第2調整槽6の水位が低く浄化槽5から排出される被処理水31がそれほど多くないと判断される場合には、浄化槽5の浄化処理を進めるために、直ちに被処理水31を浄化槽5に投入する。
【0042】
そして、この第1調整槽4には好気性菌が存在しており、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理により好気処理が行われる。また、同時に、散気管42から吐き出される空気の曝気処理により被処理水31の溶存酸素が増加され、以降の処理における菌の活動を活性化させる。つまり、第1調整槽4に被処理水31が貯留される間は、浄化槽5の前処理として事前に好気処理を行うことが可能となり、後段の浄化槽5の浄化処理の負担を軽減することが可能となる。
【0043】
なお、この第1調整槽4においては、好気性菌の菌床となる第1の菌床領域41を設け、この菌床で活性化した菌が第1調整槽4の内壁にバイオフィルムを形成し、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理により好気処理を行うようにしてもよい。
【0044】
また、第1調整槽4から浄化槽5への被処理水31の送出は、ポンプ43によるポンプアップで行われ、ポンプ43の駆動制御は、第2調整槽6の水位に基づいて制御装置101の制御により行われる。
【0045】
さらに、第1調整槽4の上部には、撹拌羽根44と当該撹拌羽根44を回転駆動するモータ45を配設するようにしてもよい。第1調整槽4の上部に固形物が堆積される(原水槽3で細かく粉砕された固形物が浮いて堆積される)可能性があり、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理だけでは、堆積した固形物の拡散が困難な場合に、撹拌羽根44を駆動することで、堆積した固形物を再び粉砕して、後段の処理槽5に送出することが可能となる。モータ45の駆動制御は、制御装置101により行われる。駆動のタイミングは、例えば、モータ45を定期的に駆動してもよいし、定期的に駆動してみて、その摩擦力を測定し、摩擦が大きい場合には固形物が堆積していると推定してモータ45を本格的に駆動してもよい。
【0046】
さらにまた、ポンプ43は、ブロア102からの散気管42を通じた曝気処理を直接受ける位置に設置されてもよい。そうすることで、曝気処理によりポンプ43の詰まりを防止することが可能となる。
【0047】
さらにまた、第2調整槽6に水質センサを設置し(図示しない)、制御装置101は、この水質センサの情報に基づいて、第1調整部4のポンプ43の駆動を制御してもよい。すなわち、第2調整槽6の水質が良好な場合は、浄化処理が十分行われているとして、浄化槽5に被処理水31を送出し、水質が不良である場合は、浄化槽5での浄化処理が十分であるとして、できるだけ第1調整槽4に被処理水31を貯留し、浄化処理をスローペースにしてもよい。また、このとき、詳細は後述するが、第2調整槽6から原水槽3への返送をペースアップするように制御してもよい。そうすることで、浄化処理が不十分な被処理水31を再度浄化処理して、水質を上げることができる。
【0048】
第1調整槽4から送出された被処理水31は、浄化槽5において、本格的に微生物処理がなされる。浄化槽5は、第1の嫌気処理を行う嫌気処理領域51と、第2の好気処理を行う好気処理領域52と、被処理水31を後段の反応槽6に送出する送出領域53とを有する。
【0049】
第1調整槽4から投入された被処理水31は、まず、嫌気処理領域51で第1の嫌気処理が行われる。この第1の嫌気処理は、ある程度時間を掛けて行うために、嫌気処理領域51を2つに区切り、それぞれの区画で順次嫌気処理が行われる構造となっている。それぞれの区画は、連通するパイプで接続されており、被処理水31は自然流下により区画間を流通する。嫌気処理領域51と好気処理領域52とは、それぞれの領域の上方で被処理水31が流通可能に連通しており、第1の嫌気処理がなされた被処理水31は、その連通路を通して好気処理領域52に送出される。好気処理領域52では、網目状の枠体55に収納され、好気性菌が常駐する接触材56に対してブロア102から散気管57を通じて空気が送られ、好気処理が行われる。好気処理領域52と送出領域53とは、それぞれの領域の下方で連通しており、好気処理された被処理水31は、次の第2調整槽6に送出される。この浄化槽5の処理は、ポンプ等を用いずに、全て自然流下により行われる。そのため、被処理水31が投入された分、同時に同量の被処理水が第2調整槽6に送出されることとなる。
【0050】
また、好気処理領域52で好気処理が行われた被処理水31の一部は、再度十分な微生物処理を行うために、ポンプや曝気処理を利用してパイプを通して嫌気処理領域51に返送され、より綺麗な被処理水31となるように繰り返して処理される。なお、ブロア102やポンプの駆動制御は、制御装置101により行われる。
【0051】
浄化槽5で処理された被処理水31は、第2調整槽6に貯留される。第2調整槽6は、後述する洗浄水の残量や浄化槽5の処理の進行度合い、すなわち、第2調整槽6の水位、後述する反応槽7におけるパーキング領域73の水位、必要に応じて洗浄槽8の水位等に基づいて制御装置101が浄化処理の進行度合いを判断し、その制御装置101の判断に応じて、被処理水31が貯留されたり、次段の反応槽7に送出されたりする。つまり、洗浄槽8や反応槽7のパーキング領域73の水位が下がっているときは、洗浄水が不足しがちであると判断し、被処理水31を反応槽7へ送出する。洗浄槽8や反応槽7のパーキング領域73の水位が上がっているときは、洗浄水が十分に確保されていると判断し、被処理水31を第2調整槽6内に貯留する。この第2調整槽6の水位も上がった場合は、前述したように、被処理水31を第1調整槽4に貯留することで、処理の進行度合いを調整する。なお、第2調整槽6から反応槽7への被処理水31の送出は、ポンプ62により行われ、ポンプ62の駆動制御は、上述したように制御装置101の判断に基づいて行われる。
【0052】
被処理水31が浄化槽5における浄化処理が不十分な状態でこの第2調整槽6に送出された場合は、第2調整槽6の下方に汚泥が沈殿してしまう場合がある。そこで、第2調整槽6の被処理水31が貯留される底面部分を傾斜させ、その先端部分61に汚泥が沈殿する構造としている。この傾斜の先端部分61は、高さが原水槽3の上面位置に対応しており、沈殿した汚泥を引き抜いて原水槽3に返送する構造となっている。具体的には、先端部分61と原水槽5の上面部分が配管で接続されており、その配管には電磁弁が設置されている。この電磁弁は、制御装置101の制御により、定期又は不定期に開放される構造となっており、電磁弁が開放されることで、先端部分61に溜まった汚泥を引き抜いて原水槽3に返送することができる。原水槽3と第2調整槽6とは、隣接又は上下に配設されており、配管の長さを最小限に抑えることで、第2調整槽6に沈殿した汚泥を容易に原水槽3に返送すると共に、メンテナンスの手間を低減することが可能となっている。
【0053】
なお、この第2調整槽6にも第1調整槽4と同様の菌床領域63を設け、そこで活性化した菌が第2調整槽6の内壁にバイオフィルムを形成するようにしてもよい。そうすることで、第2調整槽6に貯留された被処理水31に対して再び嫌気処理を行うことが可能になると共に、接触材が槽内に散在することを防止しつつ、接触材による配管の詰まり等を防止することができる。
【0054】
また、上述したように、第2調整槽6に水質センサを設置し(図示しない)、水質センサからの情報に基づいて、原水槽3への返送のペースを制御装置101が制御してもよい。すなわち、水質が悪い場合には、原水槽3への返送のペース(又は返送の量)を増大させ、水質が良い場合には、原水槽3への返送のペース(又は返送の量)を減少させるようにしてもよい。
【0055】
第2調整槽6から送出された被処理水31は、反応槽7の上方に設置された散布部71から散布されて反応槽7に投入される。反応槽7は、被処理水31に含まれる有機物を二酸化炭素と水に分解して除去する分解領域72(上側の領域)と、有機物が除去された被処理水31を貯留するパーキング領域73(下側の領域)とを有する。分解領域72には、有機物を二酸化炭素と水に分解する菌を着床したバイオチップ74(例えば、杉チップ等)が充填されており、散布部71から散布された被処理水31は、このバイオチップ74を通過しながら、有機物が除去される。バイオチップ74を通過した被処理水31は、下方に配設されているパーキング領域73に貯留される。
【0056】
パーキング領域73に貯留された被処理水31は、洗浄水として利用可能なレベルまで浄水されている。しかしながら、パーキング領域73に貯留された被処理水31は、分解領域72においてバイオチップ74に接触しながら通過しているため、茶色に着色されてしまう。浄化レベルとしては十分であっても、茶色い水が洗浄水として出てきた場合に、使用者にとって心地がいいものではない。このような場合、この茶色い着色を除去するために、着色除去フィルタを使用したり、また同時に、次段の洗浄槽8への菌の流出をなくすために、菌除去フィルタを用いることもできる。
【0057】
なお、このパーキング領域73にも第1調整槽4や第2調整槽6と同様の菌床領域77を設け、そこで活性化した菌がパーキング領域73の内壁にバイオフィルムを形成するようにしてもよい。そうすることで、パーキング領域73に貯留された被処理水31に対して再び嫌気処理を行うことが可能となる。
【0058】
上述したフィルタ処理を行うことで透明化された綺麗な被処理水31(この時点で洗浄用に再利用する処理水となっている)は、制御装置101の制御に基づいて、パーキング領域73からポンプアップにより洗浄槽8に送出される。トイレ2で用を足した後に水を流すと、この洗浄槽8の処理水がポンプ81で送出され、トイレ2が洗浄され、再びシステム内を循環する。
【0059】
以上のような一連の処理により、洗浄水を循環させることができる。本実施形態においては、各処理において必要なポンプアップや制御部100の駆動のための電力は、太陽光パネル12で発電した電力を利用することができる。太陽光パネル12で発電した電力は、二次電池13に蓄電され、必要に応じて各ポンプや制御部100が電力を消費しながら処理を行う。太陽光パネル12は、屋根の上に設置されてもよいし、シート型をバイオトイレシステム1の側壁に付設するようにしてもよい。
【0060】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係るバイオトイレシステムについて、
図6を用いて説明する。本実施形態に係るバイオトイレシステムは、前記第1の実施形態に係るバイオトイレシステムの原水槽を改良したものであり、撹拌手段として、原水槽3内における投入領域32の外側に貯留されている被処理水31を投入領域32内に戻す際に生じる水流で投入領域32内を撹拌するものである。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0061】
図6は、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおける原水槽の上面図である。
図3ないし
図5に示す原水槽3においては、撹拌手段として撹拌羽32eと当該撹拌羽32eを回動するモーター32fを備える構成としたが、本実施形態においては、投入領域32の外側に配設された循環ポンプ601が当該投入領域32の外側に存在する被処理水31を吸引すると共に、吸引した被処理水31を投入領域32内に排出する。このとき、投入領域32内に貫入され、先端部分の断面積が先端に行くにしたがって次第に小さく形成されている噴出部602a,602bから循環ポンプ601で吸引した被処理水31が噴出されることで、投入領域32内に流水が生じる。
【0062】
特に、噴出部602a,602bを投入領域32の径方向より同一の側面方向に沿って傾斜させることで、一定方向の流水を生じさせることができる。
図6の場合は、上方向から見て左回転する流水が生じる。この流水により投入領域32内が撹拌されて固形物を破砕することが可能となる。
【0063】
また、投入領域32内には固形物の流通路となり得る箇所に突起状の破砕部603が形成されている。投入領域32内に生じた流れに乗って流動する固形物が破砕部603に衝突することで破砕が促進される。このとき、破砕部603を例えば
図6に示すように流通路に沿ってジグザグ状に配置することで、より効果的に固形物を衝突させて破砕することが可能となる。
【0064】
なお、破砕部603の形状は、
図6に示すような円柱状に限定されるものではなく、例えば円錐状、多角柱状、球体状、凸凹状等でもよく、配置構成もジグザグ状以外に、平行、直線、垂直、ランダム等のように様々に配置されてもよい。また、噴出部602a,602bの数は、
図6のように2箇所に限らず、1箇所以上備えていればよい。さらに、噴出部602a,602bの噴出口近傍は吐出圧により流速が速いため、噴出口からの距離に応じて破砕部603の大きさ、形状を次第に変化させるようにしてもよい。例えば、噴出口の近傍には小さ目の破砕部603を配置し、噴出口からの距離が遠ざかるに連れて破砕部603を大きくしたり、刃状に鋭く形成するようにしてもよい。
【0065】
また、循環ポンプ601から噴出部602a,602bまでの途中の配管には切替弁604a,604bが配設されており、噴出部602a,602bとは別に切替弁604a,604bから延出する逆噴射部605a,605bを備える構成としてもよい。この逆噴射部605a,605bは、投入領域仕切板32aの孔32bが詰まった場合に、切替弁604a,604bを切り替え、投入領域32の外側から逆噴射部605a,605bで被処理水31を噴出させることで、孔32bの詰まりを解消するものである。こうすることで、原水槽3のメンテナンスに要する労力を低減することが可能となる。
【0066】
さらに、循環ポンプ601はポンプ33と併用してもよい。すなわち、被処理水31を第1調整槽4と噴出部602a,602bの両方に送出するように制御してもよいし、処理のタイミングにより(例えば、第1調整槽4への送出が少なく原水槽3への汚物投入が多いときやその逆のとき)、第1調整槽4にのみ被処理水31を送出するように制御してもよいし、噴出部602a,602bにのみ被処理水31を送出するように制御してもよい。
【0067】
このように、本実施形態に係るバイオトイレシステムにおいては、原水槽3内における投入領域32外に貯留されている被処理水31を投入領域32内に戻す際に生じる水流で撹拌を行うため、撹拌するための部品(例えば、撹拌棒、撹拌羽、撹拌刃、モーター等)が不要となり、コスト及びメンテナンスに掛かる労力を低減することが可能になると共に、投入領域32外の被処理水31が投入領域32内に循環することで、固形物をより細かく破砕することが可能になる。
【符号の説明】
【0068】
1 バイオトイレシステム
2 トイレ
3 原水槽
4 第1調整槽
5 浄化槽
6 第2調整槽
7 反応槽
8 洗浄槽
12 太陽光パネル
31 被処理水
32 投入領域
32a 投入領域仕切板
32b,35b 孔
32c 上面
32d,32g 配管
32e 撹拌羽
32f モータ
32h 蓋
33 ポンプ
34 第2領域
35 第1領域
35a 第1原水槽仕切板
35c 解放領域
36 第2原水槽仕切板
41 菌床領域
42 散気管
43 ポンプ
44 撹拌羽根
45 モーター
51 嫌気処理領域
52 好気処理領域
53 送出領域
55 枠体
56 接触材
57 散気管
61 先端部分
62 ポンプ
63 菌床領域
71 散布部
72 分解領域
73 パーキング領域
74 バイオチップ
82 配管
82a 流入口
83 ファン
84 底面部分
100 制御部
101 制御装置
102(102a,102b,102c) ブロア
103 AC/DCコンバータ
104 二次電池
110 筐体
111a,111b 流通口
112 電磁弁
302 フロート
601 循環ポンプ
602a,602b 噴出部
603 破砕部
604a,604b 切替弁
605a,605b 逆噴射部