(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ドレン回収システム
(51)【国際特許分類】
F28B 9/08 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
F28B9/08
(21)【出願番号】P 2018173940
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】谷元 啓示
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-043793(JP,A)
【文献】特開2010-284621(JP,A)
【文献】特開2002-181000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28B 9/00 - 9/10
F28B 11/00
F25B 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を凝縮させる蒸気使用機器に接続され、該蒸気使用機器で発生するドレンを回収するドレン回収システムであって、
高圧操作流体の給気口及び排気口を有し、流入口から流入したドレンを圧送口から外部に圧送する復水圧送装置と
前記流入口に接続され、補給水を流入口に供給する第一配管と、
前記第一配管に配置され、前記補給水が通過するエゼクタと、
前記蒸気使用機器と前記エゼクタの吸引部とを連通し、ドレンが該蒸気使用機器から該吸引部に向かって通過する第二配管と、
前記給気口の閉口時かつ前記排気口の開口時に前記補給水を供給する供給制御機構と、
を備えたドレン回収システム。
【請求項2】
前記供給制御機構は、
前記給気口及び前記排気口の開閉状態を検知する検知手段と、
前記第一配管において前記エゼクタよりも上流に配置され、前記補給水の供給量を制御する制御弁と、
前記給気口の閉口時かつ前記排気口の開口時に前記制御弁を開弁する制御手段と、
を含む、請求項1に記載のドレン回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気を凝縮させる蒸気使用機器に接続され、該蒸気使用機器で発生するドレンを回収するドレン回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器等の蒸気を凝縮させる蒸気使用機器では、蒸気が凝縮して発生したドレンを、復水圧送装置(復水圧送ポンプ)を用いて外部へ排除する構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した復水圧送装置の構成において、ドレンが復水圧送装置に流入するには一定以上の流入水頭が必要であり、流入位置が低い場合には作動不良が生じる虞がある。
【0005】
この発明は、ドレンの流入水頭に関わらず、復水圧送装置を正常に作動させてドレンを回収するドレン回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるドレン回収システムは、蒸気を凝縮させる蒸気使用機器に接続され、蒸気使用機器で発生するドレンを回収する。ドレン回収システムは、復水圧送装置、第一配管、エゼクタ、第二配管及び供給制御機構を備える。復水圧送装置は、高圧操作流体の給気口及び排気口を有し、流入口から流入したドレンを圧送口から外部に圧送する。第一配管は、流入口に接続され、補給水を流入口に供給する。エゼクタは、第一配管に配置され、補給水が通過する。第二配管は、蒸気使用機器とエゼクタの吸引部とを連通し、ドレンが蒸気使用機器から吸引部に向かって通過する。供給制御機構は、給気口の閉口時かつ排気口の開口時に補給水を供給する。
【0007】
蒸気供給制御機構は、給気口及び排気口の開閉状態を検知する検知手段と、第一配管においてエゼクタよりも上流に配置され、補給水の供給量を制御する制御弁と、給気口の閉口時かつ排気口の開口時に前記制御弁を開弁する制御手段と、を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、補給水を用いてエゼクタを駆動することでドレンが吸引されて復水圧送装置内に流入するので、ドレンの流入水頭に関わらず、復水圧送装置が正常に作動してドレンを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るドレン回収システムの概略の構成を示す配管系統図である。
【
図2】制御弁の開閉処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態であるドレン回収システムについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の構成は、各実施形態に限定されるものではない。また、以下で説明する各種フローを構成する各種処理の順序は、処理内容に矛盾等が生じない範囲で順不同である。
【0011】
図1は、ドレン回収システム1の概略の構成を示す配管系統図である。ドレン回収システム1は、蒸気使用機器200で発生したドレンを回収する。蒸気使用機器200は、例えば熱交換器である。蒸気使用機器200では、蒸気源(不図示)から蒸気供給管201を介して供給された蒸気が凝縮してドレンが発生する。ドレンは、吸引管10から蒸気使用機器200の外部に排出される。
【0012】
ドレン回収システム1は、吸引管10、供給管20、エゼクタ30、復水圧送装置40及び供給制御機構50を少なくとも備える。
【0013】
吸引管(第二配管)10は、蒸気使用機器200とエゼクタ30の吸引室31とを連通し、蒸気使用機器200のドレンを供給管20に流入させる。
【0014】
供給管(第一配管)20は、補給水源(不図示)と流入口41とを連通し、補給水及びドレンを復水圧送装置40に流入させる。補給水源は、例えば、補給水の貯留タンクである。なお、補吸水は、ドレンと混合して復水圧送装置40に流入する液体であればよく、例えば、工業用水がある。
【0015】
エゼクタ30は、供給管20に配置され、補給水を駆動力として蒸気使用機器200のドレンを吸引する。具体的には、補給水がエゼクタ30を通過することで、吸引室(吸引部)31に吸引力が発生する。この吸引力によって蒸気使用機器200のドレンが吸引管10を経由して吸引室31に流入する。そして、吸引室31に流入したドレンは、補給水と混合された状態で流入口41から復水圧送装置40内に流入する。なお、本実施形態の補給水は、エゼクタ30を駆動する(吸引力が発生する)程度の圧力を有する。補給水の圧力は、一般的な構成を適用して調整すればよい。
【0016】
復水圧送装置40は、流入口41、圧送口42、給気口43及び排気口44等を有し、流入口41から流入したドレン等を圧送口42から排出する。圧送口42から排出されたドレン等は、例えば、回収タンク(不図示)に貯留される。給気口43は、開閉自在に構成され、蒸気源(不図示)に接続されて高圧操作流体である蒸気を復水圧送装置40内に供給する。排気口44は、開閉自在に構成され、復水圧送装置40内の蒸気等を外部に排出する。
【0017】
給気口43及び排気口44は、復水圧送装置40の内部に配置されたフロート(不図示)によって開閉が制御される。フロートは、流入したドレン等によって鉛直方向に上下移動する。フロートが復水圧送装置40内の下方(底面)側に位置する場合、給気口43が閉じられて排気口44が開かれる。これによって、流入口41からドレン等が流入する。また、フロートが復水圧送装置40内の上方(上面)側に位置する場合、排気口44が閉じられて給気口43が開かれる。これによって、蒸気が給気口43から復水圧送装置40内に流入し、蒸気の圧力によって同トラップ40内に溜まっているドレン等が圧送口42から排出される。なお、復水圧送装置40は、一般的な構成であるので詳細な説明は省略する。
【0018】
供給制御機構50は、補給水のエゼクタ30への供給を制御する。本実施形態では、復水圧送装置40の給気口43が閉じられた状態且つ排気口44が開かれた状態の場合、補給水を供給する。また、復水圧送装置40の給気口43が開かれた状態且つ排気口44が閉じられた状態の場合、補給水の供給を停止する。すなわち、復水圧送装置40内にドレンを流入させるタイミングで補給水が供給される。
【0019】
供給制御機構50は、制御弁51、制御部52及びセンサ53,54を少なくとも備える。制御弁51は、供給管20のエゼクタ30よりも上流側に配置され、補給水の流量(供給量)を調整する。制御弁51は、例えば、スプリングリターン機能を有する空気動のON/OFF弁(空気動アクチュエータ式の制御弁)である。例えば、供給空気圧力が0MPaGの場合(空気を供給しない場合)、スプリングによる付勢力によって制御弁51は全閉状態となる。また、供給空気圧力が0MPaGより大きい場合、制御弁51は全開状態となる。制御弁51の開閉は、制御部52によって制御される。なお、制御弁51は、一般的な構成であるので詳細な説明は省略する。
【0020】
制御部52は、図示しないマイコン(マイクロコンピュータ)等から構成され、制御弁51及びセンサ53,54に接続される。制御部52は、メモリ(不図示)に記憶されているソフトウェア(プログラム)を実行することで、制御弁51の開閉を制御する。具体的には、制御部52は、センサ53,54の検知結果に基づいて給気口43及び排気口44の開閉状態を判定し、制御弁51の開閉を制御する。すなわち、供給空気圧力を制御する。上述したように、給気口43が閉じられた状態且つ排気口44が開かれた状態の場合、制御弁51を開弁して補給水を供給する。また、給気口43が開かれた状態且つ排気口44が閉じられた状態の場合、制御弁51を閉弁して補給水の供給を停止する。なお、制御部52は、バッテリー(不図示)によって駆動する。
【0021】
センサ(検知手段)53,54は、給気口43及び排気口44の周辺に配置され、開閉状態を検知する。センサ52,53は、例えば、超音波センサがある。
【0022】
上述の構成によって、ドレンを復水圧送装置40に流入させるタイミングにおいて、制御弁51が開弁されて補給水がエゼクタ30に供給される。これによって、吸引室31で吸引力が発生し、蒸気使用機器200内のドレンが吸引管10を介して吸引室31に流入する。そして、ドレン及び補給水は、流入口41から復水圧送装置40内に流入する。
【0023】
一方、ドレンを復水圧送装置40の外部に圧送させるタイミングにおいて、制御弁51が閉弁されて補給水のエゼクタ30への供給が停止される。そのため、吸引室31で吸引力は発生しない。
【0024】
次に、制御部52による制御弁51の開閉処理について、
図2を参照しつつ説明する。開閉処理は、例えば、制御部52の起動中、常に実行される。
【0025】
制御部52は、給気口43が閉じられた状態、且つ、排気口44が開かれた状態であるか否かを判定する(ステップS10)。上述したように、センサ53,54の検知結果に基づいて判定される。給気口43が閉じられた状態、且つ、排気口44が開かれた状態である場合(ステップS10:YES)、制御部52は、制御弁51を開弁する処理を行う(ステップS11)。制御部52は、所定の供給空気圧力で制御弁51を開弁する。その後、制御部52は、ステップS10の処理に戻る。
【0026】
一方、給気口43が閉じられた状態、且つ、排気口44が開かれた状態でない場合(ステップS10:NO)、制御部52は、制御弁51を閉弁する処理を行う(ステップS12)。制御部52は、空気の供給を停止することで制御弁51を閉弁する。その後、制御部52は、ステップS10の処理に戻る。
【0027】
なお、上述の開閉処理では、給気口43が閉じられた状態、且つ、排気口44が開かれた状態以外の状態の場合には、ステップS12の処理が実行されるが、特にこれに限定されるものではない。給気口43が開かれた状態、且つ、排気口44が閉じられた状態の場合のみステップS12の処理を実行してもよい。
【0028】
以上のように、ドレン回収システムにおいて、補給水を用いてエゼクタを駆動することでドレンが吸引されて復水圧送装置内に流入するので、ドレンの流入水頭に関わらず、復水圧送装置が正常に作動してドレンを回収することができる。
【0029】
なお、上述の実施形態では、給気口及び排気口の開閉状態を検知して補吸水の供給を制御する構成について説明したが、特にこれに限定されるものではない。ドレンを復水圧送装置に流入させるタイミングにおいて、補吸水を用いてエゼクタを駆動させる構成であれば、いずれの構成を採用してもよい。すなわち、給気口の閉鎖時かつ排気口の開放時に補給水をエゼクタに供給する構成であれば、いずれの構成を採用してもよい。
【0030】
例えば、供給制御機構に、給気口の蒸気の圧力よりも低くなるように補給水の圧力を調整させる構成を採用してもよい。これにより、排気口の開放時、補給水は、補給水圧よりも圧力の低い復水圧送装置内に流入していくので、エゼクタの吸引室において吸引力が発生する。一方、給気口の開放時、補給水は、補給水圧よりも圧力の高い復水圧送装置内には流入しないので、エゼクタの吸引室において吸引力は発生しない。なお、補吸水圧の制御は、電動ポンプ等を用いて行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、蒸気使用機器で発生するドレンを回収するドレン回収システムにおいて、ドレンの流入水頭に関わらず、復水圧送装置を正常に作動させてドレンを回収するのに有用である。
【符号の説明】
【0032】
1 ドレン回収システム
10 吸引管(第二配管)
20 供給管(第一配管)
30 エゼクタ
31 吸引室(吸引部)
40 復水圧送装置(復水圧送装置)
41 流入口
42 圧送口
43 給気口
44 排気口
50 供給制御機構
51 制御弁
52 制御部
53,54 センサ(検知手段)