(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/532 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/532 100
(21)【出願番号】P 2018177221
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大竹 雄也
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/145139(WO,A1)
【文献】特開2017-202118(JP,A)
【文献】特開2017-012453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0116880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シートの間に設けられた吸収体とを有し、前後方向に所定の長さと前記前後方向に直交する幅方向に所定の幅を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、装着時に装着者の股間に対応させる中央領域と、前記中央領域の前方に隣接する前方領域と、前記中央領域の後方に隣接する後方領域とを有し、
前記吸収体に、
前記前方領域から前記中央領域にかけて前記中央領域の後端を越えない範囲で前記前後方向に延びる複数のスリットが前記幅方向に並んで設けられ、
前記吸収体における前記複数のスリット間の吸収体部分である中間部分の剛性は、
当該中間部分の前端から後
端に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている、吸収性物品。
【請求項2】
前記中間部分の目付は、後方に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記中間部分の厚みは、後方に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記中間部分は、高剛性部と、前記高剛性部より剛性の低い低剛性部とを含み、
前記複数のスリットの幅方向外側の吸収体部分の剛性は、前記高剛性部の剛性に等しいか又は前記高剛性部の剛性より大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記高剛性部と前記低剛性部との境界は、上面視で後方に凸である、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記スリットは、複数の前方スリットと、前記前方スリットの後方に且つ前記前後方向に延びる中心線上に設けられた後方スリットとを含み、
前記後方スリットは、前記幅方向で見て、前記複数の前方スリットの間に形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記前方スリットと、前記後方スリットとは、前記前後方向に離間している、請求項6に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品としては、パッドタイプ、テープタイプ、パンツタイプ等の形態の使い捨ておむつの他、生理用ナプキンが知られている。このような吸収性物品の構成としては、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シート間に設けられた吸収体とを有するものが一般的である。
【0003】
上記吸収性物品においては、吸収体に前後方向に延びるスリット(吸収体を貫通しないものも含む)を設けた構成が知られている。このようなスリットは、体液の前後方向での移行を促して幅方向での漏れを防止したり、また通気性を向上させたりする等の機能を有する。例えば、特許文献1には、長手方向に延びる筋状の凹部13を有する吸収体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸収性物品は、装着時に身体の形状に合わせて変形し得る。具体的には、股間に対応する領域は、側方から両脚による圧力を受け圧縮される。このとき、吸収体にスリットが複数設けられている場合、強く圧縮された位置付近では、複数のスリット同士が吸収体の幅方向に近付く。これにより、各スリットに沿って移行してきた体液を、幅方向中央に方向付けることができ、幅方向への漏れを抑制することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、装着時に、股間に対応する領域に側方から力がかかっても、幅方向中央に形成された高密度部の存在等に起因して、吸収体が幅方向に十分に圧縮変形せず、複数のスリットを幅方向に互いに近付けることが難しい場合がある。その場合、体液の移行方向を幅方向中央へ十分に方向付けできず、横漏れが生じる虞があった。
【0007】
上記の点に鑑みて、本発明の一態様は、複数のスリットから移行してきた体液を、幅方向中央へより方向付けしやすくし、横漏れを抑制できる吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シートの間に設けられた吸収体とを有し、前後方向に所定の長さと前記前後方向に直交する幅方向に所定の幅を有する吸収性物品であって、前記吸収体に、前記前後方向に延びる複数のスリットが前記幅方向に並んで設けられ、前記吸収体における前記複数のスリット間の吸収体部分である中間部分の剛性は、後方に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている。
【0009】
上記第一の態様によれば、吸収体に、前後方向に延びるスリットが設けられているので、排出された体液をこのスリットに沿って前後方向に移行させることができる。また、本態様では、スリットは幅方向に複数並んで設けられているため、一度に大量の体液が排出された場合でも、複数のスリットに沿って体液を移行させることができる。これにより、排出位置付近での幅方向外側への漏れを防止することができる。
【0010】
さらに、本態様では、中間部分(スリット間の吸収体)の剛性が、後方に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている。そのため、スリット間の吸収体は、前方に比べ後方において幅方向に圧縮しやすくなっている。よって、スリットが形成されている領域を股間に対応させた場合、後方へ向かうほどスリット同士が近付くように吸収体を変形させることが容易になる。これにより、後方に移行してきた体液を幅方向中央へと方向付けやすくなり、幅方向外側へ漏らさないようにすることができる。
【0011】
本発明の第二の態様では、前記中間部分の目付は、後方に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている。
【0012】
上記第二の態様によれば、吸収体における上記剛性の相違を、目付の相違によって実現している。同じ材料を用いて、局所的に剛性を相違させることができるので、製造が容易となる。
【0013】
本発明の第三の態様では、前記中間部分の厚みは、後方に向かうにつれ段階的に又は漸次低くなっている。
【0014】
上記第三の態様によれば、吸収体における上記剛性の相違を、厚みの相違によって実現している。同じ材料を用いて、局所的に剛性を相違させることができるので、製造が容易となる。
【0015】
本発明の第四の態様では、前記中間部分は、高剛性部と、前記高剛性部より剛性の低い低剛性部とを含み、前記複数のスリットの幅方向外側の吸収体部分の剛性は、前記高剛性部の剛性に等しいか又は前記高剛性部の剛性より大きい。
【0016】
上記第四の態様によれば、スリットの幅方向外側の剛性は、中間部分の低剛性部よりも高くなっている。よって、脚からの圧力を受けた場合、低剛性部が設けられている位置では、スリットの幅方向外側の吸収体は、中間部分の吸収体よりも変形しにくくなっているので、中間部分が優先的に圧縮変形される。そのため、吸収体を、後方でスリット同士が近付いた状態に容易に変形させることができる。
【0017】
本発明の第五の態様では、前記高剛性部と前記低剛性部との境界は、上面視で後方に凸である。
【0018】
上記第五の態様においては、幅方向外側から両脚による圧力を受けて吸収体が圧縮された場合、スリットは、高剛性部と低剛性部との境界の後方に凸の輪郭に沿って変位することができる。よって、後方へ向かうほどスリット同士が近付く上述の吸収体の変形をさらに容易にすることができる。
【0019】
本発明の第六の態様では、前記スリットは、複数の前方スリットと、前記前方スリットの後方に且つ前記前後方向に延びる中心線上に設けられた後方スリットとを含み、前記後方スリットは、前記幅方向で見て、前記複数の前方スリットの間に形成されている。
【0020】
上記第六の態様によれば、スリットは、所定の位置関係にある前方スリットと後方スリットとを含むので、複数の前方スリットに沿って移行してきた体液を幅方向中央に集中させ、さらに後方へ移行させることが容易になる。
【0021】
本発明の第七の態様では、前記前方スリットと、前記後方スリットとは、前記前後方向に離間している。
【0022】
上記第七の態様によれば、前方スリットと後方スリットとの間に吸収体を確保することができる。そのため、前方スリットに沿って大量に体液が移行してきた場合でも、後方スリットに移行させる前に体液を吸収体にある程度吸収させることができ、漏れを防ぐことができる。また、前後方向にスリットが途切れた部分が形成されるので、吸収体全体の保形性も向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、複数のスリットから移行してきた体液を、幅方向中央へより方向付けしやすくし、横漏れを抑制できる吸収性物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一形態による吸収性物品の上面図及び断面図である。
【
図2】本発明の一形態における吸収体の機能について説明する図である。
【
図3】本発明の第一実施形態における吸収体を示す図である。
【
図4】本発明の第二実施形態における吸収体を示す図である。
【
図5】本発明の第三実施形態における吸収体を示す図である。
【
図6】本発明の第四実施形態における吸収体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものであり、一部の寸法が大きく又は小さくなっている場合がある。
【0026】
まず、
図1を参照して、本発明の一形態による吸収性物品の基本構造について説明する。
図1(a)に、吸収性物品1の上面図を示し、また
図1(b)に、
図1(a)のI-I線断面図を示す。本形態では、例として、パッドタイプ使い捨ておむつ(尿取りパッド)について説明する。
【0027】
図1(a)及び(b)に示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート22と、不透液性のバックシート21と、両シート21、22の間に設けられた吸収体30とを有している。吸収体30は、後述のように、トップシート22側(上側又は表側)の第1吸収体層と、バックシート21側(下側又は裏側)の第2吸収体層とを含む複数の層からなっていてもよい。吸収性物品1を装着する際、トップシート22側が肌側となり、バックシート21側は、アウター(外側のおむつ)や下着等に固定される。
【0028】
本形態では、吸収性物品1は、平面視で、全体として細長い形状を有している。すなわち、吸収性物品1は、第1方向(前後方向又は長手方向)D1に所定の長さを有し、第1方向D1と直交する第2方向(幅方向)D2に、上記長さより小さい所定の幅を有する。吸収性物品1の前方及び後方は、それぞれ装着時の腹側及び背側となる。
【0029】
図示の形態では、吸収性物品1の平面視形状は、前後方向中心線CLを対称線として線対称になっているが、必ずしも線対称でなくともよい。また、吸収性物品1の平面視形状は、上述のように、前後の領域に比べて幅が狭くなっている部分(括れ部分)を有するものでなくとも、前後方向D1にわたって幅が一定である矩形状等、他の形状とすることもできる。
【0030】
また、形状以外の吸収性物品1の構成(各構成要素の材質、配置等)も、前後方向中心線CLに対して線対称になっているが、必ずしも線対称でなくともよい。
【0031】
図1(a)及び(b)に示すように、吸収性物品1は、前方から後方に向かって順に、前方領域F1、中央領域C1、及び後方領域B1に分けることができる。中央領域C1は、装着時に装着者の股間(股下)に対応する領域である。例えば、中央領域C1の前端は、恥骨付近に対応させ、後端は、吸収性物品を装着した装着者が立った状態での臀溝(臀部の下縁の溝)の位置付近に対応させることができる。また、中央領域C1は、装着時に側方から両脚から圧力を受けて、他の領域に比べ幅方向D2に大きく圧縮され変形する領域である。
【0032】
吸収性物品における中央領域C1の位置は、図示のものに限られず、吸収性物品の長さに応じて様々な形態があり得る。例えば、吸収性物品の前後方向中央若しくはその近傍から前方の所定位置までの範囲であってもよいし、吸収性物品の前後方向中央の所定範囲であってよい。図示の形態のように、幅狭の括れ部分が形成されている場合には、その括れ部分の全体又は一部が中央領域C1に含まれていてよい。
【0033】
吸収性物品1の全長(前後方向D1の長さ)は、350~700mm程度、全幅(幅方向D2の長さ)は130~400mm程度とすることができる。また、中央領域C1の前後方向D1の長さは50~350mm程度、前方領域F1の前後方向D1の長さは50~350mm程度、後方領域B1の前後方向D1の長さは150~400mm程度とすることができる。また、吸収性物品1が括れ部分有する場合、その最小幅は、吸収性物品1の全幅(括れ部分の前後における幅方向D2の長さ)の50~90%程度であるのが好ましい。
【0034】
図1(a)及び(b)に示すように、バックシート21のサイズは、吸収体30よりも大きくなっていてよい。そして、吸収体30は、バックシート21の範囲内に収まるように配置することができる。不透液性のバックシート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。なお、バックシート21の外面は、不織布等の外装シートにより覆うこともできる。
【0035】
トップシート22は、図示の形態では、吸収体30の幅方向D2の端部の一部を覆っていないが、吸収体30全体を覆っていてもよい。トップシート22としては、有孔又は無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどを用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0036】
トップシート22と吸収体30との間には中間シートを介在させ、吸収体30により吸収した体液の逆戻りを防止することができる。よって、中間シートとしては、保水性が低く且つ液透過性の高い素材、例えば各種の不織布、メッシュフィルム等を用いるのが好ましい。
【0037】
吸収体30の前後方向D1の両端部では、バックシート21とトップシート22とが貼り合わされている。また、吸収性物品1の幅方向D2の両側部においては、バックシート21と、吸収性物品1の両側部に前後方向D1に沿ってそれぞれ設けられたギャザーシート24、24とが貼り合されている。ギャザーシート24としては、プラスチックシート、メルトブローン不織布等使用することもできるが、肌への感触性が良いという観点から、不織布にシリコーン等によって撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0038】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、ギャザーシート24、24はそれぞれ、トップシート22上に重ねられている。そして、各キャザーシート24の幅方向D2の内側の端部には、前後方向に沿って伸張状態で固定された弾性部材が設けられていてもよい。この弾性部材は、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム等から製造されたものであってよい。
【0039】
また、ギャザーシート24は、前方及び後方の端部並びに側縁部において、直下に配置されているトップシート22、包装シート26、又はバックシート21と貼り合されていてよい。そして、上述のように、ギャザーシート24の幅方向D2の内側の端部には弾性部材が設けられていれば、ギャザーシート24の貼り合されていない部分(すなわち、幅方向D2の内側の領域であって、その両端部を除く領域)は、吸収性物品1の表側(トップシート側)に起立するギャザーとなることができる(
図1(b))。ギャザーによって、側方への体液の漏れ等を防ぐことができる。なお、ギャザーシート24、24と、その下の構成要素との貼合せは、例えば、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールによって形成できる。
【0040】
吸収体30は、前後方向D1で見て中央付近に、中央領域C2を有している。中央領域C2は、上述の吸収性物品1の中央領域C1に対応している。そして、中央領域C2の前方に隣接する、吸収体30の前端までの領域が前方領域F2であり、中央領域C2の後方に隣接する、吸収体30の後端までの領域が後方領域B2である。
【0041】
吸収体30の平面視形状は、吸収性物品1全体の平面視形状と同様に、括れ部分を有しているが、吸収性物品1の平面視形状にかかわらず、前後方向D1にわたって幅が一定である括れ部分のない矩形状等とすることもできる。なお、図示の形態のように吸収体30が括れ部分を有する場合、括れ部分の最小幅は、括れ部分の前後における幅の50~75%程度とすることができる。また、吸収体30が括れ部分を有する場合、括れ部分の少なくとも一部を含む中央領域C2は、図示のように、吸収体30の前後方向D1の中央位置を含むような領域とすることもできるし、吸収性物品全体の構成によっては、主として吸収体30の前後方向の前半分又は後ろ半分に配置されていてもよい。
【0042】
吸収体30に含まれる材料としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、不織布等であってよく、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。また、高吸収性ポリマー繊維や、高吸収性ポリマー粒子以外のポリマー粒子や無機粒子等を含んでいてもよい。
【0043】
吸収体30の目付は適宜定めることができる。吸収体30全体の目付(吸収体30の目付が均一でない場合には平均値)は、100~700g/m2程度とすることができる。このとき、繊維目付は100~700g/m2であると好ましく、また吸収性ポリマーの目付(ポリマー目付)は50~550g/m2であると好ましい。
【0044】
吸収体30は、不織布やクレープ紙等の包装シート26(
図1)で包まれていることが好ましい。包装シート26の使用は、吸収体30がポリマー粒子等の粒子状材料を含む場合には、材料のこぼれを含むことができ、特に好ましい。
【0045】
吸収体30は、その全体が上述の包装シート26によって包まれていてもよい。また、吸収体30が複数層からなる場合には、各吸収体層が包装シートによって包まれていてもよいし、包装シートが層間に挟まれていてもよい。また、包装シートは、無着色(すなわち、白色)であってもよいし、着色されていてもよい。色は、排出された体液の色を目立たなくすることができる色、例えば体液の色に近い色、又は体液の色の補色若しくはそれに近い色等にすることができる。
【0046】
次に、上記吸収性物品における吸収体の構成についてさらに詳説する。
【0047】
図2に、本発明の第1実施形態による吸収性物品1(
図1)の吸収体30を示す。
図2(a)は、吸収体30の上面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のY1-Y1線断面図であり、
図2(c)はX1-X1線断面図である。
【0048】
図2(a)に示すように、吸収体30には、前後方向D1に並んで延びる2つのスリット51、51が設けられている。本明細書において、スリットとは、吸収体30に形成された、上面視で線状に延びる凹部を意味する。よって、スリットは、吸収体30を厚み方向に貫通する孔の形態も含んでいてよく、吸収体30を厚み方向に貫通していない、すなわち、吸収体30の一部が底部としてバックシート側で残されている形態(溝)も含み得る。スリットが、吸収体30を貫通しない溝として形成されている場合、その溝の底部の厚みは、溝が設けられていない吸収体の部分の厚みより小さい。以下の説明では、スリットは、吸収体を貫通する孔の形態として説明する。
【0049】
スリット51、51は、前方領域F2の後方から中央領域C2にかけて形成されている。すなわち、スリット51、51の前端が、中央領域C2の前端を越えている。このように、スリット51、51の前後方向D1の配置は、装着時に装着者の体液排出部に対応する位置が含まれるようになっていると、装着者の体液排出口から排出された体液を直ちに前後方向D1に誘導することができる。
【0050】
また、スリット51、51が、幅方向に独立して複数設けられているので、前後方向D1に移行させることのできる体液の量を増大させることができる。また、装着の際に、体液排出部の対応位置が標準的な位置から幅方向にずれても、或いは装着後、装着者の身体の動き等によって体液排出部の対応位置が幅方向にずれたとしても、いずれかのスリットに体液を到達させることができる。そのため、スリットが1つである場合と比較して、体液を確実にスリットに沿わせて後方へと移行させることができる。
【0051】
ここで、スリット51、51の機能について、
図3を参照して詳細に説明する。
図3(a)及び(b)はそれぞれ、装着時に両脚から圧力を受ける前及び受けた後の吸収体30の状態を示す部分拡大図である。
【0052】
図3(a)に示すように、装着時には、吸収性物品及び吸収体30は、両脚から圧力を受け圧縮される。本形態では、矢印Pで示すように、中央領域C2の後方において比較的大きな圧力を受ける。これにより、吸収体30は、
図3(b)に示すように、圧力を受けた部分が幅方向に圧縮変形し、この変形に伴い、スリット51、51も変位する。より具体的には、スリット51、51は、図示のように、後方に向かうほど互いに近付いて(スリット51、51間の間隔が狭くなり)、後方に頂点を有するV字状に変位した状態が形成され得る。この変形により、前方からスリット51、51に沿って移行してきた体液を、幅方向D2中央に向かって方向付けることができる。
【0053】
また、スリット51、51同士が近付くことによって、一方のスリット51に沿って移行してきた体液が、他方のスリット51に流入しやすくなる(
図3(b))。これにより、スリットの後方において、複数のスリットを互いに利用することができる。よって、特にスリットの後端の位置付近で、体液を幅方向D2中央に集めることができ、幅方向D2外側への漏れを抑制することができる。
【0054】
吸収体30におけるスリット51、51の前後方向の位置は、吸収性物品1のサイズや用途により、特に限定されない。例えば、スリット51、51の後端は、中央領域C2に含まれていても、後方領域B2にあってもよい。但し、スリット51、51の後端は、図示のように、中央領域C2内の後方で終端していることが好ましい。これにより、スリット51、51の後端が、両脚からの圧力を最も受けやすい位置付近に配置され得る。このため、装着時に、スリット51、51同士はその後端の位置又はそのやや後方付近で幅方向に互いに最も近付くことができ、前方から誘導してきた体液を幅方向D2中央の吸収体に集める効果を向上させることができる。
【0055】
なお、図示の形態では、スリット51、51の数は2つであるが、スリットは前後方向D1に3以上設けられていてもよい。また、図示の形態では、スリット51、51は略前後方向D1に沿って設けられているが、後方に向かうにつれ前後方向中心線CLに近付くよう、すなわち互いに近づくように傾斜していてもよい。また、スリットの後ろ半分又はスリットの後端付近の部分が、前後方向中心線CLに近付くように屈曲又は湾曲していてもよい。
【0056】
各スリット51の幅は、10~30mm程度とすることができる。スリット51、51間の幅(間隔)は、10~40mmであると好ましい。また、スリット51の長さは、100~350mmであると好ましく、150~300mmであるとより好ましい。
【0057】
なお、図示の形態では、スリット51、51は、前端及び後端で幅狭になる形状を有するが、スリット51、51の幅は、前後方向D1で一定であってもよい。また、スリット51、51の幅は、前後方向D1にわたって変化していてもよい。
【0058】
また、スリット51、5の幅及び長さは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。これは、スリットが3以上設けられている場合でも同様である。
【0059】
さらに、本形態では、スリット51、51間の吸収体部分、すなわち中間部分32の剛性が、後方に向かうほど低くなっている。本明細書において、吸収体の剛性とは、吸収体の変形し難さといえる。図示の形態では、中間部分32は、中間部分32の前部分を構成する高剛性部35Hと、中間部分32の後部分を構成する低剛性部35Lとを有していることで、前後方向D1で見て段階的に剛性が変化している。なお、分かりやくするため、
図2(a)においては、中間部分32をグレーで示す。他の実施形態の上面図においても同様である。
【0060】
本形態では、中間部分32は、前方に比べ後方において幅方向D2に圧縮しやすくなっている。中間領域C2が股間に対応するように装着した場合、中間領域C2は両脚からの圧力を受けて変形するが、本形態によれば、後方に向かうほどスリット51、51同士が近付く(スリット51、51が後方に頂点を有するV字形状となる)上述の状態を形成しやすくなる。これにより、後方に移行してきた体液を幅方向D2中央へと方向付けやすくなり、幅方向D2への漏れを防止することができる。
【0061】
吸収体の剛性は、吸収体の目付(坪量)を相違させることによって相違させることができる。例えば、高剛性部35Hの目付wHは、250~550g/m2であると好ましく、低剛性部Lの目付wLは、100~250g/m2であると好ましい。そして、低剛性部35Lの目付wLに対する高剛性部35Hの目付wHの比の値(wH/wL)は、1.5~2.5であると好ましい。また、上記目付及び比の値を有する場合、吸収体が均一な材料で構成され、密度が均一であることが好ましい。
【0062】
また、吸収体の剛性は、吸収体の厚みを相違させることによって相違させることもできる。例えば、吸収体が均一な材料で構成され、密度も均一である場合には、高剛性部35Hは比較的大きな厚みを有する部分、低剛性部35Lは比較的小さな厚みを有する部分として構成することができる(
図2(b)及び(c))。各部分の厚みは特に限定されないが、高剛性部35Hの厚みt
Hは、5~30mmであると好ましく、低剛性部35Lの厚みt
Lは、1~20mmであると好ましい。そして、低剛性部35Lの厚みt
Lに対する高剛性部35Hの厚みt
Hの比の値(t
H/t
L)は、1.5~3であると好ましい。
【0063】
なお、吸収体の厚みを一定にし、吸収体の密度を大きくすることによって、吸収体の剛性を大きくすることもできる。
【0064】
図示の形態では、中間部分32は、剛性の異なる2つの部分を有するが、3以上の部分を有し、後方の部分ほど剛性が低くなるよう構成されていてもよい。例えば、中間部分32は、高剛性部35Hと低剛性部35Lとの間に、両部分の中間の剛性を有する1つ又は複数の中剛性部を有していてよい。中剛性部が複数ある場合、各部の剛性は互いに相違していてよい。さらに、中間部分32の各部の剛性は、各部内で漸次変化していてもよい。
【0065】
また、
図2に示すように、スリット51、51の幅方向D2外側(各スリット51の、前後方向中心線CLから遠い側、又は幅方向D2の中間部分32でない側)の吸収体部分の剛性は、高剛性部35Hの剛性に等しくなっていてよい。すなわち、高剛性部35Hは、中間部分32から前方に拡張して、スリット51、51の幅方向D2外側に広がっていてよい。図示の形態では、高剛性部35Hは、低剛性部35Lの周りを囲むように形成されている。また、スリット51、51の幅方向D2外側の吸収体部分の剛性は、高剛性部35Hより高くなっていてもよい。
【0066】
このように、中間部分32の幅方向D2外側の吸収体部分の剛性が、高剛性部35Hの剛性に等しいか又は高剛性部35Hの剛性より大きくなっていると、幅方向D2外側の吸収体部分がより変形しにくくなっているため、装着時に吸収体30が側方から押されて変形する時(
図3)、低剛性部35Lが存在する位置で、中間部分32が優先的に圧縮変形し得る。そのため、中間部分32の低剛性部35Lが設けられている位置でスリット51、51を近付けやすくなり、後方に向かうにつれスリット51、51同士が近付いた上述の状態を容易に形成することができる。また、吸収体30の側方での保形性が高めることができるので、両脚からの圧力の影響を大きく受けても、脚周りでの吸収体30のヨレを防止することができる。
【0067】
なお、図示の形態のように、吸収体の剛性の相違を吸収体の厚みの相違として実現している構成では、低剛性部35Lが高剛性部35Hに取り囲まれていることにより、低剛性部35Lの厚みの小さい部分が窪みとなるので、スリット51、51に沿って移行してきた体液をこの窪み内に一時的に溜めることができる。そのため、スリット51、51に沿って大量の体液が流れてきた場合でも、横漏れを防止できる。
【0068】
図2(a)に示すように、中間部分32における高剛性部35Hと低剛性部35Lとの境界は、上面視で後方に凸の形状となっている。これにより、装着時に吸収性物品1及び吸収体30が圧縮された場合(
図3)、スリット51、51を、境界の輪郭に沿って幅方向D2に寄るよう変位させることができる。
【0069】
図示の形態では、上記境界は、後方に頂点を有するV字状になっているが、その頂点は必ずしも尖っていなくてよい。また、境界の凸の頂点は、中間部分32の前後方向D1の中央付近又は中央より後方に位置していることが好ましい。また、この場合、境界線が前後方向中心線CLに対してなす角度は、5~45°程度であると好ましい。
【0070】
上記境界を有する構成により、変形後のスリット51、51の配置が、V字形状又はY字形状となりやすくなり、スリット51、51に沿って移行してきた体液を幅方向D2中央に集めやすくなる。
【0071】
後方領域B2の吸収体は、中間部分32の低剛性部35Lの剛性より高い剛性を有していることが好ましい。後方領域B2は、装着時に尻の膨らみに対応させる領域であり、装着者が座った際等には力がかかりやすく形崩れしやすいが、より高い剛性を有することにより後方領域B2の保形性を向上させることができる。
【0072】
また、
図2(a)の形態では、低剛性部35Lは、中間部分32から後方へ延長している。すなわち、スリット51、51の後端より後方の吸収体部分は、低剛性部35Lの剛性に等しい部分を含む。さらに、低剛性部35Lは、後方で高剛性部35Hと境界を有しており、その境界は、上面視で後方に凸の形状となっている。これにより、装着時に両脚から圧力を受けた場合に、スリット51、51の後端付近を、幅方向D2中央に寄せやすくなり、体液を幅方向D2中央に集めやすくなる。
【0073】
図4に、本発明の第2実施形態における吸収体230を示す。
図4(a)は、吸収体230の上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のY2-Y2線断面図であり、
図4(c)はX2-X2線断面図である。
【0074】
吸収体230は、長手方向D1に延びるスリット251、251を有しているが、スリット251、251間の吸収体部分である中間部分232の剛性が後方に向かうにつれ漸次低くなっている点で、第1実施形態(
図2)と異なる。
【0075】
本形態でも、中間部分232が後方にいくほど圧縮されやすくなっているので、側方から圧縮された場合には、スリット251、251同士を近付けやすく、体液を幅方向D2中央に集めやすくなっている。
【0076】
図4(b)及び(c)に示すように、中間部分232の剛性の相違は、吸収体の厚みの相違として実現されている。
図4(b)に示すように、中間部分232を前後方向D1で切った断面は、上辺が後方に向かって低くなるように傾斜した形状を有する。この上辺の傾斜は、直線状になっている、すなわち前後方向D1に沿って傾斜が一定であってもよいし、また曲線状になっていてもよい。
【0077】
図4に示す形態では、吸収体230は、中間部分232の最前の位置で最も高い剛性を有している。中間部分232以外の部分の吸収体は、図示のように、その最も高い剛性と同じ剛性を有してよいし、それより高い剛性を有していてよい。
【0078】
また、
図4(a)及び(b)に示すように、吸収体の剛性(厚み)の漸次変化は、中間部分232を越えて、すなわちスリット251、251の後端を越えて続いていてよい。剛性の漸次変化は、前後方向中心線CL上で、スリット251、251の後端から5~20mm後方の位置まで続いていてよい。
【0079】
図5に、本発明の第3実施形態における吸収体330を示す。
図5(a)は、吸収体330の上面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のY3-Y3線断面図であり、
図5(c)はX3-X3線断面図である。
【0080】
吸収体330は、長手方向D1に延びるスリットを有しているが、前方スリット351、351に加え、その後方に後方スリット352を有している点で、第1及び第2実施形態(
図2及び
図4)と異なる。図示の形態では、後方スリット352は、幅方向D2で見て、前方スリット351、351の間に位置するように設けられている。そのため、上述のように前方スリット351、351に沿って移行して、幅方向D2に中央に集められた体液を、後方スリット352に沿ってさらに後方へと移行させることができる。これにより、排出される体液の量が多くても、後方領域B2の吸収体を有効に利用できる。
【0081】
後方スリット352の長さは、50~200mmであると好ましい。また、後方スリット352の幅は、3~25mmであると好ましく、5~15mmであるとより好ましい。後方スリット352の幅は、図示のように前後方向D1で一定であってもよいし、前後方向D1にわたって変化していてもよい。また、後方スリット352の前後方向D1の端部は、徐々に幅が狭くなるように形成されていてもよい。なお、前方スリット351は、装着時に体液排出部に近い位置に対応するよう配置されているので、体液を後方に移行させる機能が高いことが望ましいので、後方スリット352よりもスリットの幅が大きい方が好ましい。
【0082】
さらに、前方スリット351、351の後端と、後方スリット352の前端との間隔は、10~50mmであると好ましく、10~20mmであるとより好ましい。上記間隔を10mm以上とすることで、前方スリット351、351と後方スリット352との間に吸収体を確保できるので、装着時に後方が近寄せられた前方スリット351、351に誘導され幅方向D2中央に集められてきた体液を吸収できる吸収体量を確保でき、また保形性も向上させることができる。また、20mm以下とすることで、前方スリット351、351に沿って移行してきた体液を速やかに後方スリット352に流入させることができる。
【0083】
なお、前方スリット351、351の後端の位置が互いに異なっている場合には、上記間隔は、より後方に位置する後端と、後方スリット352の前端との間隔とすることができる。
【0084】
また、吸収体330は、下層吸収体331及び上層吸収体332からなる2層構造を有する点でも、第1及び第2実施形態(
図2及び
図4)と異なる。上層吸収体332は、ほぼ一定の幅を有する吸収体であり、上面視で、下層吸収体331のサイズより小さく、下層吸収体331からはみ出ない大きさを有する。なお、吸収体は3層以上で構成することもできる。
【0085】
前方スリット351、351、及び後方スリット352は、いずれも、下層吸収体331及び上層吸収体332を厚み方向に貫通する孔として形成されている。但し、吸収体330を貫通スリットでなく、吸収体330の一部が底面に残される溝として形成する場合には、上層吸収体332のみを貫通する構成とすることもできるし、上層吸収体332が貫通していて且つ下層吸収体331の一部が残されているか、又は上層吸収体332の一部が残されている構成とすることができる。
【0086】
吸収体330においても、前方スリット351、351間の吸収体部分である中間部分332の剛性は、後方に向かうにつれ低くなっている。図示の形態では、中間部分332は、高剛性部335Hと低剛性部335Lとを有している。そして、
図5(b)及び(c)に示すように、吸収体の剛性は、上方吸収体332の厚みを相違させることによって相違させている。
【0087】
高剛性部335Hと低剛性部335Lとの境界は、上面視で後方に凸の形状となっているが、本形態では、凸の先端が尖っておらず丸くなっている。吸収体の厚みを相違させることで剛性を相違させている場合には、境界の先端が肌に当たって違和感が生じることもあるが、本形態のように境界の先端が丸くなっていることで、そのような違和感を低減することができる。
【0088】
また、本形態における吸収体330は、後方領域B2に、上記の高剛性部335Hより剛性の高い第2高剛性部335'を有する。第2高剛性部335H'は、
図5(a)に示すように、低剛性部352Lの後方に、後方スリット352の側方に形成されていてよい。さらに、第2高剛性部335H'は、上層吸収体332の側部に沿って、後方領域B2から前方領域F2にまで延びていてよい。
【0089】
図5(a)に示すように、前方領域F2では、高剛性部335Hは、前方スリット351、351の前端を越えて前方に拡張しており、その側方で、上述の第2高剛性部335H'と接している。
【0090】
図6に、本発明の第4実施形態における吸収体430を示す。
図6(a)は、吸収体430の上面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のY4-Y4線断面図であり、
図6(c)はX4-X4線断面図である。
【0091】
吸収体430は、第1吸収体431及び第2吸収体432の2層構造を有しており、前方スリット451、451の後方に後方スリット452が設けられている等、第5実施形態(
図5)と同様の構成を有するが、第2高剛性部435H'が、第2吸収体432の前端まで延びていない点で第5実施形態(
図5)と異なる。吸収体430の第2高剛性部435'は、上面視で、前方スリット431、431の後方を取り囲むように形成されている。これにより、前方スリット431、431の外側へと第2吸収体432の表面を移行してきた、或いは両吸収体層内を浸透してきた体液を、後方及び斜め後方で堰き止めることができる。
【0092】
また、第2高剛性部H'は、前方スリット431、431の幅方向D2外縁とは接していない。前方スリット431、431の幅方向D2外縁と第2高剛性部H'との間には、
第2高剛性部H'より剛性の低い高剛性部435Hが形成されている。そのため、装着時に両脚からの圧力を受けた際、前方スリット431、431間の低剛性部435L(中間部分432)が最も優先的に圧縮されやすく、続いて前方スリット431、431の幅方向D2外側の高剛性部435Hが圧縮されやすくなる。これにより、装着時に、前方スリット431、431同士が後方で近付くよう変形した状態に容易にできるとともに、吸収体430の側方での保形性を高めることができる。
【0093】
なお、図示の形態では、第2高剛性部435H'は第2吸収体432の後端までは延びておらず、第2高剛性部435H'の後方には低剛性部435Lが配置されている。特に、後方領域B2が大きい吸収体の場合には、低剛性部435Lを設けておくことで、装着者が仰向けに寝た状態で吸収体が肌に当たった場合に生じ得る違和感を低減することができる。
【0094】
以上、具体的な形態について、パッドタイプの使い捨ておむつを例に説明してきたが、本形態は、テープタイプ、パンツタイプ等の他の形態の使い捨ておむつの他、生理用ナプキンとしても使用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 吸収性物品
21 バックシート
22 トップシート
24 ギャザーシート
26 包装シート
30、230、330、430 吸収体
331、431 第1吸収体
332、432 第2吸収体
32、232、332、432 中間部
35H、335H、435H 高剛性部
35L、335L、435L 低剛性部
335H' 第2高剛性部
51、251、351、451 スリット(前方スリット)
352、452 後方スリット
F1 (吸収性物品の)前方領域
F2 (吸収体の)前方領域
C1 (吸収性物品の)中央領域
C2 (吸収体の)中央領域
B1 (吸収性物品の)後方領域又は臀部対応領域
B2 (吸収体の)後方領域又は臀部対応領域
CL 前後方向中心線(第1方向D1に沿った中心線)
D1 前後方向(第1方向)
D2 幅方向(第2方向)
P 脚からの圧力