(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】電力管理装置及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20221118BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20221118BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20221118BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20221118BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J3/00 130
H02J3/00 180
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2018191763
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上野山 覚
(72)【発明者】
【氏名】山本 碧
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-077369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/18
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
H01M 8/04 - 8/0668
H02J 3/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線を介して電力系統と連系可能である既設置の発電装置と、前記電力線を介して前記電力系統と連系可能である後付けの発電装置と、前記電力系統、前記既設置の発電装置及び前記後付けの発電装置の少なくともいずれかから前記電力線を介して電力の供給を受ける電力負荷装置とを含む発電システムにおける電力を管理する電力管理装置であって、
前記電力線には、上流側から順に、前記電力系統と、前記後付けの発電装置と、前記既設置の発電装置及び前記電力負荷装置とが接続され、
前記電力線における前記後付けの発電装置の接続点と前記既設置の発電装置の接続点との間に電力計測器が設けられ、
前記後付けの発電装置の所定の発電電力量を予め取得する発電情報取得部と、
前記後付けの発電装置を考慮した経済収支を取得する収支取得部と、を備え、
前記収支取得部は、
前記電力負荷装置が必要とする負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも大きい第1期間における、第1経済価値の算出と、
前記電力負荷装置が必要とする
前記負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも小さい第2期間にお
ける、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算による第2経済価値の算出と、
を行い
、
前記第1期間における前記第1経済価値の算出において、
前記既設置の発電装置の発電電力量が前記負荷電力量に対して不足している不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも小さい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記不足電力量との乗算による第1乗算結果を取得し、前記後付けの発電装置の発電電力量から前記不足電力量を減算して前記電力系統に逆潮される逆潮電力量を算出し、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記逆潮電力量とを乗算して第2乗算結果を取得し、前記第1乗算結果と前記第2乗算結果とを加算することにより前記第1経済価値の算出を行うか、あるいは
、前記不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも大きい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算により前記第1経済価値の算出を行
い、
前記第1期間における第3経済価値として、前記第1期間における、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置の発電電力量との乗算結果から、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側から供給される電力量との乗算結果を減算して得られる値を算出し、
前記第2期間における第3経済価値として、前記第2期間における、前記既設置の発電装置が発電した発電電力の売電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側に供給される余剰電力量とを乗算した値に、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置から前記電力負荷装置に供給される電力量とを乗算した値を加算して得られる値を算出し、
前記第1期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第1期間における前記第3経済価値に、算出した前記第1期間における前記第1経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とし、
前記第2期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第2期間における前記第3経済価値に、算出した前記第2期間における前記第2経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とする、電力管理装置。
【請求項2】
前記既設置の発電装置は、第1燃料電池装置であり、
前記後付けの発電装置は、前記第1燃料電池装置以外の第2燃料電池装置、太陽光発電装置を含む少なくともいずれかの発電装置である、
請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前
記経済収支の表示を制御する表示部を備える、
請求項1又は2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
電力線を介して電力系統と連系可能である既設置の発電装置と、前記電力線を介して前記電力系統と連系可能である後付けの発電装置と、前記電力系統、前記既設置の発電装置及び前記後付けの発電装置の少なくともいずれかから前記電力線を介して電力の供給を受ける電力負荷装置とを含む発電システムにおける電力を管理する電力管理方法であって、
前記電力線には、上流側から順に、前記電力系統と、前記後付けの発電装置と、前記既設置の発電装置及び前記電力負荷装置とが接続され、
前記電力線における前記後付けの発電装置の接続点と前記既設置の発電装置の接続点との間に電力計測器が設けられ、
前記後付けの発電装置の発電電力量を予め取得する発電情報取得ステップと、
前記後付けの発電装置に基づいた経済収支を取得する収支取得ステップと、を備え、
前記収支取得ステップでは、
前記電力負荷装置が必要とする負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも大きい第1期間における、第1経済価値の算出と、
前記電力負荷装置が必要とする
前記負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも小さい第2期間にお
ける、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算による第2経済価値の算出と、
を行い
、
前記第1期間における前記第1経済価値の算出において、
前記既設置の発電装置の発電電力量が前記負荷電力量に対して不足している不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも小さい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記不足電力量との乗算による第1乗算結果を取得し、前記後付けの発電装置の発電電力量から前記不足電力量を減算して前記電力系統に逆潮される逆潮電力量を算出し、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記逆潮電力量とを乗算して第2乗算結果を取得し、前記第1乗算結果と前記第2乗算結果とを加算することにより前記第1経済価値の算出を行うか、あるいは
、前記不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも大きい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算により前記第1経済価値の算出を行
い、
前記第1期間における第3経済価値として、前記第1期間における、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置の発電電力量との乗算結果から、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側から供給される電力量との乗算結果を減算して得られる値を算出し、
前記第2期間における第3経済価値として、前記第2期間における、前記既設置の発電装置が発電した発電電力の売電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側に供給される余剰電力量とを乗算した値に、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置から前記電力負荷装置に供給される電力量とを乗算した値を加算して得られる値を算出し、
前記第1期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第1期間における前記第3経済価値に、算出した前記第1期間における前記第1経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とし、
前記第2期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第2期間における前記第3経済価値に、算出した前記第2期間における前記第2経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とする、電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後付けの発電装置を含む発電システムにおける経済収支を取得する電力管理装置及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷ごとの消費電力量を計測できる消費電力計測システムが開示されている。この消費電力計測システムは、需要家内に設置されている複数の負荷と、複数の負荷それぞれに対応して設けられた検出装置と、需要家に係る消費電力量を計測する消費電力量計測部とを備えている。検出装置は、複数の負荷それぞれに給電を行う給電部と、給電部から負荷それぞれに流れる電流量を検出する検出部とを有している。
【0003】
消費電力量計測部は、検出部が検出した電流量と、電源回路における電圧とに基づいて、負荷それぞれの消費電力量を算出する。このように特許文献1の消費電力計測システムでは、検出装置により負荷それぞれに流れる電流量を直接的に検出し、当該電流量に応じて負荷ごとの消費電力量を計測している。そのため、需要家単位での消費電力量ではなく、負荷単位での消費電力量を計測し、当該消費電力量に対応した料金を試算することができる。
【0004】
この場合、需要家内に負荷が後付けされても、後付けの負荷に対応して検出装置を備えれば、後付けの負荷についても消費電力量に対応した料金を試算することができる。同様に、発電システムに発電装置が後付けされた場合にも、後付けの発電装置の発電状態を検出する検出装置を備えれば、後付けの発電装置についても随時の発電状態を把握できる。そして、当該発電状態を示す発電量に基づいた料金のメリット及びデメリットである経済価値を試算することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の消費電力計測システムでは、複数の負荷それぞれの消費電力量を測定するために、複数の負荷それぞれに検出装置を配置する必要がある。また、消費電力量計測部が消費電力量を計測するためには、複数の負荷それぞれについて、検出装置で取得した電流量を集約可能なように配線及び通信等を整備する必要がある。
【0007】
そして、発電システムに負荷が後付けされた場合においても、後付けの負荷の消費電力量を計測するためには、後付けの負荷に対応した検出装置、配線及び通信等の整備を行う必要がある。結果として、設備に要するコストが増加し、また構成が複雑となる。
このような不具合は、発電システムに発電装置が後付けされた場合にも生じる。つまり、後付けの発電装置に基づいた経済価値を把握するには、後付けの発電装置に対応した検出装置、配線及び通信等の整備を行う必要がある。そこで、後付けの発電装置が設置された場合にも、後付けの発電装置を考慮した経済収支を容易に把握できる簡易な構成及び方法が望まれている。
【0008】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、発電システムに後付けされた発電装置を考慮した経済収支を容易に把握できる簡易な電力管理装置及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力管理装置の特徴構成は、
電力線を介して電力系統と連系可能である既設置の発電装置と、前記電力線を介して前記電力系統と連系可能である後付けの発電装置と、前記電力系統、前記既設置の発電装置及び前記後付けの発電装置の少なくともいずれかから前記電力線を介して電力の供給を受ける電力負荷装置とを含む発電システムにおける電力を管理する電力管理装置であって、
前記電力線には、上流側から順に、前記電力系統と、前記後付けの発電装置と、前記既設置の発電装置及び前記電力負荷装置とが接続され、
前記電力線における前記後付けの発電装置の接続点と前記既設置の発電装置の接続点との間に電力計測器が設けられ、
前記後付けの発電装置の所定の発電電力量を予め取得する発電情報取得部と、
前記後付けの発電装置を考慮した経済収支を取得する収支取得部と、を備え、
前記収支取得部は、
前記電力負荷装置が必要とする負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも大きい第1期間における、第1経済価値の算出と、
前記電力負荷装置が必要とする前記負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも小さい第2期間における、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算による第2経済価値の算出と、
を行い、
前記第1期間における前記第1経済価値の算出において、
前記既設置の発電装置の発電電力量が前記負荷電力量に対して不足している不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも小さい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記不足電力量との乗算による第1乗算結果を取得し、前記後付けの発電装置の発電電力量から前記不足電力量を減算して前記電力系統に逆潮される逆潮電力量を算出し、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記逆潮電力量とを乗算して第2乗算結果を取得し、前記第1乗算結果と前記第2乗算結果とを加算することにより前記第1経済価値の算出を行うか、あるいは、前記不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも大きい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算により前記第1経済価値の算出を行い、
前記第1期間における第3経済価値として、前記第1期間における、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置の発電電力量との乗算結果から、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側から供給される電力量との乗算結果を減算して得られる値を算出し、
前記第2期間における第3経済価値として、前記第2期間における、前記既設置の発電装置が発電した発電電力の売電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側に供給される余剰電力量とを乗算した値に、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置から前記電力負荷装置に供給される電力量とを乗算した値を加算して得られる値を算出し、
前記第1期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第1期間における前記第3経済価値に、算出した前記第1期間における前記第1経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とし、
前記第2期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第2期間における前記第3経済価値に、算出した前記第2期間における前記第2経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とする点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、発電システムに後付けで発電装置が設置された場合でも、発電装置を後付けしたことを考慮した経済収支を取得できる。よって、発電システムに既に設置されている既存の各種処理手段及び既存の表示手段等に加えて、後付けの発電装置の随時の発電状態を検出する検出手段、検出した発電状態を集約する通信手段、後付けの発電装置の発電電力及び既設置の燃料電池装置の発電電力等を合わせて発電システム全体の経済収支を算出する処理手段、及び当該経済収支を表示する表示手段等を別途設ける必要がなく、簡素な構成で容易に経済収支を取得できる。
【0011】
上記構成では、後付けの発電装置の発電電力量よりも、既設置の発電装置の発電電力量が優先的に電力負荷装置に供給されることを前提としている。
その上で、発電情報取得部が後付けの発電装置の発電電力量を予め取得する。後付けの発電装置の発電電力量としては、例えば一定値の発電電力量、所定の期間の平均値の発電電力量が挙げられる。
負荷電力量>既設置の発電装置の発電電力量の関係となる第1期間においては、既設置の発電装置の発電電力量が負荷電力量に対して不足している不足電力量と、後付けの発電装置の発電電力量との大小により第1経済価値を次のように算出する。
【0012】
第1に、第1期間においては、不足電力量が後付けの発電装置の発電電力量よりも小さい場合は、不足電力量が後付けの発電装置の発電電力量で賄われるため、不足電力量の分だけ電力系統から電力を買う必要がない。この場合、電力系統からの系統電力の買電価格と不足電力量とを乗算して、メリットとしての第1乗算結果を簡単に求めることができる。さらに、後付けの発電装置が電力負荷装置に不足電力量を補った後の余剰分が逆潮電力量として逆潮されると仮定する。この場合、後付けの発電装置の発電電力の売電価格と逆潮電力量とを乗算して、メリットとしての第2乗算結果を簡単に求めることができる。そして、第1乗算結果と第2乗算結果とを加算することで、第1期間の第1経済価値を簡単に求めることができる。
【0013】
第2に、第1期間においては、不足電力量が後付けの発電装置の発電電力量よりも大きい場合は、不足電力量のうち後付けの発電装置の発電電力量の分だけ不足電力量が賄われるため、後付けの発電装置の発電電力量の分だけ電力系統から電力を買う必要がない。つまり、後付けの発電装置の発電電力量の全てが不足電力量を賄うために用いられる。この場合、電力系統からの系統電力の買電価格と後付けの発電装置の発電電力量とを乗算して、メリットとしての第1期間における第1経済価値を簡単に求めることができる。なお、後付けの発電装置の発電電力量の全部が不足電力量に充当されるため、後付けの発電装置から電力系統への逆潮はない。
【0014】
一方、負荷電力量<既設置の発電装置の発電電力量の関係となる第2期間においては、後付けの発電装置の発電電力量の分だけ電力系統に逆潮される発電電力量が増加する。この第2期間における後付けの発電装置に基づいた第2経済価値を、第2期間における後付けの発電装置での発電電力の売電価格とその発電電力量との乗算により簡単に求めることができる。第2経済価値は、一般的にメリットの経済価値として評価される。
そして、第1期間における第3経済価値として、第1期間における、電力系統からの系統電力の買電価格と既設置の発電装置の発電電力量との乗算結果から、電力系統からの系統電力の買電価格と電力計測器が設けられる部位の電力線で電力系統側から供給される電力量との乗算結果を減算して得られる値を算出し、第2期間における第3経済価値として、第2期間における、既設置の発電装置が発電した発電電力の売電価格と電力計測器が設けられる部位の電力線で電力系統側に供給される余剰電力量とを乗算した値に、電力系統からの系統電力の買電価格と既設置の発電装置から電力負荷装置に供給される電力量とを乗算した値を加算して得られる値を算出し、第1期間における経済収支を算出する場合、算出した第1期間における第3経済価値に、算出した第1期間における第1経済価値を加算して得られた値を経済収支とし、第2期間における経済収支を算出する場合、算出した第2期間における第3経済価値に、算出した第2期間における第2経済価値を加算して得られた値を経済収支とすることができる。
【0027】
本発明に係る電力管理装置の更なる特徴構成は、
前記既設置の発電装置は、第1燃料電池装置であり、
前記後付けの発電装置は、前記第1燃料電池装置以外の第2燃料電池装置、太陽光発電装置を含む少なくともいずれかの発電装置である点にある。
【0028】
本発明に係る電力管理装置の更なる特徴構成は、
前記経済収支の表示を制御する表示部を備える点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、発電システムに後付けで発電装置が設置された場合でも、表示部を介して後付けの発電装置に基づいた経済収支を確認できる。
【0030】
本発明に係る電力管理方法の特徴構成は、
電力線を介して電力系統と連系可能である既設置の発電装置と、前記電力線を介して前記電力系統と連系可能である後付けの発電装置と、前記電力系統、前記既設置の発電装置及び前記後付けの発電装置の少なくともいずれかから前記電力線を介して電力の供給を受ける電力負荷装置とを含む発電システムにおける電力を管理する電力管理方法であって、
前記電力線には、上流側から順に、前記電力系統と、前記後付けの発電装置と、前記既設置の発電装置及び前記電力負荷装置とが接続され、
前記電力線における前記後付けの発電装置の接続点と前記既設置の発電装置の接続点との間に電力計測器が設けられ、
前記後付けの発電装置の発電電力量を予め取得する発電情報取得ステップと、
前記後付けの発電装置に基づいた経済収支を取得する収支取得ステップと、を備え、
前記収支取得ステップでは、
前記電力負荷装置が必要とする負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも大きい第1期間における、第1経済価値の算出と、
前記電力負荷装置が必要とする前記負荷電力量が、前記既設置の発電装置の発電電力量よりも小さい第2期間における、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算による第2経済価値の算出と、
を行い、
前記第1期間における前記第1経済価値の算出において、
前記既設置の発電装置の発電電力量が前記負荷電力量に対して不足している不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも小さい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記不足電力量との乗算による第1乗算結果を取得し、前記後付けの発電装置の発電電力量から前記不足電力量を減算して前記電力系統に逆潮される逆潮電力量を算出し、前記後付けの発電装置の発電電力の売電価格と前記逆潮電力量とを乗算して第2乗算結果を取得し、前記第1乗算結果と前記第2乗算結果とを加算することにより前記第1経済価値の算出を行うか、あるいは、前記不足電力量が前記後付けの発電装置の発電電力量よりも大きい場合は、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記後付けの発電装置の発電電力量との乗算により前記第1経済価値の算出を行い、
前記第1期間における第3経済価値として、前記第1期間における、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置の発電電力量との乗算結果から、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側から供給される電力量との乗算結果を減算して得られる値を算出し、
前記第2期間における第3経済価値として、前記第2期間における、前記既設置の発電装置が発電した発電電力の売電価格と前記電力計測器が設けられる部位の前記電力線で前記電力系統側に供給される余剰電力量とを乗算した値に、前記電力系統からの系統電力の買電価格と前記既設置の発電装置から前記電力負荷装置に供給される電力量とを乗算した値を加算して得られる値を算出し、
前記第1期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第1期間における前記第3経済価値に、算出した前記第1期間における前記第1経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とし、
前記第2期間における前記経済収支を算出する場合、算出した前記第2期間における前記第3経済価値に、算出した前記第2期間における前記第2経済価値を加算して得られた値を前記経済収支とする点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、上述の電力管理装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施形態に係る発電システムの構成図である。
【
図3A】既設置の燃料電池装置から優先的に電力負荷装置に電力を供給する場合に、第1期間(負荷電力量>既設置の燃料電池装置の発電電力量)において、不足電力量が後付けの太陽光発電装置の発電電力量よりも小さい場合における電力の流れを示す説明図である。
【
図3B】既設置の燃料電池装置から優先的に電力負荷装置に電力を供給する場合に、第1期間(負荷電力量>既設置の燃料電池装置の発電電力量)において、不足電力量が後付けの太陽光発電装置の発電電力量よりも大きい場合における電力の流れを示す説明図である。
【
図4】既設置の燃料電池装置から優先的に電力負荷装置に電力を供給する場合に、第2期間(負荷電力量<既設置の燃料電池装置の発電電力量)における電力の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の本実施形態に係る発電システムでは、当該発電システムに既に設置されている発電装置(既設置の発電装置という)に加えて、後付けで発電装置(後付けの発電装置という)が設置される。その他、発電システムは、電力系統にも接続されており、電力を消費する電力負荷装置は、既設置の発電装置、後付けの発電装置及び電力系統の少なくともいずれかから電力の供給を受ける。そして、本実施形態に係る発電システムでは、後付けで発電装置が設置された場合でも、後付けの発電システムを考慮した経済収支を容易に把握できる。
以下の実施形態では、当該発電システムにおいて電力負荷装置に電力を供給する場合において、後付けの発電装置よりも既設置の発電装置から優先的に発電電力を供給する構成を例に挙げて説明する。
【0036】
〔実施形態〕
以下に図面を参照して実施形態に係る発電システムについて説明する。
(1)発電システムの全体構成
図1の発電システム100は、太陽光発電装置20と、電力管理装置50を有する燃料電池装置30と、電力を消費する電力負荷装置40とを備える。太陽光発電装置20と、燃料電池装置30と、電力負荷装置40とは、電力線11を介して電力系統10に接続されている。太陽光発電装置20及び燃料電池装置30は、電力系統10と連系可能に構成されている。
【0037】
当該発電システム100において、太陽光発電装置20は、燃料電池装置30及び電力負荷装置40よりも後に設置されている。つまり、当該発電システム100は、燃料電池装置30及び電力負荷装置40が発電システム100に既に設置されている状態で、後付けで太陽光発電装置20が発電システム100に設置されることで構成されている。以下では、太陽光発電装置20は後付けの太陽光発電装置(
図1、後述の
図3A、
図3B、
図4における添え字”new”の装置)20といい、燃料電池装置30は既設置の燃料電池装置(
図1、後述の
図3A、
図3B、
図4における添え字”old”の装置)30という。
【0038】
図1の発電システム100では、電力線11を介して各装置が接続されていることで、電力負荷装置40は、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力と、電力系統10からの系統電力と、後付けの太陽光発電装置20が発電した発電電力との少なくともいずれかの供給を受けることが可能である。なお、本実施形態では、後付けの太陽光発電装置20よりも既設置の燃料電池装置30から優先的に電力負荷装置40に発電電力を供給する。
図1、後述の
図3A、
図3B、
図4では、優先的に電力負荷装置40に発電電力を供給する既設置の燃料電池装置30に、添え字#1を付している。
【0039】
電力線11には、上流側から順に、電力系統10、後付けの太陽光発電装置20、既設置の燃料電池装置30及び電力負荷装置40が接続されている。なお、後付けの太陽光発電装置20及び既設置の燃料電池装置30は、それぞれ電力線11における接続点(図示せず)から分岐した分岐線(図示せず)を介して電力線11に接続されている。そして、後付けの太陽光発電装置20の接続点と既設置の燃料電池装置30の接続点との間の電力線11に電力計測器CT1が設けられている。電力計測器は、電力の電流値を計測するためのカレントトランス(CT:Current Trans)により構成され、計測された電流値と所定の電圧(例えば100V、200V)との積に基づいて、電力線11での電力量を算出する。
【0040】
電力管理装置50は、発電システム100における経済収支を求める。前述の通り、後付けの太陽光発電装置20は発電システム100に後付けされている。また、電力管理装置50は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を把握することができない。よって、電力管理装置50は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮に入れないまま経済収支を算出する。この場合、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した実際の経済収支と、電力管理装置50が算出した、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮に入れないままの経済収支との間に誤差が生じる。そこで、電力管理装置50は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した経済収支を算出し、前述の誤差を抑制する。経済収支の算出方法は後で詳述する。
その他、電力管理装置50は、例えば、所定の運転状態となるように既設置の燃料電池装置30の運転状態を管理している。
【0041】
(2)電力管理装置の構成
次に、本実施形態に係る電力管理装置50についてさらに説明する。
本実施形態では、
図1に示す発電システム100において、既設置の燃料電池装置30及び電力負荷装置40に加えて、後付けの太陽光発電装置20が付加されている。しかし、本実施形態の発電システム100では、電力管理装置50は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を把握することはできない。発電状態を把握できないのは、例えば、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を把握するための電流計測器が設けられていないことによる。また、例えば、例え、後付けの太陽光発電装置20に対して電流計測器が設けられている場合であっても、電流計測器で検出した発電状態を電力管理装置50に送信するように構成されていないため等によって、電力管理装置50が発電状態を把握できないことによる。
本実施形態では、このような発電状態を把握することができない後付けの太陽光発電装置20を備える発電システム100において、電力管理装置50が、後付けの太陽光発電装置20を考慮した経済収支を求める構成を採用している。
【0042】
図2に示すように、本実施形態の電力管理装置50は、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量を取得する発電情報取得部51と、後付けの太陽光発電装置20を考慮した経済収支を取得する収支取得部53と、電力系統10への電力の売電価格を取得する売電価格取得部55と、電力系統10からの電力の買電価格を取得する買電価格取得部57と、経済収支を表示する表示部58と、既設置の燃料電池装置30からの各種データの取得及び既設置の燃料電池装置30の制御等を行う発電電力管理部59とを有する。以下に各部の機能部についてさらに説明する。
【0043】
(2-1)発電情報取得部
発電情報取得部51は、例えば後付けの太陽光発電装置20の設置時等に、設置者等から後付けの太陽光発電装置20の発電電力量の入力を受け付ける。太陽光発電装置20の発電電力量は、例えば、実測値ではなく予め設定された値である。本実施形態では、後述の第1期間又は第2期間に亘る太陽光発電装置20の発電電力量の平均値とする。
なお、太陽光発電装置の発電電力量は、昼間及び夜間などの時間帯、及び天気等により左右されるため、例えば、時間帯ごと、日ごと、月ごと、あるいは季節ごと等の平均発電電力量を挙げることができる。以下の実施形態においては、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量は、時間帯及び日等により変化しない平均発電電力量を例に挙げて説明する。
【0044】
ただし、発電情報取得部51は、時間帯ごと、日ごと、月ごと、あるいは季節ごと等に後付けの太陽光発電装置20の発電電力量が異なるのに応じて、発電電力量を取得するようにしてもよい。例えば、1日のうち、6時~18時未満(例えば17時59分59秒)の昼間の発電電力量と、18時~6時未満(例えば5時59分59秒)までの夜間の発電電力量というように、複数の時間帯毎に発電電力量が取得可能である。また、例えば、年間のうち、春、夏、秋及び冬それぞれの発電電力量を取得可能である。
【0045】
また、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量は、後付けの太陽光発電装置20の設置時に受け付ける構成に限られず、後付けの太陽光発電装置20の使用開始時等に、発電システム100を利用するユーザ等から受け付けてもよい。
発電情報取得部51は、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量を収支取得部53に入力する。
【0046】
(2-2)売電価格取得部
売電価格取得部55は、後付けの太陽光発電装置20が発電した発電電力及び既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力を、電力系統10に逆潮した場合の売電価格を取得する。売電価格取得部55は、売電価格として、発電電力の例えば1kWh当たりの価格を取得する。売電価格が、例えば時間ごと、日ごと、季節ごと、年毎等に変動する場合は、売電価格取得部55は、変動時点に応じて更新された売電価格を取得するようにしてもよい。
なお、売電価格取得部55は、例えば電力会社等から売電価格を取得する。そして、売電価格取得部55は、取得した売電価格を収支取得部53に入力する。
【0047】
(2-3)買電価格取得部
買電価格取得部57は、電力系統10における系統電力の買電価格を取得する。買電価格取得部57は、買電価格として、系統電力の例えば1kWh当たりの価格を取得する。買電価格が、例えば時間ごと、日ごと、季節ごと、年毎等に変動する場合は、買電価格取得部57は、変動時点に応じて更新された買電価格を取得するようにしてもよい。
なお、買電価格取得部57は、例えば電力会社等から買電価格を取得する。そして、買電価格取得部57は、取得した買電価格を収支取得部53に入力する。
【0048】
(2-4)発電電力管理部
発電電力管理部59は、既設置の燃料電池装置30での発電を制御している。発電電力管理部59は、これに限定されないが、例えば既設置の燃料電池装置30を発電電力が所定の設定発電電力で一定となるように定格運転させるように制御している。また、発電電力管理部59は、電力計測器CT1から電力線11での電力量を取得し、取得した電力量を収支取得部53に入力する。
また、発電電力管理部59は、例えば既設置の燃料電池装置30での発電状態を把握するため、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力量(kWh)を取得する。
【0049】
(2-5)表示部
表示部58は、後述の収支取得部53が取得した、後付けの太陽光発電装置20を考慮した経済収支を図示しない表示装置に表示する。表示装置は、発電システム100に設けられている既存の表示装置である。これにより、発電システム100に後付けで太陽光発電装置20が設置された場合でも、後付けの太陽光発電装置20を考慮した経済収支を表示装置により確認できる。また、表示部58は、発電電力管理部59から既設置の燃料電池装置30での発電電力量を取得し、表示装置に表示してもよい。
【0050】
(2-6)収支取得部
収支取得部53は、発電システム100における経済収支を求める。収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮に入れずに算出した経済価値(以下、第3経済価値という)を補正し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した実際の経済収支を算出する。
第3経済価値は、後付けの太陽光発電装置20が発電システム100に後から設置されたにも関わらず、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮せずに算出された経済価値である。そのため、収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した発電システム100全体の経済収支を算出するために、第3経済価値を補正する。
【0051】
具体的には、収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮に入れずに、既存の検出装置等から取得した情報に基づいて第3経済価値を算出する。そして、収支取得部53は、この第3経済価値を、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した場合の経済価値(以下において説明する第1経済価値及び第2経済価値)を加算することで、発電システム100全体の経済収支を算出する。
【0052】
以下、まず第3経済価値の算出方法について説明し、次に第1及び第2経済価値の算出方法を説明し、最後に後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した発電システム100全体の経済収支の算出方法を説明する。
【0053】
(2-6-1)第3経済価値
収支取得部53は、電力計測器CT1(
図1)から取得した電力量に基づいて、第3経済価値を算出する。
まず、収支取得部53は、第3経済価値の算出にあたって各種情報を取得する。例えば、収支取得部53は、電力計測器CT1における電力量を電力計測器CT1から取得する。また、収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20が発電した発電電力の売電価格及び既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格を売電価格取得部55から取得し、系統電力の買電価格を買電価格取得部57から取得する。
【0054】
(a)電力計測器CT1=0
ここで、電力負荷装置40の負荷電力量と既設置の燃料電池装置30の発電電力量とが等しい場合、電力計測器CT1が取得する電力量はゼロになる。よって、電力負荷装置40へは既設置の燃料電池装置30からの発電電力量が供給されていることとなり、電力系統10からの系統電力を購入する必要はない。系統電力の買電価格をβ円/kWh、既設置の燃料電池装置30の発電電力量をBkWhとすると、第3経済価値は(式1)で示される。
第3経済価値=β×B・・・(式1)
【0055】
(b)電力計測器CT1=正
また、電力負荷装置40の負荷電力量が既設置の燃料電池装置30の発電電力量よりも大きい(負荷電力量>既設置の燃料電池装置30の発電電力量B)場合(以下では、第1期間という)、つまり不足電力が生じる場合、電力計測器CT1が取得する電力量は例えば正の値になる。よって、電力計測器CT1は、電力系統10から購入している系統電力量(買電電力量)を計測していることになり、電力負荷装置40へは当該系統電力量(買電電力量)及び既設置の燃料電池装置30の発電電力量が供給されていることとなる。
なお、電力線11の電力計測器CT1で計測される電力値は、当該電力計測器CT1において電力負荷装置40へ向けて正の電力が流れているときに正の値になり、電力系統10へ向けて正の電力が流れているときに負の値になるとの前提で説明する。ただし、電力計測器CT1で計測された電力量の値は、絶対値で示すものとする。
【0056】
この場合、収支取得部53は、電力系統10からの系統電力の買電価格と既設置の燃料電池装置30の発電電力量との乗算結果から、電力系統10からの系統電力の買電価格と買電電力量EkWh(電力計測器CT1で取得された電力値)との乗算結果を減算した結果に基づいて第3経済価値を算出する。つまり、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力量の全てが電力負荷装置40に供給され、電力系統10から購入する必要がなくなった電力量であるから、第3経済価値を算出する際には、既設置の燃料電池装置30の発電電力量の全てに系統電力の売電価格を乗算する。そして、その乗算結果から、電力系統10からの系統電力の買電価格と電力系統10から購入した買電電力量EkWh(電力計測器CT1で取得された電力値)との乗算結果を減算する。
ここで、系統電力の買電価格をβ円/kWh、既設置の燃料電池装置30の発電電力量をBkWhとすると、第3経済価値は(式2)で示される。
第3経済価値=β×B-β×E・・・(式2)
【0057】
(c)電力計測器CT1=負
また、電力負荷装置40の負荷電力量が既設置の燃料電池装置30の発電電力量よりも小さい(負荷電力量<既設置の燃料電池装置30の発電電力量B)場合(以下では、第2期間という)、つまり余剰電力が生じる場合、電力計測器CT1が取得する電力量は例えば負の値になる。余剰電力は、既設置の燃料電池装置30から電力系統10に逆潮されている。よって、電力計測器CT1は、既設置の燃料電池装置30から電力系統10への逆潮電力量(売電電力量)DkWhを計測していることになる。
【0058】
この場合、収支取得部53は、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格と売電電力量DkWhとを乗算した値に、電力系統10からの系統電力の買電価格と既設置の燃料電池装置30から電力負荷装置40に供給される電力量((B-D)kWh)とを乗算した値を加算し、当該加算後の値に基づいて、第3経済価値を算出する。つまり、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力量のうち、一部は電力系統10に逆潮され(上述の売電電力量)、他部は電力負荷装置40に供給されることから、第3経済価値を算出する際には、売電電力量DkWhに売電価格を乗算した値と、電力負荷装置40に供給された電力量(B-D)kWhに買電価格を乗算した値とを加算する。
ここで、燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格をα円/kWh、売電電力量をDkWh(電力計測器CT1で取得された電力値)とすると、第3経済価値は(式3)で示される。
第3経済価値=(α×D)+β(B-D)・・・(式3)
なお、(式3)においてDが負の値の場合には、Dは絶対値を示す。
【0059】
そして、収支取得部53は、上記(式1)~(式3)に基づいて、第1及び第2期間を含む全体における第3経済価値を算出する。
【0060】
(2-6-2)第1及び第2経済価値
次に、第1及び第2経済価値の算出方法について説明する。
収支取得部53は、電力計測器CT1で取得された電力値、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量、後付けの太陽光発電装置20が発電した発電電力の売電価格、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格及び系統電力の買電価格等に基づいて、後付けの太陽光発電装置20を発電システム100に設けたことによる経済収支を取得する。
【0061】
後付けの太陽光発電装置20を設けたことによる経済価値は、負荷電力量と既設置の燃料電池装置30の発電電力量との大小関係によって算出方法が異なる。よって、発電システム100における経済価値の取得方法について、
図3A、
図3B及び
図4を参照して説明する。
図3A及び
図3Bには、電力負荷装置40が必要とする負荷電力量が、既設置の燃料電池装置30の発電電力量BkWhよりも大きい第1期間(負荷電力量>既設置の燃料電池装置30の発電電力量)における、電力の流れが示されている。第1期間では後付けの太陽光発電装置20に基づいた第1経済価値を取得する。
図4には、電力負荷装置40が必要とする負荷電力量が、既設置の燃料電池装置30の発電電力量BkWhよりも小さい第2期間(負荷電力量<既設置の燃料電池装置30の発電電力量)における、電力の流れが示されている。第2期間では後付けの太陽光発電装置20に基づいた第2経済価値を取得する。
【0062】
まず、収支取得部53は、第1及び第2経済価値の取得にあたって、各種情報を取得する。
例えば、収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20について、例えば年間を通じた平均の発電出力量AkWhを発電情報取得部51から取得する。太陽光発電装置20は、通常、昼間及び夜間等の時間帯及び天気等によって発電電力量が異なるが、本実施形態では、簡単のために、第1期間又は第2期間に対応する太陽光発電装置20の発電電力量の平均とし、時間帯等によらず発電出力量は一定のAkWhとする。
また、収支取得部53は、電力計測器CT1から電力量を取得する。
【0063】
また、収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20が発電した発電電力の売電価格及び既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格を売電価格取得部55から取得し、系統電力の買電価格を買電価格取得部57から取得する。
【0064】
収支取得部53は、電力計測器CT1で計測される電力値が正の値の場合、つまり負荷電力量>既設置の燃料電池装置30の発電電力量Bとなる期間を第1期間とし、電力計測器CT1で計測される電力値が負の値の場合、つまり負荷電力量<既設置の燃料電池装置30の発電電力量Bとなる期間を第2期間とする。収支取得部53は、第1期間での後付けの太陽光発電装置20による第1経済価値及び第2期間での後付けの太陽光発電装置20による第2経済価値を算出する。
【0065】
(a)第1期間での後付けの太陽光発電装置20による第1経済価値
次に、第1期間での後付けの太陽光発電装置20による第1経済価値の算出方法について説明する。
図3A及び
図3Bに示す第1期間全体では、後付けの太陽光発電装置20よりも、既設置の燃料電池装置30から優先的に発電電力量が電力負荷装置40に供給されるが、既設置の燃料電池装置30の発電電力量では負荷電力量を賄えていない。
図3A及び
図3Bによると、電力計測器CT1で計測される電力値がEkWhであり、電力系統10側から電力負荷装置40側に、不足電力量としてEkWhが供給されている。このとき、既設置の燃料電池装置30の発電電力量がBkWhであり、負荷電力量が(E+B)kWhである。ここで、後付けの太陽光発電装置20は、発電出力量AkWhで運転されている。そのため、電力負荷装置40は、電力線11を介して、後付けの太陽光発電装置20から不足電力量の全部又は一部の供給を受ける。
【0066】
第1経済価値は、電力計測器CT1で計測される不足電力量EkWhと、後付けの太陽光発電装置20の発電出力量AkWhとの大小関係で算出方法が異なる。そこで、
図3Aを用いて、不足電力量EkWhが後付けの太陽光発電装置20の発電出力量AkWhよりも小さい場合(E<A)における第1経済価値の算出方法について説明する。その後、
図3Bを用いて、不足電力量EkWhが後付けの太陽光発電装置20の発電出力量AkWhよりも大きい場合(E>A)における第1経済価値の算出方法について説明する。
【0067】
(a-1)E<Aにおける第1経済価値
図3Aに示すように、不足電力量E<太陽光発電装置20の発電出力量Aの関係にあるため、電力負荷装置40は、電力線11を介して、後付けの太陽光発電装置20から不足電力量EkWhの全部の供給を受ける。収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20が不足電力量EkWhを補った場合の経済価値を以下の第1乗算結果として算出する。
【0068】
さらに、上記の通り、E<Aであるので、電力負荷装置40では、後付けの太陽光発電装置20の発電出力量AkWhの一部が用いられる。よって、後付けの太陽光発電装置20が不足電力量EkWhを補った後の余剰の発電出力量(A-E)kWhは逆潮電力量として電力系統10に逆潮される。収支取得部53は、電力系統10に逆潮する場合の後付けの太陽光発電装置20による経済価値を以下の第2乗算結果として算出する。
収支取得部53は、第1乗算結果と第2乗算結果とを加算することで、後付けの太陽光発電装置20による第1経済価値を算出する。以下に、第1及び第2乗算結果の算出方法について説明する。
【0069】
(i)第1乗算結果
上記のように、第1期間において、不足電力量EkWhが後付けの太陽光発電装置20により補われるため、電力系統10から系統電力を買う必要がなく、発電システム100の利用者にとってはコスト削減となる。収支取得部53は、このコスト削減となった、第1期間の後付けの太陽光発電装置20による経済価値を、系統電力の買電価格と不足電力量とを乗算して以下の第1乗算結果として算出する。
ここで、系統電力の買電価格をβ円/kWhとすると、第1乗算結果は(式4)で示される。
第1乗算結果=β×E・・・(式4)
【0070】
負荷電力量>既設置の燃料電池装置30の発電電力量の関係となる第1期間においては、不足電力量を後付けの太陽光発電装置20が補うと仮定する。この場合、不足電力量の分だけ電力系統10から電力を買う必要がないとして、上記(式4)により後付けの太陽光発電装置20による経済価値として第1乗算結果を簡単に求めることができる。第1乗算結果は、一般的にメリットの経済価値として評価される。
【0071】
(ii)第2乗算結果
第1期間において、さらに、後付けの太陽光発電装置20が電力負荷装置40に不足電力量EkWhを補った後の余剰分が逆潮電力量として電力系統10に逆潮されるため、発電システム100の利用者は収益を得ることができる。第1期間における後付けの太陽光発電装置20の発電電力量AkWhから、不足電力量EkWhを減算することで、逆潮電力量(A-E)kWhが求まる。収支取得部53は、逆潮による第1期間の経済価値を、後付けの太陽光発電装置20の発電電力の売電価格と逆潮電力量(A-E)kWhとを乗算して以下の第2乗算結果として算出する。
【0072】
ここで、後付けの太陽光発電装置20の発電電力の売電価格をα円/kWhとすると、第2乗算結果は(式5)で示される。
第2乗算結果=α×(A-E)・・・(式5)
【0073】
後付けの太陽光発電装置20が電力負荷装置40に不足電力量を補った後の余剰分が逆潮電力量として逆潮されると仮定することで、上記(式5)により後付けの太陽光発電装置20による経済価値として第2乗算結果を簡単に求めることができる。第2乗算結果は、一般的にメリットの経済価値として評価される。
【0074】
不足電力量E<太陽光発電装置20の発電出力量Aの場合には、第1乗算結果と第2乗算結果との加算により、第1期間(負荷電力量>既設置の燃料電池装置30の発電電力量)における、後付けの太陽光発電装置20に基づいた第1経済価値を算出できる。
【0075】
(a-2)E>Aにおける第1経済価値
図3Bに示すように、不足電力量E>太陽光発電装置20の発電出力量Aの関係にあるため、電力負荷装置40は、電力線11を介して、後付けの太陽光発電装置20から発電出力量Aの供給を受け、不足電力量EkWhの一部が賄われる。つまり、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量Aの全てが不足電力量を賄うために用いられる。収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20が不足電力量EkWhの一部を賄った場合の経済価値を以下の第1経済価値として算出する。
ここで、系統電力の買電価格をβ円/kWhとすると、第1経済価値は(式6)で示される。
第1経済価値=β×A・・・(式6)
【0076】
この場合、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量AkWhの全てが不足電力量を賄うために用いられるため、後付けの太陽光発電装置20から電力系統10への逆潮はない。また、発電電力量AkWhでは賄えない不足電力量である、EkWhの一部(E-A)kWhは電力系統10から賄われる。
【0077】
(b)第2期間での後付けの太陽光発電装置20による第2経済価値
一方、
図4に示す第2期間(負荷電力量<既設置の燃料電池装置30の発電電力量の期間)全体では、後付けの太陽光発電装置20よりも、既設置の燃料電池装置30から優先的に発電電力量が電力負荷装置40に供給されるが、既設置の燃料電池装置30から供給される発電電力量により負荷電力量を賄える。
図4によると、電力計測器CT1で計測される電力値がDkWhであり、既設置の燃料電池装置30から電力系統10に、逆潮電力量としてDkWhが逆潮されている。なお、既設置の燃料電池装置30の発電電力量がBkWhであり、負荷電力量が(B-D)kWhである。
【0078】
ここで、後付けの太陽光発電装置20は、発電出力量AkWhで運転されている。既設置の燃料電池装置30の発電電力量の一部は逆潮されており電力負荷装置40に不足電力量が生じていないため、後付けの太陽光発電装置20の発電出力量AkWhは、電力系統10に逆潮される。これにより、発電システム100の利用者は収益を得ることができる。収支取得部53は、第2期間の後付けの太陽光発電装置20による経済価値を、後付けの太陽光発電装置20の発電電力の売電価格と逆潮電力量AkWhとを乗算して以下の第2経済価値として算出する。
【0079】
ここで、後付けの太陽光発電装置20の発電電力の売電価格をα円/kWhとすると、第2経済価値は(式7)で示される。
第2経済価値=α×A・・・(式7)
この第2経済価値の算出においては、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量が全て逆潮されると仮定することで、上記(式7)により後付けの太陽光発電装置20による第2経済価値を簡単に求めることができる。
第2経済価値は、一般的にメリットの経済価値として評価される。
【0080】
収支取得部53は、上述の算出方法に基づいて、後付けの太陽光発電装置20に基づく経済価値として、第1期間における第1経済価値及び第2期間における第2経済価値の少なくともいずれかを取得する。あるいは、収支取得部53は、第1経済価値と第2経済価値とに基づいて、第1期間及び第2期間を含む期間の全体に亘る、後付けの太陽光発電装置20に基づいた経済価値を取得してもよい。
【0081】
(2-6-3)発電システム100全体の経済収支
次に、収支取得部53は、第3経済価値を、第1及び第2経済価値の少なくともいずれかを用いて補正し、発電システム100全体の経済収支を算出する。これにより、収支取得部53は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、発電システム100全体の経済収支を算出できる。
【0082】
説明を加えると、上述の第3経済価値は、電力計測器CT1にて取得された電力値を用いて、電力計測器CT1が取得した電力量がゼロの値の場合には、系統電力の買電価格をβ円/kWh、既設置の燃料電池装置30の発電電力量をBkWhとして、第3経済価値=β×B・・・(式1)を求める。また、電力計測器CT1が取得した電力量が正の値の場合には、電力系統10からの買電電力量をEkWh(電力計測器CT1で取得された電力値)として、第3経済価値=β×B-β×E・・・(式2)を求める。また、当該電力計測器CT1が取得した電力値が負の値の場合には、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格をα円/kWh、売電電力量をDkWh(電力計測器CT1で取得された電力値)として、第3経済価値=(α×D)+β(B-D)・・・(式3)を求めた。
【0083】
このように算出された第3経済価値には、下記のような問題がある。
第1期間全体においては、電力計測器CT1が取得した電力値には、後付けの太陽光発電装置20から電力負荷装置40に供給される電力値が含まれており、(式2)により算出された第3経済価値は、後付けの太陽光発電装置20から供給された電力値の分だけ電力系統10から余分に購入したと誤認した状態で算出された値となっている。すなわち、発電システム100には、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を把握するための電力検出器及び通信手段等が設けられていないため、電力計測器CT1で検出された電力量の全部が電力系統10からの系統電力であると誤って把握される。
【0084】
また、第2期間全体においては、電力計測器CT1が取得した電力値には、既設置の燃料電池装置30から電力系統10に逆潮される電力値のみが含まれており、(式3)により算出された第3経済価値は、後付けの太陽光発電装置20から電力系統10への逆潮電力量を把握できない状態で算出された値となっている。すなわち、発電システム100には、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を把握するための電力検出器及び通信手段等が設けられていないため、電力計測器CT1で検出された電力量が電力系統10に逆潮された全ての電力量であると誤って把握される。
【0085】
よって、収支取得部53は、第3経済価値を第1及び第2経済価値の両方を用いて補正する場合、第1及び第2期間全体における第3経済価値に第1経済価値を加算し且つ第2経済価値を加算することにより、当該第3経済価値を補正して、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第1及び第2期間における発電システム100全体の経済収支を算出する。
なお、例えば、収支取得部53は、第1期間における第3経済価値のみを求める場合には、第1期間における第3経済価値に、第1期間における第1経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第1期間における発電システム100全体の経済収支を算出してもよい。同様に、例えば、収支取得部53は、第2期間における第3経済価値のみを求める場合には、第2期間における第3経済価値に、第2期間における第2経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第2期間における発電システム100全体の経済収支を算出してもよい。
【0086】
(2-6-4)効果
収支取得部53は、上述の算出方法に基づいて、第1期間における第1経済価値及び第2期間における第2経済価値の少なくともいずれかを算出して、後付けの太陽光発電装置20に基づく経済収支を取得する。あるいは、収支取得部53は、第1経済価値及び第2経済価値を算出して、第1期間及び第2期間を含む全体に亘る、後付けの太陽光発電装置20を考慮した経済収支を取得する。
そして、これら取得した経済収支を既存の表示手段等に表示することができる。
【0087】
上記本実施形態に係る構成によれば、発電システム100に後付けで太陽光発電装置20が設置された場合でも、太陽光発電装置20を後付けしたことを考慮した経済収支を取得できる。よって、発電システム100に既に設置されている既存の各種処理手段及び既存の表示手段等に加えて、後付けの太陽光発電装置20の随時の発電状態を検出する検出手段、検出した発電状態を集約する通信手段、後付けの太陽光発電装置20の発電電力及び既設置の燃料電池装置30の発電電力等を合わせて発電システム100全体の経済収支を算出する処理手段、及び当該経済収支を表示する表示手段等を別途設ける必要がなく、簡素な構成で容易に経済収支を取得できる。
【0088】
上述のように、
図3A、
図3Bに示す第1期間において、電力計測器CT1で検出された電力量を用いて、電力計測器CT1が検出した電力量が正の値の場合には、系統電力の買電価格をβ円/kWh、既設置の燃料電池装置30の発電電力量をB、電力系統10から購入した買電電力量EkWhとして、第3経済価値=β×B-β×E・・・(式2)を求める。この場合、既設置の燃料電池装置30の電力管理装置50が備える表示部58が、誤って当該第3経済価値のうちβ×Eを買電金額であると誤表示する。つまり、実際は、当該買電金額には後付けの太陽光発電装置20から供給された電力量に対応する金額が含まれているので、当該買電金額は実際に電力系統10から供給された系統電力量に対応する金額よりも多い金額となっている。
【0089】
また、上述のように、
図4に示す第2期間において、電力計測器CT1で検出された電力量を用いて、電力計測器CT1が検出した電力量が負の値の場合には、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格をα円/kWh、売電電力量をD(電力計測器CT1で取得された電力値)として、第3経済価値=(α×D)+β(B-D)・・・(式3)を求める。この場合、既設置の燃料電池装置30の電力管理装置50が備える表示部58は、当該第3経済価値のうち(α×D)のみを売電金額であると誤表示する。つまり、実際は、当該売電金額には、後付けの太陽光発電装置20から逆潮された逆潮電力量に基づく売電金額が含まれていないので、実際に電力系統10に逆潮された電力量に対応する金額よりも少ない金額となっている。
【0090】
さらに、上述のように、第1及び第2期間においてそれぞれ第3経済価値が算出され、これら第3経済価値を加算し、発電システム100全体の経済収支を取得する場合、既設置の燃料電池装置30の電力管理装置50が備える表示部58が、誤って当該経済収支を実際の経済収支であると誤表示する。
【0091】
収支取得部53が第3経済価値を算出し、買電金額、売電金額及び経済収支が表示されると、上記のような誤った表示が行われる。しかし、本実施形態の収支取得部53は、第3経済価値を補正し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮にいれた経済収支を算出する。よって、前述のような誤った表示を抑制できる。
【0092】
例えば、収支取得部53は、第1及び第2期間を含む全体における第3経済価値に第1経済価値を加算し且つ第2経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第1及び第2期間を含む全体における発電システム100全体の経済収支を算出する。当該経済収支の表示が行われることで、第1及び第2期間を含む全体における経済収支が誤った表示となるのを抑制できる。
【0093】
また、例えば、収支取得部53は、第1期間における第3経済価値に、第1期間における第1経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第1期間における発電システム100全体の経済収支を算出する。当該経済収支の表示が行われることで、第1期間における経済収支が誤った表示となるのを抑制できる。なお、収支取得部53は、第1期間における第3経済価値のうちβ×Eに、第1期間における第1経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第1期間における買電金額を算出する。当該買電金額の表示が行われることで、第1期間における買電金額が誤った表示となるのを抑制できる。
【0094】
また、例えば、収支取得部53は、第2期間における第3経済価値に、第2期間における第2経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第2期間における発電システム100全体の経済収支を算出する。当該経済収支の表示が行われることで、第2期間における経済収支が誤った表示となるのを抑制できる。なお、収支取得部53は、第2期間における第3経済価値のうち(α×D)に第2期間における第2経済価値を加算し、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮した、第2期間における売電金額を算出する。当該売電金額の表示が行われることで、第2期間における売電金額が誤った表示となるのを抑制できる。
【0095】
上述のような買電金額、売電金額及び経済収支のより正確な表示が、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を随時把握するための検出手段、通信手段、処理手段及び表示手段等を、既存の各種処理手段及び既存の表示手段等に加えて別途に設けることなく達成できる。よって、既存の発電システム100に後付けで太陽光発電装置20を設ける場合であっても、簡素な構成で容易に後付けの太陽光発電装置20を考慮した経済収支を取得できる。
【0096】
また、上述の通り、第1期間では、発電電力量Aに相当する電力量AkWhの全て又は一部が、後付けの太陽光発電装置20から電力負荷装置40に供給されると仮定することで、第1期間における第1経済価値を上記の(式4)~(式6)のように容易に仮定できる。同様に、第2期間では、後付けの太陽光発電装置20の発電電力量Aが逆潮されると仮定することで、第2期間における第2経済価値を上記の(式7)のように容易に仮定できる。
【0097】
なお、日ごと、月ごと、あるいは季節ごと等に後付けの太陽光発電装置20の発電状態が異なる場合には、収支取得部53は、経済収支の算出日に対応する発電状態に基づいて経済収支を取得するのが好ましい。また、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格の変動、系統電力の買電価格の変動等に応じて、収支取得部53は経済収支を取得するのが好ましい。発電状態、売電価格、買電価格等の変動に応じて経済収支を取得することで、経済収支の精度を高めることができる。
【0098】
〔他の実施形態〕
なお上述の実施形態(他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0099】
(1)上記実施形態では、後付けの発電装置よりも既設置の発電装置から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給する。しかし、次のように発電システムを次のように構成することも可能である。
【0100】
(a)既設置の発電装置よりも後付けの発電装置から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給してもよい。
つまり、上記実施形態では、既設置の燃料電池装置30を含む発電システム100において、後付けで太陽光発電装置20が設置されている。そして、後付けの太陽光発電装置20よりも既設置の燃料電池装置30から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給する。しかし、これとは異なり、既設置の燃料電池装置30よりも後付けの太陽光発電装置20から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給してもよい。
【0101】
この場合、上記実施形態と同様に、発電システム100は、電力系統10と連系可能である既設置の発電装置(例えば燃料電池装置30)と、電力系統10と連系可能である後付けの発電装置(例えば太陽光発電装置20)と、電力系統10、既設置の発電装置及び後付けの発電装置の少なくともいずれかから電力の供給を受ける電力負荷装置40とを含む。上記実施形態と同様の構成については説明を省略するか、簡単にする。
ここで、電力管理装置50は、後付けの発電装置の所定の発電電力量を予め取得する発電情報取得部51、後付けの発電装置を考慮した経済収支を取得する収支取得部53等を備える。
【0102】
そして、収支取得部53は、電力負荷装置40が必要とする負荷電力量が、後付けの発電装置の発電電力量よりも大きい第1期間における、第1経済価値の算出を行う。また、収支取得部53は、第1経済価値の算出に代えて、又は第1経済価値の算出に加えて電力負荷装置40が必要とする負荷電力量が、後付けの発電装置の発電電力量よりも小さい第2期間について、第2経済価値の算出を行う。
【0103】
具体的には、負荷電力量>後付けの発電装置の発電電力量の関係となる第1期間においては、後付けの発電装置の発電電力量が負荷電力量に対して不足している不足電力量と、既設置の発電装置の発電電力量との大小により第1経済価値を次のように算出する。
【0104】
第1に、不足電力量が既設置の発電装置の発電電力量よりも小さい場合は、不足電力量が既設置の発電装置の発電電力量で賄われるため、不足電力量の分だけ電力系統10から電力を買う必要がない。この場合、電力系統10からの系統電力の買電価格と不足電力量とを乗算して、メリットとしての第1乗算結果を簡単に求めることができる。さらに、既設置の発電装置が電力負荷装置に不足電力量を補った後の余剰分が逆潮電力量(既設置の発電装置の発電電力量から前記不足電力量を減算することで求まる逆潮電力量)として逆潮されると仮定する。この場合、既設置の発電装置の発電電力の売電価格と逆潮電力量とを乗算して、メリットとしての第2乗算結果を簡単に求めることができる。そして、第1乗算結果と第2乗算結果とを加算することで、第1期間の第1経済価値を簡単に求めることができる。
【0105】
第2に、不足電力量が既設置の発電装置の発電電力量よりも大きい場合は、不足電力量のうち既設置の発電装置の発電電力量の分だけ不足電力量が賄われるため、既設置の発電装置の発電電力量の分だけ電力系統10から電力を買う必要がない。この場合、電力系統10からの系統電力の買電価格と既設置の発電装置の発電電力量とを乗算して、メリットとしての第1経済価値を簡単に求めることができる。
【0106】
一方、負荷電力量<後付けの発電装置の発電電力量の関係となる第2期間においては、既設置の発電装置の発電電力量の分だけ電力系統10に逆潮される発電電力量が増加する。この第2期間における既設置の発電装置に基づいた第2経済価値を、第2期間における既設置の発電装置での発電電力の売電価格とその発電電力量との乗算により簡単に求めることができる。第2経済価値は、一般的にメリットの経済価値として評価される。
【0107】
上記構成によれば、発電システムに後付けで発電装置が設置された場合でも、発電装置を後付けしたことを考慮した経済収支を取得できる。よって、発電システムに既に設置されている既存の各種処理手段及び既存の表示手段等に加えて、後付けの発電装置の随時の発電状態を検出する検出手段、検出した発電状態を集約する通信手段、後付けの発電装置の発電電力及び既設置の燃料電池装置の発電電力等を合わせて発電システム全体の経済収支を算出する処理手段、及び当該経済収支を表示する表示手段等を別途設ける必要がなく、簡素な構成で容易に経済収支を取得できる。
【0108】
なお、上記では、既設置の発電装置として例えば燃料電池装置30を例に挙げ、後付けの発電装置の例として太陽光発電装置20を例に挙げている。しかし、後述の(b)に記載しているように、既設置の発電装置としては例えば太陽光発電装置20であってもよいし、後付けの発電装置としては例えば燃料電池装置30であってもよい。そして、この場合に、既設置の太陽光発電装置20よりも後付けの燃料電池装置30から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給してもよい。
【0109】
(b)さらに、上記実施形態では、既設置の燃料電池装置30を含む発電システム100において、後付けで太陽光発電装置20が設置されている。しかし、既設置の太陽光発電装置20を含む発電システム100において、後付けで燃料電池装置30が設置されてもよい。この場合において、前述の通り、既設置の太陽光発電装置20よりも後付けの燃料電池装置30から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給する。なお、後付けの燃料電池装置30よりも既設置の太陽光発電装置20から優先的に、電力負荷装置40に発電電力を供給してもよい。
(c)上記実施形態では、発電装置として燃料電池装置30及び太陽光発電装置20を挙げたが、発電装置としては、燃料電池装置及び太陽光発電装置以外の風力発電装置等の発電装置を挙げることもできる。
【0110】
(2)上記実施形態とは異なる方法で第3経済価値を算出してもよい。例えば、これに限定されないが、第3経済価値は次のように算出できる。
まず、収支取得部53は、第3経済価値の算出にあたって各種情報を取得する。例えば、収支取得部53は、電力計測器CT1における電力量を電力計測器CT1から取得する。また、収支取得部53は、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格を売電価格取得部55から取得し、系統電力の買電価格を買電価格取得部57から取得する。
【0111】
ここで、電力負荷装置40の負荷電力量と既設置の燃料電池装置30の発電電力量とが等しい場合、電力計測器CT1が取得する電力量はゼロになる。よって、収支取得部53は、第3経済価値をゼロ(第3経済価値=0)として算出する。
【0112】
また、電力負荷装置40の負荷電力量が既設置の燃料電池装置30の発電電力量よりも大きい場合、つまり不足電力が生じる場合、電力計測器CT1が取得する電力量は例えば正の値になる。よって、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮しない場合、電力計測器CT1は、不足電力を、電力系統10から購入している系統電力量(買電電力量)として計測していることになる。
この場合、収支取得部53は、電力系統10からの系統電力の買電価格と買電電力量との乗算に基づいて第3経済価値を算出する。
ここで、系統電力の買電価格をβ円/kWh、買電電力量をEとすると、第3経済価値は(式8)で示される。
第3経済価値=β×E・・・(式8)
【0113】
また、電力負荷装置40の負荷電力量が既設置の燃料電池装置30の発電電力量よりも小さい場合、つまり余剰電力が生じる場合、電力計測器CT1が取得する電力量は例えば負の値になる。よって、電力計測器CT1は、後付けの太陽光発電装置20の発電状態を考慮しない場合、余剰電力を、既設置の燃料電池装置30から電力系統10への逆潮電力量(売電電力量)として計測していることになる。
この場合、収支取得部53は、既設置の燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格と売電電力量との乗算に基づいて第3経済価値を算出する。
ここで、燃料電池装置30が発電した発電電力の売電価格をα円/kWh、売電電力量をDとすると、第3経済価値は(式9)で示される。
第3経済価値=α×D・・・(式9)
【0114】
なお、収支取得部53は、上記(式8)、(式9)に基づいて、第1期間及び第2期間全体における第3経済価値を算出してもよいし、その他、第1期間及び第2期間毎に第3経済価値を算出してもよい。ただし、第3経済価値を算出する期間はこれに限られない。
【0115】
(3)上記実施形態では、電力管理装置50は、既設置の発電装置である燃料電池装置30に組み込まれている。しかし、電力管理装置50は、発電システム100に組み込まれていればよく、既設置の発電装置である燃料電池装置30とは別途に備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10 :電力系統
20 :後付けの太陽光発電装置(後付けの発電装置)
30 :既設置の燃料電池装置(既設置の発電装置)
40 :電力負荷装置
50 :電力管理装置
53 :収支取得部
58 :表示部
100 :発電システム