(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
B61D 29/00 20060101AFI20221118BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
B61D29/00
B61D37/00 F
(21)【出願番号】P 2018198516
(22)【出願日】2018-10-22
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】谷口 宏次
(72)【発明者】
【氏名】横川 浩大
(72)【発明者】
【氏名】松本 大
(72)【発明者】
【氏名】小泉 貴洋
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-113096(JP,A)
【文献】特開2005-324694(JP,A)
【文献】特開平06-008822(JP,A)
【文献】特開2007-230380(JP,A)
【文献】特開2006-103631(JP,A)
【文献】中国実用新案第2589281(CN,Y)
【文献】欧州特許出願公開第01283128(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 29/00
B61D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の側壁に設けられた荷棚と、
前記荷棚の底面側に配置された照明用光源と、
前記照明用光源を覆うように配置された照明用カバーと、を備え、
前記照明用カバーは、前記荷棚の先端部分に結合されると共に、前記荷棚の前記底面との間に前記照明用光源からの照明光を通す開口部を形成し、
前記照明光の少なくとも一部は、前記荷棚の底面で反射された後前記開口部を通って前記車室内に出射され
、
前記照明用カバーは、前記荷棚の前記先端部分において、ヒンジを介して、前記荷棚に対して回動可能に結合している、鉄道車両。
【請求項2】
前記荷棚の前記先端部分には、荷ずれ防止部材が設けられ、
前記ヒンジは、前記荷ずれ防止部材に取り付けられている、請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項3】
前記照明用カバーを前記荷棚に対して係止するラッチを更に備え、
前記照明用光源は、少なくとも前記ラッチによって前記照明用カバーが前記荷棚に係止された状態において前記ラッチよりも前記開口部側に位置する、請求項1又は2に記載の鉄道車両。
【請求項4】
車室の側壁に設けられた荷棚と、
前記荷棚の底面側に配置された照明用光源と、
前記照明用光源を覆うように配置された照明用カバーと、を備え、
前記照明用カバーは、前記荷棚の先端部分に結合されると共に、前記荷棚の前記底面との間に前記照明用光源からの照明光を通す開口部を形成し、
前記照明光の少なくとも一部は、前記荷棚の底面で反射された後前記開口部を通って前記車室内に出射され、
前記照明用カバーは、前記照明用光源の配置空間と前記車室とを連通させるスリットを有している、鉄道車両。
【請求項5】
前記荷棚の前記底面において、前記照明光の少なくとも一部が反射される反射面は、凹状又は凸状の湾曲面となっており、
前記照明光の少なくとも一部は、前記湾曲面で反射した後に、前記開口部を通って前記車室内に出射される、請求項1
~4のいずれか一項に記載の鉄道車両。
【請求項6】
前記照明光の少なくとも一部は、前記開口部を通った後に、前記側壁で反射される、請求項1
~5のいずれか一項に記載の鉄道車両。
【請求項7】
前記照明用光源は、LED光源である、請求項1~6のいずれか一項に記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の車室において、荷棚の底面側に照明用光源を配置する構成が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、照明用光源から出射された光によって座席が直接照らされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道車両の車室を照らす照明装置では、車室を広範囲に均一に照らすことが要求される。かかる要求に対し、単に多数の照明用光源を設ける構成を採用すると、照明用光源の点数の増加及び照明用光源の施工の工程数が増加してしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は、照明用光源の点数の増加を抑制しつつ、車室を広範囲に均一に照らすことができる鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る鉄道車両は、車室の側壁に設けられた荷棚と、荷棚の底面側に配置された照明用光源と、照明用光源を覆うように配置された照明用カバーと、を備え、照明用カバーは、荷棚の先端部分に結合されると共に、荷棚の底面との間に照明用光源からの照明光を通す開口部を形成し、照明光の少なくとも一部は、荷棚の底面で反射された後、開口部を通って車室内に出射される。
【0007】
この鉄道車両では、荷棚の底面側に照明用光源が配置され、当該照明用光源からの照明光は、荷棚の底面で反射された後、荷棚の底面と照明用カバーとによって形成された開口部を通って車室内に出射される。このような構成により、車室内の間接照明として機能し、荷棚の底面での照明光の反射によって広範囲かつ均一に車室を照らすことができる。したがって、この鉄道車両では、照明用光源の点数の増加を抑制しつつ、車室を広範囲に均一に照らすことが可能となる。
【0008】
荷棚の底面において、照明光の少なくとも一部が反射される反射面は、凹状又は凸状の湾曲面となっており、照明光の少なくとも一部は、湾曲面で反射した後に、開口部を通って車室内に出射されてもよい。この場合、湾曲面で照明光を反射させることにより、照明光をより広範囲に拡散させることができる。
【0009】
照明光の少なくとも一部は、開口部を通った後に、側壁で反射してもよい。この場合、照明光の拡散範囲を更に向上できる。
【0010】
荷棚の先端部分には、荷ずれ防止部材が設けられ、照明用カバーは、荷ずれ防止部材に取り付けられたヒンジを介し、荷棚に対して回動可能に結合してもよい。この場合、照明用カバーの回動により、照明用光源の点検等を容易に実施できる。また、照明用カバーの回動に用いるヒンジを荷ずれ防止部材に対して取り付けることにより、荷棚の構成の複雑化も回避できる。
【0011】
照明用カバーを荷棚に対して係止するラッチを更に備え、照明用光源は、少なくともラッチによって照明用カバーが荷棚に係止された状態においてラッチよりも開口部側に位置してもよい。この場合、ラッチによって照明用カバーを簡便に係止する構成を実現できる。また、照明用カバーが荷棚に係止された状態において照明用光源をラッチよりも開口部側に位置させることにより、照明光がラッチによって遮られてしまうことを防止できる。
【0012】
照明用カバーは、照明用光源の配置空間と車室とを連通させるスリットを有してもよい。この場合、スリットから出射する光を照明光とは別の用途に活用することができる。例えばスリットから出射した光を駅到着の報知灯や非常時の誘導灯として用いることができる。
【0013】
照明用光源は、LED光源であってもよい。LED光源では、照明光の指向性が比較的高いものとなる。したがって、上記構成を適用することにより、低消費電力及び長寿命といったLED光源の特性を活かしながら、車室を広範囲に均一に照らすことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、照明用光源の点数の増加を抑制しつつ、車室を広範囲に均一に照らすことができる照明器具を備えた鉄道車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る鉄道車両の概略側面図である。
【
図2】
図1に示した鉄道車両の概略部分断面図である。
【
図3】
図2に示した荷棚及びその周辺の概略断面図である。
【
図4】
図3に示した照明用カバー及びその周辺の概略斜視図である。
【
図5】
図3に示した照明用カバー及びその周辺の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、鉄道車両の一例を示す概略斜視図である。鉄道車両1は、台枠2と、側構体3と、屋根構体4と、妻構体5とを備えている。これらの各構体が相互に接合されることにより、鉄道車両1は、乗客を収容する空間を内部に有する箱型形状をなしている。
【0018】
台枠2は、車両の床部を構成する構造体として鉄道車両1の底部に配置されている。台枠2の下側には、鉄道車両1を支持する一対の台車(図示しない)が設置されている。側構体3及び妻構体5は、車両の側壁及び妻壁を構成する構体として、台枠2の左右の縁部及び前後の縁部を囲むように立設されている。
【0019】
側構体3には、鉄道車両1の長手方向において両端側に、乗客らが乗り降りするための複数のドア部6が設けられている。ドア部6,6間には、複数の窓部7が設けられている。ドア部6は、デッキスペース(図示しない)に通じている。デッキスペースは、後述する貫通部8及び車室15に通じている。
【0020】
妻構体5には、乗客らが車両間を行き来するための貫通部8が設けられている。屋根構体4は、車両の屋根部を構成する構体として鉄道車両の構体の上部に空間に蓋をするように配置されている。車両の屋根構体4には、上部に車内の温度を調整するためのエアコンディショナー及びパンタグラフ(図示しない)などが設置されている。
【0021】
次に、
図2を参照して、鉄道車両1の内部の構成について更に詳細に説明する。
図2は、
図1に示した鉄道車両1を妻構体5に平行な面で切断した概略断面図である。
【0022】
鉄道車両1は、内部において台枠2を覆う床構造12、並びに、側構体3及び屋根構体4をそれぞれ覆う化粧パネル13,14を有している。床構造12、及び、化粧パネル13,14は、鉄道車両1の内部に車室15を形成している。側構体3上を覆う化粧パネル13は、車室15の側壁を構成している。屋根構体4を覆う化粧パネル14は、車室15の天井を構成している。
【0023】
鉄道車両1は、車室15の床に設けられた複数の座席20を有している。複数の座席20は例えば2つ又は3つの座席20を1セットとしており、複数のセットが車室15の側壁に沿って鉄道車両1の長手方向に配列されている。1セットの座席20は、車室15の側壁から鉄道車両1の幅方向に並んで配置されている。なお、
図2では、車室15の幅方向の一方側のみを図示しているが、車室15の幅方向の他方側についても同様の構成となっている。
【0024】
各座席20は、座部21と、背部22と、肘掛部23と、脚部24とを有している。各座席20において座部21及び背部22は、座席20に座った乗客が鉄道車両1の長手方向を向くように配置されている。1セットの座席20は、複数の肘掛部23を有している。複数の肘掛部23は、天井側から見て、車室15の側壁と座部21との間、2つの座部21の間、及び車室15の通路と座部21との間に配置されている。脚部24は、車室の床と座部21とを連結し、座部21を支持している。
【0025】
鉄道車両1は、車室15の側壁に設けられた荷棚30を有している。荷棚30は、複数の座席20よりも車室15の天井側に設けられている。荷棚30は、車室15の側壁から鉄道車両1の幅方向に突出して、鉄道車両1の長手方向に延在している。
【0026】
次に、
図3~
図5を参照して、荷棚30及び荷棚30の周辺の構成について詳細に説明する。
図3は、鉄道車両における荷棚部分の部分拡大図を示している。
図4及び
図5は、荷棚の先端部分の部分拡大図を示している。
【0027】
荷棚30は、車室15の天井側に位置して荷物を載置する載置面31と、車室15の床側に位置する底面32とを有する。載置面31は、荷物のずれや落下を防止するため、例えば車室15の側壁側から中央側に向かって僅かに昇り傾斜となっている。荷棚30の高さ方向の幅は、鉄道車両1の幅方向と平行な断面において、側壁側から先端側に向かって徐々に狭まっている。荷棚30の先端部分付近では、底面32に湾曲面34が形成されることにより、載置面31と底面32との幅が狭められている。
【0028】
底面32は、例えば樹脂又は金属の表面に白色等の反射率の高い色の塗装を施すことによって構成されている。底面32は、金属の表面に鏡面加工を施すことによって構成されていてもよい。湾曲面34は、凹状の面を含んでいてもよく、凸状の面を含んでいてもよい。また、湾曲面34は、凹状の面及び凸状の面が組み合わされた形状であってもよく、一部に平坦面を含む形状であってもよい。
【0029】
載置面31の先端部分には、例えばステンレス等によって形成された荷ずれ防止部材35が荷棚30の延在方向に沿って設けられている。荷ずれ防止部材35は、鉄道車両1の幅方向と平行な断面において、載置面31から屋根構体4側に起伏した山が僅かな間隔をもって2つ並んだ形状を有している。荷ずれ防止部材35は、載置面31に載置した荷物が荷棚30の先端部分からずれ落ちることを防止する。
【0030】
荷棚30の底面32側には、照明用光源40が配置されている。本実施形態では、照明用光源40は、荷棚30の延在方向に沿って配列された複数のLED光源を有し、接続部材41を介して底面32に固定されている。照明用光源40の光出射面は、荷棚30の底面32に向けて光が出射されるように、水平面に対して一定の傾斜をもって配置されている。照明用光源40の光出射面は、荷棚30の底面32に向けて光が出射されれば、水平面に対して垂直又は平行に設けられてもよい。
【0031】
荷棚30には、照明用光源40を覆う照明用カバー50が設けられている。照明用カバー50は、荷棚30の先端部分に結合されており、遮光性を有する。本実施形態では、照明用カバー50は、荷ずれ防止部材35に取り付けられたヒンジ60を介して、荷棚30に対して回動可能に結合している。ヒンジ60は、軸受部61と、軸受部61に嵌合する軸62とによって構成されている。本実施形態では、ヒンジ60の軸受部61は、荷ずれ防止部材35の縁と一体に形成されており、ヒンジ60の軸62は、照明用カバー50の縁と一体成形されている。
【0032】
照明用カバー50は、ヒンジ60の軸周り方向Aに回動して開閉する。
図4は、荷棚30に対して照明用カバー50が閉じた状態(以下、「閉状態」という)を示しており、
図5は、照明用カバー50が最大まで開いた状態を示している。照明用カバー50は、閉状態において、鉄道車両1の幅方向に平行な断面でヒンジ60の軸62から荷棚30の底面32に沿って延在し、照明用光源40を覆う。照明用カバー50は、荷棚30の先端部分に沿って鉄道車両1の長手方向に延在する。
【0033】
照明用カバー50は、ヒンジ60の軸62側とは反対側に縁部53を有する。縁部53は、閉状態において、荷棚30の底面32との間に照明用光源40からの照明光を通す開口部αの外縁の一部を形成する。開口部αは、鉄道車両1の幅方向と平行で縁部53を通る面上に位置する。開口部αは、荷棚30の先端部分に沿って鉄道車両1の長手方向に延在している。
【0034】
照明用カバー50は、縁部53から荷棚30の底面32の側に突出して形成された目隠部54を有する。より詳細には、目隠部54は、鉄道車両1の幅方向と平行な断面において、縁部53から荷棚30の底面32側に突出すると共に、ヒンジ60側に折り返されている。目隠部54は、閉状態において開口部αに沿って延在し、照明用光源40が乗客に直接的に視認されることを防止する。
【0035】
図4に示されているように、照明用カバー50は、照明用光源40の配置空間と車室15とを連通させる複数のスリット52を有している。本実施形態では、複数のスリット52は、照明用カバー50において、車室15に面するように配置されている。スリット52は、いずれも長孔状をなしており、例えば2つを1セットとして鉄道車両1の長手方向に延在している。複数のスリット52のセット間には、円形の貫通孔55が設けられている。
【0036】
照明用カバー50は、閉状態において、ラッチ70によって荷棚30の底面32に係止される。照明用光源40は、少なくとも閉状態において、ラッチ70よりも開口部α側に位置する。本実施形態では、ラッチ70は、本体部71と、本体部71を収納可能な本体収納部72と、受金部73によって構成されている。本体部71は、照明用カバー50に設けられており、本体収納部72及び受金部73は、荷棚30の底面32に設けられている。
【0037】
本体部71は、本体部71の外側方向(鉄道車両1の長手方向)に突出するラッチつめ74と、ラッチつめ74の突出方向に直交する方向に突出する押圧ボタン75とを有する。受金部73は、本体収納部72の縁に設けられており、本体部71が本体収納部72に収納される際に、ラッチつめ74と当接する。本体部71が本体収納部72に収納されている状態では、ラッチつめ74は受金部73に係合する。その結果、照明用カバー50は、荷棚30の底面32に対して係止される。
【0038】
押圧ボタン75は、押圧されることによってラッチつめ74を本体部71の内部に収納する機構を有する。押圧ボタン75は、照明用カバー50の貫通孔55を通って、車室15側に突出している。押圧ボタン75が押圧されることによって、ラッチつめ74が本体部71の内部に収納され、ラッチつめ74と受金部73との係合が解除される。ラッチつめ74と受金部73との係合が解除されることで、照明用カバー50が荷棚30に対して回動可能な状態となる。
【0039】
図3では、照明用光源40からの照明光が開口部αを通って車室に出射される様子が示されている。照明用光源40からの照明光の光路は、2点鎖線で示している。
図3に示されているように、照明用光源40からの照明光の少なくとも一部は、荷棚30の底面32で反射した後、開口部αを通って車室15内に出射される。照明用光源40からの照明光の少なくとも一部は、主に、湾曲面34において反射される。
【0040】
照明用光源40からの照明光の少なくとも一部は、湾曲面34で反射された後に、開口部αを通って車室15内に出射される。開口部αから出射された照明光は、複数の座席20及びその周辺を照らす。照明用光源40からの照明光の少なくとも一部は、開口部αを通った後に、側壁で反射されて、複数の座席20及びその周辺を照らす。照明用光源40からの照明光は、複数のスリット52からも車室15内に出射される。複数のスリット52から光を出射する光源は、照明用光源40とは別に設けられてもよい。
【0041】
以上説明したように、鉄道車両1では、荷棚30の底面32側に照明用光源40が配置され、当該照明用光源40からの照明光は、荷棚30の底面32で反射した後、荷棚30の底面32と照明用カバー50とによって形成された開口部αを通って車室15内に出射される。このような構成により、照明用光源40は、車室15内の間接照明として機能し、荷棚30の底面32での照明光の反射によって広範囲かつ均一に車室15を照らすことができる。したがって、この鉄道車両1では、照明用光源40の点数の増加を抑制しつつ、車室15を広範囲に均一に照らすことが可能となる。
【0042】
荷棚30の底面32において、照明光の少なくとも一部が反射される反射面は、凹状又は凸状の湾曲面34となっており、照明光の少なくとも一部は、湾曲面34で反射した後に、開口部αを通って車室15内に出射されている。このため、湾曲面34で照明光を反射させることにより、照明光をより広範囲に拡散させることができる。
【0043】
照明光の少なくとも一部は、開口部αを通った後に、側壁で反射される。このため、照明光の拡散範囲を更に向上できる。
【0044】
荷棚30の先端部分には、荷ずれ防止部材35が設けられ、照明用カバー50は、荷ずれ防止部材35に取り付けられたヒンジ60を介し、荷棚30に対して回動可能に結合している。このため、照明用カバー50の回動により、照明用光源40の点検等を容易に実施できる。また、照明用カバー50の回動に用いるヒンジ60を荷ずれ防止部材35に対して取り付けることにより、荷棚30の構成の複雑化も回避できる。
【0045】
照明用カバー50を荷棚30に対して係止するラッチ70を更に備え、照明用光源40は、少なくともラッチ70によって照明用カバー50が荷棚30に係止された状態においてラッチ70よりも開口部α側に位置している。このため、ラッチ70によって照明用カバー50を簡便に係止する構成を実現できる。また、照明用カバー50が荷棚30に係止された状態において照明用光源40をラッチ70よりも開口部α側に位置させることにより、照明光がラッチ70によって遮られてしまうことを防止できる。
【0046】
照明用カバー50は、照明用光源40の配置空間と車室15とを連通させるスリット52を有している。このため、スリット52から出射する光を照明光とは別の用途に活用することができる。例えばスリット52から出射した光を駅到着の報知灯や非常時の誘導灯として用いることができる。
【0047】
照明用光源40は、LED光源である。LED光源では、照明光の指向性が比較的高いものとなる。したがって、上記構成を適用することにより、低消費電力及び長寿命といったLED光源の特性を活かしながら、車室15を広範囲に均一に照らすことが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…鉄道車両、15…車室、30…荷棚、32…底面、34…湾曲面、35…荷ずれ防止部材、40…照明用光源、50…照明用カバー、52…スリット、70…ラッチ、60…ヒンジ、α…開口部。