(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】コネクタ組立体、コネクタ組立体のコネクタ対、及び、コネクタ組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/61 20110101AFI20221118BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
H01R12/61
H01R43/00 B
(21)【出願番号】P 2018202896
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵介
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-017849(JP,U)
【文献】実開平06-013084(JP,U)
【文献】特開2004-055977(JP,A)
【文献】特開2019-023957(JP,A)
【文献】実開昭57-072580(JP,U)
【文献】特開2009-199809(JP,A)
【文献】特開昭64-071082(JP,A)
【文献】国際公開第2010/086956(WO,A1)
【文献】米国特許第4630362(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R43/00-43/021
H01R43/027-43/28
H01R12/00-12/91
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ組立体の製造方法であって、
第1コネクタと、第1配線シートと、第2配線シートと、第2コネクタとを準備する準備工程であって、前記第1コネクタは、受容部を有しており、前記第1配線シートは、第1主部と、前記第1主部から離れている第1変形可能部と、前記第1主部と前記第1変形可能部とを互いに連結する第1連結部と、前記第1変形可能部に設けられた第1接点とを有しており、前記第2配線シートは、第2主部と、前記第2主部から離れている第2変形可能部と、前記第2主部と前記第2変形可能部とを互いに連結する第2連結部と、前記第2変形可能部に設けられた第2接点と、前記第2配線シートを貫通するシート通過孔とを有しており、前記第2コネクタは、被受容部と、前記第2コネクタを貫通するコネクタ通過孔とを有しており、前記受容部及び前記被受容部の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられている、準備工程と、
前記第1コネクタ、前記第1配線シート、前記第2配線シート及び前記第2コネクタを、上下方向において下からこの順に並ぶように配置する配置工程であって、前記受容部、前記第1変形可能部、前記第2変形可能部及び前記被受容部が前記上下方向に沿って一列に並び、前記第2接点が前記上下方向において前記第1接点と対向又は接触し、且つ、前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔が前記上下方向に沿って並んで前記第1配線シートの一部の真上に位置するようにする、配置工程と、
前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔を通して前記第1配線シートを下方に押し、これにより、前記第1主部を下方に移動させつつ、前記第1変形可能部を変形させる第1押工程と、
前記第1押工程を開始した後に、前記第2コネクタを下方に移動させることで前記被受容部によって前記第2変形可能部を下方に押し、これにより、前記第2主部を下方に移動させつつ、前記第2変形可能部を変形させる第2押工程と、
前記第2コネクタを更に下方に移動させ、変形した前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を前記被受容部によって押しつつ、前記被受容部を前記受容部の内部に受容させる受容工程とを備えており、
前記受容工程が終了したとき、前記第1接点及び前記第2接点は、前記受容部の内部に位置して互いに接触しており、前記第1接点と前記第2接点との間の接触は、前記弾性部の弾性力によって維持される
コネクタ組立体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ組立体の製造方法であって、
前記シート通過孔は、前記第2変形可能部に形成されており、
前記コネクタ通過孔は、前記被受容部に形成されており、
前記第1押工程において、前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔を通して前記第1変形可能部を下方に押す
コネクタ組立体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタ組立体の製造方法であって、
第1押部と第2押部とを有する押治具を下方に移動する移動工程を備えており、
前記第1押部は、前記第2押部を越えて下方に突出しており、
前記第1押工程及び前記第2押工程の夫々は、前記移動工程の一部であり、
前記第1押工程において、前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔を通して下方に通過させた前記第1押部によって前記第1配線シートを下方に押し、
前記第2押工程において、前記第2押部によって前記第2コネクタを下方に押して移動させる
コネクタ組立体の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のコネクタ組立体の製造方法であって、
前記第1コネクタは、保持部材と、弾性部材とを備えており、
前記弾性部材は、前記保持部材に保持されており、
前記保持部材は、凹部を有しており、
前記受容部は、前記凹部と、前記弾性部として機能する前記弾性部材とから形成されており、
前記弾性部材は、少なくとも2つの突部と、弾性支持部とを有しており、
前記2つの突部は、少なくとも部分的に前記凹部の内部に位置しており、且つ、前記上下方向と直交する水平方向において対向しており、
前記弾性支持部は、前記突部の夫々を支持しており、
前記第2押工程は、前記第1押工程によって前記第1変形可能部が変形し始めた後であって、且つ、前記第1変形可能部の上端が前記突部の上方に位置しているときに開始される
コネクタ組立体の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のコネクタ組立体の製造方法であって、
前記受容部には、底部が設けられており、
前記底部は、前記受容部の下端に位置しており、
前記第1押工程が終了したとき、前記第1変形可能部は、前記底部と接触しており、
前記第2押工程は、前記第1押工程によって前記第1変形可能部が変形し始めた後であって、且つ、前記第1変形可能部が前記底部と接触する前に開始される
コネクタ組立体の製造方法。
【請求項6】
第1コネクタと、第1配線シートと、第2配線シートと、第2コネクタとを備えたコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、受容部を有しており、
前記第1配線シートは、第1主部と、第1変形可能部と、第1連結部と、第1接点とを有しており、
前記第1変形可能部は、前記第1主部から離れており、
前記第1連結部は、前記第1主部と前記第1変形可能部とを互いに連結しており、
前記第1接点は、前記第1変形可能部に設けられており、
前記第2配線シートは、第2主部と、第2変形可能部と、第2連結部と、第2接点と、シート通過孔とを有しており、
前記第2変形可能部は、前記第2主部から離れており、
前記第2連結部は、前記第2主部と前記第2変形可能部とを互いに連結しており、
前記第2接点は、前記第2変形可能部に設けられており、
前記シート通過孔は、前記第2配線シートを貫通しており、
前記第2コネクタは、被受容部と、コネクタ通過孔とを有しており、
前記コネクタ通過孔は、前記第2コネクタを貫通しており、
前記受容部及び前記被受容部の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられており、
前記第1コネクタ、前記第1配線シート、前記第2配線シート及び前記第2コネクタは、上下方向において下からこの順に並ぶように配置されており、
前記被受容部は、前記受容部の内部に受容され、前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を押しており、
前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔は、前記上下方向に沿って並んで前記第1配線シートの一部の真上に位置しており、
これにより、前記コネクタ組立体を組み立てる際に前記第1変形可能部の変形開始タイミングと前記第2変形可能部の変形開始タイミングとをずらして前記第1接点及び前記第2接点を互いに擦り付けることが可能であり、
前記第1接点及び前記第2接点は、前記受容部の内部に位置して互いに接触しており、前記第1接点と前記第2接点との間の接触は、前記弾性部の弾性力によって維持されている
コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタ組立体であって、
前記シート通過孔は、前記
第2変形可能部に形成されており、
前記コネクタ通過孔は、前記被受容部に形成されている
コネクタ組立体。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、保持部材と、弾性部材とを備えており、
前記弾性部材は、前記保持部材に保持されており、
前記保持部材は、凹部を有しており、
前記受容部は、前記凹部と、前記弾性部として機能する前記弾性部材とから形成されており、
前記弾性部材は、少なくとも2つの突部と、弾性支持部とを有しており、
前記2つの突部は、少なくとも部分的に前記凹部の内部に位置しており、且つ、前記上下方向と直交する水平方向において対向しており、
前記弾性支持部は、前記突部の夫々を支持しており、
前記被受容部は、前記水平方向において、前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を介して、2つの前記突部に挟み込まれている
コネクタ組立体。
【請求項9】
請求項8記載のコネクタ組立体であって、
前記弾性部材は、金属製のばねである
コネクタ組立体。
【請求項10】
請求項6から請求項9までのいずれかに記載のコネクタ組立体であって、
前記第1配線シートは、複数の前記第1変形可能部と、複数の前記第1連結部とを有しており、
前記第1変形可能部の夫々は、前記第1連結部のうちの2つによって前記第1主部に連結されており、
前記第1変形可能部の夫々と前記第1主部との間には、2つの第1スリットが形成されており、
前記第2配線シートは、複数の前記第2変形可能部と、複数の前記第2連結部とを有しており、
前記第2変形可能部の夫々は、前記第2連結部のうちの2つによって前記第2主部に連結されており、
前記第2変形可能部の夫々と前記第2主部との間には、2つの第2スリットが形成されており、
前記シート通過孔は、前記第2スリットの夫々から離れた部位に形成されている
コネクタ組立体。
【請求項11】
請求項6から請求項10までのいずれかに記載のコネクタ組立体の第1コネクタ及び第2コネクタとして夫々使用可能な2つのコネクタを備えたコネクタ対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタと、第1配線シートと、第2配線シートと、第2コネクタとを備えたコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのコネクタ組立体は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
図24を参照すると、特許文献1のコネクタ組立体90は、支持板(第1コネクタ)92と、フレキシブルプリント基板(第1配線シート)94と、フレキシブルプリント基板(第2配線シート)96と、弾性シート(第2コネクタ)98と、押え板99とを備えている。第1コネクタ92には、2つの孔922が形成されており、第2コネクタ98には、孔922に夫々対応する2つの孔982が形成されている。第1配線シート94には、孔922に夫々対応する2つの孔942と、複数の配線パターン948とが形成されている。第2配線シート96には、孔922に夫々対応する2つの孔962と、配線パターン948に夫々対応する複数の配線パターン968とが形成されている。押え板99は、孔922に夫々対応する2つの係止片992を有している。
【0004】
コネクタ組立体90を組み立てる際、押え板99の係止片992の夫々は、対応する孔982、孔962、孔942及び孔922を通した後に折り曲げられ、これにより、第1配線シート94及び第2配線シート96は、互いに密着する(図示せず)。このとき、配線パターン948の端子949は、配線パターン968の端子969と夫々接触する。この結果、第1配線シート94と第2配線シート96とは、互いに電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、2つの配線シートの端子を接触させる際、端子に付着した汚染物や端子に形成された酸化膜等の異物に起因して、2つの配線シートの間の良好な電気的接続が得られない場合がある。従って、コネクタ組立体を特許文献1に開示されたように組み立てる場合、組み立て工程の前に、第1配線シート及び第2配線シートの夫々に対して、異物を除去するためのクリーニング工程を行う必要がある。しかしながら、このようなクリーニング工程を行うと、コネクタ組立体の製造工数が増大する。即ち、コネクタ組立体の製造に要する時間及びコストが増大する。
【0007】
そこで、本発明は、製造時に特別なクリーニング工程を行うことなく、第1配線シートと第2配線シートとの間の良好な電気的接続が得られるコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コネクタ組立体の第1の製造方法として、
第1コネクタと、第1配線シートと、第2配線シートと、第2コネクタとを準備する準備工程であって、前記第1コネクタは、受容部を有しており、前記第1配線シートは、第1主部と、前記第1主部から離れている第1変形可能部と、前記第1主部と前記第1変形可能部とを互いに連結する第1連結部と、前記第1変形可能部に設けられた第1接点とを有しており、前記第2配線シートは、第2主部と、前記第2主部から離れている第2変形可能部と、前記第2主部と前記第2変形可能部とを互いに連結する第2連結部と、前記第2変形可能部に設けられた第2接点と、前記第2配線シートを貫通するシート通過孔とを有しており、前記第2コネクタは、被受容部と、前記第2コネクタを貫通するコネクタ通過孔とを有しており、前記受容部及び前記被受容部の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられている、準備工程と、
前記第1コネクタ、前記第1配線シート、前記第2配線シート及び前記第2コネクタを、上下方向において下からこの順に並ぶように配置する配置工程であって、前記受容部、前記第1変形可能部、前記第2変形可能部及び前記被受容部が前記上下方向に沿って一列に並び、前記第2接点が前記上下方向において前記第1接点と対向又は接触し、且つ、前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔が前記上下方向に沿って並んで前記第1配線シートの一部の真上に位置するようにする、配置工程と、
前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔を通して前記第1配線シートを下方に押し、これにより、前記第1主部を下方に移動させつつ、前記第1変形可能部を変形させる第1押工程と、
前記第1押工程を開始した後に、前記第2コネクタを下方に移動させることで前記被受容部によって前記第2変形可能部を下方に押し、これにより、前記第2主部を下方に移動させつつ、前記第2変形可能部を変形させる第2押工程と、
前記第2コネクタを更に下方に移動させ、変形した前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を前記被受容部によって押しつつ、前記被受容部を前記受容部の内部に受容させる受容工程とを備えており、
前記受容工程が終了したとき、前記第1接点及び前記第2接点は、前記受容部の内部に位置して互いに接触しており、前記第1接点と前記第2接点との間の接触は、前記弾性部の弾性力によって維持される
コネクタ組立体の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、コネクタ組立体の第2の製造方法として、第1の製造方法であって、
前記シート通過孔は、前記第2変形可能部に形成されており、
前記コネクタ通過孔は、前記被受容部に形成されており、
前記第1押工程において、前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔を通して前記第1変形可能部を下方に押す
コネクタ組立体の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、コネクタ組立体の第3の製造方法として、第1又は第2の製造方法であって、
第1押部と第2押部とを有する押治具を下方に移動する移動工程を備えており、
前記第1押部は、前記第2押部を越えて下方に突出しており、
前記第1押工程及び前記第2押工程の夫々は、前記移動工程の一部であり、
前記第1押工程において、前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔を通して下方に通過させた前記第1押部によって前記第1配線シートを下方に押し、
前記第2押工程において、前記第2押部によって前記第2コネクタを下方に押して移動させる
コネクタ組立体の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、コネクタ組立体の第4の製造方法として、第1から第3までのいずれかの製造方法であって、
前記第1コネクタは、保持部材と、弾性部材とを備えており、
前記弾性部材は、前記保持部材に保持されており、
前記保持部材は、凹部を有しており、
前記受容部は、前記凹部と、前記弾性部として機能する前記弾性部材とから形成されており、
前記弾性部材は、少なくとも2つの突部と、弾性支持部とを有しており、
前記2つの突部は、少なくとも部分的に前記凹部の内部に位置しており、且つ、前記上下方向と直交する水平方向において対向しており、
前記弾性支持部は、前記突部の夫々を支持しており、
前記第2押工程は、前記第1押工程によって前記第1変形可能部が変形し始めた後であって、且つ、前記第1変形可能部の上端が前記突部の上方に位置しているときに開始される
コネクタ組立体の製造方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、コネクタ組立体の第5の製造方法として、第1から第4までのいずれかの製造方法であって、
前記受容部には、底部が設けられており、
前記底部は、前記受容部の下端に位置しており、
前記第1押工程が終了したとき、前記第1変形可能部は、前記底部と接触しており、
前記第2押工程は、前記第1押工程によって前記第1変形可能部が変形し始めた後であって、且つ、前記第1変形可能部が前記底部と接触する前に開始される
コネクタ組立体の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、コネクタ組立体の第6の製造方法として、
第1コネクタと、第1配線シートと、第2配線シートと、第2コネクタとを準備する準備工程であって、前記第1コネクタは、受容部を有しており、前記第1配線シートは、第1主部と、前記第1主部から離れている第1変形可能部と、前記第1主部と前記第1変形可能部とを互いに連結する第1連結部と、前記第1変形可能部に設けられた第1接点とを有しており、前記第2配線シートは、第2主部と、前記第2主部から離れている第2変形可能部と、前記第2主部と前記第2変形可能部とを互いに連結する第2連結部と、前記第2変形可能部に設けられた第2接点とを有しており、前記第2コネクタは、被受容部を有している、準備工程と、
前記第1コネクタ、前記第1配線シート、前記第2配線シート及び前記第2コネクタを、上下方向において下からこの順に並ぶように配置する配置工程であって、前記受容部、前記第1変形可能部、前記第2変形可能部及び前記被受容部が前記上下方向に沿って一列に並び、前記第2接点が前記上下方向において前記第1接点と対向又は接触するように配置する、配置工程と、
第1押部と第2押部とを有する押治具を下方に移動し続ける移動工程とを備えており、
前記第1押部は、前記第2押部を越えて下方に突出しており、
前記移動工程において、前記第1押部は、前記押治具の下方への移動に伴って前記第1配線シートを下方に押し、これにより前記第1変形可能部を変形させ、前記第2押部は、前記第1変形可能部が変形し始めた後に、前記押治具の下方への更なる移動に伴って前記第2コネクタを下方に押して移動させることで、前記被受容部によって前記第2変形可能部を下方に押して変形させ、変形した前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を前記被受容部によって押しつつ、前記被受容部を前記受容部の内部に受容させ、これにより、前記第1接点及び前記第2接点を前記受容部の内部に位置させて互いに接触させる
コネクタ組立体の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、第1のコネクタ組立体として、
第1コネクタと、第1配線シートと、第2配線シートと、第2コネクタとを備えたコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、受容部を有しており、
前記第1配線シートは、第1主部と、第1変形可能部と、第1連結部と、第1接点とを有しており、
前記第1変形可能部は、前記第1主部から離れており、
前記第1連結部は、前記第1主部と前記第1変形可能部とを互いに連結しており、
前記第1接点は、前記第1変形可能部に設けられており、
前記第2配線シートは、第2主部と、第2変形可能部と、第2連結部と、第2接点と、シート通過孔とを有しており、
前記第2変形可能部は、前記第2主部から離れており、
前記第2連結部は、前記第2主部と前記第2変形可能部とを互いに連結しており、
前記第2接点は、前記第2変形可能部に設けられており、
前記シート通過孔は、前記第2配線シートを貫通しており、
前記第2コネクタは、被受容部と、コネクタ通過孔とを有しており、
前記コネクタ通過孔は、前記第2コネクタを貫通しており、
前記受容部及び前記被受容部の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられており、
前記第1コネクタ、前記第1配線シート、前記第2配線シート及び前記第2コネクタは、上下方向において下からこの順に並ぶように配置されており、
前記被受容部は、前記受容部の内部に受容され、前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を押しており、
前記コネクタ通過孔及び前記シート通過孔は、前記上下方向に沿って並んで前記第1配線シートの一部の真上に位置しており、
前記第1接点及び前記第2接点は、前記受容部の内部に位置して互いに接触しており、前記第1接点と前記第2接点との間の接触は、前記弾性部の弾性力によって維持されている
コネクタ組立体を提供する。
【0015】
また、本発明は、第2のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記シート通過孔は、前記第1変形可能部に形成されており、
前記コネクタ通過孔は、前記被受容部に形成されている
コネクタ組立体を提供する。
【0016】
また、本発明は、第3のコネクタ組立体として、第1又は第2のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、保持部材と、弾性部材とを備えており、
前記弾性部材は、前記保持部材に保持されており、
前記保持部材は、凹部を有しており、
前記受容部は、前記凹部と、前記弾性部として機能する前記弾性部材とから形成されており、
前記弾性部材は、少なくとも2つの突部と、弾性支持部とを有しており、
前記2つの突部は、少なくとも部分的に前記凹部の内部に位置しており、且つ、前記上下方向と直交する水平方向において対向しており、
前記弾性支持部は、前記突部の夫々を支持しており、
前記被受容部は、前記水平方向において、前記第1変形可能部及び前記第2変形可能部を介して、2つの前記突部に挟み込まれている
コネクタ組立体を提供する。
【0017】
また、本発明は、第4のコネクタ組立体として、第3のコネクタ組立体であって、
前記弾性部材は、金属製のばねである
コネクタ組立体を提供する。
【0018】
また、本発明は、第5のコネクタ組立体として、第1から第4までのいずれかのコネクタ組立体であって、
前記第1配線シートは、複数の前記第1変形可能部と、複数の前記第1連結部とを有しており、
前記第1変形可能部の夫々は、前記第1連結部のうちの2つによって前記第1主部に連結されており、
前記第1変形可能部の夫々と前記第1主部との間には、2つの第1スリットが形成されており、
前記第2配線シートは、複数の前記第2変形可能部と、複数の前記第2連結部とを有しており、
前記第2変形可能部の夫々は、前記第2連結部のうちの2つによって前記第2主部に連結されており、
前記第2変形可能部の夫々と前記第2主部との間には、2つの第2スリットが形成されており、
前記シート通過孔は、前記第2スリットの夫々から離れた部位に形成されている
コネクタ組立体を提供する。
【0019】
また、本発明は、第1のコネクタ対として、
第1から第5までのいずれかに記載のコネクタ組立体の第1コネクタ及び第2コネクタとして夫々使用可能な2つのコネクタを備えた
コネクタ対を提供する。
【0020】
また、本発明は、第2のコネクタ対として、
第1コネクタと、第2コネクタとを備えたコネクタ対であって、
前記第1コネクタは、受容部を有しており、
前記第2コネクタは、被受容部と、コネクタ通過孔とを有しており、
前記コネクタ通過孔は、前記第2コネクタを貫通しており、
前記受容部及び前記被受容部の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられており、
前記受容部は、前記被受容部を受容可能である
コネクタ対を提供する。
【0021】
また、本発明は、第3のコネクタ対として、第2のコネクタ対であって、
前記コネクタ通過孔は、前記被受容部を貫通している
コネクタ対を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1押工程において第1変形可能部が変形し始めた後に、第2押工程において第2変形可能部が変形し始める。また、その後の受容工程において、変形した第1変形可能部及び第2変形可能部を被受容部が押し、第1接点及び第2接点は互いに接触する。以上のように第1変形可能部の変形開始タイミングと第2変形可能部の変形開始タイミングとをずらすことにより、第1接点及び第2接点は、互いに擦り付けられつつ接触する。この結果、第1接点及び第2接点は、受容工程が終了するまでにクリーニングされる。即ち、本発明によれば、製造時に特別なクリーニング工程を行うことなく、第1配線シートと第2配線シートとの間の良好な電気的接続が得られるコネクタ組立体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体を示す分解斜視図である。第1配線シートの被押部の位置を破線で描画している。
【
図2】
図1のコネクタ組立体を、押治具を使用して組み立てた状態で、押治具と共に示す斜視図である。
【
図3】
図1のコネクタ組立体から
図2のコネクタ組立体を組み立てる製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1のコネクタ組立体の第1コネクタを示す上面図である。
【
図6】
図4の第1コネクタをVI-VI線に沿って示す断面図である。
【
図7】
図1のコネクタ組立体の第1配線シートを示す上面図である。被押部の位置を破線で描画している。
【
図9】
図1のコネクタ組立体の第2配線シートを示す上面図である。
【
図10】
図9の第2配線シートを示す下面図である。
【
図11】
図1のコネクタ組立体の第2コネクタを示す上面図である。
【
図13】
図2の押治具を示す正面図である。押治具の内部に形成された支持孔の輪郭を1点鎖線で描画している。第1押部のうち支持孔の内部に収容された部位の輪郭を破線で描画している。
【
図15】
図3の製造方法の配置工程における
図1のコネクタ組立体及び
図2の押治具を示す側面図である。
【
図16】
図15のコネクタ組立体及び押治具をXVI-XVI線に沿って示す断面図である。第1配線シートの一部(破線で囲んだ部分)及び第2配線シートの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図17】
図15のコネクタ組立体及び押治具をXVII-XVII線に沿って示す断面図である。第2配線シートの一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図18】
図3の製造方法の第1押工程における
図16のコネクタ組立体及び押治具を示す断面図である。押治具の上部は描画していない。コネクタ組立体及び押治具の一部(破線Aで囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図19】
図3の製造方法の第1押工程における
図17のコネクタ組立体及び押治具の一部(
図18の破線Aで囲んだ部分に対応する部分)を示す断面図である。押治具の上部は描画していない。
【
図20】
図3の製造方法の第2押工程における
図18のコネクタ組立体及び押治具を示す断面図である。コネクタ組立体及び押治具の一部(破線Bで囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図21】
図3の製造方法の第2押工程における
図19のコネクタ組立体及び押治具の一部(
図20の破線Bで囲んだ部分に対応する部分)を示す断面図である。
【
図22】
図3の製造方法の受容工程終了時における
図20のコネクタ組立体及び押治具を示す断面図である。コネクタ組立体及び押治具の一部(破線Cで囲んだ部分)を拡大して描画している。
【
図23】
図3の製造方法の受容工程終了時における
図21のコネクタ組立体及び押治具の一部(
図22の破線Cで囲んだ部分に対応する部分)を示す断面図である。
【
図24】特許文献1のコネクタ組立体を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施の形態のコネクタ組立体10は、第1コネクタ20と、第1配線シート50と、第2配線シート60と、第2コネクタ70とを備えている。コネクタ組立体10は、第1配線シート50と第2配線シート60とを互いに電気的に接続するための組立体である。本実施の形態のコネクタ組立体10は、押治具80を使用して組み立てることができる。但し、本発明は、これに限られず、コネクタ組立体10は、様々な方法で組立可能である。
【0025】
図3を参照すると、本実施の形態のコネクタ組立体10(
図1及び
図2参照)は、準備工程(STEP1)、配置工程(STEP2)及び移動工程(STEP3)の少なくとも3つの工程を経て製造される。移動工程は、第1押工程(STEP31)、第2押工程(STEP32)及び受容工程(STEP33)の3つの部分工程を含んでいる。以下、本実施の形態のコネクタ組立体10の製造工程について、製造工程の開始順番に沿って説明する。
【0026】
図1を参照すると、まず、準備工程(
図3参照)において、第1コネクタ20と、第1配線シート50と、第2配線シート60と、第2コネクタ70とを準備する。以下、準備工程において準備された際の各部材の構造について説明する。
【0027】
図1及び
図4から
図6までを参照すると、本実施の形態の第1コネクタ20は、絶縁体からなる基部材30Bと、絶縁体からなる保持部材30と、金属製の4つの弾性部材(弾性部)40とを備えている。
図1、
図5及び
図6を参照すると、基部材30Bは、水平面(XY平面)と平行な平板形状を有している。保持部材30は、上下方向(Z方向)において基部材30Bの上に取り付けられている。
図6を参照すると、弾性部材40の夫々は、保持部材30及び基部材30Bによって保持されている。本実施の形態の第1コネクタ20は、上述の部材から形成されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、基部材30Bは、必要に応じて設ければよい。基部材30Bを設けない場合、弾性部材40の夫々は、保持部材30のみによって保持すればよい。一方、第1コネクタ20は、更に別の部材を備えていてもよい。
【0028】
図1、
図4及び
図5を参照すると、本実施の形態の保持部材30は、底部32と、6つの突出部34と、4つの凹部36とを有している。底部32は、XY平面と平行な平板形状を有している。底部32の上面(+Z側の面)は、XY平面と平行な平面である。6つの突出部34は、Z方向と直交する前後方向(X方向)において2列に分けられている。各列の3つの突出部34は、X方向及びZ方向の双方と直交する水平方向(Y方向)に並んでいる。突出部34の夫々は、底部32から上方(+Z方向)に突出している。凹部36の夫々は、Y方向において隣り合う2つの突出部34の間に位置する空間である。本実施の形態によれば、6つの突出部34が2×3のマトリックス状に配置されている。この配置により、4つの凹部36が形成されている。但し、保持部材30が1以上の凹部36を有している限り、突出部34の数及び配置は本実施の形態に限定されない。
【0029】
図1及び
図4を参照すると、各列の3つの突出部34は、端突出部(突出部)34Aと、端突出部(突出部)34Bと、中間突出部(突出部)34Cとから構成されている。端突出部34A及び端突出部34Bは、各列のY方向における両端に夫々位置している。中間突出部34Cは、Y方向において、端突出部34Aと端突出部34Bとの間の中間部に位置している。
【0030】
図1、
図4及び
図6を参照すると、突出部34の夫々は、収容部342を有している。収容部342は、突出部34の内部に形成された空間であり、上方及びY方向に開口している。詳しくは、端突出部34A及び端突出部34Bの夫々は、Y方向内側に開口した1つの収容部342を有している。一方、中間突出部34Cは、Y方向両側に夫々開口した2つの収容部342を有している。端突出部34A及び端突出部34Bは、XZ平面について互いに鏡対称な形状を有している。中間突出部34Cは、XZ平面について鏡対称な形状を有している。中間突出部34Cの2つの収容部342のうちの一方は、Y方向において、凹部36を挟んで端突出部34Aの収容部342と対向しており、中間突出部34Cの2つの収容部342のうちの他方は、Y方向において、凹部36を挟んで端突出部34Bの収容部342と対向している。
【0031】
図1及び
図4から
図6までを参照すると、4つの弾性部材40は、凹部36と夫々対応するように配置されている。
図4及び
図6を参照すると、4つの弾性部材40は、互いに同じ形状を有している。弾性部材40の夫々は、弾性支持部44と、4つの突部48とを有している。弾性支持部44は、突部48の夫々を支持している。
【0032】
詳しくは、弾性支持部44は、被保持部442と、4つの突部48に夫々対応する4つのばね部448とを有している。被保持部442は、Z方向において底部32と基部材30Bとの間に挟み込まれており、全体としてY方向に沿って延びている。4つのばね部448のうちの2つは、被保持部442のY方向における両端の一方に設けられており、X方向に並んでいる。4つのばね部448のうちの他の2つは、被保持部442のY方向における両端の他方に設けられており、X方向に並んでいる。ばね部448の夫々は、被保持部442から上方に延びており、対応する突部48を支持している。4つの突部48のうちの2つは、4つの突部48のうちの他の2つと、Y方向において夫々対向している。ばね部448の夫々は、弾性変形可能である。突部48は、ばね部448からY方向内側に突出しており、ばね部448の弾性変形に伴って、Y方向に移動可能である。
【0033】
図1及び
図4を参照すると、本実施の形態の第1コネクタ20は、4つの凹部36に夫々対応する4つの受容部22を有している。受容部22は、互いに同じ構造を有している。受容部22の夫々は、凹部36と、弾性部材40とから形成されている。弾性部材40の突部48の夫々は、部分的に収容部342の内部に位置しており、且つ、部分的に凹部36の内部に位置している。また、受容部22の夫々には、底部32が設けられている。底部32は、受容部22の下端(-Z側の端)に位置している。
【0034】
図1を参照すると、受容部22の凹部36は、第2コネクタ70を、第1配線シート50の一部及び第2配線シート60の一部と共に部分的に受容するための部位である。また、受容部22の弾性部材40は、凹部36に受容された部位を、ばね力によってY方向に挟み込むための部位である。上述のように機能する受容部22が設けられている限り、第1コネクタ20の構造は、様々に変形可能である。
【0035】
例えば、突出部34の夫々は、弾性体から形成されていてもよい。この場合、突出部34は、互いに同じ形状を有していてもよい。また、この場合、第1コネクタ20は、弾性部材40を備えていなくてもよい。即ち、受容部22の夫々は、対応する凹部36のみから形成されていてもよい。
図4を参照すると、弾性部材40の夫々は、突部48を2つのみ有していてもよい。より具体的には、本実施の形態においてX方向に並んでいる2つのばね部448は、互いに繋がった1つの部位であってもよい。また、本実施の形態においてX方向に並んでいる2つの突部48は、互いに繋がった1つの部位であってもよい。即ち、弾性部材40の夫々は、少なくとも2つの突部48を有していればよい。2つの突部48は、少なくとも部分的に凹部36の内部に位置していてもよく、且つ、Y方向において対向していてもよい。
【0036】
図1、
図7及び
図8を参照すると、本実施の形態の第1配線シート50は、絶縁体からなる第1絶縁シート52と、導電体からなる8つの第1導電パターン54と、絶縁体からなる2つの第1補強板58とを備えている。第1絶縁シート52は、XY平面と平行に延びる薄いシートである。第1補強板58は、第1絶縁シート52のY方向における両端に夫々取り付けられている。第1導電パターン54は、第1絶縁シート52の上面に形成されている。
【0037】
図1及び
図7を参照すると、第1配線シート50は、第1絶縁シート52と第1導電パターン54とからなるFPC(flexible printed circuits)を備えている。第1配線シート50のFPCは、可撓性を有しており、且つ、破断することなく折り曲げ可能である。
図1及び
図8を参照すると、本実施の形態の第1補強板58は、第1配線シート50の撓みやすいFPCを補強して平面上を延びるように支持している。但し、第1補強板58は、必要に応じて設ければよい。即ち、第1配線シート50全体がFPCであってもよい。一方、第1配線シート50は、更に別の部材を備えていてもよい。
【0038】
図1、
図7及び
図8を参照すると、第1配線シート50は、第1主部522と、第1変形可能部524と、第1連結部526とを有している。詳しくは、本実施の形態の第1絶縁シート52は、第1主部522と、4つの第1変形可能部524と、8つの第1連結部526とを有している。本実施の形態の第1主部522は、XY平面に沿って連続して延びる単一の部位である。但し、第1主部522は、互いに分離した2以上の部位を含んでいてもよい。また、第1変形可能部524及び第1連結部526の数や配置は、本実施の形態に限定されない。
【0039】
図8を参照すると、第1絶縁シート52には、6つの第1スリット528が形成されている。第1スリット528の夫々は、第1絶縁シート52をZ方向に貫通している。6つの第1スリット528は、X方向において2列に分けられている。各列の3つの第1スリット528は、Y方向に並んでいる。各列において、Y方向における中間部に位置する第1スリット528は、H字形状を有している。一方、各列において、Y方向における両端部に夫々位置する2つの第1スリット528は、互いに向い合うように配置されたC字形状を夫々有している。
【0040】
第1変形可能部524の夫々は、第1主部522から離れている。また、第1連結部526の夫々は、X方向に延びており、第1主部522と、第1変形可能部524のうちの1つとを互いに連結している。詳しくは、本実施の形態によれば、第1変形可能部524の夫々は、第1スリット528のうちの2つによって、第1主部522から殆ど切り離されている一方、第1連結部526のうちの2つによって、第1主部522に連結されている。換言すれば、第1変形可能部524の夫々と第1主部522との間には、2つの第1スリット528が形成されており、これにより、第1変形可能部524の夫々は、2つの第1連結部526のみによって第1主部522に連結されている。
【0041】
本実施の形態の第1変形可能部524の夫々は、XY平面において矩形形状を有している。第1変形可能部524の夫々について、2つの第1連結部526は、第1変形可能部524のY方向における中間部に位置しており、且つ、第1変形可能部524のX方向における両辺を第1主部522に夫々連結している。換言すれば、本実施の形態の第1変形可能部524の夫々は、第1連結部526からY方向両側に夫々突出した2つの部位を有している。但し、第1変形可能部524の構造は、必要に応じて様々に変形可能である。
【0042】
図1を参照すると、4つの第1変形可能部524は、第1コネクタ20の4つの受容部22に夫々対応して設けられている。より具体的には、第1配線シート50を、第1変形可能部524が受容部22の真上に夫々位置するようにして、第1コネクタ20の上方に配置できる。
図1及び
図8を参照すると、上述した第1絶縁シート52の構造は、受容部22に夫々対応する第1変形可能部524と、第1主部522と第1変形可能部524とを互いに連結する第1連結部526とが設けられている限り、特に限定されない。例えば、第1変形可能部524の夫々は、1つの第1連結部526のみによって、第1主部522に連結されていてもよい。即ち、第1配線シート50は、受容部22に夫々対応する複数の第1変形可能部524と、第1変形可能部524に夫々対応する複数の第1連結部526とを有していればよい。
【0043】
図1及び
図7を参照すると、第1導電パターン54の夫々は、第1端子部542と、第1パターン部544と、第1接点546とを有している。第1端子部542の夫々は、第1絶縁シート52のY方向における端部に配置されており、コネクタ組立体10の使用時に第1対象物(図示せず)に接続される。第1接点546の夫々は、第1変形可能部524のうちの1つに配置されている。第1パターン部544の夫々は、第1端子部542と第1接点546とを互いに連結している。図示した第1端子部542及び第1パターン部544は、上方に露出している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1端子部542及び第1パターン部544をレジストによって覆ってもよい。
【0044】
図7を参照すると、本実施の形態において、8つの第1接点546は、4つの第1変形可能部524に夫々対応する4対の第1接点対に分かれている。第1接点対の夫々は、2つの第1接点546から構成されている。第1接点対の夫々は、対応する第1変形可能部524の上面に形成されている。第1接点対の夫々における2つの第1接点546は、対応する第1変形可能部524のX方向における両側に夫々位置している。詳しくは、第1接点対の夫々における2つの第1接点546は、X方向において互いに離れており、且つ、Y方向に沿って互いに平行に延びている。
【0045】
上述したように、第1配線シート50は、第1変形可能部524に夫々設けられた複数の第1接点対(即ち、複数対の第1接点546)を有している。第1変形可能部524の夫々における第1接点対の配置は、本実施の形態に限定されず、様々に変形可能である。例えば、第1接点対の夫々における2つの第1接点546は、Y方向において互いに離れており、且つ、X方向に沿って互いに平行に延びていてもよい。また、第1変形可能部524の夫々には、第1接点対に代えて、1つの第1接点546のみが設けられていてもよい。即ち、第1変形可能部524の夫々には、少なくとも1つの第1接点546が設けられていればよい。
【0046】
図1、
図9及び
図10を参照すると、本実施の形態の第2配線シート60は、絶縁体からなる第2絶縁シート62と、導電体からなる8つの第2導電パターン64と、絶縁体からなる2つの第2補強板68とを備えている。第2絶縁シート62は、XY平面と平行に延びる薄いシートである。第2補強板68は、第2絶縁シート62のY方向における両端に夫々取り付けられている。
図1及び
図10を参照すると、第2導電パターン64は、第1配線シート50の第1導電パターン54と夫々対応しており、第2絶縁シート62の下面(-Z側の面)に形成されている。
【0047】
図10を参照すると、第2配線シート60は、第2絶縁シート62と第2導電パターン64とからなるFPCを備えている。第2配線シート60のFPCは、可撓性を有しており、且つ、破断することなく折り曲げ可能である。本実施の形態の第2補強板68は、第2配線シート60の撓みやすいFPCを補強して平面上を延びるように支持している。但し、第2補強板68は、必要に応じて設ければよい。即ち、第2配線シート60全体がFPCであってもよい。一方、第2配線シート60は、更に別の部材を備えていてもよい。
【0048】
図1、
図9及び
図10を参照すると、第2配線シート60は、第2主部622と、第2変形可能部624と、第2連結部626とを有している。詳しくは、本実施の形態の第2絶縁シート62は、第2主部622と、4つの第2変形可能部624と、8つの第2連結部626とを有している。本実施の形態の第2主部622は、XY平面に沿って連続して延びる単一の部位である。但し、第2主部622は、互いに分離した2以上の部位を含んでいてもよい。また、第2変形可能部624及び第2連結部626の数や配置は、本実施の形態に限定されない。
【0049】
図9を参照すると、第2絶縁シート62には、6つの第2スリット628が形成されている。第2スリット628の夫々は、第2絶縁シート62をZ方向に貫通している。6つの第2スリット628は、X方向において2列に分けられている。各列の3つの第2スリット628は、Y方向に並んでいる。各列において、Y方向における中間部に位置する第2スリット628は、H字形状を有している。一方、各列において、Y方向における両端部に夫々位置する2つの第2スリット628は、互いに向い合うように配置されたC字形状を夫々有している。
【0050】
第2変形可能部624の夫々は、第2主部622から離れている。また、第2連結部626の夫々は、X方向に延びており、第2主部622と、第2変形可能部624のうちの1つとを互いに連結している。詳しくは、本実施の形態によれば、第2変形可能部624の夫々は、第2スリット628のうちの2つによって、第2主部622から殆ど切り離されている一方、第2連結部626のうちの2つによって、第2主部622に連結されている。換言すれば、第2変形可能部624の夫々と第2主部622との間には、2つの第2スリット628が形成されており、これにより、第2変形可能部624の夫々は、2つの第2連結部626のみによって第2主部622に連結されている。
【0051】
本実施の形態の第2変形可能部624の夫々は、XY平面において矩形形状を有している。第2変形可能部624の夫々について、2つの第2連結部626は、第2変形可能部624のY方向における中間部に位置しており、且つ、第2変形可能部624のX方向における両辺を第2主部622に夫々連結している。換言すれば、本実施の形態の第2変形可能部624の夫々は、第2連結部626からY方向両側に夫々突出した2つの部位を有している。但し、第2変形可能部624の構造は、必要に応じて様々に変形可能である。
【0052】
図1を参照すると、4つの第2変形可能部624は、第1コネクタ20の4つの受容部22に夫々対応して設けられている。より具体的には、第2配線シート60を、第2変形可能部624が受容部22の真上に夫々位置するようにして、第1コネクタ20の上方に配置できる。上述した第2絶縁シート62の構造は、受容部22に夫々対応する第2変形可能部624と、第2主部622と第2変形可能部624とを互いに連結する第2連結部626とが設けられている限り、特に限定されない。例えば、第2変形可能部624の夫々は、1つの第2連結部626のみによって、第2主部622に連結されていてもよい。即ち、第2配線シート60は、受容部22に夫々対応する複数の第2変形可能部624と、第2変形可能部624に夫々対応する複数の第2連結部626とを有していればよい。
【0053】
図10を参照すると、第2導電パターン64の夫々は、第2端子部642と、第2パターン部644と、第2接点646とを有している。第2端子部642の夫々は、第2絶縁シート62のY方向における端部に配置されており、コネクタ組立体10(
図1参照)の使用時に第2対象物(図示せず)に接続される。第2接点646の夫々は、第2変形可能部624のうちの1つに配置されている。第2パターン部644の夫々は、第2端子部642と第2接点646とを互いに連結している。図示した第2端子部642及び第2パターン部644は、下方(-Z方向)に露出している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第2端子部642及び第2パターン部644をレジストによって覆ってもよい。
【0054】
本実施の形態において、8つの第2接点646は、4つの第2変形可能部624に夫々対応する4対の第2接点対に分かれている。第2接点対の夫々は、2つの第2接点646から構成されている。第2接点対の夫々は、対応する第2変形可能部624の下面に形成されている。第2接点対の夫々における2つの第2接点646は、対応する第2変形可能部624のX方向における両側に夫々位置している。詳しくは、第2接点対の夫々における2つの第2接点646は、X方向において互いに離れており、且つ、Y方向に沿って互いに平行に延びている。
【0055】
上述したように、第2配線シート60は、第2変形可能部624に夫々設けられた複数の第2接点対(即ち、複数対の第2接点646)を有している。第2変形可能部624の夫々における第2接点対の配置は、本実施の形態に限定されず、様々に変形可能である。例えば、第2接点対の夫々における2つの第2接点646は、Y方向において互いに離れており、且つ、X方向に沿って互いに平行に延びていてもよい。また、第2変形可能部624の夫々には、第2接点対に代えて、1つの第2接点646のみが設けられていてもよい。即ち、第2変形可能部624の夫々には、少なくとも1つの第2接点646が設けられていればよい。
【0056】
図1、
図9及び
図10を参照すると、本実施の形態の第2配線シート60は、4つのシート通過孔66を有している。シート通過孔66の夫々は、第2配線シート60をZ方向に貫通している。シート通過孔66の夫々は、第2スリット628の夫々から離れた部位に形成されている。換言すれば、シート通過孔66の夫々は、第2スリット628の夫々とは別の孔である。本実施の形態において、4つのシート通過孔66は、4つの第2変形可能部624に夫々対応して設けられている。詳しくは、シート通過孔66の夫々は、対応する第2変形可能部624のXY平面における中間部に形成されており、X方向において2つの第2接点646の間に位置している。
【0057】
図1を参照すると、本実施の形態の4つの第2変形可能部624は、第1配線シート50の4つの第1変形可能部524に夫々対応して設けられている。より具体的には、第2配線シート60を、第2変形可能部624が第1変形可能部524の真上に夫々位置するようにして、第1配線シート50の上方に配置できる。このとき、第2接点646の夫々は、対応する第1接点546の真上に位置し、且つ、シート通過孔66の夫々は、対応する第1変形可能部524の一部(被押部56)の真上に位置する。但し、シート通過孔66の数や配置は、本実施の形態に限定されない。
【0058】
図1、
図11及び
図12を参照すると、本実施の形態の第2コネクタ70は、絶縁体からなり、XY平面と平行な平板形状を有している。第2コネクタ70は、6つの受容孔72と、4つの被受容部74と、4つのコネクタ通過孔78とを有している。本実施の形態の第2コネクタ70は、上述の部位が形成された単一の部材である。但し、本発明は、これに限られず、第2コネクタ70は、複数の部材を備えていてもよい。
【0059】
図1を参照すると、受容孔72の夫々は、第2コネクタ70をZ方向に貫通する孔である。6つの受容孔72は、第1コネクタ20の6つの突出部34と夫々対応しており、突出部34と同様に配置されている。より具体的には、
図1、
図11及び
図12を参照すると、受容孔72は、X方向において2列に分けられている。各列の3つの受容孔72は、Y方向に並んでいる。被受容部74の夫々は、Y方向において隣り合う2つの受容孔72の間に位置している。各列の3つの受容孔72は、端受容孔(受容孔)72Aと、端受容孔(受容孔)72Bと、中間受容孔(受容孔)72Cとから構成されている。端受容孔72A及び端受容孔72Bは、各列のY方向における両端部に夫々位置している。中間受容孔72Cは、Y方向において、端受容孔72Aと端受容孔72Bとの間の中間部に位置している。
【0060】
図1を参照すると、受容孔72の夫々のXY平面における形状は、対応する突出部34のXY平面における形状に対応しており、受容孔72の夫々のXY平面におけるサイズは、対応する突出部34のXY平面におけるサイズよりも大きい。本実施の形態の受容孔72の夫々は、XY平面において矩形形状を有している。但し、受容孔72が突出部34を夫々受容可能である限り、受容孔72の形状は特に限定されず、受容孔72の数及び配置も特に限定されない。
【0061】
4つの被受容部74は、第1コネクタ20の4つの受容部22(凹部36)に夫々対応して設けられている。より具体的には、第2コネクタ70を、被受容部74が受容部22の真上に夫々位置するようにして、第1コネクタ20の上方に配置できる。被受容部74の夫々のXY平面における形状は、対応する凹部36のXY平面における形状に対応しており、被受容部74の夫々のXY平面におけるサイズは、対応する凹部36のXY平面におけるサイズよりも小さい。本実施の形態の被受容部74の夫々は、XY平面において矩形形状を有している。但し、凹部36が被受容部74を夫々受容可能である限り、被受容部74の形状は特に限定されず、被受容部74の数及び配置も特に限定されない。
【0062】
図1、
図11及び
図12を参照すると、コネクタ通過孔78の夫々は、第2コネクタ70をZ方向に貫通している。本実施の形態において、4つのコネクタ通過孔78は、4つの被受容部74に夫々対応して設けられている。
図1を参照すると、本実施の形態において、4つのコネクタ通過孔78は、第2配線シート60の4つの第2変形可能部624のシート通過孔66に夫々対応しており、且つ、第1配線シート50の4つの第1変形可能部524の被押部56に夫々対応している。
【0063】
より具体的には、コネクタ通過孔78の夫々は、対応する被受容部74のXY平面における中間部に形成されている。また、第2配線シート60を、第2変形可能部624が第1変形可能部524の真上に夫々位置するようにして、第1配線シート50の上方に配置し、且つ、第2コネクタ70を、被受容部74が第2変形可能部624の真上に夫々位置するようにして、第2配線シート60の上方に配置すると、コネクタ通過孔78の夫々は、対応するシート通過孔66及び対応する被押部56の真上に位置する。このとき、第2コネクタ70、第2配線シート60及び第1配線シート50をZ方向に沿って上方から見ると、コネクタ通過孔78及びシート通過孔66を通して被押部56を視認可能である。但し、コネクタ通過孔78の数や配置は、本実施の形態に限定されない。
【0064】
図1を参照すると、第1コネクタ20の受容部22の凹部36は、第2コネクタ70の被受容部74を、第1配線シート50の第1変形可能部524及び第2配線シート60の第2変形可能部624と共に受容するための部位である。また、受容部22の弾性部40は、凹部36に受容された被受容部74、第1変形可能部524及び第2変形可能部624を、ばね力によってY方向に挟み込むための部位である。本実施の形態によれば、受容部22には、弾性部40が設けられている一方、被受容部74には、弾性部が設けられていない。但し、本発明はこれに限られない。例えば、被受容部74には、弾性部が設けられている一方、受容部22には、弾性部40が設けられていなくてもよい。また、受容部22及び被受容部74の夫々に弾性部が設けられていてもよい。
【0065】
図1及び
図3を参照しつつ以上の説明を纏めると、本実施の形態のコネクタ組立体10の製造方法は、第1コネクタ20と、第1配線シート50と、第2配線シート60と、第2コネクタ70とを準備する準備工程であって、第1コネクタ20は、受容部22を有しており、第1配線シート50は、第1主部522と、第1主部522から離れている第1変形可能部524と、第1主部522と第1変形可能部524とを互いに連結する第1連結部526(
図8参照)と、第1変形可能部524に設けられた第1接点546とを有しており、第2配線シート60は、第2主部622と、第2主部622から離れている第2変形可能部624と、第2主部622と第2変形可能部624とを互いに連結する第2連結部626と、第2変形可能部624に設けられた第2接点646(
図10参照)と、第2配線シート60を貫通するシート通過孔66とを有しており、第2コネクタ70は、被受容部74と、第2コネクタ70を貫通するコネクタ通過孔78とを有しており、受容部22及び被受容部74の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられている、準備工程を備えている。
【0066】
図3及び
図15を参照すると、準備工程に続く配置工程において、第1コネクタ20、第1配線シート50、第2配線シート60及び第2コネクタ70は、Z方向において下からこの順に並ぶように配置される。第1コネクタ20は、例えば作業台(図示せず)のXY平面と平行な上面の上に置かれ、移動しないように仮保持される。第1配線シート50、第2配線シート60及び第2コネクタ70の夫々は、例えばZ方向に移動可能な支持具(図示せず)によって支持され、
図15に示す位置においてXY平面と平行に延びるように仮維持される。また、
図15を参照すると、本実施の形態の配置工程によれば、第2コネクタ70の上方に押治具80が配置される。
【0067】
図13及び
図14を参照すると、本実施の形態の押治具80は、絶縁体からなる本体部82と、絶縁体からなる4つの第1押部86と、第2押部88とを有している。本体部82の内部には、4つの第1押部86に夫々対応する4つの支持孔84が形成されている。また、本実施の形態によれば、本体部82の下端が第2押部88として機能する。
【0068】
第1押部86の夫々は、対応する支持孔84の内部に部分的に収容されている。第1押部86の夫々は、ばね機構(図示せず)によってZ方向に移動可能に支持されている。ばね機構は、第1押部86の夫々に対して、下方に向かう強い維持力を加えている。一方、第1押部86の夫々の下方への移動は、本体部82の下端部によって規制されている。この構造により、第1押部86の夫々は、ばね機構の維持力を超える強い力(上方移動力)によって上方に向かって押されない限り、
図13に示した位置に維持されており、第2押部88を越えて下方に突出している。このときの第1押部86の位置を初期位置という。初期位置にある第1押部86の夫々は、本体部82から初期突出量PLだけ下方に突出している。第1押部86の夫々は、上方移動力を受けると、維持力に抗いつつ上方に移動する。
【0069】
図13を参照すると、本実施の形態によれば、第1押部86の夫々は、本体部82によってZ方向に移動可能に支持されている一方、第2押部88は、本体部82の一部であり、本体部82に固定されている。従って、第1押部86の夫々は、本体部82と共にZ方向に移動可能であり、且つ、本体部82の第2押部88に対して相対的にZ方向に移動可能である。換言すれば、第2押部88は、本体部82と共にZ方向に移動可能であり、且つ、第1押部86の夫々に対して相対的にZ方向に移動可能である。第1押部86及び第2押部88が上述のように移動可能に設けられている限り、押治具80の構造は、特に限定されない。
【0070】
図11、
図14及び
図16を参照すると、4つの第1押部86は、第2コネクタ70の4つのコネクタ通過孔78に夫々対応して設けられている。本実施の形態の配置工程(
図3参照)によれば、押治具80を、第1押部86がコネクタ通過孔78の真上に夫々位置するようにして、第2コネクタ70の上方に配置する。
【0071】
図16を参照すると、配置工程(
図3参照)により、受容部22の夫々と、対応する第1変形可能部524と、対応する第2変形可能部624と、対応する被受容部74とは、Z方向に沿って一列に並び、且つ、コネクタ通過孔78の夫々と、対応するシート通過孔66とは、Z方向に沿って並んで第1配線シート50の一部(対応する被押部56)の真上に位置する。また、本実施の形態によれば、配置工程により、第2接点646の夫々は、Z方向において、対応する第1接点546と対向する。但し、第2接点646の夫々は、Z方向において、対応する第1接点546と接触していてもよい。
【0072】
以上の説明を纏めると、本実施の形態によるコネクタ組立体10の製造方法は、第1コネクタ20、第1配線シート50、第2配線シート60及び第2コネクタ70を、Z方向において下からこの順に並ぶように配置する配置工程(
図3参照)であって、受容部22、第1変形可能部524、第2変形可能部624及び被受容部74がZ方向に沿って一列に並び、第2接点646がZ方向において第1接点546と対向又は接触し、且つ、コネクタ通過孔78及びシート通過孔66がZ方向に沿って並んで第1配線シート50の一部(被押部56)の真上に位置するようにする、配置工程を備えている。
【0073】
図1、
図3及び
図16から
図23までを参照すると、本実施の形態の配置工程の結果、Z方向に沿って一列に並べられた受容部22、第1変形可能部524、第2変形可能部624、被受容部74及び第1押部86からなるセットが4つ形成される。本実施の形態によれば、配置工程に続く移動工程において、押治具80を下方に移動することで4つのセットの夫々において第1変形可能部524及び第2変形可能部624が変形され、これにより、コネクタ組立体10が組み立てられる。以下、配置工程によって形成された4つのセットのうちの1つに注目しつつ、移動工程について説明する。以下の説明は、4つのセットの全てについて成り立つ。
【0074】
図16から
図19までを参照すると、配置工程(
図3参照)に続いて、第2コネクタ70の上方に配置された押治具80を下方に移動する。押治具80を下方に移動し続けると、まず、第1押部86は、第2コネクタ70のコネクタ通過孔78を通過する。次に、第2押部88は、第2コネクタ70と接触し、第2コネクタ70は、押治具80と共に下方に移動する。次に、第1押部86は、第2配線シート60のシート通過孔66を通過する。次に、第2コネクタ70は、第2配線シート60と接触し、第2配線シート60は、押治具80及び第2コネクタ70と共に下方に移動する。次に、第1押部86は、第1配線シート50の被押部56と接触する。第1押部86と被押部56とが互いに接触したとき、第1押工程(
図3参照)が始まる。
【0075】
図18から
図21までを参照すると、押治具80を下方に移動し続けると、第1押部86は、第1配線シート50の被押部56を下方に押す。この結果、第1配線シート50は、押治具80、第2コネクタ70及び第2配線シート60と共に下方に移動し、第1コネクタ20と接触する。その後も、第1配線シート50の第1主部522は、下方に移動する。一方、第1配線シート50の第1変形可能部524は、第1押部86から受ける力によって、受容部22の弾性部材40に押しつけられつつ変形する。詳しくは、第1変形可能部524のY方向における両端部は、Y方向において凹部36を挟んでいる2つの突出部34と、弾性部材40の2つの突部48とから上方に向かう力を受けて上方に折れ曲がり、第1変形可能部524のY方向における中間部は、下方に移動して受容部22の内部に位置する。
【0076】
以上の説明を纏めると、本実施の形態によるコネクタ組立体10の製造方法は、コネクタ通過孔78及びシート通過孔66を通して第1配線シート50を下方に押し、これにより、第1主部522を下方に移動させつつ、第1変形可能部524を変形させる第1押工程(
図3参照)を備えている。
【0077】
図18及び
図20を参照すると、
図18に示した第1変形可能部524は、第1配線シート50が第1コネクタ20と接触するまで変形しない。但し、第1変形可能部524は、第1配線シート50が第1コネクタ20と接触する前に変形開始していてもよい。また、本実施の形態の第1押工程(
図3参照)によれば、第2配線シート60は、第1押工程の開始前に下方に移動開始している。この結果、第1配線シート50の第1主部522は、第1押工程において、第2配線シート60の第2主部622との間のZ方向における距離を保ちつつ下方に移動する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、配置工程(
図3及び
図16参照)における各部材の間の距離を調整することで、第1主部522は、第1押工程において、第2主部622から離れるように下方に移動してもよい。
【0078】
図20及び
図21を参照すると、押治具80を更に下方に移動し続けると、第2押部88に押された第2コネクタ70は、下方に移動し続け、被受容部74は、第2配線シート60の第2変形可能部624を下方に押し続ける。この結果、第2配線シート60の第2主部622は、下方に移動する。一方、第2配線シート60の第2変形可能部624は、被受容部74から受ける力によって、第1配線シート50の第1変形可能部524に押しつけられつつ変形する。詳しくは、第2変形可能部624のY方向における両端部は、第1変形可能部524のY方向における両端部から上方に向かう力を受けて上方に折れ曲がり、第2変形可能部624のY方向における中間部は、下方に移動して、変形した第1変形可能部524の内部に位置する。第2変形可能部624が変形し始めたとき、第2押工程(
図3参照)が始まる。
【0079】
以上の説明を纏めると、本実施の形態によるコネクタ組立体10の製造方法は、第1押工程(
図3参照)を開始した後に、第2コネクタ70を下方に移動させることで被受容部74によって第2変形可能部624を下方に押し、これにより、第2主部622を下方に移動させつつ、第2変形可能部624を変形させる第2押工程(
図3参照)を備えている。
【0080】
本実施の形態の第1押工程(
図3参照)によれば、第2配線シート60は、第1押工程の開始前に下方に移動開始している。この結果、第2配線シート60の第2主部622は、第2押工程(
図3参照)の開始時において、第1配線シート50の第1主部522との間のZ方向における距離を保ちつつ下方に移動する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、配置工程(
図3及び
図16参照)における各部材の間の距離を調整することで、第2主部622は、第2押工程の開始時において、第1主部522に近づくように下方に移動してもよい。
【0081】
図20を参照すると、押治具80を更に下方に移動し続けると、第2配線シート60の下端は、第1コネクタ20の突出部34の上端と同じ位置に達する。
図20に示した第1変形可能部524及び第2変形可能部624は、第2配線シート60の下端が突出部34の上端と同じ位置に達する前に殆ど完全に変形している。詳しくは、第1変形可能部524のY方向における両端部は、Z方向に沿って延びている。また、第2変形可能部624のY方向における両端部は、Z方向に沿って延びており、第2コネクタ70の被受容部74のY方向における両側面に夫々押し付けられている。
【0082】
但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1変形可能部524及び第2変形可能部624の夫々は、第2配線シート60の下端が突出部34の上端と同じ位置に達する前に僅かに変形していてもよい。詳しくは、第2配線シート60の下端が突出部34の上端と同じ位置に達する前に、第1変形可能部524のY方向における両端部及び第2変形可能部624のY方向における両端部は、Z方向と斜交する方向に延びていてもよい。
【0083】
図20から
図23までを参照すると、第2配線シート60の下端が突出部34の上端と同じ位置に達した後に押治具80を更に下方に移動し続けると、第2変形可能部624は、被受容部74及び第1変形可能部524と共に弾性部材40の2つの突部48の間に挟み込まれつつ、受容部22に受容される。このとき、変形した第1変形可能部524及び第2変形可能部624は、被受容部74によってY方向外側に押されて、突部48に押し付けられている。被受容部74が受容部22に受容され始めたとき、受容工程(
図3参照)が始まる。受容工程において、突出部34は、第2コネクタ70の受容孔72に受容される。
【0084】
押治具80を更に下方に移動し続けると、第1押部86は、第1変形可能部524のY方向における中間部(第1配線シート50の被押部56)を、第1コネクタ20の底部32に押し付ける。このとき、第1押工程(
図3参照)が終了する。
図22を参照すると、第1押部86は、第1押工程が終了するまで、本体部82から初期突出量PLだけ下方に突出している。第1押工程の終了後、押治具80を更に下方に移動し続けると、第1押部86は、前述したばね機構(図示せず)の維持力を超える反力を底部32から受け、第1押部86の本体部82からの突出量は、初期突出量PLよりも徐々に小さくなる。この結果、第2押部88は、第1押部86に対して相対的に下方に移動し続け、第1変形可能部524を、第2変形可能部624を介して被受容部74によって底部32に押し付ける。このとき、第2押工程(
図3参照)及び受容工程(
図3参照)が終了する。
【0085】
以上の説明を纏めると、本実施の形態によるコネクタ組立体10の製造方法は、第2コネクタ70を更に下方に移動させ、変形した第1変形可能部524及び第2変形可能部624を被受容部74によって押しつつ、受容部22の内部に受容させる受容工程(
図3参照)を備えている。
【0086】
図22及び
図23を参照すると、受容工程(
図3参照)が終了したとき、第1接点546及び第2接点646は、被受容部74と共に受容部22の内部に位置して互いに接触している。この結果、第1配線シート50の第1導電パターン54は、第2配線シート60の第2導電パターン64と接続し、第1配線シート50は、第2配線シート60と電気的に接続される。また、弾性部材40の2つの突部48は、第1接点546、第2接点646及び被受容部74をY方向に挟み込んでおり、これにより、第1接点546は、第2接点646に押し付けられている。即ち、本実施の形態の弾性部材40は、弾性力によって第1接点546を第2接点646に押し付ける弾性部として機能する。第1接点546と、第2接点646との間の接触は、弾性部40の弾性力によって維持される。
【0087】
本実施の形態によれば、上述したように、第1押工程(
図3参照)において第1変形可能部524が変形し始めた後に、第2押工程(
図3参照)において第2変形可能部624が変形が変形し始める。また、その後の受容工程(
図3参照)において、変形した第1変形可能部524及び第2変形可能部624を被受容部74が押し、第1接点546及び第2接点646は互いに接触する。以上のように第1変形可能部524の変形開始タイミングと第2変形可能部624の変形開始タイミングとをずらすことにより、第1接点546及び第2接点646は、互いに擦り付けられつつ(互いにワイピングしつつ)接触する。この結果、第1接点546及び第2接点646は、受容工程が終了するまでにクリーニングされる。即ち、本実施の形態によれば、製造時に特別なクリーニング工程を行うことなく、第1配線シート50と第2配線シート60との間の良好な電気的接続が得られるコネクタ組立体10を提供できる。
【0088】
図18及び
図19を参照すると、本実施の形態の製造方法によれば、第1押工程(
図3参照)において、コネクタ通過孔78及びシート通過孔66を通して第1変形可能部524を下方に押す。換言すれば、本実施の形態の第1押工程において押される被押部56は、第1変形可能部524に設けられている。被押部56を第1変形可能部524に設けることで、第1変形可能部524をより確実に変形させることができると共に、第1接点546と第2接点646との間の摩擦を強くし、これによりクリーニング効果を向上できる。但し、被押部56は、必要に応じて、第1変形可能部524以外の部位(例えば、第1主部522)に設けてもよい。即ち、シート通過孔66は、第2変形可能部624以外の部位(例えば、第2主部622)に設けてもよい。
【0089】
図3及び
図18から
図23までを参照すると、本実施の形態の製造方法は、第1押部86と第2押部88とを有する押治具80を下方に移動する移動工程を備えている。第1押工程、第2押工程及び受容工程の夫々は、移動工程の一部である。第1押工程において、コネクタ通過孔78及びシート通過孔66を通して下方に通過させた第1押部86によって第1配線シート50を下方に押す。また、第1押工程の開始後に開始する第2押工程において、第2押部88によって第2コネクタ70を下方に押して移動させる。
【0090】
特に、本実施の形態の製造方法は、押治具80を下方に移動し続ける移動工程を備えている。移動工程において、第1押部86は、押治具80の下方への移動に伴って第1配線シート50を下方に押し、これにより第1変形可能部524を変形させる。また、移動工程において、第2押部88は、第1変形可能部524が変形し始めた後に、押治具80の下方への更なる移動に伴って第2コネクタ70を下方に押して移動させることで、被受容部74によって第2変形可能部624を下方に押して変形させ、変形した第1変形可能部524及び第2変形可能部624を被受容部74によって押しつつ、被受容部74を受容部22の内部に受容させ、これにより、第1接点546及び第2接点646を受容部22の内部に位置させて互いに接触させる。
【0091】
本実施の形態によれば、一つの押治具80の連続した下方移動によって、第1押工程、第2押工程及び受容工程を連続的に行うことができ、これにより製造工数を低減できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、第1押工程を押治具80と異なる第1治具(図示せず)を使用して行ってもよく、且つ、第2押工程を、押治具80及び第1治具と異なる第2治具(図示せず)を使用して行ってもよい。また、第1押部86は、押治具80ではなく、第2コネクタ70に設けてもよい。より具体的には、第1押部86は、コネクタ通過孔78の内部に、Z方向に移動可能に配置されていてもよい。
【0092】
図20及び
図21を参照すると、本実施の形態の第2押工程(
図3参照)は、第1押工程(
図3参照)によって第1変形可能部524が変形し始めた後であって、且つ、第1変形可能部524の上端(+Z側の端)が突部48の上方に位置しているときに開始される。仮に、第2押工程の開始タイミングが、変形した第1変形可能部524が受容部22の内部に完全に受容された後である場合、第2押工程において、第2変形可能部624は、第1変形可能部524の上端を下方に押しつぶしつつ変形するおそれがある。本実施の形態によれば、初期状態における第1押部86の本体部82からの初期突出量PLを調整することで、第2押工程を本実施の形態のタイミングで開始でき、これにより第1変形可能部524を押しつぶすことなく、第2変形可能部624を変形しつつ、変形した第1変形可能部524の内部に挿入できる。
【0093】
より具体的には、
図21を参照すると、本実施の形態の製造方法によれば、変形後の第1変形可能部524の上端と第1接点546の上面との間のZ方向におけるサイズL2は、初期状態における第1押部86の本体部82からの初期突出量PLから、被受容部74のZ方向におけるサイズと第2変形可能部624の厚さの和であるサイズL1を減算した減算値であるPL-L1よりも大きい。この構造によれば、第1変形可能部524を押しつぶすことなく、第2変形可能部624を変形できる。
【0094】
図22及び
図23を参照すると、本実施の形態の製造方法によれば、第1押工程(
図3参照)が終了したとき、第1変形可能部524は、受容部22の底部32と接触している。
図20及び
図21を参照すると、本実施の形態の第2押工程(
図3参照)は、第1押工程によって第1変形可能部524が変形し始めた後であって、且つ、第1変形可能部524が底部32と接触する前に開始される。即ち、本実施の形態の第2押工程は、第1押工程と部分的に平行して行われる。本実施の形態によっても、第1変形可能部524を押しつぶすことなく、第2変形可能部624を変形できる。
【0095】
図2及び
図22を参照すると、受容工程(
図3参照)が終了したとき、コネクタ組立体10は、組み立てられている。このとき、第1コネクタ20、第1配線シート50、第2配線シート60及び第2コネクタ70は、Z方向において下からこの順に並ぶように配置されている。被受容部74は、受容部22の内部に受容され、第1変形可能部524及び第2変形可能部624を押している。第1接点546及び第2接点646は、受容部22の内部に位置して互いに接触しており、第1接点546と第2接点646との間の接触は、弾性部40の弾性力によって維持されている。コネクタ通過孔78及びシート通過孔66は、Z方向に沿って並んで第1配線シート50の一部(被押部56)の真上に位置している。また、シート通過孔66は、第2スリット628の夫々から離れた部位に位置している。
【0096】
本実施の形態によれば、被受容部74は、Y方向において、第1変形可能部524及び第2変形可能部624を介して、弾性部材40の2つの突部48に挟み込まれている。即ち、受容部22に設けられた弾性部材40が弾性部として機能する。換言すれば、受容部22に、弾性変形可能な弾性部40が設けられている。但し、前述したように、本発明は、これに限られず、受容部22及び被受容部74の少なくとも一方に、弾性変形可能な弾性部が設けられていればよい。
【0097】
本実施の形態の弾性部材40は、金属製のばねであり、被受容部74、第1変形可能部524及び第2変形可能部624を確実に挟み込むことができる。但し、弾性部材40は、必要に応じて様々な材料から様々な構造に形成できる。
【0098】
図2を参照すると、本実施の形態のコネクタ組立体10は、第1コネクタ20と、第2コネクタ70とを備えたコネクタ対12を含んでいる。本実施の形態によれば、第1コネクタ20の受容部22(
図1参照)は、第2コネクタ70の被受容部74(
図1参照)を夫々受容可能である。この構造により、コネクタ対12は、第1配線シート50及び第2配線シート60を互いに電気的に接続できる。また、第1コネクタ20及び第2コネクタ70の夫々は、既に説明した様々な部位を有している。但し、本発明は、これに限られず、コネクタ対12は、第1コネクタ20及び第2コネクタ70として夫々使用可能な2つのコネクタを備えていればよい。
【符号の説明】
【0099】
10 コネクタ組立体
12 コネクタ対
20 第1コネクタ
22 受容部
30B 基部材
30 保持部材
32 底部
34 突出部
34A,34B 端突出部(突出部)
34C 中間突出部(突出部)
342 収容部
36 凹部
40 弾性部材(弾性部)
44 弾性支持部
442 被保持部
448 ばね部
48 突部
50 第1配線シート
52 第1絶縁シート
522 第1主部
524 第1変形可能部
526 第1連結部
528 第1スリット
54 第1導電パターン
542 第1端子部
544 第1パターン部
546 第1接点
56 被押部
58 第1補強板
60 第2配線シート
62 第2絶縁シート
622 第2主部
624 第2変形可能部
626 第2連結部
628 第2スリット
64 第2導電パターン
642 第2端子部
644 第2パターン部
646 第2接点
66 シート通過孔
68 第2補強板
70 第2コネクタ
72 受容孔
72A,72B 端受容孔(受容孔)
72C 中間受容孔(受容孔)
74 被受容部
78 コネクタ通過孔
80 押治具
82 本体部
84 支持孔
86 第1押部
88 第2押部