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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】燃料電池用ガスケット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0276 20160101AFI20221118BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
H01M8/0276
F16J15/10 N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018216574
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020087564
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】白川 創平
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/050339(WO,A1)
【文献】特開2008-097899(JP,A)
【文献】特開2006-004799(JP,A)
【文献】特開2016-051669(JP,A)
【文献】特開2016-191439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質材を間に挟んで互いに対向する一対のセパレータのうちの一方のセパレータに保持されるガスケット基部と、
前記ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するリップ状シールと、
前記リップ状シールに対し溝を挟んで設けられ、前記ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するフラット状シールと、
前記リップ状シールにおける前記溝と反対側の側面に設けられ、前記リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもつ反対側傾斜面と、
前記リップ状シールにおける前記溝側の側面に設けられ、前記リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもち、この傾斜角度が前記反対側傾斜面の傾斜角度よりも小さい溝側傾斜面と、
を備え
前記リップ状シールが前記一方のセパレータと前記電解質材との間でシール高さ方向に圧縮されてセル組立て状態とされたとき、前記リップ状シールと前記フラット状シールとの間に前記溝の一部が空間として残される
ことを特徴とする燃料電池用ガスケット。
【請求項2】
電解質材を間に挟んで互いに対向する一対のセパレータのうちの一方のセパレータに保持されるアノード側ガスケット基部と、
前記アノード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するアノード側リップ状シールと、
前記アノード側リップ状シールに対し溝を挟んで設けられ、前記アノード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するアノード側フラット状シールと、
前記アノード側リップ状シールにおける前記溝と反対側の側面に設けられ、前記アノード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもつアノード反対側傾斜面と、
前記アノード側リップ状シールにおける前記溝側の側面に設けられ、前記アノード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもち、この傾斜角度が前記アノード反対側傾斜面の傾斜角度よりも小さいアノード溝側傾斜面と、
前記一対のセパレータのうちの反対側のセパレータに保持されるカソード側ガスケット基部と、
前記アノード側フラット状シールに対応して前記カソード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するカソード側リップ状シールと、
前記カソード側リップ状シールに対し溝を挟んで設けられ、前記アノード側リップ状シールに対応して前記カソード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するカソード側フラット状シールと、
前記カソード側リップ状シールにおける前記溝と反対側の側面に設けられ、前記カソード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもつカソード反対側傾斜面と、
前記カソード側リップ状シールにおける前記溝側の側面に設けられ、前記カソード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもち、この傾斜角度が前記カソード反対側傾斜面の傾斜角度よりも小さいカソード溝側傾斜面と、
を備え
前記アノード側リップ状シールが前記一方のセパレータと前記電解質材との間でシール高さ方向に圧縮されてセル組立て状態とされたとき、前記アノード側リップ状シールと前記アノード側フラット状シールとの間に前記溝の一部が空間として残され、
前記カソード側リップ状シールが前記反対側のセパレータと前記電解質材との間でシール高さ方向に圧縮されてセル組立て状態とされたとき、前記カソード側リップ状シールと前記カソード側フラット状シールとの間に前記溝の一部が空間として残される、
ことを特徴とする燃料電池用ガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池に用いられるスタックでは、セパレータを備える発電セルが複数積層されている。発電セル内部の反応面では、電極を挟んでアノードおよびカソード間で燃料や冷却水を流している。そのためアノードおよびカソード間において、水素、酸素、冷却水をシールする必要がある。
【0003】
アノードおよびカソード間のシールは、面圧(シール面圧)を発生させる必要があるため、図3(A)に示すようにリップ状シール12,22を備えるアノード側ガスケット11およびカソード側ガスケット21を装着することでシール機能を満たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-303723号公報
【文献】特開2008-97899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこの構成では、図3(B)に示すようにアノードおよびカソード間でガスケット11,21同士に平面上の位置ずれaが発生した場合に、面圧が発生しないことによりシール機能を果たさなくなることや、電解質膜およびこれを保持する枠体などよりなる電解質材51を大きく変形させることが懸念される。
【0006】
この問題を解決するため、図4に示すようにアノード側ガスケット11およびカソード側ガスケット21のうち何れか一方(図ではカソード側ガスケット21)をリップ状シール22を備えるリップタイプのガスケットではなくフラット状シール23を備えるフラットタイプのガスケットにすることが考えられる。この構成によれば、リップ状シール12に対し幅広のフラット状シール23が対向するため、ガスケット11,21同士に位置ずれが発生しても面圧を発生させることができる。
【0007】
しかしながらこの構成では、フラットタイプにしたガスケット21の電解質材51に対する接触面積が増大するため、面圧が分散し、必要なピーク面圧が確保されず、シール機能が低下することが懸念される。
【0008】
この問題を解決するため、図5(A)(B)に示すように、アノード側ガスケット11およびカソード側ガスケット21をそれぞれリップ状シール12,22およびフラット状シール13,23を一体に備える形状とすることが考えられる。この構成によれば、面圧が多少分散することがあってもリップ状シール12,22が複数設けられているため、各リップ状シール12,22においてそれぞれシール機能を果たすことができる。
【0009】
しかしながらこの構成には、更に以下の点で改良の余地がある。
【0010】
ガスケット11,21の高さ寸法公差を考慮すると、ガスケット11,21が最大高さのときと最小高さのときを考慮しなければならない。また、電解質材51にも圧縮限界(上限/下限)があるため、電解質材51を最も圧縮するとき(高圧縮時)と最も圧縮しないとき(低圧縮時)を考慮する必要がある。フラット状シール13,23の高さが大き過ぎると図6に示すように、高圧縮時にリップ状シール12,22とフラット状シール13,23が互いに接触してガスケット11,21の幅方向中央部(リップ状シール12,22およびフラット状シール13,23間)にひずみが集中しゴム破壊の要因となる可能性があり、フラット状シール13,23の高さが小さ過ぎるとシール面圧が発生しないおそれがある。
【0011】
本発明は、スタック組立て時に高圧縮状態となってもリップ状シールとフラット状シールが接触しにくく、ひずみが集中しにくく、ガスケットの耐久性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
料電池用ガスケットの一態様は、電解質材を間に挟んで互いに対向する一対のセパレータのうちの一方のセパレータに保持されるガスケット基部と、前記ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するリップ状シールと、前記リップ状シールに対し溝を挟んで設けられ、前記ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するフラット状シールと、前記リップ状シールにおける前記溝と反対側の側面に設けられ、前記リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもつ反対側傾斜面と、前記リップ状シールにおける前記溝側の側面に設けられ、前記リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもち、この傾斜角度が前記反対側傾斜面の傾斜角度よりも小さい溝側傾斜面と、を備え、前記リップ状シールが前記一方のセパレータと前記電解質材との間でシール高さ方向に圧縮されてセル組立て状態とされたとき、前記リップ状シールと前記フラット状シールとの間に前記溝の一部が空間として残される。
【0013】
料電池用ガスケットの別の一態様は、電解質材を間に挟んで互いに対向する一対のセパレータのうちの一方のセパレータに保持されるアノード側ガスケット基部と、前記アノード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するアノード側リップ状シールと、前記アノード側リップ状シールに対し溝を挟んで設けられ、前記アノード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するアノード側フラット状シールと、前記アノード側リップ状シールにおける前記溝と反対側の側面に設けられ、前記アノード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもつアノード反対側傾斜面と、前記アノード側リップ状シールにおける前記溝側の側面に設けられ、前記アノード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもち、この傾斜角度が前記アノード反対側傾斜面の傾斜角度よりも小さいアノード溝側傾斜面と、前記一対のセパレータのうちの反対側のセパレータに保持されるカソード側ガスケット基部と、前記アノード側フラット状シールに対応して前記カソード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するカソード側リップ状シールと、前記カソード側リップ状シールに対し溝を挟んで設けられ、前記アノード側リップ状シールに対応して前記カソード側ガスケット基部に設けられ、前記電解質材に接触するカソード側フラット状シールと、前記カソード側リップ状シールにおける前記溝と反対側の側面に設けられ、前記カソード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもつカソード反対側傾斜面と、前記カソード側リップ状シールにおける前記溝側の側面に設けられ、前記カソード側リップ状シールの頂部を通る垂直面に対し傾斜角度をもち、この傾斜角度が前記カソード反対側傾斜面の傾斜角度よりも小さいカソード溝側傾斜面と、を備え、前記アノード側リップ状シールが前記一方のセパレータと前記電解質材との間でシール高さ方向に圧縮されてセル組立て状態とされたとき、前記アノード側リップ状シールと前記アノード側フラット状シールとの間に前記溝の一部が空間として残され、前記カソード側リップ状シールが前記反対側のセパレータと前記電解質材との間でシール高さ方向に圧縮されてセル組立て状態とされたとき、前記カソード側リップ状シールと前記カソード側フラット状シールとの間に前記溝の一部が空間として残される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、スタック組立て時に高圧縮状態となってもリップ状シールとフラット状シールが接触しにくく、ひずみが集中しにくく、ガスケットの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態のガスケットの要部断面図
図2】(A)(B)(C)とも同ガスケットの圧縮状態を示す要部断面図
図3】(A)(B)とも背景技術で説明したガスケットの要部断面図
図4】背景技術で説明したガスケットの要部断面図
図5】(A)(B)とも背景技術で説明したガスケットの要部断面図
図6】同ガスケットの圧縮状態を示す要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態で説明するガスケットは、燃料電池用ガスケットとして用いられる。図1に示すように燃料電池用ガスケット1は、電解質膜およびこれを保持する枠体などよりなる電解質材51とその厚み方向両側に配置された一対のセパレータ31,41との間でシール機能を発揮し、セル内側Iの水素、酸素もしくは冷却水などの密封流体がセル外側Oへ漏洩しないようにこの密封流体をシールする。
【0017】
燃料電池用ガスケット1は、一方のセパレータ(アノード側セパレータ)31に接着され保持されるとともに電解質材51の一方の面51a(電解質膜を保持する枠体の一方の面)に接触するアノード側ガスケット11と、反対側のセパレータ(カソード側セパレータ)41に接着され保持されるとともに電解質材51の反対側の面51b(電解質膜を保持する枠体の反対側の面)に接触するカソード側ガスケット21との組み合わせにより構成されている。アノード側ガスケット11およびカソード側ガスケット21はそれぞれセル反応面の周りやセルマニホールドの周りなどに配置されている。アノード側ガスケット11およびカソード側ガスケット21はそれぞれ所定のゴム状弾性体によって形成されており、具体的にはシリコン材、EPDM材またはフッ素材などによって形成されているが、これらの材質に限定されるものではない。また、電解質膜を保持する枠体は、PEN、POMまたはPPSなどによって形成されているが、これらの材質に限定されるものではない。
【0018】
アノード側ガスケット11は、一方のセパレータ31に接着等の手段で固定された平板状のガスケット基部12と、このガスケット基部12の平面上に設けられ、断面山形のシールリップ状に形成されたリップ状シール(リップ部)13と、そのセル外側Oに配置され、ガスケット基部12の平面上に設けられ、フラット状シール面(フラット面)を設けたフラット状シール(フラット部)14とを一体に備えている。リップ状シール13とフラット状シール14との間には溝15が設けられ、リップ状シール13およびフラット状シール14は溝15を挟んでガスケット幅方向に並んで設けられている。リップ状シール13は、フラット状シール14よりも高さ寸法を大きく形成されている。
【0019】
断面山形のシールリップ状に形成されたリップ状シール13は、頂部13aと、頂部13aのセル内側I(溝15と反対側)に設けられた反対側傾斜面13bと、頂部13aのセル外側O(溝15側)に設けられた溝側傾斜面13cとを備えている。反対側傾斜面13bは、頂部13aを通る垂直面13Aに対し所定の傾斜角度θを持つように形成されている。溝側傾斜面13cは、頂部13aを通る垂直面13Aに対し所定の傾斜角度θを持つように形成され、この溝側傾斜面13cの傾斜角度θが反対側傾斜面13bの傾斜角度θよりも小さく設定されている(θ>θ)。
【0020】
カソード側ガスケット21は、反対側のセパレータ41に接着等の手段で固定された平板状のガスケット基部22と、このガスケット基部22の平面上に設けられ、断面山形のシールリップ状に形成されたリップ状シール(リップ部)23と、そのセル内側Iに配置され、ガスケット基部22の平面上に設けられ、フラット状シール面(フラット面)を設けたフラット状シール(フラット部)24とを一体に備えている。リップ状シール23とフラット状シール24との間には溝25が設けられ、リップ状シール23およびフラット状シール24は溝25を挟んでガスケット幅方向に並んで設けられている。リップ状シール23は、フラット状シール24よりも高さ寸法を大きく形成されている。
【0021】
断面山形のシールリップ状に形成されたリップ状シール23は、頂部23aと、頂部23aのセル外側O(溝25と反対側)に設けられた反対側傾斜面23bと、頂部23aのセル内側I(溝25側)に設けられた溝側傾斜面23cとを備えている。反対側傾斜面23bは、頂部23aを通る垂直面23Aに対し所定の傾斜角度θを持つように形成されている。溝側傾斜面23cは、頂部23aを通る垂直面23Aに対し所定の傾斜角度θを持つように形成され、この溝側傾斜面23cの傾斜角度θが反対側傾斜面23bの傾斜角度θよりも小さく設定されている(θ>θ)。
【0022】
アノード側ガスケット11のリップ状シール13は、カソード側ガスケット21のフラット状シール24と平面上重なる位置に配置されている。カソード側ガスケット21のリップ状シール23は、アノード側ガスケット11のフラット状シール14と平面上重なる位置に配置されている。
【0023】
上記構成の燃料電池用ガスケット1においては、アノード側ガスケット11のリップ状シール13がカソード側ガスケット21のフラット状シール24と平面上重なる位置に配置され、カソード側ガスケット21のリップ状シール23がアノード側ガスケット11のフラット状シール14と平面上重なる位置に配置されているため、両ガスケット11,21に平面上の位置ずれが発生しても、アノード側ガスケット11のリップ状シール13とカソード側ガスケット21のフラット状シール24が依然として平面上重なる位置に配置され、カソード側ガスケット21のリップ状シール23とアノード側ガスケット11のフラット状シール14も依然として平面上重なる位置に配置されるので、シール面圧を発生させることが可能とされている。
【0024】
上記構成の燃料電池用ガスケット1においては、両ガスケット11,21に圧縮荷重が入力すると図2(A)(B)(C)に示すように、両ガスケット11,21が入力荷重の大きさに応じて徐々に変形するが、アノード側ガスケット11のリップ状シール13における溝側傾斜面13cの傾斜角度θが反対側傾斜面13bの傾斜角度θよりも小さく設定されているため、リップ状シール13は溝15側に倒れにくく、傾斜角度の大きな反対側傾斜面13bと電解質材51との間の空間13dをゴム変形の逃げ場としながらガスケット高さ方向に圧縮される。したがって図2(C)に示す荷重入力完了のセル組立て完了状態となってもリップ状シール13とフラット状シール14が接触しにくく、接触しても図示するようにリップ状シール13とフラット状シール14との間に溝15の一部が空間として残される。したがってリップ状シール13とフラット状シール14が強く接触することによるひずみの集中が発生しにくく、よってガスケット11の耐久性を向上させることができる。発生するシール面圧の大きさは、反対側傾斜面13bの傾斜角度θと溝側傾斜面13cの傾斜角度θが同等(θ=θ)である場合(図5(A))と比較して、ほぼ同じであることが確認されている。
【0025】
同様に、カソード側ガスケット21のリップ状シール23における溝側傾斜面23cの傾斜角度θが反対側傾斜面23bの傾斜角度θよりも小さく設定されているため、リップ状シール23は溝25側に倒れにくく、傾斜角度の大きな反対側傾斜面23bと電解質材51との間の空間23dをゴム変形の逃げ場としながらガスケット高さ方向に圧縮される。したがって図2(C)に示す荷重入力完了のセル組立て完了状態となってもリップ状シール23とフラット状シール24が接触しにくく、接触しても図示するようにリップ状シール23とフラット状シール24との間に溝25の一部が空間として残される。したがってリップ状シール23とフラット状シール24が強く接触することによるひずみの集中が発生しにくく、よってガスケット21の耐久性を向上させることができる。発生するシール面圧の大きさは、反対側傾斜面23bの傾斜角度θと溝側傾斜面23cの傾斜角度θが同等(θ=θ)である場合(図5(A))と比較して、ほぼ同じであることが確認されている。
【符号の説明】
【0026】
1 燃料電池用ガスケット
11 アノード側ガスケット
12,22 ガスケット基部
13,23 リップ状シール
13a,23a 頂部
13b,13c,23b,23c 傾斜面
13d,23d 空間
13A,23A 垂直面
14,24 フラット状シール
15,25 溝
21 カソード側ガスケット
31,41 セパレータ
51 電解質材(枠体)
I セル内側
O セル外側
図1
図2
図3
図4
図5
図6