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特許7178895主桁とプレキャスト床版との固定構造及び主桁とプレキャスト床版との固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】主桁とプレキャスト床版との固定構造及び主桁とプレキャスト床版との固定方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/12 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
E01D19/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018238556
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020100967
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505413255
【氏名又は名称】阪神高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】横田 祐起
(72)【発明者】
【氏名】一宮 利通
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公生
(72)【発明者】
【氏名】藤代 勝
(72)【発明者】
【氏名】村岸 聖介
(72)【発明者】
【氏名】金治 英貞
(72)【発明者】
【氏名】小坂 崇
(72)【発明者】
【氏名】西海 能史
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-311007(JP,A)
【文献】実開昭60-027122(JP,U)
【文献】実開昭54-076346(JP,U)
【文献】特開2014-055447(JP,A)
【文献】特開2015-001045(JP,A)
【文献】特開2018-040168(JP,A)
【文献】特開2018-021403(JP,A)
【文献】実開平01-137310(JP,U)
【文献】特開平07-018987(JP,A)
【文献】特開平05-156720(JP,A)
【文献】実開昭60-008707(JP,U)
【文献】特開2008-240347(JP,A)
【文献】特開平05-339937(JP,A)
【文献】特開昭64-052902(JP,A)
【文献】特許第6375079(JP,B1)
【文献】特開昭60-15069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主桁と、
前記主桁の上方に突出した突出部と、
下面に前記突出部を収容する収容部を有するプレキャスト床版と、
前記突出部を収容した前記収容部を充填する充填材と、
を備え、
前記突出部は、一方の開口部の側の端部が前記主桁に溶接された管状部材であり、管の外周側と管の内周側との両方に形成される隅肉溶接部により前記主桁に溶接されている、主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項2】
主桁と、
前記主桁の上方に突出した突出部と、
下面に前記突出部を収容する収容部を有するプレキャスト床版と、
前記突出部を収容した前記収容部を充填する充填材と、
を備え、
前記突出部は、一方の開口部の側の端部が前記主桁に溶接された管状部材であり、
前記突出部は、互いに側面が一体化された複数の管状部材である、主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項3】
主桁と、
前記主桁の上方に突出した突出部と、
下面に前記突出部を収容する収容部を有するプレキャスト床版と、
前記突出部を収容した前記収容部を充填する充填材と、
を備え、
前記突出部は、一方の開口部の側の端部が前記主桁に溶接された管状部材であり、一方の開口部の側の端部が主桁に溶接された管状の底部と、前記底部と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部とを有する、主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項4】
前記突出部は、側面に凸部又は凹部を有する管状部材である、請求項1~3のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項5】
前記突出部は、前記主桁に溶接された一方の開口部の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部の側の端部の太さの方が太い、請求項1~4のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項6】
前記収容部と前記充填材との境界面は凸部又は凹部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項7】
前記収容部は、前記プレキャスト床版の前記下面に対して開放され、前記プレキャスト床版の上面に対して閉鎖されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定構造。
【請求項8】
主桁に主桁の上方に突出した突出部を接合する突出部接合工程と、
前記主桁にプレキャスト床版を設置する床版設置工程と、
突出部接合工程で前記主桁に接合された前記突出部を前記床版設置工程で前記主桁に設置された前記プレキャスト床版の下面の収容部に収容させた状態で、前記突出部を収容した前記収容部を充填材により充填する充填工程と、
を備え、
前記突出部接合工程では、管状部材である前記突出部の一方の開口部の側の端部を前記主桁に溶接することにより、前記主桁に前記突出部を接合し、
前記突出部接合工程では、前記突出部の管の外周側と管の内周側との両方に形成される隅肉溶接部により前記主桁に溶接される、主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【請求項9】
主桁に主桁の上方に突出した突出部を接合する突出部接合工程と、
前記主桁にプレキャスト床版を設置する床版設置工程と、
突出部接合工程で前記主桁に接合された前記突出部を前記床版設置工程で前記主桁に設置された前記プレキャスト床版の下面の収容部に収容させた状態で、前記突出部を収容した前記収容部を充填材により充填する充填工程と、
を備え、
前記突出部接合工程では、管状部材である前記突出部の一方の開口部の側の端部を前記主桁に溶接することにより、前記主桁に前記突出部を接合し、
前記突出部接合工程では、互いに側面が一体化された複数の管状部材である前記突出部を前記主桁に接合する、主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【請求項10】
主桁に主桁の上方に突出した突出部を接合する突出部接合工程と、
前記主桁にプレキャスト床版を設置する床版設置工程と、
突出部接合工程で前記主桁に接合された前記突出部を前記床版設置工程で前記主桁に設置された前記プレキャスト床版の下面の収容部に収容させた状態で、前記突出部を収容した前記収容部を充填材により充填する充填工程と、
を備え、
前記突出部接合工程では、管状部材である前記突出部の一方の開口部の側の端部を前記主桁に溶接することにより、前記主桁に前記突出部を接合し、
前記突出部接合工程では、
一方の開口部の側の端部が主桁に溶接される管状の底部と、前記底部と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部とを有する前記突出部を前記主桁に接合し、
前記底部の一方の開口部の側の端部を主桁に溶接した後に、主桁に溶接された前記底部に前記延在部を嵌合させることにより、前記突出部を前記主桁に接合する、主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【請求項11】
前記突出部接合工程では、側面に凸部又は凹部を有する管状部材である前記突出部を前記主桁に接合する、請求項8~10のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【請求項12】
前記突出部接合工程では、前記主桁に溶接された一方の開口部の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部の側の端部の太さの方が太い前記突出部を前記主桁に接合する、請求項8~11のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【請求項13】
前記床版設置工程では、前記収容部の前記充填材との境界面が凸部又は凹部を有する前記プレキャスト床版を前記主桁に設置する、請求項8~12のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【請求項14】
前記床版設置工程では、前記収容部が、前記プレキャスト床版の前記下面に対して開放され、前記プレキャスト床版の上面に対して閉鎖されている前記プレキャスト床版を前記主桁に設置する、請求項8~13のいずれか1項に記載の主桁とプレキャスト床版との固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主桁とプレキャスト床版との固定構造及び主桁とプレキャスト床版との固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路橋において、主桁と、主桁の上方に突出したスタッドと、下面にスタッドを収容する箱抜孔等のスタッド孔を有するプレキャスト床版と、スタッドを収容したスタッド孔を充填する充填材とを備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造が提案されている。例えば、特許文献1には、スタッドを収容して鋼桁と合成するためのスタッド孔が複数成形されたプレキャスト床版を鋼桁上に設置し、設置したプレキャスト床版のスタッド孔内において鋼桁の上面にスタッドを立設し、スタッド孔内を充填材で充填する工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018‐21403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に道路橋のスパンの端部ではずれせん断力が大きくなる。そのため、スパンの端部には、ずれせん断力に抵抗するためにスタッドを多数配置する必要がある。しかし、スタッドを設置するスペースには、鋼桁の上面のフランジ幅による制約があるため、必要な本数のスタッドを配置することができず、設計として成立しないことがある。
【0005】
そこで本発明は、同じ数の突出部を備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造のずれせん断力に対する強度を向上させることができる主桁とプレキャスト床版との固定構造及び主桁とプレキャスト床版との固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、主桁と、主桁の上方に突出した突出部と、下面に突出部を収容する収容部を有するプレキャスト床版と、突出部を収容した収容部を充填する充填材とを備え、突出部は、一方の開口部の側の端部が主桁に溶接された管状部材である主桁とプレキャスト床版との固定構造である。
【0007】
この構成によれば、主桁と、主桁の上方に突出した突出部と、下面に突出部を収容する収容部を有するプレキャスト床版と、突出部を収容した収容部を充填する充填材とを備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造において、突出部は、一方の開口部の側の端部が主桁に溶接された管状部材であるため、突出部が鋼棒等のスタッドである場合に比べて、突出部の側方への投影面積に対する突出部の主桁への溶接長を長くすることができ、同じ数の突出部を備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造のずれせん断力に対する強度を向上させることができる。
【0008】
この場合、突出部は、互いに側面が一体化された複数の管状部材であることが好適である。
【0009】
この構成によれば、突出部は、互いに側面が一体化された複数の管状部材であるため、突出部の側方への投影面積に対する突出部の主桁への溶接長をさらに長くすることができるため、同じ数の突出部を備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造のずれせん断力に対する強度をさらに向上させることができる。
【0010】
また、突出部は、一方の開口部の側の端部が主桁に溶接された管状の底部と、底部と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部とを有することが好適である。
【0011】
この構成によれば、突出部は、一方の開口部の側の端部が主桁に溶接された管状の底部と、底部と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部とを有するため、突出部が上方に突出する長さが長い場合でも、管状の底部の一方の開口部の側の端部を主桁に容易に溶接した後に、底部に管状の延在部を嵌合させることにより、容易に主桁に突出部を取り付けることができる。
【0012】
また、突出部は、側面に凸部又は凹部を有する管状部材であることが好適である。
【0013】
この構成によれば、突出部は、側面に凸部又は凹部を有する管状部材であるため、突出部の側面と充填材とが互いに接触する面積が増大し、主桁とプレキャスト床版とを固定する強度を向上させることができる。
【0014】
また、突出部は、主桁に溶接された一方の開口部の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部の側の端部の太さの方が太いことが好適である。
【0015】
この構成によれば、突出部は、主桁に溶接された一方の開口部の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部の側の端部の太さの方が太いため、主桁とプレキャスト床版とを上下方向に引き離す力に対する強度をさらに向上させることができる。
【0016】
また、収容部と充填材との境界面は凸部又は凹部を有することが好適である。
【0017】
この構成によれば、収容部と充填材との境界面は凸部又は凹部を有するため、収容部と充填材とが互いに接触する境界面の面積が増大し、主桁とプレキャスト床版とを固定する強度を向上させることができる。
【0018】
また、収容部は、プレキャスト床版の下面に対して開放され、プレキャスト床版の上面に対して閉鎖されていることが好適である。
【0019】
この構成によれば、収容部は、プレキャスト床版の下面に対して開放され、プレキャスト床版の上面に対して閉鎖されているため、突出部及び収容部の上方に存在するプレキャスト床版のコンクリートの部位により、同じ数の突出部を備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造のずれせん断力に対する強度をさらに向上させることができる。
【0020】
また、本発明は、主桁に主桁の上方に突出した突出部を接合する突出部接合工程と、主桁にプレキャスト床版を設置する床版設置工程と、突出部接合工程で主桁に接合された突出部を床版設置工程で主桁に設置されたプレキャスト床版の下面の収容部に収容させた状態で、突出部を収容した収容部を充填材により充填する充填工程とを備え、突出部接合工程では、管状部材である突出部の一方の開口部の側の端部を主桁に溶接することにより、主桁に突出部を接合する主桁とプレキャスト床版との固定方法である。
【0021】
この場合、突出部接合工程では、互いに側面が一体化された複数の管状部材である突出部を主桁に接合することが好適である。
【0022】
また、突出部接合工程では、一方の開口部の側の端部が主桁に溶接される管状の底部と、底部と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部とを有する突出部を主桁に接合し、底部の一方の開口部の側の端部を主桁に溶接した後に、主桁に溶接された底部に延在部を嵌合させることにより、突出部を主桁に接合することが好適である。
【0023】
また、突出部接合工程では、側面に凸部又は凹部を有する管状部材である突出部を主桁に接合することが好適である。
【0024】
また、突出部接合工程では、主桁に溶接された一方の開口部の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部の側の端部の太さの方が太い突出部を主桁に接合することが好適である。
【0025】
また、床版設置工程では、収容部の充填材との境界面が凸部又は凹部を有するプレキャスト床版を主桁に設置することが好適である。
【0026】
また、床版設置工程では、収容部が、プレキャスト床版の下面に対して開放され、プレキャスト床版の上面に対して閉鎖されているプレキャスト床版を主桁に設置することが好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の主桁とプレキャスト床版との固定構造及び主桁とプレキャスト床版との固定方法によれば、同じ数の突出部を備えた主桁とプレキャスト床版との固定構造のずれせん断力に対する強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の斜視図である。
図3】(A)は第1実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図であり、(B)は第1実施形態に係る突出部の平面図である。
図4】(A)は第1実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定方法の突出部接合工程及び床版設置工程の後の状態を示す縦断面図であり、(B)は第1実施形態に係る突出部の突出部接合工程後の状態を示す平面図である。
図5】(A)は第2実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図であり、(B)は第2実施形態に係る突出部の平面図である。
図6】(A)は第3実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図であり、(B)は第3実施形態に係る突出部の平面図である。
図7】(A)は第4実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図であり、(B)は第4実施形態に係る突出部の平面図である。
図8】(A)は第4実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定方法の突出部接合工程の底部を主桁に溶接した後の状態を示す縦断面図であり、(B)は第4実施形態に係る主桁に溶接された後の底部の平面図である。
図9】(A)は図8(A)の主桁に溶接された底部に延在部を嵌合させることにより突出部を主桁に接合した状態を示す縦断面図であり、(B)は図8(B)の主桁に溶接された底部に延在部を嵌合させることにより突出部を主桁に接合した状態を示す平面図である。
図10】(A)は第5実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図であり、(B)は第5実施形態に係る突出部の平面図である。
図11】(A)は突出部を構成する2つの管状部材を互いに組み合わせる工程を示す平面図であり、(B)は(A)で互いに組み合わせた2つの管状部材を溶接して突出部を構成した状態を示す平面図である。
図12】(A)は従来のスタッドを主桁のフランジに接合する状態を示す平面図であり、(B)は第5実施形態の突出部を主桁のフランジに接合する状態を示す平面図である。
図13】第6実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図である。
図14】第7実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造の突出部付近の縦断面図である。
図15】第7実施形態に係るプレキャスト床版を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造及び主桁とプレキャスト床版との固定方法の実施形態について詳細に説明する。図1図2図3(A)及び図3(B)に示すように、本発明の第1実施形態に係る主桁とプレキャスト床版との固定構造1Aは、主桁2、プレキャスト床版3A、突出部5A及び充填材9を備える。主桁2は、例えば、鋼桁である。主桁2は、その上端にフランジ4を有する。
【0030】
プレキャスト床版3Aは、下面6と上面7とを有する。プレキャスト床版3Aは、下面6に突出部5を収容する収容部8を有する。本実施形態では、収容部8は、従来のプレキャスト床版と同様に、上面7の開口部12から下面6へと貫通する箱抜孔である。充填材9は、突出部5Aを収容した収容部8を充填する。充填材9は、例えば、無収縮性モルタルである。充填材9は、主桁2のフランジ4と、フランジ4の上面の両方の側縁部に設けられた型枠11と、プレキャスト床版3Aの下面6及び収容部8とで囲まれた空間に充填されている。本実施形態では、収容部8と充填材9との境界面10は上下方向に平坦な面である。
【0031】
突出部5Aは、主桁2の上端のフランジ4に接合され、主桁2の上方に突出している。本実施形態では、突出部5Aは、従来のスタッドではなく、一方の開口部13の側の端部が隅肉溶接部15により主桁2のフランジ4に溶接された管状部材である。管状部材である突出部5Aの他方の開口部14は、主桁の上方に開口している。図3(B)に示すように、管状部材である突出部5Aの管内には、充填材9が充填されている。本実施形態では、突出部5Aは、直径100~150mm程度の円管部材である。なお、管状部材とは、管壁により任意の方向に延在する内部空間が区画され、内部空間が当該任意の方向と、当該任意の方向とは反対の方向とに開口している部材を意味する。管状部材は、円管以外にも角管等の他の形状の管状部材でもよい。また、管状部材は、内部空間が仕切等により区画されていてもよい。また、管状部材は、外面に例えばチャンネル材等の部材が取り付けられていてもよい。
【0032】
以下、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法について説明する。図4(A)及び図4(B)に示すように、主桁2に主桁2の上方に突出した突出部5Aを接合する突出部接合工程と、主桁2にプレキャスト床版3Aを設置する床版設置工程とが行われる。突出部接合工程では、管状部材である突出部5Aの一方の開口部13の側の端部を主桁2のフランジ4に溶接することにより、主桁2に突出部5Aが接合される。図4(B)に示すように、突出部接合工程では、管状部材である突出部5Aの開口部13の側の端部の外周側が隅肉溶接部15により主桁2のフランジ4に溶接され、内周側が隅肉溶接部16により主桁2のフランジ4に溶接される。なお、床版設置工程と突出部接合工程との順序はいずれが前でも後でもよい。
【0033】
図3(A)及び図3(B)に示すように、突出部接合工程で主桁2に接合された突出部5Aを床版設置工程で主桁2に設置されたプレキャスト床版3Aの下面6の収容部8に収容させた状態で、突出部5Aを収容した収容部8を充填材9により充填する充填工程が行われる。充填工程により、収容部8に収容された管状部材である突出部5Aの管内にも充填材9が充填される。充填材9の固化後に、本実施形態の主桁2とプレキャスト床版3Aとの固定構造1Aが完成する。
【0034】
本実施形態によれば、主桁2と、主桁2の上方に突出した突出部5Aと、下面6に突出部5Aを収容する収容部8を有するプレキャスト床版3Aと、突出部5Aを収容した収容部8を充填する充填材9とを備えた主桁2とプレキャスト床版3Aとの固定構造1Aにおいて、突出部5Aは、一方の開口部13の側の端部が主桁2に溶接された管状部材であるため、突出部5Aが鋼棒等のスタッドである場合に比べて、突出部5Aの側方への投影面積に対する突出部5Aの主桁2への溶接長を長くすることができるため、同じ数の突出部5Aを備えた主桁2とプレキャスト床版3Aとの固定構造1Aのずれせん断力に対する強度を向上させることができる。
【0035】
つまり、本実施形態の突出部接合工程では、管状部材である突出部5Aの開口部13の側の端部の外周側が隅肉溶接部15により主桁2のフランジ4に溶接され、内周側が隅肉溶接部16により主桁2のフランジ4に溶接される。このため、従来の端部の外周側でしか溶接が行われない鋼棒等のスタッドに比べて、管状部材の開口部の側の端部の外周側と内周側とで溶接が行われるため、溶接長を長くすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、収容部8に収容された管状部材である突出部5Aの管内にも充填材9が充填されるため、主桁2とプレキャスト床版3Aとの固定構造1Aのずれせん断力に対する強度を向上させることができる。また、突出部5Aは管状部材であるため、突出部5Aが鋼棒等のスタッドである場合に比べて、軽量化を図ることができる。
【0037】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図5(A)及び図5(B)に示すように、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定構造1Bでは、突出部5Bは、側面に凸部17及び凹部18を有する管状部材である。本実施形態では、例えば、管状部材の側面に鉄筋等を溶接することにより、管状部材の側面に凸部17及び凹部18を形成することができる。
【0038】
図5(A)及び図5(B)の例では、管状部材の外周面における開口部13の側の端部と開口部14の側の端部との間に上下方向に延在する鉄筋が溶接されている。また、横方向に沿って管状部材の外周面を囲繞するように延在する複数の鉄筋が溶接されている。なお、突出部5Bは、凸部17のみを有していてもよく、凹部18のみを有していてもよい。また、チャンネル材等の他の部材が接合されることや、鋳造等により、管状部材の側面に凸部17又は凹部18が形成されてもよい。
【0039】
本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法の突出部接合工程では、突出部接合工程では、側面に凸部17又は凹部18を有する管状部材である突出部5Bが主桁2のフランジ4に接合される。上述した以外は、上記第1実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態によれば、突出部5Bは、側面に凸部17又は凹部18を有する管状部材であるため、突出部5Bの側面と充填材9とが互いに接触する面積が増大し、主桁2とプレキャスト床版3Aとを固定する強度を向上させることができる。
【0041】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。図6(A)及び図6(B)に示すように、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定構造1Cでは、突出部5Cは、主桁2のフランジ4に溶接された一方の開口部13の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部14の側の端部の太さの方が太い。図6(A)及び図6(B)の例では、主桁2に溶接された一方の開口部13の側の端部から上方に突出した他方の開口部14の側の端部に至るにつれて管状部材である突出部5Cの直径が一様に増大している。管状部材である突出部5Cの側面は、側面視でテーパ状をなす。
【0042】
なお、本実施形態では、他の形状により、主桁2のフランジ4に溶接された一方の開口部13の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部14の側の端部の太さの方が太くてもよい。例えば、一方の開口部13の側の端部から他方の開口部14の側の端部に至るにつれて突出部5Cの直径が一様に増大せず、上方に突出した他方の開口部14の側の端部の近傍のみが拡径されていてもよい。また、上記第1実施形態のような突出部5Aの上部に鉄筋等の部材が溶接されることにより、主桁2のフランジ4に溶接された一方の開口部13の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部14の側の端部の太さの方が太くてもよい。
【0043】
本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法の突出部接合工程では、主桁2に溶接された一方の開口部13の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部14の側の端部の太さの方が太い突出部5Cが主桁2に接合される。上述した以外は、上記第1実施形態と同様である。なお、本実施形態の主桁2に溶接された一方の開口部13の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部14の側の端部の太さの方が太い突出部5Cの構成は、上記第2実施形態に適用されてもよい。
【0044】
本実施形態では、突出部5Cは、主桁2に溶接された一方の開口部13の側の端部の太さよりも上方に突出した他方の開口部14の側の端部の太さの方が太いため、主桁2とプレキャスト床版3Aとを上下方向に引き離す力に対する強度をさらに向上させることができる。
【0045】
以下、本発明の第4実施形態について説明する。図7(A)及び図7(B)に示すように、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定構造1Dでは、突出部5Dは、一方の開口部20の側の端部が主桁2のフランジ4に溶接された管状の底部19と、底部19と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部22とを有する。
【0046】
図7(A)及び図7(B)の例では、底部19及び延在部22のいずれも円管状をなす。底部19の一方の開口部20の側の端部と他方の開口部21の側の端部までの長さよりも、延在部22の一方の開口部23の側の端部と他方の開口部24の側の端部までの長さは長い。底部19の開口部21の側の外周面と延在部22の開口部23の側の内周面とが互いに嵌合している。しかし、底部19及び延在部22の形状や、底部19と延在部22との嵌合の形態は他の形態でもよい。
【0047】
以下、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法について説明する。本実施形態では、突出部接合工程では、一方の開口部20の側の端部が主桁2のフランジ4に溶接される管状の底部19と、底部19と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部22とを有する突出部5Dが主桁2に接合される。図8(A)及び図8(B)に示すように、突出部接合工程では、まず、底部19の一方の開口部20の側の端部が主桁2のフランジ4に溶接される。底部19の溶接は、上記第1実施形態の突出部5Aの主桁2のフランジ4への溶接と同様に行われる。
【0048】
図9(A)及び図9(B)に示すように、底部19の一方の開口部20の側の端部を主桁2のフランジ4に溶接した後に、主桁2のフランジ4に溶接された底部19に延在部22を嵌合させることにより、突出部5Dが主桁2のフランジに接合させられる。なお、以上の説明では、床版設置工程の前に突出部接合工程が行われたが、床版設置工程と突出部接合工程との順序はいずれが前でも後でもよい。また、本実施形態の底部19及び延在部22は、上記の第2実施形態又は第3実施形態に適用されてもよい。
【0049】
本実施形態では、突出部5Dは、一方の開口部20の側の端部が主桁2に溶接された管状の底部19と、底部19と嵌合しつつ上方に延在する管状の延在部22とを有するため、突出部5Dが上方に突出する長さが長い場合でも、管状の底部19の一方の開口部20の側の端部を主桁2に容易に溶接した後に、底部19に管状の延在部22を嵌合させることにより、容易に主桁2に突出部5Dを取り付けることができる。
【0050】
以下、本発明の第5実施形態について説明する。図10(A)及び図10(B)に示すように、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定構造1Eでは、突出部5Eは、互いに側面27が一体化された複数の管状部材である。図10(B)及び図11(A)に示すように、突出部5Eは、2本の管状部材から構成されている。
【0051】
2本の管状部材のそれぞれは、側面に、一方の開口部25の側の端部から他方の開口部26の側の端部に至る方向に沿って延在するスリット部28を含む。2本の管状部材はスリット部28を介して互いに嵌合している。図10(A)、図10(B)及び図11(B)に示すように、スリット部28を介して互いに嵌合させられた2本の管状部材が隅肉溶接部29により互いに溶接されることによって、突出部5Eが形成されている。
【0052】
本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法の突出部接合工程では、突出部接合工程では、上述したように、突出部接合工程では、互いに側面27が一体化された複数の管状部材である突出部5Eが主桁2のフランジ4に接合される。突出部5Eの主桁2のフランジ4への接合は、上記第1実施形態と同様に行われる。なお、突出部5Eは、3本以上の管状部材から構成されてもよい。また、本実施形態の互いに側面27が一体化された複数の管状部材である突出部5Eの構成は、上記の第2実施形態~第4実施形態に適用されてもよい。
【0053】
本実施形態によれば、突出部5Eは、互いに側面27が一体化された複数の管状部材であるため、突出部5Eの側方への投影面積に対する突出部5Eの主桁2への溶接長をさらに長くすることができるため、同じ数の突出部5Eを備えた主桁2とプレキャスト床版3Aとの固定構造のずれせん断力に対する強度をさらに向上させることができる。
【0054】
ずれ止め構造の耐力は、スタッド等のずれ止めの本数が多いほど、増加する。しかし、図12(A)に示すように、橋軸方向Dに延在し、フランジ幅方向Dの幅を有する主桁2のフランジ4上において、頭付スタッド51,52は、隣り合う感覚がある一定の距離dはないとフランジ4上に溶接及び配置することができない。また、ずれ止めは主桁2のフランジ4上という限られたスペースに配置されるため、頭付スタッド51,52等を使用した場合には、必要な本数の頭付スタッド51,52等が配置できないことがある。一方、図12(B)に示すように、本実施形態によれば、複数の管状部材を組み合わせて大型のずれ止めとして設置することで、設置面積を節約しつつ、高いずれせん断に対する抵抗性を確保することができる。
【0055】
以下、本発明の第6実施形態について説明する。図13に示すように、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定構造1Fでは、収容部8と充填材9との境界面10は凸部30及び凹部31を有する。本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法の床版設置工程では、収容部8の充填材9との境界面10が凸部30及び凹部31を有するプレキャスト床版3Bが主桁2のフランジ4に設置される。なお、本実施形態の収容部8の充填材9との境界面10が凸部30及び凹部31を有するプレキャスト床版3Bは、上記の第2実施形態~第5実施形態に適用されてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、収容部8と充填材9との境界面10は凸部30又は凹部31を有するため、収容部8と充填材9とが互いに接触する境界面10の面積が増大し、主桁2とプレキャスト床版3Bとを固定する強度を向上させることができる。
【0057】
以下、本発明の第7実施形態について説明する。図14に示すように、本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定構造1Gでは、収容部8は、プレキャスト床版3Cの下面6に対して開放され、プレキャスト床版3Cの上面7に対して閉鎖されている。図15に示すように、本実施形態のプレキャスト床版3Cは、例えば、ワッフル型床版と呼ばれているものである。
【0058】
プレキャスト床版3Cは、下面6に突出した格子状のリブ32により区画された複数の収容部8を有する。本実施形態では、複数の収容部8の内の一部が突出部5Aを収容する。プレキャスト床版3Cでは、リブ32に沿って鉄筋33が配筋されている。プレキャスト床版3Cは、例えば、超高強度繊維補強コンクリート(UFC;Ultra high strength Fiber reinforcedConcrete)により形成されている。
【0059】
超高強度繊維補強コンクリートの性状の一例を以下説明する。この超高強度繊維補強コンクリートは、例えば、セメントと、骨材と、練混ぜ水と、コンクリート用化学混和剤と、補強用繊維とを含む混合物が硬化してなるものである。上記のセメントは、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、又は低熱ポルトランドセメントである。
【0060】
一例として、上述の骨材は、粒径2.5mm以下、絶乾密度2.5g/cm以上、吸水率3.0%以下、粘土塊量1.0%以下、微粒分量2.0%以下、NaCl含有量0.02%以下、の骨材である。この骨材は、JISA 1105に規定された細骨材の有機不純物試験方法による有機不純物の試験結果が「淡い」とされたものである。また、この骨材は、JIS A 1122に規定された硫酸ナトリウムでの骨材の安定性試験方法による安定性が10%以下であって、更にJISA 5308付属書1に規定されたアルカリシリカ反応性による区分が区分Aである骨材である。
【0061】
上述の練混ぜ水は、例えば、JSCE-B 101-2005に規定された回収水以外の練混ぜ水である。上述のコンクリート用化学混和剤は、JISA 6204に規定された高性能減水剤である。また、上述の補強用繊維は、直径0.1~0.25mm、長さ10~24mm、及び引張強度2×10N/mm以上の繊維である。上述の補強用繊維は、例えば、鋼繊維、高強度アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、又は炭素繊維であってもよい。
【0062】
超高強度繊維補強コンクリートは、例えば、マトリクスが、ポルトランドセメント、ポゾラン材、及びエトリンガイド生成系材料から成る結合材、粒径2.5mm以下の骨材、水、並びに減水剤によって構成されている。また、補強用繊維は、直径0.2mm、長さ15mm(製造誤差±2mm未満)、及び引張強度2×10N/mm以上の鋼繊維と、直径0.2mm、長さ22mm(製造誤差±2mm未満)、及び引張強度2×10N/mm以上の鋼繊維とを混合したものを1.75vol.%混入させたものであってもよい。また、超高強度繊維補強コンクリートの硬化後の特性値は、圧縮強度150N/mm以上、ひび割れ発生強度4N/mm以上、引張強度5N/mm以上、透水係数1×10-11cm/s未満、塩化物イオン拡散係数0.14cm/年未満、すり減り係数240mm/cm未満であることが好ましい。
【0063】
超高強度繊維補強コンクリートの標準示方配合は、フロー値250±20mm、結合材に対する練混ぜ水の比率が15%、空気量2.0%、練混ぜ水195kg/m、結合材1287kg/m、骨材905kg/m、高性能減水剤32.2kg/m、及び補強用繊維137.4kg/m(1.75vol.%)とすることができる。
【0064】
本実施形態の主桁とプレキャスト床版との固定方法の床版設置工程では、収容部8が、プレキャスト床版3Cの下面6に対して開放され、プレキャスト床版3Cの上面7に対して閉鎖されているプレキャスト床版3Cが主桁2に設置される。なお、プレキャスト床版3Cでは、突出部5Aに対応する位置にのみ、プレキャスト床版3Cの下面6に対して開放され、プレキャスト床版3Cの上面7に対して閉鎖されている収容部8を有していてもよい。また、図14に示すように、収容部8には、収容部8から上面7に連通する充填材9の排出孔部34が設けられていてもよい。本実施形態の下面6に対して開放され、上面7に対して閉鎖されている収容部8を有するプレキャスト床版3Cは、上記の第2実施形態~第6実施形態に適用されてもよい。
【0065】
本実施形態では、収容部8は、プレキャスト床版3Cの下面6に対して開放され、プレキャスト床版3Cの上面7に対して閉鎖されているため、突出部5A及び収容部8の上方に存在するプレキャスト床版3Cのコンクリートの部位により、同じ数の突出部5Aを備えた主桁2とプレキャスト床版3Cとの固定構造のずれせん断力に対する強度をさらに向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態では、プレキャスト床版3Cは、下面6に複数の収容部8を有するため、プレキャスト床版3Cを軽量化することができる。また、本実施形態では、プレキャスト床版3Cは、超高強度繊維補強コンクリートにより形成されているため、プレキャスト床版3Cの強度を向上させることができる。
【0067】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して変形例を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…固定構造、2…主桁、3A,3B,3C…プレキャスト床版、4…フランジ、5A,5B,5C,5D,5E…突出部、6…下面、7…上面、8…収容部、9…充填材、10…境界面、11…型枠、12…開口部、13,14…開口部、15,16…隅肉溶接部、17…凸部、18…凹部、19…底部、20,21…開口部、22…延在部、23,24…開口部、25,26…開口部、27…側面、28…スリット部、29…隅肉溶接部、30…凸部、31…凹部、32…リブ、33…鉄筋、34…排出孔部、51,52…頭付スタッド、D…橋軸方向、D…フランジ幅方向、d…距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15