(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】コークス原料の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
C10B 53/07 20060101AFI20221118BHJP
C10B 53/08 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C10B53/07
C10B53/08
(21)【出願番号】P 2019001439
(22)【出願日】2019-01-08
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 政隆
(72)【発明者】
【氏名】樽角 拓実
(72)【発明者】
【氏名】松枝 恵治
(72)【発明者】
【氏名】鍬取 英宏
(72)【発明者】
【氏名】小柳 健
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-260971(JP,A)
【文献】特開2005-126486(JP,A)
【文献】国際公開第2008/056592(WO,A1)
【文献】特開2002-086122(JP,A)
【文献】特開2001-355016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 1/00-57/18
B29B 17/00-17/04
C08J 11/00-11/28
B09B 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造方法において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の工程と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の工程との独立した二つの工程で実施され、かつ、前記第一の工程と前記第二の工程とを連続して実施する、コークス原料の製造方法。
【請求項2】
廃プラスチックフラフは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリ塩化ビニルを含有する、請求項1に記載のコークス原料の製造方法。
【請求項3】
廃プラスチックフラフは、さらに、ポリエチレンテレフタレート、その他の廃プラスチック、及び/又はプラスチックでない異物を含有する、請求項2に記載のコークス原料の製造方法。
【請求項4】
廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造装置において、
廃プラスチックフラフを
120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、前記一次成形物を
0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置している、コークス原料の製造装置。
【請求項5】
前記第一の装置は二軸押出成形機である、請求項
4に記載のコークス原料の製造装置。
【請求項6】
前記第二の装置はロール成形機である、請求項
5に記載のコークス原料の製造装置。
【請求項7】
前記第二の装置はプレス機である、請求項
5に記載のコークス原料の製造装置。
【請求項8】
前記第二の装置は突き押し式成形機である、請求項
5に記載のコークス原料の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器包装リサイクル法によって自治体より排出される廃プラスチックをコークス原料としてリサイクルする技術として、廃プラスチックを粗破砕・選別・二次破砕によりコークス原料化に適した成分及び形状のフラフとし、この廃プラスチックフラフを減容成形機により減容成形することで、コークス原料を製造する技術が知られている。この廃プラスチックフラフから得られたコークス原料は、コークス炉へ原料炭とともに投入するが、その投入量を増加するには高密度化が必要である。
従来、廃プラスチックフラフ(以下、単に「フラフ」ともいう。)から得られるコークス原料の高密度化を図るためには、特許文献1~3に開示されている高密度減容成形機を使用していた。
【0003】
図1は従来の高密度減容成形機の概略を示す図である。
この高密度減容成形機には、シリンダ51内に混練部52とその両側に搬送部53を備えたスクリュ54が平行に二軸で配置され、フラフ供給口55に供給されたフラフは、スクリュ54の回転により移動しながらヒータによる加熱とフラフの自己摩擦熱により溶融もしくは軟化、混練されてノズル56から押し出される。この高密度減容成形機には大気開放された第一ベント57とシリンダ51内で発生した水蒸気や揮発分が真空ポンプにより抜き取られる第二ベント58が設けられている。押し出された混練物は回転刃59により切断されてペレット状のコークス原料60となる。
【0004】
このような高密度減容成形機を使用すれば、廃プラスチックフラフから、例えば見掛け密度が0.8~0.9t/m3程度の高密度のコークス原料を製造することができる。そして、高密度化に比例してコークス炉への投入量を増加できる。しかし、このような高密度減容成形機においては、以下の理由から、設備的に高温、真空式脱気工程が必要となり、イニシャルコスト・ランニングコストが高く、またメンテナンス性が低下するという問題がある。
(1)高密度化するために、廃プラスチックフラフを220℃の高温かつ一部溶融もしくは軟化状態にして成形する必要がある。
(2)コークス原料の内部に空気が混入しないように成形し高密度化するため、原料に含まれる空気を抜く脱気工程が必要である。そして脱気をするためにはスクリュの形状を特殊形状にし、空気漏れがないようにする必要がある。また、この特殊形状のスクリュは上記(1)で説明したとおり高温で一部溶融もしくは軟化状態の廃プラスチックフラフを成形することから、その摩耗が激しくなり頻繁に交換する必要がある。このように特殊形状のスクリュを頻繁に交換するために、多大なコスト及び労力を要する。
(3)フラフには一般的にポリ塩化ビニルが含まれているため、220℃程度の高温まで加熱するとポリ塩化ビニルが熱分解し塩素ガスが発生する。そうすると、真空式脱気工程(真空ポンプ式)に塩素ガスが流れ込み、真空ポンプの劣化を招くとともに酸性化した封水の水処理が必要となる。また、塩素ガスはスクリュの摩耗を促進する。
【0005】
一方、脱気工程のない単純な2軸式減容成形機(例えば特許文献4参照)では、高温成形はできるものの、脱気工程がないため成形体の見掛密度は0.6t/m3程度が限界であり、高密度化が不十分であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-190767号公報
【文献】特開2007-331304号公報
【文献】特開2007-331305号公報
【文献】特開平7-68547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことなく、廃プラスチックフラフから高密度のコークス原料を製造できるコークス原料の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、次のコークス原料の製造方法が提供される。
廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造方法において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の工程と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の工程との独立した二つの工程で実施され、かつ、前記第一の工程と前記第二の工程とを連続して実施する、コークス原料の製造方法。
【0009】
本発明の他の観点によれば、次のコークス原料の製造装置が提供される。
廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造装置において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置している、コークス原料の製造装置。
【0010】
なお、廃プラスチックフラフには結晶融点ではなくガラス転移点を有するものも含まれるから「溶融もしくは軟化」としているが、以下の説明では「溶融もしくは軟化」を単に「溶融」という。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の工程と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の工程との独立した二つの工程を連続して実施することで、ランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことなく、廃プラスチックフラフから高密度のコークス原料を製造することができる。
また本発明の製造装置によれば、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、前記一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置していることで、ランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことなく、廃プラスチックフラフから高密度のコークス原料を製造することができる。
そして本発明によれば、廃プラスチックフラフから高密度のコークス原料を製造することができるため、廃プラスチックフラフ由来のコークス原料のコークス炉への投入量を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の製造装置の第一の実施形態を示す図である。
【
図2】本発明の製造装置の第二の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明の製造装置の第三の実施形態を示す図である。
【
図4】従来の高密度減容成形機の概略を示す図である。
【
図5】本発明の製造装置による圧縮成形試験の試験条件と試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のコークス原料の製造方法は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の工程と、この一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の工程との独立した二つの工程を連続して実施することを特徴とするものである。この製造方法の第一の工程で得られた一次成形物には溶融状態のフラフが含まれており、この溶融状態のフラフを含む一次成形物を第二の工程で圧縮することにより、この圧縮の過程で溶融状態のフラフが一次成形物中の空隙に回り込んだり、この空隙が潰れたりすることで、高密度のコークス原料(二次成形物)を製造することができる。そして、この製造方法ではこれら第一の工程及び第二の工程を連続的ではあるが各々独立した工程として個別に実施するので、各工程を実施するための装置は簡単な構成のものでよく、ランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことはない。
【0014】
本発明のコークス原料の製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、この一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置していることを特徴とするものである。すなわち、本発明の第一の装置で得られた一次成形物には溶融状態のフラフが含まれており、この溶融状態のフラフを含む一次成形物を第二の装置で圧縮することにより、この圧縮の過程で溶融状態のフラフが一次成形物中の空隙に回り込んだり、この空隙が潰れたりすることで、高密度のコークス原料(二次成形物)を製造することができる。そして、本発明ではこれら第一の装置及び第二の装置を連続して直列ではあるが各々独立した装置として個別に配置するので、各装置は簡単な構成のものでよく、ランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことはない。
【0015】
なお、本発明において、第二の工程(装置)へ投入する一次成形物の温度は120~200℃とすることが好ましい。その理由は以下のとおりである。
容器包装リサイクル法によって自治体より排出される廃プラスチックは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、場合によってはその他の廃プラスチック及びプラスチックでない異物(以下、単に「異物」という。)を含有し、その典型的な含有率と結晶融点ガラス転移点は表1に示すとおりである。なお、表1では他のプラスチック及び異物を「他」と表記し、「PET、他」の欄における「結晶融点又はガラス転移点」はPETについて示している。
【0016】
【0017】
表1より、第二の工程(装置)へ投入する一次成形物の温度(第一の工程(装置)におけるフラフの加熱温度と実質的に同じ温度)を120℃にすると、少なくともLDPE及びPSが溶融して一次成形物が一部溶融状態となることで、第二の工程(装置)での圧縮にて効率的に高密度化を図ることができる。この点から第二の装置へ投入する一次成形物の温度は120℃以上とすることが好ましく、140℃以上さらには150℃以上とすることがより好ましい。
なお、廃プラスチックはポリエチレンテレフタロール(PET)も含有するが、このPETの結晶融点又はガラス転移点は約260℃であるからフラフの加熱温度を120℃としてもPETは溶融しない。ただし、本発明ではフラフの加熱温度を例えば120℃以上としてフラフを一部溶融状態とするから、PETはこの一部溶融状態のフラフ中に取り込まれてフラフ全体として圧縮成形される。すなわち、本発明によれば結晶融点又はガラス転移点の高いPETを他のプラスチックと合せて処理することができるという効果も得られる。溶融しないPETと同様に、異物も他のプラスチックと合せて処理できる。
【0018】
一方、第二の工程(装置)へ投入する一次成形物の温度が200℃を超えると、フラフ中のポリ塩化ビニル(PVC)の熱分解により塩素ガスが発生する。この塩素ガスによる悪影響を避ける点から、第二の工程(装置)へ投入する一次成形物の温度は200℃以下とすることが好ましい。
【0019】
一方、第二の工程(装置)において、一部溶融した廃プラスチックフラフを加圧して圧縮成形する圧力は0.4MPa以上とすることが好ましい。
【0020】
次に、本発明の製造装置の詳細を説明すると、本発明の製造装置において第一の装置はフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とするが、この第一の装置としては典型的には二軸押出成形機とすることができる。この第一の装置としての二軸押出成形機には、
図4に示した高密度減容成形機のような真空脱気機能は必要ないので、装置構成やスクリュの形状は簡単なものでよい。よって、この第一の装置においてランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことはない。
【0021】
ただし、第一の装置としての二軸押出成形機のみではフラフの高密度化は実現できない。すなわち、二軸押出成形機単体では、流動性のある(高温で粘性の低い)溶融状態のフラフが原料の場合、スクリュとシリンダ(ケーシング)との間からフラフが後方に流出したり、スクリュと供回りしてノズル側に出なかったりして、圧力をかけられないので、高密度化は困難である。
【0022】
第二の装置は第一の装置で得られた一次成形物を圧縮して二次成形物とするが、この第二の装置としては、ロール成形機、プレス機、突き押し式成形機等の一般的な成形機を使用することができる。すなわち、第二の装置は、一次成形物を圧縮する機能だけを有していればよいので、装置構成が簡単な一般的な成形機を使用することができる。よって、第二の装置においてもランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことはない。
【0023】
一方、第二の装置として二軸押出成形機を使用することは好ましくない。前述のとおり二軸押出成形機では、原料(第二の装置では一次成形物)が後方に流出することがあるので、高い圧力をかけられず高密度化は困難である。したがって、第二の装置は、二軸押出成形機以外の成形機であって、一次成形物が外部に流出しないようにして当該一次成形物を圧縮成形する成形機、例えば前記のロール成形機、プレス機又は突き押し式成形機とすることが好ましい。
【0024】
以上のとおり本発明のコークス原料の製造方法(製造装置)は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の工程(装置)と、この一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の工程(装置)とを含むが、これら第一の工程(装置)及び第二の工程(装置)以外の工程(装置)を含むこともできる。例えば、第一の工程(装置)の前にフラフを予備的に乾燥する予備乾燥工程(装置)を含むことができ、また、第二の工程(装置)の後に二次成形物をコークス原料に適した形状に調製する形状調製工程(装置)を含むこともできる。
【0025】
次に、本発明の製造方法を実施するための、本発明の製造装置の具体的な実施形態について説明する。
【0026】
<第一の実施形態>
図1に本発明の製造装置の第一の実施形態を示している。
この製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置としての二軸押出成形機10と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置としてのロール成形機20とを備えている。
【0027】
二軸押出成形機10は従来一般的な構成を有しており、そのシリンダ11内にスクリュ12が平行に二軸で配置されている。フラフ供給口13に供給されたフラフは、スクリュ12の回転により移動しながらヒータ14による加熱とフラフの自己摩擦熱により溶融、混練されてノズル15から押し出され、一次成形物M1となる。この一次成形物M1は、そのまま自然落下してロール成形機20の供給ホッパ21に供給され、一対の成形ロール22によって圧縮されて二次成形物M2となる。
なお、二軸押出成形機10においてノズル15の出口近傍に
図4に示したような回転刃を配置して、ノズル15から押し出された一次成形物M1を所定の長さに切断することもできる。
また、ロール成形機20において一対の成形ロール22の表面にカップ形状の凹部を設けて、塊状の二次成形物M2を得るようにすることもできる。
【0028】
<第二の実施形態>
図2に本発明の製造装置の第二の実施形態を示している。
この製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置としての二軸押出成形機10と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置としてのプレス機30とを備えている。
この製造装置では、二軸押出成形機10のノズル15から押し出された一次成形物M1は、バッチ式でプレス機30によって圧縮されて二次成形物となる。
【0029】
<第三の実施形態>
図3に本発明の製造装置の第三の実施形態を示している。
この製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置としての二軸押出成形機10と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置としての突き押し式成形機40とを備えている。
この製造装置では、二軸押出成形機10のノズル15から押し出された一次成形物M1は、そのまま自然落下して突き押し式成形機40の供給ホッパ41に供給され、水平スクリュ42及び鉛直スクリュ43により、シリンダ44内に供給される。そして、進退を繰り返すピストン45によって突き押しされることで圧縮されながら、ノズル46から押し出されて二次成形物M2となる。
【0030】
次に、
図1~3に示した製造装置を用いて、その製造条件(第二の装置(工程)へ投入する一次成形物の温度、及び第二の装置(工程)の圧縮時にかける圧力)を変化させて、廃プラスチックフラフからコークス原料を製造する試験を行った結果を説明する。この試験において一次成形物のサイズはφ35mm×L50~100mm、見掛密度は0.6t/m
3とした。
【0031】
この試験の試験条件と試験結果を表2及び
図5に示す。なお、表2及び
図5において「温度」とは第二の装置(工程)へ投入する一次成形物の温度のことであり、「圧力」とは第二の装置(工程)の圧縮時にかけた圧力のことである。また、「見掛密度」とは第二の装置(工程)で得られた二次成形物の見掛密度のことである。この二次成形物の見掛密度は、コークス原料としてコークス炉への投入量を増加する点から、0.7t/m
3以上であることが好ましい。
【0032】
【0033】
表2及び
図5に示すように、少なくとも150~180℃の温度範囲及び0.4~84MPa圧力範囲で、0.7t/m
3以上の高密度化が可能であることがわかる。また、この試験の温度範囲及び圧力範囲においては、高密度化に及ぼす温度及び圧力の影響はほとんどみられなかった。すなわち、温度を150℃から180℃に上げても高密度化の点からは効果はみられなかった。圧力についても同様で、この試験結果によれば圧力は0.4MPa以上加えればよいといえる。
なお、この試験において第二の装置(工程)へ投入する一次成形物の温度の下限は150℃であるが、前述のとおり(表1参照)、一次成形物の温度を120℃にすると、少なくともLDPE及びPSが溶融して一次成形物が一部溶融状態となることで、第二の装置(工程)での圧縮にて効率的に高密度化を図ることができることから、この一次成形物の温度は120℃以上であれば、見掛密度が0.7t/m
3以上のコークス原料を製造可能である。
【実施例】
【0034】
図1~3に示した製造装置を用いて、廃プラスチックフラフからコークス原料を製造する試験を行った。この試験において一次成形物のサイズはφ35mm×L50~100mm、見掛密度は0.6t/m
3とした。
この試験の試験条件と試験結果を表3に示す。なお、表3において「温度」とは第二の装置(工程)へ投入する一次成形物の温度のことであり、「圧力」とは第二の装置(工程)の圧縮時にかけた圧力のことである。また、「見掛密度」とは第二の装置(工程)で得られた二次成形物の見掛密度のことである。この二次成形物の見掛密度は、コークス原料としてコークス炉への投入量を増加する点から、0.7t/m
3以上であることが好ましい。
【0035】
【0036】
表3に示すように、本発明の製造装置によって見掛密度が0.7t/m3以上のコークス原料を製造できることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
10 二軸押出成形機(第一の装置)
11 シリンダ
12 スクリュ
13 フラフ供給口
14 ヒータ
15 ノズル
20 ロール成形機(第二の装置)
21 供給ホッパ
22 成形ロール
30 プレス機(第二の装置)
40 突き押し式成形機(第二の装置)
41 供給ホッパ
42 水平スクリュ
43 鉛直スクリュ
44 シリンダ
45 ピストン
46 ノズル
M1 一次成形物
M2 二次成形物