(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】フロアモップ
(51)【国際特許分類】
A47L 13/16 20060101AFI20221118BHJP
A47L 13/25 20060101ALI20221118BHJP
A47L 13/24 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
A47L13/16 Z
A47L13/25
A47L13/24 A
(21)【出願番号】P 2019032793
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【氏名又は名称】大畠 康
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓音
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-179659(JP,U)
【文献】特開平09-327427(JP,A)
【文献】米国特許第2546505(US,A)
【文献】特開平08-038411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/00 - 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の払拭体をキャンバスの少なくとも裏面に備えた払拭部と、
前記キャンバスの表面に取り付けられて前記キャンバスを保持するヘッド部と、
一端が前記ヘッド部の長手方向中央部に連結されて延びたハンドルと、
を備えた、フロアモップにおいて、
前記キャンバスの表面は、前記ヘッド部が横から長手方向に差し込まれる横穴を、有しており、
前記横穴は、前記ヘッド部の長手方向中央部と前記ハンドルの前記一端とを連結するための連結開口部を、有しており、
前記横穴は、前記キャンバスの表面と、長手方向両側から突き合わされて接合された第1及び第2の布体とで、構成されており、
前記第1の布体の第1突き合わせ先端部は、幅方向の一方の片側に形成された第1突片部と、それ以外の第1先端縁部と、を有しており、
前記第2の布体の第2突き合わせ先端部は、幅方向の一方の片側に形成された第2突片部と、それ以外の第2先端縁部と、を有しており、
前記連結開口部は、
先端が前記第2先端縁部に接合された前記第1突片部と、
先端が前記第1先端縁部に接合された前記第2突片部と、
前記第1突片部が接合された部分以外の前記第2先端縁部と、
前記第2突片部が接合された部分以外の前記第1先端縁部と、
によって囲まれて構成されている、
ことを特徴とするフロアモップ。
【請求項2】
前記第1突き合わせ先端部と前記第2突き合わせ先端部とが、同じ形態を有している、
請求項1記載のフロアモップ。
【請求項3】
前記第1突片部と前記第1先端縁部との交差部、及び/又は、前記第2突片部と前記第2先端縁部との交差部が、曲線を呈している、
請求項2記載のフロアモップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアモップに関するものであり、特に、払拭部のキャンバスの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なフロアモップは、多数の払拭体をキャンバスの少なくとも裏面に備えた払拭部と、キャンバスの表面に取り付けられてキャンバスを保持するヘッド部と、一端がヘッド部の長手方向中央部に連結されて延びたハンドルと、を備えている。更に、キャンバスの表面は、ヘッド部が横から長手方向に差し込まれる横穴を、有しており、横穴は、ヘッド部の長手方向中央部とハンドルの一端とを連結するための連結開口部を、有している。
【0003】
そして、キャンバスの表面の横穴は、キャンバスの表面に布体を重ねて一端を塞ぐことによって構成されている。そして、連結開口部は、布体に形成された貫通孔で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、出願人は、フロアモップの軽量化と乾燥性の向上とを図るために、布体として、合成ゴム例えばNBRからなるメッシュ布を用いることを、検討した。
【0006】
そして、メッシュ布を用いることによって、フロアモップの軽量化と乾燥性の向上とを図ることができた。
【0007】
しかしながら、連結開口部を形成するためにメッシュ布に貫通孔を形成することは困難であった。それ故に、連結開口部を正確な位置に正確な大きさで形成することが困難である、という不具合があった。
【0008】
また、連結開口部を形成できたとしても、形成した連結開口部を正確に「縁取り縫製」することは困難であった。それ故に、使用時に、連結開口部の周縁部に破れが生じたり、ヘッド部に連結されたハンドルが連結開口部においてがたついたりする、という不具合があった。
【0009】
本発明は、上記不具合を解消できるフロアモップを提供することを、目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
多数の払拭体をキャンバスの少なくとも裏面に備えた払拭部と、
前記キャンバスの表面に取り付けられて前記キャンバスを保持するヘッド部と、
一端が前記ヘッド部の長手方向中央部に連結されて延びたハンドルと、
を備えた、フロアモップにおいて、
前記キャンバスの表面は、前記ヘッド部が横から長手方向に差し込まれる横穴を、有しており、
前記横穴は、前記ヘッド部の長手方向中央部と前記ハンドルの前記一端とを連結するための連結開口部を、有しており、
前記横穴は、前記キャンバスの表面と、長手方向両側から突き合わされて接合された第1及び第2の布体とで、構成されており、
前記第1の布体の第1突き合わせ先端部は、幅方向の一方の片側に形成された第1突片部と、それ以外の第1先端縁部と、を有しており、
前記第2の布体の第2突き合わせ先端部は、幅方向の一方の片側に形成された第2突片部と、それ以外の第2先端縁部と、を有しており、
前記連結開口部は、
先端が前記第2先端縁部に接合された前記第1突片部と、
先端が前記第1先端縁部に接合された前記第2突片部と、
前記第1突片部が接合された部分以外の前記第2先端縁部と、
前記第2突片部が接合された部分以外の前記第1先端縁部と、
によって囲まれて構成されている、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結開口部を簡単に且つ正確な位置に形成できるので、生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態のフロアモップの全体斜視図である。
【
図3】ヘッド部の被連結部とハンドルの連結部材との連結状態を示す斜視図である。
【
図5】被連結部と連結部材との連結直前状態を示しており、
図4に相当する図である。
【
図8】第1突き合わせ先端部と第2突き合わせ先端部とを突き合わせた状態を示す平面部分図である。
【
図9】
図8の状態にて縁取り縫製した後の状態を示す平面部分図である。
【
図11】キャンバスの第3布体の平面部分図である。
【
図13】幅狭に形成された連結開口部を示す平面部分図である。
【
図14】長く形成された連結開口部14を示す平面部分図である。
【
図15】第1突き合わせ先端部と第2突き合わせ先端部とが異なる形態を有する場合の連結開口部の一例を示す平面部分図である。
【
図16】第1突き合わせ先端部と第2突き合わせ先端部とが異なる形態を有する場合の連結開口部の別の例を示す平面部分図である。
【
図17】第1突片部と第1先端縁部との交差部、及び、第2突片部と第2先端縁部との交差部が、直線同士の交差で構成されている場合の、連結開口部の一例を示す平面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のフロアモップの全体斜視図である。このフロアモップ10は、払拭部1と、ヘッド部と、ハンドル3と、を備えている。
図1は、フロアモップ10の使用形態を示している。
図2は、払拭部1とヘッド部2とを示す分解図である。
【0014】
払拭部1は、多数の払拭体11をキャンバス12の少なくとも裏面に備えている。払拭体11は、例えばパイル糸である。なお、
図2以降の図では、払拭体11の図示を省略している。
【0015】
ヘッド部2は、金属棒で構成されている。ヘッド部2は、長細い長方形の両短辺が半円弧状である形態を有する外枠体21と、ヘッド部2の長手方向中央部に構成された被連結部22と、を有している。被連結部22は、長手方向Xに対して平行に延びた被連結棒221と、長手方向Xに対する直交方向(幅方向)Yに対して平行に延びた2本の支持棒222、223とで、構成されている。支持棒222の両端は、外枠体21に連結している。支持棒223の両端も、外枠体21に連結している。被連結棒221は、幅方向Yの中央にて両端が支持棒222、223に連結している。
【0016】
キャンバス12の表面には、長手方向Xの全部に延びた横穴13が形成されている。横穴13は、挿入口131からヘッド部2が長手方向Xに挿入されるようになっている。横穴13は、挿入されたヘッド部2の被連結部22と、ハンドル3の一端に取り付けられている連結部材31とを、連結するための、連結開口部14を有している。
【0017】
図3は、ヘッド部2の被連結部22とハンドル3の連結部材31との連結状態を示す斜視図である。
図4は、
図3のIV矢視図である。
図5は、被連結部22と連結部材31との連結直前状態を示しており、
図4に相当する図である。連結部材31は、板状の固定部32と板状の可動部33とを有しており、両者とも、被連結棒221と略同じ長さを有している。固定部32は、両側の縁部321に溝部322を有している。可動部33は、軸335回りに回動可能であり、先端の曲げ部331が固定部32に押し付けられるようにスプリング(図示せず)によって付勢されている。可動部33は、固定部32に押し付けられると、溝部322を閉じるようになっている。よって、可動部33を付勢力に抗して固定部32から離し、その状態で溝部322に被連結棒221を入れ、その後、可動部33を付勢力に任せて固定部32に押し付けると、閉じた溝部322に被連結棒221が保持されることとなり、これによって、連結部材31が被連結棒221に連結される。
【0018】
そして、本発明では、払拭部1のキャンバス12が、次のように構成されている。
図6は、キャンバス12の平面図である。
図7は、キャンバス12の分解図である。キャンバス12は、キャンバス12の表面である基布体15と、基布体15を覆うよう設けられた布体16と、を有している。基布体15及び布体16は、合成ゴム例えばNBRからなるメッシュ布であり、ヘッド部2の外枠体21と同じ形状を有している。基布体15の裏面には多数の払拭体11が接合されている。
【0019】
布体16は、第1布体17と第2布体18と第3布体19とからなっている。
【0020】
第1布体17は、キャンバス12の略半分の長さを有する長細い長方形を基本形態として有しており、長手方向X1側に半円弧状の曲線部171を有しており、長手方向X2側に第1突き合わせ先端部172を有している。第1突き合わせ先端部172は、幅方向Y1側に形成された第1突片部173と、それ以外の第1先端縁部174と、を有している。第1突片部173と第1先端縁部174との交差部175は、曲線を呈している。
【0021】
第2布体18は、キャンバス12の略半分の長さを有する長細い長方形を基本形態として有しており、長手方向X2側に直線部181を有しており、長手方向X1側に第2突き合わせ先端部182を有している。第2突き合わせ先端部182は、幅方向Y2側に形成された第2突片部183と、それ以外の第2先端縁部184と、を有している。第2突片部183と第2先端縁部184との交差部185は、曲線を呈している。
【0022】
ここでは、第1突き合わせ先端部172と第2突き合わせ先端部182とは、同じ形態を有している。
【0023】
そして、連結開口部14は、第1突き合わせ先端部172と第2突き合わせ先端部182とが、突き合わされて相互に接合されて構成されている。具体的には、連結開口部14は、
図8に示されるように、第1突片部173の先端1731が第2先端縁部184に接合され、且つ、第2突片部183の先端1831が第1先端縁部174に接合されることによって、構成されている。すなわち、連結開口部14は、第2先端縁部184に接合された第1突片部173と、第1先端縁部174に接合された第2突片部183と、第1突片部173が接合された部分以外の第2先端縁部1841と、第2突片部183が接合された部分以外の第1先端縁部1741と、によって囲まれて構成されている。
【0024】
なお、
図9に示されるように、第1突片部173の先端1731と第2先端縁部184との接合部191と、第2突片部183の先端1831と第1先端縁部174との接合部192と、連結開口部14を囲む辺部とは、全て「縁取り縫製」されている。
図10は
図9のX-X断面図である。
【0025】
そして、第1布体17及び第2布体18は、第1突き合わせ先端部172と第2突き合わせ先端部182とを突き合わせて接合して連結開口部14を構成した状態で、周縁部が基布体15の周縁部に縫製されており、これによって、横穴13が構成されている。具体的には、基布体15の周縁部150に縫製される第1布体17の周縁部は、長手方向Xに延びた直線部178、179と曲線部171であり、基布体15の周縁部150に縫製される第2布体18の周縁部は、長手方向Xに延びた直線部188、189である。第2布体18の直線部181は、基布体15には縫製されず、基布体15から離れており、これにより、横穴13への挿入口131が構成されている。
【0026】
第3布体19は、略半円状を有しており、長手方向X1側の直線部191と、その他の周縁部192とを、有している。そして、第3布体19は、
図11及び
図11のXII-XII断面図である
図12に示されるように、直線部191を第2布体18の直線部181上に重ねた状態で、周縁部192が基布体15の周縁部150に縫製されている。これにより、第3布体19は、横穴13に挿入されたヘット部2が挿入口131から抜け出るのを防止するよう機能する。
【0027】
上記構成のフロアモップ10は、次のようにして組み立てる。すなわち、払拭部1の横穴13に、挿入口131からヘッド部2を挿入する。そして、横穴13の連結開口部14に露出しているヘッド部2の連結部22の被連結棒221に、ハンドル3の連結部材31を連結する。
【0028】
上記構成のフロアモップ10によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)第1突片部173と第1先端縁部174とを有する第1突き合わせ先端部172と、第2突片部183と第2先端縁部184とを有する第2突き合わせ先端部182とを、突き合わせて接合するだけで、連結開口部14を構成しているので、次のような効果を発揮できる。
【0029】
(1-1)連結開口部14を簡単に形成できる。
【0030】
(1-2)連結開口部14を正確な位置に形成できる。
【0031】
(1-3)連結開口部14が、第1突片部173と第1先端縁部1741と第2突片部183と第2先端縁部1841とによって囲まれて構成されているので、連結開口部14の「縁取り縫製」を簡単且つ確実に行うことができる。よって、連結開口部14の周縁部に破れが生じるのを防止できる。
【0032】
(1-4)第1突片部173の幅寸法W1及び長さ寸法L1と、第2突片部183の幅寸法W2及び長さ寸法L2とを、任意に変更することによって、連結開口部14の幅方向Y及び長手方向Xの大きさを任意に且つ容易に設定できる。例えば、幅寸法W1、W2を
図8の例に比して大きく設定すれば、
図13に示されるように、幅狭の連結開口部14を形成できる。また、長さ寸法L1、L2を
図8の例に比して大きく設定すれば、
図14に示されるように、長い連結開口部14を形成できる。したがって、被連結棒221に連結された連結部材31ががたつかないような大きさの連結開口部14を、容易に形成できる。よって、ハンドル3の連結部材31ががたつくのを防止できる。なお、
図8の例では、W1=W2、且つ、L1=L2である。
【0033】
(2)第1突き合わせ先端部172と第2突き合わせ先端部182とが同じ形態を有しているので、第1布体17及び第2布体18の生産性を向上できる。
【0034】
(3)連結開口部14の交差部175及び交差部185が曲線を呈しているので、連結開口部14の耐久性を向上できる。
【0035】
[変形例]
本発明は、次のような変形構造を採用してもよい。
【0036】
(a)第1突き合わせ先端部172と第2突き合わせ先端部182とが、例えば、
図15又は
図16に示されるように、異なる形態を有している。これによれば、ヘッド部2の被連結部22が必ずしも幅方向中央又は長手方向中央に位置していない場合でも、被連結部22の位置に連結開口部14を形成できる。
【0037】
(a-1)
図15では、第1突片部173の幅寸法W1が第2突片部183の幅寸法W2より大きく設定されており、すなわち、W1≠W2である。この場合、ヘッド部2の被連結部22は、幅方向中央から外れて位置している。
【0038】
(a-2)
図16では、第1突片部173の長さ寸法L1が第2突片部183の長さ寸法L2より大きく設定されており、すなわち、L1≠L2である。この場合、ヘッド部2の被連結部22は、長手方向中央から外れて位置している。
【0039】
(a-3)W1≠W2、且つ、L1≠L2でもよい。
【0040】
(b)連結開口部14の交差部175及び交差部185が、例えば、
図17に示されるように、直線同士の交差で構成されている。なお、交差部175及び交差部185の一方のみが直線同士の交差で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のフロアモップは、キャンバスの連結開口部を簡単に且つ正確な位置に形成できるので、生産性を向上でき、それ故、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0042】
1 払拭部
2 ヘッド部
3 ハンドル
10 フロアモップ
11 払拭体
12 キャンバス
13 横穴
14 連結開口部
17 第1布体
172 第1突き合わせ先端部
173 第1突片部
174 第1先端縁部
175 交差部
18 第2布体
182 第2突き合わせ先端部
183 第2突片部
184 第2先端縁部
185 交差部