(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ライドシェア管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221118BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221118BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06 312
G08G1/00 D
G08G1/00 Z
(21)【出願番号】P 2019048998
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小林 健一
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230691(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/030835(WO,A1)
【文献】特開2010-204708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を示す情報が記憶される地図記憶部と、
ライドシェアサービスに使用されるライドシェア車両の運転者の運転者情報として、出発地と、目的地と、出発地の出発時間又は目的地への到着時間と、を取得する運転者情報取得部と、
前記ライドシェア車両への乗車を希望する乗合者の乗合者情報として、前記ライドシェア車両への希望乗車地と、前記乗合者の目的地又は下車地を含む希望下車地と、希望乗車時間又は希望下車時間と、を取得する乗合者情報取得部と、
前記運転者と前記乗合者との合流場所及び合流時間を含むライドシェア計画を、前記運転者情報と前記乗合者情報に基づいて作成するライドシェア計画作成部と、
前記ライドシェア計画を、前記運転者と前記乗合者とに配信する計画配信部と、
前記ライドシェア計画に対する前記乗合者の過去の行動の乖離度を乖離度履歴として保存する乖離度履歴保存部と、
を備え、
前記ライドシェア計画作成部は、複数の前記ライドシェア計画に基づいて前記合流場所での混雑が生じると判定される場合に、前記ライドシェア車両への乗車を希望する前記乗合者の前記乖離度履歴を参照して前記ライドシェア計画を修正するライドシェア管理装置。
【請求項2】
前記乖離度履歴は、前記ライドシェア計画に対して前記合流時間前に到着した場合をポジティブ乖離とし、前記合流時間後に到着した場合をネガティブ乖離として識別可能に前記乖離度履歴保存部に保存され、
前記ライドシェア計画作成部は、前記ライドシェア車両への乗車を希望する前記乗合者の前記乖離度履歴が前記ポジティブ乖離だった場合は前記合流時間を早める方向に修正し、前記乖離度履歴が前記ネガティブ乖離だった場合は前記合流時間を遅らせる方向に修正する請求項1記載のライドシェア管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライドシェア管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者(ドライバー)の目的地までのルートに、乗合者(ライダー)をマッチングし、道路上の車両を減らすことで、交通渋滞の削減や、CO2の排出の削減の社会課題に取り組むライドシェアと呼ばれる仕組みが広がっている。例えば、特許文献1には、仲介ホストと呼ばれるサーバにて、運転者と乗合者の希望に合致する待ち合わせ時刻及び場所を、運転者と乗合者の端末に送信する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ライドシェアサービスが普及すると、今後、新たな課題が発生することが予測される。例えば、乗合者(ライダー)は、通勤通学の時間帯の駅や大規模マンションの前等、乗り降りを希望する時間と合流場所(ランデブーポイント)が集中することになり、乗合者(ライダー)が車両を見つけることが困難になったり、合流場所付近で交通渋滞が発生したりすることが予測される。このような課題は、ライドシェアの利便性の低下を招き、ユーザの減少につながり、ライドシェアの普及が進まない原因となってしまう。
【0005】
本発明は、運転者と乗合者の合流場所での車両の混雑を緩和し、ライドシェアサービスの利便性の低下を防止できるライドシェア管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明は、地図を示す情報が記憶される地図記憶部(例えば、後述する地図記憶部121)と、ライドシェアサービスに使用されるライドシェア車両の運転者の運転者情報として、出発地と、目的地と、出発地の出発時間又は目的地への到着時間と、を取得する運転者情報取得部(例えば、後述する運転者情報取得部111)と、前記ライドシェア車両への乗車を希望する乗合者の乗合者情報として、前記ライドシェア車両への希望乗車地と、前記乗合者の目的地又は下車地を含む希望下車地と、乗車希望時間又は希望下車時間と、を取得する乗合者情報取得部(例えば、後述する乗合者情報取得部112)と、前記運転者と前記乗合者との合流場所及び合流時間を含むライドシェア計画を、前記運転者情報と前記乗合者情報に基づいて作成するライドシェア計画作成部(例えば、後述するライドシェア計画作成部113)と、前記ライドシェア計画を、前記運転者と前記乗合者とに配信する計画配信部(例えば、後述する計画配信部114)と、前記ライドシェア計画に対する前記乗合者の過去の行動の乖離度を乖離度履歴として保存する乖離度履歴保存部(例えば、後述する乖離度履歴保存部123)と、を備え、前記ライドシェア計画作成部は、複数の前記ライドシェア計画に基づいて前記合流場所での混雑が生じると判定される場合に、前記ライドシェア車両への乗車を希望する前記乗合者の前記乖離度履歴を参照して前記ライドシェア計画を修正するライドシェア管理装置(例えば、後述するライドシェア管理装置10)に関する。
【0007】
上記(1)に記載のライドシェア管理装置によれば、ライドシェア車両が集中して混雑が予測される合流場所でのライドシェア車両の渋滞を緩和し、利用者の利便性の低下及び合流場所の周辺住民への迷惑を防止できる。
【0008】
(2) (1)に記載のライドシェア管理装置において、前記乖離度履歴は、前記ライドシェア計画に対して前記合流時間前に到着した場合をポジティブ乖離とし、前記合流時間後に到着した場合をネガティブ乖離として識別可能に前記乖離度履歴保存部に保存され、前記ライドシェア計画作成部は、前記ライドシェア車両への乗車を希望する前記乗合者の前記乖離度履歴が前記ポジティブ乖離だった場合は前記合流時間を早める方向に修正し、前記乖離度履歴が前記ネガティブ乖離だった場合は前記合流時間を遅らせる方向に修正してもよい。
【0009】
上記(2)に記載のライドシェア管理装置によれば、合流時間に早めに到着したか遅れたかを示す乗合者の過去の行動が合流時間の修正に反映されるので、より的確に合流場所での渋滞緩和に繋げることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のライドシェア管理装置によれば、運転者と乗合者の合流場所での車両の混雑を緩和し、ライドシェアサービスの利便性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るライドシェア管理装置を含むライドシェアシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態のライドシェア管理装置と運転者のユーザ端末の装置構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態のライドシェア管理装置と乗合者のユーザ端末の装置構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態のユーザの予約時間幅に基づいて合流時間(出発時間)を設定する例を示す図である。
【
図5】本実施形態のライドシェア計画作成処理を示すフローである。
【
図6】本実施形態のランデブーポイントで混雑が発生している例を示す図である。
【
図7】本実施形態の混雑発生の有無を判定する基準を説明するグラフである。
【
図8】本実施形態のライドシェア計画修正処理を示すフローである。
【
図9】本実施形態の乖離度履歴の保存例を示す機能ブロック図である。
【
図10】本実施形態の複数のライドシェアグループの予約時間幅の例を示すグラフである。
【
図11】本実施形態の複数のライドシェアグループに合流時間(出発時間)が設定された例を示すグラフである。
【
図12】本実施形態のライドシェアグループの分布が適正化されたことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るライドシェア管理装置10を含むライドシェアシステム1の構成例を示す図である。
【0013】
ライドシェアシステム1は、所定の時間帯(例えば、通勤時間)に行われる特定の場所(例えば、勤務地)への移動に対する車両の乗合を支援するライドシェアサービスをユーザに提供する。本実施形態では、特定の団体(例えば、企業、役所)に所属する構成員をユーザ2とし、団体が所有する共用車又はユーザが乗合に使用することに同意した提供車をライドシェア車両3とする例を説明する。
【0014】
<ライドシェアシステムの全体構成>
ライドシェアシステム1では、複数のユーザ端末20と複数の車載端末30がライドシェア管理装置10にネットワーク5を介して接続される。ネットワーク5は、例えば、インターネット、携帯電話網、LAN(Local Area Network)又はこれらを組み合わせて実現されるものであり、その通信方式等に特に制限はない。
【0015】
ライドシェア管理装置10は、ユーザ2の使用するユーザ端末20やライドシェア車両3に搭載される車載端末30と通信を行ってライドシェアに関する各種情報をユーザ端末20や車載端末30に送信する情報処理装置である。各種情報は、例えば、出発地、到着地、出発時間、及び到着時間等の各ユーザ2の希望する希望乗合条件に基づいて、乗合を行うユーザ2の最適な組み合わせ、最適な車両及び最適な走行経路(例えば、交通渋滞を最も緩和できる経路)等の情報である。
【0016】
ユーザ端末20は、ライドシェアサービスの提供を受けるユーザ2が使用する情報処理装置である。ユーザ端末20は、例えば、スマートホン、タブレットPC、携帯電話、PDA等のコンピュータによって構成される。
【0017】
車載端末30は、ライドシェア車両3に搭乗するユーザ2に各種の情報を提供する情報処理装置である。車載端末30は、例えば、カーナビゲーション装置、車両のダッシュボード等に設置されるPND(Portable Navigation Device)、タブレットPC等のコンピュータによって構成される。本実施形態では、ライドシェア車両3は、特定の団体が所有する車両や登録されるユーザ2の所有する車両等である。
【0018】
ユーザ端末20及びライドシェア管理装置10の機能ブロックについて
図2及び
図3のブロック図を参照して説明する。以下の説明において、ユーザ2のうち、ライドシェア車両3を運転するものを運転者2aとし、運転せずに同乗するものを乗合者2bとする。なお、運転者2a又は乗合者2bは、その役割が固定されているわけではなく、そのときどきによって運転者2aや乗合者2bとしての利用がユーザによって選択される。ライドシェアサービスを運転者2aとして利用したユーザが乗合者2bとなる場合もあるし、その逆も成立する。
【0019】
<ユーザ端末が備える機能ブロック>
図2及び
図3に示すように、ユーザ端末20は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成される制御部21と、半導体メモリ等で構成される記憶部22と、タッチパネルディスプレイ等で構成される入力部及び表示部を有するインターフェース部23と、DSP等を有する通信部24と、を含んで構成される。ユーザ端末20には、ライドシェアサービスを利用するための専用アプリケーションソフトがインストールされており、通信部24を介してライドシェア管理装置10との通信を行う。
【0020】
ライドシェアサービスの利用時に運転者2aによって操作されるユーザ端末20をユーザ端末20aとし、ライドシェアサービスの利用時に乗合者2bによって操作されるユーザ端末20をユーザ端末20bとする。ユーザが運転者2aとしてライドシェアサービスを利用する場合、ユーザ端末20aを使用して運転者情報200を送信する(
図2参照)。また、ユーザが乗合者2bとしてライドシェアサービスを利用する場合、ユーザ端末20bを使用して乗合者情報210を送信する(
図3参照)。なお、ユーザ端末20aとユーザ端末20bが異なる情報処理装置であるというわけではない。
【0021】
<ライドシェア管理装置が備える機能ブロック>
ライドシェア管理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を含んで構成される。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access memory)、ROM(Read Only Memory)、及びI/O(Input / output)等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部12から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部12から情報を読み出し、RAM及び記憶部12に対して情報の書き込みを行い、通信部13等と信号の授受を行う。このようにして、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。なお、制御部11の詳細については後述する。
【0023】
記憶部12は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラム等の各種のプログラムや、ユーザ情報や車両情報等、種々の情報が記憶される。
【0024】
ユーザ情報は、運転者2a又は乗合者2bとしてライドシェアサービスを利用するユーザ2を特定するユーザ識別番号、アカウント情報、ユーザ端末20等の情報である。車両情報は、ライドシェア車両3の車両識別番号等の情報である。なお、記憶部12の詳細については後述する。
【0025】
通信部13は、DSP(Digital Signal Processor)等を有し、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、Wi-Fi(登録商標)、5G(5th Generation)といった規格に準拠して、ネットワーク5を介して他の装置との間の通信を実現する。
【0026】
次に、制御部11の詳細について説明する。本実施形態の制御部11は、運転者情報取得部111と、乗合者情報取得部112と、ライドシェア計画作成部113と、計画配信部115と、を含んで構成される。
【0027】
運転者情報取得部111は、運転者2aのユーザ端末20aから送信される運転者情報200を取得する。運転者情報200には、車両3の運転を開始する出発地201、運転者2aの最終的な目的地202、出発地201を出発する出発時間203及び目的地202に到着する到着時間204等が含まれる(
図2参照)。
【0028】
乗合者情報取得部112は、乗合者2bのユーザ端末20bから送信される乗合者情報210を取得する。乗合者情報210には、乗合者2bが乗車を希望する希望乗車地211、乗合者2bの目的地又は経由地である希望下車地212、希望乗車地211で乗車する希望乗車時間213及び希望下車地212に到着する希望下車時間214等が含まれる(
図3参照)。
【0029】
ライドシェア計画作成部113は、1又は複数の運転者2aのユーザ端末20aから受信した運転者情報200と、1又は複数の乗合者2bのユーザ端末20bから受信した乗合者情報210と、に基づいて運転者2aと乗合者2bからなるライドシェアグループを作成する。ライドシェア計画作成部113は、運転者2aと乗合者2bの合流場所101、合流時間102、ライドシェアグループのメンバーに関する同乗者103及び出発地201から目的地202までの経路104に関する情報を含むライドシェア計画100を作成する。
【0030】
合流場所101の設定方法の例について説明する。合流場所101は、ライドシェアグループのメンバー(運転者2a及び乗合者2b)の出発地201及び希望乗車地211に基づいてランデブーエリア及びランデブーエリアの具体的な場所を示すランデブーポイントを含む情報である。ランデブーエリアは、比較的大きな範囲であり、例えば、駅、ランドマークビル、スーパー等の建築物である。ランデブーポイントは、ランデブーエリア内でいくつか設定される徒歩圏内の比較的狭い範囲の一つであり、例えば、駅の西口、駅の東口、スーパーの正面口、スーパーの裏口等のように設定される。
【0031】
合流時間102の設定方法の例について
図4を参照して説明する。
図4に示すように、ライドシェアグループが運転者A、乗合者B、乗合者Cの3人に設定されたとする。ここで、運転者Aの予約時間幅(出発時間203)が7:00~7:25であり、乗合者Bの予約時間幅(希望乗車時間213)が7:10~7:25であり、乗合者Cの予約時間幅(希望乗車時間213)が7:15~7:45である。この場合、運転者A、乗合者B、乗合者Cの3人の予約時間が重なる設定可能時間は7:15~7:25ということになる。この設定可能時間に基づいて適宜の方法で合流時間102が設定される。例えば、設定可能時間が7:15~7:25の場合、最も遅い時間である7:25が合流時間102として設定される。
【0032】
計画配信部115は、作成されたライドシェア計画100の対象となる運転者2aのユーザ端末20a及び乗合者2bのユーザ端末20bのそれぞれにライドシェア計画100を送信するように通信部13を制御する(
図2及び
図3参照)。
【0033】
次に、記憶部12の詳細について説明する。本実施形態の記憶部12は、ライドシェア計画100の作成に使用する情報を記憶する領域として、地図記憶部121と、ライドシェア履歴記憶部122と、乖離度履歴保存部123と、を含んで構成される。
【0034】
地図記憶部121は、道路地図(地図)を示す地図情報等を記憶する領域である。本実施形態の地図記憶部121には、ライドシェア車両以外の移動手段として、公共交通機関等の運行情報が更に記憶される。
【0035】
ライドシェア履歴記憶部122は、ライドシェア車両3の過去の運行履歴と乗合者2bのライドシェアサービス利用時の乗車履歴とが記憶される領域である。
【0036】
乖離度履歴保存部123は、ライドシェアサービスを利用した乗合者2bのライドシェア計画100に対する行動の履歴である乖離度履歴130を保存する領域である。
【0037】
乖離度履歴130は、乗合者2bが過去にライドシェアサービスを利用したときの合流時間102に対する到着時間の乖離傾向を示す情報である。乗合者2bが過去のライドシェアサービスの利用において、合流時間102に早めに到着する傾向を示した場合は、乖離度履歴130に「ポジティブ乖離」とする情報が付加される。逆に、乗合者2bが、過去のライドシェアサービスの利用において、合流時間102に遅れて到着する傾向を示す場合は、「ネガティブ乖離」とする情報が乖離度履歴130に付加される。
【0038】
本実施形態の乖離度履歴130は、ライドシェアサービス利用中又は利用後に取得されるユーザ端末20からの情報に基づいて作成される。例えば、ユーザ端末20のGPS情報、運転者2aや乗合者2bからのフィードバック情報等に基づいて作成される。複数回の利用歴がある場合は、ライドシェアサービスを複数回の利用が反映されるように作成される。ポジティブ乖離及びネガティブ乖離が、合流時間から到着時間までの時間差の大きさを反映した数値やレベルを示す情報を含むようにしてもよい。
【0039】
<ライドシェア計画の作成処理>
次に、ライドシェア計画作成部113によるライドシェア計画100の作成処理につい
図5のフローを参照して説明する。
図5のフローでは、ライドシェア管理装置10がユーザ端末20にライドシェア計画100を通知するまでの処理例が示されている。
【0040】
ステップS11において、ライドシェア計画作成部113は、運転者情報取得部111が取得した複数の運転者情報200と、乗合者情報取得部112が取得した複数の乗合者情報210と、に基づいてライドシェアグループを作成するマッチング処理を行う。
【0041】
ステップS12において、ライドシェア計画作成部113は、当該ライドシェアグループのランデブーエリア及びランデブーポイントを含む合流場所101と、当該合流場所101での合流時間102と、含むライドシェア計画100を作成する。
【0042】
ステップS13において、ライドシェア計画作成部113は、ランデブーポイントでの混雑が発生しているか否かを判定する。
【0043】
ここで、ライドシェア車両3が特定のランデブーポイントP1に集中する事態について
図6を参照して説明する。
図6には、合流場所101としてランデブーポイントP1が設定されたライドシェアグループ1~16と、ランデブーポイントP2が設定されたライドシェアグループ17~19と、が示されている。ランデブーポイントP1とランデブーポイントP2は、同一のランデブーエリア内に設定されるランデブーポイントである。
図5の例では、ランデブーポイントP1で7:00~7:30の間の枠内の時間帯に混雑が生じることになる。
【0044】
この点、本実施形態のライドシェア計画作成部113は、ランデブーポイントに複数のライドシェア車両3が集中して混雑(渋滞)が発生するか否かを判定し、混雑が発生する場合にはライドシェア計画100を修正する機能を有する。
【0045】
ランデブーポイントに混雑が発生しているか否かを判定する処理について
図7を参照して説明する。
図7には、縦軸をグループ数(ライドシェア車両3の数)、横軸を出発時間帯とした棒グラフが示されている。棒グラフの横幅は、所定の時間幅(例えば5分)を示している。
【0046】
ライドシェア計画作成部113には、ランデブーポイントに混雑が発生しているか否かを判定するための基準値として混雑閾値が設定される。ライドシェアグループのグループ数が混雑閾値を超えた時間帯が、混雑が発生する時間帯として判定される。混雑閾値は、例えば、ランデブーポイントやライドシェアサービスを利用する団体に設定される許容停車台数、通勤時間等の時間帯、ライドシェアグループの人数、後述する乗合者の乖離度履歴130等の行動特性、又はこれらの組み合わせ等によって調整される。
【0047】
図7において、混雑閾値よりも上側の実線の枠内に入る時間帯(棒グラフ)はほぼ確実に混雑する時間帯であるが、破線の枠内に入る時間帯(棒グラフ)においても、混雑する時間帯の時間のずれによって混雑する可能性がある時間帯となる。混雑する蓋然性が高い場所や時間帯の場合は、破線の枠に入る混雑する可能性がある時間帯が、混雑する時間帯として判定されるように混雑閾値を下げる調整を行うこともできる。混雑閾値の調整方法としては、ライドシェアグループに参加する運転者2a、乗合者2bの合流時間102に対する遅刻率や早めの集合確率等を考慮することができる。
【0048】
ステップS13において、混雑発生と判定された場合は、ステップS14に進んで混雑発生された時間のライドシェア計画100の修正処理が行われる。この修正の処理の後、ステップS15に進む。ステップS13において、混雑が発生していないと判定された場合は、ステップS14のライドシェア計画100の修正処理が行われることなくステップS15に進む。なお、ステップS14の修正処理の詳細については後述する。
【0049】
ステップS15において、計画配信部115は、ライドシェア計画100をライドシェアグループのメンバーである運転者2aのユーザ端末20a及び乗合者2bのユーザ端末20bに送信する配信処理を行う。
【0050】
次に、ライドシェア計画100の修正処理について
図8のフローを参照して説明する。
図8には、
図5におけるステップS14で行われる処理例が示されている。
【0051】
ステップS21において、ライドシェア計画作成部113は、乖離度履歴保存部123に保存される乖離度履歴130を参照し、合流時間102及び出発時間203の変更を行う。
【0052】
図9には、ユーザごとに記憶される乖離度履歴130A~130Eの例が示されている。本実施形態のライドシェア計画作成部113は、ポジティブ乖離131の属性を有するユーザ2の集合をポジティブ群とし、ネガティブ乖離132の属性を有するユーザ2の集合をネガティブ群として設定する。
図9の例では、ユーザA及びユーザEは、ポジティブ乖離131の属性が設定されているのでポジティブ群となる。ユーザB、ユーザC及びユーザDは、ネガティブ乖離132の属性が設定されているのでネガティブ群となる。
【0053】
ライドシェア計画作成部113は、ポジティブ群に属する乗合者2bとしてのユーザ2の合流時間102が最も混雑する時間帯よりも早い時間帯にずれるようにマッチング処理を行うとともに、ネガティブ群に属する乗合者2bとしてのユーザ2の合流時間102が最も混雑する時間帯よりも遅い時間になるようにマッチング処理を行う。即ち、ライドシェア計画作成部113は、ポジティブ群の乗合者2bを集中する山(時間帯)の前半に配置し、ネガティブ群の乗合者2bを集中する山(時間帯)の後半に配置するマッチングを行う。
【0054】
早めに出発する傾向があるポジティブ群に属する乗合者2bのライドシェアグループの出発は、早めに出発する可能性が高い。同様に、遅めに出発する傾向があるネガティブ群に属する乗合者2bのライドシェアグループの出発は、遅めに出発する可能性が高い。従って、複数のライドシェアグループの各グループが、最も混雑する時間帯から出発時間が離れる傾向を示すということもできる。このように、ライドシェア計画作成部113は、ライドシェアサービスを利用する運転者2aの合流時間102及び出発時間203を早める変更処理を行う。
【0055】
ステップS22において、ライドシェア計画作成部113は、ライドシェア計画100の修正の結果、ランデブーポイントでの混雑が解消したか又は時間変更が可能であったか否かを判定する。混雑が解消したか否かを判定する処理の一例について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10にはライドシェア計画100が修正された各ライドシェアグループの予約時間幅が示されている。この予約時間幅に基づいて出発時間が分散するように各ライドシェアグループの合流時間102及び出発時間203を設定する。
【0056】
図11には各ライドシェアグループの出発時間203が決定された例が示されている。出発時間203の変更後も、同一時間帯を示す同一線上に所定数以上の出発時間203がある場合、ライドシェア計画作成部113は、混雑が解消されていないと判定する。例えば、出発時間203が同一時間帯に4個以上重なっている場合は混雑が解消していない等と判定する。
【0057】
ステップS22において、混雑が解消している場合は、
図6のステップS15に移行する。混雑が解消していない又は希望乗車時間213等の関係から時間が変更できなかった場合は、ステップS23に移行する。なお、ステップS22の処理において、運転者2aのユーザ端末20aや乗合者2bのユーザ端末20bに合流時間102及び出発時間203の変更を確認する通知を行う処理を追加してもよい。この処理の場合、時間変更が処理上可能であっても時間変更が容認されなかった場合は、ステップS23に移行することになる。
【0058】
ステップS23において、ライドシェア計画作成部113はランデブーポイントの変更を行う。例えば、ランデブーポイントを同一ランデブーエリア内で混雑が発生していない別のランデブーポイントや近接するランデブーエリア内で混雑が発生していないランデブーポイントに変更する。
【0059】
ステップS24において、ステップS23の処理の結果、ランデブーポイントの候補があり、ランデブーポイントの変更が成功した場合、
図6のステップS15に移行する。
図12に示すように、あるランデブーポイントにおけるライドシェアグループの数の分布の山を削ることが可能となり、混雑が解消されることになる。なお、
図12において実線が変更前のグループ数の分布を示し、破線が変更後のグループ数の分布を示している。
【0060】
ステップS24において、候補のランデブーポイントがなかった場合、当該ライドシェアグループの運転者2a及び乗合者2bに混雑通知を行うステップS24の処理に移行した後、同一時間帯及び同一ランデブーポイントでの追加予約を受け付けないステップS25の処理に移行する。なお、ステップS24の処理では、ライドシェアグループでの合流場所101の変更を促す案内を通知し、ライドシェアグループのメンバーによる合流場所101の変更を受け付ける処理としてもよい。
【0061】
以上、ライドシェア計画100が運転者2a及び乗合者2bに通知されるまでの一連の処理例について説明した。ライドシェア計画100に運転者2a及び乗合者2bが同意した場合は当該ライドシェア計画100が確定することになる。
【0062】
なお、ライドシェア計画100に対して運転者2a又は乗合者2bが修正を希望する情報をユーザ端末20からライドシェア管理装置10を受け付けると、当該情報に基づいてライドシェア計画100を修正する処理としてもよいし、運転者2a及び乗合者2bの同意を確認する処理を省略してもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のライドシェア管理装置10は、地図記憶部121と、運転者情報取得部111と、乗合者情報取得部112と、ライドシェア計画作成部113と、計画配信部114と、乖離度履歴保存部123と、を備える。ライドシェア計画作成部113は、複数の前記ライドシェア計画100に基づいて合流場所101での混雑が生じると判定される場合に、ライドシェア車両3への乗車を希望する乗合者2bの乖離度履歴130を参照してライドシェア計画100を修正する。
【0064】
この構成により、ライドシェア車両3が集中して混雑が予測される合流場所101でのライドシェア車両3の混雑(渋滞)を緩和し、利用者の利便性の低下及び合流場所の周辺住民への迷惑を防止できる。
【0065】
また、本実施形態のライドシェア管理装置10において、乖離度履歴130は、ライドシェア計画100に対して合流時間102前に到着した場合をポジティブ乖離131とし、合流時間102後に到着した場合をネガティブ乖離132として識別可能に乖離度履歴保存部123に保存される。ライドシェア計画作成部113は、ライドシェア車両3への乗車を希望する乗合者2bの乖離度履歴130がポジティブ乖離131だった場合は合流時間102を早める方向に修正し、乖離度履歴130がネガティブ乖離132だった場合は合流時間102を遅らせる方向に修正する。
【0066】
この構成により、合流時間102に早めに到着したか遅れたかを示す乗合者2bの過去の行動が合流時間102の修正に反映されるので、より的確に合流場所での混雑(渋滞)緩和に繋げることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0068】
例えば、
図1では、1個のサーバがライドシェア管理装置10として模式的に図示されているが、この構成に限定されるわけではない。例えば、上記実施形態のライドシェア管理装置10は、ユーザ2のマッチングを行う機能を有する構成であるが、当該構成を省略し、ライドシェア計画100を作成する機能に特化したライドシェア計画装置(予約管理装置)とし、マッチング処理を外部のマッチングサーバで行うとともに必要な情報は外部のデータベースに記憶させる構成としてもよい。
【0069】
このように、ライドシェア管理装置10の各機能を、適宜複数のサーバ装置に分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、ライドシェア管理装置10の各機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 ライドシェア管理装置
111 運転者情報取得部
112 乗合者情報取得部
113 ライドシェア計画作成部
115 計画配信部
121 地図記憶部
123 乖離度履歴保存部