(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/14 20060101AFI20221118BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20221118BHJP
E04G 21/24 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
E04G21/14
E04G21/02 103Z
E04G21/24 B
(21)【出願番号】P 2019109249
(22)【出願日】2019-06-12
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱 竜太
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189689(WO,A1)
【文献】特開2016-115114(JP,A)
【文献】特開2010-164353(JP,A)
【文献】特開2008-158569(JP,A)
【文献】特開平04-019485(JP,A)
【文献】特開2013-214211(JP,A)
【文献】特開2000-091963(JP,A)
【文献】特開平06-276645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14
E04G 21/02
E04G 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体材料に埋設された配管の開口端を前記構造体材料から露出させる構造体の施工方法であって、
前記配管の開口端を閉塞する閉塞プラグに無線タグを設けた状態で前記構造体材料によって前記配管を埋設し、
無線タグリーダーによって前記無線タグを検出することにより、前記配管の開口端が前記構造体材料に埋設された位置を検知し、
前記配管の開口端が前記構造体材料に埋設された位置において前記構造体材料を除去することにより、前記配管の開口端を前記構造体材料から露出さ
せ、
前記構造体材料によって前記配管を埋設する際には、前記閉塞プラグで閉塞された配管の開口端に対向させた状態で型枠を配置し、前記型枠で囲まれた内部に前記構造体材料を供給することにより前記配管を埋設し、
前記無線タグリーダーによって前記無線タグを検出する際には、前記型枠を取り外す
構造体の施工方法。
【請求項2】
構造体材料に埋設された配管の開口端を前記構造体材料から露出させる構造体の施工方法であって、
前記配管の開口端を閉塞する閉塞プラグに
通信距離が異なる複数の無線タグを設けた状態で前記構造体材料によって前記配管を埋設し、
無線タグリーダーによって前記無線タグを検出することにより、前記配管の開口端が前記構造体材料に埋設された位置を検知し、
前記配管の開口端が前記構造体材料に埋設された位置において前記構造体材料を除去することにより、前記配管の開口端を前記構造体材料から露出させる
構造体の施工方法。
【請求項3】
前記無線タグは、前記配管の属性情報を保持し、
前記無線タグリーダーは、前記無線タグから前記属性情報を読み取り、読み取った前記属性情報を端末装置の表示部に表示させる
請求項1
または2に記載の構造体の施工方法。
【請求項4】
前記端末装置は、前記属性情報に関連付けされた前記配管の3次元データを保持し、前記無線タグリーダーが読み取った属性情報に基づいて、前記配管の3次元データを前記表示部に表示させる
請求項3に記載の構造体の施工方法。
【請求項5】
前記閉塞プラグは、前記無線タグを取りつけるための凹部を有する
請求項1
~4のうちの何れか1項に記載の構造体の施工方法。
【請求項6】
前記無線タグは、前記閉塞プラグにおいて前記配管の内側を向く面に取り付けられる
請求項1
~4のうちの何れか1項に記載の構造体の施工方法。
【請求項7】
前記無線タグは、前記無線タグリーダーからの電磁波を動力源とするパッシブ型のものである
請求項1
~6のうちの何れか1項に記載の構造体の施工方法。
【請求項8】
前記構造体材料は、コンクリートである
請求項1~
7の何れか1項に記載の構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の施工方法および埋設配管用の閉塞プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば原子力発電所建屋のような電線管が埋設されたコンクリート構造体の施工に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「ボルト6が設けられた電線管キャップ10をあらかじめ配管2の入口部内側にネジ込み式に取付けておく。さらに、やがてコンクリート躯体面となる境界面に合わせて、型枠4と電線管キャップ本体13のボルト6取付け面を密着する。この時、ボルト6は型枠4を垂直に貫通する。そして、貫通したボルト6の外側からナット7で締め込むことにより、型枠4はナット7と電線管キャップ本体13で狭まれた状態になる。これにより、上記型枠4と電線管キャップ本体13との密着面は、さらに強固に固定されることになる。」と記載され、さらに「電線管キャップ3と型枠4が強固に密着することにより、コンクリート打設圧力が極度にかかっても、…コンクリート躯体1の内部に配管2の入口部が埋没することを防ぐことができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術においては、あらかじめ型枠の所定位置にボルトを貫通させるための穴を形成しておき、この穴に対して電線管の入口部内側にねじ込まれた電線管キャップに設けられたボルトを貫通させる必要がある。しかしながら、型枠に形成された穴にボルトを貫通させる作業は、非常に細かな作業であって、施工性を悪化させる要因となっている。
【0005】
そこで本発明は、施工性が良好でありながらも、埋設された配管の開口端を容易に露出させることが可能な構造体の施工方法および埋設配管用の閉塞プラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、構造体材料に埋設された配管の開口端を前記構造体材料から露出させる構造体の施工方法であって、前記配管の開口端を閉塞する閉塞プラグに無線タグを設けた状態で前記構造体材料によって前記配管を埋設し、無線タグリーダーによって前記無線タグを検出することにより、前記配管の開口端が前記構造体材料に埋設された位置を検知し、前記配管の開口端が前記構造体材料に埋設された位置において前記構造体材料を除去することにより、前記配管の開口端を前記構造体材料から露出させる構造体の施工方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施工性が良好でありながらも、埋設された配管の開口端を容易に露出させることが可能な構造体の施工方法および埋設配管用の閉塞プラグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その1)である。
【
図2】第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その2)である。
【
図3】第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その3)である。
【
図4】第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その4)である。
【
図5】第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その5)である。
【
図6】第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その6)である。
【
図7】第2実施形態の構造体の施工方法の特徴部を示す断面工程図である。
【
図8】第2実施形態の構造体の施工方法において端末装置が保持する情報を示す図である。
【
図9】第2実施形態の構造体の施工方法において端末装置の表示部に表示される配管の3次元CADデータの表示例である。
【
図10】第3実施形態の構造体の施工方法における特徴部を拡大した断面図である。
【
図11】第3実施形態の構造体の施工方法の特徴部を示す断面工程図である。
【
図12】第4実施形態の構造体の施工方法における特徴部を拡大した断面図である。
【
図13】第5実施形態の構造体の施工方法における特徴部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した構造体の施工方法および埋設配管用の閉塞プラグの各実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで説明する各実施の形態は、例えば原子力発電所建屋のように電線などを配線するための配管が埋設されたコンクリート構造体の施工に対し、本発明を適用した構成となっている。なお、各実施の形態において、共通の構成要素には共通の符号を付し、共通の構成要素についての重複する説明は省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1~
図6は、第1実施形態の構造体の施工方法を示す断面工程図(その1)~(その6)である。次に、これらの図に基づいて、第1実施形態の構造体の施工方法を説明する。
【0011】
先ず
図1に示すように、鉄筋1aを縦横に組み立てた鉄筋組立体1を形成する。
【0012】
その後、
図2に示すように、鉄筋組立体1を構成する鉄筋1aの合間に、設計に基づいて配管2を配設し、鉄筋組立体1に対して括り付けて固定する。この配管2は、例えば内部に電線が配線される電線管である。このような配管2は、両側の開口端2aが、完成後のコンクリート構造体の表面の所定位置に露出されるように、設計に基づいて配設されることとする。
【0013】
なお、図面においては、配管2の一方の開口端2aのみを図示したが、配管2の両側の開口端2aは、設計にしたがったそれぞれの位置に配置されることとする。また配管2の開口端2aが配設されるコンクリート構造体の表面は、壁面、床面、天面、およびその他の面の何れであってもよい。
【0014】
以上のような配管2は、内部へのコンクリートの流入を防止する目的で、開口端2aが閉塞プラグ3によって閉塞された状態となっていることとする。この閉塞プラグ3は、[A]部の拡大図に示すように、配管2の開口端2aに収容される状態で開口端2aを閉塞し、配管2の開口端2aに対して、押し込まれていてもよいし、ネジ込まれていてもよい。このような閉塞プラグ3は、配管2を鉄筋組立体1に対して固定する前、または後に、配管2の開口端2aを閉塞する状態で設けられることとする。
【0015】
またこのような閉塞プラグ3の外側面3aであって、配管2から露出している面は、平坦な面であることとし、この平坦な外側面3aに無線タグ4が設けられている。この無線タグ4は、動力源を有していないパッシブ型のものであることが好ましく、外部からの電磁波を動力源として信号を送信する。このような無線タグ4は、例えば通信範囲が数10cm程度のHF帯のものであってよく、閉塞プラグ3の外側面3aに貼り付けられていることとする。
【0016】
次に
図3に示すように、鉄筋組立体1および配管2を、例えば2枚の型枠5で挟持する。2枚の型枠5は、設計に沿って所定の間隔を開けて配置され、ここでの図示を省略したセパレーターによって所定の間隔に保持されていることとする。また型枠5は、閉塞プラグ3で閉塞された配管2の開口端2aに対向して配置される。
【0017】
ここで、配管2の開口端2aは、閉塞プラグ3で閉塞されており、閉塞プラグ3の外側には無線タグ4が貼り付けられている。このため、図示したように、型枠5は無線タグ4に密着する状態となっているか、または無線タグ4が配管2の開口端2aよりも突出していない場合であれば、型枠5は配管2の開口端2aに密着した状態であることとする。また、設計に対する施工の誤差により、型枠5は、無線タグ4および配管2の開口端2aの何れに対しても、密着せずに隙間を保って配置される場合もあり得る。
【0018】
なお、以上のように鉄筋組立体1および配管2を2枚の型枠5で挟持した構成は、配管2の開口端2aに対して型枠5が対向して配置された状態となっていれば、上述した手順での形成に限定されることはない。
【0019】
その後、
図4に示すように、鉄筋組立体1および配管2を埋め込む状態で、2枚の型枠5間に構造体材料としてコンクリート6を打設する。この際、コンクリート6の打設圧力によって、2枚の型枠5には外側に膨らむ側圧が掛かるが、セパレーターによって所定の間隔に保持される。しかしながら、配管2の開口端2aとセパレーターとの位置関係によっては、図示したように、コンクリート6の打設圧力によって型枠5が部分的に外側に膨らみ、型枠5と無線タグ4および配管2の開口端2aとの間にコンクリート6が流れ込む場合がある。
【0020】
次いで
図5に示すように、型枠5間に打設したコンクリート6が硬化して強度が発生した後、型枠5を撤去し、コンクリート6の表面を露出させる。この状態においては、無線タグ4および配管2の開口端2aが、コンクリート6に埋没し、外側からはその位置が確認できない状態となっている場合がある。
【0021】
この場合、図示したように、無線タグリーダー20を用いて無線タグ4を検出する作業を実施する。これにより、配管2の開口端2aの埋没位置を特定する。
【0022】
ここで無線タグリーダー20は、無線タグ4の動力源となる電磁波を発生するものであって、この無線タグリーダー20からの電磁波を動力源としてパッシブ型の無線タグ4から信号が送信される。また無線タグリーダー20は、無線タグ4が発信エリアに入ることで、光や音を発する報知部を有する。
【0023】
このような無線タグリーダー20を用いて、配管2の開口端2aの埋没位置を特定する場合、先ず設計図に基づいて配管2の開口端2aが配置されるおおよその範囲を特定する。次に、設計図から特定した開口端2aが配置されるおおよその範囲について、無線タグリーダー20をコンクリート6の表面に沿って移動させる。この際、無線タグリーダー20から発せられる光や音により、無線タグ4の配置位置、すなわち無線タグ4が取り付けられた閉塞プラグ3および配管2の開口端2aの埋設位置を特定する。例えば、無線タグリーダー20が無線タグ4に近接するほど、無線タグリーダー20から発せられる光や音などが大きくなる構成であれば、無線タグリーダー20から発せられる光や音が最も大きくなる位置を、無線タグ4の配置位置であって、配管2の開口端2aの埋設位置と特定すればよい。
【0024】
次に
図6に示すように、特定した配管2の開口端2aの埋没位置のコンクリート6部分をはつり、無線タグ4、閉塞プラグ3、および配管2の開口端2aを埋没させていたコンクリート6を部分的に除去する。これにより、無線タグ4が貼り付けられた閉塞プラグ3、および閉塞プラグ3で閉塞された配管2の開口端2aをコンクリート6から露出させる。そして、配管2の開口端2aから、無線タグ4が貼り付けられた閉塞プラグ3を取り外し、配管2が所定状態でコンクリート6内に埋設されたコンクリート構造体10を得る。
【0025】
以上説明した第1実施形態によれば、閉塞プラグ3によって閉塞された配管2の開口端2aが、コンクリート6に埋設されて目視できない場合であっても、閉塞プラグ3に取り付けた無線タグ4と無線タグリーダー20との通信によって、閉塞プラグ3で閉塞された配管2の開口端2aの埋設位置を特定することができる。したがって、例えばコンクリート6を打設する際に設ける型枠5と配管2の開口端2aとの位置精度が問われることもなく、施工性が良好でありながらも、埋設された配管2の開口端2aを容易に露出させることが可能となる。
【0026】
≪第2実施形態≫
図7は、第2実施形態の構造体の施工方法の特徴部を示す断面工程図であって、第1実施形態において
図5を用いて説明した無線タグリーダー20による無線タグ4の検出工程に相当する工程を示す図である。この図に示すように、無線タグリーダー20は、端末装置30に接続されるものであってもよい。端末装置30は、表示部31を備えたものであることとする。また無線タグリーダー20と端末装置30との接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0027】
この場合、無線タグ4は、各無線タグ4が取り付けられた閉塞プラグ3が閉塞する配管2および開口端2aの属性情報を保持したものであることとする。配管2および開口端2aの属性情報とは、配管2に付与された識別情報(ID情報であって管番など)、および開口端2aに付与された識別情報(ID情報)であり、さらに配管2に関する図面番号、無線タグ4が取り付けられた閉塞プラグ3が閉塞する開口端2aのサイズ情報(口径)などである。
【0028】
無線タグリーダー20は、無線タグ4に保持された配管2および開口端2aの属性情報を読み取る。
【0029】
また端末装置30は、無線タグリーダー20で読み取った属性情報を、表示部31に表示する。端末装置30に、このような属性情報として、特に無線タグ4が取り付けられた閉塞プラグ3が閉塞する開口端2aのサイズ情報(口径)を表示させることにより、先の第1実施形態において
図6で示したようにコンクリート6をはつる際に、どの程度の範囲のコンクリート6をはつればよいかを判断することができる。
【0030】
また、端末装置30には、配管2および開口端2aに付与された識別情報に関連付けされた状態で、各配管2の3次元CADデータに関する情報や配管2が配置される建屋区分に関する情報が保存されていてもよい。
【0031】
図8は、第2実施形態の構造体の施工方法において端末装置30が保持する情報を示す図である。
図7および
図8を参照し、端末装置30は、コンクリート構造体を構成する各配管2の識別情報(ID情報であって管番など)、および開口端2aの識別情報(ID)を保持し、さらにこの識別情報に関連付けしたCADデータと建屋区分に関する情報とを保持する。
【0032】
この場合、端末装置30は、無線タグリーダー20によって、無線タグ4から配管2および開口端2aの属性情報を読み取った場合に、この属性情報のうちの識別情報に関連付けされたCADデータを読み出し、表示部31に表示させる。この際、端末装置30は、無線タグリーダー20によって読み取った開口端2aの識別情報から、CADデータの表示の方向を決定し、無線タグリーダー20によって属性情報が読み取られた無線タグ4に対応する開口端2aが前方となるように、3次元CADデータを表示する。
【0033】
図9は、第2実施形態の構造体の施工方法において端末装置30の表示部31に表示される配管2の3次元CADデータの表示例である。
図7および
図9を参照し、端末装置30に、配管2の3次元CADデータに関する情報を保存しておくことにより、無線タグリーダー20で読み取った配管2に関する属性情報に関連付けされた3次元CADデータを、表示部31に表示させることができる。この3次元CADデータの表示により、コンクリート6内における配管2の配置状態、およびコンクリート6の表面において開口端2aが露出する位置を視覚的に確認することが可能である。
【0034】
さらに端末装置30は、無線タグリーダー20で読み取った配管2に近接して配置される他の配管2’の3次元CADデータを、合わせて表示部31に表示させる構成であってもよい。これにより、コンクリート6内に埋設された配管2,2’の開口端2a,2a’を露出させる作業の抜け漏れを防止することができる。
【0035】
≪第3実施形態≫
図10は、第3実施形態の構造体の施工方法における特徴部を拡大した断面図である。この図に示すように、配管2の開口端2aを閉塞する閉塞プラグ3には、長距離無線タグ4aと、これよりも通信距離が短い短距離無線タグ4bとを設けてもよい。このような長距離無線タグ4aおよび短距離無線タグ4bは、いずれもパッシブ型のものであって、第1実施形態で説明した無線タグリーダーからの電磁波を動力源として信号が送信されるものであることが好ましい。このような長距離無線タグ4aおよび短距離無線タグ4bにおいての通信距離の差は、一例としてアンテナの長さによる。つまり、長距離無線タグ4aのアンテナは、短距離無線タグ4bのアンテナよりも十分に長いものであることとする。
【0036】
この場合、無線タグリーダーは、長距離無線タグ4aおよび短距離無線タグ4bの各通信範囲に入ることで、異なる光や音を発する報知部を有することとする。また、無線タグリーダーが、第2実施形態で説明したような端末装置に接続されている場合であれば、長距離無線タグ4aおよび短距離無線タグ4bのどちらからの信号を受信しているのかを端末装置の表示部に表示させてもよい。
【0037】
図11は、第3実施形態の構造体の施工方法の特徴部を示す断面工程図である。この図に示すように、長距離無線タグ4aの通信範囲100aは、短距離無線タグ4bの通信範囲100bよりも広い。このため先ず、無線タグリーダーによる長距離無線タグ4aからの信号検出により、配管2の開口端2aのおおまかな位置を特定する。次いで、無線タグリーダーによる短距離無線タグ4bからの信号検出により、配管2の開口端2aの正確な位置を特定する。
【0038】
以上のように、通信範囲の異なる長距離無線タグ4aと短距離無線タグ4bとを組み合わせて用いることにより、スピーディかつ正確に配管2の開口端2aの埋設位置を特定することができる。
【0039】
なお、本第3実施形態においては、通信距離が異なる長距離無線タグ4aと短距離無線タグ4bとを、配管2の開口端2aを閉塞する閉塞プラグ3に設けた例を説明した。しかしながら、第3実施形態の変形例として、配管2の開口端2aを閉塞する閉塞プラグ3には、1種類の無線タグのみを設け、無線タグリーダーとして出力が可変のものを用いてもよい。この場合、先ず、無線タグリーダーの出力を大きく設定して無線タグからの信号検出を実施し、配管2の開口端2aのおおまかな位置を特定する。次いで、無線タグリーダーの出力を小さくして無線タグからの信号検出を実施し、配管2の開口端2aの正確な位置を特定する。これにより第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
≪第4実施形態≫
図12は、第4実施形態の構造体の施工方法における特徴部を拡大した断面図である。この図に示すように、配管2の開口端2aを閉塞する閉塞プラグ3’は、無線タグ4を設ける外側面3aに、無線タグ4を収容するための凹部3aaを設けた構成のものであってもよい。なお、凹部3aa内には、第3実施形態で説明したような複数の無線タグを収容してもよい。
【0041】
このように閉塞プラグ3’に凹部3aaを設けたことにより、閉塞プラグ3’よりも外側に無線タグ4が突出することがなく、閉塞プラグ3’の全周を型枠5に接触させて密着性の向上を図ることができ、その後に打設するコンクリート(構造体材料)に配管2の開口端2aおよび閉塞プラグ3’が埋没し難くなる。また、コンクリート打設時の衝撃で無線タグ4が閉塞プラグ3から外れる危険性を低減することができる。
【0042】
≪第5実施形態≫
図13は、第5実施形態の構造体の施工方法における特徴部を拡大した断面図である。この図に示すように、無線タグ4は、配管2の開口端2aを閉塞する閉塞プラグ3の内側面3bに設けてもよい。なお、閉塞プラグ3の内側面3bには、第3実施形態で説明したような複数の無線タグを設けてもよい。
【0043】
これにより、閉塞プラグ3よりも外側に無線タグ4が突出することがなく、閉塞プラグ3と型枠5との接触面積を広げて密着性の向上を図ることができ、その後に打設するコンクリートに配管2の開口端2aおよび閉塞プラグ3が埋没し難くなる。また、コンクリート打設時の衝撃で無線タグ4が閉塞プラグ3から外れる危険性を低減することができる。
【0044】
以上の第1実施形態~第5実施形態においては、コンクリート構造体が壁部を構成する場合を図示して構造体の施工方法を説明した。しかしながら本発明の構造体の施工方法は、コンクリート構造体が床部や天井部を構成する場合であっても同様に適用することができる。また、以上の第1実施形態~第5実施形態においては、構造体の施工方法の一例として、コンクリート構造体の施工方法を説明した。しかしながら、本発明の構造体の施工方法は、コンクリート以外の構造体材料に配管を埋設させた構造体の施工にも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…鉄筋組立体
1a…鉄筋
2,2’…配管
2a,2a’…開口端
3,3’…閉塞プラグ
3a…外側面
3aa…凹部
4…無線タグ
4a…長距離無線タグ
4b…短距離無線タグ
5…型枠
6…コンクリート(構造体材料)
20…無線タグリーダー
30…端末装置
31…表示部
100a,100b…通信範囲
10…コンクリート構造体(構造体)