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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
A01D61/00 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019211904
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021083314
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】タン チア ユアン
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-284801(JP,A)
【文献】特開2019-180319(JP,A)
【文献】実開平03-092933(JP,U)
【文献】実開昭53-013534(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00 - 61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する刈取部と、
前記刈取部の後壁部に連結され、前記刈取部により収穫された作物を前記刈取部から搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により搬送された作物を脱穀処理する脱穀装置と、
前記搬送装置の後部の左右方向に沿った軸芯周りに、前記搬送装置を上下に揺動操作することにより、前記刈取部及び前記搬送装置を昇降操作する昇降機構とが備えられ、
前記刈取部に、作物を前記搬送装置に投入するように前記後壁部に設けられた投入口と、圃場の作物を掻き込む掻き込みリールと、圃場の作物の株元を切断する切断装置と、左右方向に沿った軸芯周りに回転駆動されることにより作物を左右方向に沿って搬送する横送りスクリューと、作物を前記投入口に掻き込むように前記横送りスクリューにおける前記投入口の前方に位置する部分に設けられた掻き込み部材とが設けられ、
前記搬送装置に、作物を搬送するように回転駆動される搬送部材と、前記搬送部材を覆うケースとが設けられ、
前記ケースの内部の塵埃を排出する排塵装置が備えられておらず、
前記刈取部が地面に下降操作された作業状態において前下りの傾斜姿勢となり、作物を前記刈取部に案内するガイド部材が、前記ケースの上面部と前記刈取部の後壁部の上部とに亘って設けられ、且つ、前記ケースの左右方向の全幅に亘って設けられているコンバイン。
【請求項2】
前記掻き込みリールの右部及び左部を支持する右及び左の支持フレームと、前記右及び左の支持フレームに亘って連結された連結フレームとが設けられ、
前記連結フレームが、前記刈取部の後壁部の上部に左右方向に沿う状態で支持され、
前記ガイド部材の前部が、前記連結フレームの上方を通って前記連結フレームよりも前側に延ばされている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ガイド部材の前部が、前記刈取部の後壁部の上部の上方を通って前記刈取部の後壁部の上部よりも前側に延ばされ、且つ、前記刈取部の後壁部の上部の前面部と対向するように下向きに形成されている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記ガイド部材の前部が前記刈取部の後壁部の上部の前面部に近接する状態で配置されている請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記ガイド部材の前部が、前記刈取部の後壁部に設けられたステーに連結されている請求項3又は4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記ガイド部材の右部と前記ケースの上面部との間を塞ぐ右の横面部が設けられ、
前記ガイド部材の左部と前記ケースの上面部との間を塞ぐ左の横面部が設けられている請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインにおいて、圃場の作物を収穫する刈取部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインでは、特許文献1に開示されているように、刈取部に、掻き込みリールと、切断装置と、横送りスクリューとが設けられており、搬送装置が刈取部の後壁部における投入口の部分に連結されている。
【0003】
刈取部において、掻き込みリールにより圃場の作物が掻き込まれて、掻き込まれた作物の株元が切断装置により切断され、切断された作物が横送りスクリューにより左右方向に沿って搬送される。
横送りスクリューにおける投入口の前方に位置する部分に、掻き込み部材が設けられており、横送りスクリューにより左右方向に沿って搬送された作物が、掻き込み部材により投入口に掻き込まれて、搬送装置に供給される。作物は、搬送装置により脱穀装置に搬送され、脱穀装置において脱穀処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-213435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
刈取部において作物が収穫される際に、掻き込みリールによる掻き込みや、横送りスクリュー及び掻き込み部材の回転より、作物の一部や屑が、巻き上げられて搬送装置の上部に滞留することがある。この状態は、刈取部による作物の収穫量が多くなると、顕著になる。
【0006】
本発明は、コンバインにおいて、作物の一部や屑が搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンバインは、圃場の作物を収穫する刈取部と、前記刈取部の後壁部に連結され、前記刈取部により収穫された作物を前記刈取部から搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送された作物を脱穀処理する脱穀装置と、前記搬送装置の後部の左右方向に沿った軸芯周りに、前記搬送装置を上下に揺動操作することにより、前記刈取部及び前記搬送装置を昇降操作する昇降機構とが備えられ、前記刈取部に、作物を前記搬送装置に投入するように前記後壁部に設けられた投入口と、圃場の作物を掻き込む掻き込みリールと、圃場の作物の株元を切断する切断装置と、左右方向に沿った軸芯周りに回転駆動されることにより作物を左右方向に沿って搬送する横送りスクリューと、作物を前記投入口に掻き込むように前記横送りスクリューにおける前記投入口の前方に位置する部分に設けられた掻き込み部材とが設けられ、前記搬送装置に、作物を搬送するように回転駆動される搬送部材と、前記搬送部材を覆うケースとが設けられ、前記ケースの内部の塵埃を排出する排塵装置が備えられておらず、前記刈取部が地面に下降操作された作業状態において前下りの傾斜姿勢となり、作物を前記刈取部に案内するガイド部材が、前記ケースの上面部と前記刈取部の後壁部の上部とに亘って設けられ、且つ、前記ケースの左右方向の全幅に亘って設けられている。
【0008】
本発明によると、刈取部の後壁部に搬送装置が連結された状態において、ガイド部材が搬送装置の上方に設けられており、刈取部が地面に下降操作された作業状態において、ガイド部材が前下りの傾斜姿勢となる。
【0009】
刈取部において作物が収穫される際に、掻き込みリールによる掻き込みや、横送りスクリュー及び掻き込み部材の回転より、作物の一部や屑が、巻き上げられて搬送装置の上部のガイド部材に乗ると、作物の一部や屑が、ガイド部材に沿って前側に滑り落ちて刈取部に案内される。これにより、作物の一部や屑が搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることができる。
【0010】
【0011】
本発明によると、ガイド部材の左右幅が大きなものとなるので、作物の一部や屑が搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることができる。
【0012】
本発明において、前記掻き込みリールの右部及び左部を支持する右及び左の支持フレームと、前記右及び左の支持フレームに亘って連結された連結フレームとが設けられ、前記連結フレームが、前記刈取部の後壁部の上部に左右方向に沿う状態で支持され、前記ガイド部材の前部が、前記連結フレームの上方を通って前記連結フレームよりも前側に延ばされていると好適である。
【0013】
刈取部においては、掻き込みリールの右部及び左部を支持する右及び左の支持フレームと、右及び左の支持フレームに亘って連結された連結フレームとが設けられ、連結フレームが、刈取部の後壁部の上部に左右方向に沿う状態で支持されたものがある。
【0014】
本発明によると、搬送装置の上方に設けられたガイド部材の前部が、連結フレームの上方を通って、連結フレームよりも前側に延ばされている。
これにより、作物の一部や屑がガイド部材に沿って前側に滑り落ちる際、作物の一部や屑が、連結フレームに止められること少なく、連結フレームの上方を通過して刈取部に案内されるのであり、作物の一部や屑が搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることができる。
【0015】
本発明において、前記ガイド部材の前部が、前記刈取部の後壁部の上部の上方を通って前記刈取部の後壁部の上部よりも前側に延ばされ、且つ、前記刈取部の後壁部の上部の前面部と対向するように下向きに形成されていると好適である。
【0016】
本発明によると、搬送装置の上方に設けられたガイド部材の前部が、刈取部の後壁部の上部の上方を通って、刈取部の後壁部の上部よりも前側に延ばされている。さらに、ガイド部材の前部が、刈取部の後壁部の上部の前面部と対向するように下向きに形成されている。
【0017】
これにより、作物の一部や屑がガイド部材に沿って前側に滑り落ちる際、作物の一部や屑が、刈取部の後壁部の上部に止められること少なく、刈取部の後壁部の上部の上方を通過して刈取部に案内される。
さらに、作物の一部や屑が、ガイド部材に対して前側から、ガイド部材の前部と刈取部の後壁部の上部との間の隙間に入り込んで、ガイド部材と搬送装置の上部との間に入り込む状態が、ガイド部材の前部により阻止される。
以上のように、作物の一部や屑が搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることができる。
【0018】
本発明において、前記ガイド部材は、前記ガイド部材の前部が前記刈取部の後壁部の上部の前面部に近接する状態で配置されていると好適である。
【0019】
本発明によると、ガイド部材の前部と刈取部の後壁部の上部の前面部との間の隙間において、作物の一部や屑が、ガイド部材の前部に対して下側から、前述の隙間に入り込もうとしても、ガイド部材の前部が刈取部の後壁部の上部の前面部に近接して配置されていることによって、作物の一部や屑が前述の隙間に入り込み難い状態となっている。
これにより、作物の一部や屑が、ガイド部材と搬送装置の上部との間に入り込んで、搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることができる。
【0020】
本発明において、前記ガイド部材の前部が、前記刈取部の後壁部に設けられたステーに連結されていると好適である。
【0021】
本発明によると、ガイド部材の前部が刈取部の後壁部に設けられたステーに連結されることにより、ガイド部材の前部が刈取部の後壁部の上部の前面部に近接する状態が、無理なく維持される。
【0022】
本発明において、前記ガイド部材の右部と前記ケースの上面部との間を塞ぐ右の横面部が設けられ、前記ガイド部材の左部と前記ケースの上面部との間を塞ぐ左の横面部が設けられていると好適である。
【0023】
本発明によると、作物の一部や屑が、ガイド部材に対して右側又は左側から、ガイド部材と搬送装置の上部との間に入り込んで、搬送装置の上部に滞留する状態を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】刈取部の平面図である。
図3】刈取部における横送りスクリュー及び搬送装置の付近の縦断左側面図である。
図4】横送りスクリュー及び固定掻き込み部材の分解斜視図である。
図5】刈取部における横送りスクリュー及び搬送装置の付近の横断平面図である。
図6】横送りスクリューの縦断左側面図である。
図7】固定掻き込み部材の斜視図である。
図8】横送りスクリューにおける螺旋体、可動掻き込み部材及び固定掻き込み部材の配置を示す展開図である。
図9】ガイド部材の付近の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図9に、普通型のコンバインが示されており、図1図9において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0026】
(コンバインの全体構成)
図1に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されている。作業者が搭乗する運転部3が、機体1の前部の右部に設けられている。脱穀装置4が機体1の後部の左部に設けられ、グレンタンク5が機体1の後部の右部に設けられている。
【0027】
搬送装置6の後部が、左右方向に沿った軸芯P1周りに上下に揺動可能に、脱穀装置4の前部に支持されており、搬送装置6が前側に延出されている。刈取部7が搬送装置6の前部に連結されて、圃場の作物を収穫する刈取部7が、機体1の前部に設けられている。
【0028】
昇降機構である昇降シリンダ8が、機体1と搬送装置6とに亘って接続されている。昇降シリンダ8により、搬送装置6が上下に揺動操作されることにより、刈取部7及び搬送装置6が昇降操作される。
【0029】
以上の構成により、機体1の進行に伴って圃場の作物が、刈取部7に導入されて収穫され、作物が搬送装置6を通って搬送されて脱穀装置4に供給される。作物が脱穀装置4で脱穀処理されるのであり、脱穀装置4で脱穀処理されて回収された穀粒が、グレンタンク5に貯留される。
【0030】
(刈取部の全体構成)
図1,2,3に示すように、刈取部7に、刈取フレーム9と、分草具14と、掻き込みリール15と、切断装置16と、横送りスクリュー17と、掻き込み部材である可動掻き込み部材21,22,23,24,25及び固定掻き込み部材33とが設けられている。
【0031】
刈取フレーム9は、刈取部7の骨格となるものである。刈取フレーム9において、側面視で円弧状の底部10が、刈取部7の左右方向の全幅に亘って設けられている。後壁部11が底部10の後部に連結されており、底部10及び後壁部11の右部及び左部に、右及び左の横フレーム12が連結されている。
【0032】
後壁部11に投入口13が設けられている。搬送装置6の前部が、後壁部11における投入口13の部分に連結されて、刈取部7が搬送装置6の前部に連結されている。
右及び左の分草具14が、右及び左の横フレーム12の前部に連結されている。掻き込みリール15が、刈取フレーム9の上部に支持され、バリカン型式の切断装置16が、刈取フレーム9(底部10)の前部に支持されている。
【0033】
横送りスクリュー17が、刈取フレーム9の右及び左の横フレーム12に亘って取り付けられて、刈取フレーム9に支持されている。掻き込み部材である可動掻き込み部材21~25及び固定掻き込み部材33が、横送りスクリュー17に設けられている。
【0034】
(掻き込みリールの構成)
図1,2,3に示すように、掻き込みリール15に、右及び左の回転フレーム18と、右及び左の回転フレーム18に亘って取り付けられた複数のフレーム19と、フレーム19に下向きに取り付けられた多数のタイン20とが設けられている。
【0035】
掻き込みリール15(回転フレーム18)の右部及び左部を左右方向に沿った軸芯P2周りに回転可能に支持する右及び左の支持フレーム26と、右及び左の支持フレーム26に亘って連結された連結フレーム27とが設けられている。
【0036】
刈取部7(刈取フレーム9)の後壁部11の上部11aに、複数のステー28が連結されている。連結フレーム27が、刈取部7(刈取フレーム9)の後壁部11の上部11aに左右方向に沿う状態で支持されており、左右方向に沿った軸芯P3周りに回転可能に支持されている。
【0037】
以上の構成により、機体1の進行に伴って、掻き込みリール15が図1の反時計方向に回転駆動され、圃場の作物が掻き込みリール15により掻き込まれて、圃場の作物の株元が、切断装置16により切断される。
【0038】
横フレーム12と支持フレーム26とに亘って、右及び左の昇降シリンダ29が接続されている。昇降シリンダ29により支持フレーム26及び連結フレーム27が、軸芯P3周りに揺動操作されることによって、切断装置16及び横送りスクリュー17に対する掻き込みリール15の高さが変更される。
【0039】
(横送りスクリューの構成)
図2,3,4,5に示すように、横送りスクリュー17に、本体部30と、螺旋体31,32と、可動掻き込み部材21~25及び固定掻き込み部材33とが設けられている。
【0040】
本体部30は、円筒状に構成されており、円板状の右側部30a、左側部30b及び中間部30c,30dが、本体部30の内部に連結されている。
駆動軸34が右の横フレーム12の軸芯P4の位置に回転可能に支持されており、駆動軸34が本体部30の右側部30a及び中間部30cに連結されている。支点軸35が左の横フレーム12の軸芯P4の位置に回転不能に連結されており、本体部30の左側部30bが、ベアリングにより支点軸35に回転可能に支持されている。
【0041】
螺旋体31は、本体部30における投入口13の前方に位置する部分から右側の領域において、本体部30の外周面に取り付けられている。螺旋体32は、本体部30における投入口13の前方に位置する部分から左側の領域において、本体部30の外周面に取り付けられている。本体部30における投入口13の前方に位置する部分に、螺旋体31,32は設けられていない。
【0042】
本体部30における投入口13の前方に位置する部分において、細長い平板状の補強部材42が、本体部30の外周面に左右方向に沿って取り付けられて、補強部材42の右端部及左端部が螺旋体31,32に連結されており、補強部材42により本体部30が補強されている。
【0043】
補強部材42は、後述する横送りスクリュー17の回転方向A1に対して、側面視で後退角を有する傾斜姿勢で取り付けられている。側面視で三角形状の複数の支持板43が、補強部材42と本体部30とに亘って取り付けられており、補強部材42の傾斜姿勢が維持されている。
【0044】
可動掻き込み部材21~24及び固定掻き込み部材33が、本体部30における投入口13の前方に位置する部分に設けられており、可動掻き込み部材25が、本体部30における投入口13の前方に位置する部分から右側の領域に設けられている。
【0045】
以上の構成により、横送りスクリュー17(本体部30)が、左右方向に沿った軸芯P4周りに回転可能に、刈取フレーム(右及び左の横フレーム12)に支持されている。動力が駆動軸34に伝達されることにより、駆動軸34により横送りスクリュー17(本体部30)が、軸芯P4周りに回転方向A1に回転駆動される。
【0046】
掻き込みリール15により掻き込まれ切断装置16により切断された作物が、横送りスクリュー17において、螺旋体31により投入口13に向けて右方に搬送され、螺旋体32により投入口13に向けて左方に搬送される。横送りスクリュー17(本体部30)における投入口13の前方に位置する部分において、可動掻き込み部材21~24及び固定掻き込み部材33により、作物が投入口13に掻き込まれる。
【0047】
(可動掻き込み部材の構成)
図3,4,5,6に示すように、本体部30の内部において、本体部30の中間部30dの軸芯P4の位置に、支点軸36がベアリングを介して支持されている。支点軸35の端部に前向きに固定されたアーム部35aと、支点軸36の左端部に前向きに固定されたアーム部36aとに亘って、支点軸37が連結されている。
【0048】
駆動軸34の端部に、アーム部39がベアリングを介して前向きに支持されており、支点軸36の右端部に前向きに固定されたアーム部36bと、アーム部39とに亘って、支点軸38が連結されている。
【0049】
支点軸36,37、38が支点軸35に連結されることによって、前述の(横送りスクリューの構成)に記載のように、横送りスクリュー17(本体部30)が回転駆動されても、支点軸36,37,38は、左右方向の沿った軸芯P5の位置で固定されている。
【0050】
8個のボス部材40が支点軸37に回転可能に取り付けられ、1個のボス部材41が支点軸38に回転可能に取り付けられている。可動掻き込み部材21~24が、ボス部材40に連結されて、本体部30の開口部から径方向外側に出ており、可動掻き込み部材25が、ボス部材41に連結されて、本体部30の開口部から径方向外側に出ている。
【0051】
以上の構成により、本体部30が軸芯P4周りに回転方向A1に回転駆動されると、これに伴なって可動掻き込み部材21~25は、軸芯P5周りに本体部30と一緒に回転方向A1に回転駆動される。
【0052】
軸芯P4に対して軸芯P5が前側に位置していることにより、横送りスクリュー17において、可動掻き込み部材21~25は、本体部30に対して前側の領域で本体部30の外周面から径方向外側に突出し、投入口13に対向する領域で本体部30の内部に入り込む状態となる。
【0053】
(固定掻き込み部材の構成)
図3,4,6,7に示すように、固定掻き込み部材33は、断面丸型形状である断面円形状の棒状部材が円弧状に折り曲げられて構成されており、6個の固定掻き込み部材33が設けられている。
【0054】
左右方向に沿って延出された細長い平板状の基板部材44が備えられており、6個の固定掻き込み部材33が左右方向に沿って同じ左右間隔W1を開けて配置されるように、固定掻き込み部材33の基部33aが、溶接によって基板部材44に取り付けられている。
基板部材44が補強部材42にボルトによって取り付けられており、固定掻き込み部材33及び基板部材44が、補強部材42を介して本体部30に取り付けられている。
【0055】
以上の構成により、横送りスクリュー17において、複数の固定掻き込み部材33が、本体部30の外周面から径方向外側に突出した状態、且つ、左右方向に沿って同じ左右間隔W1を開けて配置された状態で、本体部30における投入口13の前方に位置する部分に取り付けられている。
【0056】
図6及び図7に示すように、側面視で、固定掻き込み部材33が本体部30に取り付けられる部分(基部33a)と軸芯P4とを通る仮想線B1を想定した場合、固定掻き込み部材33は、側面視で、固定掻き込み部材33において本体部30の半径方向での最外側部33bに近くなるほど、仮想線B1に対して本体部30の回転方向A1に対して逆側に離れるように構成されている。
固定掻き込み部材33において本体部30の半径方向での最外側部33bが、側面視で螺旋体31,32の外周部に対応する位置まで延ばされている。
【0057】
(横送りスクリューにおける可動掻き込み部材及び螺旋体の位置)
図6及び図8に示すように、横送りスクリュー17の本体部30において、円周方向に沿って90度の間隔での位相C1,C2,C3,C4を想定した場合、螺旋体31の左端部31aが、位相C3(又は位相C3の近傍)に位置しており、螺旋体32の右端部32aが、位相C1(又は位相C1の近傍)に位置している。
【0058】
螺旋体31の左端部31aは、螺旋体31における回転方向A1での最後部であり、螺旋体31において投入口13の左右中央部に左右方向で最も近い部分である。
螺旋体32の右端部32aは、螺旋体32における回転方向A1での最後部であり、螺旋体32において投入口13の左右中央部に左右方向で最も近い部分である。
【0059】
2個の可動掻き込み部材21が、位相C1において左右方向に沿って並ぶように配置されている。2個の可動掻き込み部材22が、位相C2において左右方向に沿って並ぶように配置されている。
【0060】
2個の可動掻き込み部材23が、位相C3において左右方向に沿って並ぶように配置されている。2個の可動掻き込み部材24が、位相C4において左右方向に沿って並ぶように配置されている。1個の可動掻き込み部材25が、位相C1と位相C4との間に配置されている。
【0061】
これにより、左右方向に沿って並ぶように配置された可動掻き込み部材21~24の組が、側面視で、本体部30の円周方向に沿って円周間隔W2(角度)を開けて複数組配置された状態となっている。
【0062】
横送りスクリュー17(本体部30)が回転方向A1に回転駆動されることにより、可動掻き込み部材21は、軌跡L1,L5を通るのであり、螺旋体31の左端部31aは、軌跡L1(又は軌跡L1の近傍)を通る。
【0063】
可動掻き込み部材22は、軌跡L3,L7を通る。可動掻き込み部材23は、軌跡L4,L8を通る。可動掻き込み部材24は、軌跡L2,L6を通る。螺旋体32の右端部32aは、軌跡L8(又は軌跡L8の近傍)を通る。このように、可動掻き込み部材21~24は、互いに異なる軌跡L1~L8を通る。
【0064】
(横送りスクリューにおける固定掻き込み部材の位置)
図6及び図8に示すように、横送りスクリュー17の本体部30において、補強部材42が位相C1と位相C2との間に配置されており、補強部材42が配置された位置は、螺旋体32の右端部32aから回転方向A1の逆側に、少し離れた位置である。
【0065】
位相C1,C2の間、位相C2,C3の間、位相C3,C4の間、位相C4,C1の間の4つの間において、位相C1,C2の間における螺旋体31と螺旋体32との左右方向での間隔は、他の間における螺旋体31と螺旋体32との左右方向での間隔よりも大きなものとなっている。
【0066】
固定掻き込み部材33(基板部材44)が補強部材42に取り付けられた状態で、固定掻き込み部材33が、側面視で、隣接する可動掻き込み部材21の組と可動掻き込み部材22の組との2組の間に配置されている。
固定掻き込み部材33が、側面視で、隣接する可動掻き込み部材21~24の2組の間のうちの一つの間(可動掻き込み部材21の組と可動掻き込み部材22の組との間)にのみ配置されている。
【0067】
固定掻き込み部材33(基板部材44)が補強部材42に取り付けられた状態で、左端部の固定掻き込み部材33と螺旋体32との左右方法での間隔W3が、右端部の固定掻き込み部材33と螺旋体31との左右方法での間隔W4よりも大きなものとなっている。
【0068】
固定掻き込み部材33(基板部材44)が補強部材42に取り付けられた状態で、6個の固定掻き込み部材33のうち、左右中央側の4個の固定掻き込み部材33は、軌跡L2,L4,L6,L8を通る。右端部の固定掻き込み部材33は、軌跡L1に対して右側を通り、左端部の固定掻き込み部材33は、軌跡L8に対して左側を通る。
【0069】
固定掻き込み部材33と、円周方向で固定掻き込み部材33に隣接する可動掻き込み部材21,22とにおいて、固定掻き込み部材33と可動掻き込み部材21,22とは、互いに異なる軌跡L1~L8を通る。
【0070】
(搬送装置の構成)
図1,3,5に示すように、搬送装置6に、駆動回転体46、従動回転体47、搬送チェーン48、搬送部材49及びケース45が設けられており、駆動回転体46、従動回転体47、搬送チェーン48及び搬送部材49が、ケース45により覆われている。
【0071】
ケース45は、上面部45a、下面部45b、右及び左の横面部45cを有して、断面長方形状の筒状に形成されており、ケース45の前部が、刈取フレーム9の後壁部11における投入口13の部分に連結されている。
【0072】
ケース45の内部において、駆動回転体46が軸芯P1の位置に回転可能に支持され、従動回転体47が、左右方向に沿った軸芯P6周りに回転可能に支持されている。右及び左の搬送チェーン48が駆動回転体46及び従動回転体47に亘って取り付けられ、複数の搬送部材49が、右及び左の搬送チェーン48に亘って取り付けられている。
伝達された動力により駆動回転体46が回転駆動されて、従動回転体47、搬送チェーン48及び搬送部材49が、回転方向A2に回転駆動される。
【0073】
以上の構成により、前述の(横送りスクリューの構成)に記載のように、横送りスクリュー17において可動掻き込み部材21~24及び固定掻き込み部材33により、作物が投入口13に掻き込まれて搬送装置6に送り込まれると、搬送装置6において、作物は搬送部材49によりケース45の下面部45bに沿って搬送されて、脱穀装置4に送り込まれる。
【0074】
(ガイド部材の構成)
図1に示すように、ガイド部材50が、搬送装置6の上方に設けられている。図2,3,9に示すように、ガイド部材50は、平板状の板材が折り曲げられて形成されており、上面部50a、前部50b、右及び左の横面部50c、取付部50d及び切り欠き部50eが、ガイド部材50に設けられている。
【0075】
ガイド部材50において、上面部50a及び前部50bは平面状であり、前部50bが折り曲げられて下向きに延出されている。右及左の横面部50cは平面状であり、上面部50aの右端部及左端部から下向きに延出されている。取付部50dが上面部50aの後端部に設けられており、切り欠き部30eが、上面部50aの後端部の右端部に形成されている。
【0076】
ガイド部材50が搬送装置6の上方に設けられた状態で、ガイド部材50の取付部50dがケース45の上面部45aにボルトで連結され、ガイド部材50の前部50bがステー28にボルトで連結されている。
【0077】
(ガイド部材の配置状態)
ガイド部材50が搬送装置6の上方に設けられた状態において、ガイド部材50と各部との関係は、以下の説明のようになっている。
【0078】
図1及び図2に示すように、ガイド部材50(上面部50a)は、刈取部7が地面に下降操作された作業状態において前下りの傾斜姿勢となる。
図2及び図9に示すように、ガイド部材50(上面部50a)の横幅W5が、ケース45の横幅W6と略同じに設定されており、ガイド部材50(上面部50a)が、ケース45の左右方向の全幅に亘って設けられている。
【0079】
図2,3,9に示すように、ガイド部材50の前部50bが、掻き込みリール15の連結フレーム27及び刈取部7(刈取フレーム9)の後壁部11の上部11aの上方を通って、連結フレーム27及び後壁部11の上部11aよりも前側に延ばされている。
【0080】
ガイド部材50の前部50bにおいて、連結フレーム27よりも前側及び後壁部11の上部11aよりも前側の部分が、下向きに折り曲げられて延ばされており、後壁部11の上部11aの前面部11abと対向するように、下向きに形成されている。
【0081】
ガイド部材50の前部50bが、後壁部11の上部11aの前面部11abに近接して配置されており、ガイド部材50の前部50bが、刈取部7(刈取フレーム9)の後壁部11に設けられたステー28に連結されている。
【0082】
ガイド部材50の右及び左の横面部50cの下端部が、ケース45の上面部45aの右端部及左端部に接する状態となっており、ガイド部材50の前部50bの下向きの部分と横面部50cとの間に、連結フレーム27及び後壁部11の上部11aが左右方向に沿って配置されている。
【0083】
ガイド部材50の右の横面部50cにより、ガイド部材50の右部とケース45の上面部45aとの間が塞がれている。ガイド部材50の左の横面部50cにより、ガイド部材50の左部とケース45の上面部45aとの間が塞がれている。
【0084】
図2に示すように、後壁部11の上部11aの右部に設けられたステー28に、掻き込みリール15及び横送りスクリュー17を照らすライト51が取り付けられている。
機体1からのハーネス52が、搬送装置6(ケース45)に沿って前側に延出されて、ガイド部材50の切り欠き部50eからガイド部材50の内部(右の横面部50cの内側)に入り込んでいる。ハーネス52は、ガイド部材50の内部を通り、ガイド部材50の前部50bの下向きの部分と右の横面部50cとの間から右側に出て、ライト51に接続されている。
【0085】
(発明の実施の第1別形態)
ガイド部材50において、ガイド部材50(上面部50a)の横幅W5が、ケース45の横幅W6よりも大きなもの設定されてもよい。
【0086】
ガイド部材50の前部50bが、後壁部11の上部11aの前面部11abに密着するように構成されてもよい。
ガイド部材50の前部50bの下端部が、後向けに折り曲げられて、投入口13の上部に入り込むように構成されてもよい。
【0087】
ガイド部材50の右及び左の横面部50cの下端部が、ケース45の上面部45aの右端部及左端部を下側に通過して、ケース45の右及び左の横面部45cまで延出されてもよい。
【0088】
右及左の横面部50cが、ガイド部材50から分離されて、ケース45の右及び左の横面部45cに連結されてもよい。この構成において、右及左の横面部50cの上端部が、ガイド部材50の上面部50aの右端部及左端部に接するように構成すればよい。
【0089】
(発明の実施の第2別形態)
横送りスクリュー17において、固定掻き込み部材33が廃止されて、横送りスクリュー17(本体部30)における投入口13の前方に位置する部分に、可動掻き込み部材21~24だけが設けられてもよい。
【0090】
(発明の実施の第3別形態)
横送りスクリュー17において、可動掻き込み部材21~24が廃止されて、横送りスクリュー17(本体部30)における投入口13の前方に位置する部分に、複数の固定掻き込み部材33だけが設けられてもよい。
【0091】
この構成において、左右方向に沿って並ぶように配置された固定掻き込み部材33の組が、側面視で、横送りスクリュー17(本体部30)の円周方向に沿って円周間隔W2を開けて複数組配置されるように構成すればよい。
固定掻き込み部材33が、横送りスクリュー17の円周方向において、2つの位相又は3つの位相に配置されてもよく、5つ以上の位相に配置されてもよい。
【0092】
固定掻き込み部材33は、棒状部材や中空のパイプが、側面視で三角形状、円形状や楕円形状に折り曲げられて構成されてもよく、棒状部材や中空のパイプではなく、側面視で三角形状、円形状や楕円形状の平板状部材で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、普通型のコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0094】
4 脱穀装置
6 搬送装置
7 刈取部
8 昇降シリンダ(昇降機構)
11 後壁部
11a 上部
11ab 前面部
13 投入口
15 掻き込みリール
16 切断装置
17 横送りスクリュー
21 可動掻き込み部材(掻き込み部材)
22 可動掻き込み部材(掻き込み部材)
23 可動掻き込み部材(掻き込み部材)
24 可動掻き込み部材(掻き込み部材)
26 支持フレーム
27 連結フレーム
28 ステー
33 固定掻き込み部材(掻き込み部材)
45 ケース
45a 上面部
49 搬送部材
50 ガイド部材
50b 前部
50c 横面部
P1 軸芯
P4 軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9