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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/076 20060101AFI20221118BHJP
   B60Q 1/068 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
B60Q1/076
B60Q1/068 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019512455
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2018014228
(87)【国際公開番号】W WO2018190191
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2017080701
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017080702
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】田島 計一
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-260980(JP,A)
【文献】特開2009-184432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/076
B60Q 1/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を収容するランプボディと、
前記ランプボディの下部に固定されるジョイントと、
前記ジョイントが接続されるブラケットと、
上下に動く可動軸を有するアクチュエータと、
を備え、
前記ジョイントは、前記ブラケットに対して回動可能な支点部材を介して前記ブラケットに接続され、
前記可動軸は、前記支点部材より後方において前記ジョイントに接続され
前記ブラケットは後方に切り欠きを有し、
前記ジョイントと前記可動軸との接続部は、最も下に位置するときに少なくとも一部が前記切り欠きに収まる
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ブラケットは、左右方向に延在する本体部と前記本体部の左端及び右端の少なくとも一方において上下方向に延在する立設部とを有し、
前記光源からの光の出射方向を上下方向に調整する光軸調整機構が前記立設部に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記支点部材は、左右方向に並列して複数備えられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記可動軸は水平且つ前後方向に延在する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ヘッドライトに代表される車両用灯具として、車両の進行方向や車両の姿勢等に合わせて光の照射方向を左右方向や上下方向に変えられるものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載の車両用灯具は、ランプユニットと、ランプユニットが固定されるブラケットと、ランプユニットの下部に設けられてランプユニットを動かすことができるアクチュエータとを備えている。このアクチュエータは、回転可能で前後方向の移動が可能な出力軸を有しており、この出力軸はランプユニットの下部に接続されている。この出力軸がランプユニットに接続されることによって、出力軸の回転に応じてランプユニットを左右に回動させることができる。その結果、下記特許文献1に記載の車両用灯具は、車両の進行方向に合わせて光の照射方向を左右方向に変えることができる。また、このランプユニットは上部に支持軸を有しており、この支持軸が自動調心メタルを介して回転可能にブラケットに固定されている。よって、出力軸が前後方向に移動すると、ランプユニットは、下部が前後方向に移動し、支持軸を支点として回動する。このようにして、ランプユニットから照射される光の方向を上下方向に変えることができる。また、下記特許文献1に記載の車両用灯具では、上記のようにランプユニットの上部が支持軸で支えられると共に下部がアクチュエータに支えられることによって、ランプユニットは上記のように回動する際にぶれることが抑制される。
【0004】
【文献】特許第5079860号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の車両用灯具は、光源を収容するランプボディと、前記ランプボディの下部に固定されるジョイントと、前記ジョイントが接続されるブラケットと、上下に動く可動軸を有するアクチュエータと、を備え、前記ジョイントは、前記ブラケットに対して回動可能な支点部材を介して前記ブラケットに接続され、前記可動軸は、前記支点部材より後方において前記ジョイントに接続されることを特徴とする。
【0006】
本発明の車両用灯具では、ジョイントが支点部材を介してブラケットに接続され、アクチュエータの可動軸が支点部材より後方においてジョイントに接続される。よって、可動軸が上下方向に動くと、支点部材を支点としてジョイントの後方部分が上下方向に動く。このため、ジョイントに固定されるランプボディの後方部分も上下方向に動く。よって、ランプボディに収容される光源からの光の照射方向を上下方向に変えることができる。また、本発明の車両用灯具は、ジョイントの後方にアクチュエータが配置されることによって、薄型化され得る。
【0007】
また、前記ブラケットは、左右方向に延在する本体部と前記本体部の左端及び右端の少なくとも一方において上下方向に延在する立設部とを有し、前記光源からの光の出射方向を上下方向に調整する光軸調整機構が前記立設部に取り付けられることが好ましい。
【0008】
左右方向に延在する本体部と上下方向に延在する立設部とでブラケットが構成されることによって、ランプボディの上方にはブラケットを非形成とし得る。よって、本発明の車両用灯具は、より薄型化され得る。また、ランプボディの上方にブラケットが非形成とされることによって、ランプボディの上部を車両用灯具の正面から見せることができ、車両用灯具の意匠性が向上され得る。
【0009】
また、前記支点部材は、左右方向に並列して複数備えられることが好ましい。
【0010】
支点部材が左右方向に並列して複数備えられることによって、ジョイントの安定性が向上し、ランプボディに収容される光源からの光の出射方向がぶれることが抑制され得る。
【0011】
また、前記可動軸は水平且つ前後方向に延在することが好ましい。
【0012】
可動軸が水平且つ前後方向に延在することによって、可動軸からジョイントへと適切に力を伝達させ易くなる。
【0013】
また、前記ブラケットは後方に切り欠きを有し、前記ジョイントと前記可動軸との接続部は、最も下に位置するときに少なくとも一部が前記切り欠きに収まることが好ましい。
【0014】
このようにブラケットに切り欠きが形成されると共にジョイント及び可動軸が配置されることによって、本発明の車両用灯具はより薄型化され得る。
【0015】
また、本発明の車両用灯具は、左右方向に延在する本体部と前記本体部の左端及び右端の少なくとも一方において上下方向に延在する立設部とを有するブラケットと、前記ブラケットの前記本体部の上方に配置され、下方に延在する第1軸を有するランプユニットと、前記ブラケットの前記本体部の下方に配置され、上方に延在する第2軸を有し、前記第2軸を軸心まわりに回転させるアクチュエータと、前記ブラケットの前記本体部に固定され、前記第1軸と前記第2軸とが連結されてなる回転軸を回転可能な状態で保持する調心部材と、前記立設部に取り付けられ、前記ランプユニットの光軸を上下方向に調整する光軸調整機構と、を備え、前記ブラケットは、前記ランプユニットの上方には非形成とされることを特徴とする。
【0016】
本発明の車両用灯具では、ランプユニットの第1軸とアクチュエータの第2軸とが連結されているため、アクチュエータが第2軸を回転させるとランプユニットも回転し、ランプユニットからの光の照射方向を左右方向に変更することができる。また、第1軸と第2軸とが連結されてなる回転軸が調心部材に保持されることによって、上記のようにランプユニットを回転させる際にランプユニットがぶれることが抑制され得る。このようにランプユニットはランプユニットの下方でのみ支えられ、ランプユニットの上方にはブラケットが非形成とされる。このため、ランプユニットの上部を車両用灯具の正面から見せることができる。よって、本発明の車両用灯具は意匠性が向上され得る。
【0017】
また、前記調心部材は上下方向に所定の間隔を開けて配置される一対のベアリングであることが好ましい。
【0018】
上下方向に離れた位置に配置される一対のベアリングで回転軸を保持することによって、回転軸は軸心に沿った方向において互いに離れた2箇所で支えられる。このため、回転軸のぶれがより抑制され得る。
【0019】
また、前記一対のベアリングのうち上側に配置される前記ベアリングはボールベアリングであることが好ましい。
【0020】
一対のベアリングのうち上側に配置されるベアリングには、ランプユニットの重さによる荷重が加わり易い。このように大きな荷重が加わり易い上側のベアリングが転がり抵抗が小さいボールベアリングとされることによって、回転軸が回転する際に上側のベアリングにおける摺動性の低下が抑制され得る。このため、回転軸が回転する際に加えられる抵抗の増大が抑制され得る。
【0021】
また、前記一対のベアリングが両方ともボールベアリングであることが好ましい。
【0022】
ベアリングが両方ともボールベアリングとされることによって、回転軸が回転する際に回転軸に加えられる抵抗の増大がより抑制され得る。
【0023】
また、前記ブラケットの前記本体部に上下方向に貫通した貫通孔が形成され、前記一対のベアリングのうち上側に設けられる前記ベアリングは、前記貫通孔の内周面に設けられるスペーサー上に配置されることが好ましい。
【0024】
このように上側のベアリングが配置されることによって、ランプユニットの重さによる荷重は上側のベアリングを介してブラケットへと分散され易くなる。よって、上側のベアリングに荷重が集中することが抑制され、回転軸が回転する際に上側のベアリングにおける摺動性の低下が抑制され得る。このため、回転軸が回転する際に加えられる抵抗の増大がより抑制され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態における車両用灯具の正面図である。
図2図1に示す車両用灯具のII-II線における断面を示す図である。
図3図1に示す可動灯具ユニットのIII-III線における断面を示す図である。
図4図1に示す可動灯具ユニットの平面図である。
図5図1に示す可動灯具ユニットの斜視図である。
図6図1に示す可動灯具ユニットの分解斜視図である。
図7図7(A)はロービームの配光を示し、図7(B)はハイビームの配光を示す。
図8】本発明の第2実施形態における車両用灯具の正面図である。
図9図8に示す車両用灯具のIX-IX線における断面を示す図である。
図10図8に示す車両用灯具のX-X線における断面を示す図である。
図11図8に示す可動灯具ユニットの斜視図である。
図12図11に示す可動灯具ユニットの分解斜視図である。
図13図8に示すブラケットの正面図である。
図14図14(A)はロービームの配光を示し、図14(B)はハイビームの配光を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における車両用灯具の正面図であり、図2は、図1に示す車両用灯具のII-II線における断面を示す図である。なお、車両用灯具の構成の理解を容易にするため、図1では、可動灯具ユニット2より前方に配置される部材を省略し、筐体10の一部を鉛直断面で示している。また、図2では、ランプボディ21及びアクチュエータ40の内部構造の図示を省略してハッチで示している。図1図2及び以下に示す他の図において、左右前後及び上下方向は、各図に示す通り、車両の搭乗者の視点を基準としている。
【0028】
本実施形態の車両用灯具は、車両用前照灯1である。図1及び図2に示すように車両用前照灯1は、可動灯具ユニット2、ベゼル80及びこれらを収容する筐体10を主な構成として備える。
【0029】
筐体10は、ランプハウジング11及びフロントカバー12を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。ランプハウジング11と、ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、によって形成される空間が灯室LRとされる。可動灯具ユニット2及びベゼル80は、この灯室LR内に収容されている。
【0030】
ベゼル80は、車両用前照灯1の正面視において可動灯具ユニット2の下方部分と重なる位置に配置される。このようにベゼル80が配置されることによって、後述するブラケット30等が車両用前照灯1の正面からベゼル80によって隠蔽される。
【0031】
図3は、図1に示す可動灯具ユニット2のIII-III線における断面を示す図である。また、図4は、図1に示す可動灯具ユニット2の平面図である。図4では、可動灯具ユニット2より前方に配置される部材を省略し、ランプハウジング11の一部を水平断面で示している。また、図5は、図1に示す可動灯具ユニット2の斜視図であり、図6は、図1に示す可動灯具ユニット2の分解斜視図である。
【0032】
可動灯具ユニット2は、ランプユニット20、ブラケット30、アクチュエータ40、支点部材50、及び光軸調整機構70を主な構成として備える。
【0033】
ブラケット30は、左右及び前後方向に延在する本体部31と本体部31の左端において上下方向に延在する立設部32とを有し、ランプユニット20の上方には非形成とされる。また、本体部31の左右方向のほぼ中央には、上下方向に貫通する切り欠き33が形成されている。切り欠き33は、本体部31の後端から中心よりも前方まで形成されている。また、本体部31のうち切り欠き33より前方には、上方が開口している2つの孔34が左右に並列して形成されている。また、本体部31のうち立設部32が設けられる側とは反対側、すなわち本実施形態の本体部31の右端には、前後方向に貫通する貫通孔35が形成されている。また、立設部32の上部及び下部にもそれぞれ前後方向に貫通する貫通孔36,37が形成されている。
【0034】
ランプユニット20は、ブラケット30の本体部31の上方に配置される。ランプユニット20は、不図示の光源が収容されるランプボディ21、投影レンズ22、台座23、及び、ジョイント24を主な構成として備える。
【0035】
ランプボディ21は後方に底を有する筒状であり、ランプボディ21の前方の開口は投影レンズ22によって塞がれる。ランプボディ21内に収容される光源から出射される光は、投影レンズ22を透過して所望の配光パターンで前方に照射される。
【0036】
ジョイント24は、本体部24aと、本体部24aの外周から上方に立設する側壁部24bと、側壁部24bの外側において左右方向のそれぞれに突出して形成される耳部24cとを有する。本体部24aは、図6に示すように、後方において下方に窪んだ後方部24dを有する。後方部24dの鉛直断面は図2に表れている。また、図2に示すように、後方部24dの前方端には後述するネジ25が螺合するネジ孔24eが形成され、後方部24dの後端には垂下した接続部24fが形成されている。接続部24fの後方は開口しており、当該開口から後述する可動軸42が挿入される。また、図6等に表れているジョイント24の耳部24cには、下方が開口し上部に底を有する不図示の孔が形成されており、当該孔に後述する支点部材50の端部が挿入される。
【0037】
台座23は、概ね板状に形成され、ランプボディ21の下部に不図示のネジ等によって固定される。また、台座23の外周の左右それぞれに凹部が形成され、当該凹部は、側壁部24bの内周側に形成される凸部と嵌合する。また、台座23の後端には不図示の貫通孔が形成され、当該貫通孔は、ジョイント24の本体部24aに形成されているネジ孔24eの後方に重ねられる。当該貫通孔には後方からネジ25が挿入され、ネジ25がネジ孔24eに螺合されることによって、台座23とジョイント24とが一体化される。
【0038】
アクチュエータ40は、ジョイント24及びブラケット30の後方に配置される。アクチュエータ40は、筐体41と、筐体41内に収容される不図示のモータと、筐体41の前方に形成された開口から突出して前方に延在する可動軸42とを有する。本実施形態の可動軸42は水平且つ前後方向に延在する。アクチュエータ40は、不図示のモータによって可動軸42を上下方向に動かすことができる。また、アクチュエータ40の筐体41の外周部のうち左側と右側とには、それぞれネジ孔43が形成されている。これらのネジ孔43に通されるネジ44,45がブラケット30の本体部31の後方に形成される不図示のネジ孔に螺合されることによって、アクチュエータ40がブラケット30に固定される。また、可動軸42は、ジョイント24の接続部24fに挿入されて接続される。ジョイント24と可動軸42との接続部は、最も下に位置するときに少なくとも一部がブラケット30の切り欠き33に収まる。すなわち、可動軸42が最も低い位置にあるとき、可動軸42及び接続部24fの少なくとも一部がブラケット30の切り欠き33に収まる。
【0039】
本実施形態の可動灯具ユニット2は、左右方向に並列するように二つの支点部材50を備える。それぞれの支点部材50は、上下方向に延在する棒状の本体部51と、本体部51の下端に形成される略球状のピボット52と、本体部51の上下方向の中程において外周面から外側に突出する鍔部53と、を有する。また、それぞれのピボット52は、軸受55に固定され、軸受55はブラケット30の孔34に挿入されて固定される。一方、それぞれの支点部材50の上端はジョイント24の耳部24cに形成された上記不図示の孔に挿入され、鍔部53の上に耳部24cが配置される。このようにして、ジョイント24は、支点部材50を介してブラケット30に固定される。支点部材50は上記のようにピボット52を有するため、ジョイント24はブラケット30に対してピボット52を支点として回動可能とされる。すなわち、ランプユニット20は、ブラケット30に対してピボット52を支点として回動可能とされる。
【0040】
本実施形態の光軸調整機構70は、第1アジャスティングスクリュー71、第1セルフロッキングナット73、第2アジャスティングスクリュー72、第2セルフロッキングナット74、支点部材75、及び支点用ベアリング76を主な構成として備える。
【0041】
第1アジャスティングスクリュー71は、図6に示すように、スナップフィット部71aとスナップフィット部71aより前方に形成されるネジ部71bとを有する。図5及び図6に示す固定部81は、ランプハウジング11の一部であり、第1アジャスティングスクリュー71の固定方法の理解を容易にするために切り出して示されている。図3に示すように固定部81には前後方向に貫通する貫通孔81hが形成されており、第1アジャスティングスクリュー71は貫通孔81hに後方から挿入される。第1アジャスティングスクリュー71は、貫通孔81hに後方から挿入されることでスナップフィット部71aがランプハウジング11の内側の面に引っかかり、軸心周りに回転可能な状態で筐体10に固定される。また、図6に示すように、固定部81には第1アジャスティングスクリュー71の長手方向に沿うように延在するガイド部81aが形成される。ガイド部81aのうち第1アジャスティングスクリュー71が配置される側には、長手方向に垂直な断面がC字状のC字部81cが形成されている。C字部81cは、第1アジャスティングスクリュー71が配置される側が開口している。また、第1アジャスティングスクリュー71のネジ部71bは、第1セルフロッキングナット73に挿入され、第1セルフロッキングナット73の内側に形成される雌ネジに螺合する。第1セルフロッキングナット73は、ブラケット30の立設部32に形成されている貫通孔36に挿入されてブラケット30に固定されている。また、第1セルフロッキングナット73のうちガイド部81aが形成される側には、第1アジャスティングスクリュー71の長手方向に垂直な断面がT字状のT字部73aが形成されている。T字部73aは上記C字部81cに嵌められることによって、第1セルフロッキングナット73はガイド部81aに対して相対的に前後方向に移動することができる。また、第1アジャスティングスクリュー71の後方の端部は筐体10の外側の露出しており、第1アジャスティングスクリュー71の後方の端部を操作することで第1アジャスティングスクリュー71を軸心周りに回転させることができる。このように第1アジャスティングスクリュー71が回転することにより、第1アジャスティングスクリュー71のネジ部71bと螺合している第1セルフロッキングナット73を前後方向に動かすことができる。
【0042】
第2アジャスティングスクリュー72は、第1アジャスティングスクリュー71と同様の構成を有する。第2アジャスティングスクリュー72は、図6に示すように、スナップフィット部72aとスナップフィット部72aより前方に形成されるネジ部72bとを有する。図6に示す固定部82は、ランプハウジング11の一部であり、第2アジャスティングスクリュー72の固定方法の理解を容易にするために切り出して示されている。第2アジャスティングスクリュー72は、ランプハウジング11のうち固定部82に形成される貫通孔82hに後方から挿入される。第2アジャスティングスクリュー72は、貫通孔82hに後方から挿入されることでスナップフィット部72aがランプハウジング11の内側の面に引っかかり、軸心周りに回転可能な状態で筐体10に固定される。固定部82には第2アジャスティングスクリュー72の長手方向に沿うように延在するガイド部82aが形成され、ガイド部82aのうち第2アジャスティングスクリュー72が配置される側には、長手方向に垂直な断面がC字状のC字部82cが形成されている。C字部82cは、第2アジャスティングスクリュー72が配置される側が開口している。また、第2アジャスティングスクリュー72のネジ部72bは、第2セルフロッキングナット74に挿入され、第2セルフロッキングナット74の内側に形成される雌ネジに螺合する。第2セルフロッキングナット74は、ブラケット30の本体部31に形成されている貫通孔35に挿入されてブラケット30に固定されている。また、第2セルフロッキングナット74のうちガイド部82aが形成される側には、第2アジャスティングスクリュー72の長手方向に垂直な断面がT字状のT字部74aが形成されている。T字部74aは上記C字部82cに嵌められることによって、第2セルフロッキングナット74はガイド部82aに対して相対的に前後方向に移動することができる。また、第2アジャスティングスクリュー72の後方の端部は筐体10の外側の露出しており、第2アジャスティングスクリュー72の後方の端部を操作することで第2アジャスティングスクリュー72を軸心周りに回転させることができる。このように第2アジャスティングスクリュー72が回転することにより、第2アジャスティングスクリュー72のネジ部72bと螺合している第2セルフロッキングナット74を前後方向に動かすことができる。
【0043】
支点部材75は、前後方向に延在する棒状の本体部75aと、本体部75aの前端に形成される略球状のピボット75bと、本体部75aの前後方向の中程において外周面から外側に突出する鍔部75cと、を有する。ピボット75bは、支点用ベアリング76に固定され、支点用ベアリング76はブラケット30の立設部32に形成される貫通孔37に挿入されて固定される。このように支点部材75の先端のピボット75bが固定されることより、支点部材75はピボット75bを中心にブラケット30に対して回動可能な状態で固定される。一方、支点部材75の後端は、固定部83において筐体10に固定される。図5及び図6に示す固定部83は、ランプハウジング11の一部であり、支点部材75の固定方法の理解を容易にするために切り出して示されている。固定部83には後方に窪んだ孔83hが形成されており、支点部材75の後端は孔83hに挿入され、支点部材75の鍔部75cが孔83hの開口部の縁に重ねられる。
【0044】
以上のように、本実施形態の光軸調整機構70は、一部がブラケット30の立設部32に取り付けられ、他の一部がブラケット30の本体部31に取り付けられる。
【0045】
次に本実施形態の車両用前照灯1の動作及び作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態の車両用前照灯1は、ランプユニット20によって所望の配光パターンを形成し得る。車両用前照灯1は、ロービーム用とされる場合は図7(A)に示すロービームの配光パターンを形成し、ハイビーム用とされる場合は図7(B)に示すハイビームの配光パターンを形成することができる。
【0047】
また、ランプユニット20の光軸の方向は、以下に説明するように調整される。車両用前照灯1では、上記のように、ジョイント24は、支点部材50によって、ブラケット30に対して回動可能な状態でブラケット30に接続される。また、アクチュエータ40の可動軸42は、支点部材50より後方においてジョイント24に接続される。よって、アクチュエータ40のモータによって可動軸42が上下方向に動かされると、ジョイント24の後方部分は、支点部材50の先端のピボット52を支点として上下方向に回動する。このため、ジョイント24に固定されているランプボディ21の後方部分も上下方向に回動し、ランプボディ21に収容される光源からの光の照射方向を上下方向に調整することができる。すなわち、ランプユニット20の光軸が上下方向に調整される。
【0048】
また、第1アジャスティングスクリュー71のネジ部71bの後方の端部は上記のように筐体10外に露出しており、筐体10外から操作してネジ部71bを軸心周りに回転させることができる。ネジ部71bが軸心周りに回転すると、ネジ部71bに螺合している第1セルフロッキングナット73が筐体10に対して相対的に前後方向に移動する。第1セルフロッキングナット73は立設部32の上部に固定されており、立設部32の下部にはブラケット30に対して回動可能な状態で支点部材75が固定されている。よって、第1セルフロッキングナット73が前後方向に動かされると、ブラケット30は支点部材75の先端のピボット75bを中心として鉛直面内において前後方向に回動し、ランプユニット20の光軸が上下方向に調整される。
【0049】
また、第2アジャスティングスクリュー72のネジ部72bの後方の端部は上記のように筐体10外に露出しており、筐体10外から操作してネジ部72bを軸心周りに回転させることができる。ネジ部72bが軸心周りに回転すると、ネジ部72bに螺合している第2セルフロッキングナット74が筐体10に対して相対的に前後方向に移動する。第2セルフロッキングナット74は本体部31の右端に固定されており、本体部31の左端に形成される立設部32にはブラケット30に対して回動可能な状態で支点部材75が固定されている。よって、第2セルフロッキングナット74が前後方向に動かされると、ブラケット30は支点部材75の先端のピボット75bを中心として水平面内において前後方向に回動し、ランプユニット20の光軸が左右方向に調整される。
【0050】
ところで、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、ランプユニットの下方にアクチュエータが配置されると共にランプユニットの上方にブラケットの一部が配置される。したがって、上記特許文献1に記載の車両用灯具は、上下方向の厚さが大きくなりやすい傾向がある。一方、本実施形態の車両用前照灯1は、以下に説明するように薄型化され得る。
【0051】
ランプユニット20の光軸を調整するアクチュエータ40及び光軸調整機構70は、ジョイント24の後方に配置される。よって、車両用前照灯1は、上下方向の厚さが薄くされ得る。また、車両用前照灯1が備えるブラケット30は、左右方向に延在する本体部31と上下方向に延在する立設部32とで構成され、上記のように、ランプボディ21の上方にはブラケット30を非形成とし得る。よって、車両用前照灯1は、より薄型化され得る。また、このようにランプボディ21の上方にブラケット30が非形成とされることによって、ランプボディ21の上部を車両用前照灯1の正面から見せることができ、車両用前照灯1の意匠性が向上され得る。
【0052】
また、上記のように、ブラケット30は後方に切り欠き33を有し、ジョイント24と可動軸42との接続部は、最も下に位置するときに少なくとも一部が切り欠き33に収まる。このようにブラケット30に切り欠き33が形成されると共にジョイント24及び可動軸42が配置されることによって、車両用前照灯1はより薄型化され得る。車両用前照灯1をより薄型化する観点からは、ジョイント24と可動軸42との接続部が最も下に位置するときに、当該接続部の全体が切り欠き33に収まることが好ましい。
【0053】
また、上記のように支点部材50が左右方向に並列して複数備えられることによって、ジョイント24の安定性が向上し、ランプボディ21に収容される光源からの光の出射方向がぶれることが抑制され得る。
【0054】
また、可動軸42が水平且つ前後方向に延在することによって、可動軸42からジョイント24へと適切に力を伝達させ易くなる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
図8は、本発明の第2実施形態における車両用灯具の正面図である。また、図9は、図8に示す車両用灯具のIX-IX線における断面を示す図であり、図10は、図8に示す車両用灯具のX-X線における断面を示す図である。なお、車両用灯具の構成の理解を容易にするため、図8では、可動灯具ユニット2より前方に配置される部材を省略し、筐体10の一部を鉛直断面で示している。また、図9では、ランプボディ21の内側及びアクチュエータ40の内部構造の図示を省略してハッチで示し、図10では、アクチュエータ171の内部構造の図示を省略してハッチで示している。なお、図8から図11及び以下に示す他の図において、左右前後及び上下は、各図に示す通り、車両の搭乗者の視点を基準としている。
【0057】
本実施形態の車両用灯具は、車両用前照灯1である。図8から図11に示すように車両用前照灯1は、ランプユニット20、ブラケット30、アクチュエータ40、調心部材60、及び光軸調整機構170を有する可動灯具ユニット2と、ベゼル80と、これらを収容する筐体10と、を主な構成として備える。
【0058】
筐体10は、ランプハウジング11及びフロントカバー12を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。ランプハウジング11と、ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、によって形成される空間が灯室LRとされる。可動灯具ユニット2及びベゼル80は、この灯室LR内に収容されている。
【0059】
ベゼル80は、車両用前照灯1の正面視においてランプユニット20の下方に配置される。また、ベゼル80は、ブラケット30及びアクチュエータ40の前方に配置され、車両用前照灯1の正面からブラケット30及びアクチュエータ40を隠蔽している。
【0060】
図11は、図8に示す可動灯具ユニット2の斜視図であり、図12は、図11に示す可動灯具ユニット2の分解斜視図である。また、図13は、ブラケット30の正面図である。
【0061】
ブラケット30は、左右方向に延在する本体部31と本体部31の左端において上下方向に延在する立設部32とを有し、ランプユニット20の上方には非形成とされる。本体部31のほぼ中央部には、上下方向に貫通する貫通孔33が形成される。貫通孔33の内周面のうち、上下方向のほぼ中心には、内側に突出する複数のスペーサー38が形成されている。また、本体部31のうち立設部32が設けられる側とは反対側、すなわち本実施形態の本体部31の右端には、前後方向に貫通する貫通孔35が形成されている。また、立設部32の上部及び下部にもそれぞれ前後方向に貫通する貫通孔36,37が形成されている。
【0062】
ランプユニット20は、ブラケット30の本体部31の上方に配置される。ランプユニット20は、不図示の光源が収容されるランプボディ21、ランプボディ21の前方の開口を塞ぐ投影レンズ22、ランプボディ21の下部に固定される台座23、及び、台座23に固定されるジョイント24を主な構成として備える。ランプボディ21内に収容される光源から出射される光は、投影レンズ22を透過して所望の配光パターンで照射される。ジョイント24は、板状の本体部24aと本体部24aの外周から上方に立設する側壁部24bと、本体部24aから下方に延在する第1軸91とを有する。台座23は、概ね板状であり、ランプボディ21の下部に不図示のネジ等によって固定される。また、台座23は、外周部が側壁部24bの内周面に嵌合されると共に台座23の後方から挿入されるネジ25がジョイント24の本体部24aの後方に螺合されることによって、ジョイント24と一体化される。このように、ランプユニット20は、ジョイント24が一体化され、下方に延在する第1軸91を有する。
【0063】
アクチュエータ40は、ブラケット30の本体部31の下方に配置される。アクチュエータ40は、筐体41と、筐体41内に収容される不図示のモータと、筐体41の上部に形成された開口から突出して上方に延在する第2軸92とを有する。アクチュエータ40は、不図示のモータによって第2軸92を軸心まわりに回転させることができる。また、アクチュエータ40の筐体41の外周部のうち左側と右側とには、それぞれネジ孔47が形成されている。これらのネジ孔47に通されるネジ48,49がブラケット30の本体部31の下方に形成される不図示のネジ孔に螺合されることによって、アクチュエータ40がブラケット30に固定される。
【0064】
本実施形態の調心部材60は、第1ベアリング61及び第2ベアリング62からなる一対のベアリングを有する。調心部材60は、ブラケット30の本体部31に固定され、第1軸91と第2軸92とが連結されてなる回転軸90を回転可能な状態で保持する。具体的には、第1ベアリング61及び第2ベアリング62は、それぞれボールベアリングであり、第1ベアリング61及び第2ベアリング62の外周面がブラケット30の本体部31に形成される貫通孔33の内周面に接して固定される。第1ベアリング61は貫通孔33の上方から挿入され、スペーサー38上に配置される。第2ベアリング62は貫通孔33の下方から挿入され、スペーサー38と後述するジョイント93との間に配置される。また、第1ベアリング61及び第2ベアリング62のそれぞれの内周面側には、回転軸90が挿通される。
【0065】
図9及び図12に示すように、回転軸90は、第1軸91と第2軸92とがジョイント93を介して連結されて構成される。ジョイント93は、上方に底を有する有底筒状の本体部93aと、本体部93aの底から上方に延在する筒状の突起部93bと、を有する。本体部93aの底の中心には貫通孔93hが形成されており、突起部93bは貫通孔93hを囲うように形成される。また、図9に示すように第1軸91の下方には環状の溝91aが形成されており、この溝91aにジョイント93の突起部93bが嵌められる。また、ジョイント93の貫通孔93hに下方から挿入されるネジ96が第1軸91に螺合されることによって、ジョイント93と第1軸91とが固定される。一方、第2軸92はジョイント93の本体部93aに下方から挿入される。図12に示すように第2軸92は外周に一対の突起92aを有しており、この突起92aがジョイント93の本体部93aの内周面に形成される不図示の凹部に嵌合される。このため、ジョイント93は第2軸92と共に回転する。また、第2軸92の外周面と本体部93aの内周面との間にスプリング95が挿入されることによって、第2軸92が回転する際のジョイント93のがたつきが抑制され得る。このようにして、第1軸91と第2軸92とは間接的に固定され、回転軸90が構成される。
【0066】
図9に示すように、本実施形態では、回転軸90のうち第1軸91が第1ベアリング61及び第2ベアリング62に挿通される。第1ベアリング61及び第2ベアリング62の内径は第1軸91の外径と略同じ大きさとされる。ジョイント93の外径は第1軸91の外径より大きく、ジョイント93の本体部93aの上側には、ワッシャー94を介して第2ベアリング62が配置される。
【0067】
図10から図12に示すように、本実施形態の光軸調整機構170は、アクチュエータ171、ジョイント172、アクチュエータ用ベアリング173、第1アジャスティングスクリュー174、第1セルフロッキングナット175、支点部材176、支点用ベアリング177、第2アジャスティングスクリュー178、第2セルフロッキングナット179を主な構成として備える。
【0068】
アクチュエータ171は、前後方向に延在する軸部171aを有している。また、アクチュエータ171は、不図示のモータを有しており、当該モータによって軸部171aを前後方向に動かすことができる。ジョイント172は、前後方向に貫通した2つの貫通孔172a,172bを有している。アクチュエータ171とジョイント172とは互いに固定され、ジョイント172の2つの貫通孔172a,172bのうち下側の貫通孔172aには、アクチュエータ171の軸部171aが通される。軸部171aの先端はアクチュエータ用ベアリング173に固定され、アクチュエータ用ベアリング173はブラケット30の立設部32に形成される貫通孔37に固定される。アクチュエータ171の軸部171aは、先端が概ね球状に形成され、ブラケット30に対して回動可能な状態でアクチュエータ用ベアリング173に固定される。
【0069】
第1アジャスティングスクリュー174は、固定部81において筐体10に固定される。固定部81は、図8及び図10に示すようにランプハウジング11の一部であり、図11及び図12では、第1アジャスティングスクリュー174の固定方法の理解を容易にするために切り出して示されている。また、図10に示すように、固定部81には前後方向に貫通する貫通孔81hが形成されており、貫通孔81hには後方から第1アジャスティングスクリュー174が挿入され、第1アジャスティングスクリュー174は軸心まわりに回転可能な状態で筐体10に固定される。また、第1アジャスティングスクリュー174の後方の端部は、筐体10の外側の露出している。一方、第1アジャスティングスクリュー174の前方の一部にはネジ山が形成されており、図3に示すように第1アジャスティングスクリュー174は第1セルフロッキングナット175に螺合する。また、第1セルフロッキングナット175は、ジョイント172に形成されている貫通孔172bに固定されている。
【0070】
支点部材176の一方の端部は、固定部83に形成された孔に挿入されて筐体10に固定される。固定部83は、図10に示すようにランプハウジング11の一部であり、図11及び図12では、支点部材176の固定方法の理解を容易にするために切り出して示されている。また、支点部材176の他方の端部は支点用ベアリング177に固定され、支点用ベアリング177はブラケット30の立設部32に形成される貫通孔36に固定される。支点部材176のうち支点用ベアリング177に固定される側の先端は、概ね球状に形成され、ブラケット30に対して回動可能な状態で支点用ベアリング177に固定されている。
【0071】
第2アジャスティングスクリュー178は、第1アジャスティングスクリュー174と同様の構成である。第2アジャスティングスクリュー178は、固定部82において筐体10に固定される。固定部82は、図8に示すようにランプハウジング11の一部であり、図11及び図12では、第2アジャスティングスクリュー178の固定方法の理解を容易にするために切り出して示されている。また、固定部82は固定部81と同様の構成であり、固定部82には前後方向に貫通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔には後方から第2アジャスティングスクリュー178が挿入され、第2アジャスティングスクリュー178は軸心まわりに回転可能な状態で筐体10に固定される。また、第2アジャスティングスクリュー178の後方の端部は、筐体10の外側の露出している。一方、第2アジャスティングスクリュー178の前方の一部にはネジ山が形成されており、第2アジャスティングスクリュー178は第2セルフロッキングナット179に螺合する。また、第2セルフロッキングナット179は、ブラケット30の本体部31に形成されている貫通孔35に固定されている。
【0072】
以上のように、本実施形態の光軸調整機構170は、一部がブラケット30の立設部32に取り付けられ、他の一部がブラケット30の本体部31に取り付けられる。
【0073】
次に本実施形態の車両用前照灯1の動作及び作用効果について説明する。
【0074】
本実施形態の車両用前照灯1は、ランプユニット20によって所望の配光パターンを形成し得る。車両用前照灯1は、ロービーム用とされる場合は図14(A)に示すロービームの配光パターンを形成し、ハイビーム用とされる場合は図14(B)に示すハイビームの配光パターンを形成することができる。
【0075】
また、ランプユニット20の光軸の方向は、以下に説明するように光軸調整機構170によって調整される。上記のように軸部171aはアクチュエータ用ベアリング173に固定され、アクチュエータ用ベアリング173は立設部32の上部に固定されている。また、立設部32の下部にはブラケット30に対して回動可能な状態で支点部材176の先端が固定される。よって、アクチュエータ171のモータによって軸部171aが前後方向に動かされると、ブラケット30は支点部材176の先端を中心として鉛直面内において前後方向に回動し、ランプユニット20の光軸が上下方向に調整される。また、第1アジャスティングスクリュー174の端部は上記のように筐体10外に露出しており、筐体10外から第1アジャスティングスクリュー174を軸心周りに回転させることができる。第1アジャスティングスクリュー174が軸心周りに回転すると、第1アジャスティングスクリュー174に螺合している第1セルフロッキングナット175が筐体10に対して相対的に前後方向に移動する。この第1セルフロッキングナット175の移動に合わせて、第1セルフロッキングナット175が固定されるジョイント172及びジョイント172に固定されるアクチュエータ171も前後方向に移動する。このように、第1アジャスティングスクリュー174が軸心周りに回転すると軸部171aが前後方向に動くため、上記のようにランプユニット20の光軸が上下方向に調整される。また、第2アジャスティングスクリュー178の端部は上記のように筐体10外に露出しており、筐体10外から第2アジャスティングスクリュー178を軸心周りに回転させることができる。第2アジャスティングスクリュー178が軸心周りに回転すると、第2アジャスティングスクリュー178に螺合している第2セルフロッキングナット179が筐体10に対して相対的に前後方向に移動する。第2セルフロッキングナット179が前後方向に動かされると、ブラケット30は支点部材176の先端を中心として水平面内において前後方向に回動し、ランプユニット20の光軸が左右方向に調整される。
【0076】
ところで、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、ランプユニットの上部に設けられる支持軸がブラケットに固定されるため、ランプユニットの上部にはブラケットの一部が配置される。さらに、車両用灯具を正面から見る場合にこのブラケットが隠れるように、隠蔽部材が設けられている。したがって、上記特許文献1に記載の車両用灯具を正面から見る場合、ランプユニットの周囲は隠蔽部材で覆われている。しかし、意匠性向上の観点から、ランプユニットの上部を車両用灯具の正面から見えるようにしたいという要請がある。一方、本実施形態の車両用前照灯1は、以下に説明するように意匠性が向上され得る。
【0077】
本実施形態の車両用前照灯1では、ランプユニット20の第1軸91とアクチュエータ40の第2軸92とが連結されているため、アクチュエータ40が第2軸92を回転させるとランプユニット20も回転し、ランプユニット20からの光の照射方向を左右方向に変更することができる。すなわち、ランプユニット20によって形成される上記配光パターンを左右方向にずらすことができる。また、第1軸91と第2軸92とが連結されてなる回転軸90が調心部材60に保持されることによって、上記のようにランプユニット20を回転させる際にランプユニット20がぶれることが抑制され得る。このようにランプユニット20はランプユニット20の下方でのみ支えられ、ランプユニット20の上方にはブラケット30が非形成とされる。このため、ランプユニット20の上部を車両用前照灯1の正面から見せることができる。よって、車両用前照灯1は意匠性が向上され得る。
【0078】
また、本実施形態の車両用前照灯1では、調心部材60が、上下方向に所定の間隔を開けて配置される第1ベアリング61及び第2ベアリング62からなる一対のベアリングである。このように上下方向に離れた位置に配置される一対のベアリングで回転軸90を保持することによって、回転軸90は軸心に沿った方向において互いに離れた2箇所で支えられる。このため、回転軸90のぶれがより抑制され得る。
【0079】
なお、一対のベアリングのうち上側に配置される第1ベアリング61には、ランプユニット20の重さによる荷重が加わり易い。このように大きな荷重が加わり易い上側の第1ベアリング61が転がり抵抗が小さいボールベアリングとされることによって、回転軸90が回転する際に第1ベアリング61における摺動性の低下が抑制され得る。このため、回転軸90が回転する際に加えられる抵抗の増大が抑制され得る。
【0080】
また、第1ベアリング61及び第2ベアリング62が両方ともボールベアリングとされることによって、回転軸90が回転する際に回転軸に加えられる抵抗の増大がより抑制され得る。
【0081】
また、上記のように第1ベアリング61がスペーサー38上に配置されることによって、ランプユニット20の重さによる荷重は第1ベアリング61を介してブラケット30へと分散され易くなる。よって、第1ベアリング61に荷重が集中することが抑制され、回転軸90が回転する際に第1ベアリング61における摺動性の低下が抑制され得る。このため、回転軸90が回転する際に加えられる抵抗の増大がより抑制され得る。
【0082】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0083】
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態では、ブラケット30の本体部31の左端に立設部32が設けられる例を挙げて説明したが、立設部32はブラケット30の本体部31の右端に形成されても良く、左右両端に形成されても良い。また、上記第1実施形態において、ブラケット30の一部は、ランプユニット20の上方にも配置されても良い。
【0084】
また、上記第1実施形態では、2つの支点部材50が左右方向に並列して複数備えら例を挙げて説明したが、支点部材50の数は特に限定されず、1つでも3つ以上でも良い。ただし、ランプユニット20を安定させる観点からは、支点部材50は左右方向に並列して複数備えられることが好ましい。また、支点部材50は、車両用前照灯1の正面視において、ランプユニット20の中心を通る直線を挟んで左右両側に備えられることが好ましい。
【0085】
また、上記第1実施形態では、可動軸42が水平且つ前後方向に延在する例を挙げて説明したが、可動軸42の形状は限定されない。
【0086】
また、上記第2実施形態では、ブラケット30が切り欠き33を有する例を挙げて説明したが、切り欠き33は必須の構成ではない。
【0087】
また、上記第2実施形態では、調心部材60が第1ベアリング61及び第2ベアリング62を有する例を挙げて説明したが、調心部材60は一対のベアリングに限定されない。例えば、調心部材60は1つまたは3つ以上のベアリングで構成されても良い。
【0088】
また、上記第2実施形態では、第1ベアリング61及び第2ベアリング62がボールベアリングである例を挙げて説明したが、調心部材60を構成するベアリングはボールベアリングに限定されない。
【0089】
また、上記第2実施形態では、ブラケット30の本体部31に上下方向に貫通した貫通孔33が形成され、第1ベアリング61が貫通孔33の内周面に設けられるスペーサー38上に配置される例を挙げて説明した。ただし、スペーサー38は必須の構成要素ではない。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、薄型化され得る車両用灯具を提供することができる。また、本発明によれば、意匠性が向上され得る車両用灯具を提供することができる。これらの車両用灯具は、自動車等の車両用前照灯の分野などにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1・・・車両用前照灯
2・・・可動灯具ユニット
10・・・筐体
20・・・ランプユニット
21・・・ランプボディ
24・・・ジョイント
30・・・ブラケット
31・・・本体部
32・・・立設部
38・・・スペーサー
40・・・アクチュエータ
42・・・可動軸
50・・・支点部材
60・・・調心部材
61・・・第1ベアリング
62・・・第2ベアリング
70,170・・・光軸調整機構
90・・・回転軸
91・・・第1軸
92・・・第2軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14