(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】経カテーテル心房密封スカート、アンカ、及びテザー、並びに埋込方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019555113
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 US2018025971
(87)【国際公開番号】W WO2018187390
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519358391
【氏名又は名称】オーパス メディカル セラピーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラジャゴパル、ビベク
(72)【発明者】
【氏名】サラビア、ジェイム、エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】リャオ、イェンチン
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0224785(US,A1)
【文献】特表2014-523256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0301698(US,A1)
【文献】国際公開第2015/200497(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0282110(US,A1)
【文献】特表2013-503009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁を心臓内の弁配置部位へ最小侵襲的に埋め込む
ための医療組立体であって、前記医療組立体は、
血管内へ導入して埋め込むよう
に構成され
ている弁であって、天然の心臓弁を置き換えるよう
に構成され
ており、かつ、寸法決めされ
ている弁と、
心腔内壁上の係留部位に係留するため
に血管内へ導入されるよう
に構成され
ており、かつ、寸法決めされ
ているアンカと、
前記弁
と前記アンカと
を接続するため
に、前記弁
と前記アンカ
とに接続され
ている少なくとも1本のコードを
含むテザー組立体と、
前記アンカ
と前記テザー組立体
とを血管内に導入するための
アンカ送達システムであって、前記アンカ送達システムは、前記医療組立体から取り外し可能である、アンカ送達システムと、
前記弁を配置して密封する
ための弁送達システムであって、前記弁送達システムは、前記医療組立体から取り外し可能であり、前記弁送達システムは、前記アンカ送達システムから分離されている、弁送達システムと
を備える、医療組立体。
【請求項2】
前記アンカは、
近位端部
と遠位端部
とを
有するアンカ・キャップと、
前記アンカ・キャップ
の前記遠位端部から
延在するアンカねじであって、前記心腔内壁の前記係留部位に前記アンカ・キャップをしっかり取り付けるよう
に構成されているアンカねじと
を備える、請求項1に記載の医療組立体。
【請求項3】
前記テザー組立体は、前記少なくとも1本のコードの近位端部から
延在する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記少なくとも1本のコードの遠位端部は、前記アンカ・キャップの前記近位端部に接続され
ている、請求項2に記載の医療組立体。
【請求項4】
前記テザー組立体は、前記アンカ・キャップの前記近位端部から
延在する少なくとも2本
のコードを備える、請求項2に記載の医療組立体。
【請求項5】
前記テザー組立体は、前記アンカ・キャップの前記近位端部から
延在する少なくとも2本
のコードを備え、前記テザー組立体は
、少なくとも2本
の縫合糸を備え
、前記少なくとも2本の縫合糸のそれぞれは、前記少なくとも2本のコードのそれぞれ1本の前記近位端部か
ら延在する、請求項3に記載の医療組立体。
【請求項6】
前記
アンカ送達システムは、長手方向に延在する内腔を画定するアンカ送達ガイドを備え、前記アンカは、前記送達ガイド内腔内に取外し可能に受容される、請求項2に記載の医療組立体。
【請求項7】
前記
アンカ送達システムは
、アンカ送達ロッドをさらに備え
、前記アンカ送達ロッドは、前記送達ガイド内腔内に取外し可能に配置され
ており、かつ、前記アンカと協働するよう
に構成され
ている
、請求項6に記載の医療組立体。
【請求項8】
前記アンカ送達ロッドは、第1の
構成を有する遠位端部を
有し、前記アンカ・キャップの
前記近位端部は、第2の
構成を有し、前記第1
の構成および前記第2の構成は
、嵌合する構成であり、
前記嵌合する構成では、前記アンカ送達ロッドにかかる回転力
が前記アンカ・キャップに回転力を加える、請求項7に記載の医療組立体。
【請求項9】
前記テザー組立体の少なくとも一部は、前記アンカ送達ロッドによって画定されたロッド内腔内
に延在する、請求項7に記載の医療組立体。
【請求項10】
前記テザー組立体の前記少なくとも1本のコードは、前記ロッド内腔内
に延在する、請求項9に記載の医療組立体。
【請求項11】
前記送達ロッドの少なくとも一部は、可撓性である、請求項7に記載の医療組立体。
【請求項12】
前記医療組立体は、前記アンカ送達システムを誘導するJ字型ワイヤをさらに備える、請求項1に記載の医療組立体。
【請求項13】
前記アンカ送達システムは
、シースをさらに備え
、前記シースは、前記アンカ送達ガイドと取外し可能に
結合され
ており、かつ、前記アンカ送達ガイドと流体連通する、請求項6に記載の医療組立体。
【請求項14】
前記テザー組立体は、前記少なくとも1本のコードの近位端部から
延在する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記少なくとも1本の縫合糸の一部は
、前記送達ガイド内腔内に
延在し、前記少なくとも1本の縫合糸の近位部分は
、前記送達ガイド内腔の近位端部から
延在する、請求項6に記載の医療組立体。
【請求項15】
前記
弁送達システムは
、弁送達ガイドを備え
、前記弁送達ガイドは、内側ガイド内腔を画定し、
かつ、近位端部
と遠位端部
とを
有し、前記弁送達ガイドは、前記弁
および前記テザー組立体の一部を受容するよう
に構成され
ている、請求項1に記載の医療組立体。
【請求項16】
前記医療組立体は、前記少なくとも1本のコードの近位端部から
延在する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記少なくとも1本のコードは
、前記アンカに接続され
ており、前記少なくとも1本の縫合糸
および前記少なくとも1本のコードは
、前記内側ガイド内腔を通って
延在し、かつ、前記弁と協働し、前記少なくとも1本の縫合糸は、前記内側ガイド内腔の近位端部を超えて
延在する、請求項15に記載の医療組立体。
【請求項17】
前記
弁送達システムは、前記内側ガイド内腔と流体連通する中央チャネルを画定する弁配置ノブを備え、前記弁配置ノブは
、前記弁送達ガイド
に接続され
ており、前記配置ノブの回転
は、前記送達ノブ内の前記弁送達ガイドを
延在し、前記送達ノブ内の前記弁送達ガイドを引き込む、請求項15に記載の医療組立体。
【請求項18】
前記弁送達ガイドの遠位部分は
、可撓性である、請求項15に記載の医療組立体。
【請求項19】
前記弁送達システムは
、ノーズコーンをさらに備え
、前記ノーズコーンは、前記弁送達ガイドの前記遠位端部上に配置され
ており、かつ、前記弁
を前記弁送達ガイドを通って前記弁配置部位に誘導するよう
に構成され
ている
、請求項15に記載の医療組立体。
【請求項20】
前記弁は
、開口部を画定し、前記少なくとも1本の縫合糸は、前記弁の開口部を通っ
て延在し、前記弁送達ガイドは、前記少なくとも1本の縫合糸
を受容する中央内腔を画定する少なくとも1つの位置決めロッドをさらに備え、前記位置決めロッドは、前記少なくとも1本の縫合糸
および前記少なくとも1本のコードに沿って前記弁の近位に配置され
ており、かつ、前記弁を配置するために前記弁の上面と協働する、請求項16に記載の医療組立体。
【請求項21】
前記
弁送達システムは、前記内側ガイド内腔と流体連通する中央チャネルを画定する弁配置ノブを備え、前記位置決めロッドは、前記弁配置ノブの中央チャネルを通って
延在する、請求項20に記載の医療組立体。
【請求項22】
前記少なくとも1本のコードを備える前記テザー組立体は、少なくとも2本のコードを備え、前記少なくとも2本のコード
のそれぞれは、
前記アンカ・キャップの
前記近位端部から
延在し、前記少なくとも1本の縫合糸を備える前記テザー組立体は、前記少なくとも1本の縫合糸のうちの少なくとも2本を備え、前記少なくとも2本の縫合糸
のそれぞれは、前記少なくとも2本のコードのそれぞれ1本の前記近位端部から
延在し、前記少なくとも1つの位置決めロッドを備える前記弁送達システムは、前記少なくとも1つの位置決めロッドのうちの2つを備え、前記少なくとも2つの位置決めロッド
のそれぞれは、前記少なくとも2本のコードのうちのそれぞれ1本
および前記少なくとも2本の縫合糸のうちのそれぞれ1本
を受容する、請求項20に記載の医療組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、弁を心臓内に最小侵襲的に埋め込む医療組立体、天然の心臓弁を置き換える新規の弁、及び弁を配置して制限するアンカ・システムに関する。本発明は、医療組立体及び弁の構成要素を埋め込む方法にも関する。より詳細には、本発明は、新規の経カテーテル弁、経カテーテル弁スカート、テザー及びアンカ、アンカ送達システム、並びに弁送達デバイスばかりでなく、血管内に三尖弁を横切って弁を埋め込み、天然の三尖弁の機能を置き換える、かかる組立体に関係する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経カテーテル弁は、天然の心臓弁の置換にとって安全且つ効果的であることが証明されている。大動脈弁、僧帽弁、及び肺動脈弁の置換に関して広範囲にテストされてきたが、三尖弁の置換については、人工的補填物を係留する必要がある複雑且つデリケートな解剖学的構造を考えると、経験がより少ない。また、心臓弁のその場の位置又は他の体腔内に係留することは、心臓弁輪又は他の内腔の形状及び寸法の、広い多様性を考えると、困難なままである。この点で、三尖弁逆流の治療は依然として最も困難であり、経カテーテル治療はほとんど開発されてきていない。
【0003】
三尖弁逆流症(TR:tricuspid regurgitation)を主とする三尖弁膜症は、弁の一次性変性(たとえば心内膜炎、リウマチ性疾患、カルチノイド、先天性疾患、薬物、心腔内リードによる穿孔、又は他の原因)から、或いはより一般的には、右心房及び/又は右心室拡張に続いて発生する三尖弁輪拡張から生じる。TRは右心房容積の過負荷を引き起こし、上大静脈(SVC:superior vena cava)及び下大静脈(IVC:inferior vena cava)をうっ血させる。SVCのうっ血は上半身の多血症を引き起こし、IVCのうっ血は肝臓/腎臓のうっ血を引き起こし、うっ血性心不全の徴候及び症状、すなわち末梢浮腫、腹水、労作時呼吸困難、及び他の症状に至る。さらに、TRによる持続的な右心臓容積の過負荷は、進行性の右心室の拡張及び不全に至り、死亡率を増加させる。TRを罹患している患者は典型的に手術リスクが高いので、TRを治療するための最小侵襲的経カテーテル法の開発は重要であり得る。
【0004】
2005年に、Boudjemline等は、新規のステント弁を開発し、ステント弁を8頭の羊の三尖弁輪に入れた。ある動物では弁が三尖弁の腱索(cordae)に捕捉され、別の動物では弁に著しい弁周囲逆流が見られ、この手法に関する懸念が高まった。弁のさらなる開発は行われなかった。2008年に、Bai等は、同様の種類のステント弁をテストし、10頭の羊の三尖弁輪にステント弁を埋め込んだ。処置の間に、2匹の動物が死亡した。最長6ヶ月間生存した羊の体内で弁が機能を持続したにもかかわらず、この弁のさらなる開発は継続されなかった。
【0005】
三尖弁輪に弁を係留するこうした課題のため、Lauten等は2010年に、重度のTRの羊のモデルのIVC及びSVC内に、ステント弁を設計して埋め込み、それにより大静脈を通って臓器へ送られる三尖弁逆流量を最小化した。彼らは、IVCの脈圧低下及び心拍出量増加を実証した。
【0006】
2011年及び2013年に、Lauten及びLauleはそれぞれ、重度のTRを罹患している患者の大静脈内に同様の特注の自己拡張型ステントを埋め込み、両患者は、12ヶ月で大静脈圧の持続的低下及び臨床的改善を示した。
【0007】
米国特許第7,530,995号は、少なくとも1つの細長い接続部材を使ってしっかり留められたSVC内のステント付組織弁を、IVC内の第2のステント付組織弁に配置することによりTRの血圧の影響を低減する、上記方法に類似したデバイスを説明している。米国特許出願公開第2012/0136430(A1)号は、ブリッジを使って接続された2つの大静脈ステントからなり、弁間の距離を調整するためにブリッジに沿って移動可能な2つの円錐形の弁を備える、同様のデバイスを詳述している。
【0008】
Laule等は、3人の患者の大静脈内に市販の経カテーテル弁であるSapien XT(Edwards LifeSciences、カリフォルニア州アーバイン)を使用し、自己拡張型ステントを到着区域として使用することにより、大静脈内の弁の埋込みをさらに簡素化した。
【0009】
段落[0006]~[0009]で詳述されている方法には、いくつかの制限がある。Lautenの技法及びLauleの技法は、[0008]に説明したデバイスを使って、各患者へのカスタマイズが必要であり、広い範囲の寸法を有する生体弁につながる。本質的に、広い範囲の寸法などは、不確実な耐久性及び機能をもたらし、個々のカスタマイズの必要性を考えると、広範な適用を制限する。市販の経カテーテル弁であるSapien弁(数千人の患者で、その性能及び耐久性は知られている)を使用するLauleの技法は、これを部分的に解決するが、最大のSapien弁である29mmよりも大きいSVC又はIVC(TRの患者に一般的に見受けられる)内への埋込みの結果生じることになる、固定の困難さ及び弁周囲逆流によって制限される。同様に、現在入手可能な他の弁は、30~31mmより大きい直径であるSVC/IVCでは機能し得ない。
【0010】
これを解決するために、Lauten及び同僚は、段落[0007]で概説した寸法及びカスタマイズの問題の一部を解決する、SVC及びIVCの自己拡張型人工的補填物であるTrie Valve(Vertriebs GmbH、ドイツ)を開発した。
【0011】
それにも関わらず、[0006]~[0009]及び[0011]で概説した大静脈弁の解決策は、この同じ制限を受けている。具体的には、IVC及び/又はSVCステント弁は、三尖弁輪を横切る解剖学的に正しい位置に配置されていないので、三尖弁の機能を完全には復元しない。従って、ステント弁は症状を緩和するが、TRによって引き起こされる右心室(RV:right ventricle)容積の過負荷に、根本的には対処しない。容量の過負荷に対処するには、天然の三尖弁を横切る弁の弁輪内での係留が必要であり、上記の技法は、三尖弁輪の脆弱且つ複雑な、放物面の弁輪の解剖学的構造を、弁輪に接続される心房及び心室内の大きくて裾の広がった係留区域と共に考えると、経カテーテル弁の弁輪内での係留に適していない。
【0012】
研究者は、経カテーテル弁の弁輪内での係留を補助するドッキング・システムを開発したが、こうした技法は、いくつかの理由で三尖弁に対して機能する可能性がより低い。たとえば、Barbanti及び同僚は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE:expanded polytetrafluoroethylene)で覆われた自己拡張型ステントであるHelio経カテーテル大動脈ドック(Edwards LifeSciences、カリフォルニア州アーバイン)をテストし、これはSapien経カテーテル大動脈弁を係留するための、重度の逆流大動脈弁を横切るプラットフォームとして役立った。このプラットフォームは、この位置では効果的であるが、三尖弁輪内に係留されたまま留まることはないであろう。大動脈弁輪とは異なり、三尖弁輪は複雑な放物面形状であり、容易に膨張し、且つカルシウム不足であり、単純な管状構造であるHelioドックが適所に留まることを妨げる可能性がある。
【0013】
Buchbinder及び同僚は、経カテーテル大動脈弁を僧帽弁位置に係留するドッキング・システムを開発した。彼らは、心房内及び/又は心室内での安定化のために、リングを接続して経カテーテル弁を適所に係止するブリッジ部材を備えた、剛性及び半剛性材料から構成される1つ又は2つの自己拡張可能な、又はバルーンで拡張可能なリングからなるドッキング・システムについて説明している。太い線維三角が両側にあり、太い左心室心筋と連続している僧帽弁輪には、拡張可能な剛性及び半剛性材料を収容するための外部支持体がある。
【0014】
逆に、三尖弁輪の約4分の3は最小限の外部支持体を有し、壁の薄いで膨張性の右心房及び右心室に接続されている。この弁輪の脆弱性を考えると、ニチノールなどの柔軟な金属を使用するときでさえも、あらゆる金属のドッキング・システムにおいて、他のどんな弁輪よりも三尖弁輪の周囲の侵食リスクがより高い。さらに、どんな三尖弁輪も数週間にわたって拡張する恐れがあるとすれば、どんな剛性又は半剛性の係留デバイスも、時間の経過と共に不完全な配置になる可能性がある。
【0015】
三尖弁輪の拡張に対処するために、弁輪の寸法を縮小するようにいくつかの経カテーテル手法が実行されており、TRの低減を含む、より良い三尖弁の接合を可能にしている。研究者はSCOUT I試験において、Mitralignシステム(Mitralign Inc.,米国マサチューセッツ州テュークスベリ)を使用して、経頚静脈手法を使って三尖弁輪内に綿縫合糸(pledgeted suture)を配置し、それにより弁輪の寸法を縮めることを説明している。同様に、TriCinchデバイス(4Tech、アイルランド国ゴールウェイ)は、IVC内のステントに張力がかけられた弁輪内のねじによって弁輪の寸法を縮小する。手術用リングを模倣するCardiobandデバイス(Valtech、Edwards LifeScience、カリフォルニア州アーバイン)は、最小侵襲的に三尖弁輪に送達して定着させることができる、半完成の弁輪形成リングである。同様に、Millipedeデバイス(Boston Scientific、マサチューセッツ州マールボロ)は、完全な手術用弁輪形成リングを模倣しており、最小侵襲的に送達することができる。
【0016】
それにもかかわらず、こうした手法には制限がある。Mitralignシステムは急峻な学習曲線を有し、中程度から重度の残留TRを残すことが多く、弁尖の異常を修正せず、心腔内リードの存在下ではより効果が低い。さらに、弁尖を繋ぎ止める、さらなるどんなRVの再モデル化も、弁輪の収縮にもかかわらず、TRの再発を引き起こすであろう。TriCinchデバイスにも同じ制限が加わるが、これにはIVC内にステントが必要になるという欠点もある。Cardiobandデバイスは、より完全な弁輪収縮を提供するが、やはり中程度から重度のTRを残し、弁尖の異常又は心腔内リードの存在下では効果がより低い。最後に、Millipedeデバイスは、その完全なリングを使って最大の弁輪収縮を提供するが、やはり弁尖の異常又は心腔内リードに対処していない。
【0017】
他の経カテーテル手法は、デバイスの弁尖との直接的な相互作用によって弁尖の接合を円滑にすることにより、TRに対処する。Parada-Campello及び同僚は、Forma Repair System(Edwards Lifesciences、カリフォルニア州アーバイン)を使った彼らの最初の経験を説明した。このデバイスは、RVアンカの上に配置される、発泡体が充填されたポリマーのバルーンからなり、これにより三尖弁尖がスペーサに対して接合することができ、弁尖の機能上の能力が与えられ、それによってTRが減少する。別のデバイスであるMitraClip(Abbott Vascular、米国イリノイ州アボット・パーク)は、弁尖を一体に複製するために使用される。
【0018】
しかし、両方のデバイスは、重大な制限を受ける。Forma Repairシステムは寸法が固定のバルーンを備え、埋込後のさらなるどんな弁輪の拡張及び/又は弁尖の繋ぎ止めも、TRの再発をもたらす。さらに、ヒトの初期の経験では、アンカの除去、心膜タンポナーデ、及び緊急心臓手術を含む、重大で不都合な事象の発生率が高いことが実証された。MitraClipシステムを使用した三尖弁のクリップは、再現性が不明確な技術的に厳しいものであり、一般に中程度から重度のTRが残留する。弁輪形成技法と同様に、Forma Repairシステム及びMitraClipは、かなりの弁尖の異常又はペースメーカのリードの存在下では、TRを効果的に治療することができない。
【0019】
この点に関して、経カテーテル弁は、脆弱な三尖弁及び右心室の問題を考えると、弁を弁尖又は弁輪の定着を必要とせずに係留できる場合、傷害リスクを最小限に抑えながら上記の問題を解決できる。
【0020】
米国特許出願公開第2013/0172978(A1)号は、心房スカート、弁輪内弁、及び心室テザーを使って僧帽弁の位置に配置された弁を説明しており、このシステムは、テザーを使わない他の経カテーテル弁が必要とする、弁輪又は弁尖の定着を必要としない。ただし、この弁には心室への経心尖通路が必要であり、右心室に対するリスクの非常に高い手法であろう。また、テザーは弁の端部に定着されている。このように、経心尖部の切開を通してテザーを引っ張り、心外膜アンカを使って弁をしっかり留めることにより弁の位置が調整され、これは開胸及び心尖部への通路を必要とする。
【0021】
対照的に、Lux弁(Ningbo Jenscare Biotechnology Co., LTD、中国寧波)は、弁の端部に定着され、心室中隔に係留される三角形のパドルによってしっかり留められる。Lux弁はヤギの体内で安定した係留を示したが、こうした動物は小さな非球形の心臓を有していた(平均的な三尖弁輪の寸法は、ヒトの≧4cmと比較して~2.5cmである)。こうした患者の右心室の基底の/縦方向の再モデル化におけるとてつもない多様性を考えると、定着された心室アンカが、重度のTRを罹患するヒトでどのように機能することになるかは不明である。さらに、多くのTR患者は右心室機能障害を罹患しており、右心室心筋へ定着されたテザーは、物理的制限又は瘢痕化の誘発によって、右心室の機能をさらに損なう可能性がある。
【0022】
NaviGate弁(NaviGate Cardiac Structures, Inc., カリフォルニア州レークフォレスト)は、弁尖及び弁輪の定着を使用して天然の三尖弁に直接係留するので、テザーを必要としない。ヒトの初期の経験では、右心房又は心室の傷害は実証されていないが、NaviGateの弁尖及び弁輪への係留機構によって、重要な安全機能である、弁の処置中の再配置又は回収ができなくなる。さらに、NaviGateの弁輪係留機構は、大きな弁を必要とし、非常に大きな送達システムを必要とし、患者を選択するため、真の経皮的送達を制限する。NaviGateの寸法が大きいため、NaviGateの構造が劣化した場合に、NaviGateを市販の経カテーテル弁のドッキング・システムとして使用することもできない。最後に、弁輪を押しつけて完全に拡張する必要があることを考えると、この弁を、以前の三尖弁尖クリップの存在下でMitraClipを使用して埋め込み得る見込みはなく、この弁が、以前からある、三尖弁を横切るどんな心腔内リードをも損傷する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】米国特許第7,530,995号
【文献】米国特許出願公開第2012/0136430(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2013/0172978(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
従って、関連技術において、弁輪の係留を必要とせず、経心尖通路なしに送達でき、再配置可能且つ回収可能であり、以前の三尖弁のクリップを含むどんな三尖弁修復の存在下でも機能することができ、他の経カテーテル弁用のドッキング・システムとしても作用することができ、心腔内リードを損傷しない、三尖弁輪を横切って配置する経カテーテル弁を提供することは望ましいまま残っている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本明細書で、天然の三尖弁の機能を置き換える、最小侵襲的に三尖弁を横切って埋め込まれる医療組立体を提示する。本明細書で開示する方法は、内頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈のいずれも含むがこれらに限定されない静脈又は静脈様解剖学的構造体を通して三尖弁を埋め込む。従って、有益なことに、システムのどの部分も、埋込みのための外科的開胸術及び経心尖通路は不要である。
【0026】
一態様では、システムは、弁を心房床及び少なくとも1つのテザーに連結し、且つ/又はしっかり留めるよう構成された心房密封スカートを具備する経カテーテル弁を備え、各テザーは、1つのアンカに取り付けられ、心室自由壁、心室尖部、又は心室中隔を含むがこれらに限定されない心腔内壁に弁を連結し、且つ/又はしっかり留めるよう構成される。
【0027】
弁は、一態様によれば、ニチノール及びウシ、ウマ、又はブタの心膜弁尖から構成される自己拡張型の弁である。別の態様では、心房密封スカートは、使用中に膜が三尖弁輪をほぼ覆うように、配置部位で弁輪より大きい直径を有する膜で覆われている。
【0028】
医療組立体は、アンカ送達システム及び弁送達システムを備える。アンカ送達システムは、アンカ、及び1本又は複数のコードにより成る、取り付けられるテザーを導入し、アンカをしっかり留める。弁送達システムは、弁及び弁の上の密封スカートの配置を可能にする。
【0029】
少なくとも1つのテザーは、少なくとも1本のコードを含み、各コードは縫合糸に融着され、テザーは、アンカ・キャップ及びアンカねじにより成る1つのアンカに連結され、アンカは、心室尖部又は心室中隔などの心腔内壁の一部内にねじ込まれるか、そうでなければしっかりと取り付けられるよう構成される。一態様では、アンカ・キャップがアンカねじに連結され、テザーの少なくとも1本のコードは、アンカ・キャップから三尖弁輪を通って延出することができる。弁及び密封スカートにコードが通され、従って弁及び密封スカートは、コードに摺動して係合する。別の態様では、縫合糸は、コードの近位端部に連結され、ユーザが利用可能なように心臓の外側に延出することができる。
【0030】
弁送達システムは、遠位端部、反対側の近位端部、及び遠位端部と近位端部との間に延在する内側ロッド内腔を具備する、少なくとも1つの心房位置決めロッドをさらに備える。着脱可能な係止部は、各位置決めロッドの遠位端部に解放可能に連結される。縫合糸の一部が内側ロッド内腔を通って挿入され、位置決めロッドは、ロッドの遠位端部が心房密封スカートに隣接するまで、縫合糸を覆って前進する。一態様では、位置決めロッドは、スカートを所望の位置に配置するために使用される。別の態様において、位置決めロッドを回転させることにより、着脱可能な係止部はコードと係合し、コードを密封スカートに所望の位置でしっかり留めることができる。位置決めロッドを継続的に回転させて、係止部を位置決めロッドから分離することができ、ロッドは心臓から引き込まれる。
【0031】
従って、テザーの少なくとも1本のコードは、アンカを使って、心室尖部又は心室中隔などの心腔内壁に弁を連結し、一方係止位置にある少なくとも1つの着脱可能な係止部は、コードの近位端部が密封スカートに対して動くことを防止し、それにより弁を三尖弁輪内の適所にしっかりと定着させる。
【0032】
関連する埋込方法も提供する。心臓内に最小侵襲的に埋め込まれる医療デバイス及びシステムの他の装置、方法、システム、特徴、及び利点は、以下の図及び詳細な説明を考察することにより、当業者には明らかであろう、又は明らかになろう。かかるさらなる装置、方法、システム、特徴、及び利点はすべて、この説明の中に含まれ、心臓内に最小侵襲的に埋め込まれる医療組立体の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図する。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
弁を心臓内の弁配置部位へ最小侵襲的に埋め込む医療組立体であって、前記医療組立体は、
血管内へ導入して埋め込むよう構成され、天然の心臓弁を置き換えるよう構成及び寸法決めされた前記弁と、
心腔内壁上の係留部位に係留するため血管内へ導入されるよう構成及び寸法決めされたアンカと、
前記弁及び前記アンカと動作可能に接続するための、前記弁及び前記アンカに接続された少なくとも1本のコードを備えるテザー組立体と、
前記アンカ及びテザー組立体を血管内に導入するための、取外し可能なアンカ送達システムと、
前記弁を配置して密封する、取外し可能な弁送達システムと
を備える、医療組立体。
(項目2)
前記アンカは、
近位端部及び遠位端部を備えるアンカ・キャップと、
前記アンカ・キャップ遠位端部から延出し、前記心腔内壁の前記係留部位に前記アンカ・キャップをしっかり取り付けるよう構成されているアンカねじと
を備える、項目1に記載の医療組立体。
(項目3)
前記テザーは、前記少なくとも1本のコードの近位端部から延出する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記少なくとも1本のコードの遠位端部は、前記アンカ・キャップの前記近位端部に接続される、項目2に記載の医療組立体。
(項目4)
前記テザーは、前記アンカ・キャップの前記近位端部から延出する少なくとも2本の前記コードを備える、項目2に記載の医療組立体。
(項目5)
前記テザーは、前記アンカ・キャップの前記近位端部から延出する少なくとも2本の前記コードを備え、前記テザーは、前記少なくとも2本のコードのそれぞれ1本の前記近位端部から延出する、少なくとも2本の前記縫合糸を備える、項目3に記載の医療組立体。
(項目6)
前記取外し可能なアンカ送達システムは、長手方向に延在する内腔を画定するアンカ送達ガイドを備え、前記アンカは、前記送達ガイド内腔内に取外し可能に受容される、項目2に記載の医療組立体。
(項目7)
前記取外し可能なアンカ送達システムは、前記送達ガイド内腔内に取外し可能に配置され、前記アンカと協働するよう構成されるアンカ送達ロッドをさらに備える、項目6に記載の医療組立体。
(項目8)
前記アンカ送達ロッドは、第1の形状を有する遠位端部を備え、前記アンカ・キャップの近位端部は、第2の形状を有し、前記第1及び第2の構成は嵌合する構成であり、前記アンカ送達ロッドにかかる回転力が、前記アンカ・キャップに回転力を加える、項目7に記載の医療組立体。
(項目9)
前記テザーの少なくとも一部は、ロッド内腔内に選択的に延出する、項目7に記載の医療組立体。
(項目10)
前記テザーの前記コードは、前記ロッド内腔内に選択的に延出する、項目9に記載の医療組立体。
(項目11)
前記送達ロッドの遠位部分は、実質的に可撓性である、項目7に記載の医療組立体。
(項目12)
前記アンカ送達システムを誘導するJ字型ワイヤをさらに備える、項目1に記載の医療組立体。
(項目13)
前記アンカ送達システムは、アンカ送達ガイドと取外し可能に連結され、且つ流体連通するシースをさらに備える、項目2に記載の医療組立体。
(項目14)
前記テザーは、前記少なくとも1本のコードの近位端部から延出する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記縫合糸の一部は前記送達ガイド内腔内に延出し、前記縫合糸の近位部分は前記送達ガイド内腔の近位端部から延出する、項目6に記載の医療組立体。
(項目15)
前記取外し可能な弁送達システムは、内側ガイド内腔を画定し、近位端部及び遠位端部を具備する弁送達ガイドを備え、前記弁送達ガイドは、前記弁及び前記テザーの一部を受容するよう構成される、項目1に記載の医療組立体。
(項目16)
前記少なくとも1本のコードの近位端部から延出する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記少なくとも1本のコードは前記アンカに接続され、前記少なくとも1本の縫合糸及びコードは、選択的に前記内側ガイド内腔を通って延出して前記弁と協働し、前記少なくとも1本の縫合糸は、前記内側ガイド内腔の近位端部を超えて延出する、項目15に記載の医療組立体。
(項目17)
前記取外し可能な弁送達システムは、前記内側ガイド内腔と流体連通する中央チャネルを画定する弁配置ノブを備え、前記弁配置ノブは前記弁送達ガイドと動作可能に接続され、前記配置ノブの回転により、選択的に前記送達ノブ内の前記弁送達ガイドを延出し、また引き込む、項目15に記載の医療組立体。
(項目18)
前記弁送達ガイドの遠位部分は可撓性である、項目15に記載の医療組立体。
(項目19)
前記弁送達システムは、前記弁送達ガイドの前記近位端部上に配置され、前記弁を、前記弁送達ガイドを通って前記弁配置部位に誘導するよう構成されるノーズコーンをさらに備える、項目15に記載の医療組立体。
(項目20)
前記弁は開口部を画定し、前記少なくとも1本の縫合糸及びコードは、前記弁の開口部を通って選択的に延出し、前記弁送達ガイドは、前記縫合糸を選択的に受容する中央内腔を画定する少なくとも1つの位置決めロッドをさらに備え、前記位置決めロッドは、前記縫合糸及びコードに沿って前記弁の近位に配置され、前記弁を配置するために前記弁の上面と協働する、項目16に記載の医療組立体。
(項目21)
前記取外し可能な弁送達システムは、前記内側ガイド内腔と流体連通する中央チャネルを画定する弁配置ノブを備え、前記位置決めロッドは、前記ロッド内腔及び前記弁配置ノブの中央チャネルを通って延出する、項目20に記載の医療組立体。
(項目22)
前記テザーはアンカ・キャップの近位端部から延出する少なくとも2本の前記コードを備え、前記テザーは、前記少なくとも2本のコードのそれぞれ1本の前記近位端部から延出する少なくとも2本の前記縫合糸を備え、前記弁送達システムは、前記少なくとも2本のコードのうちのそれぞれ1本、及び前記少なくとも2本の縫合糸のうちのそれぞれ1本を選択的に受容する、少なくとも2つの位置決めロッドを備える、項目20に記載の医療組立体。
(項目23)
弁を心臓内の弁配置部位へ最小侵襲的に埋め込む医療組立体であって、前記医療組立体は、
血管内へ導入するよう構成され、天然の心臓弁を置き換え、少なくとも1つの開口部を画定するよう構成及び寸法決めされた前記弁と、
前記弁を配置して密封し、内側ガイド内腔を画定し近位端部及び遠位端部を具備する弁送達ガイドを備える、取外し可能な弁送達システムであって、前記弁送達ガイド内腔は、前記弁を受容するよう構成される弁送達システムと、
前記弁の開口部を通って延出し、前記内側ガイド内腔内に延出する、少なくとも1本のコードと
を備え、前記弁送達システムは、前記コードを選択的に受容する中央内腔を画定する少なくとも1つの位置決めロッドを備え、前記位置決めロッドは前記弁の近位に前記コードに沿って配置され、前記弁を配置するために前記弁の上面と協働する、医療組立体。
(項目24)
前記少なくとも1本のコードの近位端部から延出する少なくとも1本の縫合糸をさらに備え、前記少なくとも1本のコード及び前記少なくとも1本の縫合糸は、前記位置決めロッドの中央内腔の中に選択的に延出する、項目23に記載の医療組立体。
(項目25)
少なくとも2本の前記コード、及び前記少なくとも2本のコードのうちのそれぞれ1本の前記近位端部から延出する、少なくとも2本の前記縫合糸をさらに備え、前記弁送達システムは、前記少なくとも2本のコードのうちのそれぞれ1本、及び前記少なくとも2本の縫合糸のうちのそれぞれ1本を選択的に受容する、少なくとも2つの位置決めロッドを備える、項目24に記載の医療組立体。
(項目26)
第1の近位端部及び第2の遠位端部を具備する着脱可能な弁係止部、並びに前記第1の端部と第2の端部との間に延在する中央内腔をさらに備え、前記コードは、前記係止部の中央内腔を通って選択的に延出し、前記係止部の中央内腔の前記第2の遠位端部から遠位方向に延出し、前記弁係止部は前記弁の上面の上に隣接して配置される、項目20に記載の医療組立体。
(項目27)
前記位置決めロッドの遠位端部は第1の構成を画定し、前記弁係止部の前記近位端部は第2の構成を画定し、前記第1及び第2形状は嵌合して係合し、前記弁係止部と前記位置決めロッドとを着脱可能に接続する、項目26に記載の医療組立体。
(項目28)
前記位置決めロッド及び前記弁係止部の、前記第1及び第2の構成は嵌合し、ねじを切った構成である、項目26に記載の医療組立体。
(項目29)
前記着脱可能な弁係止部は、前記係止部の中央空洞内にクランプをさらに備え、前記クランプは、前記コードを選択的に係止するよう、第1の係止位置と第2の係止解除位置との間を移動可能であり、前記位置決めロッドの遠位端部は、前記クランプを前記第2の位置に維持するために前記クランプと協働する、項目27に記載の医療組立体。
(項目30)
前記着脱可能な弁係止部は、
前記係止部中央内腔を画定し、側壁上に出口ポートを画定する前記側壁と、
前記係止部中央内腔内にある心房アンカであって、前記アンカは前記側壁及び第2の端部から内側に延出する第1の端部を備え、クランプは第1の係止位置間を移動可能であり、前記アンカは前記第1の係止位置で前記出口ポートを通って延出し、前記コードを選択的に係止し、前記位置決めロッドの遠位端部は、前記アンカを前記第1及び第2の位置から移動させるため前記アンカと協働する、アンカとをさらに備える、項目27に記載の医療組立体。
(項目31)
前記位置決めロッド及び前記弁係止部の、前記第1及び第2の形状は嵌合し、ねじを切った形状である、項目30に記載の医療組立体。
(項目32)
前記弁係止部は、少なくとも2つの前記心房アンカを備え、前記係止部の側壁は、前記心房アンカを受容するよう構成される少なくとも2つの出口ポートを画定し、前記位置決めロッドの遠位端部は、前記心房アンカが前記係止部中央内腔から前記出口ポートを通って外側に延出するよう、前記心房アンカに力を加える、項目30に記載の医療組立体。
(項目33)
最小侵襲的に心臓内の弁配置部位に弁を埋め込み、心臓の心房床を押しつけて前記弁を密封し、心腔内壁の埋込部位に、アンカ並びに前記アンカ及び前記弁に接続する少なくとも1本のコードを備えるテザーを使って、前記弁を係留する、医療組立体を血管内に送達し埋め込む方法であって、前記医療組立体は、長手方向に延在する内腔を画定するアンカ送達ガイドを具備し、また内側ロッド内腔を画定し、前記アンカ送達ガイド内に取外し可能に配置されているアンカ送達ロッドを具備するアンカ送達システムと、前記弁及び前記テザーの一部を受容するよう構成される内側ガイド内腔を画定する弁送達ガイドを具備し、また少なくとも1つの位置決めロッドを具備する弁送達システムとを備え、前記方法は、
前記アンカ送達システムを、血管内に心臓内へ導入するステップであって、前記アンカ送達システムは、前記アンカ送達ロッド内腔の中に配置される前記アンカ及びコードの少なくとも一部と、前記アンカ送達ガイド内腔の中に配置される前記アンカ送達ロッドの少なくとも一部とを備えるステップと、
前記アンカ送達ガイドの遠位端部を、心臓内へ、前記配置部位を通って前記埋込部位に前進させるステップと、
前記アンカ位置決めロッドを前進させて、アンカねじを前記埋込部位に対して接触させるステップと、
前記アンカ送達ロッドを操作して、前記アンカを係留し、前記心腔内壁に繋ぎ止めるように、前記アンカを前記埋込部位の中に埋め込むステップと、
前記埋込部位に埋め込まれた前記アンカ、及び前記弁配置部位を通って延出し、心臓から外部へ延出する、前記テザーの前記コードを残して、前記アンカ送達ガイド及びアンカ送達ロッドを引き込むステップと、
前記送達ガイド内側内腔の中の前記コードと協働する前記弁を備える、前記弁送達ガイドを導入することによって、前記弁送達システムを血管内に導入するステップであって、前記テザーの前記少なくとも1本のコードは、前記弁送達ガイド内側内腔の中に延出するステップと、
前記弁が前記配置部位に隣接して配置されるように、前記弁送達システムを前進させるステップと、
心臓の外部の前記少なくとも1本のコードの近位端部に沿って、前記少なくとも1つの位置決めロッドを配置するステップであって、前記位置決めロッドは、前記送達ガイド内側内腔の中に延出するステップと、
前記配置部位にある前記弁を解放するために、前記弁送達ガイドを少なくとも部分的に引き込むステップと、前記弁を拡張するステップと、
前記弁を配置するために、前記弁と接触するように、前記コードに沿って前記位置決めロッドを前進させるステップと、
前記心房床に対する前記弁の位置を変更するために、前記位置決めロッドを操作するステップと、前記心房床に押しつけて前記弁を密封するステップと、
さらに、前記弁を前記配置部位に残し、前記アンカを前記埋込部位に残して、前記弁送達ガイドを引き込むステップと、前記位置決めロッドを引き込むステップと
を含む方法。
(項目34)
前記アンカ送達ガイドを心臓内に前進させる前記ステップの前に、J字型ワイヤを血管内に、心臓内へ、前記配置部位を通して前記埋込部位へ導入するステップをさらに含み、
前記アンカ送達を心臓内に前進させる前記ステップは、誘導するために、前記挿入されたJ字型ワイヤを覆って前記アンカ・ガイドを前進させるステップを含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記アンカを埋め込むために、前記アンカ送達ロッドを操作する前記ステップは、前記アンカの近位面に接触するように前記アンカ送達ロッドの遠位端部を前進させるステップと、前記送達ロッドを前記アンカと係合するために表面を嵌合するステップとを含む、項目33に記載の方法。
(項目36)
前記埋込部位に前記アンカねじを埋め込むために、前記アンカ送達ロッド及び前記アンカを回転させるステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記弁送達システムを導入する前記ステップは、前記弁送達ガイドの近位部分を受容し、前記弁送達ガイド内腔と流体連通する、弁配置ノブを設けるステップも含み、前記弁送達ガイドを少なくとも部分的に引き込む前記ステップは、前記配置ノブ内で前記弁送達ガイドを引き込むステップを含む、項目33に記載の方法。
(項目38)
前記アンカを埋め込む前記ステップは、心室間に埋め込むステップを含む、項目33に記載の方法。
(項目39)
前記アンカを埋め込む前記ステップは、心外膜へ埋め込むステップを含む、項目33に記載の方法。
(項目40)
前記位置決めロッドを操作し、前記弁を前記心房床に押しつけて密封する前記ステップの後に、前記位置決めロッドの遠位端部と嵌合する係止部を備えることによって、前記弁に対して前記コードを係止するステップをさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目41)
前記コードを含む、前記アンカ送達ステップを導入する前記ステップは、前記コードの近位端部から延出する少なくとも1本の縫合糸を導入するステップ含み、前記縫合糸は、前記コードの近位から延出する、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記弁に対して前記コードを係止する前記ステップの後に、前記少なくとも1本の縫合糸を切断するステップをさらに含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
アンカを血管内に、心膜腔内へ送達して埋め込む心外膜アンカ組立体であって、前記心外膜アンカ組立体は、
近位端部及び遠位端部を備え、前記近位端部と遠位端部との間に中央内腔を画定する取外し可能なカテーテルであって、前記カテーテルの遠位端部は、血管内に心臓内へ、心内膜を通って心膜腔内へ導入されるよう構成され、前記カテーテルの近位端部及び中央内腔は流体供給源と流体連通するカテーテルと、
前記カテーテル中央内腔の中に延出するJ字型ワイヤと、
中央内腔を画定する取外し可能なアンカ送達ガイドであって、前記送達ガイドは前記J字型ワイヤに沿って移動するアンカ送達ガイドと、
前記アンカ送達ガイド内腔内に配置されたアンカ送達ロッドと、
前記送達ロッドの遠位端部に接続された前記アンカであって、前記アンカは、心膜腔内で拡張するよう拡張可能であるアンカと、
前記アンカの近位端部に接続され、送達ロッド内腔に沿って延出し、前記送達ロッド及び前記カテーテルから近位方向に延出する少なくとも1本のコードと
を備える、心外膜アンカ組立体。
(項目44)
アンカを血管内に、中隔内へ送達して埋め込む心室間アンカ組立体であって、前記心室間アンカ組立体は、
近位端部及び遠位端部を備え、前記近位端部と遠位端部との間に中央内腔を画定する取外し可能なカテーテルであって、前記カテーテルの遠位端部は、血管内に心臓内へ、中隔を通って導入されるよう構成されるカテーテルと、
心臓内へ中隔を通して誘導するために、前記中央内腔を通って延出し無線周波数発生源と動作可能に接続される、取外し可能な無線周波数ワイヤと、
前記カテーテル中央内腔の中に延出する、取外し可能なJ字型ワイヤと、
中央内腔を画定する取外し可能なアンカ送達ガイドであって、前記送達ガイドは前記J字型ワイヤに沿って選択的に配置されるアンカ送達ガイドと、
前記アンカ送達ガイド内腔内に配置されるアンカ送達ロッドと、
前記送達ロッドの遠位端部に接続される前記アンカであって、前記アンカは、前記中膜を突き刺した後で拡張するよう拡張可能であるアンカと、
前記アンカの近位端部に接続され、送達ロッド内腔に沿って延出し、前記送達ロッド及び前記カテーテルから近位方向に延出する少なくとも1本のコードと
を備える、心室間アンカ組立体。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】一態様による、心臓内に配置された本出願の経カテーテル弁システムを示す、心臓の断面斜視図である。
【
図2】一態様による、縫合糸に融合されたコードを備え、
図1の経カテーテル弁のアンカに接続された、テザーの側部正面図である。
【
図3A】一態様による、
図1の経カテーテル弁システムのアンカ送達システムの側部正面図である。
【
図3B】
図3Aのアンカ送達システムの拡大側部正面図である。
【
図4A】デバイスの一部が右心室内に配置された、
図3のアンカ送達システムの斜視図である。
【
図4B】アンカ送達システムが、アンカに接続された
図2のテザーの一部を右心室内に送達している、
図3のアンカ送達システムの斜視図である。
【
図5A】アンカ送達システムが、アンカに接続された
図2のテザーの一部を右心室内に送達している、
図3のアンカ送達システムの斜視図である。
【
図5B】右心室内に配置された、アンカに接続された
図2のテザーの斜視図である。
【
図6A】一態様による、それぞれが心臓内に配置された
図2のアンカに接続された、2つのテザーの斜視図である。
【
図6B】それぞれが
図6Aのアンカに接続された、2つのテザーの拡大図である。
【
図7A】一態様による、弁送達システムの一部が右心室内に配置された、
図1の経カテーテル弁システムの弁送達システムの斜視図である。
【
図7B】一態様による、弁が
図7Aの弁送達システムを使って三尖弁輪内に配置されている、
図1の経カテーテル弁システムの弁の斜視図である。
【
図8A】弁が
図7Aの弁送達システムを使って三尖弁輪内に配置されている、
図1の経カテーテル弁システムの弁の斜視図である。
【
図8B】弁が
図7Aの弁送達システムを使って三尖弁輪内に配置された、
図1の経カテーテル弁システムの弁の斜視図である。
【
図9A】弁が心房係止部によって三尖弁輪内の適所に係止されている、
図1の経カテーテル弁システムの弁の斜視図である。
【
図9B】弁が心房係止部によって三尖弁輪内の適所に係止された、
図1の経カテーテル弁システムの弁の斜視図である。
【
図10A】一態様による、
図1の経カテーテル弁システムの心房係止部の正面図である。
【
図12A】一態様による、
図1の経カテーテル弁システムの心房係止部の正面図である。
【
図14A】
図12の心房係止部の動作を示す、段階的に進む正面図である。
【
図14B】
図12の心房係止部の動作を示す、段階的に進む正面図である。
【
図14C】
図12の心房係止部の動作を示す、段階的に進む正面図である。
【
図14D】
図12の心房係止部の動作を示す、段階的に進む正面図である。
【
図14E】一態様による、
図1の経カテーテル弁システムの心房係止部の斜視図である。
【
図15A】心臓内に配置され、縫合糸が残っている状態の、
図1の経カテーテル弁システムの斜視図である。
【
図15B】心臓内に配置され、すべての送達デバイスが引き込まれた状態の、
図1の経カテーテル弁システムの斜視図である。
【
図16】一態様による、心膜腔内にアンカを配置する心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図17】システムのカテーテルの一部が心膜腔に入った、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図18】心膜腔が送気されている、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図19】J字型ワイヤが送気された心膜腔内に挿入された、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図20】システムのアンカ送達ガイドが送気された心膜腔に近寄っている、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図21】システムのアンカが送気された心膜腔内に配置されている、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図22】システムのアンカが送気された心膜腔内に配置された、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図23】システムのアンカが送気された心膜腔内に配置され、システムの送達デバイスが引き込まれた、
図16の心外膜テザー・システムの斜視図である。
【
図24】一態様による、左心室内にアンカを配置する心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図25】システムのRFワイヤが中隔を横切り、左心室に入った、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図26】システムのカテーテルが中隔を横切り、左心室に入った、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図27】システムのJ字型ワイヤがカテーテルを通って左心室の中へ進んだ、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図28】システムの送達ガイドが左心室に近寄っている、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図29】システムの送達ガイドが中隔を横切り、左心室に入った、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図30】システムのアンカが左心室内に配置されている、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図31】システムのアンカが左心室内に配置された、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【
図32】システムのアンカが左心室内に配置され、システムの送達デバイスが引き込まれた、
図24の心室間テザー・システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、以下の詳細な説明、実例、並びに特許請求の範囲、及び特許請求の範囲の前後の説明を参照することにより、より容易に理解される。本システム、デバイス、及び/又は方法を開示及び説明する前に、この発明は、別段の指定がない限り、開示する特定のシステム、デバイス、及び/又は方法に限定されない、従って当然変更できることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の態様だけを説明することを目的としており、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0035】
本発明の以下の説明は、現在知られているその最良の態様で本発明の教示を可能にするよう提供される。関連する分野の技術者は、本発明の有益な結果を依然として得ながら、説明する態様に多くの変更が加えられることを認識するであろう。本発明の所望の利益の一部が、他の特徴を利用することなく、本発明の特徴の一部を選択することにより得られることも明らかであろう。従って、当業者は、本発明に対する多くの修正形態及び適合形態が可能であり、特定の状況では望ましい場合さえあり、本発明の一部であることを認識するであろう。従って、以下の説明は、本発明の原理を例示するものとして提供しており、本発明を限定するものではない。
【0036】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないと規定しない限り、複数の指示対象を含む。従って、たとえば、「テザー」への言及は、文脈上明らかにそうでないと示さない限り、2つ以上のテザーを備える態様を含む。
【0037】
本明細書では、範囲を、「約」1つの特定の値から、且つ/又は「約」別の特定の値までとして表す。かかる範囲が表現されるとき、別の態様は、1つの特定の値から、且つ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を使用して近似値として表されるとき、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。範囲のそれぞれのエンドポイントは、他のエンドポイントに関連して、及び他のエンドポイントとは無関係に、その両方で意味を持つことがさらに理解されよう。
【0038】
本明細書で使用する用語「任意選択の」又は「任意選択で」は、続いて説明する事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とがあり、説明には前記事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とが含まれることを意味する。本明細書で使用する「流体」は、自由に流動し、液体、気体、及びプラズマを含む任意の物質を指す。本明細書で使用する「流体連通」は、関連する構成要素間で物質が自由に流れることを可能にする、任意の接続又は相対的な配置を指す。
【0039】
本明細書の開示は、心臓1内に最小侵襲的に弁を埋め込む医療組立体10、及び天然の心臓弁の置換を実現する組立体10の部分の埋込方法に関する。
図1は、本明細書に開示する方法に従って、本明細書に開示する医療組立体10を使って、(たとえば)天然の三尖弁を置き換えるように埋め込まれた経カテーテル弁12を示す。組立体は、心房床16に連結するよう構成された心房密封スカート14を具備する経カテーテル弁12と、弁を、図示する心室尖部20などの心腔内壁に固定する、少なくとも1つのアンカ19(
図2)に接続するよう構成される少なくとも1つのテザー18とを備える。テザー18を、アンカ19を使って、心室中隔、右室心尖部、又は右心室自由壁を含むがそれに限定されるものではない任意の心腔壁に係留することができる。議論のためだけに、心室尖部20を示しているが、テザー18をあらゆる心腔内壁に係留することが、本発明の精神及び範囲内にある。医療組立体10は、アンカ送達システム50(
図3A及び
図3Bに示す)及び弁送達組立体100(
図7Aに示す)を備える。本明細書に示し説明する経カテーテル三尖弁を埋め込む方法は、概して、以下のステップの方法を含む。アンカ送達システム50を利用してアンカを送達し、テザーは、心室尖部などの心腔内壁にアンカをしっかり留めるステップと、アンカ送達システム50を取り外すステップと、弁送達組立体100を利用して弁及びスカートを配置するステップと、心房スカートを係止するステップと、弁送達組立体100を取り外し、それによって弁を天然の三尖弁の代わりに残すステップ。
【0040】
弁
経カテーテル弁12は、
図1に示すように、右心房2と右心室3との間の三尖弁を置き換えるよう寸法決め及び構成される。しかし任意選択で、わずかな変更によって、弁は、左心房4と左心室5との間の僧帽弁輪内に配置されるように寸法決め及び構成される。従って、次に、主に三尖弁置換デバイス、システム、及び方法を参照するが、わずかな変更によって、こうしたデバイス、システム、及び方法を使用して、僧帽弁、大動脈弁、肺動脈弁など、他の弁を置き換えることができることを理解されたい。議論のためだけに、以下の説明及び添付の図面は三尖弁に関する。送達組立体及び方法に関して、これらは、任意の適切な弁置換デバイスと共に使用及び実施され得る。本明細書の開示は、図示し説明する弁に限定されるものではない。
【0041】
図示のように、弁12は自己拡張型の弁である(すなわち、弁は、組立体10のカテーテルを通って適合するよう圧縮可能である)。一態様では、弁12は、
図7Cに示すニチノール及びウシ、ウマ、又はブタの心膜弁尖19から構成される。別の態様では、弁12は、三尖弁輪などの配置部位13で弁輪よりも小さいか又はほぼ等しい弁の直径を有し、それによって、脆弱な三尖弁輪への並置を防止又は低減する。弁12は、後述するように、心臓内に弁12をしっかり留める少なくとも1本のコード32を備える、少なくとも1つのテザー18に動作可能に接続される。別の態様によれば、
図7Cに示すように、少なくとも1つの孔15が弁12の外壁17内に画定されている。各孔15は、テザーのコードの一部が孔15を通過するよう寸法及び形状決めされる。従って、テザー18の各コード32は、弁のどんな弁尖19とも干渉することなく弁に連結される。さらなる態様(図示せず)では、弁12は、その外径に沿って配置された係留要素を備えることができる。この係留要素は、三尖弁尖へのさらなる定着を可能にするが、必ずしも主要な定着機構として使用されるわけではない。再び
図1を参照すると、心房密封スカート14は、経カテーテル弁12の上端部の周りにほぼ円周方向に延在する。スカート14は膜で覆われ、配置部位13で弁輪より大きい直径を有する。たとえば、密封スカート22は、三尖弁輪の直径よりも大きいスカート直径を有し得る。別の態様では、心房スカートは、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、シリコン、天然若しくは合成ゴム、又はその組合せからなる部類の合成材料で形成されるが、それに限定されるものではない。心房スカートはまた、成年又は若年のウシ、ヒツジ、ウマ、又はブタの心膜で覆われる場合がある。任意選択で、心房スカート14の少なくとも一部は、たとえば、それに限定されるものではないが、ポリウレタン発泡体、又はリングの固化のためのポリマー交換能力を有する、生理食塩水で膨張可能なリングなどの代替材料で形成される。
【0042】
一態様では、心房密封スカート14は、心房内での安定を可能にする、アンカ出口ポート242を通って突出する部材などの、少なくとも1つの心房アンカ238をさらに備える。その結果、心房内での安定性が、心室アンカ機能障害などの事象のような、弁12の逆行性移動を防ぐ。
【0043】
別の態様では、心房密封スカート14の少なくとも一部は、
図15Bに示す、スカートの下方縁部に沿って配置された1つ又は複数の定着部材24を備え、右心房床16及び/又は三尖弁輪の心房側の他の部分へのさらなる係留を可能にし、弁12の右心房2の近位への移動を防ぎ、それにより、人工補填物の不安定性(たとえば、揺れ)及び弁周囲逆流を防止する。また、心房スカート14は、心房床の局所解剖学的構造(topography)に適合し、恒久的ペースメーカのリードなど、心腔内リードを覆って密封する能力を有する。心房スカート14がリードを覆って密封し、リードの周りの逆流を防ぐ能力により、この経カテーテル弁システムは、他の経カテーテル三尖弁修復システムと区別される。
【0044】
テザー及びアンカ
ここで
図2を参照すると、少なくとも1つのテザー18は、置換弁12に動作可能に接続され、弁12をアンカ19に接続する。テザー18は、少なくとも1本のコード32を備え、各コード32は縫合糸34に接続されている。アンカ19は、アンカねじ28及びアンカ・キャップ30を備える。一態様では、アンカねじは、アンカ・キャップの遠位端部36に連結され、遠位端部から延出し、テザー18の少なくとも1本のコード32は、アンカ・キャップ30の近位端部38に連結され、近位端部から延出する。すなわち、アンカ・キャップ30は、アンカねじ28とコード32との間に配置される。アンカ19のアンカねじ28は、テザー18を心臓1の心室尖部20などの心腔内壁にしっかりと取り付けるよう構成される。たとえば、アンカねじ28は、心室尖部の中へしっかりと回転するねじ山又はコイルを備える能動的定着ねじである。アンカは、アンカねじを介して、心尖を通って心臓の外側に延出することなく、テザーを心臓の心室尖部20などの心腔内壁にしっかりと取り付けるよう構成される。従ってこの態様では、実質的に組立体10のどの部分も、心臓壁のどの部分も完全に貫通する、且つ/又はそこを通って完全に延出することなく、経心尖通路は不要である。さらなる態様(図示せず)では、アンカねじ28ではなく、それに限定されるものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はチタン合金から構成され、棘、フック、突起などの形状である定着機構が、心尖部及び心臓の外側を通って延出することなく、テザー18を心臓1の心室尖部20にしっかりと取り付けるために、アンカ・キャップ30の遠位端部36に配置される。
【0045】
少なくとも1本のコード32は、アンカ・キャップ30の一部に連結される遠位端部40及び縫合糸34に連結される近位端部42を備える。一態様では、コードは、たとえば、それに限定されるものではないが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又は超高分子量ポリエチレン(UHMWPE、又はUHMW:ultra-high-molecular-weight polyethylene)コードなどの、強力でその上可撓なコードである。使用中、以下でより完全に説明するように、コード32の中央部分(遠位端部と近位端部との間)は、弁12を通って延出し、且つ/又は弁12に連結して、三尖弁輪に対して所望の位置に弁を保持する。
【0046】
アンカ送達システム
ここで
図3A~
図3C、
図4A、及び
図4Bを参照して、アンカ19のアンカ・キャップ30を所望の位置に位置決め及び配置する、アンカ送達システム50を示す。送達システム50は、アンカ送達ガイド52及びアンカ送達ロッド54を備える。この態様では、アンカ送達ガイド52は、遠位端部56、反対側の近位端部58、及びアンカ送達ガイド先端部60と反対側の近位端部58との間に延在する内側ガイド内腔57を備え、アンカ送達ロッド54の少なくとも一部が内側ガイド内腔を通って延出するよう構成される。別の態様では、アンカ送達ガイド52の少なくとも一部は、可撓性であり、それによりアンカ送達ガイド52の遠位端部にある先端部60が、心室尖部20などの心腔内壁係留部位62に又は心腔内壁係留部位に隣接して配置される。
【0047】
アンカ送達ロッド54は、アンカねじ28を係留部位62にしっかりと取り付けるよう構成される。アンカ送達ロッド54は、遠位端部64、反対側の近位端部66、及び遠位端部と近位端部との間に延在する内側ロッド内腔59を備え、内側ロッド内腔59は、少なくとも1つのテザー18の少なくとも一部が内側ロッド内腔を通って挿入されるよう寸法決め及び構成される。別の態様では、アンカ送達ロッド54の少なくとも一部は、可撓性であり、それによりアンカ送達ロッド54の遠位端部にあるロッド先端部68が、心室尖部20などの心腔内壁係留部位62に又は心腔内壁係留部位に隣接して配置される。
【0048】
図3Bに示すように、孔又はソケット70が、アンカ送達ロッド54のロッド先端部68内に画定される。ソケットは、アンカ・キャップ30と嵌合し係合するよう、寸法決め及び構成される。すなわち、ソケットの壁72がアンカ・キャップと係合するように、アンカ・キャップの少なくとも一部がソケット70内に配置される。従って、たとえば、アンカ・キャップ30がソケット70内に配置され、ソケットと係合すると、アンカ送達ロッド54の回転により、アンカ・キャップ30が回転する。従って、ソケットはアンカ・キャップ30と係合し、アンカねじ28は、
図3Bに示すように、アンカ送達ロッド54から遠位方向に延出する。さらなる態様では、ソケット70がアンカ・キャップ30と係合すると、少なくとも1本のコード32及び少なくとも1本の縫合糸34の少なくとも一部が、アンカ送達ロッド54の内側ロッド内腔を通って延出する。
【0049】
アンカ送達システム50は、アンカ送達ガイド52に連結された、偏向ノブ76を具備するガイド・ハンドル74をさらに備える。ガイド・ハンドル及び偏向ノブは、アンカ送達ガイドの先端部60を、心室尖部20などの心腔内壁係留部位62に誘導するのを助けるよう構成され、使用される。
図3Aに示すように、アンカ送達システム50は、アンカ送達ロッド54と連結されるロッド・ハンドル78を備える。使用中、以下により完全に説明するように、アンカ・キャップ30がソケット70内に受容されると、ロッド・ハンドル78の回転により、それに応じてロッド先端部68及びアンカ・キャップ30が回転する。
【0050】
アンカ送達システム50は、アンカ送達ガイド52に取外し可能に連結されたシース80を備える。シース80は、二酸化炭素などの流体などが、シースを通ってアンカ送達ガイドを囲繞するように、アンカ送達ガイド52と流体連通する。中央シース・チャネル84は、アンカ送達ガイド52と連通するシース80によって画定され、その結果アンカ送達ロッド54及び他のシステム構成要素が、中央シース・チャネル84を通って延出する。
【0051】
アンカ送達システム50は、任意選択で、
図7A、
図7B、
図8A及び
図8Bに示す、ユーザが係留部位62に誘導することができるJ字型ワイヤ82を備える。J字型ワイヤは、たとえば、0.635mm(0.025インチ)又は0.889mm(0.035インチ)のJ字型ワイヤであるが、それに限定されるものではない。もちろん、他の直径を有するJ字型ワイヤが考えられる。どんなオーバ・ザ・ワイヤ式のシステムとも同じく、J字型ワイヤはまずシース80を通って右心房内3に、配置部位13を横切って右心室3内に、係留部位62まで導入される。アンカ送達ガイド52がその最終標的まで通り過ぎる経路を提供することにより、J字型ワイヤは、このステップの効率と安全性を向上させる。
【0052】
アンカ送達方法
弁12を三尖弁輪内に装着するために、
図4Aに示すように、ガイドワイヤとして働くJ字型ワイヤ82は右内頸静脈内に挿入され、右心房に入り、アンカ埋込部位62に接近する。アンカ送達システム50は、ユーザによって、先に埋め込まれたJ字型ワイヤ82の長手方向に沿って、心室尖部20などの心腔内壁係留部位62まで案内される。アンカ送達ガイド52の遠位端部56にあるアンカ送達ガイド先端部60は、心室尖部などの係留部位に又は係留部位に隣接して配置される。
図3Aに示すように、アンカ送達ロッド54、並びにアンカ19のアンカ・キャップ30及びアンカねじ28に接続されたテザー18は、アンカ送達ガイド52の内側ガイド内腔57内に配置される。アンカ・キャップ30は、アンカ送達ロッド54の内腔59の中に配置されたテザー18のコード32と共に、アンカ送達ロッド54の遠位端部64に連結される。アンカ送達ロッド54は、アンカ送達ロッド54の遠位端部に連結されたアンカ・キャップ30が、心室尖部20などの心腔内壁係留部位62に又は心腔内壁係留部位に隣接して配置されるまで、アンカ送達ガイド52の内側ガイド内腔を通って遠位方向に前進する。
【0053】
アンカ19のアンカねじ28が、アンカ・キャップ30を介してテザー18に接続され、係留部位62に隣接して配置された状態で、アンカ送達ロッド54の近位端部66を回転させ、
図4Bに示すアンカ・キャップ30の対応する回転を引き起こす。たとえば、回転ハンドル78を、アンカ・キャップの対応する回転を引き起こすために第1の方向に回転させる。アンカ・キャップ30に連結されたアンカねじも回転し、アンカ・キャップの遠位端部36が心腔内壁に隣接し、且つ/又はテザーが心腔内壁にしっかり取り付けられるまで、心室尖部20などの心腔内壁係留部位62の一部の中にねじ込まれる。この位置では、アンカねじ28は、心臓壁のどの部分も完全に貫いて延出しておらず、経心尖通路は不要であることに留意されたい。アンカ・キャップ30を所望の位置に配置すると、
図5Aに示すように、アンカ送達システム50のアンカ送達ロッド54及びアンカ送達ガイド52が、心臓1から引き込まれる。従って、
図5Bでは、アンカ・キャップ30に連結されたテザー18のコード32は、アンカ19のアンカねじ28によってしっかり留められ、右心室内に留まり、弁送達システム100が使用される。
【0054】
図5Bに示すように、アンカ19のアンカ・キャップ30の配置後、テザー18の少なくとも1本のコード32は、アンカ・キャップから三尖弁輪を通って右心房2内に延出する。縫合糸34は、各コードの近位端部に連結され、上(又は下)大静脈を通って、心臓1の外へ延出する。
【0055】
アンカ19に接続された複数のテザー18が送達される場合、各アンカ19がそのアンカねじ28によってしっかり留められ、アンカに接続されたすべてのテザーが心臓壁にしっかりと取り付けられるまでこのプロセスが繰り返される。一態様では、
図6A及び
図6Bに示すように、組立体10は、2つのアンカ及びテザー、3つのアンカ及びテザー、4つのアンカ及びテザーを利用し、又はそれより多くのアンカ及びテザーも考えられる。
【0056】
アンカねじ28が心室尖部及び適所にあるテザー18にしっかり留められた状態で、弁送達組立体100をここで利用して、弁12を導入及び配置することができる。
【0057】
弁送達システム
ここで
図7A及び
図7Bを参照して、所望の配置部位13で弁12を位置決めして配置する、弁送達組立体100を示す。図示のように、弁送達組立体100は、弁送達ガイド102、ノーズコーン104、弁配置ノブ106、及び少なくとも1つの心房位置決めロッド108を備える。この態様では、弁送達ガイドは、遠位端部110、反対側の近位端部112、及び遠位端部と近位端部との間に延在する内側ガイド内腔114を備え、内側ガイド内腔は、弁12及び他のシステム構成要素が内側ガイド内腔を通って延出するよう寸法決め及び構成される。別の態様では、弁送達ガイド102の少なくとも一部は、可撓性であり、それにより弁送達ガイドの遠位端部にある先端部116が、配置部位13を通り過ぎて右心室3内に配置される。
【0058】
弁配置ノブ106は、弁送達ガイド102の近位端部112に連結される。中央チャネル118は、弁配置ノブ106によって画定され、心房位置決めロッド108、J字型ワイヤ82、及び/又は少なくとも1本の縫合糸34が中央チャネル118を通って内側ガイド内腔114内に延出するように、内側ガイド内腔114と流体連通している。別の態様では、弁展開ノブ106は回転可能であり、ノブ106が第1の方向に回転することにより、弁12の周りのシース102が取り外されるよう構成される。ノーズコーン104は、弁送達ガイド102に連結され、弁12を配置部位13に誘導するよう構成される、従来のノーズコーンであってもよい。
【0059】
図8A及び
図8Bを参照すると、少なくとも1つの心房位置決めロッド108は、遠位端部120、反対側の近位端部122、及び遠位端部と近位端部との間に延在する内側ロッド内腔124を備え、内側ロッド内腔は、縫合糸34及び/又はコード32の一部が内側ロッド内腔を通って挿入されるよう寸法決め及び構成される。別の態様では、心房位置決めロッド108の少なくとも一部は、可撓性であり、それにより心房位置決めロッドの遠位端部120は、配置部位13に、又は配置部位に隣接して配置される。
【0060】
心房スカート係止部
少なくとも1つの心房位置決めロッド108は、
図9~
図14に示すように、ロッドの遠位端部120上に又はロッドの遠位端部に隣接して配置される着脱可能な係止部126を備える。一態様では、着脱可能な係止部は、少なくとも1本のコード32を右心房2の一部にしっかりと取り付けるよう構成される。それによって、コードの遠位端部40は、右心室3内のアンカ・キャップ30にしっかりと取り付けられ、着脱可能な係止部126は、コード32を右心房内にしっかりと取り付ける。
【0061】
図10A、
図10B、及び
図11A~
図11Dは、着脱可能な係止部126の一実施例を示す。一態様において、係止部は、協働して中央空洞134を画定する、第1の端部128、反対側の第2の端部130、及び側壁132を備える。別の態様では、第1の端部は、心房位置決めロッド108の遠位端部120上の相補的なねじ山と嵌合し係合するよう、ねじが切られ構成されている。開口部136が、コード32の一部が両方の開口部を通り、中央空洞を通って延出するように、係止部126の第1及び第2の端部のそれぞれに画定されている。使用中、以下により完全に説明するように、着脱可能な係止部は、ロッド108を第1の方向に回転させることにより心房位置決めロッドに選択的に取り付けられ、着脱可能な係止部126は、ロッド108を第1の方向と反対方向である第2の方向に回転させることにより、心房位置決めロッドから選択的に分離される。
【0062】
一態様において、着脱可能な係止部126は、クランプの一部がコード32を所望の位置にしっかり留める第1の係止位置と、クランプがコードを所望の位置で留めない第2の係止解除位置との周辺及びその間で移動可能な、クランプ138をさらに備える。バネなどの付勢部材140は、クランプ138を第1の係止位置に押しつけるように構成される。心房位置決めロッド108の遠位端部120から離れて延出するタブ135又は他の突起は、着脱可能な係止部がロッド108に取り付けられたときに、クランプを第2の係止解除位置に維持するよう構成される。
【0063】
図12A~
図14Dは、着脱可能な係止部226の別の実施例を示す。一態様において、係止部は、協働して中央空洞234を画定する、第1の端部228、反対側の第2の端部230、及び側壁232を備える。別の態様では、第1の端部は、心房位置決めロッド108の遠位端部120上の相補的なねじ山と嵌合し係合するよう、ねじが切られ構成されている。開口部236が、コード32の一部が両方の開口部を通り、中央空洞を通って延出するように、係止部226の第1及び第2の端部のそれぞれに画定されている。使用中、以下により完全に説明するように、着脱可能な係止部は、ロッド108を第1の方向に回転させることにより心房位置決めロッドに選択的に取り付けられ、着脱可能な係止部226は、ロッド108を第1の方向と反対方向である第2の方向に回転させることにより、心房位置決めロッドから選択的に分離される。
【0064】
一態様において、着脱可能な係止部226は、心房アンカの一部がコード32を所望の位置にしっかり留める第1の係止位置と、心房アンカがコードを所望の位置で留めない第2の係止解除位置との周辺及びその間で移動可能な、心房アンカ238をさらに備える。バネなどの付勢部材240は、心房アンカ238を第1の係止位置に押しつけるように構成される。心房位置決めロッド108の遠位端部120から離れて延出するタブ135又は他の突起は、着脱可能な係止部がロッド108に取り付けられたときに、心房アンカを第2の係止解除位置に維持するよう構成される。
【0065】
一態様では、アンカ出口ポート242は、着脱可能な係止部226の側壁232の一部に画定される。この態様では、アンカ出口ポートは、心房アンカの246の先端部に配置されるフック244又は他の把持要素が、第1の係止位置で、ポート242を通って中央空洞234の外側に延出するよう寸法及び形状決めされる。使用中、第1の係止位置では、フックは、着脱可能な係止部(及びそれによってコード32)を、心房2の一部にしっかりと係留する。ここで
図15を参照すると、組立体10は、弁送達シース80を通って、少なくとも1本の縫合糸34を覆って通過し、少なくとも1本の縫合糸34を切断するよう寸法決め及び構成される、縫合糸カッタ148をさらに備える。
【0066】
使用中、組立体10は、最初に右心室アンカを配置することにより、経カテーテル手法で弁12を埋め込む。弁12は、所望の弁位置が実現されるまでテザー上を自由に移動するので、弁の位置は、心臓1の心室尖部20などの心腔内壁を貫通してテザー18を引くことを必要としないはずである。所望の弁位置が実現された後、少なくとも1つの心房位置決めロッド108は、心房密封スカート14を適所に押しつけ、各位置決めロッドの端部にある着脱可能な係止部126、226を使って適所に係止する。弁は、各心房位置決めロッド108を通って延出する縫合糸34が解放されるまで、再配置又は回収される。
【0067】
図14Eは、着脱可能な係止部526の別の実施例を示す。一態様において、係止部は、協働して中央空洞534を画定する、第1の端部528、反対側の第2の端部530、及び側壁532を備える。別の態様では、第1の端部は、心房位置決めロッド108の遠位端部120上の相補的なねじ山と嵌合し係合するよう、ねじが切られ構成されている。開口部536が、コード32の一部が両方の開口部を通り、中央空洞を通って延出するように、係止部526の第1及び第2の端部のそれぞれに画定されている。使用中、以下により完全に説明するように、着脱可能な係止部は、ロッド108を第1の方向に回転させることにより心房位置決めロッドに選択的に取り付けられ、着脱可能な係止部526は、ロッド108を第1の方向と反対方向である第2の方向に回転させることにより、心房位置決めロッドから選択的に分離される。
【0068】
一態様において、着脱可能な係止部526は、心房アンカの一部がコード32を所望の位置にしっかり留める第1の係止位置と、心房アンカがコードを所望の位置で留めない第2の係止解除位置との周辺及びその間で移動可能な、少なくとも1つの心房アンカ538をさらに備える。任意選択で、心房アンカは、第1の心房アンカ542及び第2の心房アンカ544を備える。別の態様では、心房アンカはカム・レバー・アームを備える。バネなどの付勢部材540は、心房アンカ538を第1の係止位置に押しつけるように構成される。さらなる態様では、付勢部材は、圧縮可能なポリマーである。心房位置決めロッド108の遠位端部120から離れて延出するタブ135又は他の突起は、着脱可能な係止部がロッド108に取り付けられたときに、心房アンカを第2の係止解除位置に維持するよう構成される。
【0069】
一態様では、アンカ出口ポート546は、着脱可能な係止部526の側壁532の一部に画定される。この態様では、アンカ出口ポートは、心房アンカ538の一部548が、第1の係止位置で、ポート546を通って中央空洞534の外側に延出するよう寸法及び形状決めされる。使用中、第1の係止位置では、心房アンカは、着脱可能な係止部(及びそれによってコード32)を、心房2の一部にしっかりと係留する。
【0070】
ここで
図15を参照すると、組立体10は、任意選択で、弁送達シース80を通過し、少なくとも1本の縫合糸34を切断するよう寸法決め及び構成される、縫合糸カッタ148をさらに備える。
【0071】
弁送達及び配置方法
使用中、組立体10は、最初に右心室アンカを配置することにより、経カテーテル手法で弁12を埋め込む。弁12は、所望の弁位置が実現されるまでテザー上を自由に移動するので、弁の位置は、心臓1の心室尖部20などの心腔内壁を貫通してテザー18を引くことを必要としないはずである。所望の弁位置が実現された後、少なくとも1つの心房位置決めロッド108は、心房密封スカート14を適所に押しつけ、各位置決めロッドの端部にある着脱可能な係止部126、226を使って適所に係止する。弁は、各心房位置決めロッド108を通って延出する縫合糸34が解放されるまで、再配置又は回収される。
【0072】
ここで
図7Aを参照すると、次いで、弁送達組立体100を、J字型ワイヤ82を覆って心臓1の一部の中に挿入することができる。弁送達ガイド102が心臓に向かう途中でシース80に挿入される前に、弁12は、弁送達ガイド102の遠位端部110に予め装填される。縫合糸34の少なくとも一部は、
図7B及び
図7Cに示すように、弁12の外壁17内に画定された少なくとも1つの孔15に通され、弁送達ガイド102の内側ガイド内腔114の中を通り過ぎる。遠位端部110の内側の弁12及び弁送達ガイド102が一体にJ字型ワイヤ82を覆って移動するとき、少なくとも1本のコードの一部は、弁送達ガイドの遠位端部110を通って、弁送達ガイドの遠位端部から離れて延出することができ、少なくとも1本の縫合糸の一部は、弁送達ガイド102の近位端部112を通って、弁送達ガイドの近位端部から離れて延出することができる。弁送達ガイドは、弁送達ガイド102の遠位端部にある先端部116が、配置部位13を通過して右心室3内に入るよう配置される。
【0073】
弁送達ガイド102の遠位端部110内に予め装填された弁12は、展開部位13に配置される。一態様では、弁送達ガイド内に挿入する前に、各縫合糸34は、
図7B及び
図7Cに示す弁12の外壁17内に画定された少なくとも1つの孔15に通される。別の態様では、同様の孔(図示せず)が心房密封スカート14内に画定され、それにより各縫合糸が、密封スカート内に画定された孔に通される。弁12及び弁送達ガイド102が一体に配置部位へ向かって移動すると、弁12は縫合糸の端部に達し、コード32の一部が弁内に画定された孔15に通されるようになるであろう。一態様では、弁12及び弁送達ガイド102は、所望の配置部位13に達するまで、少なくとも1本のコードを上下に摺動させることができる。すなわち、弁は、着脱可能な係止部126、226によって適所に係止されるまで、コード32上で自由に遊動する。
【0074】
理解されるように、弁12が所望の配置部位13にある状態で、弁配置ノブ106は、弁12を所定の位置に定着させたまま、弁送達ガイド102の遠位端部110を引き込み、それにより弁12の「シースを外し」、その結果弁及び/又は心房密封スカート14は、その完全な圧縮されていない寸法まで拡張することになる。任意選択で、一態様では、弁位置が調整されるので、弁配置ノブ106を使用して弁送達ガイド102の遠位端部110を引き込み、それにより弁12の「シースを外し」、その結果弁及び/又はスカートは、弁が所望の配置部位の近くにある状態で、その完全な圧縮されていない寸法まで拡張することになる。
【0075】
次いで、各縫合糸の一部が内側ロッド内腔124内にあり、各縫合糸の一部が位置決めロッドの近位端部122から延出するように、心房位置決めロッド108が各縫合糸34を覆って挿入される。
図8A及び
図8Bを参照すると、位置決めロッド108は、弁送達ガイド102を通って、コード32の一部が、内側ロッド内腔の中に入り、(着脱可能な係止部126、226がそこに取り付けられている)位置決めロッドの遠位端部120が、心房密封スカート14に隣接するまで、挿入される。位置決めロッド108は、密封スカートが三尖弁輪に対して所望の位置になるまで、ユーザによって押し下げられる。密封スカート14及び弁12が配置部位13の所望の位置にある状態で、各縫合糸34はユーザによりきつく引っ張られ、次に、各コード32がぴんと張られるまで内側ロッド内腔124を通して緩みを引っ張ることになる。たとえば、心房位置決めロッドの近位端部122から延出する縫合糸の端部は、対応するコードの張力を調整するため、ユーザにより引っ張られる。一態様では、縫合糸34に加えられる力を調整することにより、コード32に差別的な張力が加えられる。たとえば、ユーザが第2の縫合糸34よりもきつく第1の縫合糸を引っ張る場合、第1の縫合糸に対応するコード32の張力は、第2の縫合糸34に連結されたコードの張力よりも大きい。
【0076】
ここで
図9A及び
図9Bを参照すると、各心房位置決めロッド108は、次いで、第1の方向に回転して、各着脱可能な係止部126、226を心房密封スカート14及びコード32に対して係止する。従って、弁12は、三尖弁輪の心房側の着脱可能な係止部によって係止される。第1の方向へ継続的に回転させて、係止部126、226を、位置決めロッドから分離する。係止部が位置決めロッド108から分離されると、ロッドは、弁送達ガイド102を通って心臓1から引き込まれる。位置決めロッド108が引き込まれた状態で、少なくとも1つのテザー18のコード32は、弁を、心室尖部20などの心腔内アンカの壁に連結する。係止位置にある着脱可能な係止部126、226は、コードの近位端部42が密封スカート14に対して移動するのを防ぎ、それにより、弁12を配置部位13の適所にしっかりと定着させる。
【0077】
図15A及び
図15Bに示すように、弁12が配置部位13にしっかりと定着した状態で、縫合糸カッタ148は、縫合糸34上、且つ着脱可能な係止部126、226まで前進する。次いで、縫合糸カッタは、各縫合糸の遠位端部を、着脱可能な係止部のすぐ上で切断する。次いで、縫合糸及び縫合糸カッタを心臓1から取り外す。
【0078】
一態様では、縫合糸34を切断する前に、弁12が回収又は再配置される。たとえば、弁を取り外す又は再配置するべきであると決定した場合、心房位置決めロッド108は、各縫合糸を覆って配置され、従って縫合糸の一部は内側ロッド内腔124内にある。位置決めロッドの遠位端部120が着脱可能な係止部126、226に隣接するか、又は契約するとき、位置決めロッド108を第1の方向とは反対方向である第2の方向に回転させることにより、着脱可能な係止部は、位置決めロッドの遠位端部に取り付けられる。第2の方向へ継続的に回転させて、係止部を、コード32から係止解除する。各コードの係止を解除した状態で、弁を配置部位13から取り外し、且つ/又は配置部位内で再配置する。
【0079】
別の態様では、弁12を、弁を配置して数日から数週間後に、再配置及び/又は取り外すことができる。この態様では、縫合糸は切断されず、糸巻き又は他の巻付けデバイスの周りに巻き付けられる。次いで、このデバイスを、弁12の心房スカート14に取り付けることができる。弁を配置し処置が完了して数日後、糸巻き/巻付けデバイスを再び取り込むことができ、縫合糸の巻付けを解除し回収することができる。縫合糸の一部が内側ロッド内腔124内にあるように、心房位置決めロッド108が各縫合糸を覆って配置され得る。位置決めロッドの遠位端部120が着脱可能な係止部126、226に隣接するか、又は契約するとき、位置決めロッド108を第1の方向とは反対方向である第2の方向に回転させることにより、着脱可能な係止部は、位置決めロッドの遠位端部に取り付けられる。第2の方向へ継続的に回転させて、係止部を、コード32から係止解除する。各コードの係止を解除した状態で、弁を配置部位13から取り外し、且つ/又は配置部位13内で再配置する。
【0080】
心外膜テザー・システム
図16~
図23に示す一実施例では、組立体10は、心膜腔304内にアンカ302を配置する心外膜テザー・システム300を備える。一態様では、心外膜テザーは、カテーテル306、CO
2ガス管308、及びマニホールド310を備える。別の態様では、カテーテルは、心臓1の壁の少なくとも一部を通って、ねじって取り付けられる、且つ/又は他の方法で押しつけられるよう構成された、遠位端部312を備えるマイクロカテーテルである。たとえば、
図16に示すように、マイクロカテーテルの遠位端部は、心臓の心内膜314と係合する。マイクロカテーテル306は、遠位端部と反対側の近位端部316、及び内側カテーテル内腔318も備える。マイクロカテーテルの近位端部は、CO
2ガス管308及びマニホールド310に連結されており、それによりCO
2ガス管及びマニホールドは、内側カテーテル内腔と密封されて流体連通している。
【0081】
ここで
図17を参照すると、マイクロカテーテル306の遠位端部312は、マイクロカテーテルの遠位端部が心膜320の傍の心膜腔304内に配置されるまで、心臓壁を通って押しつけられる。一態様では、マイクロカテーテル306の遠位端部312が心膜腔304内にあることを確認するために、造影剤322がマニホールド310から内側カテーテル内腔318を通って心膜腔内に注入される。
【0082】
マイクロカテーテル306の遠位端部312が心膜腔304内に配置されると、
図18に示すように、二酸化炭素が、腔に送気するために、CO
2ガス管308から内側カテーテル内腔318を通って心膜腔304に注入される。
【0083】
一態様では、次いで、
図19に示すように、J字型ワイヤ82を、内側カテーテル内腔318を通して心膜腔304内に前進させる。J字型ワイヤが適所にある状態で、カテーテル306は、心臓1から取り外される。
【0084】
図20及び
図21に示す別の態様では、アンカ送達ガイド52は、アンカ送達ガイドの遠位端部56にある先端部60が、心膜腔304内の係留部位324に、又は係留部位に隣接して配置されるまで、J字型ワイヤ82を覆って挿入される。アンカ送達ロッド54は、アンカ送達ロッドの遠位端部64が心膜腔304内に配置されるまで、アンカ送達ガイド52の内側ガイド内腔を通して挿入される。
【0085】
心外膜テザー・システム300のアンカ302は、アンカ送達ロッド54の遠位端部64に連結されている。一態様では、アンカは自己拡張型アンカである(すなわち、アンカは圧縮可能であり、従ってアンカ送達ガイド52の内側ガイド内腔を通って適合する)。
図21及び
図22に示すように、アンカ送達ロッドの遠位端部上に配置されたアンカ302が心膜腔304に達すると、アンカはその最大寸法まで拡張し、それによりアンカ302を適所に係止する。アンカの左心室部分326は、心内膜を通って左心室内に延出する。
【0086】
一態様では、少なくとも1本のコード32がアンカ302に、心膜腔304内に配置される前に連結される。たとえば、コードがアンカ送達ロッド54の内側ロッド内腔の中に配置されるように、コードはアンカに連結される。従って、
図23に示すように、アンカ送達ロッドが心臓から取り外されると、コードは心膜腔内のアンカ302から三尖弁輪及び上(又は下)大静脈を通って、心臓の外側に延出する。この態様では、次いで、弁12、着脱可能な係止部126、226、縫合糸34などが、前述のようにコード32に連結される。しかし、アンカが、挿入時に、弁に繋ぎ止められないか、又は連結されないことは、本発明の範囲内にある。理解されるように、心膜腔304内の二酸化炭素は吸収され、心膜はその通常の位置に戻る。
【0087】
心室間テザー・システム
一実施例では、
図24~
図32に示すように、組立体10は、左心室5内にアンカ402を配置する心室間テザー・システム400を備える。一態様では、心室間テザー・システムのテザーは、カテーテル406、無線周波数(「RF:radiofrequency」)発生器408、及びRF発生器に電気的に結合されたRFワイヤ410を備える。別の態様では、カテーテルは、心臓1の中隔7に隣接して又はその近くに配置されるよう構成される、遠位端部412を備えるワイヤ送達カテーテルである。使用中、RF発生器408によって生成されたRFは、
図24及び
図25に示すように、RFワイヤの遠位端部414を押し込んで中隔を貫通し、右心室3から左心室5内へ移動する。
【0088】
ここで
図26を参照すると、カテーテル406は、次いで、左心室5内に押し込まれる。たとえば、カテーテルの遠位端部412の一部にねじが切られている場合、カテーテル406の回転により、遠位端部が中隔7を横切って左心室内に押し込まれる。カテーテルの一部が左心室内にある状態で、
図27に示すように、RFワイヤが引き込まれ、J字型ワイヤ82が、カテーテル406を通ってJ字型ワイヤの一部が左心室5内に入るまで挿入される。
【0089】
図28及び
図29に示す別の態様では、アンカ送達ガイド52は、アンカ送達ガイドの遠位端部56にある先端部60が、左心室5内の係留部位416に、又は係留部位に隣接して配置されるまで、J字型ワイヤ82を覆って挿入される。アンカ送達ロッド54は、
図30に示すように、アンカ送達ロッドの遠位端部64が左心室内に配置されるまで、アンカ送達ガイド52の内側ガイド内腔を通して挿入される。
【0090】
心室間テザー・システム400のアンカ402は、アンカ送達ロッド54の遠位端部64に連結されている。一態様では、アンカは自己拡張型アンカである(すなわち、アンカは圧縮可能であり、従ってアンカ送達ガイド52の内側ガイド内腔を通って適合する)。
図31及び
図32に示すように、アンカ送達ロッドの遠位端部上に配置されたアンカ402が左心室5に達すると、アンカは、アンカ送達ガイドの内側ガイド内腔を出て、その最大寸法まで拡張し、それによりアンカ402を適所に係止する。
図32に示すように、アンカの右心室部分418は、中核7を通って右心室3内に延出する。
【0091】
一態様では、少なくとも1本のコード32がアンカ402の右心室部分418に、左心室3内に配置される前に連結される。たとえば、コードがアンカ送達ロッド54の内側内腔の中に配置されるように、コードはアンカに連結される。従って、アンカ送達ロッドが心臓1から取り外されると、
図32に示すように、コードはアンカ402の右心室部分から三尖弁輪を通って延出する。この態様では、次いで、弁12、着脱可能な係止部126、226などが、前述のようにコード32に連結される。しかし、アンカが、挿入時に、弁に繋ぎ止められないか、又は連結されないことは、本発明の範囲内にある。
【0092】
別の態様では、心室間アンカ402は、アンカねじ28と同様のねじ、又はそれに限定されるものではないが、ニチノール、ステンレス鋼、コバルトクロム、又はチタン合金から構成され、棘、フック、突起の形状である定着機構である。この種類の心室間アンカは、アンカ送達ガイド52を通してアンカ送達ロッド54によって送達され得る。
【0093】
本発明のいくつかの態様を前述の明細書に開示してきたが、当業者は、本発明がそれに関係し、前述の説明及び関連する図面で提示された教示の利点を有する、本発明の多くの修正形態及び他の態様を思いつくであろうことを理解されたい。従って、本発明は上記で開示した特定の態様に限定されるものではなく、多くの修正形態及び他の態様が、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図していると理解されたい。さらに、本明細書ばかりでなく後の特許請求の範囲でも特定の用語が使用されているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、説明した発明を限定するためではない。