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特許7179027ヘテロ原子リガンド、それを含むオリゴマー化触媒、およびオリゴマーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ヘテロ原子リガンド、それを含むオリゴマー化触媒、およびオリゴマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 19/00 20060101AFI20221118BHJP
   B01J 31/34 20060101ALI20221118BHJP
   C07C 2/32 20060101ALI20221118BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20221118BHJP
   C07C 11/107 20060101ALI20221118BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221118BHJP
   C07F 11/00 20060101ALN20221118BHJP
   C07F 7/21 20060101ALN20221118BHJP
   C07F 5/06 20060101ALN20221118BHJP
   C07F 9/50 20060101ALN20221118BHJP
【FI】
C07F19/00 CSP
B01J31/34 Z
C07C2/32
C07C11/02
C07C11/107
C07B61/00 300
C07F11/00 A
C07F7/21
C07F5/06 D
C07F9/50
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019568285
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 KR2018005523
(87)【国際公開番号】W WO2018230846
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】10-2017-0076510
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ ホソン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジンヘク
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョンレ
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ヨンナム
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2000/020472(WO,A1)
【文献】Journal of Molecular Catalysis A:Chemical ,2002年,182-183,99-105
【文献】J. Chem. Soc., Dalton Trans.,2002年,1997-2008
【文献】Journal of Colloid and Interface Science,2011年,358(1),93-101
【文献】Central European Journal of Chemistry,2016年,14(1),351-356
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/50
C07F 19/00
C07F 7/21
C07C 2/32
C07C 11/02
C07C 11/107
C07F 5/06
B01J 31/34
C07F 11/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式4で表わされるヘテロ原子リガンド。
[化学式4]
【化1】
(前記化学式中、
Zは*-(SiO3/2(Rq-1であり、ここで、Rは、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
qは、2、4、6、8、10、12、14、16、または18であり、
11~R14は、互いに独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
Rは、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリーレン、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリーレンC1-C10アルキレン、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリーレンC2-C10アルケニレン、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリーレンC2-C10アルキニレン、置換されているかまたは置換されていないC1-C10アルキレン、置換されているかまたは置換されていないC2-C10アルケニレン、置換されているかまたは置換されていないC2-C10アルキニレン、または置換されているかまたは置換されていないC3-C20ヘテロアリーレンである。
【請求項2】
前記化学式中、R11~R14は、互いに独立して、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリール、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリールC1-C10アルキル、置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリールC2-C10アルケニル、または置換されているかまたは置換されていないC6-C20アリールC2-C10アルキニルであり、
Rは、C1-C10アルキレンである、請求項に記載のヘテロ原子リガンド。
【請求項3】
前記R11~R14は、互いに独立して、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、およびハロC1-C10アルコキシから選択される何れか1つ以上で置換されたC6-C20アリールである、請求項に記載のヘテロ原子リガンド。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか一項に記載のヘテロ原子リガンドおよび遷移金属を含むオリゴマー化触媒。
【請求項5】
請求項に記載のオリゴマー化触媒を反応器に投入するステップと、
オレフィンを前記反応器に投入するステップと、
前記オレフィンを前記オリゴマー化触媒と反応させてオリゴマー化するステップと、を含むオリゴマーの製造方法。
【請求項6】
前記オレフィンはエチレンであり、前記オリゴマーは1-ヘキセンまたは1-オクテンである、請求項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項7】
前記遷移金属の100~5,000モル倍の金属を含む助触媒を前記反応器に投入するステップをさらに含む、請求項またはに記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項8】
前記助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物、有機塩、またはこれらの混合物である、請求項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項9】
前記助触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、イソブチルアルミノキサン(IBAO)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびメチルアルミニウムセスキクロリドからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物である、請求項に記載のオリゴマーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ原子リガンド、それを含むオリゴマー化触媒、およびオリゴマー化触媒を用いたオリゴマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴマー、具体的に、1-ヘキセンおよび1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレンを作製するためのモノマーまたはコモノマーとして重合工程で広く用いられている重要な商業的原料であって、エチレンのオリゴマー化反応によって生成された製品を精製することで得られる。しかしながら、既存のエチレンのオリゴマー化反応は、1-ヘキセンおよび1-オクテンとともに、相当の量のブテン、高級オリゴマーとポリエチレンが生成されるという非効率的な点があった。かかる従来のエチレンのオリゴマー化技術では、通常、シュルツ-フローリー(Schulze-Flory)またはポイズン(Poisson)生成物の分布によって種々のα-オレフィンが生成されるため、所望の生成物の収率が制限される。
【0003】
近年、エチレンを遷移金属触媒の作用により選択的に三量体化して1-ヘキセンを生産したり、または選択的に四量体化して1-オクテンを生産したりすることに関する研究が行われているが、公知の殆どの遷移金属触媒はクロム系触媒である。
【0004】
国際特許公開第WO02/04119号には、エチレンの三量体化触媒として、一般式(R)(R)X-Y-X(R)(R)のリガンドを用いたクロム系触媒が開示されており、ここで、Xは、リン、ヒ素、またはアンチモンであり、Yは、-N(R)-などのような連結基であり、R、R、R、およびRの少なくとも1つが、極性または電子授与置換体を有する。
【0005】
また、他の公知文献には、触媒条件下で、1-ヘキセンに対して触媒活性を示すリガンドとして、R、R、R、およびRの少なくとも1つに極性置換体を有しない化合物である(o-エチルフェニル)PN(Me)P(o-エチルフェニル)の用途が開示されている(Antea Carter et al.,Chem.Commun.,2002,p.858-859)。
【0006】
一方、国際特許公開第WO04/056479号には、リンに付着されたフェニル環に置換体が省略されたPNPリガンドを含有するクロム系触媒によりエチレンを四量体化することで、1-オクテンを生成するにおける選択度を向上させるということが公知されており、これらのエチレンの四量体化のための四量体化触媒に用いられるヘテロ原子リガンドの例として、(フェニル)PN(イソプロピル)P(フェニル)などが開示されている。
【0007】
上記の先行技術には、窒素およびリンをヘテロ原子として有するヘテロ原子リガンドを含有するクロム系触媒が、リン原子に結合されたヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビル基に対する極性置換体がなくてもエチレンを四量体化し、70質量%を超える選択性で1-オクテンを生産することができることが開示されている。
【0008】
しかし、従来の先行技術らは、ヘテロ原子を含むリガンドの構造に係わり、具体的にどのような形態が、高選択的にエチレンを四量体化して1-オクテンを生成するかや、エチレンを三量体化して1-ヘキセンを生成するかについての明確な例は提示しておらず、70質量%程度の1-オクテン選択性を有するリガンドとして、(R)(R)P-(R)N-P(R)(R)のようなPNP型骨格の構造しか提示していない。また、ヘテロ原子リガンドのうち、置換可能な置換体の形態も制限的に開示しているだけである。
【0009】
一方、エチレンの四量体化のための触媒系では、高い反応温度で触媒活性が低下し、相当な重合体副産物が生成されるため選択性が低くなり、重合工程において深刻な問題を誘発する。
【0010】
具体的に、四量体化触媒系は、高い温度で触媒活性が低下し、オレフィン、特に、1-オクテンの生産量および選択性が低下して、副産物の生成が多くなるため、管詰まりおよびファウリングが発生することとなる。これにより、工程中断が不可避に発生し、オレフィン重合工程において深刻な問題を引き起こす。
【0011】
したがって、高い温度でもオレフィンのオリゴマー化触媒活性を低下させないとともに、触媒量の調節が容易であり、高活性および高選択的にオレフィンをオリゴマー化して1-ヘキセンや1-オクテンを生成することができる構造のオレフィンのオリゴマー化触媒の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、オレフィンのオリゴマー化時における触媒活性に優れるとともに、溶媒に対する溶解度が高くて触媒量の調節が容易であり、高温でも活性が維持されることで、高活性および高選択的にオリゴマーを生成することができるヘテロ原子リガンドを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、本発明のヘテロ原子リガンド、有機リガンドが配位された遷移金属、および助触媒を含むオリゴマー化触媒、およびそれを用いたオリゴマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、オレフィンのオリゴマー化、具体的に、エチレンの三量体化や四量体化反応に用いるために、高い温度でも高活性および高選択的にオレフィンのオリゴマー化が可能なヘテロ原子リガンドを提供し、本発明のヘテロ原子リガンドは、下記化学式1で表される。
【0015】
[化学式1]
【化1】
【0016】
前記化学式1中、
AおよびEは、それぞれ独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素からなる群から選択されるものであり、
Dは、AとEとの間の連結基であり、
Zは、シルセスキオキサン誘導体であり、
Rは、ヒドロカルビレンであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル、または置換されているかまたは置換されていないヘテロヒドロカルビルであり、
pは、1~18の整数であって、シルセスキオキサン誘導体に含まれているSiの個数によって変わり、
nおよびmは、それぞれ独立して、AまたはEの各原子価および酸化状態によって決定される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る前記化学式1において、シルセスキオキサン誘導体は下記化学式2で表されてもよい。
【0018】
[化学式2]
*-(SiO3/2(Rq-1
【0019】
は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
qは、2、4、6、8、10、12、14、16、または18である。
【0020】
また、Rは、C6-C20アリール、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C1-C10アルキルC6-C20アリール、C3-C10シクロアルキル、C3-C10ヘテロシクロアルキル、またはC3-C20ヘテロアリールであり、この際、Rは、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキニルカルボニルアミノ、C3-C10シクロアルキル、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C3-C20ヘテロアリール、およびC2-C10ヘテロシクロアルキルから選択される何れか1つ以上で置換されてもよい。また、qは8の整数であってもよい。
【0021】
具体的に、Rは、C1-C10アルキルであってもよい。
【0022】
化学式1中、Dは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビレン、または置換されているかまたは置換されていないヘテロヒドロカルビレンを含む有機連結基;および単一の原子リンクを含む無機連結基から選択される何れか1つであってもよい。
【0023】
高温でも優れた触媒活性および溶解度を有する点から、好ましくは、化学式1は、下記化学式3~5から選択されるものであってもよい
【0024】
[化学式3]
【化2】
【0025】
[化学式4]
【化3】
【0026】
[化学式5]
【化4】
【0027】
化学式3~5中、
Zは、シルセスキオキサン誘導体であり、
11~R14は、互いに独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヒドロカルビルであり、具体的には、互いに独立して、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキニルカルボニルアミノ、C3-C10シクロアルキル、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C3-C20ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、または-NR3132であり、R31およびR32は、それぞれ独立して、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C6-C20アリール、ジC1-C10アルキルアミノ、ジC2-C10アルケニルアミノ、またはジC2-C10アルキニルアミノであり、
RおよびR21は、互いに独立して、C6-C20アリーレン、C6-C20アリーレンC1-C10アルキレン、C6-C20アリーレンC2-C10アルケニレン、C6-C20アリーレンC2-C10アルキニレン、C1-C10アルキレン、C2-C10アルケニレン、C2-C10アルキニレン、またはC3-C20ヘテロアリーレンであり、
22は、C6-C20アリー、C6-C20アリーC1-C10アルキ、C6-C20アリーC2-C10アルケニ、C6-C20アリーC2-C10アルキニ、C1-C10アルキ、C2-C10アルケニ、C2-C10アルキニ、C3-C20ヘテロアリー、または
【化5】
であり、
前記RおよびR 21 アリーレン、アリーレンアルキレン、アリーレンアルケニレン、アリーレンアルキニレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、およびヘテロアリーレン、R 22 のアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロアリール、および11~R14のアリール、アリールアルキル、アルキル、アリールアルケニル、アルケニル、アリールアルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、ハロC1-C10アルコキシ、C6-C20アリール、およびC6-C20アリールオキシから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0028】
好ましくは、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、およびハロC1-C10アルコキシから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0029】
より好ましくは、前記化学式3~5中、R11~R14は、互いに独立して、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、またはC6-C20アリールC2-C10アルキニルであり;RおよびR21は、互いに独立して、C1-C10アルキレンであり、R22は、C1-C10アルキまたは
【化6】
であり、前記R11~R14のアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、およびアリールアルキニルと、R21 のアルキレンおよびR22のアルキは、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、ハロC1-C10アルコキシ、C6-C20アリール、およびC6-C20アリールオキシから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0030】
好ましくは、化学式3~5中、シルセスキオキサン誘導体は、*-(SiO3/2(Rq-1(ここで、Rおよびqは、前記化学式2での定義のとおりである。)であってもよい。
【0031】
また、本発明は、本発明のヘテロ原子リガンドおよび遷移金属を含むオリゴマー化触媒を提供する。
【0032】
また、本発明は、オリゴマー化触媒を反応器に投入するステップと、オレフィンを前記反応器に投入するステップと、オレフィンをオリゴマー化触媒と反応させてオリゴマー化するステップと、を含む、オリゴマーの製造方法を提供する。
【0033】
本発明の一実施形態に係る助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物、有機塩、またはこれらの混合物であってもよく、具体的には、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、イソブチルアルミノキサン(IBAO)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびメチルアルミニウムセスキクロリドからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0034】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法は、遷移金属の100~5,000モル倍の金属を含む助触媒を前記反応器に投入するステップをさらに含んでもよい。
【0035】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法において、オレフィンはエチレンであり、オリゴマーは、1-ヘキセン、1-オクテン、またはこれらの混合物であってもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明のシルセスキオキサン誘導体を有するヘテロ原子リガンドは、遷移金属と配位することで、高い温度でも優れた触媒活性および選択性を示し、さらに、溶媒に対する溶解度が高いため、従来に用いられていた芳香族炭化水素化合物の代わりに脂肪族炭化水素化合物を反応溶媒として使用可能であり、少量の触媒でもオリゴマーを高活性で製造可能であるとともに、触媒の投入量も容易に調節可能である。
【0037】
また、本発明のオリゴマー化触媒は、高温でも優れた触媒活性を示し、溶媒に対する溶解度が高いため触媒活性が維持され、少量の助触媒を使用可能である。したがって、大量生産が可能であり、高温工程で発生するファウリングおよび管詰まりが起こることなく、工程中断(shut down)が不要であって非常に経済的である。
【0038】
さらに、本発明のオリゴマーの製造方法は、高温でも高活性および高選択性でオリゴマーを製造することができるとともに、ファウリングおよび管詰まりが起こらないため、非常に効率的な工程によりオレフィンの製造が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書に記載の「ヒドロカルビル」または「ヘテロヒドロカルビル」は、ヒドロカーボンまたはヘテロヒドロカーボンから誘導される1つの結合位置を有するラジカルを意味し、「ヒドロカルビレン」は、ヒドロカーボンから誘導される2つの結合位置を有するラジカルを意味し、「ヘテロ」は、炭素がO、S、およびN原子から選択される1つ以上の原子で置換されたものを意味する。
【0040】
本明細書に記載の「置換される」とは、基または部分の構造的骨格に付着された1つ以上の置換基を有する基または部位を指す。非制限的には、言及された基または構造的骨格が、重水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、ヨウ素(=0)、チオ(=S)、アルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、アルキルシリル、アルケニルシリル、アルキニルシリル、アリールシリル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル環、ヘテロアリールアルキル、およびヘテロシクロアルキルから選択される何れか1つ以上で置換されることを意味する。
【0041】
具体的に、重水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、ヨウ素(=0)、チオ(=S)、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルコキシ、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C6-C20アリール、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキニルカルボニルアミノ、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキルC1-C10アルキル、C2-C10シクロアルケニル、アミノ、C1-C10アルキルアミノ、ジC1-C10アルキルアミノ、C6-C20ヘテロアリール、C3-C20ヘテロシクロアルキル環、C3-C10ヘテロアリールC1-C10アルキル、およびC3-C10ヘテロシクロアルキルから選択される何れか1つ以上で置換されることを意味する。
【0042】
本明細書に記載の「アルケン」は、1個以上の炭素-炭素の二重結合を含有する直鎖、分枝鎖、または環状の炭化水素を意味する。
【0043】
本明細書に記載の「アルキン」は、1個以上の炭素-炭素の三重結合を含有する直鎖、分枝鎖、または環状の炭化水素を意味し、本発明に記載のアルケンおよびアルキンは、一例として、2~10の炭素原子、好ましくは2~7の炭素原子を有してもよい。
【0044】
本明細書に記載の「アルキル」、「アルコキシ」、およびその他の「アルキル」部分を含む置換体は、直鎖または分枝鎖の形態を両方とも含み、一例として、1~10個の炭素原子、好ましくは1~7、より好ましくは1~5の炭素原子を有する。
【0045】
また、本明細書に記載の「アリール」は、1つの水素除去によって芳香族炭化水素から誘導された有機ラジカルであって、各環に、一例として、4~7個、好ましくは5または6個の環原子を含む単一または融合環系を含み、多数個のアリールが単一結合により連結されている形態も含む。具体的な例として、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル(indenyl)、フルオレニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書に記載の「ヘテロアリール」は、芳香族環骨格原子としてB、N、O、S、P(=O)、Si、およびPから選択される1つ以上の原子を含み、残りの芳香族環骨格原子が炭素であるアリール基を意味する。一例として、「ヘテロアリール」は、5~6員の単環ヘテロアリール、および1つ以上のベンゼン環と縮合された多環ヘテロアリールであり、部分的に飽和されてもよい。また、本発明におけるヘテロアリールは、1つ以上のヘテロアリールが単一結合により連結された形態も含む。
【0047】
本明細書に記載の、単独または他の基の一部分としての用語「アルケニル」は、1個以上の炭素-炭素の二重結合を含有する直鎖、分枝鎖、または環状の炭化水素ラジカルを意味する。一例として、アルケニルラジカルは、2~10個、好ましくは約2~7個の炭素原子を有する低級アルケニルラジカルである。最も好ましい低級アルケニルラジカルは、約2~5個の炭素原子を有するラジカルである。また、アルケニル基は、任意の利用可能な付着地点で置換されてもよい。アルケニルラジカルの例としては、エテニル、プロペニル、アリル、ブテニル、および4-メチルブテニルが挙げられる。用語アルケニルおよび低級アルケニルは、シスおよびトランス配向、または代案的に、EおよびZ配向を有するラジカルを含む。
【0048】
本明細書に記載の、単独または他の基の一部分としての用語「アルキニル」は、1個以上の炭素-炭素の三重結合を含有する直鎖、分枝鎖、または環状の炭化水素ラジカルを意味する。アルキニルラジカルは、一例として、2~10個、好ましくは約2~7個の炭素原子を有する低級アルキニルラジカルである。最も好ましいものは、約2~5個の炭素原子を有する低級アルキニルラジカルである。このようなラジカルの例としては、プロパルギル、ブチニルなどが挙げられる。また、アルキニル基は、任意の利用可能な付着地点で置換されてもよい。
【0049】
本明細書に記載の「シクロアルキル」は、非芳香族単環式(monocyclic)または多環式(multicyclic)環系を意味し、好ましくは、3~10個の炭素原子を有する。単環式環としては、非制限的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。多環式シクロアルキル基の一例としては、パーヒドロナフチル、パーヒドロインデニルなどが挙げられ;架橋された多環式シクロアルキル基としては、アダマンチルおよびノルマルボルニルなどが挙げられる。
【0050】
本明細書に記載の「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子と、窒素、リン、酸素、および硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子からなる、置換されているかまたは置換されていない非芳香族の3~15員環のラジカルを意味し、ヘテロシクロアルキルラジカルは、融合されているか、架橋されているか、またはスピロ環系を含み得る単環式、二環式、または三環式の環系であってもよい。また、複素環ラジカル中の窒素、リン、炭素、酸素、または硫黄原子は、様々な酸化状態であって、場合によって酸化され得る。また、窒素原子は、場合によって4級化されてもよい。
【0051】
本明細書に記載の脂環族環は、非芳香族の単環式または多環式環系を意味し、環中の炭素は、炭素-炭素の二重結合または炭素-炭素の三重結合を有してもよい。脂環族環は、好ましくは、3~10個の炭素原子を有する。
【0052】
本明細書において、「オリゴマー化触媒」は、リガンドおよび遷移金属から製造された遷移金属錯体の形態、およびリガンドと遷移金属組成物の形態をいずれも含むものと定義する。
【0053】
本明細書において、「オリゴマー化触媒組成物」は、上述の「オリゴマー化触媒」に、助触媒または添加剤をさらに含むものと定義する。
【0054】
本発明は、従来の触媒と異なって、溶媒に対する溶解度が驚くべきほど向上するとともに、高い温度でも高活性を維持するオリゴマー化触媒を提供する。本発明の一実施形態に係るオリゴマー化触媒は、下記化学式1で表されるヘテロ原子リガンドを含む。
【0055】
[化学式1]
【化7】
【0056】
前記化学式1中、
AおよびEは、それぞれ独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素からなる群から選択されるものであり、
Dは、AとEとの間の連結基であり、
Zは、シルセスキオキサン誘導体であり、
Rは、ヒドロカルビレンであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル、または置換されているかまたは置換されていないヘテロヒドロカルビルであり、
pは、1~18の整数であり、
nおよびmは、それぞれ独立して、AまたはEの各原子価および酸化状態によって決定される。
【0057】
化学式1中、pは、シルセスキオキサン誘導体、具体的に、シルセスキオキサン誘導体が有するSiの個数によって変わり、一例として、化学式1のシルセスキオキサンがPOSSである場合、pは1~8の整数であってもよい。
【0058】
高活性および高選択性を有する点から、化学式1のシルセスキオキサン誘導体は、下記化学式2で表されてもよい。
【0059】
[化学式2]
*-(SiO3/2(Rq-1
【0060】
は、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、
qは、2、4、6、8、10、12、14、16、または18の整数である。
【0061】
好ましくは、本発明の一実施形態に係る化学式2中、Rは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C6-C20アリール、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C1-C10アルキルC6-C20アリール、C3-C10シクロアルキル、C3-C10ヘテロシクロアルキル、またはC3-C20ヘテロアリールであり、前記アリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールアルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキニルカルボニルアミノ、C3-C10シクロアルキル、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C3-C20ヘテロアリール、およびC2-C10ヘテロシクロアルキルから選択される何れか1つ以上でさらに置換されてもよく、好ましくは、水素、C6-C20アリール、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C3-C10シクロアルキル、C3-C10ヘテロシクロアルキル、またはC3-C20ヘテロアリールであり、前記アリール、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキニルカルボニルアミノ、C3-C10シクロアルキル、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C3-C20ヘテロアリール、およびC2-C10ヘテロシクロアルキルから選択される何れか1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0062】
好ましくは、化学式2中、qは、4、6、8、または10の整数であってもよく、より好ましくは8の整数であってもよい。
【0063】
より好ましくは、化学式2中、Rは、水素、C6-C20アリール、C1-C10アルキル、またはC3-C10シクロアルキル、さらに好ましくはC1-C10アルキルであり、qは8の整数であってもよい。
【0064】
化学式1中、Dは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビレン、または置換されているかまたは置換されていないヘテロヒドロカルビレンを含む有機連結基;および単一の原子リンクを含む無機連結基から選択される何れか1つであってもよい。本発明の一実施形態に係る前記化学式1中、Rは、C6-C20アリーレンまたはC1-C10アルキレンであってもよく、好ましくはC1-C10アルキレンであってもよい。
【0065】
好ましくは、本発明の一実施形態に係るヘテロ原子リガンドは、下記化学式3~5から選択されるものであってもよい。
【0066】
[化学式3]
【化8】
【0067】
[化学式4]
【化9】
【0068】
[化学式5]
【化10】
【0069】
化学式3~5中、
Zは、シルセスキオキサン誘導体であり、
11~R14は、互いに独立して、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10アルキニルカルボニルアミノ、C3-C10シクロアルキル、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C3-C20ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、または-NR3132であり、R31およびR32は、それぞれ独立して、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C6-C20アリール、ジC1-C10アルキルアミノ、ジC2-C10アルケニルアミノ、またはジC2-C10アルキニルアミノであり、
RおよびR21は、互いに独立して、C6-C20アリーレン、C6-C20アリーレンC1-C10アルキレン、C6-C20アリーレンC2-C10アルケニレン、C6-C20アリーレンC2-C10アルキニレン、C1-C10アルキレン、C2-C10アルケニレン、C2-C10アルキニレン、またはC3-C20ヘテロアリーレンであり、
22は、C6-C20アリー、C6-C20アリーC1-C10アルキ、C6-C20アリーC2-C10アルケニ、C6-C20アリーC2-C10アルキニ、C1-C10アルキ、C2-C10アルケニ、C2-C10アルキニ、C3-C20ヘテロアリー、または
【化11】
であり、
およびR 21 アリーレン、アリーレンアルキレン、アリーレンアルケニレン、アリーレンアルキニレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、およびヘテロアリーレン、 22 のアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびヘテロアリール、および11~R14のアリール、アリールアルキル、アルキル、アリールアルケニル、アルケニル、アリールアルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルは、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、ハロC1-C10アルコキシ、C6-C20アリール、およびC6-C20アリールオキシから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0070】
好ましくは、化学式3~5中、R11~R14は、互いに独立して、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、またはC6-C20アリールC2-C10アルキニルであり、
RおよびR21は、互いに独立して、C1-C10アルキレンであり、
22は、C1-C10アルキまたは
【化12】
であり、
前記R11~R14のアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、およびアリールアルキニルと、R21 のアルキレンおよびR22のアルキは、ハロゲン、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、ハロC1-C10アルコキシ、C6-C20アリール、C6-C20アリールオキシ、およびハロゲンから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0071】
好ましくは、化学式3~5中、シルセスキオキサン誘導体は、*-(SiO3/2(Rq-1であり、ここで、Rは、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、好ましくはC1-C10アルキルであり、qは、2、4、6、8、10、12、14、16、または18の整数であってもよく、好ましくは、qは8の整数であってもよい。
【0072】
具体的に、本発明の一実施形態に係るオリゴマー化触媒は、ヘテロ原子リガンドおよび遷移金属を含み、本発明の一実施形態に係るオリゴマー化触媒組成物は、オリゴマー化触媒および助触媒を含んでもよい。
【0073】
本発明の実施形態に係るオリゴマー化触媒は、ヘテロ原子リガンドを含んで製造され、有機リガンドおよび遷移金属化合物をさらに含んで製造されてもよい。
【0074】
本発明の一実施形態に係るヘテロ原子リガンドおよび有機リガンドを含む遷移金属化合物から製造されるオリゴマー化触媒は、下記化学式6で表されてもよい。
【0075】
[化学式6]
【化13】
【0076】
化学式6中、
Zは、シルセスキオキサン誘導体であり、
Dは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビレン、または置換されているかまたは置換されていないヘテロヒドロカルビレンを含む有機連結基;および単一の原子リンクを含む無機連結基から選択されるものであり、
Rは、ヒドロカルビレンであり、
11~R14は、互いに独立して、ヒドロカルビルであり、
Lは、有機リガンドであり、
Xは、ハロゲンであり、
aは、0または1~3の整数であって、aが2以上の整数である場合、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、
pは、1~8の整数である。
【0077】
好ましくは、本発明の一実施形態に係る前記化学式6中、pは1~4の整数であってもよく、より好ましくは1であってもよい。
【0078】
好ましくは、化学式6で表されるシルセスキオキサンを含むヘテロ原子リガンドを含むオリゴマー化触媒は、下記化学式7~化学式9で表されてもよい。
【0079】
[化学式7]
【化14】
【0080】
[化学式8]
【化15】
【0081】
[化学式9]
【化16】
【0082】
化学式7~9中、
Zは、シルセスキオキサン誘導体であり、
RおよびR21は、互いに独立して、C6-C20アリーレン、C6-C20アリーレンC1-C10アルキレン、C6-C20アリーレンC2-C10アルケニレン、C6-C20アリーレンC2-C10アルキニレン、C1-C10アルキレン、C2-C10アルケニレン、C2-C10アルキニレン、またはC3-C20ヘテロアリーレンであり、
22は、C1-C10アルキまたは
【化17】
であり、
11~R14は、互いに独立して、C6-C20アリール、C6-C20アリールC1-C10アルキル、C6-C20アリールC2-C10アルケニル、C6-C20アリールC2-C10アルキニル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、C6-C20アリールオキシ、C1-C10アルコキシカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルオキシ、C2-C10アルケニルカルボニルオキシ、C2-C10アルキニルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C2-C10アルケニルカルボニルアミノ、C2-C10)アルキニルカルボニルアミノ、C3-C7シクロアルキル、チオC1-C10アルキル、チオC2-C10アルケニル、チオC2-C10アルキニル、C1-C10アルキルシリル、C2-C10アルケニルシリル、C2-C10アルキニルシリル、C6-C20アリールシリル、C3-C20ヘテロアリール、5員~7員のヘテロシクロアルキル、または-NR3132であり、R31およびR32は、それぞれ独立して、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C6-C20アリール、ジC1-C10アルキルアミノ、ジC2-C10アルケニルアミノ、またはジC2-C10アルキニルアミノであり
は、有機リガンドであり、
Xは、ハロゲンであり、
aは、0または1~3の整数であって、aが2以上の整数である場合、Lは互いに同一でも異なっていてもよく、
pは、1~8の整数であり、
およびR 21 アリーレン、アリーレンアルキレン、アリーレンアルケニレン、アリーレンアルキニレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、およびヘテロアリーレン、 22 のアルキル、および11~R14のアリール、アリールアルキル、アルキル、アリールアルケニル、アルケニル、アリールアルキニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルは、C1-C10アルキル、ハロC1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、ハロC1-C10アルコキシ、C6-C20アリール、C6-C20アリールオキシ、およびハロゲンから選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0083】
本発明の実施形態に係る遷移金属化合物は、有機リガンドをさらに含んでもよい。
【0084】
有機リガンドを含む遷移金属化合物は、下記化学式10で表されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0085】
[化学式10]
M(L(L
【0086】
化学式10中、Mは遷移金属であり、LおよびLは有機リガンドであり、sおよびtは、互いに独立して、0以上の整数であって、s+t=Mの酸化価数である。
【0087】
化学式10の遷移金属は特に制限されないが、4族、5族、または6族の遷移金属であってもよく、好ましくは、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、バナジウム、またはジルコニウムから選択されるものであってもよく、より好ましくはクロムである。
【0088】
化学式10の有機リガンドは、遷移金属に結合可能なリガンドであれば何れも可能であり、一例として、ハロゲン、アルキル、アルケン、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択されるものであってもよい。
【0089】
具体的に、本発明の一実施形態に係る有機リガンド、化学式6~9のL、および化学式10のLおよびLは、互いに独立して、ハロゲン、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10ヘテロシクロアルキル、または下記構造式から選択されるものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0090】
【化18】
【0091】
前記構造式中、R41およびR42は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり、R43は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルであり;
44およびR45は、それぞれ独立して、水素、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、または置換されたヘテロヒドロカルビルである。
【0092】
化学式6~9のL、および化学式10のLおよびLは、好ましくは、C3-C10ヘテロシクロアルキルであってもよい。本発明の一実施形態に係るオリゴマー化触媒は、ヘテロ原子リガンドを含むことで、溶解度に優れるため、多量の助触媒を用いなくても触媒活性に優れるとともに、オレフィンのオリゴマー化時に触媒投入量の調節が可能であり、さらに、高い温度でも優れた活性が維持され、オレフィン製造工程における管詰まりおよびファウリングが起こらず、非常に経済的および効率的である。
【0093】
具体的に、本発明の一実施形態に係るオリゴマー化触媒は、シルセスキオキサン誘導体を有するヘテロ原子リガンドを有することで、それを用いたオレフィンの重合時に、選択性が非常に高く、且つ高温での活性に優れるとともに、オリゴマー化触媒の溶解度が高いため、種々の溶媒が使用可能である。これにより、多様な工程条件に適用可能であって、大量生産が可能である。
【0094】
助触媒は、有機アルミニウム化合物、有機アルミノキサン、有機ホウ素化合物、有機塩、またはこれらの混合物であってもよい。
【0095】
有機アルミニウム化合物は、Al(R(Rは、それぞれ独立して、C1-C12アルキル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C1-C12アルコキシ、またはハロゲンである。)の化合物またはLiAlHなどを含んでもよい。
【0096】
有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびメチルアルミニウムセスキクロリドから選択される1つまたは2つ以上の混合物を含んでもよい。
【0097】
有機アルミノキサンは、水とアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウムに水を添加して製造可能なオリゴマー化合物であってもよい。生成されたアルミノキサンオリゴマー化合物は、直鎖状、環状、ケージ(cage)、またはこれらの混合物であってもよい。
【0098】
有機アルミノキサンは、アルキルアルミノキサン、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、およびイソブチルアルミノキサン(IBAO)だけでなく、変性アルキルアルミノキサン、例えば、変性メチルアルミノキサン(MMAO)から選択されるものであってもよい。変性メチルアルミノキサン(Akzo Nobel製)は、メチル基の他に、イソブチルまたはn-オクチル基のような混成アルキル基を含有する。
【0099】
具体例として、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、およびイソブチルアルミノキサン(IBAO)から選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
【0100】
助触媒の有機ホウ素化合物は、ボロキシン、NaBH、トリエチルボラン、トリフェニルボラン、トリフェニルボランアンモニア錯化合物、トリブチルボレート、トリイソプロピルボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリチル(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレート、またはエチルジフェニルアンモニウム(テトラペンタフルオロフェニル)ボレートであってもよく、これらの有機ホウ素化合物は、有機アルミニウム化合物との混合物として用いてもよい。
【0101】
好ましくは、助触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン(EAO)、テトライソブチルアルミノキサン(TIBAO)、イソブチルアルミノキサン(IBAO)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-オクチルアルミニウム、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびメチルアルミニウムセスキクロリドからなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合物であってもよく、好ましくは、メチルアルミノキサン(MAO)または変性メチルアルミノキサン(MMAO)であってもよい。オリゴマー化触媒と助触媒の割合は、助触媒の金属:オリゴマー化触媒の遷移金属のモル比を基準として、1:1~10,000:1であり、好ましくは1:1~2,000:1であってもよい。
【0102】
本発明に係るオリゴマー化触媒組成物は、オリゴマー化触媒および助触媒の他に、本発明の本質を損なわない限り、他の成分をさらに含んでもよい。
【0103】
また、本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法は、オリゴマー化触媒を反応器に投入するステップと、オレフィンを反応器に投入するステップと、オレフィンをオリゴマー化触媒と反応させてオリゴマー化するステップと、を含む。
【0104】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法は、遷移金属の100~5000モル倍の金属を含む助触媒を前記反応器に投入するステップをさらに含んでもよく、助触媒は上述のとおりである。
【0105】
本発明に開示されたオレフィンのオリゴマー化触媒組成物の個別成分であるオリゴマー化触媒および添加剤は、溶媒の存在下で、同時にまたは任意の順に順次配合され、オレフィンのオリゴマー化触媒組成物として提供されることができる。各触媒組成物の成分の混合は、-20~250℃の温度で行ってもよい。触媒成分が混合される間に、通常、オレフィンの存在が保護効果を奏し、向上した触媒性能を提供することができる。より好ましい温度範囲は45~100℃である。
【0106】
本発明に開示された反応生成物である、オレフィンから製造されたオリゴマー、特に、1-ヘキセンまたは1-オクテンは、本発明に係るオレフィン、特に、エチレンのオリゴマー化触媒と通常の装置および接触技術を用いて、不活性溶媒の存在下で、均一液相反応、2相液体/液体反応、生成物のオレフィンが主媒質として作用するバルク相反応または気相反応により製造されてもよい。
【0107】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法は、不活性溶媒中で行ってもよい。すなわち、オリゴマー化触媒、助触媒、および添加剤と反応しない任意の不活性溶媒を用いてもよく、不活性溶媒は、脂肪族炭化水素であってもよい。脂肪族炭化水素は飽和脂肪族炭化水素であって、C2n+2(この際、nは1~15の整数)で表される直鎖状の飽和脂肪族炭化水素、C2m(この際、mは3~8の整数)で表される脂環族飽和脂肪族炭化水素、およびこれらの炭素原子数1~3の低級アルキル基が1つまたは2つ以上置換された飽和脂肪族炭化水素を含んでもよい。これらを具体的に挙げると、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノネン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,2-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、2-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、および1,2,4-トリメチルシクロヘキサンから選択される1種以上であるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法において、オリゴマー化反応は、0~200℃の温度、好ましくは15~130℃の温度、より好ましくは45~100℃の温度で行ってもよく、反応圧力は、大気圧~100barの圧力、好ましくは、大気圧~80barの圧力、より好ましくは、大気圧~60barの圧力で行ってもよい。
【0109】
本発明の一実施形態において、上記のオリゴマー化反応条件で、一例として、エチレンから1-ヘキセンが10質量%以上、好ましくは30質量%以上の収率で製造されることができる。この際、収率は、形成された全C6生成物100g当たりに形成される1-ヘキセンのg数を意味する。
【0110】
本発明の一実施形態において、上記のオリゴマー化反応条件で、一例として、エチレンから1-オクテンが40質量%以上、好ましくは60質量%以上の収率で製造されることができる。この際、収率は、形成された全C8生成物100g当たりに形成される1-オクテンのg数を意味する。
【0111】
このことから、本発明のオリゴマーの製造方法によると、本発明のシルセスキオキサンを含むヘテロ原子リガンドを含むオリゴマー触媒組成物を用いることで、高い温度でも触媒の活性が維持され、従来と異なって1-オクテンの生成量が著しく高いことが分かる。
【0112】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法において、オレフィンはエチレンであり、オリゴマーは、1-ヘキセン、1-オクテン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0113】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法は、任意の形態の反応器を含むプラントで行ってもよい。このような反応器の例としては、回分式反応器、半回分式反応器、および連続式反応器が挙げられるが、これらに限定されない。プラントは、反応器、該反応器内のオレフィン反応器および触媒組成物の注入口、この反応器からオリゴマー化反応生成物を流出させるためのライン、およびオリゴマー化反応生成物を分離するための少なくても1つの分離器を組み合わせて含んでもよい。この際、触媒組成物は、本発明に開示されたオリゴマー化触媒組成物であって、遷移金属、有機リガンド、およびヘテロ原子リガンドで配位結合されたオリゴマー化触媒、助触媒、および添加剤を含んでもよい。
【0114】
本発明の一実施形態に係るオリゴマーの製造方法によると、従来のオリゴマー化触媒により引き起こされた工程上の問題が改善され、高い収率で容易に1-ヘキセン、1-オクテン、またはこれらの混合物を生産することができる。
【0115】
下記実施例により、本発明の効果を具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0116】
[リガンド製造例1](フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)の製造
アミノプロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン(polyhedral oligomeric silsesquioxane)の製造
【化19】
窒素雰囲気下で乾燥された100mlのフラスコにトリシラノールシルセスキオキサン(4.52g、5.7mmol、アルドリッチ製)を無数THF(40ml)に溶解させた後、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(1.6ml、7.2mmol、アルドリッチ製)を添加した。混合物を常温で48時間以上反応させた後、揮発性物質を減圧除去し、アセトニトリル(2X20ml)で洗浄し、4.1g(82%)の白色固体のアミノプロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン生成物を得た。
【0117】
H NMR (500 MHz, CDCl): δ 2.69 (t, 2H, J = 7 Hz, -CHNH tether), 1.85 (m, 7H, CH), 1.54 (m, 2H, CH tether), 1.36 (s, 2H, NH), 0.95 (m, 42H, CH), 0.60 (m, 2H, Si-CH tether, 14H, Si-CH).
13C NMR (600 MHz, CDCl): δ 44.7, 27.1, 25.7, 23.9, 22.5, 9.2.
FT-ICR MS: m/z [M + H] calcd for C3171NO12Si: 874.5789; found: 874.3172.
【0118】
(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)の製造
【化20】
窒素雰囲気下で乾燥された20mlのバイアルにアミノプロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン(0.2g、0.23mmol)をジクロロメタン(3ml)に溶解させ、トリエチルアミン(0.13ml、0.96mmol)を混合した後、クロロジフェニルホスフィン(0.106g、0.48mmol)を添加した。前記混合物を常温で一時間撹拌した後、揮発性物質を減圧除去し、メタノール(2X2ml)で再スラリーおよび洗浄してから濾過し、白色固体生成物である(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)を0.21g(77%)得た。
【0119】
H NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 7.36 (br, 8H, aromatics), 7.28 (br, 12H, aromatics), 3.16 (m, 2H, -CH2-), 1.82 (m, 7H, CH), 1.41 (t, 2H, J= 6 Hz, -CH2N), 0.90 (m, 42H, CH3), 0.58 (m, 14H, Si-CH2), 0.38 (t, 2H, J = 8 Hz, Si-CH2).
13C NMR (600 MHz, CDCl3) δ: 139.9, 132.5, 128.5, 127.9, 45.8, 25.7, 24.2, 23.8, 22.5, 9.2.
31P NMR (500 MHz, CDCl3) δ: 62.1.
FT-ICR MS: m/z [M + H] calcd for C5589NO12Si: 1242.9262; found: 1242.4033.
【0120】
[実施例1]ペンタン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
50mlのオートクレーブ反応器を窒素、真空で洗浄した後、ペンタン20mlを加え、Akzo Nobel社により市販されているmMAO-3A(7wt%-Al)0.5ml(0.94mmol)を添加した。グローブボックスで、ジクロロメタン1ml中のCr(III)Cl(テトラヒドロフラン) 7.0mg(20umol)、およびリガンド製造例1の(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル) 28.8mg(20umol)を混合し、常温で5分間撹拌した。減圧乾燥により揮発性物質を除去した後、メチルシクロヘキサン10mlを添加して完全に溶解させ、0.5ml(1umol)を分取して反応器に投入した。圧力反応器にエチレンを30barで充填し、600rpmの撹拌速度で撹拌した。15分経過した後、反応器へのエチレンの供給を中断し、撹拌を止めて反応を中断し、反応器を10℃以下に冷却させた。反応器内の過量のエチレンを排出させた後、反応器に2-エチルヘキサノール1.5mlを注入した。少量の有機層サンプルをミクロンシリンジフィルターに通過させた後、GC-FIDにより分析した。残りの有機層を濾過し、固体のワックス/ポリマー生成物を分離した。これらの固体生成物を100℃のオーブンで一晩乾燥した後、得られた物を記録した。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0121】
[実施例2]ヘキサン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてヘキサンを使用したことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0122】
[実施例3]シクロヘキサン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてシクロヘキサンを使用したことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0123】
[実施例4]メチルシクロヘキサン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用したことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0124】
[実施例5]メチルシクロヘキサンおよび60℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用し、反応温度を60℃としたことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0125】
[実施例6]メチルシクロヘキサン、および80℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用し、反応温度を80℃としたことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0126】
[実施例7]メチルシクロヘキサン、および100℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(プロピルイソブチル多面体オリゴマーシルセスキオキサン)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用し、反応温度を100℃としたことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0127】
[比較リガンド製造例1](フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)の製造
【化21】
窒素雰囲気下で乾燥された20mlのバイアルにN-ブチルアミン(0.3g、4.1mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶解させ、トリエチルアミン(3.51ml、25.2mmol)を混合した後、クロロジフェニルホスフィン(1.855g、8.4mmol)を添加した。前記混合物を常温で一時間撹拌した後、揮発性物質を減圧除去し、メタノール(2X2ml)で再スラリーおよび洗浄してから濾過し、白色固体生成物である(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)を1.22g(67%)得た。
【0128】
H NMR (CDCl): δ 0.60 (t, 3H, J = 7 Hz, CH), 0.92 (t, 2H, J = 7, CH), 1.07 (m, 2H, CH), 3.23 (q, 2H, J = 9, N-CH), 7.31 (s, 12H, aromatics), 7.39 (s, 8H, aromatics)
【0129】
[比較例1]ペンタン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
リガンドとして(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0130】
[比較例2]ヘキサン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてヘキサンを使用したことを除き、比較例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0131】
[比較例3]シクロヘキサン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてシクロヘキサンを使用したことを除き、比較例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0132】
[比較例4]メチルシクロヘキサン、および45℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用したことを除き、比較例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0133】
[比較例5]メチルシクロヘキサン、および60℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用し、反応温度を60℃としたことを除き、比較例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0134】
[比較例6]メチルシクロヘキサン、および80℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用し、反応温度を80℃としたことを除き、比較例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0135】
[比較例7]メチルシクロヘキサン、および100℃でCr(III)Cl(テトラヒドロフラン)、(フェニル)PN(n-ブチル)P(フェニル)、およびmMAO-3Aを使用したエチレンのオリゴマー化反応
反応溶媒としてメチルシクロヘキサンを使用し、反応温度を100℃としたことを除き、比較例1と同様の方法によりオリゴマー化反応を行った。本実施例の生成物の分布を下記表1にまとめた。
【0136】
【表1】
【0137】
表1に示されたように、本発明のシルセスキオキサンを有するヘテロ原子リガンドを含むオリゴマー化触媒組成物が、比較例に比べて優れた活性を示すことが分かり、特に、高い重合温度でも活性が維持されることが分かる。
【0138】
本発明の一実施形態に係るヘテロ原子リガンドは、シルセスキオキサン誘導体を有するヘテロ原子リガンドとして有機リガンドを含む遷移金属と配位されることで、従来と異なって、極めて優れた溶解度を有し、オレフィンのオリゴマー化時に種々の重合溶媒が使用可能であるため、生産工程の適用範囲が非常に広く、大量生産が可能である。また、優れた溶解度を有するとともに、高い温度でも触媒活性が維持され、副産物の生成が少ないため、管詰まりおよびファウリングがなく、これらを除去するための重合工程の運転中断が不要であって、非常に経済的である。
【0139】
さらに、本発明の実施形態に係るオリゴマー化触媒は、高い温度でも非常に優れた触媒活性を示すため、オレフィンのオリゴマー化工程時に、少量の触媒および少量の助触媒を使用してオリゴマーを製造することができる利点がある。
【0140】
また、本発明の実施形態に係るオリゴマー化触媒は、高い温度でも活性が低下することなく、選択性にも優れるため、オレフィン、特に、エチレンから1-ヘキセンまたは1-オクテン、特に1-オクテンを高選択性で製造可能である。