(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】可変周波数刺激を使用して神経-筋肉反応の閾値を検出するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2019569679
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(86)【国際出願番号】 US2018037933
(87)【国際公開番号】W WO2018232365
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507280675
【氏名又は名称】アルファテック スパイン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン リチャード エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】スノー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ガリブ ジェームズ イー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275926(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0148725(US,A1)
【文献】特表平06-508288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36 - A61N 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の筋肉の強直を回避するために刺激閾値を検出及び特定するための刺激システムであって、
前記患者の組織への刺激の印加後に前記患者の生理系から電位データを獲得するための入力デバイスと、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を格納する少なくとも1つのメモリであって、前記命令が、前記少なくとも1つのデータプロセッサによって実行されるとき、
ある電流レベル及びある周波数で送達される一連のパルスで組織を刺激することであって、直前パルスから前記一連のパルス内の各パルスの前記電流レベルを増大させることを含む、刺激することと、
前記一連のパルスからの第1の誘発パルスが第1の筋肉反応を誘発すると決定することと、
第2の筋肉反応を誘発するために、前記一連のパルスからの第2の誘発パルスで前記組織を継続して刺激することであって、
前記一連のパルス内の各パルスの前記送達の前記周波数を減少させること、及び
第2の電流増分だけ、前記直前パルスから前記一連のパルス内の各パルスの前記電流レベルを増大させることを含む、刺激することと、
前記一連のパルスからの前記第2の誘発パルスが前記第2の筋肉反応を誘発すると決定することと、を含む動作を結果としてもたらす、メモリと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項
1に記載のシステムであって、前記動作が、前記第1の誘発パルス及び前記第2の誘発パルスがアーチファクトに起因しないと決定することをさらに含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年6月16日に出願の米国仮出願第62/521,268号、及び2017年11月29日に出願の米国仮出願第62/592,275号の優先権を主張するものであり、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概して、臨床神経生理学の分野に関する。より詳細には、本発明は、概して、例えば手術コリドーを展開しながら、神経健全性、隣接する構造体の完全性、又は神経近接性を予測するために、刺激閾値をより正確に見出すことができる刺激装置制御のために使用されるシステム、デバイス、方法論、規則、動作、計算、及び/又はステップに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な種類の術中モニタリング(IOM)が、医療手術中に利用される。そのようなIOMは、神経系又は神経系の構成要素に隣接する構造体の様相の完全性を評価するためにモニタリングすることを含む。IOMの一種は、筋活性を引き起こすために必要とされる最小刺激を特定することを典型的には伴う、刺激閾値レベルを決定することを伴う。本明細書に説明される実施形態は、概して、神経-筋肉反応の刺激閾値を検出するための改善されたシステム、デバイス、及び方法に関する。
【発明の概要】
【0004】
段階的な電気刺激を使用することによって、運動神経の閾値刺激強度を手術中に測定することができる。例えば、自動化誘発筋電位計測システムにおいては、特定の予め定められた基準を満たす複合筋活動電位(CMAP)又は部分的な複合運動神経活動電位(PCMAP)と関連付けられた刺激電流閾値を決定することが所望され得る。CMAP又はPCMAPは、異なる刺激閾値を有する複数の運動単位(MU)からなる。刺激強度を閾値下から最大値まで徐々に増大させることによって、筋肉又は筋節内のいくつか又はすべてのMUが活性化される。誘発されている第1のMUから、誘発されているMUの95%までに及ぶ刺激中央閾値は、7.6mA(5.4~11.5)であってもよい。閾値は、刺激装置に対する神経の近接性、及び刺激に応答する神経の健全性又は神経に隣接する解剖学的特徴の完全性を予測するために使用される。コンピュータ実装された方法を含む複数の種類の方法が、閾値発見の精度、閾値発見の速度、又は問題になっている神経に対する刺激装置の位置を三角測量するために複数の筋肉若しくは筋節にわたって閾値を見出すこと、を主として目的とする刺激閾値を見出すために使用される。
【0005】
多くの手法が有用なアルゴリズムを利用するが、それらはいくつかの問題を抱える。多くの場合、外科チームは、複数の筋節の閾値を決定すること、又は刺激装置配置を三角測量することには関心がない。外科チームは、最も近い神経、又は、そのために最も危険性の高い、最も低い閾値を有する神経を位置特定することにはるかに関心がある。加えて、これらの方法は、PCMAPを活性化するときに閾値レベルの変動をもたらし得る単一の刺激強度に応答する任意の特定のMUの可能性の変動を常に考慮するわけではない。
【0006】
加えて、手術中、筋肉遮断がしばしばもたらされる。筋肉遮断の度合いを測定する最も人気の方法など、存在する遮断の度合いを決定するのに利用可能である戦略は、四連(TOF)であるが、この技法は限られた精度を有し、しばしば無視される。結果として、筋肉遮断が、刺激に対する筋肉反応を鈍らせるために、閾値試験は正確でない場合がある。
【0007】
神経及び付着した筋肉の高周波刺激(10~20Hz)は、部分的な筋肉遮断の存在下でさえ反応をもたらすように神経-筋肉接合点を条件付けるが、それらの周波数での持続性の刺激は、筋肉強直を引き起こし、結果を狂わせる場合がある。より低い周波数(例えば、1~5Hz)での刺激は、適切な条件付けを提供しない場合があり、したがって、筋肉からの正確な反応を提供することができない。同様に、二分アルゴリズムで使用されるものなど、閾値に焦点を絞ることを試みながら劇的に変動する刺激強度は、より少ない刺激が閾値強度の近くで発生するために、正確な反応のための適切な条件付けを提供しない場合がある。これらのシステムはまた、閾値がより高い又はより低い刺激強度からアプローチされるときに発生し得るPCMAP反応における変動性を説明しない。
【0008】
特定の方法はまた、強直を誘導するレベルを周波数が下回るように、低周波数を必要とする場合がある。加えて、下側閾値がしばしば、ユーザにとっての主な関心である神経近接性を示唆するため、下側刺激閾値についてより素早く更新する刺激パターンが好まれるが、これは常に利用可能なわけではない。刺激に対する反応の予測される範囲全体にわたって筋肉反応を調査することができないことにより、スプリアス応答が存在するときに正確な閾値を確認することができない、又は何も存在しないときに、予測される範囲全体にわたって反応がないことを適切に示すことができない場合がある。
【0009】
いくつかの自動化筋電位計測(EMG)システムにおいて、一時的なノイズ外乱、自然発生のEMG急増若しくはバースト、又は他の異常は、電気的に引き起こされたCMAPと間違えられ、誤って特定された閾値(例えば、擬陽性)をもたらす場合がある。
【0010】
また、いくつかの自動化EMGシステムは、いくつかの条件下では、刺激閾値に上からアプローチし、他の条件下では、刺激閾値に下からアプローチする場合がある。この方法は、第1のMU反応を引き起こすために必要とされる刺激の範囲が理由で、決定された閾値の変動をもたらし得、最大CMAPは、7mAを超えて異なり得る。CMAPを含む第1のMUのための刺激閾値未満から刺激閾値にアプローチすることによって、閾値は、刺激閾値に上からアプローチするよりも7mAだけ小さくなり得る。
【0011】
本明細書に開示される非限定的な実施形態例は、先に説明される欠点の少なくとも一部を解決する。実施形態例は、臨界閾値レベルにあるときに素早く更新する閾値を獲得するための単純かつ迅速なやり方を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態によると、神経モニタリングデバイスのチャネルのグループ内の最も低い刺激閾値電流レベルを決定するための方法であって、各チャネルが1つ又は複数の筋肉と関連付けられる、方法は、刺激信号を送達することによって、ある周波数で送達される一連のパルスとして、予め定められた電流レベルの範囲内からのある電流レベルで組織を刺激することを含む。刺激することは、第1の電流増分だけ、直前パルスから一連のパルス内の各パルスの電流レベルを増大させることを含む。本方法は、一連のパルスからの第1の誘発パルスが第1の筋肉反応を誘発すると決定することを含む。本方法は、第2の筋肉反応を誘発するために、一連のパルスからの第2の誘発パルスで組織を刺激することを含む。刺激することは、一連のパルス内の各パルスの送達の周波数を減少させること、及び、第2の電流増分だけ、直前パルスから一連のパルス内の各パルスの電流レベルを増大させることを含む。本方法はまた、一連のパルスからの第2の誘発パルスが第2の筋肉反応を誘発すると決定することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2の電流増分は、第1の電流増分と同じである。いくつかの実施形態において、一連のパルスからの第1の誘発パルスが第1の筋肉反応を誘発すると決定することは、第1の誘発パルスの第1の電流レベルを格納することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の誘発パルスが第1の筋肉反応を誘発すると決定することは、第1の筋肉反応を表す第1の信号を受信することを含み、第2の誘発パルスが第2の筋肉反応を誘発すると決定することは、第2の筋肉反応を表す第2の信号を受信することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1の信号を第2の信号と比較することと、第1の信号が第2の信号と一致すると決定することと、第1の誘発パルスの第1の電流レベルを表示することとを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1の信号を第2の信号と比較することと、第1の信号が第2の信号と一致しないと決定することと、第3の筋肉反応を誘発するために一連のパルスからの第3の誘発パルスで組織を刺激することとを含む。刺激することは、一連のパルス内の各パルスの送達の周波数を増大させること、及び、直前パルスから一連のパルス内の各パルスの電流レベルを増大させることを含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、本方法は、予め定められた電流レベルの範囲内の最大刺激電流レベルに達するまで誘発パルスを継続して送達することを含む。いくつかの実施形態において、チャネルのグループ内のチャネルの各々からの筋肉反応があること、又はないことが決定される。
【0017】
いくつかの実施形態によると、刺激閾値を決定するための方法は、予め定められた反応を生成する第1の電流レベルを決定するために、複数の刺激パルスを送達することによって閾値を決定することを含む。本方法は、別の予め定められた反応を生成するために少なくとも同じ電流レベルで少なくとも1つの刺激パルスを継続して送達することを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態によると、医学的治療の方法は、本明細書に説明される任意の装置及び方法を使用して医学的手技を実施することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態によると、刺激閾値電流レベルを決定するための方法は、少なくとも1つの電極を介して刺激パルスを送達することによって、一連のパルスとして、ある電流レベルで組織を刺激することを含む。刺激することは、直前パルスから一連のパルス内の各パルスの電流レベルを増大させることを含む。本方法は、一連のパルスからの第1の誘発パルスが第1の筋肉反応を誘発すると決定することを含む。本方法は、第2の筋肉反応を誘発するために、一連のパルスからの第2の誘発パルスで組織を刺激することを含む。刺激することは、一連のパルス内の各パルスの送達の周波数を減少させることを含み得る。刺激することは、直前のパルスに対して同じ又はより高い電流レベルで第2の誘発パルスを送達することを含み得る。本方法はまた、一連のパルスからの第2の誘発パルスが第2の筋肉反応を誘発すると決定することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態によると、神経モニタリングデバイスのチャネルのグループ内の最も低い刺激閾値電流レベルを決定するための方法であって、各チャネルが1つ又は複数の筋肉と関連付けられる、方法は、刺激信号を送達することによって、ある周波数で送達される一連のパルスとして、予め定められた電流レベルの範囲内で組織を刺激することを含む。一連のパルスは、予め定められた電流レベルの範囲内の第1の電流レベルで送達される第1のパルス、及び予め定められた電流レベルの範囲内の第2の電流レベルで送達される第2のパルスを含む。第1のパルスは、第2のパルスの直前に送達され得る。第2の電流レベルは、第1の電流レベルより高くてもよい。本方法は、第2のパルスが、第1の反応と類似する筋肉反応を誘発すると決定することを含み得る。本方法はまた、第3の筋肉反応を誘発するために、一連のパルスからの第3のパルスで組織を刺激することを含む。第3のパルスは、第2の電流レベルよりも高い第3の電流レベルで送達され得る。本方法は、第3のパルスが第1及び第2の反応と類似する第3の筋肉反応を誘発すると決定することを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、刺激することは、一連のパルス内の各パルスの送達の周波数を減少させること、及び、第1の電流レベルと第2の電流レベルとの差よりも大きい量だけ第3のパルスの電流レベルを増大させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、一連のパルスからの第2のパルスが第1の筋肉反応を誘発すると決定することは、第2の電流レベルを格納することをさらに含む。いくつかの実施形態において、第2のパルスが第1の筋肉反応に類似する筋肉反応を誘発すると決定することは、第1の筋肉反応を表す第1の信号を受信することを含み、第3のパルスが第2の筋肉反応に一致する筋肉反応を誘発すると決定することは、第2の筋肉反応を表す第2の信号を受信することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1の信号を第2の信号と比較することと、第1の信号が第2の信号と一致すると決定することと、第2のパルスの第2の電流レベルを表示することとを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、第1の信号を第2の信号と比較することと、第1の信号が第2の信号と一致しないと決定することと、第3の筋肉反応を誘発するために、一連のパルスからの第4のパルスで組織を刺激することとを含む。刺激することは、一連のパルス内の各パルスの送達の周波数を増大させることを含み得る。刺激することはまた、直前パルスから一連のパルス内の各パルスの電流レベルを増大させることを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、本方法は、予め定められた電流レベルの範囲内の最大刺激電流レベルに達するまでパルスを継続して送達することを含む。いくつかの実施形態において、チャネルのグループ内のチャネルの各々からの筋肉反応があること、又はないことが決定される。
【0024】
いくつかの実施形態によると、神経生理学的アセスメントを実施するための方法は、神経モニタリングデバイスのチャネルのグループ内の最も低い刺激閾値電流レベルを決定することを含み、各チャネルは、1つ又は複数の筋肉と関連付けられる。最も低い刺激閾値電流レベル(ST)を決定することは、組織内で刺激信号を送達することと、チャネルのグループに対する筋肉反応をモニタリングして、刺激信号がチャネルのいずれかから著しい筋肉反応を誘発すると決定することとを含む。刺激信号は、ある周波数で送達される一連のパルスとして、特定の潜在的な電流レベルの範囲内で送達され得る。各パルスの電流レベルは、著しい筋肉反応を誘発するために必要とされる電流レベルが決定されるまで、増分だけ、直前パルスから増大され得る。刺激閾値電流レベルを決定する際、刺激の周波数は減少され得、刺激電流レベル間の増分が増大され得る。本方法は、特定の潜在的な電流レベルの範囲内の最大刺激電流レベルに達するまで刺激パルスを継続して送達することをさらに含む。任意の他のチャネルからの反応があること、又はないことが決定され、次いでプロセス全体が、刺激閾値電流レベル(ST)におけるいかなる変化も経時的に決定するために繰り返される。
【0025】
いくつかの実施形態において、筋肉反応は、EMGセンサによって検出され、刺激閾値電流レベルは、筋肉反応が予め定められたピークツーピーク電圧に達するときに決定される。筋肉反応は、MMG(筋音図)センサによって検出され得、刺激閾値電流レベルが決定され得る。いくつかの実施形態において、20uV~100uVの範囲内からの予め定められたピークツーピーク電圧。いくつかの実施形態において、刺激電流レベルは、ユーザインターフェース上でユーザに表示される。いくつかの実施形態において、刺激閾値電流レベルは、ユーザインターフェース上でユーザに表示される。
【0026】
いくつかの実施形態において、刺激に対する筋肉反応は、ユーザインターフェース上でユーザに表示される。いくつかの実施形態において、増分は、0.25mA又は0.5mAであり、周波数は、20Hzである。いくつかの実施形態において、増大された増分は、2.0mAであり、減少された周波数は、5Hzである。いくつかの実施形態において、特定の潜在的な電流レベルの範囲は、最大20mAを有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、方法は、患者の脊椎の少なくとも1つの領域又は抹消神経部位に向かって導入される少なくとも1つのプローブ又は手術道具に対する神経の存在を査定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、術中モニタリングのためのデバイス、装置、又はシステムは、手術道具、及び組織内で刺激信号を送達し、チャネルのグループにおける筋肉反応をモニタリングして、刺激信号が、チャンネルのいずれかからの著しい筋肉反応を誘発するときを決定する1つ又は複数の構成要素を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態によると、患者の脊椎の少なくとも1つの領域及び抹消神経部位に向かって導入される少なくとも1つのプローブ又は手術道具に対する神経の存在を査定するための方法は、プローブ又は手術道具上に配設された電極から、上記プローブ又は道具が、椎体、患者の脊椎の椎間板の任意の側面に向かって導入される、又は任意の抹消運動神経近くに置かれる際に、刺激信号を放出することを含む。本方法は、任意の予め定められた神経-筋肉反応が刺激信号によって引き起こされるかどうかを決定するために、上記脊髄神経に結合された筋肉を筋電図的にモニタリングすることを含む。本方法はまた、変動刺激周波数を利用して、予め定められた値の範囲にわたって上記刺激信号の強度レベルを増大させることと、どの神経-筋肉反応が最も低い刺激パルスによって引き起こされるか、及び任意の他の神経-筋肉反応が範囲全体にわたって引き起こされるかどうかを計算することとを含む。本方法はまた、上記予め定められた神経-筋肉反応を引き起こすために必要とされる上記最も低い強度レベルの上記刺激信号をオペレータに通信することを含む。予め定められた神経-筋肉反応を引き起こすために必要とされる強度レベルは、スイープ範囲内での上記脊髄神経の存在を表す。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記予め定められた反応を引き起こすために必要とされる上記刺激信号の上記最も低い強度レベルを特定する際、本方法は、予め定められた範囲にわたって刺激信号を継続して放出することを含む。本方法は、予め定められた範囲について刺激信号を継続して放出することを含み得、予め定められた範囲内でより強力な信号を連続して放出することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、予め定められた範囲内でより強力な信号を連続して放出することは、予め定められた反応を放出するために必要とされる最も低い強度レベルを特定する前の周波数と比較して、信号放出の周波数を減少させること、及び/又は、予め定められた反応を放出するために必要とされる最も低い強度レベルを特定する前の周波数と比較して、刺激強度における増加を増大させることを含む。いくつかの実施形態において、刺激信号は、少なくとも1つのプローブ又は手術道具の長さに沿って至る所に配設された電極から放出される。
【0032】
いくつかの実施形態において、神経-筋肉反応を検出することは、複数の脊髄神経の各々に対応する、複数の、遠位に離間された筋節位置で、神経-筋肉反応を検出することを伴う。いくつかの実施形態において、本方法は、電気刺激信号の強度レベルが、その最も低いレベルで再開され、同じ範囲にわたってスイープされる間、本方法を繰り返すことを含む。いくつかの実施形態において、刺激信号の刺激レベルの強度及び周波数は、増分的に変化する。いくつかの実施形態において、刺激信号の強度レベルは、それが極端な刺激範囲に達するまで経時的に増大される。
【0033】
いくつかの実施形態において、本方法は、繰り返しシーケンスで実施される。いくつかの実施形態において、本方法は、自動的に繰り返される。いくつかの実施形態において、本方法は、オペレータ制御下で繰り返される。いくつかの実施形態において、上記オペレータに通信することは、任意の上記予め定められた神経-筋肉反応、並びにすべての上記予め定められた神経-筋肉反応を引き起こすために必要とされる刺激信号の最も低い強度レベルを、上記オペレータに、視覚的に示すこと及び音声で示すことのうちの少なくとも一方を伴う。いくつかの実施形態において、本方法は、本方法を繰り返し、それにより、上記神経の神経-筋肉反応の連続したセットを検出及び測定することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、上記神経が少なくとも1つのプローブ又は手術道具のスイープ範囲内であることを上記オペレータに視覚的に示すことを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、本方法は、上記脊髄神経が少なくとも1つのプローブ又は手術道具の遠位端の近くに位置付けられることを上記オペレータに音声で示すことを含む。上記オペレータに音声で示すことは、任意の上記予め定められた神経-筋肉反応を引き起こすために必要とされる刺激信号の最も低い強度レベルが特定の予め定められた刺激強度にあるか、又はそれ未満であるときに、警報を鳴らすことを伴う。警報の音量は、任意の上記予め定められた神経-筋肉反応を引き起こすために必要とされる刺激信号の最も低い強度レベルに従って変化する。警報の周波数は、任意の上記予め定められた神経-筋肉反応を引き起こすために必要とされる刺激信号の最も低い強度レベルに従って変化する。
【0035】
いくつかの実施形態において、本方法は、複数の筋節に対して実施される。いくつかの実施形態において、医療機器は、インプラント、ロッド、固定デバイス、椎間板置換材、プローブ、拡張器、開創器、椎弓根スクリュー、椎弓根スクリュー通し、神経刺激装置、キュレット、鉗子、針、マイクロ解剖器具、骨鉗子、挺子、ラスプ、ガウジ、手術部位照明、及び吸引管からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本主題の実装形態に従う、刺激閾値を決定するためのプロセスの実施形態を示す図である。
【
図2】本主題の実装形態に従う、刺激パターンの実施形態を示す図である。
【
図3】本主題の実装形態に従う、刺激に対する反応を処理し、刺激閾値を決定するためのプロセスの実施形態を示す図である。
【
図4】本主題の実装形態に従う、刺激閾値を決定するためのプロセスの実施形態を示す図である。
【
図5】本主題の実装形態に従う、刺激閾値を決定するためのプロセスの実施形態を示す図である。
【
図6】本主題の実装形態に従う、波形応答の例となるエポックの実施形態を示す図である。
【
図7】本主題の実装形態に従う、波形応答の例となるエポックの実施形態を示す図である。
【
図8A】本主題の実装形態に従う、例となる波形応答の実施形態を示す図である。
【
図8B】本主題の実装形態に従う、例となる波形応答の実施形態を示す図である。
【
図9】本主題の実装形態に従う、モデル神経モニタリングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本主題の実装形態によると、神経であって、その神経によって支配を受ける1つ又は複数の筋肉における記録可能な反応を結果としてもたらす、神経の刺激閾値を自動的に検出するためのシステム、方法、デバイス、及び/又はコンピュータ実装のアルゴリズムが開示される。本システム、方法、デバイス、及び/又はコンピュータアルゴリズムは、神経モニタリングデバイスのチャネルのグループ内の最も低い刺激閾値電流レベルを決定することに関する。各チャネルは、1つ又は複数の筋肉と関連付けられてもよい。
【0038】
本明細書に説明されるように、刺激強度(SI)は、規定の持続時間、典型的には、50、100、又は200マイクロ秒のうちの1つのアンペア数で電気刺激電流レベルを指す。刺激閾値(ST)は、近くの神経又は隣接する神経を脱分極させる最も低いSIと定義される。STは、1つ又は複数の付着した筋肉の記録可能な脱分極を結果としてもたらし得る。筋肉の脱分極は、筋肉上に位置付けられた電極を使用して筋電図(EMG)又は筋音図(MMG)により記録され得る。結果として生じるEMG又はMMGは、脱分極を示すことになる。調査範囲(IR)は、ユーザにとって自身の特定の応用のために関心のあるSIの範囲であり、典型的には、刺激されている組織の相対的な健全性、近接性、又は構造的な完全性を明らかにするSTを含むように決定される。IRは、特定の応用に基づいて予め定められ、及び/又は、医療提供者によってカスタマイズ若しくは選択され得る。例示的な実施形態において、IRは、IRのいくつかのバージョンが、異なる又は同じ刺激周波数及び増分で存在するように、患者の特定の状況に合わせて調整され得る。刺激周波数(周波数)は、刺激が組織に送達される周波数である。刺激増分(増分)は、後続の刺激間の刺激強度の増加的変化である。
【0039】
本主題の実装形態において、刺激プローブは、1つ又は複数の近くの神経に対して作用する刺激パルスを提供するために使用され得る。プローブは、刺激パルスを提供する電極を含み得る。いくつかの実施形態において、電極は、プローブとは別に患者の上に置かれる。プローブは、静止していてもよく、及び/又は軌道に沿って移動されてもよい。
【0040】
本主題に従う、閾値刺激パルスを決定するためのシステム、デバイス、及び方法は、ボトムアップアプローチを使用して実装されてもよい。例えば、本明細書でより詳細に説明されるように、刺激パルスは、電流閾値に下からアプローチすることによって、例えば、刺激電流を低い値から開始して増分的に増大させることによって、患者に印加される。本主題に従う構成は、電流閾値の精度及び/又は繰り返し性を改善する。
【0041】
図1は、本主題の実装形態に従う、電流閾値を決定するための例となる方法100を示すフロートチャートを例証する。ステップ102において、IR、周波数、及び/又は初期電流が規定され得る。IR、周波数、及び/又は初期電流は、システムによって、及び/又はユーザインターフェースを介してユーザからシステムによって受信される入力を通じて、自動的に規定され得る。
【0042】
104において、本デバイスは、高周波数でかつ低電流(例えば、SI)を用いてパルスを送達することによって患者の組織の刺激を開始する。例えば、いくつかの実施形態において、SIは、最初、0.25mAに設定され得、初期周波数は、20Hzに設定され得る。
【0043】
106において、SIは、各送達パルス後に増分的に増大され得る。
図2は、SIが各送達パルス後に増分的に増大される一連のパルスの例を例証する。いくつかの実施形態例において、刺激は、20Hzの周波数で0.25mAのSIにおいて開始する。したがって、SIは、各パルスが患者の組織に送達された後、0.25mAごとなど、増分的に増大され得る。
【0044】
本システムは、ステップ108において、SIに応じて初期反応がシステムによって受信されるまで同じ周波数で患者に刺激パルスを継続して送達し得る(
図2を参照されたい)。SIに応じてシステムによって受信される反応がない場合、本システムは、ステップ106において患者に刺激パルスを継続して送達し得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、STは、結果として生じるEMG又はMMGを使用することによって検出され得る。STは、結果として生じる筋肉活動が、ピークツーピーク電圧として測定されるものなど、予め定められた大きさに達するときに決定され得る。いくつかの実施形態において、予め定められた大きさは、20uV~100uVの範囲内からのピークツーピーク電圧である。次いで本システムは、112などにおいて、例えば、ユーザインターフェース上で、ユーザに閾値を示す。
【0046】
STは、複数のチャネルから決定され得、STは、チャネルのうちのいずれかから観察される最も低い閾値(即ち、結果として生じる筋肉活動)である。したがって、多チャネルシステム内の各チャネルを個別に査定するのではなく、本システムは、すべてのチャネルにおける筋肉反応を査定し、最も低い刺激閾値反応からSTを決定し得る。
【0047】
電位閾値が決定された後、本システムは、患者に刺激パルスを継続して送達し得る。110において、刺激周波数は減少され、1つ又は複数のパルスの電流は増大される。いくつかの実施形態において、刺激周波数は、5Hzに減少される。いくつかの実施形態において、増分サイズは、2mAに増大される。減少された周波数並びに増加された電流及び/又は電流増分を使用して、本システムは、114において、電流レベルがIRの最上に達するまで、患者に刺激パルスを継続して送達し得る。いくつかの実施形態において、IRの最大は、20mAである。追加の筋肉反応が、記録されている他の筋肉から採用される場合、ユーザディスプレイは、それらの筋肉がIR内であることをユーザに示す。次いで本システムは、102においてプロセスを繰り返し、ユーザがプロセスを停止するまで、又はシステムがプロセスを自動的に停止するまで、各スイープでSTを更新し得る。
【0048】
STの変化は、例えば手術コリドーを展開しながら、神経健全性、隣接する構造体の完全性、又は神経近接性を説明し得る。いくつかの実施形態において、変化は、茎完全性、神経病理、及び脊髄健全性のうちの少なくとも1つを説明し得る。特定の実施形態において、開示されるシステム及び方法は、神経近接性を決定するのに有用である。この目的のため、STの減少は、神経の接近を示し、その特定の接近軌道を中断するようにユーザに示し得る。特定のSTは、プローブが神経に近すぎること、及び神経損傷が差し迫っている可能性があることを示し得る。したがって、STの継続的な検出及び更新は、例えば、周囲の神経にとって安全である手術コリドーを決定することにおいて、ユーザを誘導する。
【0049】
いくつかの実施形態において、典型的には神経への近接性又は間の組織の完全性の欠如を示す、STが低い場合には、STを更新する間隔は減少し得る。いくつかの実施形態において、本アルゴリズムは、刺激周波数と共に変化する均一サイズの増分を使用し得る。いくつかの実施形態において、本アルゴリズムは、増分を対数的に変化させ得る。いくつかの実施形態において、本アルゴリズムは、STに従って増分を変化させ得る。
【0050】
図3は、本主題の実装形態に従う、刺激に対する反応を処理し、刺激閾値を決定するための方法300の実施形態例を例証する。本システムは、プローブと結合された、又はプローブから分離した、神経経路の上に置かれた電極により、電気パルスで患者の神経経路の刺激を(例えば、自動的に)引き起こすことができる。刺激は、結果として得られる複数の電気信号を、神経モニタリングデバイスによってなど、システムによって記録され得る波形の形態で生成することができる。刺激は、設定された初期周波数で、固定電流増分で電流レベル(例えば、強度)を増大させながら患者に印加される。この手法では、刺激は、高周波数、及び上昇する強度レベルで患者に印加される(例えば、
図2を参照されたい)。
【0051】
302において、応答信号は、1つ若しくは複数のフィルタリング技法、数学的変換、又は他の前処理技法を使用して、前処理され得る。304において、応答信号は、ノイズ除去され得る。ノイズ除去プロセスの例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月21日に出願された、表題「MEDICAL SYSTEMS AND METHODS FOR DETECTING CHANGES IN ELECTROPHYSIOLOGICAL EVOKED POTENTIALS」の米国特許出願第15/927,921号に説明される。例えば、本システムは、数ある中でもとりわけ、電位データに基づいて複数の誘発電位波形(EP)を生成すること、複数のEPのサブセットのアンサンブル平均波形(EA)を計算すること、結果として得られるEAに数学的小波変換を適用すること、変換されたEAからノイズ成分を減衰すること、及び/又はノイズ除去されたEAを生成するために、変換されたEAに逆変換を適用することができる、処理回路を含むことができる。いくつかの実装形態において、EAは、自動的にノイズ除去され得る。いくつかの実装形態において、ノイズ除去法は、数学的小波変換など、少なくとも1つの小波変換をEAに適用すること(例えば、自動的に適用すること)を含み得る。いくつかの実装形態において、ノイズ成分が、変換されたEAから減衰され得、及び/又は、逆変換が、ノイズ除去されたEAを生成するために、変換されたEAに適用され得る。
【0052】
306において、ノイズ除去された応答信号がセグメント化され得る。例えば、1つ又は複数の応答信号は、グループ化され得、及び/又は別の方法で収集され得る。
【0053】
308において、ノイズ除去された応答信号の1つ又は複数のグループの1つ又は複数の特徴セットが抽出され得る。各特徴セットは、収集された信号及び/又はデータの1つ又は複数の特徴を含み得る。例えば、特徴は、ゼロクロッシング、波形長、最小数及び/若しくは最大数、並びに/又は同様のものなどの時間複雑性特徴を含み得る。いくつかの実装形態において、特徴は、オンセットピーク若しくはネガティブピークのレイテンシ、ネガティブピーク振幅若しくはピークツーピーク振幅、反応のネガティブピーク振幅若しくは整流領域(例えば、絶対値領域)、ネガティブピークの持続時間及び/又は上昇若しくは降下勾配、並びに/又は同様のものを含み得る。いくつかの実装形態において、特徴は、CMAPのトラフ間の時間(例えば、持続時間)、CMAP振幅、スペクトルコヒーレンス、線形予測係数、自己回帰係数、及び/又は同様のものを含み得る。特徴セットは、予め定められてもよく、及び/又は自動的に選択されてもよい。
【0054】
いくつかの実装形態において、特徴は、単一のエポックを分類するために単一の特徴セットに含まれ得るか、又は特徴は、数Nの特徴セットに含まれ得、Nは、システムによって分析されるエポックの数である。例えば、いくつかの実装形態において、4つのエポックが分析され、振幅のみが考慮される場合、システムは、合計4つの特徴を抽出する。
【0055】
310において、1つ又は複数の特徴セットが抽出されると、システムは、分類器を使用して、1つ若しくは複数の特徴セット、及び/又は特徴セットの1つ若しくは複数の特徴を分類し得る。特徴セットの分類は、少なくとも2つの応答信号又は応答信号のグループ間の類似性を決定するのに役立ち得る。分類器は、統計的確率モデル(例えば、多変量ガウシアン)、決定木、サポートベクター分析、ニューラルネットワーク、閾値化、最近傍、分類器、及び/又は同様のものを含み得る。いくつかの実装形態において、分類器は、CMAPS間の自動相関及びCMAPS間の時系列類似性測定基準(例えば、動的時間伸縮)を含み得る。したがって、2つ以上の応答信号が、閾値が達成されたことを確認するために比較され得る。
【0056】
図4は、本主題の実装形態に従う、神経モニタリングデバイスを使用して最も低い刺激閾値電流レベルを決定するための方法400の実施形態例を例証する。402において、本システムは、プローブと結合された、又はプローブから分離した、神経経路の上に置かれた電極により、電気パルスで患者の神経経路の刺激を(例えば、自動的に)引き起こすことができる。刺激パルスは、初期周波数及び初期電流レベルで患者に提供され得る。刺激は、結果として得られる複数の電気信号を、神経モニタリングデバイスによってなど、システムによって記録され得る波形の形態で生成することができる。
【0057】
404において、本システムは、患者に刺激パルスを継続して送達することによって、患者の神経経路の刺激を継続して引き起こすことができる。継続した刺激パルスは、同じ又はより低い周波数で送達され得る。継続した刺激パルスは、同じ電流レベルにある、及び/又は1つの電流増分若しくは様々な電流増分だけ増大する、1つ又は複数のパルスの電流レベル(例えば、強度)で送達され得る。この手法では、刺激は、高周波数、及び上昇する強度レベルで患者に印加される(例えば、
図2を参照されたい)。
【0058】
406において、本システムは、システムによって受信される1つ又は複数の応答信号に基づいて、本明細書に説明される方法に従って、予め定められた閾値に達すると決定することができる。予め定められた閾値に達すると、本システムは、408において、1つ又は複数の追加の筋肉反応を誘発するために、患者に刺激パルスを継続して送達する。予め定められた閾値に達した後、本システムは、より高い周波数及び増大する電流レベルで、患者に刺激パルスを継続して送達し得る。閾値に達した後に刺激パルスを継続して送達することは、送達された刺激パルスに応じてシステムによって受信される応答信号の品質を改善することができる。応答信号の向上した品質は、より安定した及び/又は繰り返し可能な応答、並びに閾値決定をもたらし得る。
【0059】
410において、本システムは、本明細書に説明される方法に従って閾値に達したことを確認する、又は別の方法で検証することができる。例えば、本システムは、本明細書に説明されるように、初期応答信号が繰り返し可能であるかどうかを決定するために、閾値に達した後にシステムによって受信される1つ又は複数の応答信号を、互いに比較すること、及び/又は、閾値に達したときに受信される初期応答信号と比較することができる。いくつかの実装形態において、本システムは、1つ又は複数の特徴を収集された応答信号から抽出し、初期応答信号が繰り返し可能であるかどうかを決定するために1つ又は複数の特徴を分類することができる。
【0060】
図5は、本主題の実装形態に従う、神経モニタリングデバイスを使用して最も低い刺激閾値電流レベルを決定するための方法500の実施形態例を例証する。いくつかの実施形態によると、本方法は、デバイスが患者に1つ又は複数の刺激パルスを送達した後に、自動的に、及び/又は迅速に、刺激電流閾値を決定し得る。自動化誘発筋電位計測又は筋音図システムにおいて、予め定められた基準を満たすCMAP(例えば、筋肉反応)と関連付けられた刺激電流閾値を決定するのに有益であり得る。上で述べたように、いくつかのEMGシステムにおいて、一時的なノイズ外乱、自然発生のEMG急増若しくはバースト、及び/又は別の異常は、電気的に引き起こされたCMAPと不適切に間違えられ、誤って特定された閾値をもたらす場合がある。例えば、パルスシーケンス中にデバイスによって記録されるノイズは、誤った電流閾値決定を結果としてもたらし得る。本明細書に説明されるシステムは、擬陽性を低減し、ノイズ外乱を低減又は除去するのに役立ち得る。
【0061】
デバイスの実装は、電流閾値に達した後に1つ又は複数の刺激パルスで患者を継続して刺激することから生じる繰り返し可能な筋肉反応を獲得することによって、電流閾値を、少なくとも部分的に、確認し得る。下に論じられるように、電流閾値は、ディスプレイデバイスにより表示され得る。
【0062】
502において、患者の1つ又は複数の筋肉と関連付けられた組織の刺激が開始し得る。患者の組織を刺激するために、刺激プローブが、1つ又は複数の近くの神経に作用する1つ又は複数の刺激パルスを提供するために使用され得る。いくつかの実施形態において、刺激プローブに付着された、及び/又は刺激プローブから分離された1つ又は複数の電極が、1つ又は複数の刺激パルスを提供するために使用され得る。
【0063】
患者の組織は、プローブ及び/又は電極などによって、一連のパルスとして、刺激され得る。一般的に、刺激パルスは、例えば、予め定められた電流レベルの範囲の最も低い電流レベルから始めて刺激電流を増分的に増大させることによって、電流閾値に下からアプローチするように、デバイスによって患者に送達され得る。本明細書に説明される方法は、表示された電流閾値の精度及び/又は繰り返し性を改善することができる。
【0064】
例えば、刺激パルスは、予め定められた電流レベルの範囲内からの電流レベルを含むことができる。504において、初期電流レベル(I0)が設定され得る。初期電流レベルは、0.5mA又は別の低値に設定され得る。例えば、初期電流レベルは、0.25mA、0.75mA、1.0mA、1.25mA、又はそれ以上に設定され得る。
【0065】
初期電流レベルは、予め定められた電流値の範囲内の低終点として予め定められてもよく、及び/又は患者の特定の健康状態に基づいて自動的に選択されてもよい。一連のパルス内の1つ又は複数の刺激パルスの電流レベルは、同じであってもよく、及び/又は、第1の電流増分など、固定の電流増分だけ直前パルスから増大されてもよい。第1の電流増分は、0.5mAに設定され得る。いくつかの実施形態において、第1の電流増分は、0.25mA、0.75mA、1.0mA、1.25mA、又はそれ以上に設定される。第1の電流増分は、初期電流レベルに等しくてもよい。
【0066】
刺激パルスは、予め定められた周波数(例えば、刺激の速度)で送達され得る。例えば、506において、初期周波数が設定され得る。初期電流レベルは、予め定められた電流値の範囲内の低終点として予め定められてもよく、及び/又は患者の特定の健康状態に基づいて自動的に選択されてもよい。初期周波数は、ユーザ入力デバイスによって受信され得る。周波数は、最初は、例えば、20Hzに設定され得る。いくつかの実施形態において、周波数は、5Hz、10Hz、15Hz、25Hz、30Hz、又はそれ以上に設定され得る。
【0067】
508において、本デバイスは、患者に1つ又は複数の刺激パルスを送達し得る。一連のパルス内の各刺激パルスの電流レベルは、特定の基準を満たす反応がデバイスによって特定されるまで、電流増分ごとに自動的に増分され得る。
図2は、一連のパルスの例を例証する。
【0068】
いくつかの実施形態において、基準は、予め定められてもよい。基準は、筋肉反応が既定の閾値に達するかどうかを含むことができる。増分反応が繰り返し可能であるかどうか、したがって予め定められた閾値に達するかどうかを決定するために含まれ得る、特定の特徴などの他の基準は、オンセットピーク若しくはネガティブピークのレイテンシ、ネガティブピーク振幅若しくはピークツーピーク振幅、反応のネガティブピーク若しくは整流領域(例えば、絶対値領域)、ネガティブピークの持続時間及び/又は上昇若しくは降下勾配、並びに/又は同様のものを含み得る。いくつかの実装形態において、特徴などの基準は、CMAPのトラフ間の時間(例えば、持続時間)、CMAP振幅、スペクトルコヒーレンス、線形予測係数、自己回帰係数、及び/又は同様のものを含み得る。特徴セットは、予め定められてもよく、及び/又は自動的に選択されてもよい。いくつかの実装形態において、基準は、ゼロクロッシング、波形長、最小数及び/若しくは最大数、並びに/又は同様のものなどの時間複雑性特徴を含む。いくつかの実装形態において、特徴は、オンセットのレイテンシを含み得る。
【0069】
例えば、
図6は、患者に送達されている刺激パルスに応じてシステムによって受信される波形として示される、例となる応答信号を例証する。
図6に示されるように、閾値に達するための基準は、オンセット(例えば、地点0における時間から地点602における時間)若しくはネガティブピーク(例えば、地点0における時間から地点604における時間)のレイテンシ、ネガティブピーク振幅(例えば、地点602から地点604における振幅)若しくはピークツーピーク振幅(例えば、地点604から地点608における振幅)、反応のネガティブピーク(例えば、地点602から地点606までの曲線下の面積)若しくは整流領域(例えば、地点602から地点606及び地点606から地点610の間の整流領域)、ネガティブピークの持続時間(例えば、地点602から地点612までの時間)及び上昇(例えば、地点602から地点604までの振幅及び/又は時間)若しくは降下(例えば、地点604から地点606までの振幅及び/又は時間)勾配を含むことができる。
【0070】
図7は、患者に送達されている刺激パルスに応じてシステムによって受信される波形として示される、他の例となる応答信号を例証する。
図7に示されるように、閾値電流レベルは、電流レベル702又は電流レベル704などに、予め定められてもよい。
【0071】
本デバイスが、基準を満たす反応を受信及び特定すると、デバイスは、いくつかの場合においては、筋肉反応を誘発するのに十分に高い電流レベルを有する、より低い周波数及び/又はより高い電流レベルなどにある刺激パルスを継続して送達し得る。
【0072】
例えば、一連の刺激パルスは、第1のパルス、及び第1のパルスの直後に送達される第2のパルスを含むことができる。第1のパルスは、予め定められた電流レベルの範囲内の第1の電流レベルで送達され得、第2のパルスは、予め定められた電流レベルの範囲内の第2の電流レベルで送達され得る。第2の電流レベルは、第1の電流レベルより高くてもよい。例えば、第2の電流レベルは、第1の電流増分に等しい量だけ第1の電流レベルよりも高くてもよい。
【0073】
基準(例えば、予め定められた基準)を満たす第1の筋肉又は神経反応は、組織刺激に応じて受信され得る。例えば、510において、本システムは、第1の反応が、基準を満たす刺激パルスに応じて受信されたかどうかを決定することができる。いくつかの実装形態において、本システムは、受信信号からのアーチファクト(例えば、ノイズ)を除去することができ、及び/又は本明細書に説明される実装形態に従って受信信号をノイズ除去することができる。システムは、筋肉反応を表す第1の応答信号を受信することができる。
図4は、患者に送達される1つ又は複数の刺激パルスに応じて受信される筋肉反応を表す例となる波形を例証する。本システムが、基準を満たす応答信号を受信する場合、システムは、512において、直近のパルスの電流レベルを格納し、患者に刺激パルスを継続して送達することができる。格納された電流レベルは、閾値電流レベル(I
thresh)を示すことができる。
【0074】
本システムが、直近のパルス(例えば、第1の誘発パルス)が基準を満たす第1の筋肉反応を誘発したと決定する場合、本システムは、別の筋肉反応(例えば、第2の筋肉反応)を誘発するために少なくとももう1回の刺激パルス(例えば、第2の誘発パルス)で組織を刺激し得る。第2の誘発パルスで患者の組織を刺激するとき、本システムは、各刺激パルスの送達の同じ若しくは減少する周波数で(例えば、514において)、及び/又は第2の電流増分だけ、直前パルスから一連のパルス内の1つ若しくは複数のパルスの同じ若しくは増加する電流レベルで(例えば、516において)、一連のパルス内の1つ又は複数の刺激パルスを送達することができる。例えば、周波数は、5Hz(例えば、20Hzから)に減少され得る。いくつかの実施形態において、周波数は、2.5Hz、5Hz、7.5Hz、10Hz、又はそれ以上に減少され得る。刺激パルスの送達の周波数は、筋肉強直を回避するために減少され得る。いくつかの実装形態において、可変電流増分が実装されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、第2の電流増分は、第1の電流増分に等しく(例えば、第2の電流増分は、0.5mAに等しくてもよい)、又は電流増分は、変化してもよい。いくつかの実施形態において、第2の電流増分は、第1の電流増分よりも大きい。
【0076】
いくつかの実施形態において、518において、本システムは、患者の組織に数Nの追加の刺激パルスを送達することができ、N=2、3、4、5、6、又はそれ以上である。本システムは、N個の刺激パルスに応じて連続して及び/又は反復して受信される反応を分析し得る。
【0077】
例えば、本システムは、組織に送達される第2又はそれ以上の誘発パルスに応じて第2又はそれ以上の筋肉反応を表す少なくとも第2の信号(及び/又は、第3の信号、第4の信号、第5の信号など)を受信し得る。したがって、本システムは、第2の誘発パルスが第2の筋肉反応を誘発すると決定し得る。
【0078】
520において、システムは、第1の誘発パルスに応じて受信される第1の信号(
図4を参照されたい)及び第2の誘発パルスに応じて受信される少なくとも第2の信号(
図4を参照されたい)と比較することができる。いくつかの例において、本システムは、信号を連続的に比較することができる。例えば、本システムは、第1の信号を第2の信号と、第3の信号を第2の信号と、第4の信号を第3の信号と、及び/又は第5の信号を第4の信号となど、比較することができる。いくつかの例において、本システムは、信号のエポック(例えば、信号のプール)を同時に比較することができる。例えば、本システムは、数ある信号の中でも、第1の信号、第2の信号、第3の信号、第4の信号、及び/又は第5の信号を同時に比較することができる。
【0079】
520において、本システムが、第1の信号及び第2の信号などの少なくとも2つの信号が繰り返し可能であると決定する場合、本システムは、526において、格納された閾値電流レベルをユーザディスプレイに表示することができる。信号は、オンセット又はピークレイテンシ範囲、振幅範囲、面積、形態、電力、整流領域、電力、上向き勾配、下向き勾配、又はセグメント化された波形特徴を含む、1つ又は複数の方法によって、比較することによって繰り返し可能であると決定され得る。いくつかの実装形態において、本システムは、閾値反応の繰り返し性を決定するために、収集された応答信号から抽出される1つ又は複数の特徴を分類し得る。分類器は、統計的確率モデル(例えば、多変量ガウシアン)、決定木、サポートベクター分析、ニューラルネットワーク、閾値化、最近傍、分類器、及び/又は同様のものを含み得る。いくつかの実装形態において、分類器は、CMAPS間の自動相関及びCMAPS間の時系列類似性測定基準(例えば、動的時間伸縮)を含み得る。したがって、2つ以上の応答信号が、閾値が達成されたことを確認するために比較され得る。加えて、520において、2番目、3番目、4番目、及び範囲最後の反応は、著しく変化し得、振幅、形態、面積、勾配、電力、又はレイテンシのうちの1つ又は複数によってアーチファクトから区別され得る。
【0080】
図8A及び
図8Bは、患者への刺激パルスの送達に応じて受信される例となる応答信号を例証する。
図8A及び
図8Bに示されるように、閾値応答信号802及び別の後続応答信号804は、面積比較法を使用するなどして、繰り返し性と、閾値が達成されたという確認とについて比較され得る。1つ又は複数の波形を捕捉する際、本システムは、目的の時間領域(例えば、t
1からt
2)にわたって波形同士の類似性を決定することができる。縮尺係数kは、
図8Aに示される第1の波形(例えば、波形802)のピークツーピーク振幅を
図8Aに示される第2の波形(例えば、波形804)のピークツーピーク振幅で除算することによって決定され得る。波形は、整流(絶対値)表現に変換され得る(
図8Bを参照されたい)。第1の整流波形802Aの面積は、A
1として計算される。第2の整流波形804Aは、2つの振幅を正規化するために縮尺係数kで乗算され、次いで第1の整流波形802Aから逐点様式で減算される。次いで、この差は、差面積A
diffを計算するために、目的の時間領域にわたって積分され得る。類似性、及びしたがって繰り返し性は、差面積A
diffが第1の波形面積A
1の予め定められた割合(例えば、20%)よりも小さいときに発見され得る。
【0081】
522において、いくつかの実施形態において、第1及び第2の信号など、少なくとも2つの信号が繰り返し可能であるとシステムが決定する場合、システムは、患者の組織を前の誘発パルスと同じ又はそれよりも高い電流を有する別の誘発パルスで再度刺激することができる。ここで、電流レベルは、電流増分だけ増分されてもされなくてもよい。例えば、追加の誘発パルスの電流レベルは、前の誘発パルスの電流レベルと同じであってもよい。524において、本システムは、上に説明される方法を使用して、追加の誘発パルスに応じて受信される追加の信号を、第1及び第2の信号など、少なくとも第1の2つの繰り返し可能な信号と比較することができる。追加の信号が、以前に決定された繰り返し可能な信号との類似性の基準を満足する場合、本システムは、526において、格納された閾値電流レベルをユーザディスプレイに表示し得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、520において、本システムが、第1及び第2の信号などの分析された信号が繰り返し可能でないと決定する場合、本システムは、528において、パルスシーケンス内のパルスの周波数を(例えば、20Hzに)増大し、530において、電流増分だけ(例えば、0.5mAだけ)電流レベルを増大させることができる。いくつかの実装形態において、パルスの周波数は、変化しなくてもよく、及び/若しくは低くされてもよく、並びに/又は、電流レベルは変化しなくてもよい。プロセスは、追加の誘発パルスが繰り返し可能であるかどうかを決定するために一連の刺激パルスを患者に送達することによって、508において繰り返され得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、524において、本システムが、第1の信号、第2の信号、及び/又は追加の信号などの分析された信号が繰り返し可能でない、又はアーチファクトに引き起こされる、と決定する場合、本システムは、516において、パルスシーケンス内のパルスの電流レベルを電流増分だけ(例えば、0.5mAだけ)増大させることができる。プロセスは、追加の誘発パルスが繰り返し可能であるかどうかを決定するために一連の刺激パルスを患者に継続して送達することによって、518において繰り返され得る。
【0084】
532において、本システムは、患者の組織への刺激パルスの送達を継続すべきかどうかを決定する、又は上記の基準を使用することにより別の電流閾値を設置し続けるべきかどうかを決定することができる。
【0085】
532において、本システムが、追加の刺激パルスが患者に送達されるべきであると決定する場合、プロセスが504において再開し得る。532において、本システムが、追加の刺激パルスが患者に送達されるべきでないと決定する場合、プロセスが534において終了し得る。いくつかの実施形態において、プロセスは、単一の電流閾値結果を生み出して終了し、刺激範囲全体にわたって刺激スイープを完了するために単一パスで実行されてもよく、及び/又は、変化する電流閾値の値を継続して表示するために繰り返されてもよい。
【0086】
本明細書に説明されるシステム、デバイス、装置、方法、アルゴリズム、及び他の実施形態は、外科手技などの医学的手技、並びに医療器具及び手術器具と関連して利用され得る。例えば、様々なシステム、デバイス、装置、方法、アルゴリズム、及び他の実施形態は、脊椎若しくは神経系に関与する医学的手技、又は手技中の神経の健全性及び/若しくは完全性をモニタすることが望ましい他の種類の手技において利用され得る。例えば、脊椎手術又は他の手術は、横方向アプローチ又は従来の前方及び/若しくは後方手術アプローチによって実施され得る。したがって、本システム、デバイス、装置、方法、アルゴリズム、及び他の実施形態は、インプラント、ロッド、固定デバイス、椎間板置換材、プローブ、拡張器、開創器、椎弓根スクリュー、椎弓根スクリュー通し、神経刺激装置、キュレット、鉗子、針、マイクロ解剖器具、骨鉗子、挺子、ジャムシディ針、ラスプ、ガウジ、手術部位照明、又は吸引管を含むが、これらに限定されない医療装置及び器具と関連して、統合又は使用され得る。
【0087】
例証及び説明される様々な例は、特許請求の範囲の様々な特徴を例証するために単に例として提供される。しかしながら、任意の所与の例に関して示され説明される特徴は、関連付けられた例に必ずしも限定されず、示され説明される他の例と共に使用され得る、又は組み合わされ得る。さらに、特許請求の範囲は、任意の1つの例によって限定されることは意図されない。
【0088】
先述のシステム、方法、及びデバイスの説明及び図面は、単に例証的な例として提供され、様々な例のステップが提示された順序で実施されなければならないことを要求又は暗示することは意図されない。当業者に理解されるように、先述の例におけるステップの順序は、別の順序で実施されてもよい。「その後」、「次いで」、「次に」などの言葉は、ステップの順序を限定することは意図されず、これらの言葉は、方法の説明を通して読者を誘導するために単に使用される。さらに、例えば、冠詞「a」、「an」、又は「the」を使用する、単数での特許請求要素へのいかなる言及も、その要素を単数に限定すると企図されないものとする。
【0089】
本明細書に開示される例と関連して説明される様々な例証的な論理ブロック、モジュール、及びアルゴリズムステップは、全体的に、又は部分的に、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装されてもよい。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に例証するため、様々な例証的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、及びステップは、それらの機能性に関して、上に全体的に説明されている。そのような機能性がハードウェア又はソフトウェアとして実装されているかどうかは、特定の用途、及びシステム全体に課せられる設計制約に依存する。当業者は、説明された機能性をそれぞれの特定の用途に合わせて様々なやり方で実装し得るが、そのような実装形態の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。
【0090】
図9を参照すると、本主題のいくつかの実装形態によると、上に説明される方法は、神経モニタリングデバイス30を用いて実装される。デバイス30は、システムの動作及び制御のためのハードウェア及びソフトウェアを含む。いくつかの実装形態によると、デバイス30は、いくつかある構成要素の中でも、コンピューティングシステム31、入力デバイス36、及びディスプレイデバイス37などのグラフィック警告システムを含む。コンピューティングシステムは、プロセッサ33及びメモリ34を有する処理回路32を備える。プロセッサ33は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ若しくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理構成要素群、又は他の好適な電子処理構成要素若しくはプログラマブル論理デバイス、離散的なゲート若しくはトランジスタ論理、離散的なハードウェア構成要素、又は本明細書に説明される機能を実施するように設計される、それらの任意の組み合わせとして実装され得る。メモリ34(例えば、メモリ、メモリユニット、ストレージデバイスなど)は、本出願に説明される様々なプロセスを完了又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを格納するための1つ又は複数のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクストレージなど)である。メモリ34は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよく、又はそれを含んでもよい。メモリ34は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本出願に説明される様々な活動をサポートするための任意の他の種類の情報構造を含んでもよい。いくつかの実装形態によると、メモリ34は、プロセッサ33に通信可能に接続され、本明細書に説明される1つ又は複数のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。メモリ34は、各々が特定の種類の機能に関するデータ及び/又はコンピュータコードを格納することができる様々なモジュールを含んでもよい。
【0091】
依然として
図9を参照すると、コンピューティングシステム31は、通信インターフェース35をさらに含む。通信インターフェース35は、直接接続又はネットワーク接続(例えば、インターネット接続、LAN、WAN、又はWLAN接続など)を介して外部源とデータ通信を行うための、有線又は無線インターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、ワイヤ端子など)であってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0092】
別途具体的に記載のない限り、以下の議論から明らかであるように、明細書の議論全体を通して、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」などの用語を利用することは、コンピューティングシステムのレジスタ及び/又はメモリ内の、電子など、物理的な量として表されるデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、又は他のそのような情報格納、送信、若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータへと操作及び/又は変換する、コンピュータ若しくはコンピューティングシステム、又は類似の電子コンピューティングデバイスの行為及び/又はプロセスを指す。
【0093】
先の説明は、当業者が本明細書に説明される様々な態様を実践することを可能にするために提供される。これらの態様に対する様々な変形は、当業者には容易に明らかになるものとし、本明細書に規定される一般原理は、他の態様に適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることは意図されないが、全範囲が請求項文言と一致するものとして扱われ、単数形での要素への言及は、「1つの唯一無二」を意味することは、そのように具体的に記載されない限りは意図されず、むしろ「1つ又は複数」を意味する。別途具体的に記載されない限り、用語「いくつかの」は、1つ又は複数を指す。当業者に知られている、又は今後知られることになる、先の説明全体を通して説明される様々な態様の要素のすべての構造的及び機能的な等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されるものについて、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されるかどうかにかかわらず、一般大衆に捧げることが意図されるものはない。要素が「~のための手段(means for)」という表現を使用して明示的に列挙されない限り、ミーンズプラスファンクション(means plus function)として企図される特許請求要素はない。