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特許7179048統合された光学的に動作する近接センサーを持つディスプレイデバイス
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  • 特許-統合された光学的に動作する近接センサーを持つディスプレイデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】統合された光学的に動作する近接センサーを持つディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
G06F3/042 470
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020501159
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2018068951
(87)【国際公開番号】W WO2019012046
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】102017212103.3
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017121599.9
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァープ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】タルノフスキ,トーマス
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0193818(US,A1)
【文献】特開2005-295399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0213323(US,A1)
【文献】特開2012-060362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の手や手の指といったディスプレイデバイスの正面の観察空間にある物体を検知するための統合された光学的に動作する近接センサーを持つディスプレイデバイスであって、
情報を表示するディスプレイ面を有する正面側、前記ディスプレイ面に隣接し、情報表示には用いられないエッジ領域(18)、及び後面側を備えるディスプレイユニット(22)と、
観察空間へ向かってセンサー光を放射する少なくとも1つの発信器(32)、及び観察空間から反射したセンサー光を受け取る少なくとも1つの受信器(34)を有する近接センサーシステム(30)と
を備え、
前記少なくとも1つの発信器(32)が、前記ディスプレイユニット(22)の後面側で、前記ディスプレイユニット(22)の下方、つまり前記ディスプレイユニット(22)の側方の下側、又は前記ディスプレイユニット(22)の後面側に面して、又は前記ディスプレイユニット(22)内に配置され、前記少なくとも1つの受信器(34)が、前記ディスプレイユニット(22)の正面の前記ディスプレイ面に隣接する前記エッジ領域(18)に配置され
前記ディスプレイユニット(22)が、ディスプレイパネル(12)と、このディスプレイパネル(12)の正面側に配置され、前記ディスプレイ面を画定するカラーフィルタ層(40)とを含み、
前記ディスプレイパネル(12)は、前記カラーフィルタ層(40)を越えて少なくとも一端側から突出する突出部を有し、この突出部が前記ディスプレイ面の側方に隣接する前記エッジ領域(18)を形成し、
前記少なくとも1つの受信器(34)が、前記ディスプレイパネル(12)の前記突出部の中又は前記突出部の上に配置されているディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記ディスプレイパネル(12)がTFTパネルであることを特徴とする請求項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記ディスプレイユニット(22)を背後から照らすバックライトユニット(38)を特徴とし、前記少なくとも1つの発信器(32)が、前記バックライトユニット(38)又は前記バックライトユニット(38)の下方に配置されている請求項1又は請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記センサー光が、赤外線であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記ディスプレイユニット(22)が、LCDマトリックスディスプレイユニットであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの発信器(32)及び/又は前記少なくとも1つの受信器(34)が、前記ディスプレイ面の正面の観察領域への照射を調節する光学システムを備えていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
容量的、抵抗的又は超音波に基づく動作をするタッチセンサーシステムといった非光学的な動作をするタッチセンサーシステムを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記タッチセンサーシステムが、前記ディスプレイユニット(22)の正面に、及び/又は前記カラーフィルタ層(40)上に、及び/又は前記ディスプレイユニット(22)の正面及び/又は前記カラーフィルタ層(40)の正面に配置されるカバーガラスの後ろに位置するタッチパネルを備えることを特徴とする請求項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記近接センサーシステム(30)が、正面側の前記エッジ領域(18)に配置され、イメージのキャプチャー用、特に観察空間の3Dキャプチャー用に提供される受信器として、付随的に光学システムを伴う受信器マトリックスを備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記受信器マトリックスがイメージセンサーである請求項9に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記近接センサーシステム(30)が、前記発信器(32)を備えない、又は前記近接センサーシステム(30)が、観察空間の2D又は3Dキャプチャ用の周囲光が不十分であるときに作動する発信器(33)を備える請求項10に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の手や手の指といったディスプレイデバイスの正面の観察空間にある物体を検知するための統合された光学的に動作する近接センサーシステムを持つディスプレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のディスプレイシステムとして、オペレーターの接近を検知するセンサーシステムを提供されている場合がある。そのようないわゆる近接センサーは、ユーザーには見えないIR光に基づいて広い範囲で光学的に動作する。センサーは、ディスプレイシステムに隣接して下方又は側方に分離して取り付けられる例が知られている。非常に制約された設置空間と、ますます大きくなっているディスプレイのため、センサーは近年ディスプレイシステムのカバーガラスの下に配置されるようになった。しかし、依然として設置空間を必要とし、ディスプレイシステムの外観に悪影響がある。
【0003】
本発明の目的は、統合された光学的に動作する近接センサーを持つディスプレイデバイスを提供することにあり、そのディスプレイデバイスはコンパクトな設計であることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
筐体に収容されたディスプレイと、同様に筐体に収容された光学的な近接センサーシステムとを備えるディスプレイデバイスは、以下に記載されている。
【文献】独国特許出願公開102016100363号明細書
【文献】英国特許出願公開2486000号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】KRATZ, Sven;ROHS, Michael:Hoveeflow:Exploring Around-Device Interaction with IR Distance Sensors, 11th International Conference on Humna-Computer Interaction with Mobile Devices and Services, MobileHCI‘09, Bonn, Germany, September 15-18, 2009. Conference Proceedings, ISBN 978-1-60558-281-8. New York:ACM, 2009.Article No.42;
【文献】KRATZ, Sven:Sensor-Based User Interface Convepts for Continuous, Around-Device and Gestural Interaction on Mobile Devices. Dissertation, Faculty of Mathematics, Informatics and Statistics, Ludwig-Maximilians-Universitat Munchen. Munich:LMU, 2012;
【文献】OH, KyongSae;HWANG, Seok-Hee;YOU, SeungBin et al.:Gesture Sensor for Mobile Devices - White Paper, company address、 Samsung Electronics Co. Ltd. Suwon-si, Gyoeonggi-do, KR:Samsung, 2013.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は人の手や手の指といったディスプレイデバイスの正面の観察空間にある物体を検知するための統合された光学的に動作する近接センサーを持つディスプレイデバイスの提供により達成され、
情報を表示するディスプレイ面を有する正面側、ディスプレイ面に隣接し、情報表示には用いられないエッジ領域、及び後面側を備えるディスプレイユニットと、
観察空間へ向かってセンサー光を放射する少なくとも1つの発信器、及び観察空間から反射したセンサー光を受け取る少なくとも1つの受信器を有する近接センサーシステムと
を備え、
近接センサーシステム、すなわち上記少なくとも1つの受信器及び上記少なくとも1つの発信器が、ディスプレイユニットの正面のエッジ領域に配置されている
又は
少なくとも1つの発信器が、ディスプレイユニットの後面側で、ディスプレイユニットの下方、つまりディスプレイユニットの側方の下側、又はディスプレイユニットの後面側に面して、又はディスプレイユニット内に配置され、少なくとも1つの受信器が、ディスプレイユニットの正面のディスプレイ面に隣接するエッジ領域に配置されている
又は
少なくとも1つの受信器が、ディスプレイユニットの後面側で、ディスプレイユニットの下方、つまりディスプレイユニットの側方の下側、又はディスプレイユニットの後面側に面して、又はディスプレイユニット内に配置され、少なくとも1つの発信器が、ディスプレイユニットの正面のディスプレイ面に隣接するエッジ領域に配置されている。
【0007】
ここで示される発明では、近接センサー、あるいは少なくとも光学的な構成要素は、ディスプレイユニット自体に、すなわちディスプレイ内部に統合されている。このため、ディスプレイ外に付加的な設置空間を必要とせず、スリムでほぼフレームレスの設計が可能である。
【0008】
本発明による提案は、近接センサーシステム全体、又は近接センサーシステムの一部のいずれも含む。つまり、センサー光受信器は、ディスプレイユニットの正面のエッジ領域の内部に組み込まれても、背後に組み込まれてもよい。ここで、正面は、ディスプレイユニットの情報表示と、隣接するエッジ領域とで定義される。センサー光の発信器は、ディスプレイ面の下方、例えばディスプレイユニットの後面側で、バックライトユニット内又はディスプレイ面の後ろに配置することができる。一方、発信器は、上述したエッジ領域に配置することもできる。
【0009】
いずれの場合も、本発明によれば、近接センサーシステム全体がディスプレイユニットの正面のディスプレイ面に近接して配置されるか、少なくとも近接センサーの一部がそのように配置されるか、いずれかとなる。
【0010】
ディスプレイユニットは、典型的には筐体に収納され、筐体の正面の壁、又は筐体の側壁に併合する筐体フレームに取り囲まれている。慣習的に、近接センサーシステムは、筐体フレームの中、又はディスプレイに隣接する筐体の正面の壁の領域に収容され、つまり実際のディスプレイの外側に配置される。本発明は、近接センサーシステムが少なくとも一部でディスプレイに統合されていると言う点でこの概念とは異なる。もし本発明によるディスプレイが筐体に囲まれていなかったとしても、近接センサーシステムは、なお完全に又は少なくとも部分的にディスプレイの一部となり、この点でディスプレイに、すなわち画像やシンボルを生成する光学素子を備えるディスプレイのディスプレイパネルのエッジ領域又はエッジ領域の下方に統合されている。本発明では、近接センサーシステム全体又は少なくともその一部がディスプレイの一部であり、ディスプレイの周辺領域に別の素子として実現されているわけではない点が重要である。
【0011】
本発明のさらに有利な形態として、ディスプレイユニットが、ディスプレイ面とエッジ領域を有するディスプレイパネルを備えることが挙げられる。慣習的にディスプレイパネルは、ピクセル又はピクセルで占められる表面によって定められるディスプレイ面を画定するいわゆるTFTパネルで構成される。さらにTFTパネルは、上記ディスプレイ面から横に突出する突出部を備え、ピクセル又はディスプレイユニット全体のドライバ素子がその突出部に配置される。そして、ドライバ素子は通常フレキシブル回路ボードによって電気的に接続されている。本発明によれば、近接センサーシステム又は少なくともその一部は、上記フレキシブル回路ボードに配置することもできるし、ディスプレイパネルに直接配置することもできる。いずれの場合でも近接センサーシステム又はその一部は、情報表示には用いられないディスプレイのディスプレイ面周辺のエッジ領域上又はエッジ領域内に統合される。
【0012】
本発明によれば、TFTパネルの突出部の領域が近接センサーシステム又は少なくとも近接センサーシステムの一部、すなわち本発明によれば受信器を収納するために用いることができる。
【0013】
この目的のため、例えば
ディスプレイユニットが、ディスプレイパネルと、このディスプレイパネル上に配置され、ディスプレイ面を画定するカラーフィルタ層とを備え、
ディスプレイパネルが、カラーフィルタ層を超えて少なくとも一端側から突出し、その突出部がディスプレイ面に横方向に隣接するエッジ領域を形成しており、
そして
少なくとも1つの受信器がディスプレイパネルの突出部上又は突出部の下方に配置されているか、
又は
近接センサーシステムの少なくとも1つの発信器と、少なくとも1つの受信器とがディスプレイパネルの突出部上又は突出部の下方に配置されているか
のいずれかであるとすることが挙げられる。
【0014】
さらに本発明の有利な形態として、バックライトユニットが、ディスプレイユニットをバックライトで照らすように提供され、少なくとも1つの発信器が、バックライトユニット上又はバックライトユニットの下方に配置される。
【0015】
センサー光は、IR領域の不可視光、すなわち赤外線が好ましい。
【0016】
ディスプレイユニットが、LCDディスプレイユニットであることが好ましい。
【0017】
本発明のさらに好ましい形態として、少なくとも1つの発信器として、ディスプレイ面の正面の観察領域への照射に対して感度が高くなる領域を調節する光学システムを備えていることが挙げられる。その光学システムは、フレネルレンズ等の光偏向ホイルとすることができる。
【0018】
ディスプレイユニットの正面に配置される物体を検知し、特にディスプレイユニットの正面に配置される物体の距離も検知する近接センサーシステムに加えて、本発明によるディスプレイデバイスには、非光学的な動作をするタッチセンサーシステム、例えば容量的、抵抗的又は超音波に基づく動作をするタッチセンサーシステムを提供されてもよい。
【0019】
非光学的な動作をするタッチセンサーシステムは、特にディスプレイユニットの正面に、及び/又はカラーフィルタ層上に、及び/又はディスプレイユニットの正面及び/又はカラーフィルタ層の正面に配置されるカバーガラスの後ろに位置するタッチパネルとして構成される。
【0020】
最後に、本発明のさらなる形態として、正面側のエッジ領域の少なくとも1つの発信器と少なくとも1つの受信器との配置に際して、クロストークを避けるため、両者は互いにシールされることも可能である。
【0021】
上述において、近接センサーシステムは、少なくとも1つの発信器と少なくとも1つの受信器とを備えることを特徴とする。本発明の変形として、近接センサーシステムは、正面側のエッジ領域に配置され、2Dイメージのキャプチャー用に提供される受信器として受信器マトリックス、すなわちイメージセンサーを備える。受信器は、特に観察空間の3Dキャプチャー用に提供されることもできる。そのような(センサー光を伴う)近接センサーシステムは、TOF(Time of Flight)センサーとして構成されることもあり、個別の受信器として、受信器マトリックスとして構成することができる。
【0022】
以下に、2つの本発明の代表的形態が、さらに詳細に図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、従来技術として公知であるディスプレイユニットの端かつディスプレイユニットの外側に配置されている近接センサーシステムを備えるディスプレイユニットのTFTパネルの平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、本発明によるディスプレイデバイスの平面図であり、近接センサーシステムは、ディスプレイユニットのTFTパネルで画定されるエッジ領域に完全に収容されている。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、本発明による他のディスプレイユニットを断面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び図2は、現在の先行技術に属するディスプレイデバイスのディスプレイユニットへの物体の近接を検知する近接センサーシステムを有するディスプレイデバイスの解決策を示している。ディスプレイデバイスは、筐体10によって空間的に制限され、そのディスプレイ面14に、下側にカラープレートを有する偏光子16が配置されたTFTパネル12を備える。TFTパネル12のエッジ領域18は、空であり、つまりピクセルを備えず、従ってディスプレイユニット22のディスプレイ面20に属さない。
【0025】
いわゆるTFTパネル12の突出部24で画定されるエッジ領域18には、例えばディスプレイユニット22の動作用のドライバ回路26が配列されている。TFTパネル12は、(29で示される)フレキシブル回路ボードによって電気的に接触している。
【0026】
図1及び図2に示されているように、少なくとも1つの発信器32と1つの受信器34とを伴う近接センサーシステム30は、ディスプレイデバイスの筐体10の隣に配列されている。上記近接センサーシステム30は、追加の回路ボード36に配置されている。
【0027】
近接センサーシステム30を収容する追加の設置空間は、従来技術によれば、ディスプレイユニット22が配置されているデバイス筐体内のディスプレイ22に隣接するディスプレイユニット22とは別のユニットとして当然に設置できるが、しばしば問題を引き起こす。従って、本発明によれば、少なくとも近接センサーシステム30の一部、すなわち例えば受信器34をTFTパネル12の突出部24に;つまり突出部24により提供されるTFTパネル12の上記エッジ領域18に収納することが提供され、ドライバ28が配列されており、その間に受信器34が配列されている。
【0028】
本発明の変形として、少なくとも1つの発信器32が、突出部24によって提供されるTFTパネル12のエッジ領域18に受信器34に加えて収納されており、ドライバ28とその間の受信器34及び発信器32とがエッジ領域18に配列されている。
【0029】
このことは図3及び図4に示されている。図4は、例えば発信器32がディスプレイユニット22のバックライトユニット38内に配置されていることを示している。さらに、図4に、カラーフィルタ層(カラープレート)つまりカラーフィルタ40がTFTパネル12上に配置されていることが示されている。カラーフィルタ40と偏光子16とを伴うTFTパネル12と同様にバックライトユニット38は、先行技術に属するディスプレイデバイスの素子である。
【0030】
近接センサーシステムがセンサー光のTOF測定の原理に基づいている場合、受信器34と同様に発信器32は、TFTパネル12の突出部24に配置される。一方、発信器32は、バックライトユニット38の一部とすることもできる。
【0031】
図5は、図3及び図4とは別のものとして、さらなる本発明の典型的な形態を示している。示されているように、この典型的な形態では、近接センサーシステム30全体又はその一部が、その接触領域が導電性接着剤によってTFTパネル12に電気的に接続されている部分となっているフレキシブル回路ボード36上に配列されている。
【0032】
近接センサーシステム30の複数の発信器32又は受信器34は、ディスプレイの端に沿って配置されている回路ボード36上に設置できる(典型的な形態では、受信器34が回路ボード36上に設置され、一方発信器32はディプレイの下方に配置されている)。この点で、近接センサーシステム30、又は近接センサーシステム30の一部のフレキシブル回路ボード36への電気的接続も、ディスプレイユニット22の正面側のエッジ領域での近接センサシステムの配置又はその一部の配置として解釈されるべきである。
【0033】
上述したディスプレイデバイスに代えて、近接センサーシステムの受信器を一方でディスプレイユニットのエッジ領域に配置するため、近接センサーシステムの発信器は、バックライト内、つまりディスプレイのバックライトユニット内に配置されていてもよい。これは、空間を節約するという理由で、つまり限られた空間のために、有利となる。
【0034】
本発明の概念の利点は、次の通りである:
ディスプレイユニットの一部であるため、近接センサーシステムの追加設置空間が不要
スリムなディスプレイフレームで実現できるディスプレイユニット及びディスプレイデバイスのスリムな設計
ディスプレイユニット又はディスプレイ面への接近を確実にするため、発信器が照射ユニットの一部であるなら、追加の光導波管が不要
【0035】
近接センサーシステム又は少なくともその一部のTFTパネルの突出部への統合は、公知の製造信頼性のある電気的接触を用い、存在するフレキシブル導体により電気的接続を実現することで可能となる。従って、受信器(センサー)はカラーフィルタの下方には配列されず、また偏光子の下方にも配列されず、光は弱められない。このため、受信器が受ける光はさらに強くなり、感度及び信号強度は追加の方策を必要とせず改善される。
【0036】
発信器及び受信器を構成するセンサーの持つ構成要素は近接センサーシステムに用いることができる。そのような特別に複雑なセンサーも、上述のように取り付けて接続することができる。従って、例えば伝達時間(Time-of-Fight原理)を測定するセンサー又はフレネルレンズ等のホイル形態の光学的マイクロレンズを持つアレーセンサー(すなわちイメージセンサー)が用いられる。
【0037】
本発明は、近接センサーシステムが、完全に、つまり発信器と受信器とが(付随的に制御部と共に)ディスプレイのエッジ領域に配置されているか、少なくとも受信器の1つ又は全てがディスプレイのエッジ領域に配置されているか、発信器の1つ又は全てがディスプレイの下方(又はディスプレイのディスプレイ面の下方、すなわちディスプレイの中であるがエッジ領域ではないところ)に配置されているかのいずれかの事例によって上述のように説明された。本発明によれば、最後に記載した構成は、提供され得るが、発信器の1つ又は全てがディスプレイのエッジ領域に配置され、受信器の1つ又は全てがディスプレイの下方(付随的にディスプレイのディスプレイ面の下方あるがエッジ領域ではないところ)に配置されるように発信器と受信器とを交換した時も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10 筐体
12 TFTパネル
14 ディスプレイ面
16 偏光子
18 エッジ領域
20 ディスプレイ面
22 ディスプレイユニット
24 突出部
26 ドライバ回路
28 ドライバ
29 フレキシブル導体
30 近接センサーシステム
32 発信器
34 受信器
36 回路ボード
38 バックライトユニット
40 カラーフィルター
図1
図2
図3
図4
図5