(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】航空機推進システム、その製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
B64C 29/00 20060101AFI20221118BHJP
B64C 33/00 20060101ALN20221118BHJP
【FI】
B64C29/00 Z
B64C33/00
(21)【出願番号】P 2020514352
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 GB2018051336
(87)【国際公開番号】W WO2018211279
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519411582
【氏名又は名称】ロザーハム、ジェームス ジョセフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロザーハム、ジェームス ジョセフ
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】スペイン国特許出願公開第2325013(ES,A1)
【文献】中国特許出願公開第1608945(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0123348(US,A1)
【文献】米国特許第07520466(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 29/00
B64C 33/00
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の推力発生部分を含む、航空機のための推進システムであって、前記1つ以上の推力発生部分は、1つ以上のダクト手段を含み、前記ダクト手段は、2つ以上の実質的に平行な壁部材によって少なくとも部分的に形成又は画定される、推進システムにおいて、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記1つ以上のダクト手段内に少なくとも部分的に位置するか又は位置付けられ、前記少なくとも1つの翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、推力を生成し、使用中に前記航空機が飛ぶことを可能に
し、少なくとも第1の又はさらなる推力発生部分は、複数の実質的に平行な壁部材を含み、前記壁部材は、複数のダクト手段を少なくとも部分的に画定し、前記複数のダクト手段は、少なくとも1つの行及び/又は少なくとも1つの列を含むアレイに配置され、前記推力発生部分及び/又はダクト手段のアレイは、選択的に可動である、推進システム。
【請求項2】
前記ダクト手段の壁部材は、前記ダクト手段への空気入口及び/又は前記ダクト手段からの空気出口を少なくとも部分的に画定する、請求項1に記載の推進システム。
【請求項3】
前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記入口と前記出口との間で前記ダクト
手段内に完全に位置する、請求項2に記載の推進システム。
【請求項4】
前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に対称の又は対称的な空中翼である、請求項1に記載の推進システム。
【請求項5】
前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、前記ダクト手段入口において及び/又は実質的に前記ダクト手段入口に向かって位置付けられた前又は先端と、背向する又は後縁であって、実質的に前記入口及び翼前縁の下流にあるように、実質的に前記ダクト手段出口に向かって及び/又は前記ダクト手段出口において位置付けられた又は配向された背向する又は後縁とを含む、請求項4に記載の推進システム。
【請求項6】
前記後縁は、変形可能及び/又は可撓性がある、請求項5に記載の推進システム。
【請求項7】
前記後縁は、鋸歯状である、請求項
5に記載の推進システム。
【請求項8】
前記ダクト手段を実質的に画定する前記壁部材又は前記複数のダクト手段若しくはダクト手段のアレイを画定する壁は、実質的に等間隔に離間される、請求項
1に記載の推進システム。
【請求項9】
前記壁部材又はその表面は、先細になる及び/又は発散する、請求項
8に記載の推進システム。
【請求項10】
隣接する壁部材間又はその表面間の距離は、実質的に前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材の下流の領域又はその周辺で減少する及び/又は先細になる、請求項
8に記載の推進システム。
【請求項11】
前記推力発生部分の少なくとも1つは、水平又は実質的に水平な面において位置付けられる、請求項1に記載の推進システム。
【請求項12】
1つ以上の推力発生部分を含む、航空機のための推進システムであって、前記1つ以上の推力発生部分は、1つ以上のダクト手段を含み、前記ダクト手段は、2つ以上の実質的に平行な壁部材によって少なくとも部分的に形成又は画定される、推進システムにおいて、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記1つ以上のダクト手段内に少なくとも部分的に位置するか又は位置付けられ、前記少なくとも1つの翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、推力を生成し、使用中に前記航空機が飛ぶことを可能にし、前記推力発生部分の少なくとも1つは、垂直又は実質的に垂直な面において位置付けられ、対向する気流に対して実質的に垂直に位置するか又は位置付けられた推力発生部分は、境界層剥離を防ぐことにより失速の開始を遅らせる循環制御素子を有する通常の翼として振る舞う、推進システム。
【請求項13】
前記ダクト手段の壁部材は、前記ダクト手段への空気入口及び/又は前記ダクト手段からの空気出口を少なくとも部分的に画定する、請求項12に記載の推進システム。
【請求項14】
前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に対称の又は対称的な空中翼である、請求項12に記載の推進システム。
【請求項15】
前記推力発生部分の少なくとも1つは、水平又は実質的に水平な面において位置付けられる、請求項12に記載の推進システム。
【請求項16】
1つ以上の推力発生部分を含む、航空機のための推進システムであって、前記1つ以上の推力発生部分は、1つ以上のダクト手段を含み、前記ダクト手段は、2つ以上の実質的に平行な壁部材によって少なくとも部分的に形成又は画定される、推進システムにおいて、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記1つ以上のダクト手段内に少なくとも部分的に位置するか又は位置付けられ、前記少なくとも1つの翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、推力を生成し、使用中に前記航空機が飛ぶことを可能にし、前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材の実質的に下流に位置する少なくとも1つの固定子又は静的翼部材を含み、前記静的翼部材の少なくとも一部又は全体は、出口の下流で実質的に前記ダクト手段の外側に位置する、推進システム。
【請求項17】
前記静的翼部材は、実質的に前記ダクト手段内に位置する、請求項16に記載の推進システム。
【請求項18】
前記ダクト手段の壁部材は、前記ダクト手段への空気入口及び/又は前記ダクト手段からの空気出口を少なくとも部分的に画定する、請求項16に記載の推進システム。
【請求項19】
前記羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に対称の又は対称的な空中翼である、請求項16に記載の推進システム。
【請求項20】
前記推力発生部分の少なくとも1つは、水平又は実質的に水平な面において位置付けられる、請求項16に記載の推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直離着陸(VTOL)に特に適している、航空機のための推進システムに関する。これは、貨物及び小包の配達、通勤、都市内旅行、フェリー及びバスサービス、緊急サービス、観測、通信リレー、レクリエーション及びスポーツ、エネルギー供給、戦場での供給及び避難、建築現場の吊り上げ、高層ビルのエレベータの代替及び農業に使用できるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
VTOL航空機は、町及び都市の交通渋滞の問題を解決できるであろう。これらは、緊急サービス及び軍隊のためのより速く、より多目的な応答に必要とされる。これらは、通常の離陸航空機が運航のためのインフラストラクチャを欠いている観測目的で必要とされる。
【0003】
VTOLなしに合理的な時間枠及びコスト内で世界の一部にアクセスすることは、困難である。しかしながら、騒音、コスト、航空機の占有面積及び安全性の問題により、このような装置の採用が妨げられているため、これらの問題は、大多数の人々及び世界の表面の大部分で未解決のままである。
【0004】
翼は、空気を流体媒体として使用して推力を発生する最も効率的な方法である。垂直離陸は、回転翼(ファン、プロペラ、回転子)を使用して最も効率的に達成されてきた。しかしながら、この方法には、かなりの量の騒音が発生するという欠点があり、翼が露出している場合、高回転速度に達するため、危険な場合がある。この問題は、発生される推力の量が増えるにつれて大きくなる。また、翼の長さに沿った角速度の違いと、翼の先端付近の(主な騒音源でもある渦の形態の)エネルギー損失を引き起こす3次元の空気力学的効果とのため、翼によって押し出されたすべてのディスク領域を効率的に利用することも困難である。これにより、(特定の領域の)効率が低下し、騒音が大きくなり、航空機の占有面積が大きくなり、着陸場所の選択肢が減り、格納が難しくなる。
【0005】
対向する気流速度の変化は、回転翼(プロペラ)がピッチを変更して、空気速度の範囲で効率を維持する必要があることを意味する。ヘリコプターは、回転子ブレードのピッチを変更して、後退ブレードと前進ブレードとの間の気流速度の違いによって引き起こされた不均衡を回避する必要がある。これらの問題に対処するには、重量、コスト、複雑さを増す部品が必要である。
【0006】
回転翼には、「渦輪状態」の問題もある。この状態では、航空機の降下速度により、より少ない推力が発生される回転子の内部を介して空気が押し上げられる。これにより揚力が著しく失われる可能性がある。
【0007】
効率的な回転翼の製造では、翼の長さに沿って空中翼を変化させて角速度の変化に対応する必要があり、これにより高い翼荷重及び振動の問題とともに製造コストが増加する。
【0008】
「マルチコプター」の形態のより小型のVTOL航空機は、低コストで使いやすいため、多くの用途で人気がある。一般に、それらは、大きくなるにつれて一般的な使用のための適切なレベルの安全性も騒音も維持できず、回転子が揚力と前方推力との両方を提供する必要があるため、より長い距離にわたって荷物を輸送するのに効率的でもない。この問題は、追加の翼を組み合わせること、及びプロペラを回転させるか、又は前方飛行のためのサイズ及び位置にあるプロペラを使用することで克服できる。ただし、これは、コスト及び複雑さを増し、騒音及び安全性の問題に依然として対処しない。
【0009】
コンピュータプログラミングの進歩により、単一回転子のヘリコプター型の装置(これは、回転子の直径が大きいため、垂直飛行で効率的である)の簡単な操縦が可能になる。しかしながら、それは、総合的な故障を引き起こす可能性のある複数のポイントを依然として有し、単一のリフティング回転子を使用するメカニズムがコストを高く保つ可能性がある。いずれにせよ、これは、安全性、占有面積及び騒音の問題に対処しないであろう。
【0010】
複数のモーター及びファンを適切に冗長化された電源で使用する分散推進の使用により、システムの冗長性が全体的に向上し、したがって安全性を向上させることが可能になる。騒音は、人口密集地域での通常の操作にとって大きすぎるままである可能性があり、ブレードは、依然として近くの人及び動物に危険をもたらすであろう。
【0011】
多数の比較的小さい直径のプロペラを使用するシステムには、推力の障害が発生した場合に安全な速度で自動回転又は下降する手段がない。パラシュートが役立つ場合もあるが、飛行機が、パラシュート又は自動回転が機能するのに十分な高さを有していないが、害を引き起こすのに十分高くにある「デッドマン」ゾーンが依然として存在する傾向がある。いずれにせよ、これらのシステムは、コスト及び複雑さを増すため、非常に広範囲に使用することを目的としたシステムに対する望ましさを減らす。
【0012】
ダクト付きファンは、かなりの重量を追加し、制御の問題(ダクトエッジ上の非線形圧力変化及びモーメント抗力から生じる)をもたらす傾向があり、それらの3次元形状及びエンジニアリング要件のために高価である。ダクトは、騒音を減らすことができるが、(追加された重量のために)それらを構築する必要がある比較的小さい直径は、騒音の増加を引き起こし得るより多くの電力をそれらが必要とすることを意味する。
【0013】
長方形の領域内において、回転翼システムは、(特別に設計されたダクトを使用しない場合に)長方形のシステムの領域のπ/4にのみ到達でき、これは、効率を低下させ、特定の長方形の領域でディスク負荷を増大させる(これは、都市部での操作又は格納のための重要な指標である)。
【0014】
騒音及び安全性の懸念が大幅に軽減される範囲で回転翼の露出を減らすと、効率、制御及び重量の問題につながる可能性がある。ダクトを使用すると、横風のとき又はダクトが前方に移動するときに制御が難しくなり、保護要素(シュラウド、ネット、バーなど)を使用すると気流が妨げられ、効率が低下する傾向がある。適切に取り付けられたダクトは、役立ち得るが、いずれの解決策も重量を追加し、いずれも大幅な騒音低減に非常に効果的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、上述の問題に対処する航空機のための推進システムを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、高エネルギーの可動部品の露出を低減し、コストを低減し、騒音を低減し、許容可能なレベルの効率及び重量、したがって巡航速度、負荷及び範囲を維持する推力発生装置を含む航空機を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、システム全体が故障した場合に安全な降下が可能な航空機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様では、1つ以上の推力発生部分を含む、航空機のための推進システムであって、前記1つ以上の推力発生部分は、1つ以上のダクト手段を含み、前記ダクト手段は、2つ以上の実質的に平行な壁部材によって少なくとも部分的に形成又は画定される、推進システムにおいて、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記1つ以上のダクト手段内に少なくとも部分的に位置するか又は位置付けられ、少なくとも1つの翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、推力を生成し、使用中に航空機が飛ぶことを可能にすることを特徴とする推進システムが提供される。
【0019】
したがって、羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、羽ばたく又は揺れ動くとき、交互の高圧(空洞の減少)及び低圧(空洞の拡張)を羽ばたく翼部材の少なくとも一部とダクト手段壁との間で作る。ダクト手段の全体体積及び翼部材と両方のダクト壁との間の先端角度は、実質的に一定のままである。
【0020】
典型的には、ダクト手段の壁部材は、ダクト手段への空気入口及び/又はダクト手段からの空気出口を少なくとも部分的に画定する。さらに典型的には、羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に入口と出口との間でダクト内に位置する。
【0021】
好ましい実施形態では、羽ばたく又は揺れ動く翼部材のすべては、ダクト手段内に位置するか又は収容される。ダクト壁の存在は、効率を大幅に向上させることが示されている。
【0022】
通常、空気は、入口から出口に向かって流れる。これは、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の下流において、翼部材の表面及びダクト手段の壁部材に作用する圧力変化を作るその羽ばたき作用(クノラー-ベッツ効果)により、推力を発生する渦流が発生されるためである。これは、カルマン逆渦列として認知されていることもある。ダクト手段の壁は、羽ばたく翼部材にダクト手段の壁部材表面に関連して迎え角を経験させる(地面効果)ダクト又は通路を作ることにより、羽ばたく翼部材の作用を制限する。ダクト壁の存在はまた、前方の動きにおける境界層剥離を防ぐのに役立ち、対向する自由な流れの気流に対して中央翼ピッチを調整する必要性を回避することにより、機構をシンプルに保つのに役立つ。
【0023】
一実施形態では、羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に対称の又は対称的な空中翼である。典型的には、横軸に沿って見た場合、羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、断面セクションが実質的に対称である空中翼、涙滴又はペンダント形状である。したがって、羽ばたく翼部材の形状は、対称的に位置付けられたとき、出口の方向において、少なくとも部分的にダクト手段を画定する壁部材と翼部材との間に発散形状を作る。
【0024】
当業者は、翼と壁との間の発散角が、圧力の変化によって引き起こされた流れ剥離を許容するほど大きくないことも理解するであろう。これらの角度は、所与の羽ばたく又は揺れ動く翼弦に使用できる最大振幅の決定に寄与する。翼が達する最大振幅は、ダクト壁の近接度及び効率へのこの影響にも依存し得る。
【0025】
約20度の先端角度は、より最適な角度の1つであることが判明しているが、使用できる角度は、他にもあり、例えば、より大きい角度は、同じダクト壁全体の近接度でより大きい推力を発生することができる(ただし、これは、効率を犠牲にする傾向がある)。いくつかの効率的な比率が図面に示されているが、これらは、さまざまな条件及びニーズに応じて変更することができる。
【0026】
羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、ダクト手段入口において及び/又は実質的にダクト手段入口に向かって位置付けられた前又は先端を含む。羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、少なくとも1つの背向する又は後縁を含み、前記翼部材は、背向する又は後縁が実質的に入口及び翼前縁の下流にあるように、実質的にダクト手段出口に向かって及び/又はそれにおいて位置決めされるか又は配向される。
【0027】
通常、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の少なくとも背向する又は後縁は、揺れ動く又は羽ばたく動きで動き、翼部材は、翼部材の横軸に沿って見たときに実質的に先端において又は先端に向かって点及び/又は軸に固定されたままである。
【0028】
一実施形態では、後縁は、変形可能及び/又は可撓性がある。
一実施形態では、後縁は、鋸歯状である。
【0029】
典型的には、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、軸の周りの旋回又は部分的な回転運動である。典型的には、回転軸及び/又は旋回軸は、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の実質的に前縁において又は少なくとも前縁に向かって位置する。さらに典型的には、羽ばたく翼部材の前部又は先端の輪郭は、旋回点又は回転軸に沿って見たときに実質的に静止しているように見えるが、羽ばたき可能な翼の後部又は尾部は、ダクト手段内で振動する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも第1の又はさらなる推力発生部分は、複数の実質的に平行な壁部材を含み、前記壁部材は、複数のダクト手段を少なくとも部分的に画定する。
【0031】
典型的には、各ダクトは、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材を含む。
【0032】
一実施形態では、航空機は、少なくとも1つの行及び/又は少なくとも1つの列に配置されたダクトのアレイを含む。典型的には、複数のダクトは、アレイに配置される。
【0033】
航空機の設計に適した効率的なサイズの機械的に実行可能なダクト手段又はダクトからなることが好ましいアレイの使用により、推力をより均等に広げることができ、(比例して大きい推力領域に1つ又は比較的小さい数を使用する場合のように)ダクト手段の深さを非常に大きくする必要が回避される。したがって、アレイの前、後及び横に作られる領域のサイズに関係なく、任意の推力領域を作ることができる。これは、抗力を減少させ、問題を制御するのに役立つ。
【0034】
ダクト手段又はダクトの数が多いほど、個々のダクト手段又はダクト手段のペア、トリプル以上による推力の変化からより大きい制御が可能になり、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の羽ばたき作用に起因する慣性及び振動の問題をよりよく回避することができる。これは、各羽ばたく又は揺れ動く翼部材への負荷が少なくなり、翼幅と推力との比を大きくできるため、より静かで効率的であることも意味する。そのため、より大きい推力領域をカバーしながら、アレイによりダクトを最適に配分することが可能になる。個々のダクト入口領域は、エネルギーのある可動部品へのアクセスを減少させるようなサイズにすることができる。
【0035】
一実施形態では、ダクト手段を実質的に画定する壁部材又は複数のダクト手段若しくはダクト手段のアレイを画定する壁は、実質的に等間隔に離間される。さらに典型的には、羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、ダクト壁から実質的に等間隔に位置するか又は位置付けられる。
【0036】
一実施形態において、実質的に羽ばたく又は揺れ動く翼部材と出口との間のダクト手段の長さ及び形状は、入口から出口への空気の通過に有利な圧力勾配が確実にあることに寄与する。通常、それは、より多くの空気をダクト手段に引き込み、より高いエネルギーの空気とより低いエネルギーの空気とのより大きい混合を可能にする低圧空気の量を維持する。これは、ジェットエジェクタとしても知られている。
【0037】
さらに典型的には、より大きい又はより長いダクト手段の長さ及び/又は形状を使用して、出口を横切る流速の均等化を促し、それにより効率を高めることができる。
【0038】
典型的には、ダクト手段壁部材の存在は、羽ばたく翼部材によって作られる空気圧の変化を増大させることを意味する。これは、所与の推力に対する効率を向上させ、羽ばたき周波数を減少させることができる。ダクト手段を画定する壁部材は、(それらの近接度に応じて)羽ばたく翼部材にかかる圧力と同様の圧力の変化をそれらの表面で経験するため、(所与の推力に対して)羽ばたき周波数を減少させ、したがって潜在的な機械的問題を減少させるのに役立つ。壁は、羽ばたく又は揺れ動く翼部材が、振幅が増加したかのように振る舞うことを効果的に引き起こし、これにより翼の追加のヒービングの動きの必要性を減少させるのに役立ち、したがって機械的複雑さを減らす。それらはまた、翼桁、翼ボックス又は胴体の一部としての機能を実行し(これにより重量及び複雑さが軽減される)、羽ばたく翼部材を地面の物体及び人から遮蔽するのに役立つ。
【0039】
ダクト壁と翼との間の距離は、最適な翼の羽ばたき振幅により、翼から壁までの距離がある距離で効率を高めることが示されている。近接度は、表皮の摩擦損失を維持し、抗力を最小限に抑える必要性にも依存する。
【0040】
翼とダクトとの組み合わせのアレイを使用することは、第1の部材が前方の動きにあるとき、第1の部材の後方を向いた側に望ましい圧力分布を維持するのに役立ち得る。これは、ダクト手段内で作られた圧力が境界層剥離を防ぐのに役立ち得るためである。
【0041】
一実施形態では、推力発生部分又はアレイの少なくとも1つは、推力を発生する方向に整列されるか又は位置付けられ、垂直離陸及び/又は着陸を支援する。典型的には、推力発生部分は、水平又は実質的に水平な面において位置付けられる。さらに典型的には、垂直又は実質的に垂直のダクトから発生される推力は、下向きの方向である。
【0042】
一実施形態では、推力発生部分又はアレイの少なくとも1つは、推力を発生して巡航飛行を支援する方向に整列されるか又は位置付けられる。典型的には、推力発生部分は、垂直又は実質的に垂直な面において位置付けられる。さらに典型的には、水平又は実質的に水平なダクトから発生される推力は、横方向である。
【0043】
一実施形態では、システムは、少なくとも2つの推力発生部分又はアレイを含む。一実施形態では、1つ以上の推力発生部分又はアレイを離陸又は着陸に使用することができ及び/又は1つ以上の推力発生部分を巡航又は指向飛行に使用することができる。
【0044】
一実施形態では、推力発生部分及び/又はダクト手段のアレイの1つ以上は、可動である。通常、少なくとも1つの推力発生部分及び/又はダクト手段のアレイは、選択的に可動であるか、又は傾斜され得る。
【0045】
一実施形態では、対向する気流に対して実質的に垂直に位置するか又は位置付けられた推力発生部分は、循環制御素子を有する通常の翼のように振る舞うことができる。
【0046】
一実施形態では、推力発生部分の角度は、そのような部品のアレイが斜めの角度で対向する流れに面するように角度が付けられる。これは、特に飛行条件及び推力の要件によりよく合うようにジェットを回転させるために回転ベーンのシステムが使用される場合、VTOLと巡航要件との間の妥協に役立ち得る。巡航で作られた抗力を低減でき、ダクト及び翼の先端からの流れの分離の問題を制御及び効率の問題とともに緩和することができる。
【0047】
アレイ、特に短い翼幅を使用するアレイの後部での望ましくない圧力変化の問題に対処するため、空気力学的な形状のフェアリングが提案される。これにより、自由な流れとダクトエグジットとの両方からの気流が可能になり、失速及び不要な乱流を回避することができる。
【0048】
アレイの後方又は前方でダクトを収束又は発散させて、放射状の配置を作ることができる。これは、対向する気流がより簡単にダクトにアクセスすることを可能にし得、また特にアレイの最も後ろの表面で抗力を減少させるのに役立ち、流れの分離を防ぐ。この配置は、巡航においてより多くの前方推力を提供するためにも使用することができる。
【0049】
巡航飛行の方向に整列されたダクト手段の使用は、ダクトが飛行方向に対して垂直であるとき、ダクト手段を画定する前方及び後方壁部材によって引き起こされた抗力及び制御問題を増大することなく、ダクト手段のチャンネルの深さを増加させることを可能にすることを意味する。この場合、ダクトアレイの側面の面積は、依然として増加するであろう。
【0050】
ダクト手段の先端と羽ばたく翼部材の先端との間の距離は、水平飛行において後向き面の圧力に影響を与える可能性があるため、特に巡航速度に関して考慮する必要がある。これは、羽ばたく又は揺れ動く動作によって引き起こされた圧力の変動と、ダクト手段の壁によって課せられる制約とによるものである。ダクトの先端の形状は、前方飛行条件によりよく適合するように適合させることができる。例えば、ダクトの先行部分を対向する気流に向かって湾曲させることにより、又はアレイ全体を前方に傾けてからダクトエグジットを所望の角度に湾曲させることにより適合させることができる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、システムは、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の実質的に下流に位置する少なくとも1つの固定子又は静的翼部材を含む。典型的には、静的翼部材は、実質的にダクト手段内に位置する。
【0052】
一実施形態では、静的翼部材は、ダクト手段の出口に及び/又はそれから離間した距離に位置する。
【0053】
一実施形態では、ダクト手段又はその表面を画定する壁部材は、先細になり得及び/又は発散し得る。
【0054】
一実施形態では、隣接する壁部材又はその表面間の距離は、実質的に羽ばたく又は揺れ動く翼部材の下流の領域又はその周辺で減少し及び/又は先細になる。典型的には、隣接する壁部材の表面は、実質的に羽ばたく翼部材と静的翼部材との間の地点で先細になる。さらに典型的には、壁部材の表面は、固定された翼又は固定子部材の近く及び/又は実質的にその上流の地点で先細になるか又は収束する。
【0055】
ダクト手段の壁又はダクト手段を画定する壁部材の、固定子又は静的翼部材の先端付近の領域は、固定子先端での流れの剥離及び渦度を低減するような形状にされ得る。ダクト壁と固定子との間のチャンネルを狭くすることにより、圧力を管理して、渦度を減少させることを促進し、流れが分離することを防ぐことを促進するようにし得る。
【0056】
一実施形態では、静的翼部材の少なくとも一部又は全体は、出口の下流でダクト手段の実質的に外側に位置する。
【0057】
羽ばたく翼部材の下流で作られるジェットは、効率を低下させる横方向の速度/渦成分を有する。羽ばたく又は揺れ動く翼部材の下流のダクト手段のほぼ中心に静的翼部材又は固定子の羽根を配置すると、この渦度/速度が減少するように作用し、それにより流れが直線化されて効率が向上する(カッツマイヤー効果)。また、ダクト付きの翼セット又は部材のアレイでは、ダクトを出る渦が互いに干渉することを避けることが有利である。より直線の流れは、出口の下流での乱流を減らし、効率を高める。
【0058】
主要固定子よりも小さく、主要固定子の先端の実質的に下流のある距離で固定子とダクト壁との間にほぼ等距離に位置したより多くの固定子を追加すると、渦度がさらに減少することによって効率を向上させることができる。気流に対するこれらの効果、渦度とのそれらの相互作用は、主要固定子に類似しており、この配置を何度も繰り返すことでより大きいシステムが恩恵を受けると考えられ得る。これらの追加の固定子を追加する価値は、推力産生システムの要件及びサイズに依存する。
【0059】
一実施形態では、ダクト手段の少なくとも一部は、拡散手段として振る舞うような形状にされる。典型的には、ダクト手段の前記部分は、固定子に隣接している。好ましくは、ダクト手段の下部セクションは、拡散手段として振る舞うような形状にされる。さらに典型的には、ダクト手段の前記下部セクションは、その底部に向かって発散する(又はより広くなる)ような形状にされる。これにより、圧力回復のための拡散セクションが提供され、ダクト全体の速度/流れ分布が均一になる。
【0060】
一実施形態では、航空機は、1つ以上の飛行制御手段、人及び/又は貨物が位置するための胴体手段、キャビン及び/又はポッド手段を含む。典型的には、胴体手段は、1つ以上の推力発生部分の実質的に中心に又はその中に位置する。
【0061】
一実施形態では、キャビン手段は、1人以上の人を収容するためのものである。典型的には、航空機が有人の場合、キャビン手段は、1人以上のパイロットを収容する。
【0062】
一実施形態では、キャビン手段は、実質的に第1の推力発生部分並びに/又は第1の及びさらなる推力発生部分によって囲まれる。
【0063】
一実施形態では、推力発生アレイは、迅速に交換できるモジュール式貨物に対応できるように配置される。
【0064】
一実施形態では、少なくとも第1の推力発生部分及び/又は1つ以上のアレイは、端板を含む。典型的には、端板は、ダクト手段入口及び/又は羽ばたき可能な翼部材の先端の高さより上にあるように位置付けられる。
【0065】
ダクトの高さより上に端板を位置付けることで、ダクト内の流れの剥離を回避するのに役立つように、より低い圧力領域を作ることができる。この手段は、端板の先端にかなりの割合の揚力を生成することにより、単一の長方形状のダクトを効果的に作ることができる。
【0066】
一実施形態では、材料の条片は、端板の頂部の実質的に外側で端板の頂部に向かって位置する。これは、横風に起因する制御の問題を軽減するのに役立つ。これは、材料の条片と端板との間のギャップが、横風がダクト手段に直接引き込まれることを防ぐためである。ダクト手段に直接引き込まれた横風は、その端に揚力を作る可能性があり、これは、失速が発生すると急激に変化する可能性がある。端板の先端が薄くなることも、この問題の解決を支援するであろう。これは、端が薄いほど、そこで発生する揚力が弱くなり得るためである。
【0067】
一実施形態では、端板は、翼端で産生される三次元効果(渦)を低減するのに役立ち、これにより効率が向上し、騒音が減少する。
【0068】
翼幅全体に沿って圧力変化が均等に発生する(圧力及び流れ速度が翼端に向かって変化し、より強い翼端渦をもたらすプロペラと異なる)。これは、所与のスパンのプロペラよりも潜在的に効率的であり、騒音の減少にも役立つ。しかしながら、残りの3次元効果を減少させるために、翼に実用的な限り近いところに端板を位置することが依然として望まれる。
【0069】
一実施形態では、羽根手段は、1つ以上の推力発生部分の流出部の実質的に下に又は中に位置する。典型的には、羽根手段は、アレイの下流において、制御又は推力の目的で使用することができ、また地面の乱れを回避するのに役立つように、ダウンウォッシュがより広がるようにジェットを発散させるためにも使用することができる。端板は、ジェットを例えば拡大又は縮小するなど、ジェットを変更するためにも使用できる。
【0070】
一実施形態では、羽ばたく又は揺り動く翼部材の羽ばたき周波数は、制御された飛行目的のために変更、制御及び/又は予め決定され得る。典型的には、アレイ又はアレイ内の翼部材の羽ばたき周波数は、制御され得る。
【0071】
飛行制御は、1つ以上の羽ばたく翼部材又はそのバンク若しくはアレイの羽ばたき周波数又は羽ばたきサイクルを制御することによって達成され得る。
【0072】
プロペラと異なり、羽ばたき周波数は、翼ピッチを変更することなく、対向する気流速度の範囲全体で効率を維持し、制御するためにも使用することができる(可変ピッチ制御は、プロペラに使用され得るか、又はヘリコプターの回転子に周期的に使用され得る)。振幅を変更して条件をさらに変更して、例えば巡航により適した状態にしたり、推力を大きくしたりすることが可能であり得る。
【0073】
一実施形態では、羽ばたく翼の羽ばたき可能な及び/又は部分的な回転運動は、少なくとも1つのカム及び/又はドライブシャフトの配置によって誘導されるか又は引き起される。
【0074】
典型的な回転電気モーターが主要な動力として使用される場合、羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、対にされるか、又は好ましくは3つ以上で接続される。リニアモーター又は圧電アクチュエータが使用される場合、それに応じて翼の接続性が変わる。典型的には、羽ばたく翼部材の迎え角は、モーターの負荷が一定に保たれるように設定する必要がある(翼が方向を反転し、速度を変更するため)。適切なカムがこの動作を保証し得る。これは、翼自体に運動量として保存されたエネルギーを使用するのにも役立つ。
【0075】
一実施形態では、カムシステムは、エネルギー貯蔵システム、スプリング及び/又はそれらに類するものに結合される。
【0076】
典型的には、カムは、慣性の影響を減少させ、羽ばたきサイクルの最適なタイミングで加速度を産生するのに役立つような形状にされ得る。これは、翼の質量及び使用するスプリング又はエネルギー貯蔵システムと相関するように設計することができる。
【0077】
一実施形態では、システムは、羽ばたく又は揺れ動く翼部材に羽ばたく、揺れ動く又はヒービングの動きを与えるための少なくとも1つのカム及びクランクシャフトを含む。典型的には、1つ以上の羽ばたく翼部材は、スピンドル若しくはアクスル及び/又はそれらに類するものを介してクランクシャフトに取り付けられる。さらに典型的には、羽ばたく翼部材は、クランクシャフトの一端に取り付けられたスピンドルに取り付けられる。
【0078】
一実施形態では、カム及びクランクシャフトの配置は、磁石手段の対を含む。典型的には、磁石手段は、永久磁石の対である。
【0079】
典型的には、永久磁石は、カムと連動し及び/又はカムと連通するクランクシャフトの第2の端部に取り付けられる。さらに、典型的には、カムと磁石とのカップリングは、導体ディスクとして機能し、動電型ベアリングを作る。
【0080】
典型的には、カムは、アルミニウム、銅等などの適切な材料から作製される。
【0081】
さらに典型的には、カムは、羽ばたく又は揺れ動く翼部材の所望の周期的加速度及び振幅に従って正弦波の動きを提供するような形状にされる。
【0082】
典型的には、磁気カップリングは、カム/ベアリング装置に摩擦がほとんど又はまったくないことを保証し、またそれは、ローラーベアリング、スプリング等のセットを不要にする。磁気カップリングは、騒音及び振動も減少させる。
【0083】
典型的には、モーターは、モーターの負荷をより均等に保つために少なくとも1つの羽ばたく翼部材に連結される。スプリングを回避することは有用である。なぜなら、スプリングは、モーターがすでに多くの作業を行っている場合、サイクルのポイントであるたわみ角が増加するにつれてエネルギーを蓄積する傾向があるためである。したがって、これには余分なエネルギーが必要であり、モーターの出力を上げる必要があるであろう。さらに、スプリングは、1セットの条件に対してのみ最適化することができる。しかしながら、それらは、慣性で失われたエネルギーの回復に役立つ可能性がある。
【0084】
単一のスピンドル上に位置する導体ディスク又は溝を使用すると、単一のモーターで任意の数の翼を操作することが可能になる。
【0085】
ダクト手段及び翼部材の形状は、例えば、翼のために圧電部品を使用することにより、羽ばたく素子が本質的に二次元であるように機能することができる。空気力学は、ほぼ同じままである。
【0086】
電動モーターを使用する場合、羽ばたく翼のサイズをスピンドルが先端に収まることができるようにし、これにより翼幅にトルクが均等に分散されるようにすることが有用である。圧電作動が使用される場合、異なる形状が必要になる場合がある。
【0087】
当業者は、圧電、リニアモーター、磁石又は内燃機関で使用されるタイプの通常のカムシステムを含むが、これらに限定されない多くの異なるタイプのアクチュエータを使用できることを理解するであろう。
【0088】
当業者は、羽ばたく翼部材の調整が調和して機能するであろうダクト手段の「調和」セットを作ることが可能であることを理解するであろう。しかしながら、これは、羽ばたき周波数をリンクさせる必要があるため、制御目的で個々のダクトを使用する可能性を取り除くであろう。
【0089】
翼が追加のヒービングの動きを有する場合、先端及び後縁の渦間の相互作用を調整することにより、効率を高めることができ得る。
また、境界層制御デバイスを固定子の先端に取り付けて、その領域での渦の発生の緩和に役立つこともでき得る。
【0090】
羽ばたき動作の作業は、羽ばたく翼によって作られる圧力の変化を最適化し、効率を高めるように振る舞うダクト壁を画定する壁部材によって支援される。ダクト壁がなければ、より多くの可動翼が必要になり、重量及びコストが増加するであろう。ダクト壁がない場合、異なる翼セットの周波数の変化(制御に必要)は、隣接する翼間で異なる角度をランダムに作るため、2つの翼の羽ばたき位相振幅が同相又は異相になると、産生される圧力が変化し、したがって効率及び推力が変化する。
【0091】
アクティブな翼は、一般に、ヒービング動作を有することなく羽ばたき動作のみを使用する。これは、静的飛行と前進飛行との両方で先端剥離及び渦を回避するためである。それは、2軸の動きから作られる力に対処する必要がある複雑で重い機構も回避する。ダクト壁は、羽ばたく翼によって産生されるジェットの幅を広げることを促すのに重要であり、したがってヒービングの動きの必要性を回避するのに重要である。しかしながら、ヒービング動作をそれ自体で又はダクトと連動して相関する振動動作で利用することが可能である。
【0092】
ダクトの存在によって作られる圧力の考慮事項は、発散の角度を制限し、したがって羽ばたき振幅を制限する。しかしながら、可撓性の後縁を使用すると、振幅を増加させることなく翼弦を増加させることができる。この場合、可撓性の構成要素は、平均して、ダクト壁とほぼ平行を保つことを目指すであろう。
【0093】
アクティブな要素が翼の表面全体に配置されている特定の形式の圧電作動(又は他の機構)が使用される場合、羽ばたき及び/又はたわみの形状を、振幅なしに弦を同様に増加させ得る方法又は別の方法で効率又は推力を増大し得る方法で制御することが可能であり得る。
【0094】
一実施形態では、鋸歯状の翼の後縁は、羽ばたく翼及び/又は静的な翼に形成される。典型的には、後縁は、可撓性があり及び/又は畝付き/鋸歯状であり、これは、騒音の低減に役立ち得る。
【0095】
一実施形態では、「隆起」として知られることもある一連の先端バンプを翼、ダクト又は固定子先端に使用することができる。
【0096】
多数の翼/ダクトを含むシステムは、高い堅牢性(浮上表面から推力領域まで)を有する。軽負荷の翼の数が多いことは、エネルギー/翼面積比が低いことを意味する。これにより、騒音と製造コストとの両方が削減される(翼がより弱い力を経験するため、高性能材料又は複雑なエンジニアリングの必要性が減る)。接触する人又は物に伝達されるエネルギーが少なくなるため、安全性が向上する。
【0097】
好ましい実施形態では、胴体手段及び/又は端板は、制御目的のための形状にすることもできる。
【0098】
ダクト手段の幅及びアレイの全体的な比率は、無動力での降下中に「自動回転」し、したがって降下をより安全な速度まで遅くするようにサイズを設定することができる。この場合、翼の羽ばたき動作により、アレイを流れる空気からエネルギーが抽出される。
【0099】
端板は、無動力での降下中に開いて抗力を高め、降下をさらに遅くできる展開可能な表面を有するように適合させることができる。これは、フラップを所定の位置に固定する一助となるように端板の外側で条片を使用することができる。
【0100】
ダクトのサイズは、可動部品へのアクセス性を減少させるという要望によって影響を受ける場合もある。
【0101】
作用する推力領域に対する翼の長さは、同等の回転子ブレードのスパンよりもかなり大きくなるようにサイズを設定することができる。これは、効率及び騒音の低減に有用である。
【0102】
翼幅が非常に長くなると、バイブレーション及び不要な振動の問題を回避することを促進するように、長さ方向に間隔を空けて追加のベアリングを追加する必要がある場合がある。
【0103】
一実施形態では、ダクト手段及び/又は翼部材の1つ以上は、対向する気流と整列される。典型的には、これにより抗力が減少し、より高い巡航速度が可能になり得る。さらに、これは、先端の流れの剥離に起因する潜在的な問題も軽減する。この実施形態では、可動翼及び固定子を翼又は他の適切な空気力学的構造に固定して、対向する気流によって作られる抗力又は制御の問題を減少させることができる。
【0104】
翼に取り付けられたアレイは、垂直又は非常に短い離陸に使用することができ、特に翼を傾ける航空機設計の場合に失速を防ぐことができる。
【0105】
典型的には、ダクト手段及び/又は翼の大部分又はすべてが対向する気流と整列される実施形態では、端板がなく、羽ばたく翼の端部は、それに応じた形状にされる必要がある。さらに典型的には、羽ばたく翼とダクト手段とは、前方飛行において揚力を作るために使用されず、揚力を生成するために通常の翼又は純粋な推力が必要である。
【0106】
一実施形態では、羽ばたく翼要素は、制御、空気力学又は建設の目的のために必要に応じて並列及び/又は直列に配置され得る。
【0107】
一実施形態では、1つ以上の通常のプロペラを使用して前方又は他の方向の推力を提供することができる。
【0108】
一実施形態では、ダクト手段アレイを傾斜させることができ及び/又は推力発生部分を傾斜させて、前方推力又は非垂直推力を発生することができる。代替的又は追加的に、前方推力を提供し及び/又は推力を方向付けるために羽根が使用される。
【0109】
一実施形態では、航空機は、着陸装置を含む。一実施形態では、着陸装置は、無動力での又は動力不足での降下からの着陸を緩衝するか、別の方法で緩和するためのスプリング、空気減衰導管等などの緩衝手段を含む。
【0110】
当業者は、上述の推進システムが、言及されているように航空機の設計だけでなく、家庭用ファン、産業用ファン、空調ユニット、換気システム等の設計及び製造でも重要な用途を有し得ることも認識するであろう。
【0111】
一実施形態では、1つ以上のダクト手段は、回転又は回転可能なシリンダー、ベルト等などの1つ以上のマグヌス効果装置を含む。典型的には、シリンダーの回転速度を選択及び/又は制御することにより、揚力又は推力を選択的に作るために使用することができる。さらに典型的には、シリンダーを含むダクト手段のアレイが使用される。
【0112】
典型的には、シリンダーの回転速度は、シリンダーを含む各ダクト手段のジェット速度を変更すること及び/又は個々のダクト手段内のシリンダー回転速度を変更することにより制御に使用することができ、それによりダクト手段出口又はエグジットでジェットの向きを変える。さらに典型的には、前方飛行(又はアレイの位置に応じて横方向の飛行)に必要な推力は、アレイを傾けたり、制御羽根を使用したりすることなく得ることができる。
【0113】
典型的には、回転シリンダーの上記の効果を実現するために、適切なマグヌス効果装置(離間したディスク(トムローター)又は可動ベルトを含む)を使用することができる。
【0114】
一実施形態では、マグヌス効果装置が、羽ばたく又は揺れ動く翼部材とともに使用される場合、マグヌス効果装置は、固定子又は静的翼部材の役割の代わりに又はそれに加えて振る舞うことができる。典型的には、このような装置は、制御手段として振る舞うこともできる。さらに典型的には、それは、羽ばたく翼からすでに作られた推力を強化するように振る舞うことができるため、全体の推力を増大させることができる。
【0115】
典型的には、それは、細かい制御及び追加の冗長性のために使用することもできる。さらに典型的には、騒音の低減が優先される飛行の一部に使用することができる。
【0116】
それはまた、境界層制御の手段として使用して、さまざまなダクトエグジット形状を有効にし、及び/又はダクトの長さを短くすることができる。この場合、シリンダーに取り付けられた高エネルギー境界層の一部が「剥がされ」、適切な形状にされたエッジ及び所望の境界層制御表面上に偏向される。回転シリンダーによって作られる低圧は、これらがジェットエジェクタの一種としても機能できることを意味する。
【0117】
一実施形態では、1つ以上の回転シリンダーは、ダクト内に位置し、成形された板は、シリンダーに近接して下流側に位置する。この板は、境界層の一部を下流に向きを変えるために境界層内に沈められている。このより高い速度の空気のジェットは、ダクト内のより低いエネルギーの空気と混合するように方向付けられる。この「同伴」空気は、ダクトを流れる空気の量を増やす。ダクトは、圧力回復のためのディフューザセクションとともにこれを促し、ダクト全体の速度分布を均等にするような(典型的には幅を狭くすることで)形状にされる。ダクトは、シリンダーと壁との間のより広いセクションも許容し得る。その領域の流れは、より遅くなり、これにより、境界層(シリンダーと壁との間のポイントで上流方向にある)に同伴される流れとの相互作用に起因する損失が減少し得る。
【0118】
回転シリンダーの概念は、振動翼の概念のいずれかと組み合わせて使用でき、同様のアレイにおいて単独で機能することもできる。
【0119】
本発明の第2の態様では、1つ以上のダクト手段を含む航空機であって、前記ダクト手段は、2つ以上の壁部材によって少なくとも部分的に形成又は画定される、航空機において、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記1つ以上のダクト手段内に位置するか又は位置付けられ、少なくとも1つの翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、推力を生成することを特徴とする航空機が提供される。
【0120】
本発明の第3の態様では、航空機での使用に適した推進手段又はシステムを製造する方法であって、前記システムは、1つ以上のダクト手段を含み、前記ダクト手段は、2つ以上の実質的に平行な壁部材によって少なくとも部分的に形成又は画定される、方法において、少なくとも1つの羽ばたく又は揺れ動く翼部材は、実質的に前記1つ以上のダクト手段内に位置するか又は位置付けられ、少なくとも1つの翼部材の羽ばたく又は揺れ動く動きは、推力を生成し、前記製造方法は、1つ以上の壁部材及び/又は翼部材を押し出すか又は引き抜くステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0121】
典型的には、前記推進手段は、モールディング及び/又は3D印刷することができる。
【0122】
一実施形態では、空中翼又は翼状構造が、ダクト手段及び/又は羽ばたく若しくは揺れ動く翼部材を保持又は構造的に支持するために使用される。典型的には、この配置は、アレイが前方に位置合わせされ、胴体手段及び/又は端板がこのタスクを実行できない場合に適している。さらに典型的には、この構造翼又は空中翼構造は、前方飛行における揚力のためにも使用することができる。
【0123】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つのカム又は導体ディスクと、1つ以上の磁気手段を介してカム又は導体ディスクに結合されたクランクシャフトとを含むカムシステムが提供される。
【0124】
典型的には、前記磁気手段は、永久磁石又は永久磁石の対である。
【0125】
適切なベアリングを備えた、窪んだ動きトラックとクランクシャフトとを利用する同様のシステムを使用することができる。
【0126】
本発明の特定の実施形態を、以下の図を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1a】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図1b】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図1c】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図1d】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図2】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図3】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図4a】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図4b】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図4c】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図5a】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図5b】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図5c】本発明の実施形態による推進システムの1つ以上の推力発生部分の図を示す。
【
図6a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図6b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図7a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図7b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図8a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図8b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図9】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図10a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図10b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図11】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図12】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図13a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図13b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図14a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図14b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図15a】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図15b】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図15c】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図16】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図17a】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図17b】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図17c】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図18】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19a】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19b】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19c】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19d】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19e】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19f】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19g】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19h】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19i】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19j】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19k】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図19l】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図20a】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図20b】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図20c】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図20d】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図20e】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図21a】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図21b】本発明の実施形態による、揺れ動き又は羽ばたきを駆動するためのカム及びクランクシャフト配置を含む、翼の羽ばたき部分の図を示す。
【
図22a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図22b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図22c】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図23a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図23b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図23c】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図24a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図24b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図25】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図26】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図27a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図27b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図28】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図29】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図30a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図30b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図31a】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図31b】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【
図32】本発明の実施形態による推進システムを利用する航空機の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0128】
タービン及び推進で使用するための羽ばたき翼装置が何度も試みられてきた。しかしながら、作り出された装置は、重すぎるか、非効率的であるか若しくは複雑すぎるか、又は航空推進システムとして成功するには問題のある高い羽ばたき周波数を必要とするであろう。それらのいずれも、有効な固有の制御手段を有さない。特に羽ばたき動作に加えて、翼にヒービング動作を使用するシステムでは、せん断力に起因する振動及び問題を回避するためにより多くの軸及び/又はより多くの重量が必要である。また、それらは、先端での渦の形成及び剥離に起因する空気力学的な複雑さにも直面する。適切なダクトの利点のない孤立した羽ばたき翼又はそのようなアレイは、非効率的であり、効果的な固有の制御(制御目的で推力を変更するための羽ばたき周波数の使用)を有さないであろう。ダクト付きの羽ばたき専用の翼のアレイを使用することは、ヒービングの動きが不要でありながら、大きく制御された推力領域を実現できることを意味する。推力を生じる可能性のある非ダクト付きの羽ばたき翼のアレイを作ることが可能であるが、これは、実用性を欠き、追加の制御システムが必要になる可能性がある。
【0129】
したがって、本発明は、航空機に関し、具体的には前記航空機のための新しい推進システムに関する。
図1aは、実質的に平行に延在し、同じ長さの壁6間に位置する羽ばたき翼4を含み、それにより実質的に長方形のダクト8のアレイを形成するシステム2の好ましい実施形態を示す。翼が羽ばたくとき、翼は、交互の高圧(空洞の減少)及び低圧(空洞の拡張)を翼4と壁6表面との間で作る。ダクトの全体体積及び翼と両方の壁との間の先端角度は、一定のままである。
【0130】
使用中、空気が入口10からノズル12に向かって流れる。これは、翼4の下流において、翼の表面及びダクト壁6に作用する圧力変化を作るその羽ばたき作用(クノラー-ベッツ効果)により、推力を発生する渦流が生じるためである。これは、カルマン逆渦列として認知されていることもある。ダクト壁6は、羽ばたき翼にダクト壁表面に関連する迎え角を形成させる(地面効果)ダクト8を作ることにより、羽ばたき翼の作用を制限し、これはまた、前方の動きにおける境界層剥離を防ぐのに役立ち、同じく対向する自由な流れの気流に対して中央翼ピッチを調整する必要性を回避することにより、機構をシンプルに維持するのに役立つ。翼4のこの形状は、ノズル12の方向にダクトと翼との間に発散形状を作る。発散の角度は、翼の振動の動きとともに変化する。
【0131】
翼4の下流に作られた渦は、効率を低下させる横軸方向の速度成分を有する。翼の下流のダクトの中心に固定子の羽根14を配置すると、この渦度が減少し、流れが直線化して効率が向上する(カッツマイヤー効果)。また、翼セットのアレイ16では、ダクト8を出る渦が互いに干渉することを避けることが有利である。より直線の流れは、ノズル12の下流の乱流を少なくし、効率を高める。
【0132】
回転モーターを主動力として使用する場合、翼4は、少なくとも対になっている必要があり、また好ましくは3つに配置されている必要があり、翼の迎え角は、(翼がその方向を反転し、速度を変更するときに)モーターの負荷が一定になるように設定する必要がある。適切なカム18がこの動作を保証し得る。
【0133】
羽ばたき動作の作業は、羽ばたき翼4によって作られる圧力の変化を最適化するように振る舞うダクト壁6によって支援される。
図1aは、流れを最適化するために表面に輪郭が付けられたダクト壁を示す。ダクト壁6がない場合、異なる翼セットの周波数の変化(制御に必要)が、隣接する翼間に異なる角度をランダムに作り得るため、2つの翼の羽ばたき位相振幅がより同相又は異相になると、発生される圧力が変化し、したがって効率及び推力が変化する。
【0134】
図1bは、壁6に輪郭が付けられるのではなく、翼4がもう少しダクト8内に設定されている実施形態を示す。ダクト端板20は、構造的剛性を維持するのに役立つ。これは、スピンドルのハウジングとしても機能し、この例では、複数のダクト8を連結して構造的剛性を高め、重量を減らす。
【0135】
端板20構造がダクト入口の高さより上に持ち上げられている場合、それを使用して、入口アレイの上に低圧の体積を作り、翼又はダクトの先端で気流が停止する可能性を減らすことができる。
【0136】
翼の後縁で作られる推力発生ジェットは、同じ周波数でダクト壁6の存在下において強度を高めることができる。ダクト壁は、それらの表面の圧力が翼の圧力と同じような変化をするため(近接度に応じて)、羽ばたき周波数を(所与の推力に対して)減少させ、所与の推力に対してより多くの可動部品の必要性を減少させるのに役立つ。壁は、振幅が増加したかのように効果的に翼に振る舞わせる。また、それらは、翼桁、翼ボックス又は胴体の一部としての機能を実行し(重量及び複雑さを軽減する)、羽ばたき翼を地上の物体及び人から遮蔽するのに役立つ。
図1cは、好ましいダクト壁の配置を示す。
【0137】
翼4とダクト8との組み合わせのアレイ16の使用は、アセンブリが前方に動いているとき、アセンブリの後方に面する側に望ましい圧力分布を維持することを促進し得る。これは、ダクト内の圧力が境界層剥離を防ぐのに役立つためである。
【0138】
ダクトの先端22と羽ばたき翼の先端24との間の距離は、水平飛行で後向き面の圧力に影響を与える可能性があるため、特に巡航速度に関して考慮する必要がある。これは、羽ばたき動作によって引き起こされた圧力の変動と、ダクト壁6によって課せられる制約とによるものである。
【0139】
羽ばたき翼4及びダクト8は、前方飛行で通常の(境界層制御)翼として機能することにより、全体的な効率を高めるのに役立つ。周波数並びに制御及び冗長性に関して、翼弦及びダクト幅の効率的なサイジングを可能にするためにアレイ16が必要である。それは、トルクの問題(羽ばたきの動きによる)を作らないであろう長さの複数のダクト又は最前面及び最背面のダクト壁で抵抗及び制御の問題を作るであろうダクトの長さも可能にする。面積あたりの翼ダクト8の数を増やすと、推力分布が向上し、正しい割合での効率、騒音、安全性及び制御に役立ち得る。
【0140】
一実施形態では、翼4の先端は、翼の長さ方向に等しい部分でトルクを伝達するように設計されなければならない。この特徴は、かなりの幅を必要とするため、羽ばたき翼4の先端を揚力発生表面として使用し、羽ばたき翼4がダクト8の発散を画定するのに役立つ先細形状を有することが有利である。これは、翼の構造が軽量のままであるのにも役立つ。なぜなら、このジオメトリは、空気及び翼自体の慣性の両方によって生じる歪みの下で翼の変形を防ぐのに適しているためである。
【0141】
可撓性の翼の後縁を使用して、振幅を増加させることなく翼弦を増加させることができる。これは、壁に近接する翼の部分を増加するため、効率を向上し得る。
【0142】
図3に示すように、ノイズを減らすために翼の後縁(静的及び羽ばたき)を鋸歯状にするか、又は別の形状にすることができる。
【0143】
ダクト壁6の形状を変更して、固定子の翼14で発生する渦度又は先端渦を減らすか、又はダクト全体のジェット速度を均一にすることができる。
【0144】
モーター及び翼先端スピンドルの代わりに、翼の後縁又は翼の上にあるレバーに取り付けられた圧電アクチュエータ又はリニアモーターなど、さまざまなタイプのアクチュエータを使用することができる。ダクト8の形状の変更(動作の空気力学的原理を必ずしも変更する必要はない)は、先細状又は直線状ダクト及び「2次元」羽ばたき素子を有することなどで行うことができる。
【0145】
ダクト8及び翼4は、境界層剥離を防ぐことにより失速の開始を遅らせる「循環制御」翼と同じように挙動することにより、前方飛行の効率を高めるために使用することができる。
【0146】
アレイ16を通常の推進と組み合わせて、巡航速度を高めることができる。翼/ダクトの大きいアレイ16は、羽ばたき翼を使用して空気からエネルギーを抽出し、航空機の降下を遅らせることによりパラシュートの役割を振る舞う「組み込み」手段として振る舞うこと(ヘリコプターの自動回転と同様の効果)を可能にするであろう。
【0147】
端板20の頂部の外側で、頂部に向かって位置する材料26の条片は、横風に起因する制御問題を減少させるのに役立つであろう。これは、材料の条片と端板との間のギャップにより、横風がダクトに直接引き込まれることを防ぐためである。ダクト8に直接引き込まれた横風は、縁部にわたって揚力を作らせ、これは、失速が発生した場合に突然変化する可能性がある。より薄い側板20の先端もこの問題の解決を支援するであろう。これは、表面が薄いほど、そこで発生する揚力が弱くなり得るためである。
【0148】
アレイ16の下に配置された羽根28は、制御又は推力の目的に使用することができ、また地面の乱れを回避することを促進するために、ダウンウォッシュがより広がるようにジェットを発散させることにも使用できる。好ましい実施形態では、胴体及び/又は端板は、制御目的のための形状にすることもできる。
【0149】
ダクト8の長さ(及び結果として翼ダクト全体の割合)は、最前及び最後のダクト壁6によって作られる抗力及び力を減少させるために、アレイ16の前及び/又は後に向かって短くすることができる。
【0150】
放射状に配置された発散するダクトのセット(羽ばたき翼及び固定子の有無にかかわらず)を使用して、抗力を減少させ、アレイの後部の問題を制御することができる。これらのダクトの数が増えるにつれ(発散角は流れ剥離の開始によって制限されるため、複数の翼が必要になる)、ダクト壁は、巡航の自由なストリームに比べて迎え角が徐々に小さくなり、その結果、抗力及び制御の問題が小さくなる。
【0151】
着陸、特に無動力での着陸を支援するために、着陸装置30は、降下の最後の部分で対気速度を減少させるのに役立つように設計される。これは、キャビンの前後を通り抜けることができ、必要に応じて胴体を通り抜けてより多くの減速時間のために余分な長さを提供することができる単一又は複数のストラットからなる。空気ダンピング、スプリング又は任意の適切な方法を使用して、必要なサスペンションを提供することができる。着陸装置要素は、好ましくは、互いに独立しており、平らでない地面で安定性を提供するのに役立つ。
【0152】
好ましい実施形態では、キャビン33は、中央胴体の下に位置し、抗力を減少させるために合理化されている。この場所は、重心を揚力面又はスラスト面の中心近くに位置し、簡単にアクセスできるようにするために好ましい。
【0153】
ここで、
図15a~16を参照すると、翼4の揺れ動く又は羽ばたき部分を駆動するためのカム40及びクランクシャフト42の配置が示されている。
図16に示される好ましい実施形態では、クランクシャフト42は、動電型ベアリングを作るために導体ディスクとしてカムと一緒に動作するその一端に永久磁石の対を有する。このカム/ベアリングの配置には摩擦がほとんど又はまったくなく、
図15に示すように、ローラ/ボールベアリング及び/又はスプリング44の必要性を回避する。