(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】粒子状物質センサーデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
G01N15/14 A
(21)【出願番号】P 2020514900
(86)(22)【出願日】2018-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2018056243
(87)【国際公開番号】W WO2018100209
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2021-02-09
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515023349
【氏名又は名称】センシリオン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Sensirion AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク グトレ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッチ ライデンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ジェリコ ムカリカ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン コストナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ティーレ
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/105726(WO,A1)
【文献】特開2004-264146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0077218(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104266948(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0039249(US,A1)
【文献】特開2014-228276(JP,A)
【文献】特開平04-353748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質センサーデバイス(1)を通って誘導されるエアロゾルサンプルの流れ(20)内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする該粒子状物質センサーデバイス(1)であって、
流れ入口(11)及び流れ出口(12)を備え、前記流れ入口(11)から前記流れ出口(12)まで該粒子状物質センサーデバイス(1)を通る前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)を誘導する流路(2)を画定するように配置され構成されている、エンクロージャ(21)と、
放射エネルギーを前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)内の前記粒子状物質の少なくとも一部と相互作用させるように、少なくとも部分的には前記流路(2)内に前記放射エネルギーを放射するように配置され構成されている放射源(3)と、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を検出するように配置され構成されている放射検出器(4)と、
前記エアロゾルサンプルの前記流れを少なくとも局所的に変更するように構成されている流れ変更デバイ
スと
を備え、
前記流れ変更デバイ
スは、前記流路(2)内への少なくとも1つの更なる流れを作る少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を備え又は前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)からなり、
前記更なる流れが前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を通って前記流路に入った後に、前記更なる流れが前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)を被覆するように、前記
少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,51
4)は、
半径方向に前記流路(2)の境界を定める壁部に、前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)に関して前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)の上流に近接して配置されて
いる、
粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512
)は、前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)の上流8ミリメートル未満
の距離(d
1,d
1a,d
2)に配置されている、請求項
1に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(514)の少なくとも1つは、スリット様であり、前記流路(2)の断面に関して周方向に延在する、請求項
1又は2に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項4】
前記更なる流れが前記流路に入る位置において、前記流路は、前記更なる流れが前記流路に入る位置における前記エアロゾルサンプルの流れ方向に対応する長手方向を定義し、
前記更なる流れ開口は、前記長手方向に対して30°~60°の角度で前記更なる流れを前記流路に注入する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項5】
フィルター(213)が、前記更なる流れがフィルタリングされた流れであるように前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)に関わり付けられている、請求項
1~4のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)には、前記流れ入口(11)とは別の第二入口(13)から該粒子状物質センサーデバイス(1)に引き込まれたガスが供給される、請求項
1~5のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項7】
該粒子状物質センサーデバイス(1)は、前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を通る前記少なくとも1つの更なる流れが吸引ベースであるように構成されている、請求項
1~6のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項8】
粒子状物質センサーデバイス(1)を通って誘導されるエアロゾルサンプルの流れ(20)内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする該粒子状物質センサーデバイス(1)であって、
流れ入口(11)及び流れ出口(12)を備え、前記流れ入口(11)から前記流れ出口(12)まで該粒子状物質センサーデバイス(1)を通る前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)を誘導する流路(2)を画定するように配置され構成されている、エンクロージャ(21)と、
放射エネルギーを前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)内の前記粒子状物質の少なくとも一部と相互作用させるように、少なくとも部分的には前記流路(2)内に前記放射エネルギーを放射するように配置され構成されている放射源(3)と、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を検出するように配置され構成されている放射検出器(4)と、
前記エアロゾルサンプルの前記流れを少なくとも局所的に変更するように構成されている流れ変更デバイスと
を備え、
前記流れ変更デバイスは、前記流路(2)内への少なくとも1つの更なる流れを作る少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を備え又は前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)からなり、
前記放射検出器(4)は、回路基板(23)上に取り付けられ、
該粒子状物質センサーデバイスは、前記少なくとも1つの更なる流れが、使用中に、1つ以上の貫通穴(231)を通って前記回路基板(23)を横断
し、前記更なる流れが前記回路基板(23)を横断した後に前記放射検出器(4)を被覆するように構成されている、
粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項9】
前記放射検出器(4)は、表面実装デバイスフォトダイオードである、請求項8に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項10】
前記エンクロージャ(21)は、前記回路基板(23)を収納するように又は前記回路基板(23)に接続されるように配置され構成されており、前記回路基板(23)は、前記流路(2)の一部の境界を定めている、請求項8又は9に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項11】
粒子状物質個数濃度及び/又は粒子状物質平均質量及び/又は粒子状物質質量濃度を導出するために、前記放射検出器(4)の出力信号を処理するように配置され構成されているマイクロプロセッサ(6)を備え、前記マイクロプロセッサ(6)は、前記放射検出器(4)と共に回路基板(23)上に取り付けられている、請求項8~10のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項12】
前記エンクロージャ(21)を覆うカバー(214)であって、前記流れ入口とは別の第二入口(13)が形成された前記カバー(214)と、
前記更なる流れがフィルタリングされた流れであるように、前記更なる流れ開口に関連するフィルター(213)と
を備え、
前記更なる流れ開口には、前記第二入口(13)から該粒子状物質センサーデバイス(1)に引き込まれたガスが供給され、
前記フィルターは、平らなシート様であり、前記カバー(214)と前記回路基板(23)との間に配置され、前記カバー(214)と前記回路基板(23)とに平行に延在している、
請求項8~11のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項13】
粒子状物質センサーデバイス(1)を通って誘導されるエアロゾルサンプルの流れ(20)内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする該粒子状物質センサーデバイス(1)であって、
流れ入口(11)及び流れ出口(12)を備え、前記流れ入口(11)から前記流れ出口(12)まで該粒子状物質センサーデバイス(1)を通る前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)を誘導する流路(2)を画定するように配置され構成されている、エンクロージャ(21)と、
放射エネルギーを前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)内の前記粒子状物質の少なくとも一部と相互作用させるように、少なくとも部分的には前記流路(2)内に前記放射エネルギーを放射するように配置され構成されている放射源(3)と、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を検出するように配置され構成されている放射検出器(4)と、
前記エアロゾルサンプルの前記流れを少なくとも局所的に変更するように構成されている流れ変更デバイスと
を備え、
前記流れ変更デバイス(511,511a,512,513,514,521)は、前記流路(2)内の又は前記流路(2)の狭窄部(521)
と、前記流路内への少なくとも1つの更なる流れを作る少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)とを含
み、
前記狭窄部(521)は、前記エアロゾルサンプルの前記流れの少なくとも一部を、前記放射検出器(4)の検出エリア(40)から離れる方向に及び/又は前記放射源(3)の放射エリア(300)から離れる方向に方向付けるように構成されて
おり、
前記少なくとも1つの更なる流れが前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を通って前記流路に入った後に、前記更なる流れが前記放射検出器(4)又は前記放射源(3)を被覆するように、前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)は、前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)に関して前記放射検出器(4)又は前記放射源(3)の上流に配置されている、
粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項14】
前記狭窄部(521)は、狭窄部領域(524)にわたって延在し、
前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)は、前記狭窄部領域(524)内に配置されかつ前記狭窄部(521)内に半径方向に延在する狭窄部凹所(523)内に配置されている、
請求項13に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項15】
前記狭窄部凹所(523)は、0.5ミリメートル~5ミリメートルの直径(D
PD)を有する、請求項
14に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項16】
前記狭窄部(521)は、前記狭窄部(521)の狭窄最大部(525)が、前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)の上流5ミリメートル未満の第2の距離(d
3,d
4)に位置するように配置され構成されている、請求項
13~15のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項17】
前記狭窄部(521)は、前記流路(2)を狭窄させ、それによる、狭窄最大部(525)における狭窄有効最小幅(D
1)と平均流路径(D
0)との比は、0.2~0.95の範囲内である、請求項
13~16のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項18】
前記狭窄有効最小幅(D
1)は、1ミリメートル~5ミリメートルの範囲内であり、及び/又は、前記平均流路径(D
0)は、1ミリメートル~15ミリメートルの範囲内である、請求項
17に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項19】
前記狭窄部(521)は、連続的に、前記流路(2)を狭窄させている、請求項13~18のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項20】
前記検出エリア(40)と狭窄最大部(525)との間の距離(d
3)は、前記狭窄部(521)の下流側半分の長さ(c
0)の2/3未満である、請求項
13~19のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項21】
前記狭窄部(521)の1ミリメートルあたりの開き角変化(β)は、1°/ミリメートル~10°/ミリメートルの範囲内である、請求項
13~20のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項22】
前記狭窄部(521)の最大開き角(Θ
max)は1°
~10°の範囲内である、請求項
13~21のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項23】
狭窄最大部(525)と最大開き角(Θ
max)の位置との間の距離(L
0)は、式:
【数1】
に従って選択され、及び/又は、
狭窄有効最小幅(D
1)は、式:
【数2】
に従って選択され、及び/又は、
前記狭窄最大部(525)と失速角度(SA)の位置との間の距離(L
1)は、式:
【数3】
に従って選択され、及び/又は、
前記狭窄最大部(525)と直径(D
PD)を有する狭窄部凹所(523)の下流縁との間の距離(L
2)は、式:
【数4】
に従って選択され、
ここでβは前記狭窄部(521)の1ミリメートルあたりの開き角変化である、
請求項
13~22のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)は、前記狭窄部(521)の狭窄最大部(525)の上流又は下流に配置されてい
る、請求項
13~23のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項25】
前記放射検出器(4)は、回路基板(23)上に取り付けられている、請求項
13~24のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項26】
前記エンクロージャ(21)は、前記回路基板(23)を収容するように又は前記回路基板(23)に接続されるように配置され構成されており、前記回路基板(23)は、前記流路(2)の一部の境界を定めている、請求項
25に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項27】
粒子状物質センサーデバイス(1)であって、
流路(2)を画定するエンクロージャ(21)と、
放射エネルギーを前記流路(2)のエアロゾルサンプルの粒子状物質と相互作用させるように、前記流路(2)に前記放射エネルギーを放射する、放射源(3)と、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を検出する放射検出器(4)と、
前記流路(2)内に更なる流れを作る少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)と、
少なくとも1つの環境パラメーターを求めるための環境センサー(7)であって、
前記更なる流れに関して前記更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)の上流の前記更なる流れの流れ経路に配設されている前記環境センサー(7)と
、
前記更なる流れ内のガスの特性を示す前記更なる流れの環境パラメーターを決定するために前記環境センサー(7)から読み出し、該粒子状物質センサーデバイス(1)に入る前の前記ガスの特性を示す補正された環境パラメーターを導出するように構成された補正デバイス(72)であって、前記補正デバイス(72)は、前記環境センサー(7)への及び/又は前記環境センサーに達する前の前記更なる流れの前記ガスへの熱侵入の量を示す情報を受信し、前記補正された環境パラメーターを決定する際に熱侵入を補正するように構成されている、前記補正デバイス(72)と
を備える粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項28】
前記環境センサー(7)は、
温度と、
湿度と、
1つ以上のターゲットガスの濃度
、複数のガスの混合ガスの濃度又は1つ以上の個々のガスの濃度と
のうちの少なくとも1つを求めるように構成されている、
請求項
27に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項29】
前記更なる流れをフィルタリングするフィルター(213)を備え、前記環境センサー(7)は、前記フィルター(213)の下流の前記更なる流れの前記流れ経路に配設されている、請求項
27又は28に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項30】
前記更なる流れの前記流れ経路は、前記エンクロージャ(21)によって境界を定められている、請求項
27~29のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項31】
前記エンクロージャ(21)は、前記流路(2)への第一流れ入口(11)と、前記更なる流れを作るためのガスを受け入れる第二流れ入口(13)とを画定し、前記第二流れ入口(13)は前記第一流れ入口(11)から離れている、請求項
30に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項32】
該粒子状物質センサーデバイス(1)は、前記第二流れ入口(13)において負圧を作るように構成されている、請求項
31に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項33】
前記放射検出器(4)は、前記環境センサー(7)の下流の前記更なる流れの流れ経路に配置されている、請求項
27~32のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項34】
前記放射検出器(4)及び前記環境センサー(7)は、共通の回路基板(23)上に取り付けられている、請求項
27~33のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項35】
前記回路基板(23)は、前記更なる流れが前記回路基板(23)を横断することを可能にする、1つ以上の貫通穴(231)を備える、請求項
34に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項36】
前記放射検出器(4)と前記環境センサー(7)とは、前記回路基板(23)の反対の面に配置されている、請求項
34又は35に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項37】
前記補正デバイス(72)は、放射源(3)及び前記放射検出器(4)のうち少なくとも1つの散逸電力に関する情報を受信し、前記散逸電力に由来する前記熱侵入を補正するように構成されている、請求項27~36のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項38】
前記環境センサー(7)は、温度を決定するように構成されており、
前記補正デバイス(72)は、散逸電力と環境センサーによる測定温度の上昇との相関を示す経験的に求められたルックアップテーブルを使用することによって前記熱侵入を補正するように構成されている、
請求項37に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項39】
粒子状物質センサーデバイス(1)を通って誘導されるエアロゾルサンプルの流れ(20)内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする該粒子状物質センサーデバイス(1)であって、
流れ入口(11)及び流れ出口(12)を備え、前記流れ入口(11)から前記流れ出口(12)まで該粒子状物質センサーデバイス(1)を通る前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)を誘導する流路(2)を画定するように配置され構成されている、エンクロージャ(21)と、
放射エネルギーを前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)内の前記粒子状物質の少なくとも一部と相互作用させるように、少なくとも部分的には前記流路(2)内に前記放射エネルギーを放射するように配置され構成されている放射源(3)と、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を検出するように配置され構成されている放射検出器(4)と、
前記エアロゾルサンプルの前記流れを少なくとも局所的に変更するように構成されており、前記流路(2)内への少なくとも1つの更なる流れを作るための少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を備える、流れ変更デバイスと、
前記更なる流れがフィルタリングされた流れであるように前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)に関わり付けられているフィルター(213)と、
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)に前記更なる流れを供給するフィードラインと
を備え、
前記フィードラインが前記更なる流れの流量を制限する寸法を前記フィードラインは有し、前記フィルター(213)が前記流量を制限しない寸法を前記フィルター(213)は有する、
粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項40】
前記エンクロージャ(21)を覆うカバー(214)であって、前記流れ入口(11)とは別の第二入口(13)が形成された前記カバー(214)を備え、
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)には、前記第二入口(13)から該粒子状物質センサーデバイス(1)に引き込まれたガスが供給され、
前記フィルター(213)は、平らなシート様であり、前記カバー(214)と平行に延在している、
請求項39に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項41】
粒子状物質センサーデバイス(1)を通って誘導されるエアロゾルサンプルの流れ(20)内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする該粒子状物質センサーデバイス(1)であって、
流れ入口(11)及び流れ出口(12)を備え、前記流れ入口(11)から前記流れ出口(12)まで該粒子状物質センサーデバイス(1)を通る前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)を誘導する流路(2)を画定するように配置され構成されている、エンクロージャ(21)と、
放射エネルギーを前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)内の前記粒子状物質の少なくとも一部と相互作用させるように、少なくとも部分的には前記流路(2)内に前記放射エネルギーを放射するように配置され構成されている放射源(3)と、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を検出するように配置され構成されている放射検出器(4)と、
前記エアロゾルサンプルの前記流れを少なくとも局所的に変更するように構成されており、前記流路(2)内への少なくとも1つの更なる流れを作るための少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)を備える、流れ変更デバイスであって、前記更なる流れが前記流路に入った後に前記更なる流れが前記放射検出器又は前記放射源を被覆するように、前記更なる流れ開口が前記更なる流れを作るように構成されている、前記流れ変更デバイスと、
前記更なる流れがフィルタリングされた流れであるように前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)に関わり付けられているフィルター(213)と、
前記少なくとも1つの更なる流れ開口に前記更なる流れを供給するフィードラインと、
前記エンクロージャ(21)を覆うカバー(214)であって、前記流れ入口(11)とは別の第二入口(13)が形成された前記カバー(214)と
を備え、
前記少なくとも1つの更なる流れ開口(511,511a,512,513,514)には、前記第二入口(13)から該粒子状物質センサーデバイス(1)に引き込まれたガスが供給され、
前記フィルター(213)は、平らなシート様であり、前記カバー(214)と平行に延在している、
粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項42】
前記放射検出器(4)は、回路基板(23)上に取り付けられ、
前記フィルター(213)は、前記カバー(214)と前記回路基板(23)との間に配置され、前記カバー(214)と前記回路基板(23)とに平行に延在している、
請求項41に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項43】
前記カバーは、カバープレートと外周壁とを備え、
前記平らでシート様のフィルターは、前記カバープレートと平行に延在し、前記外周壁に側方が囲まれている、
請求項41又は42に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)。
【請求項44】
エアロゾルサンプルの流れ(20)内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする方法であって、
請求項
1~43のいずれか1項に記載の粒子状物質センサーデバイス(1)の流路(2)を通る前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)を誘導するステップと、
前記エアロゾルサンプルの前記流れ(20)内の前記粒子状物質と相互作用させるために放射源(3)から前記流路(2)内に放射エネルギーを放射するステップと、
前記粒子状物質と相互作用した後の前記放射エネルギーの少なくとも一部を、放射検出器(4)によって検出するステップと
を含み、
前記放射検出器(4)上への、及び/又は前記放射源(3)上への、及び/又は前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)に近接する流路壁部上への、粒子状物質の沈殿を低減させるように、前記流れ変更デバイス(511,511a,512,513,514,521)によって、前記放射検出器(4)及び/又は前記放射源(3)の辺りの前記流れが変更されている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質センサーデバイスに関し、特に、空気中の粒子状物質の個数濃度及び/又は質量濃度を確認するための光学的粒子状物質センサーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、粒子濃度を求めるための低コスト光学的粒子センサーを開示している。
【0003】
特許文献2は、特性を明らかにするエアロゾル内の粒子の形状及びその光学特性に関する知識が全くない状態で、移動性及び/又は空気動力学径変換を実施するために、粒子の光学的径を使用して選択エアロゾル内の粒子のサイズを測定するシステム及び方法を開示している。特許文献2は、エアロゾル流を覆い隠す又は覆うガスの実質的にきれいな流れの使用を開示している。浄化されたシース流は、光学チャンバを通過するときに、エアロゾル流のコア内に粒子状物質を封じ込めるのに役立ち、それにより、光学チャンバ及び光学チャンバ内の付属品の粒子状物質汚染を軽減させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/054098号
【文献】米国特許出願公開第2014/0247450号
【発明の概要】
【0005】
改善された長期安定性を有する低コストの粒子状物質センサーデバイスを特定することが本発明の目的である。
【0006】
この目的は、請求項1の粒子状物質センサーデバイスによって達成される。請求項1によれば、粒子状物質センサーデバイスを通って誘導されるエアロゾルサンプル、例えば周囲空気の、流れ内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにする粒子状物質センサーデバイスが提案される。粒子状物質センサーデバイスは、エンクロージャを備え、エンクロージャは流れのための入口及び出口を備え、エンクロージャは入口から出口まで粒子状物質センサーデバイスを通るエアロゾルサンプルの流れを誘導する流路を画定するように配置され構成されている。流路は、好ましくは基本的に閉鎖されている。すなわち、以下で概説される流れ変更デバイスによって追加のガスが注入され得るが、入口に誘導される全てのエアロゾルは、出口から放出される。幾つかの実施形態において、エアロゾルサンプルの一部は、1つ以上の更なる出口を通して流路から引き出される。入口と出口との間における流路内への又は流路から出る全体の更なる流れは、入口への流れの、好ましくは30%未満、より好ましくは25%未満、特に好ましくは20%未満である。さらに、粒子状物質センサーデバイスは、
放射エネルギーをエアロゾルサンプルの流れ内の粒子状物質の少なくとも一部と相互作用させるように、少なくとも部分的には流路内に放射エネルギーを放射するように配置され構成されている放射源であって、流動性粒子状物質の10%以下の割合でさえも放射エネルギーに当たり、デバイスがモデル及び/又は較正データに基づいて測定値を再スケーリングすることが考えられ、好ましくは、放射源はレーザー又は発光ダイオード等の光源である、放射源と、
粒子状物質と相互作用した放射エネルギーの少なくとも一部を検出するように配置され構成されている放射検出器であって、この放射検出器、好ましくは、光検出器は、粒子状物質の特性又は存在を示す放射源の放射エネルギーを検出する構造体である、放射検出器と
を備える。検出される放射エネルギーは、散乱放射及び/又は屈折放射及び/又は光の非吸収部分であり得、その放射エネルギーから、粒子状物質に関する所望の情報が推定される。
【0007】
上記で述べた目的は、流れ変更デバイスを流路内に含むことによって達成される。流れ変更デバイスは、放射検出器及び/又は放射源の上流に近接して配置され、また、放射検出器上への及び/又は放射源上への及び/又は放射検出器及び/又は放射源に近接する流路壁部上への粒子状物質の沈殿を低減させるように、放射検出器の領域内及び/又は放射源の領域内及び/又は放射源及び/又は放射検出器に近接する流路壁部の領域内で、エアロゾルサンプルの流れ、好ましくは、速度、方向、及び/又はエアロゾル密度を少なくとも局所的に変更するように構成されている。この変更デバイスは、流路の1つ以上の狭窄部、及び/又は、流路への又は流路からの更なるガス流を生成する1つ以上の更なるガス流開口であり得る。狭窄部は、流路壁の形状を変更することによって、又は、例えば傾斜部又は隆起部等の物を流路内に設置することによって実現することができる。
【0008】
粒子状物質センサーデバイスの典型的な外形寸法は、長さ、幅、及び高さがそれぞれ10センチメートルより小さく、好ましくは、長さ及び幅がそれぞれ5センチメートルより小さく、かつ高さが1.5センチメートルより小さい。高さは、流路の長さ進展方向に対して垂直な方向である。他の実施形態において、高さは、1.5センチメートル以上、例えば、1.5センチメートル~3センチメートルであり得る。
【0009】
本発明のコンテキストにおいて、用語「粒子状物質」は、ガス中に、好ましくは空気中に、浮遊する固体及び/又は液体粒子の集合体を指す。この混合物は、粉塵、花粉、すす、煙、及び液滴等の有機粒子と無機粒子との両方を含み得る。粒子状物質の亜型は、10マイクロメートル以下の直径を有する粒子である「PM10」、2.5マイクロメートル以下の直径を有する粒子である「PM2.5」、及び1マイクロメートル以下の直径を有する粒子である「PM1.0」を含む。
【0010】
本発明のコンテキストにおいて、用語「エアロゾル」は、空気又は別のガス中の固体粒子及び/又は液滴のコロイドを指す。エアロゾルの例は、空気、煙、もや、粉塵、及び霧中の粒子状物質である。
【0011】
本発明のコンテキストにおいて、用語「粒子状物質を検出すること及び/又はその特性を明らかにすること」は、粒子状物質個数濃度、平均粒子状物質質量、及び/又は粒子状物質質量濃度を導出することを含む。
【0012】
本発明のコンテキストにおいて、用語「放射源」は、幾つかの実施形態について、レーザー、好ましくはレーザーダイオード、最も好ましくは可視光を放射するレーザーダイオードを指し得る。しかしながら、エミッターが発光ダイオードであることも考えられる。
【0013】
本発明のコンテキストにおいて、用語「放射検出器」は、フォトダイオード、好ましくは表面実装デバイスフォトダイオードを指すことができる。概して、放射検出器は、放射源から放射エネルギーを受け、その放射エネルギーを電気信号に変換する。信号解析を通して、粒子状物質の粒子質量、サイズ分布、個数濃度、又は他の特性を、集積回路及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサの動作によって得ることができる。放射エネルギーに対して感応性がある放射検出器のエリアは、検出エリア又は感応エリアと呼ばれる。しばしば、光が使用される場合、測定を妨害する粒子の沈殿に対して感応性がある光収集技法が使用され得る。幾つかの実施形態において、放射検出器は表面実装デバイスフォトダイオードである。
【0014】
幾つかの実施形態において、検出エリアは放射検出器よりサイズが小さい。幾つかの実施形態において、放射検出器は、放射源の直接放射から遮られるように配置され構成されている。
【0015】
本発明のコンテキストにおいて、用語「放射エネルギーと粒子状物質との相互作用」は、粒子状物質による放射エネルギーの散乱、屈折、及び吸収を包含することができる。
【0016】
本発明のコンテキストにおいて、用語「エンクロージャ」は、少なくとも部分的に流路の境界を定めるケーシング構造体として理解される。エンクロージャは単一部品又は複数部品とすることができる。好ましくは、エンクロージャは成形品である。
【0017】
本発明のコンテキストにおいて、用語「上流に近接して」は、流れ変更デバイスが、放射検出器上への及び/又は放射源上への及び/又は放射検出器及び/又は放射源に近接する流路壁部上への粒子の沈殿を低減させるように、放射検出器の領域内及び/又は放射源の領域内及び/又は放射検出器及び/又は放射源に近接する流路壁の領域内で流れを変更することの効果が得られる十分小さい上流距離にあるものと理解される。
【0018】
通常、用語「上流に近接して」と呼ばれるこの距離は、流路直径の数分の一又は数倍の範囲内とすることができる。この距離は、最大30ミリメートルまで、好ましくは最大10ミリメートルまで、好ましくは最大8ミリメートルまで、特に好ましくは1ミリメートル~6ミリメートルの範囲内とすることができる。
【0019】
通常、用語「近接」と呼ばれるこの距離は、流路直径の数分の一又は数倍の範囲内とすることができる。この距離は、最大30ミリメートルまで、好ましくは最大10ミリメートルまで、好ましくは最大8ミリメートルまで、特に好ましくは最大1ミリメートル~6ミリメートルの範囲内とすることができる。この用語は、検出器及び/又は放射源に隣接し、好ましくはそのような距離にわたって延在する壁部を含む。
【0020】
換言すれば、上記で述べた目的は、流れ変更デバイスを流路内に含むことによって達成され、流れ変更デバイスは、粒子状物質センサーデバイスが使用されるときに放射エネルギーが粒子状物質と相互作用する測定領域の上流に近接して配置され、それにより、測定領域における粒子沈殿が低減される。測定領域は、放射エネルギーが粒子状物質と相互作用する流路の体積である。好ましくは、測定領域は、放射エネルギーが流路を通過する体積(すなわち、直接放射ビームの放射経路体積)、及び更に、例えば、放射経路体積から最大30ミリメートルまでの距離、好ましくは最大10ミリメートルまでの距離、より好ましくは最大8ミリメートルまでの距離、また特に好ましくは1ミリメートル~6ミリメートルの範囲における測定領域の周りの体積を含む。測定領域内の粒子沈殿は、放射検出器上への及び/又は放射源上への及び/又は測定領域の任意の壁部上への汚れ層の堆積を徐々にもたらす場合がある。したがって、実際に、本発明による測定領域内の粒子沈殿の減少は、(測定領域内に配置される場合)放射源及び/又は検出器の劣化の防止をもたらし、及び/又は、例えば測定領域内の汚染された流路壁部上での拡散後方散乱等といった照射効果の妨害の防止をもたらす。したがって、全体的なセンサー劣化が最小になり、測定精度が向上する。
【0021】
幾つかの実施形態において、放射検出器又はその感応エリアは、測定領域内に配置される。
【0022】
幾つかの実施形態において、放射源又はその放射エリアは、測定領域内に配置される。
【0023】
好ましくは、流れ変更デバイスは、特に、存在する場合、重力による沈殿効果に抗して作用するように配置される。すなわち、流れ変更デバイスがエアロゾルサンプル流内の障害物のような傾斜部又はバックルである場合、流れ内の粒子の偏向は、放射検出器及び/又は放射源に粒子軌道が当たることを回避するように粒子軌道が変更されるようなものである。
【0024】
本発明のコンテキストにおいて、用語「入口」は、粒子状物質センサーデバイスに入るエアロゾルサンプルのための入口を指し、用語「出口」は、粒子状物質センサーデバイスから出るエアロゾルサンプルのための出口を指す。幾つかの実施形態において、入口及び/又は出口の前に更なるコンポーネント、例えば、ファン及び/又は流量計があってもよい。用語「更なる流れ開口/入口/出口」は、上記で規定した入口と出口との間の流路内の更なる開口を指す。
【0025】
本発明による粒子状物質検出器デバイスは、流れ変更デバイスを備え、流れ変更デバイスによって、粒子状物質の微視的粒子による放射検出器及び/又は放射源の汚染が低減される。これは、センサーデバイスの寿命及び精度を向上させる。概して、流れ変更デバイスにより、放射エネルギーを受信する及び/又は放射する部分上への粒子状物質の堆積層の蓄積にセンサーが曝されることが減少する。
【0026】
好ましくは、放射源は、エアロゾルサンプルの流れ内で、粒子状物質全体ではなく、粒子状物質のほんの一部にだけ、例えば10%未満にだけ、照射するように配置され構成されている。好ましくは、狭い放射ビームが使用され、放射ビームの径は、測定される流れ内の2つの粒子の間の典型的な距離以下である。
【0027】
好ましくは、粒子状物質個数濃度、平均粒子状物質質量、及び/又は粒子状物質質量濃度等の粒子状物質の特性は、測定データを較正データと比較することによって導出される。
【0028】
幾つかの実施形態において、放射検出器は回路基板上に取り付けられる。回路基板は、プリント回路基板(非可撓性形態又は可撓性形態)、セラミック回路基板、又は、保持される要素が電気的に相互接続されることを可能にするその他の種類の回路基板のうちの1つとすることができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、エンクロージャは、回路基板を収納するように配置され構成されている。回路基板は、流路の一部の境界を定めるものとすることができる。放射源は回路基板上に配置することができる。
【0030】
幾つかの実施形態において、エンクロージャは、成形要素である第1のエンクロージャ要素を備えるか又はそれからなる。エンクロージャは単一ピース要素とすることができる。幾つかの実施形態において、エンクロージャは、ともに成形要素である第1のエンクロージャ要素及び第2のエンクロージャ要素を備えるか又はそれらからなる。成形は射出成形プロセスとすることができる。エンクロージャは3つ以上の要素を備えることもできる。
【0031】
幾つかの実施形態において、エンクロージャは、基本的に、本体内で入口から出口まで延在する長手方向キャビティを有する大規模本体であり、キャビティは流路を形成する。他の実施形態において、流路は、長手方向キャビティを形成するように組み合わされるエンクロージャの2つ以上のシェルを備える本体によって画定される。この長手方向キャビティは、上記本体内で完全に延在することができる。あるいは、長手方向キャビティは、半径方向に外方に少なくとも部分的に開口状態とすることができ、開口領域は、カバー要素によって、例えば回路基板によって、カバーされ得る。しかしながら、回路基板は、任意の閉じた長手方向キャビティ内に一体化することもできる。
【0032】
流路は、基本的に閉鎖状態とすることができる。すなわち、流路は、入口から出口まで粒子状物質センサーデバイスを通ってエアロゾルサンプルの流れを誘導するように配置され構成されており、また、流路は、例えば、作製公差のために必要であるところを除いて、流体連通状態において、デッド体積、すなわち、流れがない体積を、最小にするように配置され構成されている。
【0033】
幾つかの実施形態において、流路は、測定領域の上流に及び/又は下流に、断面積が増加した部分を有する。この断面の増加は、流路の全体的な流れ抵抗の減少をもたらし、それによりエネルギー効率が増加する。さらに、これは、幾つかの実施形態において、流路を通る流れを確立及び/又は制御するためにデバイスに配置されるファンを小型化することを可能にする。
【0034】
幾つかの実施形態において、断面は流路に沿って実質的に一定とすることができる。
【0035】
幾つかの実施形態において、特定の分離チャンバ又は容積が、空気流から粒子状物質の一部を除去するために、特に測定領域の上流の流路内に配置され得る。
【0036】
好ましくは、これらの分離チャンバ又は容積は、流路の長手方向に関して急峻な下流壁を有することができ、一部は、流路の長手方向に直角に延在する下流壁を有することができる。そのような急峻な下流壁は、流れから、粒子状物質を特に効率的に収集することを可能にする。
【0037】
代替的に又は付加的に、これらの分離チャンバ又は容積は、重力方向に深さを有する窪み又はウェルを設けることによって粒子状物質を収集することができる。粒子状物質の一部は、重力によって窪み又はウェルに引き入れられ、そこで物質は、捕捉され、それにより、流れから効果的に除去される。
【0038】
さらに、そのような分離チャンバ又は容積は、断面積を局所的に増加させることができ、それが、流速を局所的に減少させ、それが、このエリアにおける粒子状物質滞留時間を増加させ、それにより、重力が流路壁上で流れから物質の一部を分離するための時間をより長くすることになる。それにより、より多くの物質を流路壁上で捕捉することができる。
【0039】
そのようなチャンバのサイズは、8×5×10mm3とすることができる。
【0040】
そのような分離チャンバ又は容積は、三角形断面形状を有する実施形態において特に好ましい。
【0041】
幾つかの実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、流れ入口から流れ出口まで粒子状物質センサーデバイスを通るエアゾロルサンプルの流速を生成する及び/又は制御するように配置され構成されているファンを備える。上記流速は、好ましくは、0.2メートル/秒~10メートル/秒の範囲内である。本発明のコンテキストにおいて、用語「ファン」は、流れを作るために使用されるデバイスを指す。ファンの例は、軸流ファン及び遠心ファンを含む。遠心ファンはブロワーとも呼ばれる。ファンは、入口に又は出口に又は入口と出口との間に配置することができる。
【0042】
しかしながら、他の実施形態において、粒子状物質センサーは、ファンを備えず、エアロゾルサンプルの流れは、外部から提供される。
【0043】
幾つかの実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、マイクロプロセッサ及び/又は集積回路を備え、マイクロプロセッサ及び/又は集積回路は、放射検出器の出力信号を処理して、粒子状物質個数濃度及び/又は粒子状物質平均質量及び/又は粒子状物質質量濃度を導出するように配置され構成されている。幾つかの実施形態において、放射検出器は、入射放射エネルギーに比例する電気信号を出力する。この電気信号は、その後、アナログ-デジタル変換器を介して伝達され、その出力は、所望のパラメーターを導出するためにマイクロプロセッサ及び/又は集積回路を備える信号解析ユニットによって解析され得る。
【0044】
幾つかの実施形態において、マイクロプロセッサ及び/又は集積回路は回路基板上に取り付けられている。
【0045】
幾つかの実施形態において、マイクロプロセッサ及び/又は集積回路は、放射検出器及び/又は放射源と一体化されている。
【0046】
幾つかの好ましい実施形態において、粒子状物質センサーは、入口で、出口で、及び/又は入口と出口との間で、流路内の流量を求める、流量計を備える。
【0047】
幾つかの実施形態において、流れ変更デバイスは、流路内への又は流路からの少なくとも1つの更なる流れを作る少なくとも1つの更なる流れ開口を備えるか又は少なくとも1つの更なる流れ開口からなる。好ましくは、開口は、1つの更なる流れがそこを通して流路に導入される入口である。
【0048】
幾つかの実施形態において、流路は、第1の壁部、第2の壁部、及び少なくとも1つの第3の壁部によって半径方向に境界を定められている。上記少なくとも1つの更なる流れ開口は、(i)流路内に第1の更なる流れを導入するように上記第1の壁部に、及び/又は、(ii)流路内に第2の更なる流れを導入するように上記第2の壁部に、及び/又は、(iii)流路内に第3の更なる流れを導入するように少なくとも1つの第3の壁部の少なくとも1つに、配置されている。
【0049】
幾つかの実施形態において、上記少なくとも1つの更なる流れ開口のうちの少なくとも1つの断面は、好ましくは、(i)絞られたジェット様の更なる流れを生成するために基本的に点様であるか、又は、(ii)シート様の更なる流れを生成するためにスリット様である。シート様の更なる流れを生成するように、複数のジェット様の更なる流れ開口を列状に配置することができる。
【0050】
好ましくは、シート様の更なる流れ開口は、流路の断面に関して周方向に、また、好ましくは流路の断面の周りに部分的に又は全体的に延在する。
【0051】
幾つかの好ましい実施形態において、流路は、流路の長さに沿って基本的に一定である断面を有する。
【0052】
流路は、直線で構成され又は実質的に直線で構成され得る。流路は、U字形状等の、1つ、2つ又はそれ以上の屈曲部を有することができる。検出器及び/又は放射源は、屈曲部の下流に、好ましくは、流路径1つ分~3つ分だけ屈曲部の下流に配置することができる。他の実施形態において、検出器及び/又は放射源は、流路径4つ分~5つ分だけ屈曲部の下流に配置することができる。
【0053】
流れの方向に垂直な流路の典型的な断面幅は、1ミリメートル~10ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~5ミリメートルの範囲内とすることができる。流路の断面幅及び/又は断面の形状は、流路に沿って変動してもよい。形状の例は、完全に又は部分的に、長方形、正方形、楕円形、丸形、及び三角形である形状を含む。角及び稜は丸みを帯びさせることができる。
【0054】
したがって、壁部は、平面状又は湾曲状とすることができ、又は、流路の断面形状に応じて、1つ以上の稜を備えることができる。壁部は、単一の管部品の一部とすることができるし、あるいは、組み合わせられてもよい。第1の壁部は(例えば、重力に関して)底壁部とすることができ、第2の壁部は上壁部とすることができ、第3の壁部は側壁部とすることができる。角及び稜は丸みを帯びさせることができる。
【0055】
幾つかの実施形態において、流路は、その全長の少なくとも50%~95%又はその全長に亘って基本的に一定の断面積を有していてよい。
【0056】
幾つかの好ましい実施形態において、流路の断面積は三角形であり、更なる流れ開口は、3つ全ての壁部に配置される。好ましくは、更なる流れ開口は、スリット様であり、好ましくは、流路の断面に関して周方向に延在し、好ましくは、流路の断面周り全体に延在する。流路の断面周りに部分的に又は全体的に延在するスリット様開口を有する三角形流路は、放射検出器上への、放射源上への、また、放射源及び検出器に近接する壁表面上への粒子状物質沈殿を低減でき、三角形流路が、1つだけの又は2つだけのエンクロージャ要素によって、更なる流れを供給するラインを含む型で、作製され得るという利点を有する。
【0057】
幾つかの実施形態において、フィルターがセンサーデバイスに組み込まれている。フィルターは少なくとも1つの更なる流れ開口に設けられている。それにより、更なる流れは、フィルタリングされた流れとなる。フィルターは、空気フィルター、特に、HEPAフィルター又はパスフィルターとすることができる。フィルタリングされた更なる流れを導入することは、検出器及び/又は放射源の領域内で粒子状物質密度を低減させることができ、これにより、沈殿が低減する。換言すれば、更なる流れは、幾つかの実施形態において、エアロゾルサンプルを少なくとも局所的に希釈することができる。
【0058】
更なる流れの更なる態様は、その流れを導入することによって、放射検出器への及び/又は放射源上への及び/又は検出器及び/又は放射源に近接する流路壁部上への沈殿を回避することができるように、粒子状物質の軌道を再方向付けすることができることである。したがって、更なる流れが汚染物質を含んでいる場合でも、エアロゾルサンプル流と相互作用するその再方向付け効果は、センサー劣化を低減させることができる。流れ変更デバイスは、検出器及び/又は放射源上に粒子状物質を誘導する重力に抗して作用することが特に好ましい。したがって、変更デバイスは、好ましくは、(重力方向に関して)流れ領域の底部領域に配置される。
【0059】
更なる流れのためのガスは、エアロゾルサンプルが引き出されるのと同じリザーバから引き出すことができるか、又は、別のリザーバから供給することができる。
【0060】
幾つかの実施形態において、1つ以上の更なる流れ開口は、好ましくは、それぞれ、放射検出器及び/又は放射源の上流の、8ミリメートル未満、好ましくは1ミリメートル~6ミリメートルの範囲内の第1の距離に配置される。
【0061】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの更なる流れ開口は、流れ入口とは別の第2入口から粒子状物質センサーデバイスに引き込まれるガスが供給される入口である。他の実施形態において、更なる流れ開口は、流路からエアロゾルを引き出すように負圧に接続される。
【0062】
幾つかの実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、少なくとも1つの更なる流れ開口を通る少なくとも1つの更なる流れが吸引ベースであるように構成されている。吸引ベースの実施形態において、流路内に更なる流れを導入するために、追加のファン、すなわち、ベンチレーターを設置する必要性はない。同様に、ガスは、他の手段によって入口を通して押し出される必要はない。
【0063】
幾つかの実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、上記流路内に配置された少なくとも1つの第1の凹所を更に備え、第1の凹所は、放射源及び/又は放射検出器を収納するように構成されている。第1の凹所は、少なくとも放射エネルギーの通路に対して開口する。放射源及び/又は放射検出器を第1の凹所内に配置することは、感応要素を粒子の沈殿から保護する。なぜならば、凹所は、流れが減少した領域であり、感応要素が主要な流れからオフセットして設置されるからである。さらに、これらの又は他の実施形態のうちの幾つかの実施形態において、少なくとも放射エネルギーのための流路に対して開口する更なる凹所が、ビームストッパーを収納するように配置され構成されている。ビームストッパーのための凹所は、直線状に延在することができるし、あるいは、その凹所は、湾曲状又は角度付きであることができる。非直線の場合、放射ビームは反射してビームストッパーに当たる。後者の凹所形状によって、測定を妨害し得るビームストッパーの領域から反射する迷光放射が、流路に再入することが回避される。
【0064】
検出器及び/又は放射源のためのこれらの凹所は、流路に対するそれらの開口によって、更なる流れがそこを通して流路に入る更なる流れ開口を構成することができる。この機能を実装するために、これらの凹所にはガスが供給され得るか、又は、ガスがその凹所から引き出され得る。そのような凹所を更なる流れ開口と組み合わせることによって、コンパクトな設計と上記凹所内に配置された感応要素の特に効率的な保護とが達成される。したがって、幾つかの実施形態において、上記少なくとも1つの更なる流れ開口のうちの少なくとも1つは、好ましくは、それぞれ第1の凹所及び/又は第2の凹所に配置され、それにより、上記少なくとも1つの更なる流れのうちの少なくとも1つは、それぞれ第1の凹所から及び/又は第2の凹所から流路に入る。したがって、第1の凹所内に配置される感応要素は、感応要素の周りを流れる更なる流れによって、流路内を流れるエアロゾルサンプル内の粒子状物質から更に保護される。
【0065】
幾つかの実施形態において、放射検出器は回路基板上に取り付けられる。これはコンパクトな設計を可能にする。放射検出器は、幾つかの実施形態において、表面実装デバイスフォトダイオードである。
【0066】
幾つかの実施形態において、センサーデバイスは、使用中に、少なくとも1つの更なる流れが、1つ以上の貫通穴を通して回路基板を横断するように構成されている。これは、特にコンパクトな設計を可能にする。
【0067】
幾つかの実施形態において、上記少なくとも1つの更なる流れ開口のうちの少なくとも1つは、放射検出器及び/又は放射源を覆うような更なる流れを導入するように配置され構成されている。幾つかの実施形態において、この覆いは、物質を異なる軌道にそらせる局所流れ及び/又は局所希釈であり、この覆いによって保護される要素上への堆積を回避する。
【0068】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの流れ変更デバイスは、上記少なくとも1つの更なる流れの大きさが、全体として、上記少なくとも1つの流れ変更デバイスの上流の流路を通るエアロゾルサンプルの流れの大きさの30パーセント以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下であるように、上記少なくとも1つの更なる流れを流路に導入するように構成されている。
【0069】
幾つかの実施形態において、流れ変更デバイスは、流路内の又は流路の狭窄部を備えるか又は狭窄部からなる。狭窄部は、流路の断面積を局所的に減少させる構造部である。狭窄部は流路の壁によって直接形成することができ、及び/又は、更なる構造部を流路内に配置することができる。狭窄部は、検出器の検出エリアから離れるように、及び/又は、放射源の放射エリアから離れるように、エアロゾルサンプルの流れの少なくとも一部を方向付けるように配置及び構成することができる。粒子状物質の慣性によって、粒子の軌道は、それにより、放射検出器及び/又は放射源からそらされる。
【0070】
更なる流れ開口(複数の場合もある)及び狭窄部(複数の場合もある)を組み合わせることもできる。
【0071】
幾つかの実施形態において、上記狭窄部は、上記狭窄部の狭窄最大部が、すなわち、狭窄部が流路径を最も減少させる位置が、放射検出器及び/又は放射源の上流の5ミリメートル未満、好ましくは3ミリメートル未満の第2の距離に位置するように配置され構成されている。
【0072】
幾つかの実施形態において、上記狭窄部は、流路を、流れ方向において連続的に狭窄させる。換言すれば、狭窄最大部の前及び/又は後の、狭窄部領域内の流路の有効幅は、単調に又は狭義に単調に変化する。これは流れ内の不必要な乱流の発生を回避する。狭窄部は、流路の周方向に部分的又は全体的にわたって延在することができる。
【0073】
狭窄最大部における狭窄有効最小幅と平均流路径との比は、0.2~0.95、好ましくは0.3~0.6の範囲内である。
【0074】
狭窄有効最小幅D1は1ミリメートル~5ミリメートルの範囲内とすることができ、及び/又は、上記平均流路径D0は好ましくは1ミリメートル~15ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~8ミリメートルの範囲内である。
【0075】
幾つかの実施形態において、上記狭窄部は、狭窄部領域にわたって延在し、下流に向かって、狭窄部は、その狭窄最大部まで盛り上がり、元通りに下がる。放射検出器及び/又は放射源は、上記狭窄部領域内に配置され、上記狭窄部内に半径方向に延在する、狭窄部凹所内に配置されている。上記狭窄部凹所は、好ましくは、ブラインド穴であり、及び/又は、流れ方向の直径DPDは、好ましくは0.5ミリメートル~5ミリメートルである。放射エネルギーは、容易に凹所に入るか又は凹所から出ることができ、一方、凹所内への粒子沈殿は減少する。好ましくは、この凹所は、狭窄最大部の下流に配置される。
【0076】
幾つかの実施形態において、放射検出器の検出エリアと狭窄最大部との間の距離は、狭窄部領域の下流側半分の長さの2/3未満である。
【0077】
幾つかの実施形態において、上記狭窄部の1ミリメートルあたりの開き角変化βは、1°/ミリメートル~10°/ミリメートルの範囲内である。
【0078】
幾つかの実施形態において、上記狭窄部の最大開き角Θ
maxは好ましくは1°~失速角度SAの範囲内であり、上記失速角度SAは好ましくは5°~10°の範囲内である。失速角度は、より大きい角度に向かって、流れがそこで失速する角度である。しかしながら、最大開き角が失速角度より大きいことも考えられる。上記狭窄部中心と上記最大開き角Θ
maxの位置との間の距離L
0は、好ましくは式:
【数1】
に従って選択される。
【0079】
幾つかの実施形態において、上記狭窄有効最小幅D
1は式:
【数2】
に従って選択される。
【0080】
幾つかの実施形態において、上記狭窄部中心と上記失速角度SAの位置との間の距離L
1は、好ましくは式:
【数3】
に従って選択される。
【0081】
上記狭窄部中心と直径D
PDを有する上記狭窄部凹所の下流縁との間の距離L
2は、好ましくは式:
【数4】
に従って選択される。
【0082】
いくつかの実施形態において、流れ変更デバイスは、少なくとも1つの狭窄部及び少なくとも1つの更なる流れ開口を備え、少なくとも1つの更なる流れ開口は、好ましくは、狭窄部の狭窄最大部の上流又は下流に配置される少なくとも1つの流れ入口を備える。
【0083】
幾つかの実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、互いから離れて延在する少なくとも2つの流路及び少なくとも2つの放射検出器を備え、少なくとも2つの放射検出器のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの流路のそれぞれの流路内に配置されている。したがって、センサーデバイスは、2つ以上の流路のデバイスである。
【0084】
幾つかの実施形態において、エンクロージャは、好ましくは、回路基板を収納するように配置され構成されており、及び/又は、少なくとも2つの放射検出器は、好ましくは、同じ回路基板上に取り付けられている。
【0085】
更なる態様において、本発明は、エアロゾルサンプルの流れ内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにするための方法に関し、その方法は、
好ましくは本発明による粒子状物質センサーデバイスの流路を通るエアロゾルサンプルの流れを誘導するステップと、
エアロゾルサンプルの流れ内の粒子状物質と相互作用するように放射源から流路内に放射エネルギーを放射するステップと、
粒子状物質と相互作用した放射エネルギーの少なくとも一部を、放射検出器によって、また、好ましくは集積回路及び/又は少なくとも1つのマイクロプロセッサの制御下で、検出するステップと、
放射検出器上への及び/又は放射源上への及び/又は放射源及び/又は放射検出器に近接する流路壁部上への粒子状物質の沈殿を低減させるように、それぞれ放射検出器又は放射源の上流に近接して配置された流れ変更デバイスによって、放射検出器の領域内及び/又は放射源の領域内及び/又は上記流路壁の領域内のエアロゾルサンプルの流れ、好ましくは、エアロゾルサンプルの速度、方向、及び/又はエアロゾル密度を少なくとも局所的に変更するステップと
を含む。
【0086】
本発明による粒子状物質センサーデバイスは、エアロゾルサンプル内の、特に、周囲空気内の粒子状物質を検出する及び/又はその特性を明らかにするために使用することができる。粒子状物質個数濃度及び/又は粒子状物質平均質量及び/又は粒子状物質質量濃度を求めることができる。
【0087】
したがって、本発明は、粒子状物質センサーデバイスに関し、粒子状物質センサーデバイスは、流れ入口、流れ出口、及びそれらの間に延在する流路を備える、エンクロージャと、流路を通して誘導されるときのエアロゾルサンプルの流れ内の粒子状物質と放射エネルギーとを相互作用させるように流路内に放射エネルギーを放射する放射源と、粒子状物質と相互作用した後の上記放射エネルギーの少なくとも一部を検出する放射検出器とを備える。センサーデバイスは、流れ変更デバイスを更に備え、流れ変更デバイスは、放射検出器及び/又は放射源の上流に配置され、また、放射検出器上への及び/又は放射源上への及び/又は検出器及び/又は放射源に近接する流路壁上への粒子状物質の沈殿を低減させるように、エアロゾルサンプルの流れを変更するように構成されている。本発明は、そのような流れ変更デバイスを有する粒子状物質センサーデバイスを使用することによってエアロゾルサンプル内の粒子状物質のパラメーターを求める方法にも関する。
【0088】
本発明の態様によるセンサーの実施形態は、劣化を受けにくく、したがって、より長い寿命を有し、及び/又は、維持管理の必要をより少なくする。これらの特徴のおかげで、デバイスの実施形態は、例えば、個人が、粒子状物質に対する自分の曝露を測定することを可能にする個人モニターとして使用することができる。デバイスの実施形態は、同様に、限定はしないが、空調ユニット、空気清浄器、輸送車両、IoT(Internet of Things)センサーノード、モバイルハンドセット、及びウェアラブルデバイスを含む広範囲の製品及びシステム内に埋め込まれ得る。デバイスの実施形態は、スタンドアローンモードで空気品質データを記録でき、あるいは、スマートフォン及び/又は任意の他の適したデバイス等の他のデバイスと有線又は無線でそのデータを通信できる。空気品質データは測定場所に関する情報と結合されて、高密度の空気品質マップを作成することができる。
【0089】
粒子状物質センサーデバイスは、少なくとも1つの環境パラメーターを求める環境センサーを更に備え得る。流れ変更デバイスが、流路内に少なくとも1つの更なる流れを作るために少なくとも1つの更なる流れ開口を備えるか又はそれからなる実施形態において、環境センサーは、有利には、更なる流れ開口の上流で更なる流れの流れ経路内に配置され得る。
【0090】
したがって、本発明はまた、
流路を画定するエンクロージャと、
流路内でエアロゾルサンプル内の粒子状物質と放射エネルギーとを相互作用させるように流路内に放射エネルギーを放射する放射源と、
粒子状物質と相互作用した後の上記放射エネルギーの少なくとも一部を検出する放射検出器と、
流路内に更なる流れを作る少なくとも1つの更なる流れ開口と、
更なる流れ開口の上流の更なる流れの流れ経路内に配設される、少なくとも1つの環境パラメーターを求める環境センサーと
を備える粒子状物質センサーデバイスを提供する。
【0091】
環境センサーは、更なる流れ内の1つ以上のパラメーターを求めるように構成されている。更なる流れは、粒子状物質センサーデバイスの環境に由来するため、環境センサーの出力は、粒子状物質センサーデバイスの環境のそのようなパラメーター、すなわち、環境パラメーターを示すと解釈され得る。
【0092】
環境センサーによって検知される環境パラメーターは、通常、センサーモジュールの環境の媒体の物理量を示し、その媒体は好ましくは空気である。環境パラメーターは、例えば、環境の相対湿度、センサーモジュールの環境の温度、又は環境の少なくとも1つのターゲットガス濃度とすることができる。特に、ターゲットガスは、揮発性有機化合物等のガスの混合物、又は、個々の揮発性有機化合物(例えば、エタノール、ホルムアルデヒド、イソプロパノール)、窒素酸化物、水素、オゾン、一酸化炭素、アンモニア、若しくは二酸化炭素等の個々のガスを含むことができる。特に、環境センサーは、
湿度センサー、
温度センサー、
組み合わせ式湿度及び温度センサー、
ガスセンサー、特に、
MOXベースガスセンサー、
光ガスセンサー、
光音響ガスセンサー、
熱ガスセンサー、
電気化学ガスセンサー、特に、
固体電気化学ガスセンサー、
室温有機液体電気化学ガスセンサー、
のうちの1つ以上であり得る。
【0093】
環境センサーは半導体センサーであり得る。環境センサーは、集積化制御及び/又は読み出し回路を備え得る。特に、環境センサーは、CMOS技術で作製された層状半導体センサーであり得る。そのようなセンサーは、当技術分野でよく知られている。例えば、半導体湿度及び温度センサーは、Sensirion AG社(https://www.sensirion.com/en/environmental-sensors/humidity-sensors/)からSHT3xシリーズとして市販されている。ガスセンサーは、例えば、Sensirion AG社(https://www.sensirion.com/en/environmental-sensors/gas-sensors/)からSGP3xシリーズとして市販されている。
【0094】
粒子状物質センサーデバイスは、更なる流れをフィルタリングするフィルターを備え得る。そのような実施形態において、環境センサーは、好ましくは、フィルターの下流に配置される。こうして、環境センサーは、粒子状物質による汚染から保護される。
【0095】
更なる流れ開口から上流の更なる流れの流れ経路は、エンクロージャによって、特に、エアロゾルのための(主要な)流路の境界も定める同じエンクロージャによって境界を定められ得る。エンクロージャは、流路を通るエアロゾルの主要な流れのための、及び、更なる流れのための、別個の入口を画定し得る。すなわち、エンクロージャは、流路への第1流れ入口、及び更なる流れを形成するためのガスを受ける第2流れ入口を画定し得る。第2流れ入口は、第1流れ入口と別である。
【0096】
粒子状物質センサーデバイスは、第2流れ入口において負圧を作るように構成され得る。例えば、これは、流路内のエアロゾルサンプルの流れを加速させることによって、例えば、当技術分野でよく知られているように、流路内に狭窄部を設け、ベルヌーイ効果を利用することによって達成され得る。圧力差を作る他の手段もよく知られている。
【0097】
幾つかの実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、更なる流れが放射検出器を通過して、粒子状物質の好ましくない堆積から放射検出器を保護するように構成される。そのため、放射検出器は、環境センサーの下流の更なる流れの流れ経路内に配置され得る。
【0098】
幾つかの実施形態において、放射検出器及び環境センサーは共通の回路基板上に取り付けられる。これは、放射検出器が表面実装デバイス光検出器、例えば、表面実装フォトダイオードである場合に、特に有利である。
【0099】
更なる流れが回路基板を横断することを可能にするために、回路基板は、更なる流れが回路基板を横断することを可能にするように構成されている1つ以上の貫通穴を備え得る。他の実施形態において、更なる流れの流れ経路は、回路基板の少なくとも1つの縁の周りを通る。
【0100】
粒子状物質センサーデバイスは、環境センサーを、回路基板の少なくとも1つの部分から熱的に切り離すように構成され得る。これは、環境センサーが更なる流れの温度を求めるように構成されている場合に特に有利である。特に、回路基板は、環境センサーがその上に取り付けられる回路基板の第1の部分を、第1の部分から所定距離だけ離れたある部分から熱的に切り離すように構成され得る。多くの異なる対策が、環境センサーを回路基板の或る特定の部分から熱的に切り離すためにとられ得る。そのような対策について記載されている独国実用新案第2017106413号が参照される。例えば、回路基板は、環境センサーがその上に取り付けられる回路基板の第1の部分と第1の部分から所定距離だけ離れているある別の部分との間に1つ以上のスロットを有し得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、放射検出器と環境センサーとは、回路基板の反対の面に配置されている。これは、環境センサーについての空間の可用性に応じて有利である場合があるが、それは、環境センサーを、回路基板の或る部分から及び/又は放射検出から熱的に切り離すのにも役立ち得る。更なる流れは、好ましくは最初に回路基板の第1の側で環境センサーを通過し、その後に回路基板の反対の面に方向付けられ、そこで、放射検出器を通過する。他の実施形態において、放射検出器及び環境センサーは、回路基板の同じ側に配置され得る。
【0102】
粒子状物質センサーデバイスは、環境センサーから読み出し、粒子状物質センサーデバイスに入る前の更なる流れのガスのパラメーターを示す補正された出力パラメーターを導出するように構成されている、補正デバイスを備えることができる。こうして、粒子状物質センサーデバイスの外の環境パラメーターのより正確な値が得られ得る。例えば、環境センサーが更なる流れの温度を求めるように構成されている場合、補正デバイスは、更なる流れが環境センサーに達する前の、環境センサーへの熱侵入の量及び/又は更なる流れのガスへの熱侵入の量を示す情報を受信し、熱侵入を補正するように構成され得る。そのような熱侵入は、放射源、放射検出器、ファン(存在する場合)、及び/又は、粒子状物質センサーデバイス内の任意の他の電気又は電子デバイスにおける熱散逸から生じ得る。単純な実施形態において、補正デバイスは、放射源、放射検出器、ファン等のうちの少なくとも1つの散逸電力に関する情報を受信することができ、例えば、散逸電力と環境センサーによる測定温度の上昇との相関を示す経験的に求められたルックアップテーブルを使用することによって、結果として生じる熱侵入を補正することができる。こうして、粒子状物質センサーデバイスの環境の温度の信頼性の高い値が得られ得る。同様の対策が、他の環境パラメーターについても取られ得る。補正デバイスは、環境センサーと、特に、その制御及び読み出し回路と一体化され得るし、あるいは、補正デバイスは、別個に実装され得る。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】
図1(a)は、粒子状物質センサーデバイスの一実施形態の概略的な縦断面図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示す粒子状物質センサーデバイスの実施形態の概略的な上面断面図である。
【
図2】
図2(a)-(c)は、流路の実施形態の概略的な横断面図である。
【
図3】更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの一実施形態の概略的な縦断面図である。
【
図4】更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの別の実施形態の概略的な縦断面図である。
【
図5】更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの更に別の実施形態の概略的な縦断面図である。
【
図6】
図6(a)は、更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの更に別の実施形態の概略縦断面図であり、
図6(b)は、
図6(a)に示す更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの実施形態の概略的な上面断面図である。
【
図7】狭窄部を有する粒子状物質センサーデバイスの一実施形態の概略的な縦断面図である。
【
図8】狭窄部を有する粒子状物質センサーデバイスの別の実施形態の概略的な縦断面図である。
【
図9】狭窄部を有する粒子状物質センサーデバイスの別の実施形態の上面からの写真である。
【
図10】狭窄部デバイスを有する粒子状物質センサーデバイスの更に別の実施形態の概略的な横方向縦断面図である。
【
図11】狭窄部及び更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの更なる実施形態の概略的な横方向縦断面図である。
【
図12】
図12(a)は、狭窄部及び更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイスの別の実施形態の概略的な縦断面図であり、
図12(b)は、
図12(a)に示す粒子状物質センサーデバイスの実施形態の概略的な上面断面図である。
【
図13】部分的に組み立てられた粒子状物質センサーデバイスの一実施形態の分解斜視図であり、このデバイスは、上部から下部に向かって、第2のエンクロージャ(上下逆さに示す)、第1のエンクロージャ、回路基板、フィルター、及びカバーを有する。
【
図14】
図13に示す粒子状物質センサーデバイスの第1のエンクロージャの拡大詳細図である。
【
図15】2つの流路を有する粒子状物質センサーデバイスの一実施形態の概略的な上面図である。
【
図16】部分的に組み立てられた粒子状物質センサーデバイスの更なる実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0104】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して以下で説明する。図面は、本発明の好ましい実施形態を示すためのものであり、それを制限するためのものではない。
【0105】
ここで、本発明の好ましい実施形態が図を参照して述べられる。
【0106】
図のコンテキストにおいて、エアロゾルサンプル内の粒子状物質濃度を確認する粒子状物質センサーデバイス1は、例示的に述べられ、可視光が放射エネルギーとして使用される。
【0107】
図1(a)は、粒子状物質センサーデバイス1の第1の実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。
図1(b)は、この粒子状物質センサーデバイス1の概略的な上面断面図を示す。デバイス1は、長手軸Lに沿って入口11と出口12との間に延在して直径D
0を有する流路2の境界を定めるエンクロージャ21を備える。センサーデバイス1によって測定されるエアロゾルサンプルの流れ20は、流路2を通して誘導される。ファン220、すなわち、換気デバイスが、流れ20を制御するために流路2内に配置される。
【0108】
プリント回路基板23はエンクロージャ21の底部に取り付けられている。
【0109】
放射検出器4が、流路2においてエンクロージャ21の底部内の第1の凹所22内に収容されている。検出器4は表面実装フォトダイオードとすることができる。検出器4はプリント回路基板23上に又はその中に配置されている。フォトダイオード4は、感応エリア40を有し、感応エリア40は、流路2に向かって方向付けられ、また、表面が、流路2の境界を定めるエンクロージャの壁と実質的に同一平面上になるように実質的に長手軸Lに沿って延在する。これは、エアロゾル流20に対する抵抗又は妨害を最小にする。
【0110】
図1bを見てわかるように、ここではレーザーである放射源3が、エンクロージャ21に設けられ、側壁部の更なる第1の凹所22内に配置されている。ここではレーザー光経路である放射経路Xは、流路2の長手軸Lに実質的に垂直に延在する。さらに、放射経路Xは、感応エリア40のすぐ上に、好ましくは感応エリアに対してD
0の何分の1かだけ距離をおいて延在するように選択され、好ましくは、放射経路Xは流路2の中心を通って延在する。これは、センサーデバイス1の感度を増加させる。なぜならば、検出器4が、エアロゾルサンプル内の粒子状物質と放射エネルギーとが相互作用する反応ゾーンに近いからである。
【0111】
レーザーデバイス3は、流路2を通してレーザービーム32を放射し、レーザー光はエアロゾルサンプル流20内の粒子状物質と相互作用し、これにより、例えば、検出器4によって検出される散乱光30が生じる。相互作用しないレーザービームの一部は、その後、水平凹所22a内に、そしてビームストッパー31上に導かれる。
【0112】
レーザーデバイス3に対向して、更なる凹所22aが設けられ、更なる凹所22aの奥に、エアロゾルサンプルによって方向を変えられ又は吸収されなかった(又は、十分にそうされなかった)レーザー光を受けるために、ビームストッパー31が配置されている。凹所22a内にビームストッパー31を設けることは、測定を妨害する場合がある迷光又はスプリアス光を低減する。さらに、凹所22aは、反射要素がストッパー31上に放射エネルギーを誘導するために湾曲部又は屈曲部内に配置されるのであれば、湾曲状又は屈曲状とすることができる。それにより、ストッパー31からの後方反射が低減される。
【0113】
感応エリア40から上流距離d1に、ここでは底部入口開口である第1の更なる流れ開口511が、エンクロージャ21の底壁部に配置されている。底部入口511に給送するラインは、プリント回路基板23内の貫通穴231を通り底部入口511まで延在し、底部入口511に、例えばここでは底部の更なる流れである第1の更なる流れ5110を生じさせるように、ガスを供給する。
【0114】
感応エリア40から実質的に同じ上流距離d1に、ここでは上部入口開口である第2の更なる流れ開口512が、エンクロージャ21の上壁部に配置されている。上部流れ入口512には、例えばここでは上部の更なる流れである第2の更なる流れ5120を生じさせるように、ガスが供給される。
【0115】
更なる底部流れ5110及び更なる上部流れ5120は、長手軸Lに関して実質的に直角に流路2に入るように方向付けられる。
【0116】
2つの第3の流れ開口513である側部流れ開口は、エンクロージャ21の側壁部に設けられている。側部流れ入口513は、互いに対向して配置され、例えばここでは側部の更なる流れである第3の更なる流れ5130を生じさせるように、側部流れ入口513にはガスが供給される。
【0117】
互いに対向して配置される開口は、互いに直接対向して配置することができ、又は、互いに対して流れ方向にD0の何分の1かだけオフセットすることができる。
【0118】
図1(b)に見られるように、側部開口513は、長手軸Lと、側部入口513に給送する供給ラインの最終セクションの延長線との間の角度が約30°~60°であるように、長手軸Lに対して角度が付けられている。側方流のこの傾斜注入は、もたらされるエアロゾル流20の乱れを小さくする。側方流5130がLに対して実質的に直角に注入されることも考えられる。さらに、上部流5120及び/又は底部流5110等の任意の更なる流れが、側方流5130に関して説明したのと同様に、傾斜して注入されることが考えられる。
【0119】
少なくとも一部又は全ての更なる流れ開口511、512、513は、フィルター要素を備えることができるか、又は、好ましくは開口の上流に設けられる関連するフィルター要素を有することができる。フィルターは、例えば、空気フィルター、特にHEPAフィルター、又は、フィルタリングされた更なる流れを作るためのパスフィルターである。さらに、少なくとも一部又は全ての更なる流れ5110、5120、5130は、流れ20がそれぞれの入口511、512、及び513でそれぞれ負圧を作ることで、作られてもよい。
【0120】
デバイス1は、ここでは検出器4に対して一体化されているものとして示す、集積回路60及び/又はマイクロプロセッサ6を更に装備する。マイクロプロセッサ(複数の場合もある)6及び集積回路60は、放射源3又はファン220等の他の要素上に又はその中に配置することもできる。デバイス1は、集積回路60及び/又はマイクロプロセッサ6の制御下で、また、放射源3及び検出器4によって、測定を実施するように構成されている。
【0121】
センサーデバイス1は、PM1.0センサー又はPM2.5センサーとすることができる。すなわち、センサーデバイス1は、それぞれ1マイクロメートル及び2.5マイクロメートルの又はそれより小さいサイズを有する粒子を測定することができる。あるいは、センサーデバイス1は、10マイクロメートル以下の粒子サイズを有するエアロゾルサンプル内の粒子状物質を測定するPM10デバイスとすることができる。
【0122】
更なる流れ5110、5120、5130は、放射検出器4上への及び/又は放射源3上への及び/又は放射源及び検出器に近接する壁表面上への粒子状物質の沈殿が低減されるように流れ20を補正する。
【0123】
結果として得られる補正された流れの実施形態は、
図1a及び
図1bの中心における3つの矢印Bで概略的に示される。ここで、より低いエアロゾル密度の周辺流(細矢印Bで示す)は、中心流(中央の太矢印で示す)と比較して、放射検出器4上への及び/又は放射源3上への及び/又は放射源3及び検出器4に近接する流路壁部表面上への粒子状物質の沈殿を低減する。ここでは、長手軸に近接する流路2の中心における流れる粒子状物質の10%以下の一部のみに放射エネルギーが当てられる。測定が行われる流路の中心におけるエアロゾルの密度は、本質的に不変のままであり、その流速のみが、入口と比較して増加し得る。更なる流れが測定に影響を及ぼす場合、この影響は、粒子状物質センサーデバイスの較正及び/又はモデリングによって補正される。
【0124】
更なる流れ開口511、512、513は、更なる流れ5110、5120、5130を合わせて、上記更なる流れ5110、5120、5130のうちの任意の更なる流れ以前のエアロゾルサンプル流20の1%~30%(好ましくは1%~25%、より好ましくは1%~20%)となるように形作られ構成され得る。
【0125】
好ましくは、更なる流れは、フィルターによってではなく、更なる流れを給送するラインの寸法によって制限されることで、フィルターの詰まりの増加に抗してより頑健になり、また、長期安定性が増す。フィードラインは、
図13における開口231を含む。
【0126】
更なる流れ開口511、512、513の典型的な形状は、0.1ミリメートル~1ミリメートルの範囲内の典型的な幅/直径を有する長方形スリット又は丸い穴である。スリット様開口は、その開口が設けられる流路の全幅にわたって延在することが好ましい。スリット様開口は、幾つかの実施形態において、全ての流路壁上に配置することができ、幾つかの実施形態において、流れ方向に沿って配向することができ、幾つかの実施形態において、流れ方向に直角に又は他の角度で配置することができる。幾つかの実施形態において、スリット様開口は、流路全周の外周開口として設けることができ、外周開口は、流路の周りに閉環状に又は螺旋状に延在する。
【0127】
図2(a)~(c)は、流路2の異なる実施形態並びに放射検出器4の位置及び検出エリア40のサイズの一実施形態を示す概略断面図である。この実施形態において、検出エリア40の幅は、流路2の幅a
2に基本的に対応する。面積Aを有する異なる断面形状が示されている。
【0128】
図2(a)は、辺a
1及びa
2を有する直線で囲まれた断面を示す。ここで、上壁部215の2つの角は丸みを帯びている。さらに、側壁部216、上壁部215、及び底壁部217が示されている。
【0129】
図2(b)は、底辺a
2及び辺a
1を有する三角形状の断面を示す。三角形は、二等辺三角形又は正三角形とすることができる。さらに、側壁部216及び底壁部217が示されている。ここで、2つの側壁部216の間の角は丸みを帯びている。
【0130】
図2(c)は、軸a
1及びa
2を有する丸い断面を示す。軸a
1及びa
2は同じ長さを有し、形状は好ましくは円形とすることができる。また、軸a
1及びa
2は、異なる長さを有し、形状は好ましくは楕円とすることができる。さらに、側壁部216、上壁部215、及び底壁部217が示されている。ここで、丸い断面の下側半分の形状は、放射検出器4の位置において調整されて、検出エリア40に対する幅広のアクセス角度が可能になる。
【0131】
図3は、更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイス1の更なる実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。
図1による前の実施形態に対する差が述べられる。
図3によれば、プリント回路基板23は、流路2の底部の境界を定める。回路基板23はエンクロージャ21内に配置されるか、又は、エンクロージャ21は回路基板23上に嵌められる。この実施形態において、検出器4は、エンクロージャ21内の凹所内に配置されるのではなく、検出器4が取り付けられる回路基板23から流路2内に突出する。したがって、平均流路径D
0は、この実施形態ではより大きいものとなり、検出器4の領域で狭くなり得る。この狭窄部は、例えば生成される粒子状物質の沈殿を少なくするように、流れ20を変更し得る。あるいは、検出器4は、平均流路壁と同一平面上になるように回路基板23内に配置され、これにより、流れ20に対する流れ抵抗が低くなる。
【0132】
この実施形態において、底部の更なる流れ5110及び側部の更なる流れ5130が供給される。
【0133】
この実施形態において、スリット様入口514を、シート様の更なる流れ5140を提供するために設けることもできる。ここで、シート様の更なる流れは、検出器4を保護するためのシースを生成する側方流である。特に好ましいのは壁部上のスリット様流れ開口であり、壁部上で、保護されなければならない要素、すなわち、検出器4及び/又は放射源3は、この要素が、シート様流れによって粒子状物質の堆積から守られるように配置されている。
【0134】
図4は、更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイス1の別の実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。この実施形態において、上部の更なる流れ5120が、使用中、第2の更なる流れ入口512を通して流路2に導入される。
【0135】
図5は、更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイス1の更に別の実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。この実施形態は、
図1による実施形態と同様であるが、検出器4が深い第1の凹所22内に設けられるという差を有する。したがって、感応表面40は、もはや平均流路底壁と同一平面上にあるのではなく、流路中心に対して凹所22内にオフセットしている。凹所22内へのエントランス領域は、更なるエンクロージャ要素24によって狭くすることができ、更なるエンクロージャ要素24は、エンクロージャ21に一体化することができる、又は、エントランス領域に締結された追加の要素とすることができる。エントランス領域の狭窄部24は、凹所22内への粒子状物質の侵入が狭窄部によって低減されるとともに、放射エネルギーが妨げられることなく凹所22を出ることができるようになっている。
【0136】
図1による実施形態の場合と同様に、上部流れ開口512、底部流れ開口511、及び側部流れ開口513は、検出器4及び/又は放射源3を保護するための流路2内への上部の更なる流れ5120、底部の更なる流れ5110、及び側部の更なる流れ5130を確立するために
図3のように設けられる。やはり、これらの更なる流れの一部は、なくすことができ、例えば、1つの更なる流れ開口のみ、例えば、底部流れ入口511のみを設けることもできる。
【0137】
ここで、本発明の好ましい実施形態を、
図6及び
図7を参照して述べる。
【0138】
図6(a)は、この実施形態による更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイス1の概略的な横方向縦断面図を示す。
図6(b)は、この実施形態の概略的な上面断面図を示す。
【0139】
図5による実施形態の場合と同様に、検出器4は第1の凹所22内に配置され、凹所エントランス領域は更なるエンクロージャ要素24によって狭窄され、第1の凹所22内に、回路基板23を通して(貫通穴231を通して)流路2に入るガス流路を確立する1つ以上の底部の更なる流れ開口511、511aが設けられている。好ましくは、流れ5110がそこから出て流路2に入る狭窄領域は放射経路Xの真下にある。
【0140】
さらに、
図6(b)を見てわかるように、レーザー3及びビームストッパー31がそれぞれ収容される第1の凹所22及び22aは、側部の更なる流れ5130がそこを通して確立される入口として働く。これは、放射源3を粒子状物質の堆積から特に効率的に保護する。なぜならば、粒子状物質が、更なる流れ入口として働く凹所22、22aのうちの一方に入る可能性がずっと少ないからである。
【0141】
上記で概説したように、更なる流れ開口は、流路2内への又は流路2からの流れを作り、更なる流れ開口は、エアロゾル流20を変更し、検出器4及び/又は放射源3上への堆積を回避する軌道上に粒子状物質の向きを変更し、又は、サンプルを局所的に希釈する。流路内へのガスの導入又は流路からのガスの引き抜きを通して追加の流れを作る代わりに、構造要素を、粒子状物質軌道内に設置することができ、それにより、粒子状物は、保護される対象物からそらされる。これは、狭窄部によって達成され、狭窄部は、流路2内の隆起又は流路内2に設置される更なる要素とすることができ、また、基本的に傾斜部として働く。
【0142】
図7は、狭窄デバイス52を有する粒子状物質センサーデバイス1の好ましい実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。
図7において、エンクロージャ21は流路2を形成し、一方、流路2は、
図7の中央領域において、エンクロージャ21によって設けられる流路壁の配置構成によって狭窄される。
【0143】
図8は、狭窄デバイス52を有する粒子状物質センサーデバイス1の別の実施形態の概略的な横方向縦断面図を示し、狭窄部52は、プリント回路基板23上に更なる要素として配置される。
【0144】
いずれの場合も、狭窄部521は、流れ方向に狭窄エリア524にわたって延在し、また、流路径がD0である位置の流路壁から流路2の軸の方向に滑らかに上昇し、狭窄部521は、流れ方向にその狭窄最大部525に達する。すなわち、狭窄部521は、流路2の最小有効幅D1が位置する場所に達する。その後、狭窄部521は、流路径がその元の径D0に達するまで元通りに下がる。ここで示す狭窄部521は、ガウス曲線に似た滑らかな隆起である。狭窄部521において、下流側半分の幅c0を上流側半分の幅より小さくすることができる。換言すれば、曲線は正のスキューを有することができる。しかしながら、曲線が負のスキューを有するか又は対称であることも考えられる。
【0145】
狭窄最大部525の下流距離d
3において、狭窄部521には、凹所523が設けられている。凹所523は、基本的に前の実施形態の説明で述べた第1の凹所22と同じ機能を有する。凹所523は、長手方向Lに実質的に直角に、下方にプリント回路基板23まで延在する。しかしながら、凹所523がより浅い及び/又は傾斜している又は湾曲していることが概して考えられる。凹所523は、検出器4を収容し、検出器4は、
図7、
図8に示すように、プリント回路基板23上に配置される。
【0146】
図7に示す実施形態において、狭窄部521の曲率は、狭窄最大部525の下流距離L
1において、失速角度SAに達するようなものである。ここで、L
1は、失速角度が凹所523の下流にあるように、d
3より大きい。したがって、流れ20は凹所523の背後でのみ失速する。その後、狭窄最大部525からL
0の下流距離において最大角度Θ
maxに達する。ここで、L
1はL
0より小さい。
【0147】
図7/
図8による狭窄状況は、幾つかの実施形態について、また、狭窄部及び流路2に関して、狭窄部521寸法と流路2寸法との間の真の相対的関係を示す。
【0148】
図9は、狭窄部521を有する粒子状物質センサーデバイス1の別の実施形態の写真を上面図で示す。検出器4は、狭窄最大部525の下流に配置され、狭窄部521は流路径D
0を流路径D
1まで狭窄させる。この実施形態において、狭窄部521は、流路2の周りに円周方向に延在する。
図9に示す物体の他の部分の幾何学的関係を、写真から測定することができる。
【0149】
図10は、狭窄デバイス521を有する粒子状物質センサーデバイス1の更に別の実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。この実施形態において、狭窄デバイス521は、検出器4の上流に設置される傾斜部様要素である。好ましくは、この図に示すように、傾斜部521は、検出器4の高さより高い。すなわち、傾斜部521の先端(これは狭窄最大部525とすることができる)は、感応エリア40より高い。示すように、流路径D
0は流路2の狭窄有効最小幅D
1より大きい。狭窄部の先端と感応エリアとの間の上流距離d
4は1ミリメートル~5ミリメートルとすることができる。傾斜部521及び検出器4はともに、回路基板23上に配置することができる。傾斜部521は、直線状傾斜を有することができるか、又は、少なくとも部分的に湾曲した傾斜に従うことができる(例えば
図8参照)ことが理解される。
【0150】
図11は、狭窄部521及び更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイス1の更なる実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。この実施形態は、
図10による実施形態と本質的に同じであるが、加えて、流れ開口511が、傾斜部521と検出器4との間に配置されている。好ましくは、この流れ開口は、上記で概説した底部流れ入口である。加えて、上部流れ入口512を、上部の更なる流れ5120を導入するために設けることができる。上部の更なる流れ入口512は、底部の更なる流れ入口511に対向して配置することができる。傾斜部先端525と感応エリア40との間の上流距離d
4は2ミリメートル~25ミリメートルの範囲内とすることができる。底部の更なる入口511と感応エリア40との間の上流距離d
1は1ミリメートル~5ミリメートルの範囲内とすることができる。
【0151】
図12(a)は、狭窄部及び更なる流れを有する粒子状物質センサーデバイス1の別の実施形態の概略的な横方向縦断面図を示す。
図12(b)はこの実施形態の概略的な上面断面図を示す。
図11による実施形態の場合と同様に、傾斜部狭窄デバイス521、底部の更なる流れ5110が、流路2内に配置される。しかしながら、この場合、底部の更なる入口511は、傾斜部521と検出器4との間にはなく、傾斜部521は、底部の更なる入口511と検出器4との間にある。換言すれば、底部の更なる流れ入口511は傾斜部521の上流に配置されている(
図11の場合のように下流ではない)。傾斜部先端525と感応エリア40との間の上流距離d
4は1ミリメートル~5ミリメートルの範囲内とすることができる。底部の更なる入口511と感応エリア40との間の上流距離d
1は2ミリメートル~25ミリメートルの範囲内、又はそれより大きくすることができる。
【0152】
図13は、部分的に組み立てられた粒子状物質センサーデバイス1の一実施形態の分解斜視上面図を示し、このデバイスは、上部から下部に向かって、第2のエンクロージャ212(上下逆さに示す)、第1のエンクロージャ211、回路基板23、フィルター213、及びカバー214を有する。
【0153】
第1のエンクロージャ211及び第2のエンクロージャ212はともに、エンクロージャ21を形成する。第2のエンクロージャ212は、流路2の上側半分の境界を定める上部を形成する。第1のエンクロージャ211は流路2の下側半分の境界を定める下部を形成する。この実施形態において、流路2は、基本的にU字形状であり、実質的に長方形の断面形状を有する。検出器4は、流路2に向けられ、プリント回路基板23に取り付けられた状態で、第1のエンクロージャ211内の第1の凹所22b内に配置される(
図14参照)。検出器4は、流れ方向において第1のU字屈曲部のすぐ下流に配置される。レーザーデバイス3は、検出器4の感応エリア40の真上にレーザー光を放射するように配置される。コネクタ232が、粒子状物質センサーデバイス1に電力供給し、制御し、読み出すための電気接続部を提供する。
【0154】
エアロゾルサンプル流20は、入口11を通って流路2に引き込まれ、流路2を通して吸引され、遠心ファン220を介して出口12を通って排出される。
【0155】
カバー214内に、切れ目のない一枚のカバープレートを有するカバー214の外周壁の周りに一定間隔で配置された複数の更なる入口13が存在する。周囲空気又は別のエアロゾル若しくはガスは、上記で概説したように、これらの更なる入口13を通してデバイス1に吸引され、フィルター213、次に、貫通開口231を通過して、更なる流れ開口511及び513を通り、流路2内に誘導され、それにより、エアロゾルサンプル流20を変更するためのフィルタリングされた更なる流れを作る。
【0156】
幾つかの実施形態において、任意選択の環境センサー7が、フィルター213の下流で更なる流れの流れ経路内に配置される。環境センサー7は、フィルタリングされた更なる流れ内の分析物の温度、湿度、又は濃度等の環境パラメーターを求める。フィルター213の下流に環境センサー7を配置することによって、環境センサー7は、粒子状物質による汚染から十分に保護される。そのような粒子状物質は、環境センサー7に達する前に、フィルター213によって除去される。
【0157】
環境センサー7は、補正デバイスを備えるか又は補正デバイスに接続されることができ、補正デバイスは、環境センサーを読み出し、環境センサーのセンサー信号に基づいて、補正された出力パラメーターを導出する。補正デバイスによって導出される出力パラメーターは、フィルタリングされた流れのガスが、粒子状物質センサーデバイス1に入る前に持っていた特性、例えば、粒子状物質センサーデバイス1の環境内の1つ以上の分析物の温度、湿度、又は濃度を示すことができる。そのため、補正デバイスは、環境センサーによって測定されるパラメーターと、粒子状物質センサーデバイス1の外のこのパラメーターの実際の値との間の予想される差を補正し得る。例えば、環境センサーが温度センサーである場合、補正デバイスは、レーザーデバイス3、放射検出器4、及びファン220による熱散逸による、ハウジング21の内部と外部との間の予想される温度差を補正することができる。こうして、粒子状物質センサーデバイス1の環境内の測定パラメーターのより正確な値が得られる。
【0158】
図13の実施形態において、環境センサー7は、検出器4と同じ回路基板23上に取り付けられる。実際には、環境センサー7は、回路基板23の検出器4と同じ側に取り付けられ、側方には検出器4から中間壁部71のみによって分離される。対応する壁部も、検出器4と、貫通開口231を通って環境センサー7を通過する、フィルタリングされた流れの流れ経路との間にシールを提供するように第1のエンクロージャ211の底部に存在する。他の実施形態において、環境センサー7は、回路基板23の、検出器4に対して反対の面に配置することができる。
【0159】
図14は、
図13に示す粒子状物質センサーデバイス1の第1のエンクロージャ211の拡大詳細図である。レーザーデバイス3は、流路2を通るレーザービーム32を放射する。レーザー光は、エアロゾルサンプル流20内の粒子状物質と相互作用し、それにより、例えば、検出器4によって検出される散乱光30が生じる。相互作用しないレーザービームの一部は、水平凹所22a内に、そして、ビームストッパー31上に導かれる。この実施形態において、ビームストッパー31が、元のビーム経路Xに対してオフセットして配置され得ることが示されている。換言すれば、レーザー光は、流路2を出た後、L字形状の屈折部において反射してビームストッパー31に当たるようにL字形状経路を通る。この考えは、任意の実施形態に統合することができ、検出器4上の妨害迷光を低減するのに役立つ。
【0160】
検出器4は鉛直に延在する別の第1の凹所22a内に配置される。
【0161】
両方の第1の凹所22aは、レーザービーム32とサンプル流20内の粒子状物質との相互作用エリア内において流れ方向に実質的に直角に延在する。
【0162】
検出器4の上流に近接して、粒子状物質の検出器4及び/又は放射源3上への堆積をより少なくするように流れ20を変更するための更なる流れ開口511及び513が配置される。
【0163】
上記で述べた実施形態が例示に過ぎないことが理解される。狭窄部、更なる流れ開口、及び/又は、凹所内に感応アイテムを据えることの異なる考えを組み合わせて、更なる実施形態を作成することができる。
【0164】
更なる流れの全て又は一部は、吸引ベースの方法で作ることができる。すなわち、流路圧力状況は、更なる流れ状況を作り維持する。一方、更なる流れの全て又は一部は、入口開口に関連する更なる流路にガスを押し込むことによって、又は、上記更なる流路内に配置されたファン若しくは換気手段によって作られ得る。
【0165】
また、幾つかの実施形態の場合、流れ開口511、512、513、及び/又は514は出口とすることができる。すなわち、流れ開口は流路2からガスを引き出す。例えば、底部の更なる流れ入口が、エアロゾル流20を上方の上壁部にそらす(それにより、粒子状物質を底部から離す)ことができるという基本原理は、上部の更なる開口は出口であり、かつ、ガス流からガスを引き出すという上部の更なる開口によって達成することができる。
【0166】
図15は、粒子状物質センサーデバイスの一実施形態の概略上面図を示し、粒子状物質センサーデバイス1は、互いから離れて延在する2つの流路2を備える。ここで、粒子状物質デバイスは、2つの放射源及び2つの放射検出器(図示せず)を備え、1つの放射源及び1つの放射検出器が、2つの流路のそれぞれの流路内に配置される。エンクロージャ21は、回路基板23を収納するように、又は、回路基板23が接続されるように配置され構成される。2つの放射検出器は同じ回路基板23上に取り付けられる。
【0167】
幾つかの実施形態において、基板23は、流路2の少なくとも一部の境界を定めるようにエンクロージャ21に取り付けられる。
【0168】
2つの流路は、1つのエアロゾルサンプルの、又は、2つの異なるエアロゾルサンプルの、例えば、室内空気サンプル及び室外空気サンプルの粒子状物質を検出する及び/又は特性を示すために使用することができる。代替的に又は付加的に、2つの流路はそれぞれ、PM10、PM2.5、又はPM1.0等の特定の粒子状物質サイズ、及び/又は、重い粉塵、降下粉塵、又は浮遊大気粉塵等の特定のタイプの粉塵を検出する及び/又は特性を示すために、特に配置及び構成することができる。
【0169】
図16は、粒子状物質センサーデバイス1の更なる実施形態を示す。
図13の実施形態の場合と同様に、センサーデバイスは、下部から上部に向かって、第2のエンクロージャ212、第1のエンクロージャ211、回路基板23、フィルター213、及びカバー214を有する。これらのコンポーネントは、とりわけ回路基板23の貫通穴233を通過する幾つかのねじ(
図16には示さず)によって互いに取り付けられる。コネクタ232が回路基板23の底部に取り付けられる。
【0170】
図13の実施形態の場合と同様に、略U字形状の流路2は、第1のエンクロージャ211及び第2のエンクロージャ212によって境界を定められている。エアロゾルサンプルは、ファン220によって入口11を通じて流路2内に吸引される。レーザーデバイス3は、水平に、流れ方向に直角に流路2に交差するレーザー光を放射する。レーザー光はエアロゾルサンプルによって散乱される。流路の上で鉛直に、光検出器(
図16では見えない)が、散乱光を検出するために、第1のエンクロージャ211の凹所22b内に配置される。光検出器は、
図16のほぼ点線長方形の領域41内で回路基板23の底部側に取り付けられる。
【0171】
光検出器上への粒子状物質の堆積を低減するために、更なるガス流が作られる。そのため、更なる入口13がカバー214内に設けられ、ガスが、カバー214の内部に入り、シート様フィルター213を通過することを可能にし、それにより、フィルタリングされた流れが作られる。フィルタリングされた流れは、回路基板23の上部に沿って通過し、回路基板23内の更なる貫通穴231を通って回路基板23の下部に達する。これに関連して、全ての他の貫通穴233がねじによってエンクロージャ211、212とカバー214とでシールされるため、更なる貫通穴231が、フィルタリングされた流れが通過できる回路基板23内の唯一の開口であることに留意する。フィルタリングされた流れは、回路基板23の下部に達すると、鉛直に凹所22bを通り、光検出器(
図16では見えない)を通過して、最終的に流路2に入る。光検出器を、フィルタリングされた流れの流れ経路内に配設することによって、光検出器は、粒子状物質による過剰の汚染から保護される。
【0172】
環境センサー7は、回路基板23の、光検出器とは反対の面に取り付けられる。
図13の実施形態の場合と同様に、環境センサーは、分析物の温度、湿度、又は濃度等の、フィルタリングされた流れの環境パラメーターを求めるように構成されている。
図13の実施形態の場合と同様に、環境センサーは、フィルター213の背後でフィルタリングされた流れの流れ経路内に配置されることによって、粒子状物質による好ましくない汚染から十分に保護される。環境センサー7を、回路基板の光検出器とは反対の面に取り付けることによって、光検出器と環境センサー7との間の熱結合が低減される。
【0173】
環境センサー7は集積補正デバイス72を備える。補正デバイス72は、フィルタリングされた流れのガスが、粒子状物質センサーデバイス1に入る前に持っていた特性を示す出力パラメーター、すなわち、環境パラメーターを、粒子状物質センサーデバイスのハウジングの外部の条件と内部の条件との間の任意の予想される差を考慮することによって導出する。
【0174】
上記で述べた実施形態が例示に過ぎないことが理解される。全ての実施形態において、粒子状物質センサーデバイスは、フィルタリングされた流れの流れ経路内に必ずしも配設される必要がない、温度センサー、湿度センサー、ガスセンサー、及び/又はガス流量センサー等の1つ以上の更なるセンサーを備えることができる。
【符号の説明】
【0175】
1 粒子状物質センサーデバイス
11 入口
12 出口
13 第2入口
2 流路
20 エアロゾルサンプルの流れ
21 エンクロージャ
211 第1のエンクロージャ要素
212 第2のエンクロージャ要素
213 フィルター
214 カバー
215 21の第1の壁部
216 21の第2の壁部
217 21の第3の壁部
22 第1の凹所
22a、22b 第2の凹所
220 ファン
23 回路基板
231 23の貫通穴
232 コネクタ
233 取付用の貫通穴
24 更なるエンクロージャ要素
3 放射源、レーザーデバイス
30 散乱放射
300 3の放射エリア
31 ビームストッパー
32 レーザービーム
4 放射検出器
40 検出エリア/感応エリア
41 点線長方形
511 第1の更なる流れ開口(底部)
511a 第1の更なる流れ開口(後底部)
512 第2の更なる流れ開口(上部)
513 第3の更なる流れ開口(側部)
514 スリット様流れ入口
5110 第1の更なる流れ(底部)
5120 第2の更なる流れ(上部)
5130 第3の更なる流れ(側部)
5140 シート様の更なる流れ
521 狭窄部デバイス
523 狭窄部凹所
524 狭窄部領域
525 狭窄最大部
6 マイクロプロセッサ
60 集積回路
7 環境センサー
71 側壁部
72 センサーコントローラ
A 2の断面積
a1 Aの第1の長さ
a2 Aの第2の長さ
B 矢印
D0 流路2の直径
D1 狭窄有効最小幅
d1 40と511/512との距離
d1a 40と511との距離
d2 40と513との距離
d3 40と521との距離
d4 40と521との距離
c0 521の下流側半分の長さ
L 2の長手軸
L0 525とΘmaxとの距離
L1 525とSAとの距離
L2 525と523との距離
SA 521の失速角度
X 放射経路
Θmax 521の最大開き角