(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20221118BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221118BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221118BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20221118BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20221118BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/00 302
G09F9/00 366A
G09F9/30 308Z
G09F9/30 349E
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/10
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2020526406
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2018084221
(87)【国際公開番号】W WO2019095630
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】201711124058.7
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ホンチアン・ルオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンジュン・ウ
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0176848(US,A1)
【文献】国際公開第2017/010329(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106556947(CN,A)
【文献】特開2002-277860(JP,A)
【文献】特開2016-090855(JP,A)
【文献】特表2007-534026(JP,A)
【文献】特開2015-170502(JP,A)
【文献】特開2017-058619(JP,A)
【文献】特開2016-038896(JP,A)
【文献】特開2013-228439(JP,A)
【文献】特開2011-203627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0200812(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/13
1/1335
1/13363
1/137-1/141
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1保留部と前記第1保留部を取り囲む第1除去予定部とを含む偏光子と、第2保留部と前記第2保留部を取り囲む第2除去予定部とを含む表示パネルを設けるステップと、
前記表示パネルの前記第2保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせして、前記偏光子および前記表示パネルを接合するステップと、
前記第2保留部の境界に沿って前記偏光子および前記表示パネルを切断するステップと、
を含む、表示装置の製造方法において、
前記第1保留部の大きさおよび形状は、前記第2保留部の大きさおよび形状と同じであり、前記第1除去予定部の幅は、保留廃棄物排出幅以上であり、前記第2除去予定部の幅は、前記保留廃棄物排出幅より小さく、
前記偏光子は、偏光子本体と、前記偏光子本体上の接着剤層と、前記接着剤層を覆う離型フィルムとを含み、
前記第2除去予定部の幅が、切断技術の最大切断誤差より大きく、前記第1除去予定部の幅が、前記保留廃棄物排出幅と前記切断技術の最大切断誤差との合計以上であり、
当該方法は、
前記表示パネルの前記第2保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせする前に、
第3保留部と前記第3保留部を取り囲む第3除去予定部とを含むタッチ層を設けるステップと、
前記タッチ層の前記第3保留部を前記偏光子の前記第1保留部と位置合わせして、前記タッチ層および前記偏光子を接合するステップと、
をさらに含み、
前記第1保留部の大きさおよび形状が、前記第3保留部の大きさおよび形状と同じであり、前記第3除去予定部の幅が、前記保留廃棄物排出幅より小さく、かつ接合プロセスの嵌合公差と前記切断技術の最大切断誤差との合計より大きく、
前記第1除去予定部の幅が、前記保留廃棄物排出幅と、前記切断技術の最大切断誤差と、前記接合プロセスの嵌合公差との合計以上であり、
切断技術によって前記第2保留部の境界に沿って前記偏光子および前記表示パネルを切断するステップは、前記表示パネル、前記タッチ層、および前記偏光子を同時に切断するステップを含む、表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記タッチ層の前記第3保留部と前記偏光子の前記第1保留部を位置合わせして、前記タッチ層および前記偏光子を接合するステップは、
前記第1除去予定部の第1除去予定インナー部と前記偏光子の前記第1保留部とにおける前記離型フィルムを取り除くステップであって、前記第1除去予定部は、前記第1除去予定インナー部と第1除去予定アウター部とを含む、ステップと、
前記タッチ層の前記第3保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせして、前記タッチ層を前記偏光子上の前記接着剤層の露出部分に接合するステップと、
を含み、
前記第1除去予定インナー部の幅は、前記第3除去予定部の幅と前記接合プロセスの嵌合公差との合計より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表示パネルの前記第2保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせして、前記偏光子および前記表示パネルを接合するステップは、
前記表示パネルの前記第2保留部と前記タッチ層の前記第3保留部を位置合わせして、前記表示パネルおよび前記タッチ層を接合するステップ、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記保留廃棄物排出幅は4mm~5mmであり、前記切断技術の最大切断誤差は0.1mm~0.2mmであり、前記表示パネルの前記第2除去予定部の幅は0.3mm~1mmである、請求項1~
3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記表示パネルの前記第2除去予定部の幅は約0.5mmである、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記保留廃棄物排出幅は4mm~5mmであり、前記接合プロセスの嵌合公差は0.28mm~0.3mmであり、前記切断技術の最大切断誤差は0.1mm~0.2mmであり、前記第1除去予定部の幅は5mm~6mmである、請求項1~
3の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記保留廃棄物排出幅は約4mmであり、前記接合プロセスの嵌合公差は約0.3mmであり、前記切断技術の最大切断誤差は約0.15mmであり、前記第1除去予定部の幅は約5mmである、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3除去予定部の幅は約0.5mmである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記タッチ層の前記第3除去予定部の幅は約0.5mmであり、前記第1除去予定インナー部の幅は約1mmである、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記表示パネルの前記第2保留部と前記タッチ層の前記第3保留部を位置合わせして、前記表示パネルおよび前記タッチ層を接合するステップは、
接着剤層を前記タッチ層に設けるステップと、
前記表示パネルの前記第2保留部を前記タッチ層の前記第3保留部に位置合わせして、接合技術によって前記表示パネルと前記接着剤層を接合するステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記表示パネルは、フレキシブルOLED表示パネルである、請求項1~
10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記偏光子の前記表示パネルから離れた側でカバープレートを前記偏光子に接合するステップをさらに含む、請求項1~
11の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の援用]本出願は、2017年11月14日に提出された中国特許出願第201711124058.7号の優先権を主張し、その全ての内容はこの参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は表示技術に関し、特に表示装置の製造方法およびこの方法によって製造された表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
有機ELタッチ表示デバイスなどの表示デバイスを製造するプロセスでは、タッチ層を偏光子に、表示パネルを前記タッチ層に、カバープレートを前記偏光子に順に接合する必要がある。各接合プロセスでは、特定の嵌合公差があるため、表示デバイスの枠が広くなる可能性がある。現在、狭フレームを実現するために、製造コストが高くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本開示の一例は、表示装置の製造方法である。当該表示装置の製造方法は、第1保留部と前記第1保留部を取り囲む第1除去予定部とを含む偏光子と、第2保留部と前記第2保留部を取り囲む第2除去予定部とを含む表示パネルを設けるステップと、前記表示パネルの前記第2保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせて接合するステップと、前記第2保留部の境界に沿って少なくとも前記偏光子を切断するステップとを含む。前記第1除去予定部の幅は、第1の幅以上であり、前記第2除去予定部の幅は、前記第1の幅より小さい。前記偏光子は、偏光子本体と、前記偏光子本体上の接着剤層と、前記接着剤層を覆う離型フィルムとを含む。前記第2除去予定部の幅は、第2の幅2の幅より大きく、前記第1除去予定部の幅は、前記第1の幅と前記第2の幅の合計以上である。
【0005】
前記表示パネルの前記第2保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせる前に、当該表示装置の製造方法は、第3保留部と前記第3保留部を取り囲む第3除去予定部とを含むタッチ層を設けるステップと、前記タッチ層の前記第3保留部と前記偏光子の前記第1保留部を位置合わせて接合するステップとをさらに含む。前記第3除去予定部の幅は、前記第1の幅より小さく、かつ第3の幅と前記第2の幅の合計より大きく、前記第1除去予定部の幅は、前記第1の幅、前記第2の幅、および前記第3の幅の合計以上である。前記タッチ層の前記第3保留部と前記偏光子の前記第1保留部を位置合わせて接合するステップは、第1除去予定インナー部における前記離型フィルムと前記偏光子の前記第1保留部を取り除き、前記第1除去予定部は、前記第1除去予定インナー部と第1除去予定アウター部とを含むステップと、前記タッチ層の前記第3保留部を前記偏光子の前記第1保留部に位置合わせ、前記タッチ層を前記偏光子上の前記接着剤層の露出部分に接合するステップとを含む。前記第1除去予定インナー部の幅は、前記第3除去予定部の幅と前記第3の幅の合計より大きい。
【0006】
前記表示パネルの前記第2保留領域を前記偏光子の前記第1保留領域に位置合わせて接合するステップは、前記表示パネルの前記第2保留部と前記タッチ層の前記第3保留部を位置合わせて接合するステップを含む。
【0007】
切断技術によって前記第2保留領域の境界に沿って少なくとも前記偏光子を切断するステップは、前記表示パネル、前記タッチ層、および前記偏光子を同時に切断するステップを含む。
【0008】
一実施形態では、前記第1の幅は4mm~5mmであり、前記第2の幅は0.1mm~0.2mmであり、前記表示パネルの前記第2除去予定部の幅は0.3mm~1mmである。一実施形態では、前記表示パネルの前記第2除去予定部の幅は、約0.5mmである。
【0009】
別の実施形態では、前記第1の幅は4mm~5mmであり、前記第3の幅は0.28mm~0.3mmであり、前記第2の幅は0.1mm~0.2mmであり、前記第1除去予定領域の幅は5mm~6mmである。一実施形態では、前記第1の幅は約4mmであり、前記第3の幅は約0.3mmであり、前記第2の幅は約0.15mmであり、前記第1除去予定部の幅は約5mmである。前記第3除去予定部の幅は約0.5mmである。前記タッチ層の前記第3除去予定部の幅は約0.5mmであり、前記第1除去予定インナー部の幅は約1mmである。
【0010】
前記表示パネルの前記第2保留部と前記タッチ層の前記第3保留部を位置合わせて接合するステップは、接着剤層を前記タッチ層に設けるステップと、前記表示パネルの前記第2保留部を前記タッチ層の前記第3保留部に位置合わせ、接合技術によって前記表示パネルと前記接着剤層を接合するステップとを含む。前記表示パネルは、フレキシブルOLED表示パネルである。
【0011】
当該表示装置の製造方法は、前記偏光子の前記表示パネルから離れた側でカバープレートを前記偏光子に接合するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明と見なされる主題は、本明細書の終わりにおける特許請求の範囲で特に指摘され、明確に主張されている。本発明の上記および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかである。
【0013】
【
図1】従来技術における表示装置の製造方法の概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態による表示装置の製造方法の概略構成図である。
【
図3】本開示の一実施形態によるタッチ表示装置の製造方法のフローチャートである。
【
図4】
図3の各ステップに対応する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者に、本開示の技術的解決案をより良く理解させるために、添付図面および実施形態を参照して、本開示をより詳細に説明する。本開示の説明全体について、
図1~
図4を参照する。図面を参照する場合には、同じ構成および構成要素を同じ符号を付して示す。
【0015】
本明細書では、「第1」、「第2」などの数字用語は接頭辞として付加される。ただし、これらの接頭辞の付加は、これらの用語を区別するためのものであり、順序や相対的な優劣などの特定の意味を有していない。
【0016】
本明細書で使用される「約」という用語によって幅を持たされた数値は、数値が10%変動できることを意味する。
【0017】
表示装置の製造プロセスの一実施形態では、まず、製造される表示装置のサイズに応じて、カバープレート、タッチ層、表示パネル、及び偏光子を準備する。次に、タッチ層を偏光子上に配置して偏光子に接合してから、表示パネルをタッチ層上に配置してタッチ層に接合する。最後に、偏光子をカバープレート上に配置して、カバープレートに取り付ける。例えば、各接合の嵌合公差が0.3mmの場合、即ち実際の位置が基準位置としての目標位置から[-0.15mmから+0.15mm]の間で変動する場合、表示装置は0.45mmの枠を生成し、これは狭フレームの実現に役立たない。
【0018】
図1は、従来技術における表示装置の製造方法の概略構成図である。まず、偏光子10、表示パネル20、タッチ層30、カバープレート40を製作する。偏光子10の長さおよび幅は、それぞれ、製造される表示装置の長さおよび幅より大きい。偏光子10の中央部分は、製造される表示装置と同じ形状およびサイズを有する保留部である。偏光子10の各側と保留部との間には、保留廃棄物排出幅(通常4mm)である第1の幅を有する領域が存在する。タッチ層30および表示パネル20は、それぞれ、偏光子10と同じサイズおよび形状を有する。カバープレート40のサイズおよび形状は、製造される表示装置と同じである。接合の間、
図1に示すように、まず、タッチ層30を偏光子10に接合する。次に、表示パネル20とタッチ層30を接合する。この後、前の接合プロセスの嵌合公差をなくすために、互いに接合されたタッチ層30、表示パネル20および偏光子10を保留部の境界に沿って、すなわち
図1の点線に沿って長手方向に切断する。最後に、カバープレート40を偏光子10に取り付けて、所望の表示装置が得られる。偏光子10の各側と保留部との間には、保留廃棄物排出幅である第1の幅の領域が存在するのは、切断の間に、切断対象のワークをベーステーブルに吸着するためである。吸着孔の間には一定の距離があるため、切り屑の幅が小さすぎると、切り屑を吸着できない。さらに、切断プロセスにおいて、ある程度の熱を発生する。領域の幅が小さすぎると、切断により発生された熱により、表示パネル20、タッチ層30、偏光子10の保留部以外の部分には歪みが生じ、切断精度に影響を及ぼす。
【0019】
図1の製造方法では、表示装置の境界が0.15mmであり、これに相応して境界が小さくなる。しかしながら、切断前の表示パネル20およびタッチ層30のサイズが大きく、表示マザーボードが固定サイズであるため、表示マザーボードから切断される表示パネル20の数が少なくなり、結果として、単一の表示パネル20のコストが増大する。同様に、単一のタッチ層30のコストも増加し、これによって表示装置の製造コストが増加する。
【0020】
図2は、本開示の一実施形態による表示装置の製造方法の概略構成図である。一実施形態では、製造方法は以下のステップを含む。
【0021】
ステップS101において、偏光子10と表示パネル20を設け、偏光子20は、第1保留部Sr1と、第1保留部Sr1を取り囲む第1除去予定部Sw1とに分かれている。第1保留部Sr1は、表示装置と同じサイズおよび形状を有する。表示パネル20は、第2保留部Sr2を含む。第2保留部Sr2のサイズおよび形状は、第1保留部Sr1と同じである。本明細書で使用された「サイズ」という用語は、長さおよび幅を含む。
【0022】
ステップS102において、表示パネル20の第2保留部Sr2を偏光子10の第1保留部Sr1に位置合わせて、表示パネル20と偏光子10を互いに接合する。
【0023】
ステップS103において、切断技術によって第2保留部Sr2の境界に沿って少なくとも偏光子10を切断する。一実施形態では、切断技術の保留廃棄物排出幅である第1除去予定部Sw1の幅は、第1の幅以上である。第2保留部Sr2の境界は、表示パネル20の境界と重なり、または第2保留部の境界との間に領域が存在し、表示パネルの境界及びその領域の幅は、切断技術の保留廃棄物排出幅である第1の幅よりも小さい。切断廃棄物が切断機テーブルに吸着され、切断中の歪みを防止することを保証するように、第1の幅または保留廃棄物排出幅を、切断技術で設定された最小幅とする。一実施形態では、第1除去予定部Sw1がリングである場合、第1除去予定部Sw1の幅は内リングと外リングとの間の最短距離である。
【0024】
本開示の製造方法は、有機発光ダイオード(OLED)表示デバイスを製造するために使用することができる。この場合、偏光子10は、表示画面への外部光の影響を排除するための円偏光子である。
【0025】
本実施形態に係る表示装置の製造方法では、表示パネル20と偏光子10を互いに接合した後、第2保留部Sr2の境界に沿って切断する。したがって、接合の間に、第1保留部Sr1と第2保留部Sr2がずれても、表示パネル20と偏光子10の端面がカットされた後に面一となるので、狭フレームの実現に有利である。また、表示パネル20が偏光子10に接合され、第2保留部Sr2の境界に沿って切断する間、偏光子10における第1除去予定部Sw1の幅が切断技術の所定の廃棄物排出幅に達しているため、表示パネル20や偏光子10に歪みが発生しない。また、表示パネル20の第2保留部Sr2の境界は、表示パネル10の境界と重なり、または保留廃棄物排出幅よりも小さい幅の領域が存在するので、
図1の実施形態と比較して、表示パネルのサイズが縮小され、これにより、表示マザーボードごとにより多くの表示パネル20を製造することができ、結果として、単一の表示パネル20の製造コストが削減される。また、偏光子10のコストは、表示パネル20のコストよりはるかに低い。したがって、偏光子10の大きなサイズによる表示装置の全体コストへの影響が小さい。このように、本開示の製造方法は、狭フレームを実現しつつ、表示装置の製造コストを低減することができる。
【0026】
各切断技術に関し、通常、一定の切断誤差があり、実際切断線と目標切断線との間に一定の誤差が生じる。一実施形態では、ステップS103において切断した後、表示パネル20の端面と偏光子10の端面とが面一になるように、表示パネル20の第2保留部Sr2と表示パネル20の境界との間に第2除去予定部Sw2を形成する。第2除去予定部Sw2は、第2保留部Sr2を取り囲んでいる。第2除去予定部Sw2の幅は、切断技術の最大切断誤差である第2の幅より大きく、第1除去予定部Sw1の幅は、第1の幅と第2の幅との合計、すなわち、保留廃棄物排出幅と最大切断誤差の合計以上である。一実施形態では、第1除去予定部Sw1と同様に、第2除去予定部Sw2もリング形状であり、第2除去予定部Sw2の幅は、内リングと外リングとの間の最短距離である。「切断技術の最大切断誤差」とは、切断技術で切断する場合に、実際切断線と目標切断線との間に発生し得る最大のずれ量である。
【0027】
第2除去予定部Sw2の幅が切断技術の最大切断誤差より大きいため、実際の切断線が切断の間にずれても、表示パネル20を切断して面一の切断面を形成することができる。また、第1除去予定部Sw1の幅は、保留廃棄物排出幅と最大切断誤差の合計以上であるため、切断する際に実際の切断線がずれても、実際の切断線と偏光子10の境界との間の距離が保留廃棄物排出幅以上であり、結果として、表示パネル20の縁および偏光子10の縁に歪みが生じないことが確保される。
【0028】
一実施形態では、保留廃棄物排出幅は4mm~5mmであり、最大切断誤差は0.1mm~0.2mmであり、表示パネル20の第2除去予定部Sw2の幅は0.3mm~1mmである。一実施形態では、第2除去予定部Sw2の幅が0.5mmであることにより、表示装置のコストを低減しつつ、切断効果を向上させることができる。
【0029】
図3は、本開示の一実施形態によるタッチ表示装置の製造方法のフローチャートである。
図4は、
図3の各ステップに対応する概略構成図である。
図3および
図4に示すように、製造方法は、以下のステップS201~ステップS205を含む。
【0030】
ステップS201において、偏光子10と表示パネル20とタッチ層30を設ける。一実施形態では、偏光子10は、第1保留部Sr1と、第1保留部Sr1を取り囲む第1除去予定部Sw1とに分かれている。第1除去予定部Sw1は、第1保留部Sr1を取り囲む第1除去予定インナー部Sw11と、第1除去予定インナー部Sw11を取り囲む第1除去予定アウター部Sw12とを含む。偏光子10は、偏光子本体11と、偏光子本体11上に設けられた接着剤層と、接着剤層を覆う離型フィルム12とを含む。
【0031】
表示パネル20は、第2保留部Sr2と第2保留部Sr2を取り囲む第2除去予定部Sw2とを含むフレキシブルOLED表示パネルである。
【0032】
タッチ層30は、第3保留部Sr3と、第3保留部Sr3を取り囲む第3除去予定部Sw3とに分かれている。第3保留部Sr3のサイズおよび形状は、第1保留部Sr1と同じである。
【0033】
ステップS202において、接合技術によって、タッチ層30の第3保留部Sr3を偏光子10の第1保留部Sr1に位置合わせて接合する。一実施形態では、具体的には、当該ステップS202は、ステップS202aとステップS202bとを含む。ステップS202aにおいて、第1除去予定インナー部Sw11と第1保留部Sr1における離型フィルム12の一部を取り除き、第1除去予定アウター部Sw12における離型フィルム12の一部をそのままにしておく。ステップS202bにおいて、接合技術によって、タッチ層30の第3保留部Sr3を偏光子10の第1保留部Sr1に位置合わせ、タッチ層30を偏光子10上の接着剤の露出部分に接合する。
【0034】
第1除去予定アウター部Sw12における離型フィルム12は、接着剤の異物付着を防止することができる。タッチ層30が第1除去予定アウター部Sw12における残りの離型フィルム12に接触しないように、第1除去予定インナー部Sw11における離型フィルム12を取り除く。このように、第1除去予定インナー部Sw11の幅は、第3除去予定部Sw3と接合プロセスの嵌合公差である第3の幅の合計より大きい。第3除去予定部Sw3と第1除去予定インナー部Sw11の具体的な幅については後述し、ここでは説明を省略する。
【0035】
ステップS203において、表示パネル20の第2保留部Sr2を偏光子10の第1保留部Sr1に位置合わせて、表示パネル20と偏光子10を互いに接合する。一実施形態では、接合技術によって表示パネル20の第2保留部Sr2とタッチ層10の第3保留部Sr3を位置合わせて接合することにより、表示パネル20がタッチ層30を介して偏光子10に取り付けられる。一実施形態では、ステップS203は、接着剤層50をタッチ層30に設けることをさらに含む。次に、表示パネル20の第2保留部Sr2をタッチ層30の第3保留部Sr3に位置合わせ、表示パネル20と接着剤層50を接合する。
【0036】
ステップS204において、切断技術によって表示パネル20の第2保留領域Sr2の境界に沿って表示パネル20、タッチ層30、および偏光子10を同時に切断する。
【0037】
ステップS205において、カバープレート40を偏光子10の表示パネル20から離れた側に設け、カバープレート40を偏光子10に取り付ける。カバープレート40は、偏光子10の第1保留部Sr1と同じサイズおよび形状を有し、ステップS205の後に、所望の表示装置が得られる。
【0038】
一実施形態では、表示パネル20の第2除去予定部Sw2の幅は、切断技術の最大切断誤差である第2の幅より大きいことにより、切断中に切断線がずれても表示パネル20を切断することが確保される。最大切断誤差は、切断装置の校正値である。一実施形態では、上述したように、第2除去予定部Sw2の幅は0.5mmである。
【0039】
一実施形態では、第1除去予定部Sw1の幅は、保留廃棄物排出幅、嵌合公差、および最大切断誤差の合計以上である。本開示における「嵌合公差」は、接合装置の校正公差であり、具体的には、接合時の実際接合位置の最大値と最小値との差を指す。例えば、目標接合位置を基準位置とし、最大および最小の実際接合位置はそれぞれ±aであり、接合公差は2aである。第1除去予定部Sw1の幅が保留廃棄物排出幅、嵌合公差、および最大切断誤差の合計以上である場合、各接合プロセスおよび切断プロセスで最大のずれが生じても、実際切断線と偏光子10の縁との間に少なくとも所定の廃棄物排出幅を維持でき、切断技術の通常の保留廃棄物排出幅の存在を確保し、これにより、偏光子10の縁に歪みが生じ、切断精度に影響を与えることが防止される。
【0040】
一実施形態では、保留廃棄物排出幅は4mm~5mmであり、嵌合公差は0.28mm~0.3mmであり、最大切断誤差は0.1mm~0.2mmであり、第1除去予定部の幅は5mm~6mmである。
【0041】
一実施形態では、保留廃棄物排出幅は4mmであり、嵌合公差は0.3mmであり(最大および最小の実際接合位置はそれぞれ±0.15mmであり)、最大切断誤差は0.15mmである。第1除去予定部の幅は5mmであることにより、偏光子10のサイズを可能な限り小さくし、結果として、表示装置の製造コストが低減される。
【0042】
一実施形態では、タッチ層30の第3除去予定部Sw3の幅は、保留廃棄物排出幅より小さく、かつ接合技術の嵌合公差と最大切断誤差の合計より大きい。
図1に示す実施形態と比較して、タッチ層30のサイズが縮小され、これにより、タッチ層30の製造コストが削減され、したがって、表示装置のコストが低減される。さらに、第3除去予定部Sw3の幅が接合技術の嵌合公差と最大切断誤差の合計より大きいので、各接合プロセスおよび切断プロセスで最大切断誤差が発生しても、切断プロセスにおいてタッチ層30を依然として切断することができ、これにより、偏光子10、タッチ層30、および表示パネル20の端面が面一になることが確保され、これは狭フレームの実現につながる。
【0043】
一実施形態では、保留廃棄物排出幅が4mmであり、嵌合公差が0.3mmであり、第3除去予定部Sw3の幅が0.5mmである場合、タッチ層30の製造コストが削減され、切断効果が改善される。一実施形態では、偏光子10の第1除去予定インナー部Sw11の幅は1mmである。すなわち、タッチ層30の第3保留部Sr3が偏光子10に正確に取り付けられると、タッチ層30と第1除去予定アウター部Sw12の内境界との間に0.5mmの空間が存在する。このため、接合中にずれが生じても、タッチ層30は、第1除去予定アウター部Sw12における離型フィルムに接触しない。
【0044】
本開示にかかる表示装置の製造方法では、上記に示されたように、表示パネル、タッチ層、および偏光子を互いに接合し、この後、狭フレームを実現するために切断する。さらに、低コストの偏光子の第1除去予定部の幅は、保留廃棄物排出幅、最大切断誤差、および嵌合公差の合計以上である。そのため、切断、位置合わせ、接合プロセスにおいてずれが生じる場合でも、切断時の保留幅の不足による歪みの問題は生じない。また、表示パネルの第2除去予定部の幅およびタッチ層の第3除去予定部の幅は、切断中に表示パネルとタッチ層を切断して、端面が面一になることができるように設計され、これは狭フレームの実現につながる。したがって、本開示は、狭フレームを実現しつつ、製造コストを削減することができる。さらに、本開示の実施形態は、POL /タッチセンサー/ OLEDパネルの接合公差をなくすだけでなく、タッチセンサーおよびOLEDパネルレイアウトの利用率を最大化して、製造コストを削減することもできる。
【0045】
本開示の他の例は、本開示の一実施形態に係る製造方法により製造された表示装置である。表示装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ受像機、ディスプレイ、ノートブックコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲータなどの、表示機能を有する任意の製品またはコンポーネントであってもよい。表示装置は、狭フレームを実現しつつ、製造コストを低減することができる
【0046】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で開示されたものであって、開示された実施形態を限定することを意図するものではない。説明された実施形態の範囲および精神から逸脱しない限り、様々な修正および変形が当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するか、または当業者が本明細書に開示された実施形態を理解できるようにするために選択された。
【符号の説明】
【0047】
10 偏光子
11 偏光子本体
12 離型フィルム
20 表示パネル
30 タッチ層
40 カバープレート
50 接着剤層
Sr1 第1保留部
Sr2 第2保留部
Sr3 第3保留部
Sw1 第1除去予定部
Sw11 第1除去予定インナー部
Sw12 第1除去予定アウター部
Sw2 第2除去予定部
Sw3 第3除去予定部