(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】測位方法、装置、計算装置、コンピュータ可読記憶媒体及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20221118BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20221118BHJP
【FI】
G01C21/28
G01S17/89
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021032616
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ホォゥ,シェンフゥア
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ウェンドォン
(72)【発明者】
【氏名】ガァォ,ハァン
(72)【発明者】
【氏名】ウァン,グゥオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ソォン,シィーイー
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】豪国特許出願公告第2018282435(AU,B2)
【文献】国際公開第2019/215987(WO,A1)
【文献】特開2014-102137(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008082(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G01S 17/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位を行うための方法であって、
装置上のLiDARにより第1時刻で収集された点群データを取得し、前記装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報に基づいて前記点群データに対して動き補償を行うことと、
動き補償後の前記点群データとグローバル座標系において構築されたグローバル地図とに基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
動き補償後の前記点群データとローカル座標系において構築されたローカル地図とに基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記装置の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を含んでなる
方法。
【請求項2】
前記第1慣性測位情報は、前記装置の前記第1時刻での慣性測定データを取得し、前記慣性測定データを積分することにより、前記装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報を確定することにより確定され、
前記第1測位結果を確定することは、前記第1グローバル測位情報、前記第1ローカル測位情報及び前記第1慣性測位情報に基づいて確定されること
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1測位結果を確定することは、
前記装置の複数の時刻での複数の測位結果に関連付けられた事後確率を確定することであって、前記複数の測位結果は、前記装置の前記第1時刻での前記第1測位結果及び前記装置の前記第1時刻より前の第2時刻での第2測位結果を少なくとも含む、事後確率を確定することと、
前記事後確率を最大化することにより、前記第1測位結果を確定することと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記事後確率を確定することは、
前記第1グローバル測位情報に関連付けられた第1尤度値を確定することと、
前記第1ローカル測位情報に関連付けられた第2尤度値を確定することと、
前記第1慣性測位情報に関連付けられた第3尤度値を確定することと、
少なくとも前記第1尤度値、前記第2尤度値、及び前記第3尤度値に基づいて前記事後確率を確定することと
を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1グローバル測位情報は、前記装置の前記グローバル座標系における第1姿勢を示し、前記第1ローカル測位情報は、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢を示し、
前記第1尤度値を確定することは、
前記グローバル座標系と前記ローカル座標系との間の変換関係及び前記第2姿勢に基づいて前記第1姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値及び前記第1グローバル測位情報が示す前記第1姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて前記第1尤度値を確定することと
を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1ローカル測位情報は、前記ローカル地図に対する前記点群データの相対姿勢、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢、及び前記ローカル地図の前記ローカル座標系における第3姿勢を示し、
前記第2尤度値を確定することは、
前記第2姿勢及び前記第3姿勢に基づいて、前記相対姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値と前記第1ローカル測位情報が示す前記相対姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて、前記第2姿勢及び前記第3姿勢に対する前記相対姿勢の前記第2尤度値を確定することと
を含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記事後確率を確定することは、
前記装置の前記第2時刻での前記グローバル座標系における第2グローバル測位情報に関連付けられた第4尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記ローカル座標系における第2ローカル測位情報に関連付けられた第5尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記慣性座標系における第2慣性測位情報に関連付けられた第6尤度値を確定することと、
前記第1尤度値、前記第2尤度値、前記第3尤度値、前記第4尤度値、前記第5尤度値及び前記第6尤度値に基づいて、前記事後確率を確定することと
をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ローカル地図は、前記第1時刻よりも前の少なくとも1つの時刻で前記LiDARにより収集された少なくとも1フレームの点群データに基づいて構築されており、
前記方法は、
前記点群データに基づいて、前記ローカル地図を更新することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1測位結果は、前記第1時刻での前記装置の前記グローバル座標系及び/又は前記ローカル座標系における姿勢を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
計算装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリであって、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサに実行されると、
装置上のLiDARにより第1時刻で収集された点群データを取得し、前記装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報に基づいて前記点群データに対して動き補償を行うことと、
動き補償の前記点群データとグローバル座標系において構築されたグローバル地図とに基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
動き補償の前記点群データとローカル座標系において構築されたローカル地図とに基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記装置の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を含む動作を前記計算装置に実行させる、メモリと
を含んでなる計算装置。
【請求項11】
前記第1慣性測位情報は、
前記装置の前記第1時刻での慣性測定データを取得し、前記慣性測定データを積分することにより、前記装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報を確定することにより確定され、
前記第1測位結果を確定することは、前記第1グローバル測位情報、前記第1ローカル測位情報及び前記第1慣性測位情報に基づいて確定されること
を含む請求項10に記載の計算装置。
【請求項12】
前記第1測位結果を確定することは、
前記装置の複数の時刻での複数の測位結果に関連付けられた事後確率を確定することであって、前記複数の測位結果は、前記装置の前記第1時刻での前記第1測位結果及び前記装置の前記第1時刻より前の第2時刻での第2測位結果を少なくとも含む、事後確率を確定することと、
前記事後確率を最大化することにより、前記第1測位結果を確定することと
をさらに含む請求項11に記載の計算装置。
【請求項13】
前記事後確率を確定することは、
前記第1グローバル測位情報に関連付けられた第1尤度値を確定することと、
前記第1ローカル測位情報に関連付けられた第2尤度値を確定することと、
前記第1慣性測位情報に関連付けられた第3尤度値を確定することと、
少なくとも前記第1尤度値、前記第2尤度値及び前記第3尤度値に基づいて前記事後確率を確定することと
を含む請求項12に記載の計算装置。
【請求項14】
前記第1グローバル測位情報は、前記装置の前記グローバル座標系における第1姿勢を示し、前記第1ローカル測位情報は、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢を示し、
前記第1尤度値を確定することは、
前記グローバル座標系と前記ローカル座標系との間の変換関係及び前記第2姿勢に基づいて前記第1姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値及び前記第1グローバル測位情報が示す前記第1姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて前記第1尤度値を確定することと
を含む請求項13に記載の計算装置。
【請求項15】
前記第1ローカル測位情報は、前記ローカル地図に対する前記点群データの相対姿勢、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢、及び前記ローカル地図の前記ローカル座標系における第3姿勢を示し、
前記第2尤度値を確定することは、
前記第2姿勢及び前記第3姿勢に基づいて、前記相対姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値と前記第1ローカル測位情報が示す前記相対姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて、前記第2姿勢及び前記第3姿勢に対する前記相対姿勢の前記第2尤度値を確定することと
を含む請求項13に記載の計算装置。
【請求項16】
前記事後確率を確定することは、
前記装置の前記第2時刻での前記グローバル座標系における第2グローバル測位情報に関連付けられた第4尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記ローカル座標系における第2ローカル測位情報に関連付けられた第5尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記慣性座標系における第2慣性測位情報に関連付けられた第6尤度値を確定することと、
前記第1尤度値、前記第2尤度値、前記第3尤度値、前記第4尤度値、前記第5尤度値及び前記第6尤度値に基づいて、前記事後確率を確定することと
をさらに含む請求項13に記載の計算装置。
【請求項17】
前記ローカル地図は、前記第1時刻よりも前の少なくとも1つの時刻で前記LiDARにより収集された少なくとも1フレームの点群データに基づいて構築されており、
前記動作は、
前記点群データに基づいて、前記ローカル地図を更新することをさらに含む請求項10に記載の計算装置。
【請求項18】
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、計算装置によって実行されると、
対象上のLiDARにより第1時刻に収集された点群データを取得し、前記
計算装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報に基づいて前記点群データに対して動き補償を行うことと、
動き補償の前記点群データとグローバル座標系において構築されたグローバル地図とに基づいて、前記対象の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
動き補償の前記点群データとローカル座標系において構築されたローカル地図とに基づいて、前記対象の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記対象の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を前記計算装置に実行させるものである、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実現する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、主に自動運転分野に関し、より詳細には、測位方法、装置、計算装置、コンピュータ可読記憶媒体及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転(無人運転とも呼ばれる)は人工知能の一つの応用シーンとして、既に様々な乗り物、特に自動車産業の新たな発展方向になっている。自動運転技術は、一般に、自動運転車両の高精度な測位に依存する。自動運転分野において、従来の測位手段は一般的に自動運転車両におけるライダによってリアルタイムに収集された点群データを高精度測位地図とマッチングすることにより、自動運転車両の位置を確定する。しかし、道路環境が変化すると、リアルタイムに収集された点群データは測位地図における対応する領域のデータと大きな差が存在する可能性があり、それにより測位結果が不正確であるか又は測位できない状況を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の例示的な実施形態によれば、測位のための解決策が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様において、測位方法であって、
装置上のLiDARにより第1時刻に収集された点群データを取得することと、
前記点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
前記点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記装置の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を含む測位方法が提供される。
【0005】
本開示の第2の態様において、測位装置が提供される。該装置は、測位対象装置におけるライダが現在時刻に収集した点群データを取得するように構成される第1取得モジュールと、点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づいて、該装置の現在時刻でのグローバル座標系におけるグローバル測位情報を確定するように構成されるグローバル測位モジュールと、点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づいて、該装置の現在時刻でのローカル座標系におけるローカル測位情報を確定するように構成されるローカル測位モジュールと、少なくともグローバル測位情報及びローカル測位情報に基づいて、該装置の現在時刻での測位結果を確定するように構成される結果確定モジュールとを含む。
【0006】
本開示の第3の態様において、計算装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリであって、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサに実行されると、
装置上のLiDARにより第1時刻に収集された点群データを取得することと、
前記点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
前記点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記装置の前記第1時刻での第1測位結果を確定することとを含む動作を、前記計算装置に実行させる、メモリと
を含んでなる計算装置が提供される。
【0007】
本開示の第4の態様において、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは計算装置によって実行されると、
対象上のLiDARにより第1時刻に収集された点群データを取得することと、
前記点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づいて、前記対象の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
前記点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づいて、前記対象の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記対象の前記第1時刻での第1測位結果を確定することとを前記計算装置に実行させる、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
なお、発明の概要に記載された内容は、本開示の実施形態のかなめ又は重要な特徴を限定することを意図するものではなく、本開示の範囲を限定するものでもない。本開示の他の特徴は、以下の説明によって容易に理解されるであろう。
【0008】
本開示の第5の態様において、本開示の実施例は、コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、本開示の第1の態様に記載の測位方法を実現する、コンピュータプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態が実現可能な例示的な環境を示す模式図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る測位システムを示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る測位プロセスを示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に係る測位装置を示すブロック模式図である。
【
図5】本開示の複数の実施形態を実施することができる計算装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を更に詳しく説明する。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示は様々な形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、逆に、これらの実施形態は、本開示をより明確かつ完全に理解するために提供されていることを理解されたい。なお、本開示の図面及び実施形態は例示的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定するものではない。
【0011】
本開示の実施形態の説明では、用語「…を含む」及びそれに類似する用語は、「…を含むがそれらに限定されない」という非限定の表現として理解されるべきである。「…に基づいて」という用語は、「…に少なくとも部分的に基づいて」と理解されるべきである。「1つの実施形態」又は「該実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」と理解されるべきである。なお、「第1」、「第2」等の用語は、異なるオブジェクト又は同一のオブジェクトを意味することができる。以下では、他の明確か暗黙的な定義がさらに含まれ得る。
【0012】
上述したように、自動運転分野において、従来の測位手段は一般的に自動運転車両におけるLiDARによってリアルタイムに収集された点群データを高精度測位地図とマッチングすることにより、自動運転車両の位置を確定する。しかし、道路環境が変化すると、リアルタイムに収集された点群データは測位地図における対応する領域のデータと大きな差が存在する可能性があり、それにより測位結果が不正確であるか又は測位できない状況を引き起こす場合がある。
【0013】
本開示の実施形態によれば、測位のための解決策が提供される。該解決策は、測位対象装置におけるLiDARが現在時刻に収集した点群データを取得することと、点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づき、該装置の現在時刻でのグローバル座標系におけるグローバル測位情報を確定することと、点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づき、該装置の現在時刻でのローカル座標系におけるローカル測位情報を確定することと、少なくともグローバル測位情報及びローカル測位情報に基づき、該装置の現在時刻での測位結果を確定することとを含む。このように、本開示の実施形態によれば、測位結果が環境変化から保護されるように、効果的で安定した測位サービスを提供することができる。
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳しく説明する。
図1は、本開示のいくつかの実施形態が実現可能な例示的な環境100を示す模式図である。環境100は、測位対象の装置110と、装置110と通信可能に結合された計算装置120とを含むことができる。
【0015】
この例示的な環境100では、装置110は、例えば道路130を走行する車両として示されている。本明細書に記載の車両は、乗用車、トラック、バス、電気自動車、オートバイ、キャンピングカー、列車などを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、装置110は、無人車両とも呼ばれる、部分的又は完全な自動運転機能を有する車両であってもよい。任意選択的に、他の実施形態において、装置110は測位対象の他の装置又は乗り物等であってもよい。本開示の範囲はこの点で限定されない。
【0016】
装置110は、計算装置120に通信可能に結合することができる。別個のエンティティとして示されているが、計算装置120は、装置110に組み込まれてもよい。計算装置120は、装置110の外部におけるエンティティとして実装されてもよく、ワイヤレスネットワークを介して装置110と通信してもよい。計算装置120は、計算、記憶、通信、制御などの機能を実現するために、プロセッサ、メモリ、及び一般的に汎用コンピュータに存在する他のコンポーネントを少なくとも含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、装置110は、点群データをリアルタイムで収集するためのLiDARを備えることができる。計算装置120は、LiDARによってリアルタイムで収集された点群データを装置110から取得することができ、少なくとも該点群データに基づいて、装置110の現在の測位結果101を確定する。測位結果101は、特定の座標系における装置110の姿勢を示すことができる。例えば、二次元座標系では、物体の姿勢は、二次元座標とヨー角とを用いて表すことができる。三次元座標系において、物体の姿勢は三次元座標、ピッチ角、ヨー角及びロール角を用いて表すことができる。さらに、いくつかの実施形態では、装置110は、ジャイロスコープによって収集された角速度、ジャイロスコープのゼロバイアス、加速度計によって収集された加速度、加速度計のゼロバイアスなどの慣性測定データをリアルタイムで収集するための慣性測定ユニット(IMU)をさらに備えることができる。計算装置120は、装置110から該慣性測定データ及びLiDARによってリアルタイムで収集された点群データを取得し、少なくとも慣性測定データ及び点群データに基づいて装置110の現在の測位結果101を確定することができる。
【0018】
図2は、本開示の実施形態に係る測位システム200のブロック図を示している。測位システム200の構造及び機能は、説明の目的のために示されているに過ぎず、本開示の範囲を限定することを示唆するものではないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、測位システム200は、異なる構造及び/又は機能を有することができる。
【0019】
図2に示すように、システム200は測位対象装置(例えば、車両)110及び計算装置120を含むことができる。測位対象装置110は、例えば、慣性測定ユニット「IMU」210及びライダーシステム「LiDAR」220を含むことができる。IMU210(例えばジャイロスコープ、加速度計、磁力計、衛星測位センサ、例えばGPSセンサ及び/又は他の慣性センサ)はリアルタイムで装置110の慣性測定データ(例えば、ジャイロスコープによって収集された角速度、ジャイロスコープのゼロバイアス、加速度計によって収集された加速度、加速度計のゼロバイアスなど)を収集することができ、且つLiDAR220はリアルタイムで点群データを収集することができる。ここでいう「点群データ」とは、レーザ光が物体表面に照射されたときに戻ってくる該物体表面の各点のデータ情報をいい、各点の3次元座標(例えば、x座標、y座標、z座標)及びレーザ反射強度(「反射値」ともいう)を含む。
【0020】
図2に示すように、計算装置120は、前処理モジュール230、LiDAR慣性オドメトリ(LiDAR inertial odometry)240、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール(global LiDAR inertial matching module)250、融合最適化モジュール(fusion optimization module)260及び環境変化検出モジュール270を含むことができる。計算装置120の各モジュール及び対応する機能は、説明の目的のために示されているに過ぎず、本開示の範囲を何ら限定することを示唆するものではないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、計算装置120は、追加のモジュールを含むことができ、又は図示される1つ又は複数のモジュール(例えば、環境変化検出モジュール270)を省略することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、前処理モジュール230は、慣性積分ユニット231及び動き補償ユニット232を含むことができる。慣性積分ユニット231は、IMU210によって収集された慣性測定データを積分し、装置110の現在の慣性座標系における測位情報(本明細書で「慣性測位情報」とも呼ばれる)を確定する。慣性測位情報は、例えば、慣性座標系における該装置110の予測姿勢及び/又は他の情報を示すことができる。いくつかの実施形態では、慣性測位情報は、動き補償ユニット232に提供されることができ、動き補償ユニット232は、この慣性測位情報を利用して、レーダ220によって収集されたオリジナル点群データを動き補償して、補償された点群データを得ることができる。補償された点群データは、LiDAR慣性オドメトリ240及びグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250に提供され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250は、予め構築されたグローバル測位地図に点群データ(例えば、動き補償された点群データ)をマッチングすることによって、グローバル測位地図における装置110の現在の測位情報(本明細書では「グローバル測位情報」とも呼ばれる)を確定することができる。グローバル測位地図は、緯度経度を示すワールド座標系などのグローバル座標系で構築された2次元地図であってもよい。いくつかの実施形態では、グローバル測位地図は、2次元平面上で複数のグリッドに分割することができ、各グリッドは、そのグリッドに対応するレーザ反射値及び高さ値を記録することができる。いくつかの実施形態では、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250は、ヒストグラムフィルタ内の状態確率を更新するために、リアルタイム点群データ内の反射値及び高さ値を利用して、各グリッドの反射値及び高さ値とマッチングするヒストグラムフィルタフレームワークを使用することができる。いくつかの実施形態では、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250によって出力されるグローバル測位情報は、グローバル座標系における装置110の姿勢(本明細書では「第1姿勢」とも呼ばれる)及びその姿勢の信頼度(例えば、状態確率)を含むことができる。
【0023】
LiDAR慣性オドメトリ240は、道路建設、地図期限切れ又は環境変化などのシーンで測位の精度を向上させるために用いることができる。いくつかの実施形態において、LiDAR慣性オドメトリ240は、点群データ(例えば、動き補償された点群データ又はオリジナル点群データ)を受信し、且つ現在時刻の点群データ(「現在フレーム」とも呼ばれる)と前時刻の点群データ(「前フレーム」とも呼ばれる)との間の相対姿勢関係を推定することができる。LiDAR慣性オドメトリ240は、推定された異なるフレーム間の相対姿勢関係に基づいて、受信された点群データを組み合わせることによってローカル座標系でローカル地図を構築することができる。ローカル地図は、例えば、装置110の初期位置を原点とするローカル座標系で構築された2次元地図又は3次元地図であってもよい。以下では、ローカル地図として3次元地図を例に挙げて説明する。
【0024】
いくつかの実施形態では、現在時刻の点群データ(例えば、動き補償された点群データ又はオリジナル点群データ)の受信に応答して、LiDAR慣性オドメトリ240は、点群データをローカル地図とマッチングすることによって、装置110の現在の該ローカル地図内における測位情報(本明細書では「ローカル測位情報」とも呼ばれる)を確定することができる。ローカル測位情報は、例えば、点群データとローカル地図との間の相対姿勢、ローカル座標系における装置110の姿勢(本明細書では「第2姿勢」とも呼ばれる)、及びローカル座標系における該ローカル地図の姿勢(本明細書では「第3姿勢」とも呼ばれる)を示すことができる。ローカル地図の姿勢は、例えば、そのローカル地図を構築するための最初のフレームの点群に対応する姿勢で表すことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、LiDAR慣性オドメトリ240はさらに、現在時刻の点群データに基づいてローカル地図を更新することができる。点群データとローカル地図は通常同一の座標系ではないため、LiDAR慣性オドメトリ240はまず点群データをローカル地図に対応するローカル座標系に変換し、続いて座標変換された点群データを利用してローカル地図を更新することができる。例えば、LiDAR慣性オドメトリ240は、該ローカル地図を更新するために、現在時刻の点群データをローカル地図に挿入することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、LiDAR慣性オドメトリ240は、複数のローカル地図を維持することができる。例えば、LiDAR慣性オドメトリ240が、複数の履歴点群データを組み合わせることによって第1ローカル地図を構築したと仮定する。LiDAR慣性オドメトリ240は、現在時刻の点群データを受信すると、現在時刻の点群データを第1ローカル地図に挿入し、第1ローカル地図を更新することができる。第1ローカル地図における点群フレーム数が閾値(例えば、40フレーム)に達する場合、後続の点群データは、第1ローカル地図に挿入されず、新たな第2ローカル地図を構築するために用いられる。第2ローカル地図内の点群フレーム数が閾値(例えば、40フレーム)に達した場合、第1ローカル地図を破棄することができる。いくつかの実施形態では、LiDAR慣性オドメトリ240によって維持される複数のローカル地図は、測位の精度及び安定性をさらに向上させるために、異なる解像度を有することができる。いくつかの実施形態では、LiDAR慣性オドメトリ240が複数のローカル地図を維持する場合、ローカル座標系における各ローカル地図の姿勢は、該ローカル地図を構築するための最初のフレームの点群に対応する姿勢によって表すことができる。ローカル測位情報を確定するとき、LiDAR慣性オドメトリ240は、受信した点群データを複数のローカル地図の一部又は全部とマッチングさせることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、LiDAR慣性オドメトリ240からのローカル測位情報と、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250からのグローバル測位情報とを融合して、装置110の現在の測位結果101を確定することができる。測位結果101は、装置110がグローバル座標系又はローカル座標系における現在の姿勢を示すことができる。LiDAR慣性オドメトリ240はローカル座標系において良好な相対制約を提供することができ、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250はグローバル制約を提供してグローバル測位を実現することができ、両者の測位結果を融合すると、安定した測位システムを提供することができる。さらに、いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、LiDAR慣性オドメトリ240からのローカル測位情報、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250からのグローバル測位情報、及び慣性積分ユニット231からの慣性測位情報を融合して、装置110の現在の測位結果101を確定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、融合プロセスは、固定長のスライディングウィンドウを利用することができる。例えば、スライディングウィンドウ内のフレーム数が所定のフレーム数に達すると、新たなフレームの点群データが該スライディングウィンドウに入ると、該スライディングウィンドウ内の最も古いフレームの点群データを除去することができる。すなわち、該融合プロセスに用いられるスライディングウィンドウは常に現在時刻の点群データ(例えば、現在フレーム)及び現在時刻より前の履歴時刻の点群データを含む。いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、装置110の現在時刻での測位結果101を最適化するために、例えば現在のフレームに対応する最終姿勢を得るために、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250及びLiDAR慣性オドメトリ240からの測位情報を、スライディングウィンドウのための入力として利用することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、該融合問題は、最大事後推定問題として公式化することができる。例えば、装置110の測位結果に対応する事後確率
【数1】
は、以下のように分解され得る。
【数2】
式中、
【数3】
は、スライディングウィンドウ内の全てのフレームを表し、
【数4】
は、これらのフレームの状態(例えば、測位結果)を表し、且つ
【数5】
は、これらのフレームに関する測定データ(慣性積分ユニット231により提供される慣性測位情報、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250により提供されるグローバル測位情報、及びLiDAR慣性オドメトリ240により提供されるローカル測位情報を含む)を表す。Sは、LiDAR慣性オドメトリ240によって維持される全てのローカル地図を表し、各ローカル地図はsで表される。
【0030】
上記式(1)において、
【数6】
は、LiDAR慣性オドメトリ240により提供される第kフレームと第sローカル地図との間の相対姿勢関係を表す。変数
【数7】
は、ローカル座標系における第kフレームの状態(例えば、姿勢)を表し、
【数8】
は、ローカル座標系における第kフレームに対応するピッチ角、ヨー角、及びロール角を表し、
【数9】
は、ローカル座標系における第kフレームの3次元位置座標を表す。変数
【数10】
は、ローカル座標系における第sローカル地図の状態(例えば、姿勢)を表す。融合最適化の間、変数
【数11】
と
【数12】
は可変であり、相対姿勢関係
【数13】
は不変のままでよいことが理解されるべきである。
【数14】
は、LiDAR慣性オドメトリ240によって提供されるローカル測位情報の尤度値(本明細書では「第2尤度値」とも呼ばれる)を表し、所与の状態
【数15】
及び
【数16】
における
【数17】
の条件付き確率を示す。
【0031】
上記式(1)において、
【数18】
はグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250により提供された第kフレームのグローバル座標系におけるグローバル測位情報を示す。
【数19】
は、ローカル座標系とグローバル座標系との変換関係を表す。
【数20】
は、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250によって提供されるグローバル測位情報の尤度値(本明細書では「第1尤度値」とも呼ばれる)を表し、所与の状態
【数21】
及び
【数22】
下でグローバル測位情報
【数23】
の条件付き確率を示す。
【0032】
上記式(1)において、
【数24】
は慣性積分ユニット231から提供される第kフレームの慣性座標系における慣性測位情報を表す。変数
【数25】
は、ローカル座標系における第k-1フレームの状態(例えば、姿勢)を表す。融合最適化の間、変数
【数26】
と
【数27】
は可変であることを理解されたい。
【数28】
は、慣性積分ユニット231から提供される慣性測位情報の尤度値(本明細書では「第3尤度値」とも呼ばれる)を表し、所与の状態
【数29】
及び
【数30】
下で慣性測位情報
【数31】
の条件付き確率を示す。
【0033】
いくつかの実施形態において、融合プロセスにおいて各項はいずれもゼロ平均のガウス分布に合致すると仮定し、第1尤度値
【数32】
、第2尤度値
【数33】
及び第3尤度値
【数34】
はそれぞれ以下のように定義することができる。
【数35】
式中、
【数36】
である。
【数37】
、
【数38】
と
【数39】
は、LiDAR慣性オドメトリ240、慣性積分ユニット231及びグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250の残差をそれぞれ表し、且つ
【数40】
は、残差
【数41】
のローカル座標系における共分散を表し、
【数42】
は残差
【数43】
のグローバル座標系における共分散を表し、且つ
【数44】
は残差
【数45】
の慣性座標系における共分散を表す。
【0034】
上述したように、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250によって提供されるグローバル測位情報
【数46】
は、グローバル座標系における装置110の第1姿勢
【数47】
を示すことができ、LiDAR慣性オドメトリ240によって提供されるローカル測位情報は、ローカル座標系における装置110の第2姿勢
【数48】
を示すことができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1尤度値
【数49】
を確定するために、融合最適化モジュール260はグローバル座標系とローカル座標系との間の変換関係
【数50】
及び第2姿勢
【数51】
に基づき、第1姿勢
【数52】
の推定値を確定し、さらに該推定値とグローバル測位情報に示された第1姿勢
【数53】
との間の残差
【数54】
を確定する。例えば、ローカル座標系における状態変数を
【数55】
、ローカル座標系とグローバル座標系との間の変換関係を
【数56】
、及びグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250により提供される装置110のグローバル座標系における第1姿勢を
【数57】
と仮定すると、残差
【数58】
は以下のように表すことができる。
【数59】
式中、
【数60】
はローカル座標系における第kフレームに対応するピッチ角、ヨー角及びロール角を表し、且つ
【数61】
はローカル座標系における第kフレームの3次元位置座標を表す。
【数62】
は、ローカル座標系におけるピッチ角、ヨー角及びロール角からグローバル座標系への変換関係を表し、且つ
【数63】
はローカル座標系における3次元位置座標からグローバル座標系への変換関係を表す。
【数64】
は、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250により提供されるグローバル座標系における第kフレームに対応するピッチ角、ヨー角及びロール角を表し、且つ
【数65】
はグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250により提供されるグローバル座標系における第kフレームの3次元位置座標を表す。
【0036】
いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、グローバル座標系における該残差
【数66】
の共分散
【数67】
をさらに確定することができる。グローバル座標系における残差
【数68】
の共分散
【数69】
は以下のように表すことができる。
【数70】
ここで、diag()は、対角要素が回転共分散
【数71】
、高さ方向共分散
【数72】
、水平方向共分散
【数73】
である対角行列を表す。いくつかの実施形態では、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250は、2次元ヒストグラムフィルタのみを使用して水平方向の不確かさを推定するので、回転共分散
【数74】
及び高さ方向共分散
【数75】
は、所定の定数であり得る。グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250内の二次元ヒストグラムフィルタは、各フレームの点群データの水平方向における共分散
【数76】
を出力することができる。したがって、グローバル座標系における残差
【数77】
の共分散
【数78】
は、回転共分散
【数79】
、高さ方向共分散
【数80】
、及び水平方向共分散
【数81】
に基づいて求めることができる。いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、上述式(2)に従って、残差
【数82】
及び共分散
【数83】
に基づいて第1尤度値
【数84】
を確定することができる。
【0037】
上述したように、LiDAR慣性オドメトリ240によって提供されるローカル測位情報は、点群データとローカル地図との間の相対姿勢
【数85】
、ローカル座標系における装置110の現在の第2姿勢
【数86】
、及びローカル座標系における該ローカル地図の第3姿勢
【数87】
を含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2尤度値
【数88】
を確定するために、融合最適化モジュール260は、LiDAR慣性オドメトリ240によって提供される第2姿勢及び第3姿勢に基づいて、相対姿勢の推定値を確定することができ、さらにローカル測位情報によって示される相対姿勢
【数89】
と該推定値との間の残差
【数90】
を確定することができる。例えば、相対姿勢を
【数91】
、ローカル地図の姿勢を
【数92】
と仮定すると、残差
【数93】
は以下のように表すことができる。
【数94】
式中、
【数95】
は第kフレームと第sローカル地図の相対ピッチ角、相対ヨー角及び相対横ロール角を表し、且つ
【数96】
は第kフレームの第sローカル地図における3次元位置座標を表す。
【数97】
は第sローカル地図のローカル座標系におけるピッチ角、ヨー角及び横ロール角を表し、且つ
【数98】
は第sローカル地図のローカル座標系における3次元位置座標を表す。
【0039】
いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、ローカル座標系における該残差
【数99】
の共分散
【数100】
をさらに確定することができる。具体的には、ローカル測位情報の不確実性がスライディングウィンドウ内のすべてのフレーム間で均一に分布していると仮定することができ、したがって、ローカル座標系における残差
【数101】
の共分散
【数102】
は、所定の常対角行列とすることができる。いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、上記の式(2)に従って、該残差
【数103】
及び共分散
【数104】
に基づいて第2尤度値
【数105】
を確定することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、慣性積分ユニット231の残差
【数106】
及びその共分散
【数107】
は、任意の既知の方法又は将来開発される方法を用いて確定することができ、ここでは説明を省略する。
【0041】
いくつかの実施形態では、融合最適化モジュール260は、式(1)に示すように事後確率を最大化することによって、現在時刻での装置110の最終的な測位結果101を確定することができる。いくつかの実施形態では、該測位結果101は、例えば、装置110のローカル座標系における現在最適化されている姿勢
【数108】
を示すことができる。具体的には、式(1)及び(2)に示すような最大事後推定問題を解く場合、該問題を各残差の二乗和の最小値を求めることに変換し、続いて反復アルゴリズムを利用して解くことができる。
【0042】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、環境変化検出モジュール270は、LiDAR慣性オドメトリ240からのローカル地図をグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250からのグローバル地図とマッチングすることによって、装置110が存在する環境が変化したかどうかを検出し、検出結果201を出力することができる。
【0043】
グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250からのグローバル測位情報の正確さは、事前構築されたグローバル測位地図の実効性に依存することを理解されたい。地図が古すぎても環境が変化してもグローバル測位情報の誤差が大きく又は測位できない状況を引き起こす場合がある。LiDAR慣性オドメトリ240に生成されたローカル地図は装置110の現在の環境状態を反映することができ、比較的高い実効性を有し、したがってLiDAR慣性オドメトリ240からのローカル地図をグローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250からのグローバル地図とマッチングすることにより装置110が位置する環境が変化したか否かを検出することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、環境変化検出モジュール270は、グローバル地図に対応する2次元グリッド内に3次元ローカル地図を投影し、ローカル地図がヒットした少なくとも1つのグリッドを確定することができる。そして、環境変化検出モジュール270は、少なくとも1つのグリッドのそれぞれについて、3次元ローカル地図とグローバル地図との間の高さ値及び反射値を比較することによって、ローカル地図に対応するエリア環境が変化したか否かを判定することができる。
【0045】
図3は、本開示の実施形態に係る測位のためのプロセス300を示すフローチャートである。プロセス300は、
図1に示すような計算装置120によって実装されてもよく、該計算装置120は、例えば、装置110内に埋め込まれてもよく、又は、装置110の外部の独立した装置として実装されてもよい。説明を容易にするために、
図2を参照しながらプロセス300を説明する。
【0046】
ブロック310において、計算装置120(例えば、前処理モジュール230)は、測位対象装置110上のLiDAR220によって現在時刻で収集された点群データを取得する。
【0047】
ブロック320において、計算装置120(例えば、グローバルLiDAR慣性マッチングモジュール250)は、この点群データとグローバル座標系で構築されたグローバル地図とに基づいて、現在時刻でのグローバル座標系における装置110のグローバル測位情報を確定する。
【0048】
ブロック330において、計算装置120(例えば、LiDAR慣性オドメトリ240)は、この点群データとローカル座標系で構築されたローカル地図とに基づいて、現在時刻でのローカル座標系における装置110のローカル測位情報を確定する。
【0049】
ブロック340において、計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は、少なくともグローバル測位情報及びローカル測位情報に基づいて、現在時刻での装置110の測位結果101を確定する。
【0050】
いくつかの実施形態では、測位結果101は、現在時刻での装置のグローバル座標系又はローカル座標系における姿勢を示すことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、計算装置120(例えば、前処理モジュール230)は、現在時刻での装置110の慣性測定データを取得することもできる。計算装置120(例えば、慣性積分ユニット231)は、慣性測定データを積分することによって、装置110の慣性座標系における現在時刻の慣性測位情報を確定することができる。計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は、グローバル測位情報、ローカル測位情報、及び慣性測位情報に基づいて、測位結果101を確定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、計算装置120(例えば、動き補償ユニット232)は、グローバル測位情報及び/又はローカル測位情報を確定する前に、慣性測位情報に基づいて点群データを動き補償することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は装置110の複数の時刻での複数の測位結果に対応する事後確率を確定することであって、複数の測位結果は少なくとも測位結果101及び装置110の現在時刻より前の履歴時刻での履歴測位結果を含むことと、該事後確率を最大化することにより、測位結果101を確定することとを実行できる。
【0054】
いくつかの実施形態では、計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は、グローバル測位情報に関連する第1尤度値を確定し、ローカル測位情報に関連する第2尤度値を確定し、慣性測位情報に関連する第3尤度値を確定し、少なくとも第1尤度値、第2尤度値及び第3尤度値に基づいて該事後確率を確定することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、グローバル測位情報は、グローバル座標系における装置110の第1姿勢を示すことができ、ローカル測位情報は、ローカル座標系における装置110の第2姿勢を示すことができる。計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は、グローバル座標系とローカル座標系との間の変換関係及び第2姿勢に基づいて、第1姿勢の推定値を確定し、該推定値とグローバル測位情報が示す第1姿勢との間の残差を確定し、少なくとも該残差に基づいて、第1尤度値を確定することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ローカル測位情報は、点群データとローカル地図との間の相対姿勢、ローカル座標系における装置110の第2姿勢、及びローカル座標系におけるローカル地図の第3姿勢を含むことができる。計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は、第2姿勢及び第3姿勢に基づき、相対姿勢の推定値を確定し、該推定値とローカル測位情報が示す相対姿勢との間の残差を確定し、少なくとも該残差に基づき、第2尤度値を確定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、計算装置120(例えば、融合最適化モジュール260)は、履歴時刻でのグローバル座標系における装置110の履歴グローバル測位情報に関連する第4尤度値を確定し、履歴時刻でのローカル座標系における装置110の履歴ローカル測位情報に関連する第5尤度値を確定し、履歴時刻での慣性座標系における装置110の履歴慣性測位情報に関連する第6尤度値を確定し、第1尤度値、第2尤度値、第3尤度値、第4尤度値、第5尤度値及び第6尤度値に基づいて、該事後確率を確定することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ローカル地図は、LiDAR220によって現在時刻より前の履歴時刻で収集された少なくとも1フレームの点群データに基づいて構築されてもよく、計算装置120(例えば、LiDAR慣性オドメトリ240)は、点群データに基づいて該ローカル地図を更新できる。
【0059】
以上の説明から分かるように、本開示の実施形態によれば、測位のための解決策が提供される。該解決策は、測位対象装置におけるLiDARが現在時刻に収集した点群データを取得することと、該点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づき、該装置の現在時刻でのグローバル座標系におけるグローバル測位情報を確定することと、点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づき、該装置の現在時刻でのローカル座標系におけるローカル測位情報を確定することと、少なくともグローバル測位情報及びローカル測位情報に基づき、該装置の現在時刻での測位結果を確定することとを含む。このように、本開示の実施形態によれば、測位結果が環境変化から保護されるように、効果的で安定した測位サービスを提供することができる。
【0060】
図4は、本開示の実施形態に係る測位装置400を示すブロック模式図である。装置400は、
図1に示す計算装置120内に含まれるか、又は計算装置120として実装されてもよい。
図4に示すように、装置400は、測位対象装置上のLiDARにより現在時刻で収集された点群データを取得するように構成される第1取得モジュール410を含むことができる。装置400は、点群データ及びグローバル座標系で構築されたグローバル地図に基づいて、現在時刻でのグローバル座標系における装置のグローバル測位情報を確定するように構成されたグローバル測位モジュール420をさらに含むことができる。装置400は、点群データ及びローカル座標系で構築されたローカル地図に基づいて、現在時刻でのローカル座標系における装置のローカル測位情報を確定するように構成されたローカル測位モジュール430をさらに含むことができる。さらに、装置400は、少なくともグローバル測位情報及びローカル測位情報に基づいて、現在時刻での装置の測位結果を確定するように構成された結果確定モジュール440を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、装置400はさらに、現在時刻での装置の慣性測定データを取得するように構成された第2取得モジュールと、慣性測定データを積分することにより、現在時刻での慣性座標系における装置の慣性測位情報を確定するように構成された慣性測位モジュールとを含む。結果確定モジュール440は、グローバル測位情報、ローカル測位情報及び慣性測位情報に基づいて、測位結果を確定するようにさらに構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、装置400は、グローバル測位情報及び/又はローカル測位情報を確定する前に、慣性測位情報に基づいて点群データを動き補償するように構成された動き補償モジュールをさらに含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、結果確定モジュール440は、複数の時刻での装置の複数の測位結果に関連する事後確率を確定するように構成された事後確率確定ユニットであって、複数の測位結果は、少なくとも、現在時刻での装置の測位結果と、現在時刻より前の履歴時刻での装置の履歴測位結果とを含む、事後確率確定ユニットと、事後確率を最大化することによって、測位結果を確定するように構成された結果確定ユニットとを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、事後確率確定ユニットは、グローバル測位情報に関連付けられる第1尤度値を確定するように構成された第1確定サブユニットと、ローカル測位情報に関連付けられる第2尤度値を確定するように構成された第2確定サブユニットと、慣性測位情報に関連付けられる第3尤度値を確定するように構成された第3確定サブユニットと、少なくとも第1尤度値、第2尤度値及び第3尤度値に基づいて、事後確率を確定するように構成された第4確定サブユニットとを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、グローバル測位情報は、装置のグローバル座標系における第1姿勢を示し、ローカル測位情報は、装置のローカル座標系における第2姿勢を示し、第1確定サブユニットは、グローバル座標系とローカル座標系との間の変換関係及び第2姿勢に基づいて、第1姿勢の推定値を確定し、推定値とグローバル測位情報が示す第1姿勢との間の残差を確定し、少なくとも該残差に基づいて、第1尤度値を確定するように構成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、ローカル測位情報は、点群データとローカル地図との間の相対姿勢、ローカル座標系における装置の第2姿勢、及びローカル座標系におけるローカル地図の第3姿勢を示し、第2確定サブユニットは、第2姿勢及び第3姿勢に基づいて、相対姿勢の推定値を確定し、推定値とローカル測位情報が示す相対姿勢との間の残差を確定し、少なくとも残差に基づいて、第2姿勢及び第3姿勢に対する相対姿勢の第2尤度値を確定するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1確定サブユニットは、履歴時刻でのグローバル座標系における装置の履歴グローバル測位情報に関連付けられる第4尤度値を確定するようにさらに構成される。第2確定サブユニットはさらに、履歴時刻でのローカル座標系における装置の履歴ローカル測位情報に関連付けられる第5尤度値を確定するように構成される。第3確定サブユニットは、履歴時刻での慣性座標系における装置の履歴慣性測位情報に関連付けられる第6尤度値を確定するようにさらに構成される。第4確定サブユニットは、第1尤度値、第2尤度値、第3尤度値、第4尤度値、第5尤度値及び第6尤度値に基づいて、事後確率を確定するようにさらに構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ローカル地図は、LiDARによって現在時刻より前の履歴時刻に収集された少なくとも1フレームの点群データに基づいて構築され、装置400は、点群データに基づいて該ローカル地図を更新するように構成された地図更新モジュールをさらに含む。
【0069】
図5は、本開示の実施形態を実施するために使用できる例示的な装置500の概略ブロック図を示している。装置500は、
図1に示す計算装置120を実施するために使用可能である。図に示すように、装置500は、読み出し専用メモリ(ROM)502に記憶されているコンピュータプログラム命令又は記憶ユニット508からランダムアクセスメモリ(RAM)503にロードされたコンピュータプログラム命令によって様々な適当な動作及び処理を実行することができる中央処理装置(CPU)501を備える。RAM503には、装置500の動作に必要な様々なプログラム及びデータが更に格納されることが可能である。CPU501、ROM502及びRAM503は、バス504を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インターフェース505もバス504に接続されている。
【0070】
装置500において、キーボード、マウスなどの入力ユニット506と、様々なタイプのディスプレイ、スピーカなどの出力ユニット507と、磁気ディスク、光ディスクなどの記憶ユニット508と、ネットワークカード、モデム、無線通信送受信機などの通信ユニット509とを含む複数のコンポーネントは、I/Oインターフェース505に接続されている。通信ユニット509は、装置500がインターネットなどのコンピュータネットワーク及び/又は様々な電気通信ネットワークを介して他の装置と情報又はデータの交換を可能にする。
【0071】
処理ユニット501は、上述した各方法及びプロセス400のような処理を実行する。例えば、いくつかの実施形態では、プロセス400は、記憶ユニット508などの機械可読媒体に有形に含まれるコンピュータソフトウェアプログラムとして実装されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM502及び/又は通信ユニット509を介して装置500にロード及び/又はインストールされてもよい。コンピュータプログラムがRAM503にロードされ、CPU501によって実行されると、上述したプロセス400の1つ又は複数のステップを実行可能である。あるいは、他の実施形態では、CPU501は、他の任意の適切な形態によって(例えば、ファームウェアによって)プロセス400を実行するように構成され得る。
【0072】
本明細書で説明した機能は、少なくとも部分的に1つ又は複数のハードウェアロジックコンポーネントによって実行されることができる。例えば、非限定的に、採用できる汎用型のハードウェアロジックコンポーネントには、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)などが含まれる。
【0073】
本開示の方法を実施するためのプログラムコードは、1つ又は複数のプログラミング言語のあらゆる組み合わせで作成することができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供されることができ、これらのプログラムコードがプロセッサ又はコントローラによって実行されると、フローチャート及び/又はブロック図に規定された機能又は動作が実施される。プログラムコードは、完全にデバイス上で実行されることも、部分的にデバイス上で実行されることも、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして部分的にデバイス上で実行されながら部分的にリモートデバイス上で実行されることも、又は完全にリモートデバイスもしくはサーバ上で実行されることも可能である。
【0074】
本開示のコンテキストでは、機械可読媒体は、有形の媒体であってもよく、命令実行システム、装置又はデバイスが使用するため、又は命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用するためのプログラムを含むか、又は格納することができる。機械可読媒体は、機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であり得る。機械可読媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置又はデバイス、又はこれらのあらゆる適切な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例には、1本又は複数本のケーブルに基づく電気的接続、携帯型コンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD?ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又はこれらのあらゆる適切な組み合わせが含まれ得る。
【0075】
また、各動作は、特定の順序で示されているが、所望の結果を得られるために、このような動作は示された特定の順序にて又は順を追って実行されることを要求するか、又は、図に示されたすべての動作が実行されることを要求するものと理解されるべきである。特定の環境では、マルチタスクと並列処理が有利である可能性がある。同様に、上記ではいくつかの具体的な実施詳細を説明したが、これらは本開示の範囲への制限と解釈されるべきではない。個別の実施形態のコンテキストで説明されたいくつかの特徴は、単一の実施において組み合わせて実施されることもできる。逆に、単一の実施のコンテキストで説明された様々な特徴は、複数の実施において、個別に又は任意の適切なサブセットで実施されることもできる。
【0076】
本主題は、構造特徴及び/又は方法のロジック動作に特定された言語で記述されたが、特許請求の範囲内に限定される主題が、必ずしも上記に記載された特定の特徴又は動作に限定されるものではないことを理解されたい。逆に、上述した特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施するための例示的な形態にすぎない。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~21の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
装置上のLiDARにより第1時刻で収集された点群データを取得することと、
前記点群データ及びグローバル座標系において構築されたグローバル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
前記点群データ及びローカル座標系において構築されたローカル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記装置の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を含んでなる測位方法。
(請求項2)
前記第1測位結果を確定することは、
前記装置の前記第1時刻での慣性測定データを取得することと、
前記慣性測定データを積分することにより、前記装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報を確定することと、
前記第1グローバル測位情報、前記第1ローカル測位情報及び前記第1慣性測位情報に基づいて、前記第1測位結果を確定することと
を含む請求項1に記載の方法。
(請求項3)
前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報の少なくとも一方を確定する前に、前記第1慣性測位情報に基づいて前記点群データを動き補償することをさらに含む請求項2に記載の方法。
(請求項4)
前記第1測位結果を確定することは、
前記装置の複数の時刻での複数の測位結果に関連付けられた事後確率を確定することであって、前記複数の測位結果は、前記装置の前記第1時刻での前記第1測位結果及び前記装置の前記第1時刻より前の第2時刻での第2測位結果を少なくとも含む、事後確率を確定することと、
前記事後確率を最大化することにより、前記第1測位結果を確定することと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
(請求項5)
前記事後確率を確定することは、
前記第1グローバル測位情報に関連付けられた第1尤度値を確定することと、
前記第1ローカル測位情報に関連付けられた第2尤度値を確定することと、
前記第1慣性測位情報に関連付けられた第3尤度値を確定することと、
少なくとも前記第1尤度値、前記第2尤度値、及び前記第3尤度値に基づいて前記事後確率を確定することと
を含む請求項4に記載の方法。
(請求項6)
前記第1グローバル測位情報は、前記装置の前記グローバル座標系における第1姿勢を示し、前記第1ローカル測位情報は、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢を示し、
前記第1尤度値を確定することは、
前記グローバル座標系と前記ローカル座標系との間の変換関係及び前記第2姿勢に基づいて前記第1姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値及び前記第1グローバル測位情報が示す前記第1姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて前記第1尤度値を確定することと
を含む請求項5に記載の方法。
(請求項7)
前記第1ローカル測位情報は、前記ローカル地図に対する前記点群データの相対姿勢、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢、及び前記ローカル地図の前記ローカル座標系における第3姿勢を示し、
前記第2尤度値を確定することは、
前記第2姿勢及び前記第3姿勢に基づいて、前記相対姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値と前記第1ローカル測位情報が示す前記相対姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて、前記第2姿勢及び前記第3姿勢に対する前記相対姿勢の前記第2尤度値を確定することと
を含む請求項5に記載の方法。
(請求項8)
前記事後確率を確定することは、
前記装置の前記第2時刻での前記グローバル座標系における第2グローバル測位情報に関連付けられた第4尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記ローカル座標系における第2ローカル測位情報に関連付けられた第5尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記慣性座標系における第2慣性測位情報に関連付けられた第6尤度値を確定することと、
前記第1尤度値、前記第2尤度値、前記第3尤度値、前記第4尤度値、前記第5尤度値及び前記第6尤度値に基づいて、前記事後確率を確定することと
をさらに含む請求項5に記載の方法。
(請求項9)
前記ローカル地図は、前記第1時刻よりも前の少なくとも1つの時刻で前記LiDARにより収集された少なくとも1フレームの点群データに基づいて構築されており、
前記方法は、
前記点群データに基づいて、前記ローカル地図を更新することをさらに含む請求項1に記載の方法。
(請求項10)
前記第1測位結果は、前記第1時刻での前記装置の前記グローバル座標系及び/又は前記ローカル座標系における姿勢を示す、請求項1に記載の方法。
(請求項11)
計算装置であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリであって、前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサに実行されると、
装置上のLiDARにより第1時刻で収集された点群データを取得することと、
前記点群データ及びグローバル座標系において構築されたグローバル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
前記点群データ及びローカル座標系において構築されたローカル地図に基づいて、前記装置の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記装置の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を含む動作を前記計算装置に実行させる、メモリと
を含んでなる計算装置。
(請求項12)
前記第1測位結果を確定することは、
前記装置の前記第1時刻での慣性測定データを取得することと、
前記慣性測定データを積分することにより、前記装置の前記第1時刻での慣性座標系における第1慣性測位情報を確定することと、
前記第1グローバル測位情報、前記第1ローカル測位情報及び前記第1慣性測位情報に基づいて、前記第1測位結果を確定することと
を含む請求項11に記載の計算装置。
(請求項13)
前記動作は、
前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報の少なくとも一方を確定する前に、前記第1慣性測位情報に基づいて前記点群データを動き補償することをさらに含む請求項12に記載の計算装置。
(請求項14)
前記第1測位結果を確定することは、
前記装置の複数の時刻での複数の測位結果に関連付けられた事後確率を確定することであって、前記複数の測位結果は、前記装置の前記第1時刻での前記第1測位結果及び前記装置の前記第1時刻より前の第2時刻での第2測位結果を少なくとも含む、事後確率を確定することと、
前記事後確率を最大化することにより、前記第1測位結果を確定することと
をさらに含む請求項12に記載の計算装置。
(請求項15)
前記事後確率を確定することは、
前記第1グローバル測位情報に関連付けられた第1尤度値を確定することと、
前記第1ローカル測位情報に関連付けられた第2尤度値を確定することと、
前記第1慣性測位情報に関連付けられた第3尤度値を確定することと、
少なくとも前記第1尤度値、前記第2尤度値及び前記第3尤度値に基づいて前記事後確率を確定することと
を含む請求項14に記載の計算装置。
(請求項16)
前記第1グローバル測位情報は、前記装置の前記グローバル座標系における第1姿勢を示し、前記第1ローカル測位情報は、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢を示し、
前記第1尤度値を確定することは、
前記グローバル座標系と前記ローカル座標系との間の変換関係及び前記第2姿勢に基づいて前記第1姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値及び前記第1グローバル測位情報が示す前記第1姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて前記第1尤度値を確定することと
を含む請求項15に記載の計算装置。
(請求項17)
前記第1ローカル測位情報は、前記ローカル地図に対する前記点群データの相対姿勢、前記装置の前記ローカル座標系における第2姿勢、及び前記ローカル地図の前記ローカル座標系における第3姿勢を示し、
前記第2尤度値を確定することは、
前記第2姿勢及び前記第3姿勢に基づいて、前記相対姿勢の推定値を確定することと、
前記推定値と前記第1ローカル測位情報が示す前記相対姿勢を解析することと、
少なくとも解析結果に基づいて、前記第2姿勢及び前記第3姿勢に対する前記相対姿勢の前記第2尤度値を確定することと
を含む請求項15に記載の計算装置。
(請求項18)
前記事後確率を確定することは、
前記装置の前記第2時刻での前記グローバル座標系における第2グローバル測位情報に関連付けられた第4尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記ローカル座標系における第2ローカル測位情報に関連付けられた第5尤度値を確定することと、
前記装置の前記第2時刻での前記慣性座標系における第2慣性測位情報に関連付けられた第6尤度値を確定することと、
前記第1尤度値、前記第2尤度値、前記第3尤度値、前記第4尤度値、前記第5尤度値及び前記第6尤度値に基づいて、前記事後確率を確定することと
をさらに含む請求項15に記載の計算装置。
(請求項19)
前記ローカル地図は、前記第1時刻よりも前の少なくとも1つの時刻で前記LiDARにより収集された少なくとも1フレームの点群データに基づいて構築されており、
前記動作は、
前記点群データに基づいて、前記ローカル地図を更新することをさらに含む請求項11に記載の計算装置。
(請求項20)
コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、計算装置によって実行されると、
対象上のLiDARにより第1時刻に収集された点群データを取得することと、
前記点群データ及びグローバル座標系において構築されたグローバル地図に基づいて、前記対象の前記第1時刻での前記グローバル座標系における第1グローバル測位情報を確定することと、
前記点群データ及びローカル座標系において構築されたローカル地図に基づいて、前記対象の前記第1時刻での前記ローカル座標系における第1ローカル測位情報を確定することと、
少なくとも前記第1グローバル測位情報及び前記第1ローカル測位情報に基づいて、前記対象の前記第1時刻での第1測位結果を確定することと
を前記計算装置に実行させるものである、コンピュータ可読記憶媒体。
(請求項21)
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実現する、コンピュータプログラム。