(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】薄膜除去装置及び薄膜除去方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/57 20140101AFI20221118BHJP
【FI】
B23K26/57
(21)【出願番号】P 2021083978
(22)【出願日】2021-05-18
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0059334
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518062668
【氏名又は名称】ミーレ カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク テソン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュンジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジェウン
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050444(JP,A)
【文献】特開2002-151830(JP,A)
【文献】特開平10-233352(JP,A)
【文献】特開2006-192334(JP,A)
【文献】特開平10-125931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に配置された薄膜上に保護フィルムを付着するフィルム付着装置と、
レーザービームを照射し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に分離するレーザー加工ユニットと、
前記被加工物から前記薄膜を離脱させるフィルム除去ユニットと、を含
み、
前記レーザー加工ユニットは、前記レーザービームを前記薄膜の内側領域に照射し、前記薄膜を前記被加工物の上面から浮き上がるようにし、
前記レーザービームを前記薄膜のエッジに照射し、前記薄膜のエッジを前記被加工物の上面から分離させることを特徴とする薄膜除去装置。
【請求項2】
前記保護フィルムは、前記薄膜に対応する形状を有し、前記薄膜の上面に付着された状態で、端部が前記薄膜の外側に突出することを特徴とする請求項1に記載の薄膜除去装置。
【請求項3】
前記レーザービームは、波長が440nmないし1500nmであり、前記保護フィルムを透過し、前記薄膜の一部を除去することを特徴とする請求項1に記載の薄膜除去装置。
【請求項4】
前記フィルム除去ユニットは、前記保護フィルムの端部を把持した状態で既定の方向に移動し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に離脱させることを特徴とする請求項1に記載の薄膜除去装置。
【請求項5】
被加工物に配置された薄膜上に保護フィルムを付着するステップと、
レーザービームを照射し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に分離するステップと、
前記被加工物から前記薄膜を離脱させるステップと、を含
み、
前記薄膜と前記保護フィルムを一体に分離するステップは、前記レーザービームを前記薄膜の内側領域に照射し、前記薄膜を前記被加工物の上面から浮き上がるようにするステップと、前記レーザービームを前記薄膜のエッジに照射し、前記薄膜のエッジを前記被加工物の上面から分離させるステップと、を含むことを特徴とする薄膜除去方法。
【請求項6】
前記レーザービームは、波長が440nmないし1500nmであり、前記保護フィルムを透過し、前記薄膜の一部を除去することを特徴とする請求項
5に記載の薄膜除去方法。
【請求項7】
前記薄膜を離脱させるステップは、前記保護フィルムの端部を把持した状態で既定の方向に移動し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に離脱させることを特徴とする請求項
5に記載の薄膜除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、薄膜除去装置及び薄膜除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の衝撃、あるいは酸素や水分の流入から、被加工物を保護するために、被加工物に保護膜が配置されることが可能である。該保護膜は、被加工物の外部に配置される薄膜形態の部材であり、被加工物と外部との接触を遮断し、被加工物の耐久性を高めることができる。
【0003】
しかし、被加工物上に配置された薄膜に異物が付着されているか、または製造過程で薄膜に不良が発生する場合、当該薄膜が他の被加工物または完成された製品に悪影響を与え、製品の収率が低下しうる。したがって、不良な薄膜、または汚染された薄膜を除去する必要がある。
【0004】
従来の方法として、接着式テープを利用して、薄膜に付着された異物を直接除去する方法がある。しかし、当該方法は、手作業で行われるため、異物が完璧に除去されず、除去するのにかかる時間が長く、生産量が低下しうる。また、多くの人力が投入されなければならないので、収率を上げるためには人件費が増えることになる。
【0005】
また、汚染された薄膜、または不良な薄膜を除去するための従来の方法として、レーザーを利用した方式がある。しかし、レーザーで薄膜を加工する過程で、フュームなどの微細異物が発生し、それによって、他の被加工物及び/または薄膜に二次汚染が発生しうる。また、レーザー加工時に発生するフュームなどの微細異物を除去するために、吸入装置を稼動し続けなければならないので、コストが問題になる。
【0006】
前述の背景技術は、発明者が本発明の導出のために保有していたか、あるいは本発明の導出過程で習得した技術情報であり、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知の技術とすることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、被加工物の二次汚染なしに、被加工物の上面に配置された薄膜を除去することができる薄膜除去装置及び薄膜除去方法を提供することを目的とする。ただし、前述の課題は、本発明の実施形態によるものであり、本発明の目的及び解決しようとする課題は、それに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置は、被加工物に配置された薄膜上に保護フィルムを付着するフィルム付着装置と、レーザービームを照射し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に分離するレーザー加工ユニットと、前記被加工物から前記薄膜を離脱させるフィルム除去ユニットと、を含む。
【0009】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置において、前記保護フィルムは、前記薄膜に対応する形状を有し、前記薄膜の上面に付着された状態で、端部が前記薄膜の外側に突出してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置において、前記レーザービームは、波長が440nmないし1500nmであり、前記保護フィルムを透過し、前記薄膜の一部を除去してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置において、前記レーザー加工ユニットは、前記レーザービームを前記薄膜の内側領域に照射し、前記薄膜を前記被加工物の上面から浮き上がる(または、アブレーション)ようにし、前記レーザービームを前記薄膜のエッジに照射し、前記薄膜のエッジを前記被加工物の上面から分離させてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置において、前記フィルム除去ユニットは、前記保護フィルムの端部を把持した状態で既定の方向に移動し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に離脱させてもよい。
【0013】
本発明の他の実施形態による薄膜除去方法は、被加工物に配置された薄膜上に保護フィルムを付着するステップと、前記レーザービームを照射し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に分離するステップと、前記被加工物から前記薄膜を離脱させるステップと、を含む。
【0014】
本発明の他の実施形態による薄膜除去方法において、前記レーザービームは、波長が440nmないし1500nmであり、前記保護フィルムを透過し、前記薄膜の一部を除去してもよい。
【0015】
本発明の他の実施形態による薄膜除去方法において、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に分離するステップは、前記レーザービームを前記薄膜の内側領域に照射し、前記薄膜を前記被加工物の上面から浮き上がるようにするステップと、前記レーザービームを前記薄膜のエッジに照射し、前記薄膜のエッジを前記被加工物の上面から分離させてもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態による薄膜除去方法において、前記薄膜を離脱させるステップは、前記保護フィルムの端部を把持した状態で既定の方向に移動し、前記被加工物から、前記薄膜と前記保護フィルムを一体に離脱させてもよい。
【0017】
前述した以外の他の側面、特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態、特許請求の範囲及び図面から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置及び薄膜除去方法は、被加工物の上面に配置された薄膜上に保護フィルムを付着し、レーザービームを照射し、被加工物の上面と薄膜とを分離することにより、薄膜除去工程で発生するフュームなどの異物が飛散及び拡散されることを防止することができるので、異物によって他の被加工物が二次汚染されることを防止することができる。
【0019】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置及び薄膜除去方法は、薄膜と保護フィルムが付着された状態で工程を進めることにより、他の被加工物が二次汚染されることを確実に防止することができる。また、本発明の一実施形態による薄膜除去装置及び薄膜除去方法は、別途の吸入装置または排気装置を備える必要がなく、コストを画期的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による薄膜除去装置を示す図面の一例である。
【
図2】
図1のフィルム付着ユニットの作動状態を示す図面の一例である。
【
図3】
図2の保護フィルムの様々な形態を示す図面の例である。
【
図4】
図1のレーザー加工ユニットの一例を示す図面である。
【
図5】
図4のレーザー加工ユニットの作動状態を示す図面の一例である。
【
図6】
図4のレーザー加工ユニットの作動状態を示す図面の他の一例である。
【
図7】フィルム除去ユニットの作動状態を示す図面の一例である。
【
図8】比較例と発明例との薄膜除去工程の前後を示す図面の一例である。
【
図9】本発明の他の実施形態による薄膜除去方法を示す図面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な変換を加えることができ、色々な実施形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。しかし、それらは、本発明を、特定の実施形態によって限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものであると理解されなければならない。本発明を説明するにあたって、他の実施形態に図示されているとしても、同じ構成要素については、同じ識別符号を使用する。
【0022】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるが、このような用語によって構成要素が限定されるものではない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にのみ使用される。
【0023】
本出願において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを示すものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されなければならない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による薄膜除去装置10を示す図面の一例であり、
図2は、
図1のフィルム付着ユニット200の作動状態を示す図面の一例であり、
図3は、
図2の保護フィルムPFの様々な形態を示す図面の例である。
【0025】
図1ないし
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜除去装置10は、薄膜TFを除去するために利用可能である。より具体的には、薄膜除去装置10は、基板Sに含まれた複数個の被加工物Wの上面に配置された薄膜TFのうち、異物が付着された薄膜TF、または不良な薄膜TFを除去するのに利用可能である。
ただし、薄膜TFは、必ずしも異物が付着された薄膜TF、または不良な薄膜TFに限定されるものではなく、除去が必要な様々な状態の薄膜TFであってもよい。本明細書においては、発明の便宜上、異物が付着された薄膜TF、または不良な薄膜TFを中心に説明することができる。
【0026】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置10は、ステージ100と、フィルム付着ユニット200と、レーザー加工ユニット300と、フィルム除去ユニット400とを含むことができる。
【0027】
基板Sは、ステージ100の上面に載置される。一実施形態として、加工中に基板Sが揺れたり、振動したりすることを防止するために、ステージ100は、固定部材(図示せず)を含むことができる。例えば、ステージ100は、基板Sの上面を加圧して固定するグリッパー(図示せず)や、基板Sの下面を吸着する吸入孔(図示せず)を含むことができる。
【0028】
ステージ100は、加工中に固定された状態を維持するか、あるいはコントローラ(図示せず)の操作によって、少なくとも一方向に並進運動または回転運動することができる。
【0029】
フィルム付着ユニット200は、ステージ100上に載置された被加工物W上に保護フィルムPFを付着する。一実施形態として、フィルム付着ユニット200は、被加工物Wの上面に配置された薄膜TF上に保護フィルムPFを付着することができる。
【0030】
保護フィルムPFの材質は、特に限定されるものではない。一実施形態として、保護フィルムPFは、加工に使用されるレーザーが透過される材質であり、PETからなることができる。より具体的には、保護フィルムPFは、レーザー加工ユニット300から照射される、波長440nmないし1500nmのレーザービームLが透過される材質であり、透明または不透明な材質でもある。
【0031】
一実施形態として、保護フィルムPFは、光学用接着剤を含んでもよく、該光学用接着剤は、OCA(opticalclearadhesive)またはOCR(opticalclearresin)でもある。
【0032】
本発明の一実施形態によるフィルム付着ユニット200は、吸着パッド210と、第1ローラ220とを含むことができる。
【0033】
吸着パッド210は、保護フィルムPFを吸着して薄膜TF上に付着させる。一実施形態として、吸着パッド210は、ローディングユニット(図示せず)にローディングされている保護フィルムPFを吸着して持ち上げることができる。そして、吸着パッド210は、異物が付着された薄膜TF、または不良な薄膜TFに移動した後、下方に移動し、保護フィルムPFを、異物が付着された薄膜TF、または不良な薄膜TF上に付着させることができる(
図2の(a)参照)。
【0034】
第1ローラ220は、薄膜TF上に付着された保護フィルムPFを加圧することができる。一実施形態として、第1ローラ220は、フィルム付着ユニット200の移動方向に移動しつつ、保護フィルムPFを上方から下方に加圧することができる。それによって、薄膜TFと保護フィルムPFとがより密接に付着されることが可能であり、特に、薄膜TFと保護フィルムPFとの間の気泡を除去し、薄膜TFと保護フィルムPFとの付着力を高めることができる。
【0035】
一実施形態として、保護フィルムPFは、薄膜TFの形状に対応する形状を有することができる。より具体的には、
図3に示すように、保護フィルムPFは、様々な形状を有する薄膜TFと同じ形状を有することができる。
【0036】
保護フィルムPFの大きさは、特に限定されるものではない。一実施形態として、保護フィルムPFは、薄膜TFよりも既定の割合ほど大きいことが好ましい。すなわち、保護フィルムPFは、薄膜TFの形状に対応する形状を有するが、その大きさは薄膜TFよりも大きい。それによって、保護フィルムPFが薄膜TF上に付着された状態で、保護フィルムPFの端部が薄膜TFの外側に突出し、以後にフィルム除去ユニット400を利用して容易に薄膜TFを除去することができる
【0037】
図4は、
図1のレーザー加工ユニット300の一例を示す図面であり、
図5及び
図6は、
図4の
図1のレーザー加工ユニット300の作動状態を示す図面の例である。
【0038】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置10は、レーザー加工ユニット300を利用して、被加工物W上に配置された薄膜TFを分離することができる。レーザー加工ユニット300は、所定の波長及びエネルギーを有するレーザービームを照射し、被加工物Wから、薄膜TFと保護フィルムPFを一体に分離することができる。
【0039】
図4を参照すれば、一実施形態として、レーザー加工ユニット300は、レーザー発振器310と、光学系320と、レーザーコントローラ330とを含むことができる。
【0040】
レーザー発振器310は、特定の媒質を励起させ、レーザービームLを生成することができる。レーザー発振器310で使用される媒質は、特に限定されるものではなく、液体、気体、固体または半導体を利用することができる。
【0041】
レーザー発振器310で発振されたレーザービームLの波長は、特に限定されるものではない。好ましくは、レーザービームLは、ブルーレーザーないし近赤外線レーザーであり、440nmないし1500nmの波長を有することができる。
【0042】
一実施形態として、レーザー発振器310は、パルスレーザーを生成することができる。レーザー発振器310は、Qスイッチング装置を備えてもよく、それによって、psないしfsの極超短パルス幅を有するレーザービームLを生成することができる。
【0043】
光学系320は、レーザー発振器310で生成されたレーザービームLの光路を制御するか、または被加工物W上に照射されるレーザービームLのスポットなどを成形することができる。
【0044】
本発明の一実施形態による光学系320は、2つのガルバノメーター321a、321bと、Fシータレンズ322とを含むことができる。
【0045】
ガルバノメーター321a、321bは、サーボモータ(図示せず)及びそれを制御するレーザーコントローラ330によって、入射されるレーザービームLの光路を制御することができる。ガルバノメーター321a、321bは、少なくともいずれか1つの軸、例えば、X軸またはY軸を中心に回転することができる。それによって、レーザー発振器310で発振されたレーザービームLは、ガルバノメーター321a、321bによって既定の経路に沿って移動することができる。
【0046】
ガルバノメーター321a、321bを通過したレーザービームLは、Fシータレンズ322に入射可能である。Fシータレンズ322は、レーザービームLを集光し、ステージ100上に載置された被加工物Wの既定の位置に照射することができる。
【0047】
レーザーコントローラ330は、レーザー発振器310、光学系320及びステージ100を制御することができる。一実施形態として、レーザーコントローラ330は、ステージ100上に載置された被加工物Wの位置、レーザービームLの移動速度及び照射位置などを考慮して、レーザー発振器310で発振されるレーザービームLの照射タイミングを制御することができる。あるいは、レーザーコントローラ330は、レーザー発振器310から照射されるレーザービームLの出力または波長などを制御することができる。
【0048】
また、レーザーコントローラ330は、光学系320、すなわち、ガルバノメーター321a、321bとFシータレンズ322との位置を制御し、レーザービームLの光路及び照射位置などを制御することができる。
【0049】
また、レーザーコントローラ330は、レーザー加工中にレーザー加工ユニット300自体を加工方向に移動させるか、またはステージ100を加工方向に移動させ、レーザー加工を行うことができる。
【0050】
他の実施形態として、レーザー加工ユニット300は、レーザー発振器310で発振されたレーザービームLを2つのレーザービームに分割するビームスプリッターを含むことができる。この際、前記ビームスプリッターは、偏光ビームスプリッター(polarizingbeamsplitter:PBS)であり、レーザービームを、相異なる偏光状態を有するレーザービームを利用することができる。
それによって、本発明によるレーザー加工ユニット300は、特定の偏光状態を有するレーザービームのみを利用して、レーザー加工品質を高めることができるか、あるいは、2つに分割されたレーザービームをいずれも利用して、レーザー加工速度を上げることができる。
【0051】
図5を参照すれば、レーザー加工ユニット300から照射されたレーザービームLは、薄膜TFに照射可能である。一実施形態として、レーザービームLは、440nmないし1500nmの波長を有し、保護フィルムPFは、当該波長のレーザービームLを透過させる材質からなることができる。それによって、
図5の(a)に示すように、レーザービームLは、保護フィルムPFを透過し、薄膜TFの下面に照射可能である。そして、レーザービームLによって、薄膜TFの一部が除去されつつ、被加工物Wの上面と、薄膜TFの少なくとも一部とが互いに分離されることが可能である。この際、薄膜TFと保護フィルムPFは互いに付着された状態であるので、被加工物Wの上面から、薄膜TFと保護フィルムPFが一体に分離されることが可能である。
【0052】
図6を参照すれば、レーザー加工ユニット300から照射されたレーザービームLは、平面視において、例えば、XY平面視において、薄膜TFの内部領域に照射され、被加工物Wの上面から薄膜TFを浮き上がるようにする。また、レーザービームLは、XY平面視において、薄膜TFのエッジに沿って照射され、薄膜TFのエッジを被加工物Wの上面から分離させることができる。
【0053】
すなわち、本発明の一実施形態による薄膜除去装置10は、レーザー加工中に薄膜TFの上面に保護フィルムPFが付着された状態であるので、レーザービームLを照射する工程で発生するフュームなどの異物が飛散することを最小化することができる。それによって、異物により他の薄膜TFが二次汚染されるという問題を防止することができる。
【0054】
図7は、フィルム除去ユニット400の作動状態を示す図面の一例である。
【0055】
図7を参照すれば、フィルム除去ユニット400は、レーザー加工ユニット300によって被加工物Wの上面から分離された薄膜TFを除去することができる。
【0056】
本発明の一実施形態によるフィルム除去ユニット400は、第2ローラ410と、グリッパー420とを含むことができる。
【0057】
レーザー加工ユニット300によって、被加工物Wの上面と薄膜TFとが互いに分離されれば、フィルム除去ユニット400がステージ100上に移動することができる。フィルム除去ユニット400は、第2ローラ410を利用して保護フィルムPFに接着した後に持ち上げ、薄膜TFの一部を被加工物Wの上面から離隔させることができる。
【0058】
一実施形態として、第2ローラ410の外周面には、所定の接着部材が配置可能である。ここで、被加工物Wの上面と薄膜TFとは、レーザー加工ユニット300によって分離された状態である一方、薄膜TFは、保護フィルムPFと付着された状態である。それによって、第2ローラ410が保護フィルムPFの上面と接触した状態で、上下方向または左右方向に移動すれば、保護フィルムPFも第2ローラ410に付着された状態で、同一の方向に移動することになる。
【0059】
フィルム除去ユニット400は、第2ローラ410を既定の方向に移動させ、薄膜TFの端部を被加工物Wの上面から離隔させることができる(
図7の(a)参照)。
【0060】
グリッパー420は、薄膜TFを被加工物Wの上面から完全に離脱させることができる。
【0061】
一実施形態として、グリッパー420は、第2ローラ410によって薄膜TFが被加工物Wの上面から離隔された状態で、保護フィルムPFの端部を把持することができる。
【0062】
フィルム除去ユニット400は、グリッパー420が保護フィルムPFの端部を把持した状態で既定の方向に移動し、被加工物Wから、薄膜TFと保護フィルムPFを一体に離脱させることができる(
図7の(b)参照)。
【0063】
図8は、比較例と発明例との薄膜除去工程の前後を示す図面の一例である。
【0064】
図8において、工程前は、被加工物Wの上面に薄膜TFが付着された状態を示し、比較例1は、レーザー照射装置及び吸入装置を利用して薄膜TFを除去した状態を示し、比較例2は、超音波洗浄機を利用して薄膜TFを除去した状態を示し、発明例は、本発明の一実施形態による薄膜除去装置10を利用して薄膜TFを除去した状態を示す。
【0065】
図8に示すように、従来のレーザー照射装置を利用して薄膜TFを除去する場合、フュームなどの異物が発生し、当該異物が吸入装置によって吸入されずに残存し、被加工物Wを二次汚染させ得る。また、除去工程の間に吸入装置を稼動し続けなければならないので、経済的ではない。
【0066】
同様に、従来の超音波洗浄機を利用して薄膜TFを除去するとしても、その過程で発生した異物が被加工物Wを二次汚染させる恐れがある。
【0067】
一方、本発明による薄膜除去装置10は、除去しようとする薄膜TFの上面に保護フィルムPFを付着した状態で、レーザービームLを照射するので、その過程で発生したフュームなどの異物が飛散することを最小化することにより、異物により他の被加工物Wが二次汚染されることを防止することができる。
【0068】
特に、本発明の一実施形態による薄膜除去装置10は、薄膜TF上に保護フィルムPFが付着された後、フィルム除去ユニット400によって薄膜TFを除去するまでに、薄膜TFの上面に保護フィルムPFが付着された状態を維持することができるので、他の薄膜TFと被加工物Wが二次汚染されることをより確実に防止することができる。
【0069】
再び
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による薄膜除去装置10は、検査ユニット500をさらに含んでもよい。
【0070】
検査ユニット500は、被加工物Wの位置を検出し、検出された位置についての情報を、フィルム付着ユニット200、レーザー加工ユニット300及びフィルム除去ユニット400のうち少なくともいずれか1つに伝達することができる。
【0071】
一実施形態として、検査ユニット500は、ビジョンカメラ(図示せず)を含むことができる。検査ユニット500は、前記ビジョンカメラを利用して、ステージ100上に載置された被加工物Wを撮像し、映像を獲得することができる。そして、検査ユニット500は、撮像された映像に基づいて、汚染された被加工物W、または不良な被加工物W(より具体的には、薄膜TFが汚染されるか、または不良な被加工物W)を判別することができる。
【0072】
また、検査ユニット500は、撮像された映像に基づいて、汚染されているか、または不良な被加工物Wの位置を検出し、位置情報を、フィルム付着ユニット200、レーザー加工ユニット300及びフィルム除去ユニット400に伝達することができる。
【0073】
フィルム付着ユニット200は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、保護フィルムPFを当該被加工物Wの上面に付着することができる。
【0074】
レーザー加工ユニット300は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、当該被加工物Wの上面にレーザービームLを照射することができる。また、レーザーコントローラ330は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、光学系320を制御し、レーザービームLの光路と照射位置などを制御することができる。
【0075】
フィルム除去ユニット400は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、当該被加工物Wの上面から薄膜TFを離脱させることができる。
【0076】
一実施形態として、検査ユニット500は、薄膜TFが離脱された被加工物Wの上面を再び検査し、薄膜TFが正しく離脱されたか否かを検査することができる。
【0077】
一方、被加工物Wがステージ100の上面に載置された状態で、フィルム付着ユニット200と、レーザー加工ユニット300と、フィルム除去ユニット400と、検査ユニット500とがステージ100に接近して動作するものと示されているが、それに限定されるものではない。
【0078】
例えば、1本のライン上に、フィルム付着ユニット200と、レーザー加工ユニット300と、フィルム除去ユニット400と、検査ユニット500とが配置され、ステージ100が前記ラインに沿って一方向に移動しつつ、被加工物Wに対する加工が行われてもよい。
【0079】
図9は、本発明の他の実施形態による薄膜除去方法を示す図面の一例である。
【0080】
図9を参照すれば、本発明による薄膜除去方法は、被加工物Wに配置された薄膜TF上に保護フィルムPFを付着するステップS100と、レーザービームLを照射し、被加工物Wから、薄膜TFと保護フィルムPFを一体に分離するステップS200と、被加工物Wから薄膜TFを離脱させるステップS300とを含むことができる。
【0081】
まず、
図1ないし
図9を参照すれば、移送ユニット(図示せず)などによってステージ100上に被加工物Wが載置された状態で、被加工物Wの上面に配置された薄膜TF上に、フィルム付着ユニット200を利用して保護フィルムPFを付着する。
【0082】
より具体的には、フィルム付着ユニット200の吸着パッド210によって、ローディングユニット(図示せず)上にローディングされている保護フィルムPFを吸着して支持する。次いで、フィルム付着ユニット200を被加工物Wの薄膜上に位置させた状態で下降し、保護フィルムPFを薄膜TF上に付着する。保護フィルムPFの下面には、OCRまたはOCAのような接着剤を含んでもよい。
【0083】
保護フィルムPFを薄膜TF上に付着した後、フィルム付着ユニット200の第1ローラ220で保護フィルムPFを加圧する。それによって、保護フィルムPFと薄膜TFとがより密接に付着され、保護フィルムPFと薄膜TFとの間に存在する気泡を除去することができる。
【0084】
次いで、保護フィルムPFが付着された薄膜TFをレーザー加工ユニット300で加工する。一実施形態として、レーザー加工ユニット300のレーザー発振器310でレーザービームLを生成し、光学系320を制御し、レーザービームLの照射位置及び光路を制御して、被加工物Wの上面に照射する。
【0085】
この際、レーザービームLの波長は、440nmないし1500nmであり、当該波長を有するレーザービームLは、保護フィルムPFを透過し、被加工物Wの上面に付着された薄膜TFの下部に照射される。それによって、薄膜TFの一部が除去されつつ、被加工物Wの上面から、薄膜TFと保護フィルムPFを一体に分離することができる。
【0086】
一実施形態として、薄膜TFを分離するステップS200は、レーザービームLを薄膜TFの内側領域に照射するステップ、すなわち、ハッチングステップと、レーザービームLを薄膜TFのエッジに沿って照射するステップ、すなわち、トリミングステップとを含むことができる。
【0087】
ハッチングステップでは、
図6のXY平面視において、レーザービームLを薄膜TFの内側領域に照射し、薄膜TFが被加工物Wの上面から全体的に浮き上がるようにすることができる。一実施形態として、ハッチングステップでは、光学系320のガルバノメーター321a、321bを制御し、速い速度でレーザービームLの照射位置を制御することにより、迅速に実施することができる。
【0088】
トリミングステップでは、
図6のXY平面視において、レーザービームLを薄膜TFのエッジに沿って照射し、薄膜TFのエッジが被加工物Wの上面から分離されるようにすることができる。
【0089】
一実施形態として、ハッチングステップを実施した後、トリミングステップを実施することができる。すなわち、ハッチングステップでは、薄膜TFのエッジが被加工物Wの上面に付着された状態でもある。それによって、ハッチングステップ中に、薄膜TFのエッジが浮き上がることを防止し、薄膜TFをより精密に分離することができる。
【0090】
次いで、分離された薄膜TFをフィルム除去ユニット400で被加工物Wの上面から離脱させる。一実施形態として、フィルム除去ユニット400の第2ローラ410を保護フィルムPFの上面に接触させる。第2ローラ410は、ローラの外周面に所定の接着部材が配置されているので、第2ローラ410を既定の方向に移動させることにより、保護フィルムPFを同一な方向に移動させることができる。
【0091】
ここで、薄膜TFは、被加工物Wの上面から分離された状態であるが、保護フィルムPFと付着された状態である。したがって、第2ローラ410を保護フィルムPFのエッジに付着させた状態で上方に持ち上げ、保護フィルムPFと薄膜TFを一体に持ち上げることができる。
【0092】
次いで、フィルム除去ユニット400のグリッパー420で薄膜TFを被加工物Wの上面から離脱させる。グリッパー420は、第2ローラ410によって持ち上げられた保護フィルムPFの端部を把持することができ、グリッパー420を既定の方向に移動させることにより、保護フィルムPFと薄膜TFを一体に被加工物Wの上面から離脱させることができる。
【0093】
一実施形態として、検査ユニット500で被加工物Wの位置を検出するステップをさらに含んでもよい。より具体的には、被加工物Wの上面に配置された薄膜TF上に保護フィルムPFを付着する前に、検査ユニット500の前記ビジョンカメラを利用して、被加工物Wの映像を撮像することができる。
【0094】
次いで、検査ユニット500は、撮像された映像に基づいて、被加工物Wの位置についての情報を算出することができる。
【0095】
また、検査ユニット500が、被加工物Wの位置情報を、フィルム付着ユニット200、レーザー加工ユニット300及びフィルム除去ユニット400のうち少なくともいずれか1つに伝達するステップをさらに含んでもよい。
【0096】
それによって、保護フィルムPFを付着するステップで、フィルム付着ユニット200は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、保護フィルムPFを薄膜TF上に位置させることができる。
【0097】
また、薄膜TFを分離するステップで、レーザー加工ユニット300は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、レーザー発振器310及び光学系320を制御することにより、レーザー加工を行うことができる。
【0098】
また、薄膜TFを離脱させるステップで、フィルム除去ユニット400は、伝達された被加工物Wの位置情報に基づいて、薄膜TFを被加工物Wの上面から離脱させることができる。
【0099】
一実施形態として、検査ユニット500で被加工領域を検査するステップをさらに含んでもよい。より具体的には、フィルム除去ユニット400で薄膜TFを除去した後、検査ユニット500で、薄膜TFが除去された被加工物Wの上面を撮像することができる。検査ユニット500は、撮像された映像に基づいて、被加工物Wの上面の汚染状態、あるいは薄膜TFが除去されたか否かなどを判断することができる。
【0100】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置10及び薄膜除去方法は、汚染されるか、または不良な被加工物Wの上面に配置された薄膜TF上に保護フィルムPFを付着し、保護フィルムPFを透過するレーザービームLを照射し、被加工物Wの上面から、薄膜TFと保護フィルムPFを一体に離脱させることができ、レーザーの照射によって発生する異物により被加工物Wが二次汚染されることを防止することができる。
【0101】
本発明の一実施形態による薄膜除去装置10及び薄膜除去方法は、薄膜TFと保護フィルムPFとが付着された状態で工程を進めることにより、他の被加工物Wが二次汚染されることを確実に防止することができる。
【0102】
本明細書においては、本発明を、限定された実施形態を中心に説明したが、本発明の範囲内で様々な実施形態が可能である。また、述べられていないが、均等な手段も本発明にそのまま結合されるといえるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって決まらなければならない。