(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】歩行評価システムおよび歩行評価方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20221118BHJP
【FI】
A61B5/11 230
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021154659
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】胡 紀平
(72)【発明者】
【氏名】林 耿▲スン▼
(72)【発明者】
【氏名】楊茆 世芳
(72)【発明者】
【氏名】李 彬州
(72)【発明者】
【氏名】巫 建宏
(72)【発明者】
【氏名】李 思儒
(72)【発明者】
【氏名】卓 ▲フイ▼瑜
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ユウ▼璋
(72)【発明者】
【氏名】盧 ▲イェン▼年
(72)【発明者】
【氏名】許 峻翔
(72)【発明者】
【氏名】李 念亞
(72)【発明者】
【氏名】何 冠廷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 明杰
(72)【発明者】
【氏名】▲フアン▼ 清▲ユウ▼
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121930(JP,A)
【文献】特表2021-520281(JP,A)
【文献】特表2020-520774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行評価装置を含む歩行評価システムに適合した歩行評価方法であって、前記歩行評価方法は、
前記歩行評価装置によって、圧力検出装置上を歩いている使用者の複数のステップに対応する複数の圧力値を前記圧力検出装置から取得するステップと、
前記歩行評価装置によって、前記圧力値に基づいて、前記使用者の複数のステップ特徴値を取得するステップと、
前記歩行評価装置によって、前記使用者が前記圧力検出装置上を歩いているときに、少なくとも1つの肢感知装置により提供される感知データに基づいて、複数の歩行肢特徴値を取得するステップと、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行を評価するステップと、
を含
み、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行を評価する前記ステップは、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が正常歩行に属するか異常歩行に属するかを評価するステップを含み、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が前記正常歩行に属するか前記異常歩行に属するかを評価する前記ステップは、
前記使用者のY個の前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値が対応する第1の統計的標準を満たさないとの決定に応答して、前記使用者の歩行は前記異常歩行に属すると決定するステップを含み、ここでYは指定の数であり、
前記使用者は特定のグループに属し、前記方法は、
前記特定のグループの複数のグループメンバーの複数のリファレンスステップ特徴値および複数のリファレンス歩行肢特徴値を取得し、それに応じて、各前記ステップ特徴値および各前記歩行肢特徴値の前記第1の統計的標準を推定するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記異常歩行は、非神経障害性歩行または神経障害性歩行を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用者の歩行が前記非神経障害性歩行または前記神経障害性歩行に属するとの決定に応答して、実施可能な提案が提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記使用者の歩行が前記非神経障害性歩行に属するとの決定に応答して、前記実施可能な提案として、前記非神経障害性歩行に対応する筋力トレーニングの提案が提供される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記使用者の歩行が前記神経障害性歩行に属するとの決定に応答して、前記実施可能な提案として、前記神経障害性歩行に対応するリズム歩行訓練の提案が提供される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が前記正常歩行に属するか前記異常歩行に属するかを評価する前記ステップは、
前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値からN個の特定の値を選択し、前記N個の特定の値を前記N個の特定の値に対応するK個のリファレンスベースに従って複数のマップ値にマッピングするステップを含み、ここで、NおよびKは正の整数であり、前記複数のマップ値の各々は所定の範囲内にあり、さらに、
前記複数のマップ値に対して重み付け処理を実行して、重み付け処理の結果を取得するステップ、および、
前記重み付け処理の結果が第2の統計的標準を満たさないとの決定に応じて、前記使用者の歩行は前記異常歩行に属していると決定するステップ、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記特定の値は第1の特定の値を含み、前記方法は、
前記第1の特定の値に対応するリファレンス平均およびリファレンス差係数を取得し、それに応じて、前記第1の特定の値に対応する前記リファレンスベースを推定するステップを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記使用者が特定のグループに属し、前記特定のグループが複数のグループメンバーを含み、前記複数のグループメンバーの各々が、複数のリファレンスステップ特徴値および複数のリファレンス歩行肢特徴値を有し、前記方法は、
前記複数のグループメンバーの各々の前記リファレンスステップ特徴値および前記リファレンス歩行肢特徴値から前記第1の特定の値に対応する第1のリファレンス値を見つけるステップと、
前記複数のグループメンバーの各々の前記第1のリファレンス値の平均および標準偏差を取得し、前記平均および前記標準偏差をそれぞれ前記第1の特定の値の前記リファレンス平均と前記リファレンス差係数として定義するステップと、
を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記マップ値は、前記第1の特定の値に対応する第1のマップ値を含み、前記リファレンス平均は、Mとして表され、前記リファレンス差係数は、Sとして表され、前記第1の特定の値に対応する前記リファレンスベースはM +iSとして表され、ここで、iは整数、i∈ [ -a, …, + a ]、aは正の整数であり、前記方法は、
前記第1の特定の値が前記リファレンスベースのj番目のリファレンスベースとj + 1番目のリファレンスベースの間にあるとの決定に応答して、前記第1のマップ値はj+1+bであると決定するステップと、ここで、1≦j≦K-1、bは定数であり、
前記第1の特定の値が前記リファレンスベースの第1のリファレンスベースよりも小さいとの決定に応答して、前記第1のマップ値は1+bであると決定するステップと、
前記第1の特定の値が前記リファレンスベースのK番目のリファレンスベースより大きいとの決定に応答して、前記第1のマップ値はK+1+bであると決定するステップと、
を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記使用者が特定のグループに属し、前記特定のグループが複数のグループメンバーを含み、前記複数のグループメンバーの各々が、複数のリファレンスステップ特徴値および複数のリファレンス歩行肢特徴値を有し、前記方法は、
前記複数のグループメンバーの各々の前記リファレンスステップ特徴値および前記リファレンス歩行
肢特徴値から前記特定の値に対応するN個のリファレンス値を取得するステップと、
前記特定の値の各々に対応する前記リファレンスベースに従って、複数のグループメンバーの各々の前記リファレンス値を複数のリファレンスマップ値にマッピングするステップと、ここで、
複数のリファレンスマップ値の各々は前記所定の範囲内にあり
、
前記複数のグループメンバーの各々の前記リファレンスマップ値に対して前記重み付け処理を実行して、前記複数のグループメンバーの各々のリファレンス重み付け処理の結果を生成するステップと、
前記複数のグループメンバーの各々の前記リファレンス重み付け演算の結果に基づいて、前記第2の統計的標準を決定するステップと、
を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値がストライドツーストライド変動を含み、前記方法は、
前記使用者の歩行が異常な歩行に属し且つ前記ストライドツーストライド変動が第3の統計的標準を満たしているとの決定に応答して、前記使用者の歩行は神経障害性歩行に属していると決定するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記使用者が特定のグループに属し、前記特定のグループが複数のグループメンバーを含み、前記複数のグループメンバーの各々が対応する前記ストライドツーストライド変動を含み、前記方法は、
前記複数のグループメンバーの各々の前記ストライドツーストライド変動に基づいて、前記第3の統計的標準を決定するステップを含む、請求項1
1に記載の方法。
【請求項13】
圧力検出装置と、
少なくとも1つの肢感知装置と、
歩行評価装置と、
を備え、前記歩行評価装置は、
前記圧力検出装置から、前記圧力検出装置上を歩いている使用者の複数のステップに対応する使用者の複数の圧力値を取得し、
前記複数の圧力値に基づいて、前記使用者の複数のステップ特徴値を取得し、
前記使用者が前記圧力検出装置上を歩いているときに、前記少なくとも1つの肢感知装置によって提供される感知データに基づいて、複数の歩行肢特徴値を取得し、
前記ステップ特徴値と前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行を評価するように構成されて
おり、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値と前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行を評価することは、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値と前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が正常歩行に属するか異常歩行に属するかを評価することを含み、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値と前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が前記正常歩行に属するか前記異常歩行に属するかを評価することは、
前記使用者のY個の前記ステップ特徴値と前記歩行肢特徴値が対応する第1の統計的標準を満たさないとの決定に応答して、前記使用者の歩行は前記異常歩行に属すると決定することを含み、ここでYは指定の数であり、
前記使用者は特定のグループに属し、前記歩行評価装置は、
前記特定のグループの複数のグループメンバーの複数のリファレンスステップ特徴値および複数のリファレンス歩行肢特徴値を取得し、それに応じて、各前記ステップ特徴値および各前記歩行肢特徴値の前記第1の統計的標準を推定することを含む、歩行評価システム。
【請求項14】
前記圧力検出装置は、前記使用者の足に装着された圧力検出インソールを含み、前記圧力検出インソールが、前記使用者の前記ステップの前記圧力値を検出するものである、または、
前記圧力検出装置は、複数の圧力検出器が分散された圧力検出マットを含み、前記圧力検出マットが、前記圧力検出器を介して前記使用者の前記ステップの前記圧力値を検出するものである、請求項1
3に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの肢感知装置が、前記使用者にまたは少なくとも1つのビデオカメラに装着された複数のダイナミックキャプチャ素子を含む、請求項1
3に記載のシステム。
【請求項16】
歩行評価装置を含む歩行評価システムに適合した歩行評価方法であって、前記歩行評価方法は、
前記歩行評価装置によって、圧力検出装置上を歩いている使用者の複数のステップに対応する複数の圧力値を前記圧力検出装置から取得するステップと、
前記歩行評価装置によって、前記圧力値に基づいて、前記使用者の複数のステップ特徴値を取得するステップと、
前記歩行評価装置によって、前記使用者が前記圧力検出装置上を歩いているときに、少なくとも1つの肢感知装置により提供される感知データに基づいて、複数の歩行肢特徴値を取得するステップと、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行を評価するステップと、
を含
み、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行を評価する前記ステップは、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が正常歩行に属するか異常歩行に属するかを評価するステップを含み、
前記歩行評価装置によって、前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に基づいて、前記使用者の歩行が前記正常歩行に属するか前記異常歩行に属するかを評価する前記ステップは、
前記使用者のY個の前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値が対応する第1の統計的標準を満たさないとの決定に応答して、前記使用者の歩行は前記異常歩行に属すると決定するステップを含み、ここでYは指定の数であり、
前記方法は、
前記使用者の複数の過去のステップ特徴値および複数の過去の歩行肢特徴値を取得するステップをさらに含み、ここで、前記過去のステップ特徴値および前記過去の歩行肢特徴値は、前記使用者の前記ステップ特徴値および前記歩行肢特徴値に対応し、
前記過去のステップ特徴値の各々と前記過去の歩行肢特徴値の各々の特定の比率に基づいて、前記ステップ特徴値の各々および前記歩行肢特徴値の各々の前記第1の統計的標準を決定するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体評価技術、特に歩行評価方法および歩行評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
出生率の低下および/または平均余命の増加とともに、世界の多くの国が(超)高齢化社会に突入している。高齢者の介護問題の中でも、高齢者の転倒をどのように防ぐかが重要な課題となっている。
【0003】
調査の結果、現在、人々の歩行における歩行関連パラメータを使用して、将来の転倒を予測することができることが知られている。たとえば、特定の人の正規化された歩幅を使用して、次の6か月または12か月の間にその人が繰り返し転倒することが起こるかを予測することができる。その上、比較的ゆっくり歩く人は死亡率も高い。また、加齢とともに胴体の前傾角も徐々に大きくなり得る。さらに、神経疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病など)に苦しんでいる人の場合、胴体の角度が前にも横にも傾き得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当業者にとって、人々の歩行が正常であるかどうかを決定するために人々の歩行を分析することができるメカニズムを設計することができれば、それは人々の健康状態の把握を容易にし、したがって転倒防止効果を達成することができるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明は、上記の技術的課題を解決するために使用し得る歩行評価方法および歩行評価システムを提供する。
【0006】
本発明は、歩行評価方法を提供する。本歩行評価方法は以下のとおりである。
【0007】
本発明は、歩行評価システムを提供する。本歩行評価システムは、歩行評価装置を含み、該歩行評価装置は、圧力検出装置から、圧力検出装置上を歩いている使用者の複数の圧力値を取得し、取得した圧力値に基づいて、使用者の複数のステップ特徴値を取得するとともに、使用者が圧力検出装置上を歩くときに肢感知装置によって提供される感知データに基づいて、複数の歩行肢特徴値を取得し、ステップ特徴値と歩行肢特徴値に基づいて使用者の歩行を評価するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
したがって、本発明では、使用者が少し歩いた後、使用者の健康状態を把握することができ、関連介護者が使用者の健康状態に応じて対応処置を講じることができ、よって使用者の転倒防止効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による歩行評価システムを示す概略図である。
【
図2A】本発明の第1の実施形態による歩行評価システムを示す概略図である。
【
図2B】
図2Aによる別の歩行評価システムを示す概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による統合骨格図のスクリーニングを示す概略図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による圧力検出装置を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による歩行評価方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態による複数のステップ特徴値を示す概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、第1の特定の値を決定するための複数のリファレンスベースを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照するに、
図1は、本発明の一実施形態による歩行評価システムを示す概略図である。
図1において、歩行評価システム100は、歩行評価装置110と、圧力検出装置120と、肢感知装置131~13Z(ここで、Zは正の整数)とを含み得る。異なる実施形態では、歩行評価装置110は、例えば、様々なコンピュータデバイスおよび/またはスマートデバイスであるが、これらに限定されない。
【0011】
図1に示されるように、歩行評価装置110は、記憶回路112およびプロセッサ114を含み得る。記憶回路112は、例えば、任意の形態の固定またはモバイルランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または他の同様のデバイス、またはこれらのデバイスの組み合わせであり、複数のプログラミングコードまたはモジュールを記録するために使用することができる。
【0012】
プロセッサ114は、記憶回路112に結合され、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、通常のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサコアと組み合わされた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、その他のタイプの集積回路、ステートマシン、Advanced RISC Machine(ARM)に基づくプロセッサ、等であり得る。
【0013】
異なる実施形態では、圧力検出装置120は、複数の圧力検出器を含む圧力検出マットとして具体化することができ、その上を歩く使用者(例えば、歩行評価対象者)に対して、使用者のステップ毎に圧力検出装置120に加えられる圧力の分布/値を検出するために使用することもできる。
【0014】
いくつかの実施形態では、肢感知装置132~13Zはそれぞれ、圧力検出デバイス120の上を歩いている使用者の歩行画像をキャプチャするためのビデオカメラとして具体化することができる。
【0015】
図2Aは、本発明の第1の実施形態による歩行評価システムを示す概略図である。
図2Aでは、圧力検出装置120は、圧力検出マットとして具体化され、使用者199は、要求に応じて、圧力検出装置120の上を歩行方向D1へ歩くことができる。
【0016】
一実施形態では、圧力検出装置120は、1次元分布を示す複数の圧力検出器120aを含み得る。別の実施形態では、圧力検出装置120は、2次元分布を示す複数の圧力検出器120bも含み得る。それにもかかわらず、本発明はこれに限定されない。いくつかの実施形態では、圧力検出マットの長さは3メートル以上としてもよく、幅は0.4メートル以上としてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、圧力検出マットは、50cm2(またはそれ以下)あたり1つの圧力検出器120a(または1つの圧力検出器120b)を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、圧力検出マットはまた、6.25cm2あたり1つの圧力検出器120a(または1つの圧力検出器120b)を備えてもよいが、これに限定されない。
【0017】
第1の実施形態では、使用者199が圧力検出装置120の上を歩くとき、圧力検出装置120上に分布された圧力検出器が、使用者199のステップに対応する複数の圧力値PVを検出することができる。圧力検出装置120は、歩行評価装置110によるさらなる分析のために、歩行評価装置110に圧力値PVを提供することができる。
【0018】
第1の実施形態では、肢感知装置131および132は、それぞれ、第1のビデオカメラおよび第2のビデオカメラとして具体化され得る。第1のビデオカメラは、使用者199が圧力検出装置120上を歩くときに、第1の歩行画像IM1をキャプチャするために使用することができ、第2のビデオカメラは、使用者199が圧力検出装置120上を歩くときに、第2の歩行画像IM2をキャプチャするために使用することができる。
【0019】
図2Aに示されるように、肢感知装置131(すなわち、第1のビデオカメラ)の撮像方向は、使用者199の歩行方向D1と反対であり、それにより、歩行時の使用者199の正面画像をキャプチャすることができる。さらに、肢感知装置132(すなわち、第2のビデオカメラ)の撮像方向は、使用者199の歩行方向D1に直角であり、それにより、歩行時の使用者199の側面画像(例えば、右側からの画像)をキャプチャすることができる。
【0020】
第1の実施形態では、第1のビデオカメラおよび第2のビデオカメラによって第t時点(ここで、tは時間指標値)で得られた第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2について、歩行評価装置110は、第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2において、それぞれ第1の骨格
図210および第2の骨格
図220を取得することができる。本発明の実施形態では、歩行評価装置110は、任意の既知の画像処理アルゴリズム、例えば、限定はされないが、文献資料「Z. Cao, G. Hidalgo, T. Simon, S. -E. Wei and Y. Sheikh, Open Pose: Realtime Multi-Person 2D Pose Evaluation Using Part Affinity Fields, IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, vol. 43、no. 1, pp. 172-186, 1 Jan. 2021」に基づいて、第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2においてそれぞれ第1の骨格
図210および第2の骨格
図220を取得することができる。
【0021】
第1の実施形態では、第1の骨格
図210および第2の骨格
図220は、例えば、第t時点での使用者199の人体姿勢に対応し、それぞれ使用者199の複数の関節に対応する複数の基準点(例えば、使用者199の手首の基準点210a)を含み得る。
【0022】
一実施形態では、歩行評価装置110は、第1のビデオカメラと第2のビデオカメラとの間の相対位置に基づいて、第1の骨格
図210と第2の骨格
図220を第1の統合骨格図に投影することができる。関連する投影技術については、文献資料「Z. Cao, G. Hidalgo, T. Simon, S. -E. Wei and Y. Sheikh, Open Pose: Realtime Multi-Person 2D Pose Evaluation Using Part Affinity Fields, IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, vol. 43, no. 1, pp. 172-186, 1 Jan. 2021」を参照することができる。
【0023】
一実施形態では、第1の統合された骨格図は、第t時点における複数の関節角度(例えば、首角度、肩角度、肘角度、手首角度、股関節角度、膝角度、足首角度など)を含み得る。関節角度は、使用者199の関節(例えば、首、肩、肘、手首、腰、膝、足首など)に対応する。その後、歩行評価装置110は、複数の関節角度の複数の角度値を取得し、それらの角度値を、第t時点における使用者199の複数の歩行肢特徴値として取得することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の骨格
図210、第2の骨格
図220、および/または第1の統合骨格図を得た後、歩行評価装置110は、例えば、中央値フィルタまたは他の同様のノイズリダクション技術に基づいて骨格図から外れ値を除去し、次いで高速フーリエ変換(FFT)を使用して骨格図から高周波数変動を除去することができる。その後、歩行評価装置110は、ポリフィッティングによって、異なる時点での骨格図間の動きを滑らかにすることもできる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0025】
図2Bを参照するに、
図2Bは
図2Aによる別の歩行評価システムを示す概略図である。
図2Bでは、肢感知装置131および132の撮像方向が
図2Aの撮像方向とは異なることを除いて、残りの構成は
図2Aの構成とほぼ同じである。
【0026】
具体的には、
図2Bでは、使用者199の前方両側から、肢感知装置131(すなわち、第1のビデオカメラ)および肢感知装置132(すなわち、第2のビデオカメラ)が、それぞれ、使用者199が圧力検出装置120上を歩行方向D1に沿って歩いているとき、使用者199の第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2をキャプチャすることができる。その後、歩行評価装置110が、第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2からそれぞれ第1の骨格
図210および第2の骨格
図220を取得し、第1の骨格
図210および第2の骨格
図220を前述の教えに基づいて第1の統合骨格図に投影することもできる。
【0027】
一実施形態では、使用者199以外の人体が第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2に存在する場合、歩行評価装置110が、使用者199に対応する統合骨格図を正しく取得することができない場合がある。したがって、本発明の実施形態では、使用者199以外の人体は、特定のメカニズムによって排除することができ、それにより歩行評価の精度を高めることができる。
【0028】
一実施形態では、第1の統合骨格図を取得した後、歩行評価装置110は、第1の統合骨格図が特定の条件を満たすかどうかをさらに決定することができる。そうでれば、歩行評価装置110は、次に、関節角度の角度値を取得し、その角度値を第t時点での使用者199の歩行肢特徴値として取ることができる。
【0029】
一実施形態では、歩行評価装置110は、第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2が、他の人体に対応する骨格図を含まないかどうかを決定することができる。そうである場合、これは、第1の骨格
図210および第2の骨格
図220が、現在歩行評価が実行されるべき人体(すなわち、使用者199)に対応することを意味する。したがって、歩行評価装置110は、これに対応して、第1の統合骨格図が指定された条件を満たすと決定することができる。そうでない場合、これは、他の人体に対応する骨格図が、第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2に存在することを意味する。したがって、歩行評価装置110は、使用者199に実際に対応する統合骨格図を見つけるために、さらなるスクリーニングを実行することができる。関連する詳細を
図3とともにさらに説明する。
【0030】
図3を参照するに、
図3は、本発明の第1の実施形態による統合骨格図のスクリーニングを示す概略図である。この実施形態では、第t時点で得られた第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2は、
図3に示す通りであると仮定する。
【0031】
【0032】
【0033】
次に、歩行評価装置110は、第1の統合骨格
図352の第1の投影誤差および第2の統合骨格
図354の第2の投影誤差を取得し、第1の投影誤差が第2の投影誤差よりも小さいかどうかを判断することができる。
【0034】
図3のシナリオでは、第1の投影誤差が第2の投影誤差よりも小さいと決定されると仮定すると、歩行評価装置110は、第1の統合骨格
図352が指定された条件を満たすと決定し、第1の統合骨格
図352の関節角度の角度値を取得することができる。その後、歩行評価装置110は、その角度値を、第t時点での使用者199の歩行肢特徴値として取ることができる。
【0035】
他の実施形態では、第1の投影誤差が第2の投影誤差以上であるとの決定に応答し、第1の統合骨格
図352は歩行評価が実行されるべき人体に対応しないことを意味する。したがって、歩行評価装置110は、第1の統合骨格
図352が指定された条件を満たさないと決定することができる。その後、歩行評価装置110は、第2の統合骨格
図354に基づいて、第t時点での使用者199の歩行肢特徴値を取得することができる。
【0036】
したがって、第1の実施形態の歩行評価システム100が、歩行検出専用ではない一般的な場所に配置されている場合でも、本発明の実施形態では、他の無関係な人体を除外した後で、歩行評価実行対象を依然として評価することができる。したがって、対象が評価されていることに気付かずに対象を評価することができるという効果を達成することができる。
【0037】
他の実施形態では、
図2Aおよび
図2Bの歩行評価システム100は、異なる角度から使用者199の画像をキャプチャするために、もっと多くのビデオカメラを含むことができる。この場合、歩行評価装置110は、それに応じて、より正確な統合骨格図を取得することができるが、これに限定されない。
【0038】
図4を参照するに、
図4は、本発明の第2の実施形態による圧力検出装置を示す概略図である。
図4では、圧力検出装置120は、複数の圧力検出器を含む圧力検出インソールとして具体化することができる。一実施形態では、圧力検出装置120は、使用者199が履いて歩くための使用者199の靴に配置することができる。この場合、圧力検出インソールは、使用者199の各ステップの圧力値PVを検出することができる。使用者199が歩くとき、各ステップに対応する圧力値PVを歩行評価装置110に提供することができる。第2の実施形態では、関連する測定手段に関しては、文献資料「S.J. M. Bamberg, A. Y. Benbasat, D. M. Scarborough, D. E. Krebs, J. A. Paradiso, ”Gait Analysis Using Shoe-Integrated Wireless Sensor System”, in IEEE Transactions on Information Technology in Biomedicine, vol. 12, no. 4, pp. 413-423, July 2008」の内容を参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0039】
第3の実施形態では、肢感知装置131~13Zも、使用者199に装着し得る複数のダイナミックキャプチャ素子(例えば、慣性測定ユニット)として具体化することができる。ダイナミックキャプチャ素子は、関節の動きをキャプチャするために使用者199の関節(例えば、首、肩、肘、手首、腰、膝、足首など)に分布することができる。
【0040】
例えば、歩行評価装置110は、第t時点においてダイナミックキャプチャ素子の複数の三次元空間位置を取得することができ、したがって、第t時点のダイナミックキャプチャ素子の空間分布図を確立することができる。第t時点の空間分布図は、ダイナミックキャプチャ素子に対応する複数の基準点を含み得る。
【0041】
その後、使用者199の関節間の相対位置に応じて、歩行評価装置110は、空間分布図の基準点を接続して骨格図にすることができる(これは、
図3の第1の統合骨格
図352と同様のアスペクトを有し得る)。骨格図は、第t時点の関節の関節角度を含み得る。この場合には、歩行評価装置110は、関節角度の角度値を取得し、その角度値を、第t時点の使用者199の歩行肢特徴値とすることができる。
【0042】
第3の実施形態では、動態捕捉要素による検出の詳細については、文献資料「Schlachetzki JCM, Barth J, Marxreiter F, Gossler J, Kohl Z, Reinfelder S, Gassner H, Aminian K, Eskofier BM, Winkler J, Klucken J. “Wearable sensors objectively measure gait parameters in Parkinson’s disease”, PLoS One. 2017 Oct 11」および「Qilong Yuan, I. Chen and Ang Wei Sin, “Method to calibrate the skeleton model using orientation sensors,” 2013 IEEE International Conference on Robotics and Automation, 2013」の内容を参照することができ、ここでは繰り替し説明しない。
【0043】
一実施形態では、使用者199の各関節は、対応する運動角度範囲で事前に決定され得る。 第t時点で使用者199の骨格図を取得した後、歩行評価装置110は、骨格図の任意の関節角度の角度値が対応する運動角度範囲内にないかどうかを決定することができる。そうである場合、これは、現在の骨格図に検出エラーが含まれている可能性があることを意味し、したがって、歩行評価デバイス110は、それに応じて、第t時点の骨格図を破棄し得る。
【0044】
例えば、肘関節に対応する可動域が30度から180度であると仮定する。この場合、歩行評価装置110が第t時点の骨格図における肘の関節角度が30度未満または180度を超えると決定した場合、歩行評価装置110は、それに応じて第t時点の骨格図を廃棄することができる。
【0045】
本発明の実施形態では、プロセッサ114は、記憶回路112に記録されたモジュールおよびプログラミングコードにアクセスして、本発明によって提供される歩行評価方法を実行することができ、この方法について以下に詳細に説明する。
【0046】
図5を参照するに、
図5は本発明の一実施形態による歩行評価方法を示すフローチャートである。この実施形態の方法は、
図1の歩行評価システム100によって実行することができる。
図1の要素とともに
図5の各ステップを以下で詳細に説明する。
【0047】
最初に、ステップS510において、プロセッサ114は、圧力検出装置120から、圧力検出装置120の上を歩く使用者199の複数の圧力値PVを取得することができる。異なる実施形態において、プロセッサ114は圧力値PVを上記の実施形態の説明に準拠して取得することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0048】
ステップS520において、プロセッサ114は、圧力値PVに基づいて、使用者199の複数のステップ特徴値を取得することができる。異なる実施形態では、圧力値PVに基づいて、プロセッサ114は、ステップ特徴値として、使用者199の歩行速度、ステップ長、ストライド長、ケイデンス、ステップ幅、歩行サイクル、立脚時間、スイング時間、圧力中心、移動軌道、両脚支持時間、および足圧分布のうちの少なくとも1つを取得することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、プロセッサ114はまた、圧力値PVに基づいて、使用者199のストライドツースライド変動を取得することができる。ストライドツースライド変動には、スイング時間変動、両脚支持時間変動、ステップ長時間変動、およびストライド長時間変動のうちの少なくとも1つが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態では、使用者199は、要求に応じて、圧力検出デバイス120上でタイムアップアンドゴーテスト(TUG)を実行することができる。この場合、圧力値PVに基づいて、プロセッサ114はまた、タイムアップアンドゴーテストにおいて、ステップ機能値の一部として、使用者199の起床時間、ターン時間、着座時間、歩行速度、歩行時間、および総行動時間のうちの少なくとも1つを取得することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0051】
図6を参照すると、
図6は本発明の一実施形態による複数のステップ特徴値を示す概略図である。
図6は、ステップ長、ストライド長、ステップ幅などの用語の違いを示している。ステップ特徴値の更なる詳細については、文献資料「Pirker W, Katzenschlager R. “Gait disorders in adults and the elderly”. A clinical guide. Wien Klin Wochenschr. 2017; 129 (3-4): 81-95. doi: 10.1007/s00508-016-1096-4」および「Bohannon RW, Williams Andrews A. “Normal walking speed: a descriptive meta-analysis”. Physiotherapy. 2011」を参照することができ、ここでは繰り替し説明しない。
【0052】
さらに、圧力値PVに基づくステップ特徴値の取得の詳細については、文献資料「Yoo SD, Kim HS, Lee JH, Yun DH, Kim DH, Chon J, Lee SA, Han YJ, Soh YS, Kim Y, Han S, Lee W, Han YR. “Biomechanical Parameters in Plantar Fasciitis Measured by Gait Analysis System With Pressure Sensor”. Annals of Rehabilitation Medicine, 2017 Dec」および「Greene BR, O’Donovan A, Romero-Ortuno R, Cogan L, Scanaill CN, Kenny RA. “Quantitative falls risk assessment using the timed up and go test”. IEEE Trans BiomedEng. 2010」を参照することができ、ここでは繰り替し説明しない。
【0053】
ステップS530において、肢感知装置131~13Zによって提供される感知データに基づいて、プロセッサ114は、使用者199が圧力検出装置の上を歩くとき、複数の歩行肢の特徴値を取得することができる。異なる実施形態では、プロセッサ114は、上記の実施形態の説明に準拠して、肢感知装置131~13Zによって提供される感知データ(例えば、第1の歩行画像IM1および第2の歩行画像IM2)に基づいて、歩行肢の特徴値(例えば、使用者199の複数の関節角度の複数の角度値)を取得することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0054】
次に、ステップS540において、プロセッサ114は、ステップ特徴値と歩行肢特徴値に基づいて、使用者199の歩行を評価することができる。異なる実施形態では、プロセッサ114は、異なる方法に基づいて使用者199の歩行を評価することができ、以下でさらに説明する。
【0055】
第4の実施形態では、プロセッサ114は、使用者199のステップ特徴値および歩行肢特徴値が、対応する第1の統計的標準を満たさないかどうかを決定することができる。使用者199のY個(Yは指定の数)のステップ特徴値および歩行肢特徴値が対応する第1の統計的標準を満たさないという決定に応答して、プロセッサ114は、使用者199の歩行は異常な歩行に属すると決定することができ、反対の場合、プロセッサ114は、使用者199の歩行は正常な歩行に属すると決定することができる。
【0056】
異なる実施形態では、ステップ特徴値および歩行肢特徴値に対応する第1の統計的標準は、異なる方法で決定することができる。
【0057】
例えば、60歳代の男性の平均歩行速度は、統計的に1.34m/秒である。したがって、使用者199が60~69歳の男性である場合、歩行速度に対応する第1の統計的標準は1.34m/秒に設定することができる。また、健康な高齢者の平均歩行速度は統計的に1.1m/秒から1.5m/秒であるため、使用者199が高齢者である場合、歩行速度に対応する第1の統計的標準は1.1m/秒に設定することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0058】
一実施形態では、一般人の標準ストライド長は平均して約76~92cmであり、したがって、使用者199のストライド長に対応する第1の統計的標準は、76cmに設定することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0059】
上記の教示と同様の概念に基づいて、プロセッサ114は、同様に、ステップ特徴値および歩行肢特徴値、例えば、ケイデンス、TUG時間、胴体傾斜角度、ストライドツースライド変動、ヒールストライク角度、およびトーオフ角度に対応する第1の統計的標準を、例えば、関連する文献資料/統計データ(例えば、「Gong H, Sun L, Yang R, Pang J, Chen B, Qi R, Gu X, Zhang Y, Zhang TM. “Changes of upright body posture in the sagittal plane of men and women occurring with aging - a cross sectional study”. BMC Geriatr. 2019 Mar 5」、「Oeda T, Umemura A, Tomita S, Hayashi R, Kohsaka M, Sawada H. “Clinical factors associated with abnormal postures in Parkinson’s disease”. PLoS One. 2013 Sep 19」および「Schlachetzki JCM, Barth J, Marxreiter F, Gossler J, Kohl Z, Reinfelder S, Gassner H, Aminian K, Eskofier BM, Winkler J, Klucken J. “Wearable sensors objectively measure gait parameters in Parkinson’s disease”. PLoS One. 2017 Oct 11」の内容)に基づいて、決定することもできる。
【0060】
例えば、ケイデンスに対応する第1の統計的標準は、1.2回/秒にすることができ、TUG時間に対応する第1の統計的標準は、20秒未満にすることができる。また、胴体傾斜角の第1の統計的標準は、例えば、前後/左右の全傾斜角の二乗和の平方根が10度未満でなければならない。ストライドツーストライド変動の第1の統計的標準は、たとえば、ステップ長の時間変動が4%未満、スイング時間の変動が5%未満、ダブルサポート時間の変動が8%未満、ストライド長時間変動が4%未満でなければならない、などである。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0061】
その上、例えば、ヒールストライク角度の第1の統計的標準は、20度より大きくなければならず、トウオフ角度の第1の統計的標準は、例えば、55度より大きくなければならない。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0062】
一実施形態では、使用者199が複数のグループメンバーを含む特定のグループに属する場合、プロセッサ114はまた、特定のグループの特性に基づいて、各ステップ特徴値および各歩行肢特徴値に対応する第1の統計的標準を決定することができる。
【0063】
例えば、プロセッサ114は、特定のグループのグループメンバーの複数のリファレンスステップ特徴値および複数のリファレンス歩行肢特徴値を取得し、それに応じて各ステップ特徴値および各歩行肢特徴値の第1の統計的標準を推定することができる。いくつかの実施形態では、各グループメンバーの参照ステップ特徴値および参照歩行肢特徴値は、使用者Aのステップ特徴値および歩行肢特徴値に対応し得る。
【0064】
例えば、ストライド長に対応する第1の統計的標準を取得する場合、プロセッサ114は、各グループメンバーのストライド長を取得し、次に、グループメンバーのストライド長の最初の90%をスライド長の第1の統計的標準として取得することができる。この場合、使用者199のストライド長が特定のグループの最後の10%内にあるとき、プロセッサ114は、使用者199のストライド長は対応する第1の統計的標準を満たさないと決定することができる。他のステップ特徴値および他の歩行肢特徴値について、プロセッサ114は、同様の原理に基づいて対応する第1の統計的標準を決定することができ、その詳細はここでは繰り替し説明しない。
【0065】
一実施形態では、プロセッサ114はまた、使用者199の予め測定された過去のステップ特徴値および過去の歩行肢特徴値に基づいて、各ステップ特徴値および各歩行肢特徴値に対応する第1の統計的標準を決定することもできる。
【0066】
一実施形態では、プロセッサ114は、前の試験で測定された使用者199のステップ特徴値および歩行肢特徴値を、使用者199の過去のステップ特徴値および過去の歩行肢特徴値として取得することができる。その後、プロセッサ114は、各過去のステップ特徴値および各過去の歩行肢特徴値の特定の比率に基づいて、使用者199の各ステップ特徴値および各歩行肢特徴値の第1の統計的標準を決定することができる。
【0067】
例えば、使用者199のストライド長の第1の統計的標準を決定するとき、プロセッサ114は、使用者199の予め測定されたストライド長(以下、過去のストライド長と呼ぶ)を取得し、過去のストライド長の特定の比率(例えば、90%)を使用者199のストライド長の第1の統計的標準として使用することができる。プロセッサ114が、使用者199のストライド長が対応する第1の統計的標準を満たさない(例えば、使用者199のストライド長が過去のストライド長の90%未満である)と決定したとき、これは、使用者199のストライド長がある程度の退行(例えば、10%を超える退行)を示したことを意味するので、使用者199の歩行が異常であると判断するための基礎として使用することができる。他のステップ特徴値および他の歩行肢特徴値について、プロセッサ114は、同様の原理に基づいて対応する第1の統計的標準を決定することができ、その詳細はここでは繰り替し説明しない。
【0068】
異なる実施形態では、Yの値は必要に応じ設計者によって設定され得る。例えば、Yが1に設定されている場合、プロセッサ114は、使用者199のステップ特徴値および歩行肢特徴値のいずれか1つが対応する第1の統計的標準を満さない場合に、使用者199の歩行が異常な歩行に属すると判断することができる。さらに、Yが2に設定されている場合、プロセッサ114は、使用者199のステップ特徴値および歩行肢特徴値のいずれか2つが対応する第1の統計的標準を満たさない場合に、使用者199の歩行が異常な歩行に属すると判断することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0069】
第5の実施形態では、プロセッサ114は、使用者199のステップ特徴値および歩行肢特徴値からN個の特定の値を選択することができ、それらの特定の値を各特定の値に対応するK個のリファレンスベースに従って複数のマップ値にマッピングすることができる。ここで、NとKは正の整数であり、各マップ値は所定の範囲内にある。
【0070】
その後、プロセッサ114は、マップ値に対して重み付け処理を実行して、重み付け処理の結果を取得することができる。次に、重み付け処理の結果が第2の統計的標準を満たさないと判断する場合、プロセッサ114は、使用者199の歩行が異常な歩行に属していると判断し、逆の場合には、プロセッサ114は、使用者199の歩行は、正常な歩行に属すると判断することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0071】
一実施形態では、N個の特定の値の第1の特定の値に対して、プロセッサ114は、第1の特定の値に対応するリファレンス平均およびリファレンス差係数を取得し、それに応じて、第1の特定の値に対応するリファレンスベースを推定することができる。
【0072】
一実施形態では、リファレンス平均をMとして表し、リファレンス差係数をSとして表すことができる。一実施形態では、第1の特定の値に対応するリファレンスベースは、M+iSとして表すことができ、ここで、iは整数で、i∈[-a,・・・,+a]であり、aは正の整数である。
【0073】
図7を参照するに、
図7は、本発明の実施形態による、第1の特定の値を決定するための複数のリファレンスベースを示す概略図である。
図7では、aが2であると仮定すると、リファレンスベースは、それぞれ、M-2S、M-S、M、M + S、およびM + 2Sであり得るが、これに限定されない。
【0074】
図7のアーキテクチャに基づいて、プロセッサ114は、第1の特定の値をマップ値の第1のマップ値にマッピングすることができる。一実施形態では、第1の特定の値がj番のリファレンスベースとj+1番のリファレンスベースとの間にあるという決定に応答して、プロセッサ114は、第1のマップ値はj+1+bであると決定することができ、ここで、1≦j≦K-1であり、bは定数である。第1の特定の値が第1のリファレンスベース(例えば、M-2S)よりも小さいという決定に応答して、プロセッサ114は、第1のマップ値が1+bであると決定することができる。第1の特定の値がK番のリファレンスベース(例えば、M+2S)よりも大きいという決定に応答して、プロセッサ114は、第1のマップ値がK+1+bであると決定することができる。
【0075】
説明を容易にするために、以下ではbが0であると仮定するが、本発明はこれに限定されない。この場合、第1の特定の値が第1のリファレンスベース(例えば、M-2S)よりも小さいとき、プロセッサ114は、第1の特定の値を1にマッピングすることができる。第1の特定の値が第1のリファレンスベース(すなわち、M-2S)と第2のリファレンスベース(すなわち、M-S)の間にあるとき、プロセッサ114は、第1の特定の値を2にマッピングすることができる。第1の特定の値が第2のリファレンスベース(すなわち、M-S)と第3のリファレンスベース(すなわち、MS)との間にあるとき、プロセッサ114は、第1の特定の値を3にマッピングすることができる。第1の特定の値が第3のリファレンスベース(すなわち、M)と第4のリファレンスベース(すなわち、M+S)との間にあるとき、プロセッサ114は、第1の特定の値を4にマッピングすることができる。第1の特定の値が第4のリファレンスベース(すなわち、M+S)と第5のリファレンスベース(M+2S)との間にあるとき、プロセッサ114は、第1の特定の値を5にマッピングすることができる。第1の特定の値が第5のリファレンスベース(例えば、M+2S)よりも大きいとき、プロセッサ114は、第1の特定の値を6にマッピングすることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0076】
図7のシナリオでは、第1のマップ値の所定の範囲は、例えば、1+b、2+b、3+b、4+b、5+b、および6+bであることがわかる。他の実施形態では、他の特定の値について、プロセッサ114は、上記の教示に基づいて、それぞれの特定の値を対応するマップ値にマッピングすることができ、それらのマップ値は、第1のマップ値の範囲と同じ所定の範囲を有することができる。それにもかかわらず、本発明はこれに限定されない。
【0077】
異なる実施形態では、プロセッサ114は、異なる原理に基づいて、第1の特定の値のリファレンス平均(すなわち、M)およびリファレンス差係数(すなわち、S)を決定することができる。
【0078】
例えば、歩行速度が検討中の第1の特定の値であると仮定すると、プロセッサ114は、一般的な通常の歩行速度の平均を第1の特定の値のリファレンス平均として取得し、次にその平均の特定の比率を、関連する文献資料(例:「Bohannon RW、Williams Andrews A. “Normal walking speed: a descriptive meta-analysis”, Physiotherapy. 2011 Sep」または「Studenski S, Perera S, Patel K, Rosano C, Faulkner K, Inzitari M, Brach J, Chandler J, Cawthon P, Connor EB, Nevitt M, Visser M, Kritchevsky S, Badinelli S, Harris T, Newman AB, Cauley J, Ferrucci L, Guralnik J. “Gait speed and survival in older adults”, JAMA. 2011 Jan 5」)に基づいて、リファレンス差係数として取得することができる。例えば、特定の比率が10%であると仮定すると、歩行速度に対応するリファレンスベースは、例えば、Mの80%、90%、100%、110%、および120%であり得るが、これらに限定されない。
【0079】
別の例では、前方胴体傾斜角が検討中の第1の特定の値であると仮定すると、プロセッサ114は、一般的な通常の前方胴体傾斜角の平均を第1の特定の値のリファレンス平均として取得し、次にその平均の特定の比率を、関連する文献資料(例:(例えば、「Gong H, Sun L, Yang R, Pang J, Chen B, Qi R, Gu X, Zhang Y, Zhang TM, “Changes of upright body posture in the sagittal plane of men and women occurring with aging - a cross sectional study”, BMC Geriatr, 2019 Mar 5」)に基づいて、リファレンス差係数として取得することができる。例えば、その特定の比率が10%であると仮定すると、前方胴体傾斜角に対応するリファレンスベースは、例えば、Mの80%、90%、100%、110%、および120%であり得るが、これらに限定されない。他の第1の特定の値については、プロセッサ114は、上記の教示に基づいて、対応するリファレンスベースを決定することができるが、その詳細はここでは繰り替し説明しない。
【0080】
いくつかの実施形態では、プロセッサ114はまた、特定のグループ内の各グループメンバーのリファレンスステップ特徴値およびリファレンス歩行肢特徴値から、第1の特定の値に対応する第1のリファレンス値を見つけることができる。その後、プロセッサ114は、各グループメンバーの第1のリファレンス値の平均および標準偏差を取得し、その平均および標準偏差をそれぞれ第1の特定の値のリファレンス平均(すなわち、M)およびリファレンス差係数(すなわち、S)と定義する。
【0081】
例えば、第1の特定の値が使用者199のストライド長であると仮定すると、プロセッサ114は、各グループメンバーのストライド長を各グループメンバーの第1のリファレンス値として見つけ、それに応じて各グループメンバーのストライド長の平均および標準偏差を推定することができる。その後、プロセッサ114は、その平均および標準偏差を、第1の特定の値のリファレンス平均(すなわち、M)およびリファレンス差係数(すなわち、S)として取得し、それに応じて、ストライド長に対応するリファレンスベースを決定することができる。
【0082】
別の例では、第1の特定の値が使用者199の歩行速度であると仮定すると、プロセッサ114は、各グループメンバーの歩行速度を各グループメンバーの第1のリファレンス値として見つけ、それに応じて各グループメンバーの歩行速度の平均および標準偏差を推定することができる。その後、プロセッサ114は、その平均および標準偏差を、第1の特定の値のリファレンス平均(すなわち、M)およびリファレンス差係数(すなわち、S)として取得し、それに応じて、歩行速度に対応するリファレンスベースを決定することができる。
【0083】
N個の特定の値のN個のマップ値を取得した後、プロセッサ114は、マップ値に対して重み付け処理を実行して、重み付け処理結果を生成することができる。一実施形態では、N個のマップ値のそれぞれの重みは、必要に応じて設計者によって決定され得る。例えば、N個の特定の値が使用者199の歩行速度および胴傾斜角であると仮定すると、使用者199の歩行速度および胴傾斜角を2つの対応するマップ値にマッピングした後、プロセッサ114は、式「P1×W1+P2×W2」に基づいて対応する重み付け演算結果を取得することができる。ここで、P1およびP2は歩行速度および胴傾斜角にそれぞれ対応するマップ値であり、W1およびW2はP1およびP2にそれぞれに対応する重み(たとえば、両方とも50%)である。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0084】
その後、プロセッサ114は、重み付け処理の結果が第2の統計的標準を満たすかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ114は、以下のメカニズムに基づいて第2の統計的標準を決定することができる。
【0085】
例えば、プロセッサ114は、特定のグループの各グループメンバーのリファレンスステップ特徴値およびリファレンス歩行特徴値から、N個の特定の値に対応するN個のリファレンス値を取得することができる。上記の例に従って、使用者199の歩行速度および胴体傾斜角が検討中のN個の特定の値であると仮定すると、プロセッサ114は、各グループメンバーの歩行速度および胴体傾斜角を各グループメンバーのN個のリファレンス値として取得することができる。
【0086】
その後、プロセッサ114は、各グループメンバーのN個のリファレンス値を、各特定の値に対応するリファレンスベースに従って複数のリファレンスマップ値にマッピングすることができ、各リファレンスマップ値は、所定の範囲内にある。一実施形態では、プロセッサ114は、使用者199の第1の特定の値を対応する第1のマップ値にマッピングすることに関連して、各グループメンバーのN個のリファレンス値を対応するリファレンスマップ値にマッピングすることができる。したがって、その詳細はここでは繰り替し説明しない。
【0087】
次に、プロセッサ114は、各グループメンバーのN個のリファレンスマップ値に対して重み付け処理を実行して、各グループメンバーのリファレンス重み付け処理結果を生成することができる。上記の例に従って、特定のグループメンバーの歩行速度と胴体傾斜角を2つの対応するリファレンスマップ値にマッピングした後、プロセッサ114は、式「P’1×W1+P’2×W2」に基づいて対応する重み付け演算結果を取得することができ、ここで、P’1およびP’2は特定のグループメンバーの歩行速度および胴傾斜角にそれぞれ対応するリファレンスマップ値である。
【0088】
その後、プロセッサ114は、各グループメンバーのリファレンス重み付け処理結果に基づいて第2の統計的標準を決定することができる。一実施形態では、プロセッサ114は、例えば、グループメンバーのリファレンス重み付け処理結果の最後の90%を第2の統計的標準としてとることができる。この場合、使用者199の重み付け処理結果がグループメンバーのリファレンス重み付け処理結果の最後の90%以内にあると判断したことに応じて、プロセッサ114は、使用者199の重み付け処理結果が第2の統計的標準を満たしていると判断することができる。一方、使用者199の重み付け処理結果がグループメンバーのリファレンス重み付け処理結果の上位10%以内にあると判断した場合、プロセッサ114は、使用者199の重み付け処理結果が第2の統計的標準を満たしていないと判断することができる。とはいえ、本発明はこれに限定されない。
【0089】
一実施形態では、使用者199の歩行が異常な歩行に属すると決定された場合、プロセッサ114は、使用者199の歩行が非神経障害性歩行か神経障害性歩行のどちらに属するかをさらに決定することができる。
【0090】
一実施形態では、プロセッサ114は、使用者199のストライドツーストライド変動が第3の統計的標準を満たすかどうかを決定することができる。そうであれば、プロセッサ114は、使用者199の歩行が神経障害性歩行に属すると決定することができ、そうでなければ、プロセッサ114は、使用者の歩行が非神経障害性歩行に属すると決定することができる。
【0091】
一実施形態では、プロセッサ114は、特定のグループ内の各グループメンバーのストライドツーストライド変動に基づいて、第3の統計的標準を決定することができる。例えば、プロセッサ114は、グループメンバーのストライドツーストライド変動の最初の70%を第3の統計的標準としてとることができる。この場合、使用者199のストライド間変動がグループメンバーのストライド間変動の上位70%内にあるという決定に応答して、プロセッサ114は、使用者199のストライド変動は第3の統計的標準を満たしていると決定することができる。他方、使用者199のストライドツーストライド変動がグループメンバーのストライドツーストライド変動の最後の30%内にあるという決定に応答して、プロセッサ114は、使用者199のストライドツーストライド変動は第3の統計的標準を満たしていないと決定することができる。とはいえ、本発明はこれに限定されない。
【0092】
一実施形態では、使用者199の歩行が異常な歩行に属するという決定に応答して、プロセッサ114は、対応する実施可能な提案を提供することもできる。
【0093】
例えば、使用者199の歩行が非神経障害性歩行(例えば、内反膝、ノック膝などに起因する歩行異常)であると仮定すると、プロセッサ114は、実施可能な提案として、非神経障害性歩行に対応する筋力トレーニングの提案を提供することができる。一実施形態では、筋力トレーニングの提案は、その内容が関連する理学療法の文献資料(例えば、内反膝またはノック膝の治療のための筋力トレーニングの文献資料)に基づくものとすることができる。とはいえ、本発明はこれに限定されない。
【0094】
さらに、使用者199の歩行が神経障害性歩行(例えば、パーキンソン病またはアルツハイマー病によって引き起こされる歩行異常)に属すると仮定すると、プロセッサ114は、実施可能な提案として、神経障害性歩行に対応するリズム歩行訓練の提案を提供することができる。リズム歩行訓練の提案の内容については、例えば、文献資料「Pacchetti C., Mancini F., Aglieri R., Fundaro C., Martignoni E., Nappi G., “Active musictherapy in Parkinson’s disease: An integrative method for motor and emotional rehabilitation”, Psychosom Med 2000; 62(3): 386-93」および「deDreu MJ., van der Wilk AS., Poppe E., Kwakkel G., van Wegen EE., “Rehabilitation, exercise therapy and music in patients with Parkinson's disease: A meta-analysis of the effects of music-based movement therapy on walking ability, balance and quality of life”, Parkinsonism RelatDisord. 2012; 18 Suppl 1: S114-9」を参照されたい。
【0095】
以上要約すると、本発明では、使用者の歩行時のステップ特徴値および歩行肢特徴値を圧力検出デバイスおよび肢感知装置により取得した後に、これらの特徴値を使用者の歩行評価のために統合することができる。したがって、本発明では、使用者が少し歩いただけで、使用者の健康状態を把握することができ、該当介護者が使用者の健康状態に応じて対応する措置を講じることができ、よって使用者の転倒予防効果を実現することができる。
【0096】
本発明は上記のいくつかの実施形態で開示されているが、それらは本発明を限定するものではない。関連する技術分野の通常の知識を有する当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、いくつかの変更および修正を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲で定義される範囲に従うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の歩行評価方法および歩行評価システムは、ヘルスケア産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
100:歩行評価システム
110:歩行評価装置
112:記憶回路
114:プロセッサ
120:圧力検出装置
120a、120b:圧力検出器
131~13Z:肢感知装置
199:使用者
210,310:第1の骨格図
220,320:第2の骨格図
210a:基準点
330:第3の骨格図
340:第4の骨格図
353:第1の 統合骨格図
354:第2の統合骨格図
D1:歩行方向
IM1:第1の歩行画像
IM2:第2の歩行画像
PV:圧力値
S510~S540:ステップ
【要約】
【課題】本発明は、歩行評価システムおよび歩行評価方法を提供する。
【解決手段】歩行評価システムは、歩行評価装置を含む。歩行評価装置は、圧力検出装置から、圧力検出装置の上を歩いている使用者の複数の圧力値を取得し、取得した圧力値に基づいて、使用者の複数のステップ特徴値を取得するとともに、使用者が圧力検出装置の上を歩くときに肢感知装置によって提供される感知データに基づいて、複数の歩行肢特徴値を取得し、ステップ特徴値と歩行肢特徴値に基づいて使用者の歩行を評価するように構成されている。
【選択図】
図5