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特許7179150熱暴走現象の発生時、内部に投入された冷却水が流れ得る経路を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びESS
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】熱暴走現象の発生時、内部に投入された冷却水が流れ得る経路を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びESS
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6567 20140101AFI20221118BHJP
   A62C 3/16 20060101ALI20221118BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20221118BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20221118BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20221118BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20221118BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20221118BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20221118BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20221118BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20221118BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20221118BHJP
【FI】
H01M10/6567
A62C3/16
H01M10/613
H01M10/633
H01M10/647
H01M10/651
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M50/204 401D
H01M50/204 401H
H01M50/289
H01M50/507
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500621
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 KR2020004477
(87)【国際公開番号】W WO2020242035
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0063999
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0068053
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ハン・キム
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-148187(JP,A)
【文献】特開2000-048867(JP,A)
【文献】特開2009-252417(JP,A)
【文献】特開2011-096465(JP,A)
【文献】特開2013-048083(JP,A)
【文献】特開2013-062207(JP,A)
【文献】特開2013-131416(JP,A)
【文献】特開2013-161635(JP,A)
【文献】特開2014-060012(JP,A)
【文献】特開2014-127403(JP,A)
【文献】特開2014-216248(JP,A)
【文献】特開2015-220177(JP,A)
【文献】特開2016-002419(JP,A)
【文献】特開2018-018755(JP,A)
【文献】特開2018-055768(JP,A)
【文献】特開2018-113097(JP,A)
【文献】特開2018-133134(JP,A)
【文献】特表2019-514159(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1111215(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0084606(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0068259(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0236730(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0252063(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200429(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0164061(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0200993(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123200(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0289996(US,A1)
【文献】国際公開第2018/065171(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/164623(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/16
H01M 10/60
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルが積層された単位モジュールが複数個積層されて形成された単位モジュール積層体と、
相互に隣接した前記単位モジュールの間に挟まれるスウェリング吸収パッドと、
前記単位モジュール積層体及びスウェリング吸収パッドを収容するモジュールハウジングと、を含み、
前記スウェリング吸収パッドは、長手方向に沿って延びて形成された冷却水流路を備え
前記冷却水流路は、前記冷却水流路を通じて流れる冷却水が前記スウェリング吸収パッドを挟む一対のバッテリーセルと直接接触するように両側に開放された形態を有することを特徴とする、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記冷却水流路は、
前記スウェリング吸収パッドの長手方向の一側に備えられる流入部と、
前記スウェリング吸収パッドの長手方向の他側に備えられる流出部と、
前記流入部と流出部とを連結し、前記流入部及び流出部よりも広い断面積を有する冷却部と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記流入部は、前記流出部よりも上部に位置することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記バッテリーモジュールは、
前記単位モジュール積層体の積層方向の一側から前記モジュールハウジングを貫通して形成されるエアインレットと、
前記単位モジュール積層体の積層方向の他側から前記モジュールハウジングを貫通して形成されるエアアウトレットと、を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記バッテリーモジュールは、
前記エアインレット及びエアアウトレットの内側に配置され、前記バッテリーモジュール内へ流入した冷却水との接触によって膨脹して前記エアインレット及びエアアウトレットを閉塞する膨張パッドを含むことを特徴とする、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記バッテリーモジュールは、
前記単位モジュール積層体の幅方向の一側及び他側に各々結合する一対のバスバーフレームを含むことを特徴とする、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記エアインレット及びエアアウトレットは、
前記バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空間と対応する位置に形成されることを特徴とする、請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記バッテリーモジュールは、
前記単位モジュール積層体の積層方向の一側または他側から前記モジュールハウジングを貫通し、前記バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空間と連通する冷却水管挿入ホールを備えることを特徴とする、請求項またはに記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
パックハウジングと、
前記パックハウジング内に積層された複数のバッテリーモジュールと、
前記複数のバッテリーモジュールを含むモジュール積層体の上部に配置され、冷却水を貯蔵するウォータータンクと、
前記ウォータータンクとバッテリーモジュールとを連結する冷却水管と、
前記パックハウジング内に設けられ、複数のバッテリーモジュールの少なくとも一部で発生した熱暴走現象を検知する少なくとも一つのセンサと、
前記センサによって熱暴走現象が検知されると、前記冷却水管を通して冷却水が前記バッテリーモジュールの内部へ流入するように制御信号を出力するコントローラと、を含む、バッテリーパックであって、
前記バッテリーモジュールは、
複数のバッテリーセルが積層された単位モジュールが複数個積層されて形成された単位モジュール積層体と、
相互に隣接した前記単位モジュールの間に挟まれるスウェリング吸収パッドと、
前記単位モジュール積層体及びスウェリング吸収パッドを収容するモジュールハウジングと、を含み、
前記スウェリング吸収パッドは、その長手方向に沿って延びて形成された冷却水流路を備え、
前記冷却水流路は、前記冷却水流路を通じて流れる冷却水が前記スウェリング吸収パッドを挟む一対のバッテリーセルと直接接触するように両側に開放された形態を有する、バッテリーパック
【請求項10】
前記バッテリーパックは、前記冷却水管内に設けられる複数の弁を含み、
前記複数の弁の各々は、前記モジュール積層体をなす複数のバッテリーモジュールと隣接して設けられ、前記複数のバッテリーモジュールへ流入する冷却水の流れを個別的に許容または遮断することを特徴とする、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記センサは、前記複数のバッテリーモジュールの各々に設けられることを特徴とする、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記コントローラは、前記複数の弁のうち前記センサによって熱暴走現象が検知されたバッテリーモジュールと隣接して設けられた弁を開放するようにする制御信号を出力することを特徴とする、請求項11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記冷却水流路は、
前記スウェリング吸収パッドの長手方向の一側に備えられる流入部と、
前記スウェリング吸収パッドの長手方向の他側に備えられる流出部と、
前記流入部と流出部とを連結し、前記流入部及び流出部よりも広い断面積を有する冷却部と、を含むことを特徴とする、請求項9から12のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記流入部は、前記流出部よりも上部に位置することを特徴とする、請求項13に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを複数個含む、ESS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱暴走現象が発生したとき、内部に投入された冷却水が流れ得る経路を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びESS(energy storage system)に関し、より詳しくは、熱暴走現象が発生したバッテリーモジュールの内部に水が投入された場合において、投入された冷却水が相互に隣接した単位モジュールの間に円滑に移動できる構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びESSに関する。
【0002】
本出願は、2019年5月30日出願の韓国特許出願第10-2019-0063999号及び2019年6月10日出願の韓国特許出願第10-2019-0068053に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
複数のバッテリーセルを含む形態のバッテリーモジュールにおいて、一部のバッテリーセルに短絡の発生などの異常が生じて持続的に温度が上昇し、これによってバッテリーセルの温度が臨界温度を超えると、熱暴走現象が発生する。このように一部のバッテリーセルにおいて熱暴走現象が発生すると、安全性のイシューが発生する。
【0004】
一部のバッテリーセルで起こった熱暴走現象によって火炎などが発生するようになると、隣接したバッテリーセルの温度を急上昇させ、これによって短い時間内に隣接したセルへの熱暴走現象が移され得る。
【0005】
結局、一部のバッテリーセルで発生した熱暴走現象に迅速に対処できない場合、バッテリーセルよりも大きい容量の電池単位であるバッテリーモジュールやバッテリーパックの発火及び爆発などの災害につながり、これは財産的な被害のみならず、安全性の問題までも惹起し得る。
【0006】
したがって、バッテリーモジュールの内部における一部のバッテリーセルで熱暴走現象による火炎が発生する場合、バッテリーモジュールの内部温度を迅速に低めて火炎がより大きく広がることを阻むことが急務である。
【0007】
バッテリーモジュールの内部に収容されるセル積層体は、一定の個数のバッテリーセルを一つの単位モジュールにして相互に隣接した単位モジュールの間ごとにスウェリング(swelling)を吸収可能な空間確保のためのパッドが挟まれた構造を有する。
【0008】
このような構造を有するバッテリーモジュールにおいて、内部に熱暴走現象が発生する場合、バッテリーモジュールの内部に冷却水が投入されるとしても、パッドによって隣接した単位モジュールの間を冷却水が円滑に流れないという問題がある。
【0009】
そこで、このようなパッド挿入構造を採用しながらも、冷却水の円滑な流れを確保することができる構造を有するバッテリーモジュールの開発が要求される。
【0010】
また、空冷式構造を採択しているバッテリーモジュールの場合、バッテリーモジュールの内部温度を低めて火炎を鎮火するために冷却水を投入しても、冷却水が内部に留まらず、漏れ出し得る空気流路が存在する。したがって、熱暴走現象が発生したバッテリーモジュールの内部に冷却水を投入したとき、このような空気流路が遮断可能な構造を有するバッテリーパック構造の開発が要求される実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2015/0200429号明細書
【文献】特開2013-48083号公報
【文献】特開2014-127403号公報
【文献】特開2013-161635号公報
【文献】特開2015-220177号公報
【文献】特開2018-133134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーモジュールの内部における一部のバッテリーセルで熱暴走現象による火炎が発生する場合、バッテリーモジュールの内部温度を迅速に低めて火炎のさらなる広がりを阻むことを目的とする。
【0013】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を達成するための本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが積層された単位モジュールが複数個積層されて形成された単位モジュール積層体と、相互に隣接した前記単位モジュールの間に挟まれるスウェリング吸収パッドと、前記単位モジュール積層体及びスウェリング吸収パッドを収容するモジュールハウジングと、を含み、前記スウェリング吸収パッドは、長手方向に沿って延びて形成された冷却水流路を備える。
【0015】
前記冷却水流路は、前記スウェリング吸収パッドの長手方向の一側に備えられる流入部と、前記スウェリング吸収パッドの長手方向の他側に備えられる流出部と、前記流入部と流出部とを連結し、前記流入部及び流出部よりも広い断面積を有する冷却部と、を含み得る。
【0016】
前記冷却水流路は、前記冷却水流路を通じて流れる冷却水が前記スウェリング吸収パッドと接する一対のバッテリーセルと直接接触するように開放された形態を有し得る。
【0017】
前記流入部は、前記流出部よりも上部に位置し得る。
【0018】
前記バッテリーモジュールは、前記単位モジュール積層体の積層方向の一側から前記モジュールハウジングを貫通して形成されるエアインレットと、前記単位モジュール積層体の積層方向の他側から前記モジュールハウジングを貫通して形成されるエアアウトレットと、を含み得る。
【0019】
前記バッテリーモジュールは、前記エアインレット及びエアアウトレットの内側に配置され、前記バッテリーモジュール内へ流入した冷却水との接触によって膨脹して前記エアインレット及びエアアウトレットを閉塞する膨張パッドを含み得る。
【0020】
前記バッテリーモジュールは、前記単位モジュール積層体の幅方向の一側及び他側に各々結合する一対のバスバーフレームを含み得る。
【0021】
前記エアインレット及びエアアウトレットは、前記バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空間と対応する位置に形成され得る。
【0022】
前記バッテリーモジュールは、前記単位モジュール積層体の積層方向の一側または他側から前記モジュールハウジングを貫通し、前記バスバーフレームとモジュールハウジングとの間に形成される空間と連通する冷却水管挿入ホールを備え得る。
【0023】
上記の課題を達成するための本発明の一実施例によるバッテリーパックは、上述したような本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを複数個含む。
【0024】
また、上記の課題を達成するための本発明の一実施例によるESSは、上述したような本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを複数個含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一面によれば、バッテリーモジュールの内部における一部のバッテリーセルで熱暴走現象による火炎が発生する場合、バッテリーモジュールの内部温度を迅速に低めて火炎がさらに広がることを防止することができる。即ち、隣接した単位モジュールの間にスウェリング吸収のためのパッドが挟まれる構造を有するバッテリーモジュールの内部に冷却水が投入されたとき、パッドによって隣接した単位モジュールの間を冷却水が円滑に流れない問題を解決することで、バッテリーモジュールの内部温度を速かに低めることができる。
【0026】
また、本発明の他面によれば、空冷式バッテリーモジュールを含むバッテリーパックにおいて、熱暴走現象が発生したバッテリーモジュールの内部に冷却水を投入したとき、冷却水がバッテリーモジュールの内部に留まるように冷却のための空気流路が遮断可能な構造を適用することで、熱暴走現象の広がりを効果的に阻むことができる。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例によるESS(energy storage system)を示す図である。
図2】本発明の一実施例によるバッテリーパックにおいて、ウォータータンクとバッテリーモジュールとの連結構造及びウォータータンクとコントローラとの関係を説明するための図である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリーパックにおいて、センサとコントローラとウォータータンクとの関係を説明するための図である。
図4】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールを示す斜視図である。
図6】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールの内部構造が見えるように示した図である。
図7】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用されるバッテリーモジュールの内部構造が見えるように示した図である。
図8】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるスウェリング吸収パッドの具体的な構造を示す図である。
図9】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールに適用されるスウェリング吸収パッドの具体的な構造を示す図である。
図10】本発明の一実施例によるバッテリーパックに適用される膨張パッドを示す図である。
図11】本発明の他の実施例によるバッテリーパックにおいて、ウォータータンクとバッテリーモジュールとの連結構造、及び弁とコントローラとウォータータンクとの関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の一実施例によるESS(energy storage system)は、本発明の一実施例によるバッテリーパック100を複数個含む。
【0031】
図1図3を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリーパック100は、パックハウジング110、バッテリーモジュール120、ウォータータンク130、コントローラ140、冷却水管150及びセンサ160を含む。
【0032】
上記パックハウジング110は、バッテリーパック100の外観を定義するほぼ長方形のフレームであって、その内部に複数のバッテリーモジュール120、ウォータータンク130、コントローラ140、冷却水管150及びセンサ160が設けられる空間を形成する。
【0033】
上記バッテリーモジュール120は、複数個が備えられ、複数のバッテリーモジュール120は、パックハウジング110内で上下に積層されて一つのモジュール積層体をなす。上記バッテリーモジュール120の具体的な構造については、図4図10を参照して後述する。
【0034】
上記ウォータータンク130は、パックハウジング110内に備えられ、バッテリーモジュール120の熱暴走現象の発生時、バッテリーモジュール120に供給される冷却水を貯蔵する。上記ウォータータンク130は、迅速かつ円滑な冷却水の供給のためにモジュール積層体の上部に配置され得る。この場合、別の冷却水ポンプを用いなくても、自由落下及び冷却水の水圧によって冷却水を迅速にバッテリーモジュール120の内部に供給できる。勿論、より迅速かつ円滑に冷却水を供給するためにウォータータンク130に別の冷却水ポンプを適用してもよい。
【0035】
上記コントローラ140は、センサ160及びウォータータンク130と連結され、センサ160のセンシング信号に応じてウォータータンク130を開放させる制御信号を出力し得る。また、上記コントローラ140は、このような機能に加え、バッテリーモジュール120各々と接続して充放電を管理するBMS(battery management system)としての機能を行うことも可能である。
【0036】
上記コントローラ140は、複数のバッテリーモジュール120の少なくとも一つで発生した熱暴走現象によってバッテリーパック100の内部でガスが検知されるか、または基準値以上に温度上昇が検知される場合、ウォータータンク130を開放させる制御信号を出力し、これによって冷却水がバッテリーモジュール120の内部に供給されるようにする。
【0037】
上記コントローラ140の制御信号に応じてウォータータンク130が開放される場合、冷却水は、相対的に上部に位置するバッテリーモジュール120から相対的に下部に位置するバッテリーモジュール120に順次に供給される。したがって、上記バッテリーモジュール120の内部の火炎鎮火及びバッテリーモジュール120の冷却が行われ、これによって、熱暴走現象のバッテリーパック100全体への拡散を防止することができる。
【0038】
上記冷却水管150は、ウォータータンク130とバッテリーモジュール120とを連結し、ウォータータンク130から供給される冷却水をバッテリーモジュール120へ移送する通路として機能する。このような機能を果たすために、上記冷却水管150の一端はウォータータンクと連結され、他端はバッテリーモジュール120の個数だけ分岐されて複数のバッテリーモジュール120の各々に連結される。
【0039】
上記センサ160は、上述したように、複数のバッテリーモジュール120の少なくとも一部から熱暴走現象が発生する場合、温度の上昇及び/またはガスの噴出を検知して検知信号をコントローラ140に送出する。このような機能を果たすために、上記センサ160は、温度センサまたはガス検知センサであってもよく、温度センサとガス検知センサとが組み合わせられた形態を有してもよい。
【0040】
上記センサ160は、バッテリーパック100の内部の温度上昇またはガス発生を検知するために、パックハウジング110の内部に設けられる。上記センサ160は、バッテリーモジュール120の温度及び/またはバッテリーモジュール120から発生するガスを迅速にセンシングするために複数のバッテリーモジュール120の各々の内側または外側に付着され得る。
【0041】
次は、図4図10を参照して、本発明の一実施例によるバッテリーパック100に適用されるバッテリーモジュール120についてより詳しく説明する。
【0042】
図4図10を参照すれば、上記バッテリーモジュール120は、複数のバッテリーセル121、バスバーフレーム122、モジュールハウジング123、エアインレット124、エアアウトレット125及び膨張パッド127を含むように具現され得る。また、上記バッテリーモジュール120は、上述した構成要素に加え、スウェリング吸収パッド126をさらに含み得る。
【0043】
上記バッテリーセル121は、複数個が備えられ、複数のバッテリーセル121は積層されて一つの単位モジュール121Aをなし、このような単位モジュール121Aが複数個積層されて一つの単位モジュール積層体をなす。上記バッテリーセル121としては、例えば、パウチ型バッテリーセルが適用され得る。上記バッテリーセル121は、長手方向の両側へ各々引き出される一対の電極リード121aを備える。
【0044】
上記バスバーフレーム122は一対が備えられ、各々のバスバーフレーム122は、単位モジュール積層体の幅方向の一側及び他側をカバーする。上記バッテリーセル121の電極リード121aは、バスバーフレーム122に形成されたスリットを通して引き出され、折り曲げられてバスバーフレーム122の上に溶接などによって固定される。即ち、上記複数のバッテリーセル121は、バスバーフレーム122によって電気的に接続し得る。
【0045】
上記モジュールハウジング123は、ほぼ直方体形状を有し、内部に単位モジュール積層体を収容する。上記モジュールハウジング123の長手方向の一側面及び他側面にはエアインレット124及びエアアウトレット125が形成される。
【0046】
上記エアインレット124は、モジュール積層体の積層方向の一側、即ち、バッテリーモジュール120の長手方向の一側に形成され、モジュールハウジング123を貫通するホール形態に形成される。上記エアアウトレット125は、モジュール積層体の積層方向の他側、即ち、バッテリーモジュール120の長手方向の他側に形成され、モジュールハウジング123を貫通するホール形態に形成される。
【0047】
上記エアインレット124及びエアアウトレット125は、相互にバッテリーモジュール120の長手方向に沿って対角線で横切って反対側に位置する。
【0048】
一方、上記バスバーフレーム122とモジュールハウジング123との間には、空間が形成される。即ち、上記モジュールハウジング123の6個の面のうちバッテリーセル121の長手方向の一側及び他側と対向する面とバスバーフレーム122との間には、バッテリーセル121の冷却のための空気が流れ得る空間が形成される。上記空間は、バッテリーモジュール120の幅方向の両側に各々形成される。
【0049】
上記エアインレット124は、バッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成される空間と対応する位置に形成され、エアアウトレット125は、バッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成される空間と対応する位置に形成される。
【0050】
上記バッテリーモジュール120において、エアインレット124を通して内部へ流入した空気は、バッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成された空間からバッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成された空間へ移動しながらバッテリーセル121を冷却した後、エアアウトレット125を通してバッテリーモジュール120の外部へ抜け出る。即ち、上記バッテリーモジュール120は、空冷式バッテリーモジュールである。
【0051】
上記冷却水管150は、モジュール積層体の積層方向の一側または他側からモジュールハウジング123を貫通してバスバーフレーム122とモジュールハウジング123との間に形成される上記空間と連通する。上記モジュールハウジング123の6個の面のうちエアインレット124が形成された面またはエアアウトレット125が形成された面には、冷却水管150が挿入される冷却水管挿入ホール123aが形成される。このような冷却水管挿入ホール123aは上記空間と連通し、冷却水管150は冷却水管挿入ホール123aを通してバッテリーモジュール120の内部に挿入される。上記冷却水管挿入ホール123aは、バッテリーモジュール120の幅方向に沿ってエアインレット124の反対側またはエアアウトレット125の反対側に形成され得る。
【0052】
上記冷却水管150を通してバッテリーモジュール120の内部へ流入した冷却水は、図4及び図5に示したように、バッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成された空間からバッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成された空間側へ流入され、バッテリーモジュール120の内部を満たす。
【0053】
図7図9を参照すれば、上記バッテリーモジュール120は、モジュール積層体をなす単位モジュール121Aの間に挟まれるスウェリング吸収パッド126を備え得る。上記スウェリング吸収パッド126は、例えば、シリコーン、グラファイト、EPP(expanded polypropylene)、EPS(expanded polystylene)などの材質を含み得、バッテリーセル121のスウェリングによる体積の膨張を吸収できるように弾性を有する。
【0054】
図7及び図8を参照すれば、上記スウェリング吸収パッド126は、相互に隣接した単位モジュール121Aの間に冷却水が通過しながらバッテリーセル121を冷却できるように、冷却水が流れる経路を提供する冷却水流路Pを備える。
【0055】
上記冷却水流路Pは、スウェリング吸収パッド126の長手方向の一側に形成される流入部126aと、スウェリング吸収パッド126の長手方向の他側に形成される流出部126bと、流入部126aと流出部126bとを連結する冷却部126cと、を含む。
【0056】
上記冷却水流路Pは、冷却水流路Pを通して流れる冷却水がスウェリング吸収パッド126と接する一対のバッテリーセル121と直接接触するように開放された形態を有する。
【0057】
上記バッテリーモジュール120の幅方向の一側に形成された空間へ流入した冷却水は、流入部126a、冷却部126c及び流出部126bを順次に経てバッテリーモジュール120の幅方向の他側に形成された空間へ移動しながらバッテリーセル121と接触するようになり、これによってバッテリーセル121の冷却が行われる。
【0058】
上記冷却部126cは、流入部126aを通して相互に隣接したバッテリーセル121の間へ流入した冷却水が可能な限り長く留まるようにするために、流入部126a及び流出部126bよりも広い断面積を有する。
【0059】
これによって、上記流入部126aを通して流入した冷却水は、冷却部126cでその流速が遅くなり、バッテリーセル121と接触可能な十分な時間を有するようになる。このようにバッテリーセル121との熱交換が終了した冷却水は、流出部126bを通して抜け出る。
【0060】
一方、図9を参照すれば、上記流入部126aは、流出部126bよりも上部に位置するように形成され得る。このように、上記冷却水流路Pは、流入部126aが流出部126bよりも上部に位置する構造を有する場合、冷却水の流れがより円滑になり、これによって冷却効率が向上する。
【0061】
図10を参照すれば、上記膨張パッド127は、エアインレット124及びエアアウトレット125の内側に配置され、エアインレット124及びエアアウトレット125の開放面積よりも小さいサイズを有する。上記膨張パッド127は、バッテリーモジュール120の正常な使用状態でエアインレット124及びエアアウトレット125を介する空気の流れを円滑にするために、エアインレット124及びエアアウトレット125の開放面積に対して30%未満のサイズを有することが望ましい。
【0062】
上記膨張パッド127は、バッテリーモジュール120の内部へ流入した冷却水と接触することで膨張し、エアインレット124及びエアアウトレット125を閉塞する。上記膨張パッド127は、水分を吸収する場合、非常に大きい膨張率を示す樹脂を含むものであって、十分な量の水分が提供される場合、初期の体積に対して少なくとも二倍以上にその体積が増加する樹脂を含む。上記膨張パッド127に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステルステープルファイバー(polyester staple fiber)が挙げられる。
【0063】
上記膨張パッド127の適用によって、少なくとも一部のバッテリーモジュール120で熱暴走現象が発生してバッテリーモジュール120の内部に冷却水が流入する場合、エアインレット124及びエアアウトレット125は閉塞する。このように上記エアインレット124及びエアアウトレット125が閉塞される場合、バッテリーモジュール120の内部へ流入した冷却水は、外部へ抜け出ず、バッテリーモジュール120の内部に溜まるようになり、これによって、バッテリーモジュール120で発生した熱暴走現象を速く解消可能になる。
【0064】
次は、図11を参照して、本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明する。
【0065】
本発明の他の実施例によるバッテリーパックは、前述した本発明の一実施例によるバッテリーパック100と比較して冷却水管150内に弁170が設置されていることが相違するだけで、他の構成要素は実質的に同一である。
【0066】
したがって、本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明するに際し、弁170について重点的に説明し、前述した実施例と重複する説明は省略する。
【0067】
上記弁170は、バッテリーモジュール120の個数だけ複数個が備えられ、各々の弁170は、複数のバッテリーモジュール120と隣接して設けられ、複数のバッテリーモジュール120へ流入する冷却水の流れを個別的に許容または遮断する。
【0068】
このように、複数の弁170を独立的に動作させるために、センサ160は、各々のバッテリーモジュール120ごとに少なくとも一つ以上が備えられる。このように上記センサ160が各々のバッテリーモジュール120ごとに備えられる場合、熱暴走現象が発生した一部のバッテリーモジュール120のみに冷却水を投入することが可能になる。
【0069】
即ち、上記コントローラ140は、一部のセンサ160から検知信号を受信するようになれば、検知信号を送出したセンサ160が付着されたバッテリーモジュール120で熱暴走現象が発生したと判断し、複数の弁170のうち熱暴走現象が発生したバッテリーモジュール120に隣接して設けられた弁170を開放して冷却水が投入されるようにする。
【0070】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100 バッテリーパック
110 パックハウジング
120 バッテリーモジュール
121 バッテリーセル
121a 電極リード
121A 単位モジュール
122 バスバーフレーム
123 モジュールハウジング
123a 冷却水管挿入ホール
124 エアインレット
125 エアアウトレット
126 スウェリング吸収パッド
126a 流入部
126b 流出部
126c 冷却部
127 膨張パッド
130 ウォータータンク
140 コントローラ
150 冷却水管
160 センサ
170 弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11