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特許7179152アームレストおよびアームレスト付きシート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】アームレストおよびアームレスト付きシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20221118BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/54 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021504892
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020007067
(87)【国際公開番号】W WO2020184151
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2019044039
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219668
【氏名又は名称】東海化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟司
(72)【発明者】
【氏名】石田 英敏
(72)【発明者】
【氏名】林 佳歩
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 英揮
(72)【発明者】
【氏名】奥村 剛正
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】金 俊
(72)【発明者】
【氏名】牧野 啓二
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-045641(JP,A)
【文献】特開2018-199409(JP,A)
【文献】特開2018-069777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/75
A47C 7/54
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
前記アーム本体は、前記被固定部材と前記アーム本体とに亘って設けられた回動軸を支点に回動可能とされており、
前記電線配索路には、前記アーム本体の回動に伴う前記電線の余長が収容可能とされている請求項5に記載のアームレスト付きシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、ワイヤハーネスを備えるアームレストおよびアームレスト付きシートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に取り付けられるアームレストとして、特開2016-107686号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このアームレストは、車両のコンソールに取り付けられている。アームレストは箱状の収容体を有しており、収容体の内部には接続コードが配されている。接続コードの端部に設けられた接続端子は、USBソケット等のソケットに接続されている。また、アームレストは、コンソールに取り付けられているので、ソケット等へ電気を供給するワイヤハーネスは、車体からコンソールの内部を経て、アームレストの内部へと配索されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-107686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、アームレストが、シートの側部などコンソールとは異なる被固定部材に取り付けられる場合、取り付け工程の一例として、被固定部材に設けられた部材側ワイヤハーネスの部材側コネクタと、アームレストに設けられたアーム側ワイヤハーネスのアームレスト側コネクタとを接続し、その後に、被固定部材にアームレストを取り付ける方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、上記の方法によると、被固定部材とアームレストとの間に被固定部材側コネクタとアームレスト側コネクタとを嵌合させるための作業スペースを十分に確保することができない場合には、アームレストを取り付ける取付作業性が低下してしまう。
【0006】
本明細書では、アームレストを取り付ける取付作業性を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される技術は、被固定部材に設けられた被固定部材側コネクタと嵌合可能なアーム側コネクタが少なくとも1本の電線の端末に設けられたアーム側ワイヤハーネスと、前記アーム側ワイヤハーネスの前記電線が配索される電線配索路と、前記被固定部材側に配される部材側壁部とを有し、前記部材側壁部と前記被固定部材とを対向させた状態で前記被固定部材に固定されるアーム本体と、を備え、前記部材側壁部には、前記アーム側コネクタが挿通可能なコネクタ挿通孔が形成されており、前記アーム本体には、前記電線配索路を介して前記コネクタ挿通孔と連通する作業開口部が設けられているアームレストである。
このような構成のアームレストによると、部材側壁部を対向させるように被固定部材にアーム本体を取り付けた後に、被固定部材側コネクタとアーム側コネクタとを嵌合させる嵌合作業を作業開口部から実施することができる。これにより、アームレストを被固定部材に取り付ける取付作業性を向上させることができる。
【0008】
本明細書によって開示されるアームレストは、以下の構成としてもよい。
前記アーム本体には、前記作業開口部を閉塞するカバー部材が装着可能とされている構成としてもよい。
このような構成によると、被固定部材側コネクタとアーム側コネクタとの嵌合作業後に作業開口部を閉塞することができる。これにより、作業開口部を開放したままのものに比べて、アーム本体内に配索されるアーム側ワイヤハーネスを保護することができると共に、アーム本体の強度が低下することを抑制することができる。
【0009】
前記アーム本体が前記被固定部材に取り付けられた状態では、前記コネクタ挿通孔には、前記被固定部材側コネクタと前記アーム側コネクタとが嵌合した状態で挿通されている構成としてもよい。
【0010】
このような構成によると、アーム側ワイヤハーネスにおけるアーム側コネクタがコネクタ挿通孔に挿通された状態となっているから、例えば、振動等によってコネクタ挿通孔の縁部におけるエッジが被固定部材側コネクタに接続される電線やアーム側ワイヤハーネスの電線を損傷させることを防ぐことができる。
【0011】
前記電線配索路内には、前記被固定部材側コネクタと前記アーム側コネクタとを嵌合させるための嵌合ストロークに対応する長さの前記電線が収容可能とされている構成としてもよい。
【0012】
ところで、被固定部材側コネクタと前記アーム側コネクタとを嵌合させるためには、それぞれのワイヤハーネスにおいて、嵌合ストロークに対応する長さの電線が必要となるものの、両コネクタの嵌合後には、嵌合ストロークの長さに相当する電線を余長として後処理を行わなければならなくなってしまう。
ところが、このような構成によると、被固定部材側コネクタとコネクタとの嵌合作業に必要な嵌合ストロークの長さに相当する電線の余長を電線配索路内に収容することができる。これにより、アーム側ワイヤハーネスにおける電線の余長を容易に処理することができ、アームレストを被固定部材に取り付ける取付作業性を向上させることができる。
【0013】
また、本明細書によって開示される技術は、前記アームレストと、前記被固定部材とを備えるアームレスト付きシートであって、前記被固定部材は、シートであり、前記被固定部材側コネクタは、前記アーム本体が前記被固定部材に取り付けられた状態では、前記コネクタ挿通孔に臨むように前記被固定部材に固定されている。
【0014】
このような構成のアームレスト付きシートによると、アーム本体がシートに取り付けられると、被固定部材側コネクタがコネクタ挿通孔に臨んだ状態となるから、被固定部材側コネクタに対してコネクタを嵌合させ易くなり、嵌合作業を作業開口部からさらに容易に実施することができる。これにより、アームレストをシートに取り付ける取付作業性をさらに向上させることができる。
【0015】
前記アーム本体は、前記被固定部材と前記アーム本体とに亘って設けられた回動軸を支点に回動可能とされており、前記電線配索路には、前記アーム本体の回動に伴う前記電線の余長が収容可能とされている構成としてもよい。
【0016】
このような構成によると、アーム側ワイヤハーネスの電線を配索する電線配索路を、アーム本体の回動に伴う電線の余長を収容する余長収容部として兼用することができる。これにより、例えば、余長収容部を別途設ける場合に比べて、アーム本体の構造を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書によって開示される技術によれば、アームレストを取り付ける取付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】アームレスト付きシートの側面図
図2】シートフレームに取り付けられたアームレストが肘掛位置に配置された状態を示す斜視図
図3】シートフレームに取り付けられたアームレストが肘掛位置に配置された状態を示す正面図
図4】シートフレームに取り付けられたアームレストが肘掛位置に配置された状態を示す平面図
図5】シートフレームに取り付けられたアームレストが肘掛位置に配置された状態を示す背面図
図6図3のA-A線断面図
図7図3のB-B線断面図
図8図4のC-C線断面図
図9】シートフレームに取り付けられたアームレストが跳上位置に配置された状態を示す側面図
図10】シートフレームに取り付けられたアームレストが跳上位置に配置された状態を示す正面図
図11図10のD-D線断面図
図12図10のE-E線断面図
図13図10のF-F線断面図
図14】アームレスト付きシートの一部分解斜視図
図15】シートフレームの斜視図
図16】シートフレームの側面図
図17】アームレストの外側カバーを外した状態を示す斜視図
図18】アームレストの外側カバーを外した状態を示す側面図
図19図18のG-G線断面図
図20図18のH-H線断面図
図21】第2カバー部材の斜視図
図22】シート側コネクタにアーム側コネクタを嵌合させる前の状態を示す斜視図
図23】シート側コネクタにアーム側コネクタを嵌合させる前の状態を示す側面図
図24図23のI-I線断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について図1から図23を参照して説明する。
【0020】
本実施形態は、車両に搭載されるアームレスト付きシート10であって、車両のシート(「被固定部材」の一例)80の左側部に設けられたシートフレーム(「被固定部材」の一例)90にアームレスト20が装着されたものを例示している。
【0021】
シート80は、図1に示すように、搭乗者が着座可能な座部81と、座部81の後端部から上方に向かって延びる背部82と、背部82の上端部に取り付けられるヘッドレスト83と、シート側ワイヤハーネス95とを備えて構成されている。
【0022】
背部82は、左右方向の両側内部に金属製のシートフレーム90を有している。シートフレーム90は、図14から図16に示すように、上下方向に長い形態をなしており、シートフレーム90の外面90Aにブラケット(「被固定部材」の一例)91を有している。
【0023】
ブラケット91は、金属製であって、アームレスト20と左右方向に対向するように取り付けられる被取付板92と、ブラケット91をシートフレーム90に固定する複数の延出片93とを備えて構成されている。
【0024】
被取付板92は、斜め上前方と斜め下後方との間の距離が長い略楕円形の板状に形成されており、シートフレーム90の外面90Aと略平行に配置されている。被取付板92の中央には、ブラケット91とアームレスト20とを固定するための支持ボルトBが挿通されるボルト挿通孔92Aが板厚方向に貫通して形成されている。
【0025】
また、被取付板92の外周縁には、シートフレーム90側に向かって湾曲したフレーム縁部92Bが形成されており、フレーム縁部92Bの斜め下後方の位置には、シート側ワイヤハーネス95が挿通される切欠孔94が形成されている。
【0026】
シート側ワイヤハーネス95は、シート80の内側から引き出された電線96と、電線96の端末に設けられたフード部97Aを有するシート側コネクタ(「被固定部材側コネクタ」の一例)97とを備えて構成されており、切欠孔94には、図7および図8に示すように、保持片98によって保持されたシート側コネクタ97が挿通されている。
【0027】
切欠孔94は、図16に示すように、フレーム縁部92Bからボルト挿通孔92Aに向かって略矩形の切欠き状に延びた形態をなしており、フレーム縁部92Bおよび被取付板92に対して板厚方向に貫通して形成されている。
【0028】
保持片98は、図7および図8に示すように、板状をなす金属片によって形成されており、シートフレーム90の外面90Aからブラケット91側に向かって延出するように配置されている。保持片98のシートフレーム90側の端部98Aは、シートフレーム90の画面に沿うように屈曲され、例えば、溶接、ボルト締結など公知の方法によってシートフレーム90の外面90Aに固定されている。
【0029】
保持片98の延出端部98Bには、シート側コネクタ97が被取付板92の板面と直交するように外方に向かって突出すると共に、フード部97Aが左側外方に臨む形態で固定されている。つまり、シート側コネクタ97のフード部97Aは、図15および図16に示すように、アームレスト20側である左側外方に臨むと共に、切欠孔94に挿通されて被取付板92から外方に突出した状態でシートフレーム90に固定されている。
【0030】
一方、複数の延出片93は、フレーム縁部92Bに対して周方向に間隔を空けた状態で形成されており、それぞれの延出片93がフレーム縁部92Bからシートフレーム90の外面90Aに向かって延びている。それぞれの延出片93の延出端は、シートフレーム90の外面90Aに沿うように屈曲されており、この屈曲された部分が、例えば、溶接、ボルト締結など公知の方法によって固定されている。本実施形態では、3つの延出片93がシートフレーム90に溶接によって固定されることによりブラケット91がシートフレーム90に固定されている。
【0031】
アームレスト20は、図1および図2に示すように、前後方向(一方向)に長く、かつ左右方向にやや厚みのある箱形状に形成されている。アームレスト20の後端部は、後方に向かって張り出すように丸みを帯びた形態とされており、アームレスト20の前端部は、後端部に比べてやや先細りとなっている。また、アームレスト20は、布、レザー等などの被覆部材によって覆われると共に被覆部材内に発泡樹脂材などが充填されてもよい。本実施形態においては、アームレスト20の構成を分かりやすくするために、被覆部材および発泡樹脂材は図示省略している。
【0032】
アームレスト20の後端部には、図5に示すように、電子ソケットSが組み付けられている。電子ソケットSは、例えば、携帯機器などを接続するためのUSB(Universal Serial Bus)プラグが差し込まれるUSBポートとされている。なお、本実施形態のアームレスト20には、電子ソケットSが後端部にのみ設けられているけれども、電子ソケットSは、例えば、アームレストの前端部にも設けられていてもよい。
【0033】
また、アームレスト20は、図14に示すように、左右方向にやや厚みのあるアーム本体30と、アーム本体30に対してシート80側から組み付けられる第1カバー部材42と、第1カバー部材とは反対側からアーム本体30に取り付けられる第2カバー部材50とを備えて構成されている。
【0034】
アーム本体30は、合成樹脂製であって、図1図2および図6に示すように、前後方向に長い形態をなしており、前後方向略中央部よりも前側の部分は、前方に向かうほど上下方向にやや先細りとなる箱形状の第1本体部31とされている。
【0035】
アーム本体30の後部は、図6図17および図18に示すように、後方に向かって張り出すように丸みを帯びた第2本体部40とされている。第2本体部40と第1本体部31との間には、仕切壁33が形成されており、第2本体部40において仕切壁33に連なった位置には、左側から支持ボルト(「回動軸」の一例)Bが組み付け可能なボルト装着部34が形成されている。ボルト装着部34は、外形が側面視略円形状に形成されており、ボルト装着部34の内側は、図12に示すように、右側に向かって凹状に凹んだ形態とされている。ボルト装着部34に組み付けられた支持ボルトBは、シートフレーム90のブラケット91におけるボルト挿通孔92Aに挿通されてシートフレーム90側に配置された2つのナットNに締め付けられるようになっており、支持ボルトBが2つのナットNに締め付けられることによって、アーム本体30がブラケット91に固定されている。
【0036】
また、アーム本体30は、ブラケット91に対して支持ボルトBを支点に回動可能とされており、ブラケット91に設けられたガイドピン91Aがアーム本体30に設けられたガイド溝30Aの範囲内を移動することよって、アーム本体30が、図1および図6に示すように略水平となった肘掛位置と、アーム本体30が、図9および図11に示すようにシートフレーム90に沿って配された跳上位置との間を回動変位するようになっている。つまり、アームレスト20の使用時には、アーム本体30を肘掛位置に配置し、アームレスト20を使用しないときには、アーム本体30を跳上位置に配置するようになっている。
【0037】
第2本体部40におけるシートフレーム90側の壁部は、図8図12および図13に示すように、ボルト装着部34の右側端部と連なる側壁部35と、第2本体部40に組み付けられる第1カバー部材42とが一体となって構成されるシート側壁部(「部材側壁部」の一例)40Aとされている。
第1カバー部材42は、図14に示すように、左右方向の板厚が薄い板状に形成されている。第1カバー部材42は、第2本体部40に対して左側から組み付けられた図示しない小型ナットと、右側から取り付けられた図示しない取付ねじとを締結することによって第2本体部40に固定されている。また、第1カバー部材42が第2本体部40に固定されてシート側壁部40Aが構成されると、シート側壁部40Aが第2本体部40を右側から覆うようになっている。
【0038】
また、シート側壁部40Aは、図8図12および図13に示すように、アーム本体30がブラケット91に対して固定されると、ブラケット91の被取付板92と左右方向に対向して面接触するようになっている。
【0039】
また、第2本体部40は、シートフレーム90とは反対側である左側から第2カバー部材50が取り付けられるようになっている。
【0040】
第2カバー部材50は、図7図8図12および図13に示すように、第2本体部40の左側部に配置されるカバー本体51と、カバー本体51の外周縁のうち第1本体部31側を除く外周縁に設けられた周壁53とを備えて構成されている。
【0041】
カバー本体51は、図4および図21に示すように、平板状に形成されており、周壁53は、第2本体部40の外形に沿った形態とされている。
【0042】
第2カバー部材50は、図7図8図12および図13に示すように、第2本体部40に取り付けられると、第2本体部40におけるシートフレーム90側の壁部とは異なる部分の外壁を構成し、第1本体部31側およびシートフレーム90側を除く他の方向から第2本体部40を完全に覆う構成とされている。
【0043】
また、アーム本体30内には、図6に示すように、第2本体部40から第1本体部31に向かってアーム側ワイヤハーネスWを配索するための電線配索路37が形成されている。
【0044】
アーム側ワイヤハーネスWは、図6から図8に示すように、シート側コネクタ97と嵌合可能なアーム側コネクタ38と、アーム側コネクタ38と電子ソケットSとに接続される複数の電線W1とを備えて構成されている。
【0045】
アーム側コネクタ38は、図8図12および図13に示すように、シート側コネクタ97のフード部97A内に嵌合可能とされており、アーム側コネクタ38とシート側コネクタ97のフード部97Aとが嵌合されると、例えば、シート側ワイヤハーネス95からアーム側ワイヤハーネスWに電力が供給され、電子ソケットSに対して電力が供給されるようになっている。
【0046】
電線配索路37は、図6に示すように、第1本体部31と第2本体部40とに亘って形成されている。
【0047】
第2本体部40における電線配索路37は、アーム側コネクタ38と共にアーム側コネクタ38に導入される電線W1の端部W1Aを収容する収容部44を有している。
【0048】
収容部44は、第2本体部40の前部に形成されており、側壁部35から左方に向かって突出する突出壁45と、仕切壁33と、ボルト装着部34と、仕切壁33と突出壁45とに連なる底壁46とが周方向に連なることによって形成されている壁と、側壁部35とで規定される空間である。
【0049】
また、電線配索路37は、図6に示すように、収容部44から第2本体部40の後端部まで電線W1を配索する第1配索路37Aと、第1配索路37Aの後端からアーム本体30の上側の外形に沿うように第1本体部31の前後方向略中央部まで電線W1を配索する第2配索路37Bと、第1本体部31の前後方向略中央部に設けられた分岐部37Cと、分岐部37Cから第1本体部31の前端部まで電線W1を配索するための第3配索路37Dと、分岐部37Cから第1本体部31の下端部を通って第2本体部40の後端部まで電線W1を配索する第4配索路37Eとを備えて構成されており、第4配索路37Eを通して第2本体部40の後端部まで配索された電線W1は、アーム本体30の後端部に配された電子ソケットSに接続されている。
【0050】
さて、アーム本体30の第2本体部40におけるシート側壁部40Aには、図6から図8図11から図13に示すように、アーム側ワイヤハーネスWにおけるアーム側コネクタ38が挿通可能なコネクタ挿通孔47が左右方向に貫通して形成されている。また、第2本体部40の電線配索路37における収容部44の左側端部は、シートフレーム90側とは反対側(左側)に向かって開口する作業開口部48とされている。
【0051】
コネクタ挿通孔47は、シート側壁部40Aのうちの側壁部35に形成されており、電線配索路37の収容部44と連通するようにボルト装着部34の後方において支持ボルトBを中心に略円弧状をなしている。
【0052】
コネクタ挿通孔47における径方向の幅寸法は、シート側コネクタ97のフード部97Aの外形寸法よりも大きく設定されており、コネクタ挿通孔47の下端部は、他の部分に比べて径方向に大きい略円弧状の大径部47Aとされている。
【0053】
また、コネクタ挿通孔47には、アーム本体30がシートフレーム90のブラケット91に固定されると、ブラケット91の被取付板92から外方に突出したシート側コネクタ97のフード部97Aが挿通された状態となって、シート側コネクタ97のフード部97Aが収容部44内に進入するようになっている。
【0054】
つまり、アーム本体30をシートフレーム90のブラケット91に固定し、コネクタ挿通孔47を通して収容部44内に進入させると、図22から図24に示すように、シート側コネクタ97のフード部97Aが収容部44内において左方に向かって臨んだ状態となる。そして、収容部44内に進入したフード部97Aにアーム側コネクタ38を嵌合させると、図8図12および図13に示すように、シート側コネクタ97のフード部97A内に嵌合された状態のアーム側コネクタ38がコネクタ挿通孔47に挿通された状態となる。
【0055】
これにより、アーム本体30は、アーム側コネクタ38をコネクタ挿通孔47に挿通させた状態で肘掛位置と跳上位置との間を回動可能となる。また、アーム本体30が肘掛位置に配置されると、図6に示すように、アーム側コネクタ38がコネクタ挿通孔47の下端部における大径部47Aに配置され、アーム本体30が跳上位置に配置されると、図11に示すように、アーム側コネクタ38がコネクタ挿通孔47の上端部に配置される。
【0056】
一方、作業開口部48は、図6から図8図11から図13に示すように、コネクタ挿通孔47に比べて大きく形成されている。したがって、作業開口部48は、収容部44を介してコネクタ挿通孔47と連通しており、図6および図11に示すように、作業開口部48を通してコネクタ挿通孔47を左方に向かって完全に露出させる形態とされている。
【0057】
これにより、作業者は、作業開口部48を通してアーム側コネクタ38をシート側コネクタ97に容易に嵌合させることができるようになっている。
【0058】
また、作業開口部48は、ボルト装着部34に支持ボルトBを取り付けてアーム本体30をシートフレーム90のブラケット91に固定し、アーム側コネクタ38とシート側コネクタ97との嵌合作業後に、第2カバー部材50を第2本体部40に取り付けることにより、図7図8図12および図13に示すように、カバー本体51によって左方から閉塞されるようになっている。
【0059】
また、第2カバー部材50のカバー本体51によって作業開口部48が閉塞された収容部44の突出壁45は、図6および図11に示すように、コネクタ挿通孔47が略円弧状に形成されるに伴って、コネクタ挿通孔47の後側の開口縁47Bに沿うように側面視略円弧状に形成されている。したがって、収容部44の内部空間は、電線配索路37の他の配索路に比べて前後方向および上下方向に大きくなっている。これにより、収容部44は、図6および図11に示すように、収容部44内に配索される電線W1に加え、電線W1の余長などを収容することができるようになっている。
【0060】
本実施形態は、以上のような構成であって、次に、アームレスト20をシート80に組み付ける手順の一例を簡単に説明すると共に、その作用および効果について説明する。
【0061】
アーム側ワイヤハーネスWが予め取り付けられたアーム本体30を準備しておき、シート80に対してアーム本体30を組み付ける。
【0062】
このアーム本体30の組み付けでは、アーム本体30のシート側壁部40Aのコネクタ挿通孔47にシート側コネクタ97のフード部97Aを進入させるようにしてシート側壁部40Aをブラケット91の被取付板92に左方から接触させる。すると、図22から図24に示すように、シート側コネクタ97のフード部97Aがコネクタ挿通孔47を通して収容部44内に進入すると共に、アーム本体30がブラケット91の被取付板92の左側部に配置される。また、このアーム本体30の組み付け時に、ブラケット91のガイドピン91Aをアーム本体30のガイド溝に挿入する。
【0063】
次に、アーム本体30の第2本体部40におけるボルト装着部34に対して支持ボルトBを左方から組み付け、ボルト装着部34に組み付けられた支持ボルトBをブラケット91のボルト挿通孔92Aに挿通してシートフレーム90側に配置された2つのナットNに締め付ける。これにより、図22から図24に示すように、アーム本体30がブラケット91に固定され、アーム本体30が肘掛位置と跳上位置との間を回動変位可能となる。
【0064】
次に、アーム側ワイヤハーネスWにおけるアーム側コネクタ38と、収容部44に進入したシート側コネクタ97のフード部97Aとを嵌合させる。
【0065】
ここで、アーム側コネクタ38とシート側コネクタ97との嵌合作業は、作業開口部48がコネクタ挿通孔47を完全に露出させる大きさとなっており、シート側コネクタ97のフード部97Aがコネクタ挿通孔47を通して収容部44内に進入して左方に向かって臨んだ状態となっているから、作業開口部48を通して容易に実施することができる。
【0066】
ところで、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38との嵌合作業では、シート側コネクタ97に対してアーム側コネクタ38を左方から嵌合させる際に、アーム側コネクタ38を左右方向に変位させるための嵌合ストローク長に相当する長さ寸法の電線W1が、電線配索路37に配置される電線W1の長さに加えて必要となる。
【0067】
しかしながら、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38との嵌合が完了すると、嵌合ストローク長に相当する長さ寸法の電線W1はアーム本体30内おいて余長となってしまう。
【0068】
ところが、本実施形態によると、図6および図11に示すように、アーム側コネクタ38に導入される電線W1の端部W1Aが収容される収容部44は、収容部44内に配索される電線W1に加え、電線W1の余長などを収容することができる大きさとなっているから、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38との嵌合作業に必要な嵌合ストロークの長に相当する電線W1の余長を収容することができる。
【0069】
つまり、本実施形態によると、アーム側ワイヤハーネスWにおける電線W1の余長を容易に処理することができるから、アームレスト20をシート80に取り付ける取付作業性をさらに向上させることができるようになっている。
【0070】
さらに、本実施形態によると、アーム本体30が肘掛位置と跳上位置との間の中間位置に配置されると、アーム側コネクタ38と第1配索路37Aとの間の距離が最も短くなり、アーム側ワイヤハーネスWにおいて電線W1に余長が生じてしまう。ところが、収容部44は、収容部44に配索される電線W1に加え、電線W1の余長などを収容することができる大きさとなっているから、アーム本体30の回動に伴う電線W1の余長によってアーム本体30の回動が妨げられることを抑制することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態のアームレスト20は、シート(被固定部材)80に設けられたシート側コネクタ(被固定部材側コネクタ)97と嵌合可能なアーム側コネクタ38が少なくとも1本の電線W1の端末に設けられたアーム側ワイヤハーネスWと、アーム側ワイヤハーネスWの電線W1が配索される電線配索路37と、シート80のシートフレーム90側に配されるシート側壁部(部材側壁部)40Aとを有し、シート側壁部40Aとシートフレーム90とを対向させた状態でシートフレーム90に固定されるアーム本体30と、を備え、シート側壁部40Aには、図6および図11に示すように、アーム側コネクタ38が挿通可能なコネクタ挿通孔47が形成されており、アーム本体30には、電線配索路37の収容部44を介してコネクタ挿通孔47と連通する作業開口部48が設けられている。
【0072】
すなわち、シート側壁部40Aを対向させるようにシートフレーム90にアーム本体30を取り付けた後に、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38とを嵌合させる嵌合作業を作業開口部48から実施することができる。これにより、アームレスト20をシート80に取り付ける取付作業性を向上させることができる。
【0073】
また、アーム本体30には、図7および図8に示すように、作業開口部48を閉塞する第2カバー部材50が装着可能とされているから、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38との嵌合作業後に、作業開口部48を閉塞することができる。これにより、例えば、作業開口部を開放したままのものに比べて、アーム本体30内に配索されたアーム側ワイヤハーネスWを保護することができると共に、アーム本体30の強度が低下することを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態によると、アーム本体30がシートフレーム90に取り付けられた状態では、コネクタ挿通孔47には、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38とが嵌合した状態で挿通されているから、振動やアーム本体30を回動変位させる際に、コネクタ挿通孔47の縁部のエッジによって、シート側ワイヤハーネス95の電線96やアーム側ワイヤハーネスWの電線W1が損傷することを防ぐことができる。
【0075】
ところで、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38とを嵌合させるためには、それぞれのワイヤハーネス95,Wにおいて、嵌合ストロークに対応する長さの電線W1が必要となるものの、両コネクタ38,97の嵌合後には、嵌合ストロークの長さに相当する電線W1を余長として後処理を行わなければならなくなってしまう。
ところが、電線配索路37の収容部44内には、シート側コネクタ97とアーム側コネクタ38とを嵌合させるための嵌合ストロークに対応する長さの電線W1の余長が収容可能となっているから、アーム側ワイヤハーネスWにおける電線W1の余長を容易に処理することができる。これにより、アームレスト20をシートフレーム90に取り付ける取付作業性を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態のアームレスト付きシート10は、前記アームレスト20と、シート80とを備え、シート側コネクタ97は、アーム本体30がシートフレーム90に取り付けられた状態では、コネクタ挿通孔47に臨むようにシートフレーム90に固定されている。
【0077】
つまり、アーム本体30がシート80のシートフレーム90に取り付けられると、シート側コネクタ97がコネクタ挿通孔47に臨んだ状態となるから、シート側コネクタ97に対してアーム側コネクタ38を嵌合させ易くなり、嵌合作業を作業開口部48からさらに容易に実施することができる。これにより、アームレスト20をシート80に取り付ける取付作業性をさらに向上させることができる。
【0078】
さらに、本実施形態では、アーム本体30は、シートフレーム90とアーム本体30とに亘って設けられた支持ボルト(回動軸)Bを支点に回動可能とされており、電線配索路37の収容部44には、アーム本体30の回動に伴うアーム側ワイヤハーネスWの電線W1の余長が収容可能とされている。
【0079】
つまり、アーム側ワイヤハーネスWの電線W1を配索する電線配索路37の収容部44を、アーム本体30の回動に伴う電線W1の余長を収容する余長収容部として兼用することができるから、例えば、余長収容部を別途設ける場合に比べて、アーム本体30の構造を簡素化することができる。
【0080】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0081】
(1)上記実施形態では、車両のシート80にアームレスト20が取り付けられた構成とした。しかしながら、これに限らず、アームレストは、航空機のシート、艦船のシート、電車などのシートに取り付けられる構成にしてもよく、必要に応じて任意の部材に取り付けられる構成としてもよい。
【0082】
(2)上記実施形態では、シート80の左側部にアームレスト20が取り付けられた構成とした。しかしながら、これに限らず、アームレストは、シートの右側部や、シートの両側部に取り付けられる構成にしてもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、アーム本体30がシートフレーム90のブラケット91に固定されると、シート側コネクタ97がコネクタ挿通孔47から収容部44内に進入する構成とした。しかしながら、これに限らず、シート側コネクタの開口がコネクタ挿通孔に向かって臨んだ状態になっていれば、シート側コネクタがコネクタ挿通孔から収容部内に進入しない構成にしてもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、アーム本体30がシートフレーム90のブラケット91に対して回動する構成とした。しかしながら、これに限らず、アーム本体がブラケットに対して回動しないように固定される構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10:アームレスト付きシート
20:アームレスト
30:アーム本体
35:側壁部(「部材側壁部」の一例)
37:電線配索路
38:アーム側コネクタ
40A:シート側壁部(「部材側壁部」の一例)
44:収容部(「電線配索路」の一例)
47:コネクタ挿通孔
48:作業開口部
50:第2カバー部材(「カバー部材」の一例)
80:シート(「被固定部材」の一例)
90:シートフレーム(「被固定部材」の一例)
91:ブラケット(「被固定部材」の一例)
97:シート側コネクタ(「被固定部材側コネクタ」の一例)
B:支持ボルト(「回動軸」の一例)
W:アーム側ワイヤハーネス
W1:電線
図1
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