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特許7179157高圧エキスパンダプロセスのための熱交換器構成及びそれを用いた天然ガス液化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】高圧エキスパンダプロセスのための熱交換器構成及びそれを用いた天然ガス液化方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20221118BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20221118BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J5/00
F25J3/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021507935
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019044146
(87)【国際公開番号】W WO2020040953
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】62/721,374
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002476
【氏名又は名称】エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ピエール フリッツ
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-165562(JP,A)
【文献】特表2012-513005(JP,A)
【文献】特表2007-506064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法であって、下記:
a. 前記供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;
b. 1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること
(ここで、前記第1の冷媒は、前記圧縮された第1の冷媒流を含む);
c. 前記圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;
d. この冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;
e. 前記供給ガス流を前記膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して、液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成すること;
f. 前記第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;
g. この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を前記膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流を形成すること;
h. このさらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;及び
i. 前記液化供給ガス流を前記膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部が、前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第2の冷媒流を形成し、
前記第2の温められた第2の冷媒流が圧縮されて、前記圧縮された第2の冷媒流を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧縮された第1の冷媒流が、少なくとも90モル%のメタンを含み、
前記圧縮された第2の冷媒流が、少なくとも95モル%の窒素を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の冷却システムが、閉ループ気相冷却サイクルであり、
前記第2の冷却システムが、閉ループ気相冷却サイクルであり、かつさらに前記第2の冷媒が窒素ガスを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の温度範囲が、-70℃~-110℃であり、
前記第2の温度範囲が、-130℃~-175℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記過冷却されたLNG流が、50psia(3.4×105Pa)以上~450psia(3.1×106Pa)以下の圧力まで膨張させられて、膨張し、過冷却されたLNG流を生成し、
オプションとして、前記膨張し、過冷却されたLNG流の少なくとも一部が、さらに膨張させられてから、分離タンクに方向づけられ、そこから液体天然ガスが引き抜かれ、残留ガス蒸気がフラッシュガスとして引き抜かれる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記供給ガス流を前記第1の温度範囲に冷却する前に、前記供給ガス流が、3,500psia(2.4×10 7 Pa)以下の圧力まで圧縮されてから、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記供給ガス流を前記膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって冷却する前に、前記供給ガス流が、外部冷却ユニット内で間接熱交換によって周囲温度未満の温度に冷却される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却された第1の冷媒流を膨張させる前に、前記冷却された第1の冷媒流が、外部冷却ユニット内で間接熱交換によって周囲温度未満の温度に冷却され、
前記温められた第1の冷媒流が圧縮されて、前記圧縮された第1の冷媒流を形成する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を有する第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法であって、下記:
a. 前記供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;
b. 1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること
(ここで、前記第1の冷媒流は、前記圧縮された第1の冷媒流を含む);
c. この圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;
d. この冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;
e. この膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けること;
f. 前記供給ガス流を前記第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流を形成すること(ここで、前記第1の膨張した第1の冷媒流は、前記供給ガス流と熱交換するだけで第1の温められた第1の冷媒流を形成する);
g. 前記第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却し、それによって冷却された第2の冷媒流を生成すること;
h. この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を前記第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却し、それによってさらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第1の冷媒流を形成すること;
i. 前記さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;及び
j. 前記液化供給ガス流を前記膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却し、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成すること
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月22日に出願された米国仮出願第62/721374号、"熱交換器 Configuration for a High Pressure Expander Process and a Method of Natural Gas Liquefaction Using the Same";2017年9月29日に出願された米国仮出願第62/565,725号、"Natural Gas Liquefaction by a High Pressure Expansion Process";2017年9月29日に出願された米国仮出願第62/565,733号、"Natural Gas Liquefaction by a High Pressure Expansion Process";及び2017年10月25日に出願された米国仮出願第62/576,989号、"Natural Gas Liquefaction by a High Pressure Expansion Process Using Multiple Turboexpander Compressors"の優先権の利益を主張する。これらの開示内容は、参照することにより全ての目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、共同所有権を有し、同日付けで出願された米国仮出願第62/721367号、"Managing Make-Up Gas Composition Variation for a High Pressure Expander Process";及び米国仮出願第62/721375号、"Primary Loop Start-up Method for a High Pressure Expander Process"に関連し、これらの開示内容は、参照することにより全ての目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
開示の分野
本開示は、一般的に液化天然ガス(LNG)生産に関する。より詳細には、本開示は、高圧でのLNG生産に関する。
【0004】
関連技術の説明
このセクションは、本開示に関連し得る技術の種々の態様を紹介することを意図する。この考察は、本開示の特定態様のより良い理解を促進するための枠組を提供することを意図する。従って、このセクションは、この観点から読むべきであり、必ずしも先行技術の承認として読むべきでない。
天然ガスは、そのクリーンな燃焼の質及び便利さのため、ここ数年で広く使用されるようになってきた。多くの天然ガス源は、ガスのいずれの商業市場からも遠く離れた遠隔地にある。生産された天然ガスを商業市場へ輸送するためにピペリンが利用可能なこともある。ピペリン輸送が実現不可能なとき、生産された天然ガスは、市場への輸送のために処理して液化天然ガス(LNG)にされることが多い。
LNGプラントの設計において、最も重要な考慮すべき事柄の1つは、天然ガス供給流をLNGに変換するプロセスである。現在、最も一般的な液化プロセスは、何らかの形の冷却システムを使用する。天然ガスを液化するために多くの冷却サイクルが使用されてきたが、今日LNGプラントでは、下記3つのタイプが最も一般的に使用されている:(1)ガスの温度を液化温度まで漸進的に下げるように配置された熱交換器内で複数の単成分冷媒を使用する「カスケードサイクル」;(2)特別に設計された熱交換器内で多成分冷媒を使用する「多成分冷却サイクル」;及び(3)温度の低下に対応してガスを供給ガス圧から低圧まで膨張させる「エキスパンダサイクル」。ほとんどの天然ガス液化サイクルは、これらの3つの基本タイプのバリエーション又は組み合わせを使用する。
【0005】
多成分冷却サイクルでは、液化プロセスに用いる冷媒は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及び窒素等の成分の混合物を含んでよい。「カスケードサイクル」では、冷媒は、プロパン、エチレン、又は窒素等の純物質であってもよい。組成が厳密に制御された相当な量のこれらの冷媒が必要とされる。さらに、このような冷媒を輸入及び貯蔵しなければならないことがあり、これは、特に遠隔地でのLNG生産に対してロジスティクス要件を強いる。これとは別に、一部の冷媒成分は、一般的に液化プロセスと統合された蒸留プロセスによって調製可能である。
供給ガス冷却を可能にし、それによって冷媒取扱いのロジスティック問題を排除又は軽減するガスエキスパンダの使用は、場合によっては冷媒ベースの冷却に勝る利点を有するように見える。エキスパンダシステムは、冷媒ガスを膨張タービンを介して膨張させ、それによって仕事をし、ガスの温度を下げることができるという原則に基づいて作動する。そして低温ガスは供給ガスと熱交換されて必要とされる冷却をもたらす。ガスエキスパンダで冷却膨張から得られる動力を用いて、冷却サイクルで用いられる主圧縮力の一部を供給することができる。LNG製造用の典型的なエキスパンダサイクルは、典型的に約6,895kPa(1,000psia)未満の供給ガス圧で作動する。供給ガスを完全に液化するためには一般的に補助冷却が必要であり、これは二次冷却及び/又は過冷却ループ等の追加冷媒システムによって提供し得る。例えば、米国特許第6,412,302号及び米国特許第5,916,260号は、過冷却ループで冷媒として窒素を用いるエキスパンダサイクルを提示している。
【0006】
しかしながら、以前に提案されたエキスパンダサイクルは全て、冷媒システムに基づく現在の天然ガス液化サイクルほど熱力学的に効率的でない。従って、エキスパンダサイクルは、今日まで設置コストの如何なる利点をも提供しておらず、冷媒を必要とする液化サイクルが未だに天然ガス液化の好ましい選択肢である。
エキスパンダサイクルは、再循環ガス流の高流速をもたらし、一次冷却(加温)段階にとって非常に非効率なので、ガスエキスパンダは、典型的に、例えば、閉サイクル内で外部冷媒を用いて-20℃をはるかに下回る温度まで供給ガスを予冷した後でそれをさらに冷却するために使用されている。このように、ほとんどの提案されたエキスパンダサイクルの共通要因は、ガスがエキスパンダに入る前にガスを予冷するための第2の外部冷却サイクルが必要なことである。このような外部冷却サイクルとエキスパンダサイクルの併用は、「ハイブリッドサイクル」と呼ばれることがある。このような冷媒ベースの予冷は、エキスパンダ使用の非効率性の主原因を排除するが、外部冷媒を排除できるというエキスパンダサイクルの利益を著しく少なくする。
【0007】
米国特許出願US2009/0217701は、外部冷媒の必要性を排除し、効率を改善し、少なくとも現在使用中の冷媒ベースサイクルの効率に匹敵するように一次冷却ループ内で高圧を利用するという概念を導入した。米国特許出願US2009/0217701で開示された高圧エキスパンダプロセス(HPXP)は、他のエキスパンダサイクルと異なる方法で高圧エキスパンダを用いるエキスパンダサイクルである。供給ガス流の一部を抽出し、開ループ又は閉ループ冷却サイクルのいずれかで冷媒として用いて、供給ガス流をその臨界温度未満に冷却することができる。代わりに、LNGボイルオフガスの一部を抽出し、閉ループ冷却サイクルで冷媒として用いて、供給ガス流をその臨界温度未満に冷却することができる。この冷却サイクルは、一次冷却ループと呼ばれる。一次冷却ループの後に過冷却ループが続き、これは供給ガスをさらに冷却する役割を果たす。一次冷却ループ内では、冷媒が1,500psia(1.0×107Pa)超の圧力まで、さらに好ましくは約3,000psia(2.1×107Pa)の圧力まで圧縮される。次に冷媒は、周囲冷却媒体(空気又は水)に接触して冷却された後にほぼ等エントロピー的に膨張して、供給ガスを液化するために必要とされる冷たい冷媒をもたらす。
【0008】
図1は、既知のHPXP液化プロセス100の例を示し、米国特許出願US2009/0217701で開示された1以上のプロセスに類似する。図1では、エキスパンダループ102(すなわち、エキスパンダサイクル)及び過冷却ループ104が使用される。供給ガス流106は約1,200psia(8.3×106Pa)未満、又は約1,100psia(7.6×106Pa)未満、又は約1,000psia(6.9×106Pa)未満、又は約900psia(6.9×106Pa)未満、又は約800psia(5.5×106Pa)未満、約700psia(4.8×106Pa)未満、約600psia(6.2×106Pa)未満の圧力でHPXP液化プロセスに入る。典型的に、供給ガス流106の圧力は約800psia(5.5×106Pa)であろう。供給ガス流106は、一般的に、技術上周知のプロセス及び機器を用いて混入物を除去する処理がなされた天然ガスを含む。
【0009】
エキスパンダループ102内で、圧縮ユニット108が冷媒流109(処理済みガス流であってよい)を約1,500psia(1.03×107Pa)以上の圧力まで圧縮し、結果として圧縮された冷媒流110をもたらす。代わりに、冷媒流109が約1,600psia(1.10×107Pa)以上、又は約1,700psia(1.17×107Pa)以上、又は約1,800psia(1.24×107Pa)以上、又は約1,900psia(1.31×107Pa)以上、又は約2,000psia(1.38×107Pa)以上、又は約2,500psia(1.72×107Pa)以上、又は約3,000psia(2.07×107Pa)以上の圧力まで圧縮され、結果として圧縮された冷媒流110をもたらすことがある。圧縮ユニット108を出た後、圧縮された冷媒流110は冷却器112に送られ、そこで適切な冷却流体との間接熱交換によって冷却されて、圧縮され、冷却された冷媒流114をもたらす。冷却器112は、いずれのタイプの冷却器も使用可能であるが、冷却流体として水又は空気を供給するタイプのものであってよい。圧縮され、冷却された冷媒流114の温度は、周囲条件及び使用する冷却媒体によって決まり、典型的に約35°F(1.7℃)~約105°F(40.6℃)である。圧縮され、冷却された冷媒流114は、次にエキスパンダ116に送られ、そこで膨張し、引き続き冷却されて、膨張した冷媒流118を形成する。エキスパンダ116は、圧縮のために抽出及び使用可能なワークを生成するワーク膨張装置、例えばガスエキスパンダであってよい。膨張した冷媒流118は、第1の熱交換器120に送られ、第1の熱交換器120に冷却能力の少なくとも一部を与える。第1の熱交換器120を出るとすぐに、膨張した冷媒流118は、加圧のため圧縮ユニット122に供給されて冷媒流109を形成する。
【0010】
供給ガス流106は、第1の熱交換器120を通って流れ、そこで、少なくとも一部は、膨張した冷媒流118との間接熱交換によって冷却される。第1の熱交換器120を出た後、供給ガス流106は第2の熱交換器124に送られる。第2の熱交換器124の主要機能は、供給ガス流を過冷却することである。従って、第2の熱交換器124では供給ガス流106が過冷却ループ104(後記)で過冷却されて過冷却流126を生成する。過冷却流126は、次にエキスパンダ128内でより低い圧力まで膨張して、液体フラクションと残留蒸気フラクションを形成する。エキスパンダ128は、いずれの減圧装置であってもよく、限定するものではないが、弁、制御弁、ジュール・トムソン弁、ベンチュリ装置、液体エキスパンダ、水力タービン等が挙げられる。今やより低い圧力であり、部分的に液化された過冷却流126はサージタンク130に送られ、そこで液化フラクション132は、沸点圧力に対応する温度を有するLNG流134としてプロセスから引き抜かれる。残留蒸気フラクション(フラッシュ蒸気)流136は、圧縮ユニットに動力を供給する燃料として使用可能である。
【0011】
過冷却ループ104では、膨張した過冷却冷媒流138(好ましくは窒素を含む)がエキスパンダ140から吐出され、第2及び第1の熱交換器124、120を通って引き出される。膨張した過冷却冷媒流138は、次に圧縮ユニット142に送られ、そこでより高い圧力まで再圧縮され、温められる。圧縮ユニット142を出た後、再圧縮された過冷却冷媒流144は冷却器146内で冷却される。この冷却器は、いずれのタイプの冷却器も使用可能であるが、冷却器112と同タイプのものであり得る。冷却後、再圧縮された過冷却冷媒流は第1の熱交換器120に送られ、そこで、膨張した冷媒流118及び膨張した過冷却冷媒流138との間接熱交換によってさらに冷却される。第1の熱交換器120を出た後、再圧縮及び冷却された過冷却冷媒流は、エキスパンダ140を通って膨張して冷却流をもたらし、これが次に第2の熱交換器124を通過して、供給ガス流の、最終的に膨張してLNGを生成することになる部分を過冷却する。
【0012】
米国特許出願US2010/0107684は、外部冷却を加えて、圧縮された冷媒を周囲条件未満の温度までさらに冷却すると、特定状況では、外部冷却に付随して追加される機器を正当化する顕著な利点をもたらすという発見を通じたHPXPの性能改善を開示した。上記特許出願に記載のHPXPの実施形態は、単一混合冷媒プロセス等の代替混合外部冷媒LNG生産プロセスに匹敵する性能を果たす。しかしながら、HPXPの効率並びに全体的なトレイン(train)能力をさらに改善する必要性が残っている。特に供給ガス圧力が1,200psia(8.3×106Pa)未満の場合にHPXPの効率を改善する必要性が残っている。
米国特許出願2010/0186445は、4,500psia(3.1×107Pa)までの供給原料圧縮のHPXPへの組み入れを開示した。HPXPの一次冷却ループ内でガスを液化する前に供給ガスを圧縮することは、全体的なプロセス効率を高めるという利点を有する。所与の生産率のために、このことは、一次冷却ループ内で必要とされる冷媒の流速を顕著に下げるという利点をも有し、コンパクトな機器の使用を可能にし、特にフローティングLNG用途にとって魅力的である。さらに、供給原料圧縮は、一次冷却及び過冷却ループに費やされる固定量の動力に対して30%を超えてHPXPトレインのLMG生産量を増やす手段を与える。この生産率のフレキシビリティは、この場合もやはり、冷媒ループドライバーの選択を所望の生産率と調和させる際に陸上用途に比べて多くの制限があるフローティングLNG用途にとって魅力的である。
【0013】
上で引用した従来技術に記載の改善にもかかわらず、引用技術のどれも好ましいか又は最適の熱伝達方法について詳細に述べていない。さらに、引用技術のどれもHPXPプロセスに用いる主低温熱交換器の好ましいか又は最適の構成について記載していない。主低温熱交換器は、液化プロセスにおいて一般的に最も大きく、最も重く、かつ最もコストのかかる要素の1つなので、液化効率を改善し及び/又は主低温熱交換器のコスト、サイズ、若しくは重量のいずれかを削減するいずれの構成又はデザインもその使用者に利益又は利点をもたらすことになる。これらの利益又は利点を得るためには、HPXPに基づく液化プロセスの熱交換器エリア内の加温流と冷却流との間の好ましい熱交換方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0014】
概要
開示の態様に従って、第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法を開示する。供給ガス流は、1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給される。1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流が供給され、ここで、第1の冷媒は、この圧縮された第1の冷媒流を含み;圧縮された第1の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流を生成する。冷却された第1の冷媒流は、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させられ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する。供給ガス流は、膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換することによって第1の温度範囲内まで冷却されて、液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成する。第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流が供給され、この圧縮された第2の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第2の冷媒流を生成する。この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部が、膨張した第1の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流を形成する。このさらに冷却された第2の冷媒流は膨張させられて、膨張した第2の冷媒流を形成する。液化供給ガス流は、この膨張した第2の冷媒流と熱交換することによって第2の温度範囲内まで冷却されて、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する。
【0015】
本開示の他の態様に従って、第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を有する第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法を提供する。供給ガス流は、1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給される。1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流が供給され、ここで、第1の冷媒流は、この圧縮された第1の冷媒流を含む。圧縮された第1の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流を生成する。この冷却された第1の冷媒流は、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させられ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する。この膨張した第1の冷媒流は、第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けられる。供給ガス流は、第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換することによって第1の温度範囲内まで冷却されて、液化供給ガス流を形成し、ここで、第1の膨張した第1の冷媒流は、供給ガス流と熱交換するだけで第1の温められた第1の冷媒流を形成する。第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流が供給され、この圧縮された第2の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却され、それによって冷却された第2の冷媒流を生成する。この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部が、第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却され、それによってさらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第1の冷媒流を形成する。さらに冷却された第2の冷媒流は膨張させられて、膨張した第2の冷媒流を形成する。液化供給ガス流は、膨張した第2の冷媒流と熱交換することによって第2の温度範囲内まで冷却され、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する。
【0016】
本開示のさらに他の態様に従って、第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法を提供する。供給ガス流は、1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給される。1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流が供給され、この圧縮された第1の冷媒流は第1の冷媒を含む。圧縮された第1の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流を生成する。この冷却された第1の冷媒流は、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させられ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する。供給ガス流は、この膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換することによって第1の温度範囲内まで冷却され、それによって液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成する。第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流が供給され、圧縮された第2の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却され、それによって冷却された第2の冷媒流を生成する。この冷却された第2の冷媒流は、第1の温められた第2の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却されてから、このさらに冷却された第2の冷媒流は第1の冷却された第2の冷媒流と第2の冷却された第2の冷媒流に分けられる。第1の冷却された第2の冷媒流は、第1の温められた第2の冷媒流と熱交換し続けることによってさらに冷却され、それによって第1のさらに冷却された第2の冷媒流を生成する。第2の冷却された第2の冷媒流は、膨張した第1の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却され、それによって第2のさらに冷却された第2の冷媒流を生成する。第1のさらに冷却された第2の冷媒流と第2のさらに冷却された第2の冷媒流が混ぜ合わせられてから膨張させられ、それによって膨張した第2の冷媒流を形成する。液化供給ガス流は、この膨張した第2の冷媒流と熱交換することによって第2の温度範囲内まで冷却され、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する。
【0017】
本開示のさらに他の態様に従って、第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法であって、第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンをも使用する方法を提供する。供給ガス流は、1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給される。1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流が供給される。この圧縮された第1の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流を生成する。この冷却された第1の冷媒流は、第2の熱交換器ゾーンに方向づけられて、冷却された第1の冷媒流は周囲温度未満にさらに冷却されて、さらに冷却された第1の冷媒流を生成する。このさらに冷却された第1の冷媒流は、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させられ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する。この膨張した第1の冷媒流は、第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けられる。供給ガス流は、第1の熱交換器ゾーン内で第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換することによって冷却されて、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流及び第1の温められた第1の冷媒流を形成し、ここで、この第1の温められた第1の冷媒流は、供給ガス流と熱交換するだけである。第1の温められた第1の冷媒流と第2の温められた第2の冷媒流が混ぜ合わせられて第3の温められた第1の冷媒流を生成する。この第3の温められた第1の冷媒流は、第2の熱交換器ゾーンに方向づけられて、冷却された第1の冷媒流を間接熱交換によって冷却し、それによって第4の温められた第1の冷媒流を形成する。圧縮された第2の冷媒流は、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第2の冷媒流を生成する。この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部が、第1の熱交換器ゾーン内で第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第2の冷媒流を形成する。さらに冷却された第2の冷媒流は膨張させられて、膨張した第2の冷媒流を形成する。液化供給ガス流は、第1の熱交換器ゾーン内でこの膨張した第2の冷媒流と熱交換することによって冷却されて、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する。
【0018】
前述の記載は、以下の詳細な説明をより良く理解できるように本開示の特徴の概要を広く述べた。本明細書ではさらなる特徴につても記載する。
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、下記説明、添付の特許請求の範囲及び以下に簡単に説明する添付図面から明らかになであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既知の原理に従うLNG生産システムの概略図である。
図2】開示態様に従うLNG生産システムの概略図である。
図3】開示態様に従うLNG生産システムの概略図である。
図4】開示態様に従うLNG生産システムの概略図である。
図5】開示態様に従うLNG生産システムの概略図である。
図6】開示態様に従うLNG生産システムの概略図である。
図7】開示態様に従うLNG生産システムの概略図である。
図8】本開示の態様に従う方法のフローチャートである。
図9】本開示の態様に従う方法のフローチャートである。
図10】本開示の態様に従う方法のフローチャートである。
図11】本開示の態様に従う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面は単なる例であり、図面によって本開示の範囲を制限する意図でないことに留意すべきである。さらに、図面は、一般的に正確な比率ではなく、本開示の種々の態様を説明する際の簡便さ及び明瞭さの目的に合わせて描いてある。
【0021】
詳細な説明
次に、本開示の原理の理解を促進するため、図面に示す特徴に言及し、個別用語を用いて同一のものを記述する。それでもなお、それによって本開示の範囲を限定する意図でないことを理解すべきである。本明細書に記載される開示の原理のいずれの変形形態及びさらなる変更形態、並びにいずれのさらなる応用も、本開示が関連する技術の当業者に一般的に心に浮かぶように企図される。明瞭さのため、本開示に関係のない特徴は図面に示さないこともある。
最初に、参照し易さのため、本出願で用いる特定用語及び本テキストで使用するそれらの意味を説明する。本明細書で使用する用語について以下に定義しない限りは、関連技術者が少なくとも1つの刊行物又は発行特許で反映された当該用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、同一又は類似目的に役立つ全ての等価物、同義物、新たな開発、及び用語又は技術は、本特許請求の範囲内に入るとみなされるので、本技術は、以下に示す用語の利用によって限定されない。
当業者には明白なように、様々な人が様々な名称で同一の特徴又は要素に言及することがある。本文書は、名称のみが異なる要素又は特徴を区別するつもりはない。図面は、必ずしも正確な比率ではない。本明細書では比率を誇張するか又は概略的形態で特定の特徴及び要素を示すことがあり、明瞭さ及び簡便さのために従来要素の一部の詳細を示さないことがある。本明細書に記載の図面に言及するとき、単純にするため複数の図面で同一の参照番号に言及することがある。下記説明及び特許請求の範囲では、用語「including」及び「comprising」は、無制限様式で使用し、従って、「含むが、これらに限定されない」という意味に解釈すべきである。
【0022】
品詞「the」、「a」及び「an」は、必ずしも1のみを意味するよう限定されず、むしろ、場合よっては、複数の該要素を含めるように、包括的かつ無制限である。
本明細書で使用する場合、用語「約(approximately)」、「約(about)」、「実質的に」、及び類似用語は、本開示の主題が関連する技術の当業者に一般的かつ許容される用法と調和する広い意味を有するよう意図される。本開示を精査する当業者は、これらの用語が、記載及び請求される明白な特徴の記述をこれらの特徴の範囲を与えられた正確な数値範囲に限定することなく認めるよう意図されることを理解すべきである。従って、これらの用語は、記載される主題のごくわすか又は重要でない修正又は変更は本開示の範囲内に入るものとみなされることを示すものと解釈すべきである。「近い」という用語は、数又は量の2%以内、又は5%以内、又は10%以内を意味するよう意図される。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語「周囲」は、装置が配置される大気環境又は水域環境を指す。本明細書で使用する用語「周囲温度」又は「周囲温度に近い温度」は、特別の定めのない限り、任意の物理的又は化学的事象が起こる環境の温度プラス又はマイナス10度、或いは、5度、或いは、3度、或いは2度、或いは1度の温度を指す。周囲温度の典型的範囲は、約0℃(32°F)と約40℃(104°F)の間であるが、この範囲より高いか又は低い温度が周囲温度に含まれることがある。それは、温度及び/又は湿度が制御されているビル又は他の構造体内のような特定の特性を有する環境を準備する一部の特殊用途で考えられるが、このような環境は、それがヒートシンク材料の体積よりかなり大きく、装置の作動によって実質的に影響を受けない場合にのみ「周囲」であるとみなされる。「周囲」環境のこの定義は、静的環境を必要としないことに留意すべきである。実際に、環境条件は、熱力学的エンジンの作動以外の多くの要因の結果として変化することがあり、温度、湿度及び他の条件は、規則的概日周期の結果として、地域の気候パターンの変化の結果として等で変化し得る。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「圧縮ユニット」は、いずれか1つのタイプの圧縮機器又は同一若しくは異なるタイプの圧縮機器の組み合わせを意味し、物質又は物質混合物の圧縮技術で知られる補助機器が含まれることがある。「圧縮ユニット」が1つ以上の圧縮段階を利用することもある。例示コンプレッサとしては、限定するものではないが、容積式タイプ、例えば往復コンプレッサ及び回転コンプレッサ等、並びに動的タイプ、例えば、遠心コンプレッサ及び軸流コンプレッサ等が挙げられる。
用語「ガス」は、「蒸気」と互換的に用いられ、液体状態又は固体状態と区別される気体状態の物質又は物質混合物と定義される。同様に、用語「液体」は、気体状態又は固体状態と区別される液体状態の物質又は物質混合物を意味する。
本明細書で使用する場合、「熱交換エリア」は、熱伝達促進技術で知られるいずれか1つのタイプの機器又は類似若しくは異なるタイプの機器の組み合わせを意味する。従って、「熱交換エリア」は1台の機器内に含まれることがあり、或いは複数台の機器に含まれるアリアを含むことがある。逆に、複数の熱交換エリアが1台の機器に含まれることもある。
【0025】
「炭化水素」は、主に水素及び炭素元素を含むが、窒素、硫黄、酸素、金属元素、又は任意数の他の元素が少量存在することもある有機化合物である。本明細書で使用する場合、炭化水素は、一般的に天然ガス、油、又は化学処理施設内で見られる成分を指す。
本明細書で使用する場合、用語「ループ」と「サイクル」を互換的に用いる。
本明細書で使用する場合、「天然ガス」は、LNGの製造に適したガス状供給原料を意味し、この供給原料はメタンリッチガスである。「メタンリッチガス」は、主成分としてメタン(C1)を含有する、すなわち、質量で少なくとも50%のメタンの組成を有するガスである。天然ガスには、油田井から得られるガス(随伴ガス)又はガス井から得られるガス(非随伴ガス)が含まれることがある。
【0026】
本発明の実施形態は、天然ガス及び他のメタンリッチガス流を液化して液化天然ガス(LNG)及び/又は他の液化メタンリッチガスを生産するプロセスを提供する。添付の特許請求の範囲を含め、本明細書で使用する天然ガスという用語は、LNGの製造に適したガス状供給原料を意味する。天然ガスは、油田井から得られるガス(随伴ガス)又はガス井から得られるガス(非随伴ガス)を含む可能性がある。天然ガスの組成は、著しく変動し得る。本明細書使用する場合、天然ガスは、主成分としてメタン(C1)を含有するメタンリッチガスである。
本明細書のLNG生産方法の1以上の実施形態では、第1の冷却システム及び第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する。第1の冷却システムを用いて供給ガス流を第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流を形成する。第1の温度範囲は、-70℃~-110℃である。次に第2の冷却システムを用いて液化供給ガス流を第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流を形成する。第2の温度範囲は、-130℃~-175℃である。
【0027】
本発明は、第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて、供給ガス流、特にメタンに富む供給ガス流を液化する方法である。本方法の第1の実施形態は下記:(a)供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;(b)1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること(この圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷却システムの冷媒である);(c)圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;(d)冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;(e)供給ガス流を膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成すること;(f)第2の冷却システムの冷媒である圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;(g)冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流を形成すること;(h)さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;(i)液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成することを含む。
【0028】
第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法の第2の実施形態では、方法は第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンをも使用し、下記:(a)供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;(b)1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること(この圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷却システムの冷媒である);(c)圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;(d)冷却された第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、冷却された第1の冷媒流を周囲温度未満にさらに冷却して、さらに冷却された第1の冷媒流を生成すること;(e)さらに冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;(f)第1の熱交換器ゾーン内で供給ガス流を膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって冷却して、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流及び第1の温められた第1の冷媒流を形成すること(そのために第1の温められた第1の冷媒流は、第1の熱交換器ゾーン内の最高流体温度より少なくとも2℃冷たい温度を有し、かつ第1の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプは、第2の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプと異なる);(g)第1の温められた第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、冷却された第1の冷媒流を間接熱交換によって冷却し、それによって第2の温められた第1の冷媒流を形成すること;(h)第2の冷却システムの冷媒である圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;(i)冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を第1の熱交換器ゾーン内で膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流を形成すること;(j)さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;(k)液化供給ガス流を第1の熱交換器ゾーン内で膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成することを含む。
【0029】
第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却流の第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法の第3の態様では、方法は下記:(a)供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;(b)1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること(この圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷却システムの冷媒である);(c)圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;(d)冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;(e)膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けること;(f)供給ガス流を第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流を形成すること(この第1の膨張した第1の冷媒流は、供給ガス流と熱交換するだけで第1の温められた第1の冷媒流を形成する);(g)第2の冷却システムの冷媒である圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;(h)冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第1の冷媒流を形成すること;(i)さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させ、膨張した第2の冷媒流を形成すること;(j)液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成することを含む。
【0030】
第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法の第4の実施形態では、方法は第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンをも使用し、下記:(a)供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;(b)1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること(この圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷却システムの冷媒である);(c)圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;(d)冷却された第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、この冷却された第1の冷媒流を周囲温度未満にさらに冷却して、さらに冷却された第1の冷媒流を生成すること;(e)さらに冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;(f)膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けること;(g)供給ガス流を第1の熱交換器ゾーン内で第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流及び第1の温められた第1の冷媒流を形成すること(そのために第1の温められた第1の冷媒流は供給ガス流と熱交換するだけであり、第1の熱交換器ゾーン内の最高流体温度より少なくとも2℃冷たい温度を有し、かつ第1の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプは、第2の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプと異なる);(h)第1の温められた第1の冷媒流と第2の温められた第2の冷媒流を混ぜ合わせて第3の温められた第1の冷媒流を生成すること;(i)第3の温められた第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、冷却された第1の冷媒流を間接熱交換によって冷却し、それによって第4の温められた第1の冷媒流を形成すること;(j)第2の冷却システムの冷媒である圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;(k)冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を第1の熱交換器ゾーン内で第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第2の冷媒流を形成すること;(l)さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;(m)液化供給ガス流を第1の熱交換器ゾーン内でこの膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成することを含む。
【0031】
第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法の第5の態様では、方法は下記:(a)供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;(b)1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること(この圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷却システムの冷媒である);(c)圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;(d)冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;(e)供給ガス流を膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して、液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成すること;(f)第2の冷却システムの冷媒である圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;(g)冷却された第2の冷媒流を第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却してから、このさらに冷却された第2の冷媒流を第1の冷却された第2の冷媒流と第2の冷却された第2の冷媒流に分けること;(h)第1の冷却された第2の冷媒流を第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させ続けることによってさらに冷却して、第1のさらに冷却された第2の冷媒流を生成すること;(i)第2の冷却された第2の冷媒流を膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、第2のさらに冷却された第2の冷媒流を生成すること;(j)第1のさらに冷却された第2の冷媒流と第2のさらに冷却された第2の冷媒流を混ぜ合わせてから、この混合流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;(k)液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成することを含む。
【0032】
第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法の第6の実施形態では、方法は第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンをも使用し、下記:(a)供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;(b)1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること(この圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷却システムの冷媒である);(c)圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;(d)冷却された第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、この冷却された第1の冷媒流を周囲温度未満にさらに冷却して、さらに冷却された第1の冷媒流を生成すること;(e)さらに冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;(f)供給ガス流を第1の熱交換器ゾーン内でこの膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって冷却して、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流及び第1の温められた第1の冷媒流を形成すること(そのために第1の温められた第1の冷媒流は、第1の熱交換器ゾーン内の最高流体温度より少なくとも2℃冷たい温度を有し、かつ第1の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプは、第2の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプと異なる);(g)第1の温められた第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、冷却された第1の冷媒流を間接熱交換によって冷却し、それによって第2の温められた第1の冷媒流を形成すること;(h)第2の冷却システムの冷媒である圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;(i)冷却された第2の冷媒流を第1の熱交換器ゾーン内で第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却してから、このさらに冷却された第2の冷媒流を第1の冷却された第2の冷媒流と第2の冷却された第2の冷媒流に分けること;(j)第1の冷却された第2の冷媒流を第1の熱交換器ゾーン内で第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させ続けることによってさらに冷却して、第1のさらに冷却された第2の冷媒流を生成すること;(i)第1の熱交換器ゾーン内の第2の冷却された第2の冷媒流を膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、第2のさらに冷却された第2の冷媒流を生成すること;(j)第1のさらに冷却された第2の冷媒流と第2のさらに冷却された第2の冷媒流を混ぜ合わせてから、この混合流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;(k)第1の熱交換器ゾーン内の液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成することを含む。
【0033】
図2は、開示態様に従って、LNG液化プロセス、好ましくは高圧膨張プロセス(HPXP)における熱伝達のためのシステム200を示す。システム200を用いて、メタンに富む供給ガス流を冷却及び液化することができる。システム200は、好ましい熱伝達方法であり得、特にアルミろう付タイプの熱交換器を使用するときに適している。例示熱交換器を単一のアルミろう付熱交換器コア内にあるように設計してよい。或いは、各例示熱交換器をそれ自体のアルミろう付熱交換器コア内に設置してよい。システム200は、第1及び第2の冷媒システム201a、201bを含む。第1の冷媒システム201aは、好ましくはメタンを含み、好ましい態様では、70モル%超のメタン、又は80モル%超のメタン、又は85モル%超のメタン、又は90モル%超のメタンを含む第1の冷媒を使用する。第2の冷媒システム201bは、好ましくは窒素を含み、好ましい態様では、70モル%超の窒素、又は80モル%超の窒素、又は85モル%超の窒素、又は90モル%超の窒素、又は95モル%超の窒素を含む第2の冷媒を使用する。例示熱伝達方法では、第1の冷媒を含む膨張した第1の冷媒流202が、第1の膨張した第1の冷媒流204と第2の膨張した第1の冷媒流206に分けられる。供給ガス流208は、第1の熱交換器210内で第1の膨張した第1の冷媒流204と熱交換することによって第1の温度範囲内まで冷却され、結果として液化供給ガス流212及び第1の温められた第1の冷媒流214を形成する。第2の冷媒を含む冷却された第2の冷媒流216は、最初に第2の熱交換器218内で第2の温められた第2の冷媒流220と熱交換することによって第3の温められた第2の冷媒流222を形成する。冷却された第2の冷媒流216は、次に第3の熱交換器224内で第2の膨張した第1の冷媒流206及び第1の温められた第2の冷媒流226と熱交換することによってさらに冷却され、結果としてさらに冷却された第2の冷媒流228、第2の温められた第2の冷媒流220、及び第2の温められた第1の冷媒流230を形成する。さらに冷却された第2の冷媒流228は、エキスパンダ(図示せず)内でほぼ等エントロピー的に膨張させられて、膨張した第2の冷媒流232を生成する。液化供給ガス流212は、第4の熱交換器234内で膨張した第2の冷媒流232と熱交換することによって第2の温度範囲まで冷却され、結果として過冷却されたLNG流236及び第1の温められた第2の冷媒流226を形成する。
【0034】
図3は、開示態様に従って、LNG液化プロセス、好ましくは高圧膨張プロセス(HPXP)における熱伝達のためのシステム300を示す。システム300を用いてメタンに富む供給ガス流を冷却及び液化することができる。システム300は、好ましい熱伝達方法であり得、特に渦巻タイプの熱交換器に適している。システム300は、第1及び第2の冷媒システム301a、301bを含む。第1の冷媒システム301aは、好ましくはメタンを含み、好ましい態様では、70モル%超のメタン、又は80モル%超のメタン、又は85モル%超のメタン、又は90モル%超のメタンを含む第1の冷媒を使用する。第2の冷媒システム301bは、好ましくは窒素を含み、好ましい態様では、70モル%超の窒素、又は80モル%超の窒素、又は85モル%超の窒素、又は90モル%超の窒素、又は95モル%超の窒素を含む第2の冷媒を使用する。メタンリッチ供給ガス流であり得る供給ガス流302が、第1の熱交換器304内で第1の冷媒を含む膨張した第1の冷媒流306と熱交換することによって第1の温度範囲まで冷却され、結果として液化供給ガス流308及び温められた第1の冷媒流310を形成する。第2の冷媒を含む冷却された第2の冷媒流312が、最初に第2の熱交換器314内で第1の温められた第2の冷媒流316と熱交換することによって冷却されて第2の温められた第2の冷媒流318を形成する。冷却された第2の冷媒流312は、次に第1の冷却された第2の冷媒流320と第2の冷却された第2の冷媒流322に分けられる。第1の冷却された第2の冷媒流320は、第2の熱交換器314内で第1の温められた第2の冷媒流316と熱交換し続けることによってさらに冷却されて第1のさらに冷却された第2の冷媒流324を形成する。第2の冷却された第2の冷媒流322は、第1の熱交換器304内で膨張した第1の冷媒流306と熱交換することによってさらに冷却されて第2のさらに冷却された第2の冷媒流326を形成する。第1のさらに冷却された第2の冷媒流324は、第2のさらに冷却された第2の冷媒流326と混ぜ合わせられて、さらに冷却された第2の冷媒流328を形成する。さらに冷却された第2の冷媒流328は、次にエキスパンダ(図示せず)内でほぼ等エントロピー的に膨張させられて、膨張した第2の冷媒流330を生成する。液化供給ガス流308は、第3の熱交換器332内で膨張した第2の冷媒流330と熱交換することによって第2の温度範囲まで冷却され、結果として過冷却されたLNG流334及び第1の温められた第2の冷媒流316を形成する。第1の熱交換器304、第2の熱交換器314及び第3の熱交換器332は、別々の渦巻形熱交換器であってよい。第2の熱交換器314及び第3の熱交換器332は、2以上の冷束の同一の渦巻形熱交換器であってよい。
【0035】
図4は、開示態様に従って、LNG液化プロセス、好ましくは高圧膨張プロセスHPXPにおける熱伝達のためのシステム400を示す。システム400を用いてメタンに富む供給ガス流を冷却及び液化することができる。図4は、システム200をどのようにしてLNG液化プロセスに組み入れるかをより詳細に描写する。ここでは一貫性を保つために図2の一部の要素及び流れの名称を使用する。システム400は、第1及び第2の冷媒システム401a、401bを含む。第1の冷媒システム401aは、好ましくはメタンを含み、好ましい態様では、70モル%超のメタン、又は80モル%超のメタン、又は85モル%超のメタン、又は90モル%超のメタンを含む第1の冷媒を使用する。第2の冷媒システム401bは、好ましくは窒素を含み、好ましい態様では、70モル%超の窒素、又は80モル%超の窒素、又は85モル%超の窒素、又は90モル%超の窒素、又は95モル%超の窒素を含む第2の冷媒を使用する。第1の冷媒を含み、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流402が、冷却器404内で周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流406を生成する。冷却された第1の冷媒流406は、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ408内でほぼ等エントロピー的に膨張させられて、膨張した第1の冷媒流410を生成する。膨張した第1の冷媒流410は、第1の膨張した第1の冷媒流412と第2の膨張した第1の冷媒流414に分けられる。第1の膨張した第1の冷媒流412及び第2の膨張した第2の冷媒流414は、図2に示すように構成されている熱交換器416、418内でそれぞれ温められて、第1の温められた第1の冷媒流422及び第2の温められた第1の冷媒流424を生成する。第1の温められた第1の冷媒流422は、第2の温められた第1の冷媒流424と混ぜ合わせられて、温められた第1の冷媒流426を生成する。温められた第1の冷媒流426は、1つ以上のコンプレッサ428、430内で圧縮されて、圧縮された第1の冷媒流402を生成する。供給ガス流432が、図2に示すように構成されている熱交換器416、434で冷却される。熱交換器416は、供給ガス流432を冷却して、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流436を生成する。熱交換器434は、液化供給ガス流436をさらに冷却して、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流438を生成する。過冷却されたLNG流438は、エキスパンダ440内で膨張させられてから分離タンク442に方向づけられ、そこでLNG流444が引き抜かれ、残留ガス蒸気がフラッシュガス流446として引き抜かれる。第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流448は、冷却器450内で周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第2の冷媒流452を生成する。冷却された第2の冷媒流452は、それぞれ図2に示すように構成されている熱交換器454、418内でさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流456を生成する。さらに冷却された第2の冷媒流456は、ワーク生成エキスパンダ458内で膨張させられて、膨張した第2の冷媒流460を生成する。膨張した第2の冷媒流460は、図2に示すように構成された熱交換器434、418、及び454内で温められて、第3の温められた第2の冷媒流462を生成する。第3の温められた第2の冷媒流462は、1つ以上のコンプレッサ464内で圧縮されて、圧縮された第2の冷媒流448を生成する。
【0036】
図5は、本開示の別の態様に従うLNG液化プロセスにおける熱伝達のためのシステム500を示す。システム500は、システム400と類似しており、簡単にするため、同様に描いたか又は番号付けした要素についてはさらに記載しないことがある。システム500は、第1及び第2の熱交換器ゾーン570、572を明らかにする。第1の熱交換器ゾーン570は、前述の熱交換器416、418、434、及び454を含む。第2の熱交換器ゾーン572は、1つ以上の熱交換器574を含む。システム500は、第1及び第2の冷媒システム501a、501bを含む。第1の冷媒システム501aは、好ましくはメタンを含み、好ましい態様では、70モル%超のメタン、又は80モル%超のメタン、又は85モル%超のメタン、又は90モル%超のメタンを含む第1の冷媒を使用する。第2の冷媒システム401bは、好ましくは窒素を含み、好ましい態様では、70モル%超の窒素、又は80モル%超の窒素、又は85モル%超の窒素、又は90モル%超の窒素、又は95モル%超の窒素を含む第2の冷媒を使用する。第1の冷媒を含み、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流402が、冷却器404内で周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流406を生成する。冷却された第1の冷媒流406は、第2の熱交換器ゾーン572に方向づけられて、冷却された第1の冷媒流406が周囲温度未満にさらに冷却され、それによってさらに冷却された第1の冷媒流406aを生成する。さらに冷却された第1の冷媒流406aは、膨張した第1の冷媒流410を生成するために少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させられる。膨張した第1の冷媒流410は、前述の熱交換器416、418に方向づけられる。第1及び第2の温められた温められた冷媒流422、424の組み合わせである第3の温められた冷媒流426は、第2の熱交換器ゾーン572に方向づけられて、1つ以上の熱交換器574内で間接熱交換によって、冷却された第1の冷媒流406を冷却し、それによって第4の温められた第1の冷媒流576を形成する。第4の温められた第1の冷媒流576は、1つ以上のコンプレッサ428、430内で圧縮されて、圧縮された第1の冷媒流402を生成する。供給ガス流432は、熱交換器が図2及び図4に示すように構成されている第1の熱交換器ゾーン570に方向づけられる。供給ガス流432が、第1の熱交換器ゾーン570内で冷却されて、最初に第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス436を生成し、次に第2の冷却システム501b内でさらに冷却されて、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流438を生成する。過冷却されたLNG流438は、図2及び図4に関して前述したようにさらに処理される。
【0037】
図6は、開示態様に従って、LNG液化プロセス、好ましくは高圧膨張プロセスHPXPにおける熱伝達のためのシステム600を示す。システム600を用いて、メタンに富む供給ガス流を冷却及び液化することができる。図6は、システム300をどのようにしてLNG液化プロセスに組み入れるかをより詳細に描写する。ここでは一貫性を保つために図3の一部の要素及び流れの名称を使用する。システム600は、第1及び第2の冷媒システム601a、601bを含む。第1の冷媒システム601aは、好ましくはメタンを含み、好ましい態様では、70モル%超のメタン、又は80モル%超のメタン、又は85モル%超のメタン、又は90モル%超のメタンを含む第1の冷媒を使用する。第2の冷媒システム601bは、好ましくは窒素を含み、好ましい態様では、70モル%超の窒素、又は80モル%超の窒素、又は85モル%超の窒素、又は90モル%超の窒素、又は95モル%超の窒素を含む第2の冷媒を使用する。第1の冷媒を含み、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流602が、冷却器604内で周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流606を生成する。冷却された第1の冷媒流606は、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ608内で膨張させられて、膨張した第1の冷媒流610を生成する。膨張した第1の冷媒流610は、熱交換器304に関して図3に記載のように構成された熱交換器612内で温められて、温められた第1の冷媒流614を生成する。温められた第1の冷媒流614は、1つ以上のコンプレッサ616、618内で圧縮されて、圧縮された第1の冷媒流602を生成する。供給ガス流620が、熱交換器304、332に関して図3に記載のようにそれぞれ構成された熱交換器612、622で冷却されて、最初に第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流624を生成し、次に第2の冷却システム602b内でさらに冷却されて、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流626を生成する。過冷却されたLNG流626は、エキスパンダ628内で膨張させられてから分離タンク630に方向づけられる。分離タンク630からLNG流632が引き抜かれる。ガス蒸気流634が分離タンク630から引き抜かれることもある。第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流636が、冷却器638内で周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第2の冷媒流640を生成する。冷却された第2の冷媒流640は、熱交換器314、304に関して図3に記載のようにそれぞれ構成された熱交換器642、612内でさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流644を生成する。さらに冷却された第2の冷媒流は、ワーク生成エキスパンダ646内で膨張させられて、膨張した第2の冷媒流648を生成する。膨張した第2の冷媒流648は、熱交換器332、314に関して図3に記載のようにそれぞれ構成された熱交換器622、642内で温められて、第2の温められた第2の冷媒流650を生成する。第2の温められた第2の冷媒流650は、1つ以上のコンプレッサ652内で圧縮されて、圧縮された第2の冷媒流636を生成する。
【0038】
図7は、本開示の別の態様に従うLNG液化プロセスにおける熱伝達のためのシステム700を示す。システム700は、システム600と類似しており、簡単にするため、同様に描いたか又は番号付けした要素についてはさらに記載しないことがある。システム700は、第1及び第2の熱交換器ゾーン770、772を明らかにする。第1の熱交換器ゾーン770は、図6及び図3に関して前述したように熱交換器612、622、及び642を含む。第2の熱交換器ゾーン772は、1つ以上の熱交換器774を含む。システム700は、第1及び第2の冷媒システム701a、701bを含む。第1の冷媒システム701aは、好ましくはメタンを含み、好ましい態様では、70モル%超のメタン、又は80モル%超のメタン、又は85モル%超のメタン、又は90モル%超のメタンを含む第1の冷媒を使用する。第2の冷媒システム701bは、好ましくは窒素を含み、好ましい態様では、70モル%超の窒素、又は80モル%超の窒素、又は85モル%超の窒素、又は90モル%超の窒素、又は95モル%超の窒素を含む第2の冷媒を使用する。第1の冷媒を含み、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流602が冷却器604内で周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却されて、冷却された第1の冷媒流606を生成する。冷却された第1の冷媒流606は、第2の熱交換器ゾーン772に方向づけられ、この冷却された第1の冷媒流606は1つ以上の熱交換器774内で周囲温度未満にさらに冷却されて、さらに冷却された第1の冷媒流606aを生成する。さらに冷却された第1の冷媒流606aは、少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ608内で膨張させられて、膨張した第1の冷媒流610を生成する。膨張した第1の冷媒流610は、第1の熱交換器ゾーン770に方向づけられ、そこでそれは第1の熱交換器612内で温められて第1の温められた第1の冷媒流614を生成する。第1の温められた第1の冷媒流614は、第2の熱交換器ゾーン772に方向づけられて、冷却された第1の冷媒流606を1つ以上の熱交換器774内で間接熱交換によって冷却し、それによって第2の温められた第1の冷媒流776を形成する。第2の温められた第1の冷媒流776は、1つ以上のコンプレッサ616、618内で圧縮されて、圧縮された第1の冷媒流602を生成する。供給ガス流620が第1の熱交換器ゾーン770に方向づけられ、そこでそれは熱交換器612内で冷却されて、最初に第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流624を生成する。液化供給ガス流624は、第2の冷却システム701bの熱交換器622内でさらに冷却されて、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流626を生成する。過冷却されたLNG流626は、図3及び図6に関して前述したようにさらに処理される。
【0039】
図3~7に示す態様のようような本開示のいずれの態様においても、第1の冷却システムは、閉ループ気相冷却サイクルを含んでよく、第2の冷却システムは、窒素が冷媒である閉ループ気相冷却サイクルを含んでよい。
【0040】
図8は、第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いて、メタンに富む供給ガス流を液化する方法800のフローチャートである。方法800は下記工程を含む:802、供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給する工程;804、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給する工程(ここで、第1の冷媒は、圧縮された第1の冷媒流を含む);806、圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成する工程;808、冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する工程;810、供給ガス流を膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成する工程;812、第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成する工程;814、冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流を形成する工程;816、さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成する工程;及び818、液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する工程。
【0041】
図9は、第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を有する第2の冷却システムを用いて、メタンに富む供給ガス流を液化する方法900のフローチャートである。方法900は下記工程を含む:902、供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給する工程;904、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給する工程(ここで、第1の冷媒流は、圧縮された第1の冷媒流を含む);906、圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成する工程;908、冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する工程;910、膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分ける工程;912、供給ガス流を第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流を形成する工程(ここで、第1の膨張した第1の冷媒流は、供給ガス流と熱交換するだけで第1の温められた第1の冷媒流を形成する);914、第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却し、それによって冷却された第2の冷媒流を生成する工程;916、冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却し、それによってさらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第1の冷媒流を形成する工程;920、さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成する工程;及び922、液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却し、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する工程。
【0042】
図10は、第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いて、メタンに富む供給ガス流を液化する方法1000のフローチャートである。方法1000は下記工程を含む:1002、供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給する工程;1004、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給する工程(ここで、圧縮された第1の冷媒流は、第1の冷媒を含む);1006、圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成する工程;1008、冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する工程;1010、供給ガス流を膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却し、それによって液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成する工程;1012、第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却し、それによって冷却された第2の冷媒流を生成する工程;1014、冷却された第2の冷媒流を第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却してから、このさらに冷却された第2の冷媒流を第1の冷却された第2の冷媒流と第2の冷却された第2の冷媒流に分ける工程;1016、第1の冷却された第2の冷媒流を第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させ続けることによってさらに冷却し、それによって第1のさらに冷却された第2の冷媒流を生成する工程;1018、第2の冷却された第2の冷媒流を膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却し、それによって第2のさらに冷却された第2の冷媒流を生成する工程;1020、第1のさらに冷却された第2の冷媒流と第2のさらに冷却された第2の冷媒流を混ぜ合わせてから、この混合流を膨張させ、それによって膨張した第2の冷媒流を形成する工程;及び1022、液化供給ガス流を膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却し、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する工程。
【0043】
図11は、第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて、第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンをも使用して供給ガス流を液化する方法1100のフローチャートである。方法1100は下記工程を含む:1102、供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給する工程;1104、1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給する工程;1106、圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成する工程;1108、冷却された第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、この冷却された第1の冷媒流を周囲温度未満にさらに冷却して、さらに冷却された第1の冷媒流を生成する工程;1110、さらに冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成する工程;1112、膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分ける工程;1114、供給ガス流を第1の熱交換器ゾーン内で第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流及び第1の温められた第1の冷媒流を形成する工程(ここで、第1の温められた第1の冷媒流は、供給ガス流と熱交換するだけであり、第1の熱交換器ゾーン内の最高流体温度より少なくとも2℃冷たい温度を有し、かつ第1の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプは、第2の熱交換器ゾーンの熱交換器タイプと異なる);1116、第1の温められた第1の冷媒流と第2の温められた第2の冷媒流を混ぜ合わせて第3の温められた第1の冷媒流を生成する工程;1118、第3の温められた第1の冷媒流を第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、冷却された第1の冷媒流を間接熱交換によって冷却し、それによって第4の温められた第1の冷媒流を形成する工程;1120、圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成する工程;1122、冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を第1の熱交換器ゾーン内で第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第2の冷媒流を形成する工程;1124、さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成する工程;及び1126、液化供給ガス流を第1の熱交換器ゾーン内でこの膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成する工程。
【0044】
図8~11に示す工程は、単に例示目的で提供するものであり、特定工程は、開示方法論を実施するために必要とされないこともある。さらに、図8~11は、実施し得る全ての工程を示さないこともある。特許請求の範囲が、かつ特許請求の範囲だけが、開示システム及び方法論を規定する。
【0045】
本開示の態様は、既知の液化プロセスに勝るいくつかの利点を有する。本明細書に記載の実施形態は、ガス組成の変動に対して第1の冷却システムと第2の冷却システムとの間の冷却バランスのより良い制御を可能にする。例えば、希薄供給ガス流に比べてリッチ供給ガス流は、第1の温度範囲の冷媒をより多く必要とし、第2の温度範囲の冷媒は少なくてよい。操作者は、第1の冷却システム及び第2の冷却システムの流速及び場合により作動温度を変えるだけで規格化熱交換機器にとって最適な冷却バランスを与えることができる。図2に示す熱交換器の構成は、アルミろう付熱交換器内に温度測定装置を設置する必要なく液化供給ガス流の温度を推定できるようにするさらなる利点を有するアルミろう付熱交換器内に熱電対を設置することは一般的に望ましくない。定常状態運転中は、第1の温められた第1の冷媒流の温度を測定することによって液化供給ガス流の温度を推定することができる。これらの流れは、互いに熱交換するだけだからである。
【0046】
前述の開示に対して、開示範囲から逸脱することなく、多数の変更、修正、及び選択肢を加えられることを理解すべきである。従って、前述の説明は、開示範囲を限定することを意図していない。むしろ、開示範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価範囲によってのみ決定すべきである。本例の構造及び特徴は、互いに変更、再配置、置換、削除、重複、組み合わせ、又は追加可能であることをも企図する。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法であって、下記:
a. 前記供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;
b. 1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること
(ここで、前記第1の冷媒は、前記圧縮された第1の冷媒流を含む);
c. 前記圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;
d. この冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;
e. 前記供給ガス流を前記膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して、液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成すること;
f. 前記第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;
g. この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を前記膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流を形成すること;
h. このさらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;及び
i. 前記液化供給ガス流を前記膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却して、過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成すること
を含む、前記方法。
2. 前記冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部が、前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第2の冷媒流を形成する、上記1に記載の方法。
3. 前記第2の温められた第2の冷媒流が圧縮されて、前記圧縮された第2の冷媒流を形成する、上記2に記載の方法。
4. 前記圧縮された第1の冷媒流が、少なくとも90モル%のメタンを含む、上記1~3のいずれか1項に記載の方法。
5. 前記圧縮された第2の冷媒流が、少なくとも95モル%の窒素を含む、上記1~4のいずれか1項に記載の方法。
6. 前記第1の冷却システムが、閉ループ気相冷却サイクルである、上記1~5のいずれか1項に記載の方法。
7. 前記第2の冷却システムが、閉ループ気相冷却サイクルであり、かつ前記第2の冷媒が窒素ガスを含む、上記1~6のいずれか1項に記載の方法。
8. 前記第1の温度範囲が、-70℃~-110℃である、上記1~7のいずれか1項に記載の方法。
9. 前記第2の温度範囲が、-130℃~-175℃である、上記1~8のいずれか1項に記載の方法。
10. 前記過冷却されたLNG流が、50psia(3.4×105Pa)以上~450psia(3.1×106Pa)以下の圧力まで膨張させられて、膨張し、過冷却されたLNG流を生成する、上記1~9のいずれか1項に記載の方法。
11. 前記過冷却されたLNG流が、水力タービン内で膨張させられる、上記1~10のいずれか1項に記載の方法。
12. 前記膨張し、過冷却されたLNG流の少なくとも一部が、さらに膨張させられてから、分離タンクに方向づけられ、そこから液体天然ガスが引き抜かれ、残留ガス蒸気がフラッシュガスとして引き抜かれる、上記1~11のいずれか1項に記載の方法。
13. 前記供給ガス流を前記第1の温度範囲に冷却する前に、前記供給ガス流が、3,500psia(2.4×10 7 Pa)以下の圧力まで圧縮されてから、周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却される、上記1~12のいずれか1項に記載の方法。
14. 前記供給ガス流を前記膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって冷却する前に、前記供給ガス流が、外部冷却ユニット内で間接熱交換によって周囲温度未満の温度に冷却される、上記1~13のいずれか1項に記載の方法。
15. 前記冷却された第1の冷媒流を膨張させる前に、前記冷却された第1の冷媒流が、外部冷却ユニット内で間接熱交換によって周囲温度未満の温度に冷却される、上記1~14のいずれか1項に記載の方法。
16. 前記温められた第1の冷媒流が圧縮されて、前記圧縮された第1の冷媒流を形成する、上記1~15のいずれか1項に記載の方法。
17. 第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を有する第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法であって、下記:
a. 前記供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;
b. 1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること
(ここで、前記第1の冷媒流は、前記圧縮された第1の冷媒流を含む);
c. この圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;
d. この冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;
e. この膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けること;
f. 前記供給ガス流を前記第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却して液化供給ガス流を形成すること(ここで、前記第1の膨張した第1の冷媒流は、前記供給ガス流と熱交換するだけで第1の温められた第1の冷媒流を形成する);
g. 前記第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却し、それによって冷却された第2の冷媒流を生成すること;
h. この冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部を前記第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却し、それによってさらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第1の冷媒流を形成すること;
i. 前記さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;及び
j. 前記液化供給ガス流を前記膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却し、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成すること
を含む、前記方法。
18. 前記冷却された第2の冷媒流の少なくとも一部が、前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換することによってさらに冷却されて、さらに冷却された第2の冷媒流を形成する、上記17に記載の方法。
19. 前記冷却された第2の冷媒流が、第2の熱交換器内で前記第2の膨張した第1の冷媒流及び前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換する、上記18に記載の方法。
20. 前記第2の熱交換器が、1つ以上のアルミろう付タイプの熱交換器を含む、上記19に記載の方法。
21. 前記供給ガス流が、第1の熱交換器内で前記第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換する、上記17~20のいずれか1項に記載の方法。
22. 前記第1の熱交換器が、1つ以上のアルミろう付タイプの熱交換器を含む、上記21に記載の方法。
23. 前記液化供給ガス流が、第3の熱交換器内で前記膨張した第2の冷媒流と熱交換する、上記17~22のいずれか1項に記載の方法。
24. 前記第3の熱交換器が、1つ以上のアルミろう付タイプの熱交換器を含む、上記23に記載の方法。
25. 前記第1の熱交換器、前記第2の熱交換器及び前記第3の熱交換器が、同一の1つ以上のアルミろう付タイプの熱交換器を含む、上記19、21又は23のいずれか1項に記載の方法。
26. 前記第1の膨張した第1の冷媒流の温度、圧力及び/又は流速が、前記第1の温められた第1の冷媒流の設定点温度を達成するように制御される、上記17~25のいずれか1項に記載の方法。
27. 前記第1の膨張した第1の冷媒流、前記第1の温められた第1の冷媒流、及び前記供給ガス流の温度及び圧力を用いて前記液化供給ガス流の温度を推定する、上記17~26のいずれか1項に記載の方法。
28. 第1の冷媒を有する第1の冷却システム及び第2の冷媒を用いる第2の冷却システムを用いてメタンに富む供給ガス流を液化する方法であって、下記:
a. 前記供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;
b. 1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること
(ここで、前記圧縮された第1の冷媒流は、前記第1の冷媒を含む);
c. 前記圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;
d. この冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;
e. 前記供給ガス流を前記膨張した第1の冷媒流とだけ熱交換させることによって第1の温度範囲内まで冷却し、それによって液化供給ガス流及び温められた第1の冷媒流を形成すること;
f. 前記第2の冷媒を含む圧縮された第2の冷媒流を供給し、この圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却し、それによって冷却された第2の冷媒流を生成すること;
g. この冷却された第2の冷媒流を第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却してから、このさらに冷却された第2の冷媒流を第1の冷却された第2の冷媒流及び第2の冷却された第2の冷媒流に分けること;
h. 前記第1の冷却された第2の冷媒流を前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換させ続けることによってさらに冷却し、それによって第1のさらに冷却された第2の冷媒流を生成すること;
i. 前記第2の冷却された第2の冷媒流を前記膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却し、それによって第2のさらに冷却された第2の冷媒流を生成すること;
j. 前記第1のさらに冷却された第2の冷媒流と前記第2のさらに冷却された第2の冷媒流を混ぜ合わせてから、この混合流を膨張させ、それによって膨張した第2の冷媒流を形成すること;及び
k. 前記液化供給ガス流を前記膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって第2の温度範囲内まで冷却し、それによって過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成すること
を含む、前記方法。
29. 前記供給ガス流が、第1の熱交換器内で前記第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換する、上記28に記載の方法。
30. 前記第1の熱交換器が、1つ以上の渦巻タイプの熱交換器を含む、上記29に記載の方法。
31. 前記第2の冷却された第2の冷媒流が、前記第1の熱交換器内で前記膨張した第1の冷媒流と熱交換する、上記30に記載の方法。
32. 前記冷却された第2の冷媒流が、第2の熱交換器内で前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換する、上記28に記載の方法。
33. 前記第2の熱交換器が、1つ以上の渦巻タイプの熱交換器を含む、上記32に記載の方法。
34. 前記第1の冷却された第2の冷媒流が、前記第2の熱交換器内で前記第1の温められた第2の冷媒流と熱交換する、上記33に記載の方法。
35. 前記液化供給ガス流が、第3の熱交換器内で前記膨張した第2の冷媒流と熱交換する、上記28に記載の方法。
36. 前記第3の熱交換器が、1つ以上の渦巻タイプの熱交換器を含む、上記35に記載の方法。
37. 前記第2の熱交換器及び前記第3の熱交換器が、同一の1つ以上の渦巻タイプの熱交換器を含む、上記32又は35に記載の方法。
38. 第1の冷却システムの第1の冷媒流及び第2の冷却システムの第2の冷媒流を用いて供給ガス流を液化する方法であって、第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンをも使用し、下記:
(a) 前記供給ガス流を1,200psia(8.3×106Pa)未満の圧力で供給すること;
(b) 1,500psia(1.0×107Pa)以上の圧力で圧縮された第1の冷媒流を供給すること;
(c) 前記圧縮された第1の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第1の冷媒流を生成すること;
(d) この冷却された第1の冷媒流を前記第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、前記冷却された第1の冷媒流を周囲温度未満にさらに冷却して、さらに冷却された第1の冷媒流を生成すること;
(e) 前記さらに冷却された第1の冷媒流を少なくとも1つのワーク生成エキスパンダ内で膨張させ、それによって膨張した第1の冷媒流を生成すること;
(f) 前記膨張した第1の冷媒流を第1の膨張した第1の冷媒流と第2の膨張した第1の冷媒流に分けること;
(g) 前記供給ガス流を前記第1の熱交換器ゾーン内で前記第1の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第1の温度範囲内の温度を有する液化供給ガス流及び第1の温められた第1の冷媒流を形成すること(ここで、前記第1の温められた第1の冷媒流は、前記供給ガス流と熱交換するでけである);
(h) 前記第1の温められた第1の冷媒流と第2の温められた第2の冷媒流を混ぜ合わせて第3の温められた第1の冷媒流を生成すること;
(i) この第3の温められた第1の冷媒流を前記第2の熱交換器ゾーンに方向づけて、間接熱交換によって前記冷却された第1の冷媒流を冷却し、それによって第4の温められた第1の冷媒流を形成すること;
(j) 圧縮された第2の冷媒流を周囲温度空気又は水との間接熱交換によって冷却して、冷却された第2の冷媒流を生成すること;
(k) この冷却された第2の冷媒流を前記第1の熱交換器ゾーン内で前記第2の膨張した第1の冷媒流と熱交換させることによってさらに冷却して、さらに冷却された第2の冷媒流及び第2の温められた第2の冷媒流を形成すること;
(l) 前記さらに冷却された第2の冷媒流を膨張させて、膨張した第2の冷媒流を形成すること;及び
(m) 前記液化供給ガス流を前記第1の熱交換器ゾーン内で前記膨張した第2の冷媒流と熱交換させることによって冷却して、第2の温度範囲内の温度を有する過冷却されたLNG流及び第1の温められた第2の冷媒流を形成すること
を含む、前記方法。
39. 前記圧縮された第1の冷媒流が少なくとも90モル%のメタンを含む、上記38に記載の方法。
40. 前記圧縮された第2の冷媒流が少なくとも95モル%の窒素を含む、上記38又は39に記載の方法。
41. 前記第1の冷却システムが閉ループ気相冷却サイクルである、上記38~40のいずれか1項に記載の方法。
42. 前記第2の冷却システムが閉ループ気相冷却サイクルであり、かつ前記第2の冷媒流が窒素ガスを含む、上記38~41のいずれか1項に記載の方法。
43. 前記第1の温度範囲が、-70℃~-110℃である、上記38~42のいずれか1項に記載の方法。
44. 前記第2の温度範囲が、-130℃~-175℃である、上記38~43のいずれか1項に記載の方法。
45. 前記過冷却されたLNG流が、50psia(3.4×105Pa)以上~450psia(3.1×106Pa)以下の圧力まで膨張させられて、膨張し、過冷却されたLNG流を生成する、上記38~44のいずれか1項に記載の方法。
46. 前記過冷却されたLNG流が、水力タービン内で膨張させられる、上記38~45のいずれか1項に記載の方法。
47. 前記膨張し、過冷却されたLNG流の少なくとも一部が、さらに膨張させられてから、分離タンクに方向づけられ、そこから液体天然ガスが引き抜かれ、残留ガス蒸気がフラッシュガスとして引き抜かれる、上記38~46のいずれか1項に記載の方法。
48. 前記冷却された第1の冷媒流を膨張させる前に、前記冷却された第1の冷媒流が外部冷却ユニット内で間接熱交換によって周囲温度未満の温度に冷却される、上記38~47のいずれか1項に記載の方法。
49. 前記温められた第1の冷媒流が圧縮されて、前記圧縮された第1の冷媒流を形成する、上記38~48のいずれか1項に記載の方法。
50. 前記第1の膨張した第1の冷媒流の温度、圧力及び/又は流速が、前記第1の温められた第1の冷媒流の設定点温度を達成するように制御される、上記38~49のいずれか1項に記載の方法。
51. 前記第1の膨張した第1の冷媒流、前記第1の温められた第1の冷媒流、及び前記供給ガス流の温度及び圧力を用いて前記液化供給ガス流の温度を推定する、上記38~50のいずれか1項に記載の方法。
52. 前記第1の熱交換器ゾーン及び第2の熱交換器ゾーンの少なくとも1つが、1つ以上のアルミろう付タイプの熱交換器を含む、上記38~51のいずれか1項に記載の方法。
53. 前記第1の温められた第1の冷媒流が、前記第1の熱交換器ゾーン内の最高流体温度より少なくとも2℃冷たい温度を有する、上記38~52のいずれか1項に記載の方法。
54. 前記第1の熱交換器ゾーンの熱交換器のタイプが、前記第2の熱交換器ゾーンの熱交換器のタイプと異なる、上記38~53のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11