(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】乾癬および全身性エリテマトーデスの処置に有用なピラゾロ[1,5-A]ピリミジン-3-カルボキサミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20221118BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221118BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20221118BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P17/06
A61P37/02
(21)【出願番号】P 2021512899
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 US2019049448
(87)【国際公開番号】W WO2020055636
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ジャオゲン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アンドレ・エリクソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・ガイイン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/087590(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/076458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式
【化1】
(式中、Rはメチルまたはエチルである)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Rがメチルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Rがエチルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記化合物が、
【化2】
である、請求項1または請求項2のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記化合物が、
【化3】
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、
【化4】
である、請求項1または請求項3のいずれかに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記化合物が、
【化5】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、患者における乾癬を処置するための薬学的組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、患者における全身性エリテマトーデスを処置するための薬学的組成物。
【請求項10】
乾癬の治療剤の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
全身性エリテマトーデスの治療剤の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と、を含む薬学的組成物。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、
請求項12に記載の薬学的組成物を調製するためのプロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、TYK2のシュードキナーゼドメイン(JH2)に結合し、特定のサイトカインシグナル伝達、特にIL-23およびIFNαシグナル伝達を阻害する特定の新規化合物、この化合物を含む薬学的組成物、乾癬などの特定の自己免疫疾患を処置するためにこの化合物を使用する方法、ならびにこの化合物の合成に有用な中間体およびプロセスに関する。
【0002】
本発明は、特定の炎症誘発性サイトカインのTYK2シグナル伝達によって媒介されると考えられる乾癬および/または他の自己免疫疾患の処置の分野にある(例えば、J.S.Tokarski,et al.,J.Biol.Chem.,vol.290(17),pages 11061-11074(2015)を参照されたい。乾癬は慢性皮膚病であり、一般人口の約2%が罹患していると推定される。乾癬の処置選択肢には、例えば、コルチコステロイドなどの局所治療、紫外線B(UVB)光などの光線療法、およびメトトレキサートおよびアプレミラストなどの全身療法が挙げられる。残念ながら、そのような薬剤は効果的な処置を常に提供するとは限らず、種々の有害な副作用を伴う可能性がある。したがって、乾癬および全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の処置には満たされていないニーズがあり、新しい処置選択肢が望まれる。
【0003】
WO2017/087590は、TYK2に作用してシグナル伝達阻害を引き起こすことによるIL-12、IL-23、および/またはIFNαの調節を通じて、乾癬または全身性エリテマトーデスなどの自己免疫状態の処置に有用な特定のイミダゾピリダジン化合物を開示する。米国特許第7,557,110号は、炎症性疾患および自己免疫疾患などのキナーゼ媒介性障害の処置に有用なキナーゼ阻害剤として、特定のピラゾロ[1,5-a]ピリミジン誘導体を開示する。特定のイミダゾ[1,2-b]ピリダジンTYK2シュードキナーゼリガンドは、TYK2シグナル伝達の強力かつ選択的な阻害剤としてR.Moslin,et al.,Med.Chem.Commun.,vol.8,pages 700-712(2017)によって開示される。
【0004】
TYK2 JH2ドメインに作用し、IL-23およびIFNαのシグナル伝達を阻害するさらなる化合物が望まれる。本発明は、TYK2 JH2ドメインに結合する特定の新規化合物を提供する。さらに、本発明は、IL-23およびIFNαシグナル伝達を阻害する特定の新規化合物を提供する。したがって、本発明は、乾癬および全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患を処置するのに有用な特定の新規化合物を提供する。
【0005】
したがって、本発明は、式I
【化1】
式中、Rはメチルまたはエチルである
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
本発明はまた、乾癬を、そのような処置を必要とする患者において処置する方法であって、有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、その患者に投与することを含む、方法を提供する。本発明は、全身性エリテマトーデスを、そのような処置を必要とする患者において処置する方法であって、有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、その患者に投与することを含む、方法をさらに提供する。本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、関節リウマチ、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、軸性脊椎関節炎、および多発性硬化症からなる群から選択される疾患を、そのような処置を必要とする患者において処置する方法であって、式Iの化合物の有効量またはその薬学的に許容される塩をその患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0007】
さらに、本発明は、治療、特に乾癬の処置における使用のための式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。加えて、本発明は、全身性エリテマトーデスの処置における使用のための式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、関節リウマチ、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、軸性脊椎関節炎、および多発性硬化症からなる群から選択される疾患の処置における使用のための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明はまた、乾癬を処置するための医薬の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。加えて、本発明は、全身性エリテマトーデスを処置するための医薬の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明はまた、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、関節リウマチ、関節炎、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、軸性脊椎関節炎、および多発性硬化症からなる群から選択される疾患を処置するための医薬の製造のための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0009】
本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に含む、薬学的組成物をさらに提供する。本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、薬学的組成物を調製するためのプロセスをさらに提供する。本発明はまた、式Iの化合物の合成のための新規の中間体およびプロセスを包含する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「処置すること」、「処置」、または「処置する」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を抑制すること、遅延させること、阻止すること、または改善することを含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、哺乳類、特にヒトを指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者に単回または複数回投与すると、診断中または処置中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量または投与量を指す。
【0013】
当業者は、既知の技術を用いて、類似の状況下で得られた結果を観察することにより、有効量を決定することができる。患者のための有効量を決定する際には、患者の人種、そのサイズ、年齢、および全体的な健康状態、関与する特定の疾患または障害、疾患または障害の程度または関与または重症度、個々の患者の反応、投与される特定の化合物、投与の法式、投与される製剤の生物学的利用能特性、選択された投与レジメン、付随する薬物の使用、ならびに他の関連する状況を含むが、これらに限定されない、多数の要因が担当診断医によって考慮される。本発明の化合物は、約0.005mg/kg~約8mg/kg体重の範囲内に入る1日あたりの投薬量を提供するための単位剤形として調製される。
【0014】
本発明の化合物は、本化合物を生物学的に利用可能にする、いずれかの経路によって投与される薬学的組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は経口投与用である。このような薬学的組成物およびこれを調製するためのプロセスは、当技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
【0015】
式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、本発明の処置方法において特に有用であり、すべての配置、エナンチオマー、およびラセミ体を含むそれらの混合物が本発明の範囲内で企図されるが、特定の配置が好ましい。以下の段落は、そのような配置を記載する。これらの選好が、本発明の処置方法および化合物の両方に適用可能であることが理解されるであろう。
【0016】
本発明の化合物は、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
およびそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0017】
式Ia(ii)および式Ib(ii)の化合物が好ましく、式Ia(ii)の化合物およびその薬学的に許容される塩が特に好ましい。
【0018】
以下の調製に記載される特定の中間体は、1つ以上の窒素保護基を含んでもよい。保護基は、特定の反応条件および実施される特定の変換に応じて、当業者によって認識されるように変化し得ることが理解される。保護および脱保護条件は、当業者に周知であり、文献(例えば、”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,by Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007を参照されたい)に記載される。
【0019】
個々の異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマーは、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィなどの方法によって、本発明の化合物の合成における任意の好都合な時点において、当業者により分離または分割されてもよい(例えば、J.Jacques,et al.,”Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981、およびE.L.Eliel and S.H.Wilen,”Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley-Interscience,1994を参照されたい)。
【0020】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩を、例えば、当技術分野で周知の標準的な条件下、ジエチルエーテルなどの好適な溶媒中、本発明の化合物の適切な遊離塩基の、適切な薬学的に許容される酸の反応によって形成することができる。加えて、そのような塩の形成は、窒素保護基の脱保護と同時に起こり得る。例えば、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427-435(2000)、およびBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977)を参照されたい。
【0021】
特定の略語は次のように定義される。「BOP」は、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指す。「BrettPhos」は、ジシクロヘキシル[3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリス(1-メチルエチル)[1,1’-ビフェニル]-2-イル]ホスフィンを指す。「t-BuOH」は、t-ブタノールおよびt-ブチルアルコールを指す。「BSA」はウシ血清アルブミンを指す。「CDI」は、1,1’-カルボニルジイミダゾールを指す。「DCC」は、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミドを指す。「DCM」は、ジクロロメタンを指す。「DEM」は、マロン酸ジエチルを指す。「DIC」は、1,3-ジイソプロピルカルボジイミドを指す。「DIEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指す。「DMAP」は、ジメチルアミノピリジンを指す。「DMEM」は、Dulbecco’s Modified Eagle’s Mediumを指す。「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指す。「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指す。「DPPA」は、ジフェニルホスホリルアジドを指す。「EDCI」は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を指す。「EtOAc」は、酢酸エチルを指す。「EtOH」は、エタノールおよびエチルアルコールを指す。「FBS」は、ウシ胎児血清を指す。「HATU」は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指す。「HBTU」は、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルメタニミニウムヘキサフルオロホスフェートを指す。「HEPES」は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸を指す。「HOAt」は、1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾールを指す。「HOBt」は、1-ヒドロキシルベンゾトリアゾール水和物を指す。「IFNα」は、インターフェロンアルファを指す。「IL-12」は、インターロイキン12を指す。「IL-23」は、インターロイキン23を指す。「IPA」は、イソプロパノールおよびイソプロピルアルコールを指す。「JAK」は、ヤヌスキナーゼを指す。「LiHMDS」は、リチウムヘキサメチルジシラジドを指す。「MeI」は、ヨウ化メチルを指す。「MeNH2」は、メチルアミンを指す。「MeOH」は、メタノールおよびメチルアルコールを指す。「MTBE」は、メチルtert-ブチルエーテルを指す。「NaOEt」は、ナトリウムエトキシドを指す。「NiNTA」は、ニッケル-ニトリロ三酢酸を指す。「PBS」は、リン酸緩衝生理食塩水を指す。「Pd(OAc)2」は、酢酸パラジウム(II)を指す;「PyBOP」は、(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)を指す。;「PyBrOP」は、ブロモ(トリピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指す。「RPM」は、1分あたりの回転数を指す。「RPMI」は、Roswell Park Memorial Instituteを指す。「SPA」は、シンチレーション近接アッセイを指す。「T3P」は、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスホリナン-2,4,6-トリオキシドを指す。「TEA」は、トリエチルアミンを指す。「TFA」は、トリフルオロ酢酸を指す。「THF」は、テトラヒドロフランを指す。「TYK2」は、チロシンキナーゼ2を指す。「UVB」は、紫外線Bを指す。「STAT」は、転写タンパク質のシグナル伝達物質および活性化因子を指す。「YSI」は、ケイ酸イットリウムを指す。
【0022】
本発明の化合物またはその塩は、当業者に既知の種々の手順によって調製することができ、そのうちのいくつかを、以下のスキーム、調製、および実施例で例示する。以下のスキームにおける各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィ、濾過、粉砕、および結晶化を含む、当技術分野で周知の従来の方法によって回収することができる。以下のスキームにおいて、すべての置換基は、別途指示のない限り、すでに定義されたとおりである。試薬および出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。本発明の範囲を限定することなく、以下のスキーム、調製、および実施例を、本発明をさらに例示するために提供する。
【0023】
【0024】
スキーム1、ステップAは、化合物(1)へのDEMの添加、および引き続いたEtOHなどの溶媒中、約80℃でNaOEtまたはカリウムt-ブトキシドなどの好適な塩基を使用して化合物(2)の環化を示す。
【0025】
ステップBにおいて、化合物(2)の7-ヒドロキシおよび5-オキソ基を、POCl3などの好適な塩素源およびピリジンなどの好適な有機塩基を使用して、アセトニトリルなどの好適な溶媒中、約50~100℃で塩素化して、化合物(3)を得ることができる。
【0026】
ステップCにおいて、化合物(3)の7-クロロ基の選択的求核芳香族置換を、当技術分野で周知の条件下、1-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-メタンアミンなどの求核試薬およびDIEAなどの好適な有機塩基を使用して、周囲温度で1,4-ジオキサンなどの好適な溶媒中で実施して、化合物(4)を得ることができる。
【0027】
ステップDにおいて、Buchwaldカップリングを、当技術分野で周知の条件下、2-メトキシアニリンまたは2-エトキシアニリンなどのアミンと共に化合物(4)に対して実施して、Pd(OAc)2およびBrettPhosなどの好適な触媒およびリガンドの組み合わせ、および約1,4-ジオキサンなどの溶媒中の炭酸カリウムなどの好適な塩基を使用して、約120℃でマイクロ波加熱しつつ実施して化合物(5)を形成することができる。
【0028】
化合物(5)を、1,4-ジオキサンおよびEtOHなどの溶媒中のNaOH水溶液で約90℃で処理して、ステップEに示すようにエステルの塩基性加水分解により化合物(6)を得ることができる。
【0029】
ステップFにおいて、DMFなどの好適な溶媒中のDIEAなどの好適な有機塩基およびBOPなどの好適なカップリング剤を使用して、化合物(6)および3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オンなどのアミンとの間でアミドカップリングを実施して、化合物(7)を得ることができる。当業者は、カルボン酸およびアミンとの反応から生じるアミド形成のためのいくつかの適切な方法があることを認識するであろう。例えば、DIEAまたはTEAなどの有機塩基を含むまたは含まないカップリング試薬の存在下でのアミン化合物の適切なカルボン酸との反応は、ステップFの化合物を提供することができる。カップリング試薬には、DCC、DIC、EDCIなどのカルボジイミド、またはCDIなどのカルボニルジイミダゾールが挙げられる。HOBtおよびHOAtなどのアミドカップリング添加剤をまた使用して、反応を増強することができる。加えて、HBTU、HATU、PyBOP、およびPyBrOPなどの非求核性アニオンのウロニウムまたはホスホニウム塩を、より伝統的なカップリング試薬の代わりに使用することができる。DMAPなどの添加剤を使用して反応を増強し得る。
【0030】
ステップGにおいて、化合物(7)を、DCMなどの好適な溶媒中、TFAなどの好適な酸を使用する標準条件下で脱保護して、式Iの化合物を得る。
【0031】
スキーム2は、式Iのラセミ性化合物の追加の合成を提供する。
【0032】
【0033】
スキーム2、ステップAにおいて、化合物(3)の7-クロロ基上の選択的求核芳香族置換を、周囲温度でTHFなどの好適な溶媒中のMeNH2などの適切な求核試薬を使用する当技術分野で周知の条件下で実施して、化合物(8)を得ることができる。
【0034】
ステップBにおいて、2-メトキシアニリンまたは2-エトキシアニリンなどのアミンで、標準的なマイクロ波条件下、化合物(8)に対してBuchwaldカップリングを実施して、塩化アリルパラジウム(II)ダイマーおよび(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルなどの好適な触媒およびリガンド系を、1,4-ジオキサン、2-メチル-2-ブタノールおよび酢酸などの適切な溶媒系中の炭酸カリウムなどの好適な塩基と共に、105℃で加熱しつつ使用して、化合物(9)を形成することができる。
【0035】
化合物(9)を、EtOHなどの好適な溶媒中、水酸化リチウム水溶液などの好適な塩基で約90℃で処理して、ステップCに示すように、エステルの塩基性加水分解により化合物(10)を得ることができる。
【0036】
ステップDは、DIEAなどの好適な有機塩基およびEDCIなどの好適なカップリング剤を、HOBtなどの好適な添加剤と共に、THFなどの溶媒中で使用する、化合物(10)および3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オンなどのアミンとの間で、スキーム1、ステップFに一般的に記載されるような、当技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングによる式Iの形成を示す。
【0037】
【0038】
スキーム3、ステップAにおいて、化合物(12)の形成を、0~22℃のDMFなどの溶媒中、DIEAなどの好適な有機塩基およびHATUなどの好適なカップリング剤を使用する、化合物(11)およびMeNH2の間のスキーム1、ステップFに一般的に記載されるような当技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングとして示す。
【0039】
ステップBでは、ジメチルスルホニウムヨージド塩を形成するための化合物(12)へのMeIの添加、続いて0~グラフィ(ヘキサン中022℃でのTHFなどの好適な溶媒中、LiHMDSなどの好適な塩基での処理を使用して、環化化合物(13)を得ることができる。
【0040】
ステップCにおいて、化合物(13)を、約55℃のアセトニトリルなどの好適な溶媒中、4-メチルベンゼンスルホン酸などの好適な酸を使用して標準条件下で脱保護し、続いてMTBEなどの溶媒を添加して化合物(14)を沈殿させる。
【0041】
【0042】
スキーム4において、式Ia(ii)の形成を、約80℃のEtOAcなどの溶媒中、ピリジンなどの好適な有機塩基およびT3Pなどの好適なカップリング剤を使用する、化合物(10)および化合物(14)の間のスキーム1、ステップFに一般的に記載されるような当技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングとして示す。
【0043】
【0044】
スキーム1、ステップA:エチル5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(12.5g、80.6mmol)、およびDEM(18.5mL、121mmol)をEtOH(90mL)に溶解する。この混合物に、NaOEt(EtOH中21m%、45.1ml、121mmol)を加え、反応物を90℃で24時間撹拌する。この後、反応物を周囲温度まで冷却する。次に、混合物を5N HCl水溶液で酸性にし、得られた沈殿物を濾過して、表題化合物を白色の固体として得る(11.7g、65.1%)。ES/MS m/z 224(M+H)。
【0045】
代替的調製1
スキーム1、ステップA:EtOH(6.00L)中のエチル5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(400g、2.58モル)およびDEM(584mL、3.87モル)の溶液に、カリウムt-ブトキシド(578g、5.16mol)を、25℃、窒素下で加える。溶液を80℃で12時間撹拌し、次に反応物を22℃まで冷却する。反応混合物を0.1N HCl(2L)で希釈し、5N HClでpHを3に調整する。混合物を濾過し、フィルターケーキを水(800mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得る(460g、81%)。ES/MS m/z 224(M+H)。
【0046】
【0047】
スキーム1、ステップB:エチル7-ヒドロキシ-5-オキソ-4H-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(11.7g、52.4mmol)をアセトニトリル(50mL)に懸濁し、窒素で5分パージする。この混合物に、POCl3(14.8ml、157mmol)、続いてピリジン(4.28mL、52.4mmol)を50℃で加え、次いで反応物を100℃で5時間撹拌する。この後、反応物を周囲温度まで冷却し、氷/水混合物に注ぐ。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、得られた沈殿物を濾過して、表題化合物を白色固体として得る(13g、95.3%)。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)260/262[M+H]+。
【0048】
代替的調製2
スキーム1、ステップB:アセトニトリル(2L)中のエチル7-ヒドロキシ-5-オキソ-4H-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(400g、1.79mol)の懸濁液へ、POCl3(416mL、4.48mol)およびピリジン(217ml、2.69mol)を窒素下50℃で滴下する。反応物を80℃で12時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残留物を水(2L)に注ぐ。反応混合物を濾過し、固体を水(800mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をオレンジ色の固体として得る(360g、66%)。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)260/262[M+H]+。
【0049】
【0050】
スキーム1、ステップC:エチル5,7-ジクロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(5g、19.2mmol)を1,4-ジオキサン(40mL)に溶解する。この混合物に、1-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-メタンアミン(3.5g、20mmol)、続いてDIEA(6.7mL、38.4mmol)を加え、反応物を周囲温度で2時間撹拌する。この後、反応を水(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×100mL)で抽出する。次に、合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン中0~70%のEtOAc)で精製して、表題化合物を濃厚な透明な油として得、これは静置すると白色の固体に固化する(3.55g、49.3%)。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)375/377[M+H]+。
【0051】
調製3a
【化13】
スキーム2、ステップA:エチル5,7-ジクロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(50.0g、192mmol)をTHF(250mL)に加え、溶液を10℃まで冷却する。次に、MeNH
2の溶液(エタノール中33%w/w)(79mL、634mmol)を加え、温度を20℃未満に保つ。反応混合物を撹拌し、22℃まで温め、4時間撹拌する。次に水(300mL)を加え、混合物をさらに1時間撹拌する。
【0052】
得られた固体を濾過により収集し、THF/水混合物(2:3)(100mL)および水(400mL)で洗浄する。次に、固体を真空(10mbar/50℃)下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物を淡褐色の固体(49.5g、90%)として得る。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)255/257[M+H]+。
【0053】
調製4
【化14】
スキーム1、ステップD:4つのマイクロ波バイアルのそれぞれに、エチル5-クロロ-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(2.5g、6.7mmol)および2-メトキシアニリン(0.9g、7.3mmol)を1,4-ジオキサン(17mL)に溶解する。この混合物に炭酸カリウム(1.4g、10mmol)を加え、続いてBrettPhos(0.37g、0.67mmol)およびPd(OAc)
2(0.15g、0.67mmol)を加える。反応物を120℃まで2時間マイクロ波処理する。この後、反応物を周囲温度まで冷却する。反応混合物を合わせ、珪藻土で濾過し、蒸発させる。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン中30-50%EtOAc)で精製して、表題化合物をオフホワイトの泡状物(10.8g、88.0%)として得る。ES/MS m/z462(M+H)。
【0054】
以下の化合物を、調製4の方法と本質的に類似する様式で調製する。
【表1】
【0055】
調製4a
【化15】
スキーム2、ステップB:メカニカルスターラー、濃縮器、および窒素入口を備える1Lの3口丸底フラスコに、エチル5-クロロ-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(53.0g、197.7mmol)、2-メトキシアニリン(25.1g、203.9mmol)および炭酸カリウム(60.0g、434.1mmol)、続いて1,4-ジオキサン(250mL)および無水2-メチル-2-ブタノール(250ml)を添加する。混合物を撹拌し、窒素で30分間パージする。次に、酢酸(23.0mL、401.4mmol)、塩化アリルパラジウム(II)ダイマー(0.4g、1.07mmol)、および(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(1.37g、2.13mmol)を加え、窒素パージを15分間続ける。次に、反応混合物を105℃で20時間加熱する。この後、加熱を停止し、水(400mL)を糸状で加える。得られた混合物を撹拌しながら周囲温度まで冷却し、次にさらに15℃まで2時間冷却する。得られた固体を濾過により収集し、水/t-アミルアルコール(9:1)混合物(3×100mL)および水(150mL)で洗浄する。固体を真空(10mbar/35℃)下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をベージュ色の固体(66.5g、95.6%)として得る。ES/MS m/z 342(M+H)。
【0056】
以下の化合物を、調製4aの方法に本質的に類似する様式で調製する。
【表2】
【0057】
調製6
【化16】
スキーム1、ステップE:エチル5-(2-メトキシアニリノ)-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(10.8g、23.4mmol)を、1,4-ジオキサン(117mL)およびEtOH(4.7mL)に溶解する。この混合物に2.5N NaOH水溶液(37mL、93.6mmol)を加え、反応物を90℃で20時間撹拌する。この後、反応物を周囲温度まで冷却し、蒸発させて揮発性有機物を除去する。次に、残りの水溶液を1N HCl水溶液で約pH5にし、固体沈殿物をクロロホルム/IPA(3:1)(3×300mL)で抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得る(9.54g、89.9%)。ES/MS m/z 434(M+H)。
【0058】
以下の化合物を、調製6の方法と本質的に類似する様式で調製する。
【表3】
【0059】
調製6a
【化17】
スキーム2、ステップC:エチル5-(2-メトキシアニリノ)-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(5.98g、17.3mmol)、EtOH(48mL)、水(30mL)および水酸化リチウム(1.2g、50.0mmol)の混合物を4時間還流する。この後、反応混合物を70℃まで冷却し、HCl(10%w/w)を加えることによって中和してpH2に調整する。次に、反応混合物を2℃まで冷却し、2時間撹拌する。得られた固体を濾過により収集し、水(30mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をクリーム固体として得る(5.55g、100%)。ES/MS m/z 314(M+H)。
【0060】
以下の化合物を、調製6aの方法に本質的に類似する様式で調製する。
【表4】
【0061】
調製8
【化18】
スキーム1、ステップF:DMF(3.5mL)中の5-(2-メトキシアニリノ)-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(0.30g、0.69mmol)およびラセミ性3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オン(0.095g、0.83mmol)に、BOP(0.41g、0.93mmol)およびDIEA(0.48mL、2.77mmol)を加える。反応混合物を窒素下、周囲温度で60時間撹拌する。この後、反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)でクエンチし、EtOAc(50mL)で抽出する。有機層を水および飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させる。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(DCM中の2~4% MeOH)によって精製して、表題化合物(0.30g、83.2%)を得る。ES/MS m/z 530(M+H)。
【0062】
以下の化合物を、調製8の方法に本質的に類似する様式で調製する。
【表5】
【0063】
調製10
【化19】
スキーム1、ステップG:5-(2-メトキシアニリノ)-7-[(4-メトキシフェニル)メチル-メチル-アミノ]-N-[rac-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(0.3g、0.58mmol)のDCM(11.5mL)およびTFA(11.5mL)中の溶液を、周囲温度で4時間撹拌する。この後、反応物を蒸発させて揮発性有機物を除去する。残留物をDCM(20mL)およびメタノール中の7Mアンモニア(4mL)で処理する。得られた混合物を10分間撹拌し、蒸発させる。次に、残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(DCM中の2~8% MeOH)によって精製して、表題化合物(0.18g、74.2%)を得る。ES/MS m/z 410(M+H)。
【0064】
以下の化合物を、調製10の方法に本質的に類似する様式で調製する。
【表6】
【0065】
代替的調製11
【化20】
スキーム2、ステップD:5-(2-エトキシアニリノ)-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(4.5g、8.9mmol)、ラセミ性3-アミノ-1-メチル-ピリミジン-2-オン(1.2g、11.0mmol)およびHOBt(1.8g、13.0mmol)をTHF(89mL)に懸濁する。この混合物に、EDCI(2.6g、13.0mmol)およびDIEA(6.2mL、36.0mmol)を0℃で加える。反応物を周囲温度まで温め、窒素下で18時間撹拌する。この後、反応物を蒸発させて揮発性有機物を除去する。得られた残留物を水(300mL)で処理し、クロロホルム/IPA(3:1)(3×300mL)の混合物で抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させる。次に、残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(DCM中の3-10% MeOH)によって精製して、表題化合物(3.5g、92.0%)を得る。ES/MS m/z 424(M+H)。
【0066】
調製12
【化21】
スキーム3、ステップA:DMF(4L)中の(tert-ブトキシカルボニル)-D-メチオニン(400g、1.6mol)、メチルアミン塩酸塩(162.47g、2.4mol)、およびDIEA(700mL、4.01mol)の溶液を0℃まで冷却し、HATU(732.1g、1.92mol)を加える。反応物を周囲温度まで温める。2時間撹拌した後、溶媒を蒸発させる。次に、水(10L)を加え、水溶液をDCM(2×3L)で抽出する。有機層を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させる。得られた残留物を、ヘキサン中のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィによって精製して、表題化合物を白色の固体として得る(368g、87%)。ES/MS m/z 263(M+H)。
【0067】
調製13
【化22】
スキーム3、ステップB:tert-ブチルN-[(1R)-1-(メチルカルバモイル)-3-メチルスルファニル-プロピル]カルバメート(368g、1.40mol)およびMeI(3.68L、59.11mol)の混合物を、周囲温度で18時間撹拌する。次に、混合物を蒸発させる。得られた粗製ジメチルスルホニウムヨージド塩(210g、0.52mol)の一部分をTHF(4.7L)に溶解し、窒素雰囲気下で0℃まで冷却し、LiHMDS(THF中の1.00M溶液(1.16L、1.16mol)を滴下する。次に、反応混合物を周囲温度まで温める。4時間後、水(2.4L)を加え、溶媒を蒸発させて半分の体積にする。混合物をDCM(2×3L)で抽出する。有機物を合わせて蒸発させる。残留物を、DCM中のMeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィによって精製して、表題化合物を白色の固体として得る(50g)。ES/MS m/z 215(M+H)。キラルHPLC:Rt(保持時間)=9.13分;LCカラム:ChiralPAc IA OD 4.6×250mm 5μm;アイソクラティック:0.1% ジエチルアミン/ヘキサン/エタノール(85/15);カラム温度:25℃;流速:1.0mL/分。旋光度:[α]
D
20=+53°(C=0.5、MeOH)。
【0068】
調製14
【化23】
スキーム3、ステップC:アセトニトリル(500mL)中のtert-ブチルN-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]カルバメート(46g、214.69mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸(74.5g、433mmol)を55℃で加熱し、4時間撹拌する。次に、MTBE(1L)を添加し、混合物を22℃まで冷却する。得られた固体を濾過により収集し、追加のMTBEで洗浄し、真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得る(60g、95%)。ES/MS m/z 115(M+H)。旋光度:[α]
D
20=+31.3°(C=0.5、MeOH)。
【0069】
実施例1
【化24】
スキーム4:ピリジン(150ml)中の5-(2-メトキシアニリノ)-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(50g、159.6mmol)および(3R)-3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オン;p-トルエンスルホニル塩(60g、222mmol)の混合物を、周囲温度で15分間撹拌する。次に、T3P(EtOAc中の1.67M 溶液、185mL、309mmol)を加え、混合物を80℃で3時間加熱する。反応混合物を60℃まで冷却し、水(600mL)を加える。反応物を周囲温度まで冷却し、得られた固体を濾過により収集し、水(100mL)で洗浄する。
【0070】
得られた湿った固体をDMSO(300mL)に溶解し、60℃まで加熱する。活性炭(2g)を加え、60℃で30分間撹拌する。次に、混合物を珪藻土で濾過する。濾過した溶液に水(300mL)を滴下し、温度を60℃に保つ。混合物を周囲温度まで冷却し、得られた固体を濾過により収集し、水(100mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量に乾燥させて、表題化合物を白色固体として得る(52g、78%)。ES/MS m/z 410(M+H)。キラルSFC:Rt(保持時間)=1.63分;SFCカラム:Chiralpak AD(4.6×100mm)5μm;アイソクラティック:IPA(0.2%IPAm);カラム温度:40℃;流速:5.0mL/分。旋光度:[α]D
20=-4.19°(C=0.3、MeOH)。
【0071】
代替的実施例1
5-(2-メトキシアニリノ)-7-(メチルアミノ)-N-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド
【0072】
5-(2-メトキシアニリノ)-7-(メチルアミノ)-N-[rac-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドのラセミ性混合物を、キラルクロマトグラフィにより精製して、最初に溶出するエナンチオマーを表題化合物として得る。ES/MS m/z 410(M+H)。精製条件:CHIRALPAK(登録商標)AD-H;移動相:MeOH中の10% ACN;流速:30mL/分;UVW:225nm;保持時間:2.53分。
(Sエナンチオマー保持時間:3.78分)。
【0073】
実施例2
【化25】
5-(2-エトキシアニリノ)-7-(メチルアミノ)-N-[rac-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドのラセミ性混合物を、キラルクロマトグラフィにより精製して、最初に溶出するエナンチオマーを表題化合物として得る。ES/MS m/z 424(M+H)。精製条件:CHIRALPAK(登録商標)AD-H;移動相:CO
2中の40% EtOH;流速:70g/分;UVW:260nm;保持時間:2.56分。
(Sエナンチオマー保持時間:4.28分)。
【0074】
シンチレーション近接アッセイによるTYK2 JH2への結合
N末端His6タグを持つヒトJAK(細胞質チロシンキナーゼのJanusファミリー)ファミリーチロシンキナーゼ2 (TYK2)のシュードキナーゼドメイン(JH2)を、バキュロウイルスで発現させ、Ni-NTAアフィニティーおよびサイズ排除クロマトグラフィによって精製する。イットリウム(YSi)Hisタグシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ(カタログ番号PRNQ0096)を、PerkinElmer Life Sciencesから購入する。3H-N-[(1R)-1-[3-[8-メチル-5-(メチルアミノ)-8H-イミダゾ[4,5-d]チアゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル]フェニル]エチル]-2-(メチルスルホニル)ベンズアミドを、Quotient Bioによって合成し、63Ci/mmolの比活性および濃度6.78μMを有し、エタノールに保存される(カタログ番号TRQ41678)(例えば、J.S.Tokarski,et al.,J.Biol.Chem.,vol.290(17),pages 11061-11074(2015)およびR.Moslin,et al.,Med.Chem.Commun.,vol.8,pages 700-712(2017)をまた参照されたい)。
【0075】
実施例1の3倍、10点段階希釈を100% DMSO(200nL)で調製し、音響液体処理を使用して、96ウェル、白色、透明底、非結合表面アッセイプレート(Costar 3604)に移す。パーセント阻害を決定するために使用された対照ウェルは、DMSO(200nL)または低温の非標識阻害剤(200nL、10mM、200μM 最終濃度)のいずれかを含んだ。アッセイバッファー(50mM HEPES、pH7.5、0.005% Tween-20)中の、Hisタグ付きTYK2 JH2(20μLの7.1nM)および3H-N-[(1R)-1-[3-[8-メチル-5-(メチルアミノ)-8H-イミダゾ[4,5-d]チアゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イル]フェニル]エチル]-2-(メチルスルホニル)ベンズアミド(50nM)を、希釈した阻害剤に添加する。室温で2時間のインキュベーション後、0.2% BSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のYSi銅His-Tag SPAビーズ(100μLの0.5mg/mL)を各ウェルに添加する。室温で15分後、Trilux Microbetaを使用して放射能をカウントする。各阻害剤濃度の放射性リガンド結合のパーセント阻害を計算し、実施例1の化合物について0.045μM(±0.016μM、n=3)および実施例2の化合物について0.040μM(±0.012μM、n=4)のIC50を与えるGenedata Screener(登録商標)を使用して、4パラメータ非線形ロジスティック方程式に適合させ、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表す。この結果は、実施例1および実施例2の化合物がインビトロでTYK2 JH2ドメインに結合することを実証する。
【0076】
TF1細胞におけるpSTAT1を介したIFNαシグナル伝達の阻害
TF1細胞(ATCC、CL-2003)を、10% 透析FBS、0.1mg/ml アンピシリン、および2ng/mL 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を添加したRPMI1640(GIBCO)で培養する。TF1細胞(ウェルあたり100K)を、無血清DMEM中、96ウェルのポリ-D-リジン被覆プレートに播種し、37℃で5% CO2下一晩インキュベートする。実施例1を、DMSOで段階希釈し、細胞に加え、37℃で1時間インキュベートする。次に、細胞を10ng/ml IFNα2で37℃、20分間刺激する。培地を除去した後、細胞を、Haltプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific#78441)を含むバッファー中、室温で30分間溶解する。p-Stat1(Tyr701)の量を、AlphaLISA SureFire Ultra p-Stat1(Tyr701)アッセイキット(Perkin Elmer#ALSU-PST1-A50K)を使用して、ベンダーの推奨プロトコルに従って615nmでの発光として定量化する。各阻害剤濃度のパーセント阻害を計算し、実施例1の化合物について0.008μM(±0.001μM、N=5)および実施例2の化合物について0.010μM(±0.001μM、n=4)のIC50を与えるGenedata Screener(登録商標)を使用して4パラメータ非線形ロジスティック方程式に適合させ、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表す。この結果は、実施例1および実施例2の化合物が、TF1細胞におけるpSTAT1を介したIFNαシグナル伝達の阻害剤であることを実証する。
【0077】
IL23 pSTAT3AlphaLISAアッセイ
内因性IL23受容体を発現するIL2依存性Kit225細胞に、ホタルルシフェラーゼに連結されたLenti STAT3 Reporter(SABiosciences CLS-6028L)を、安定的に形質導入させる。これらの細胞を使用して、AlphaLISAテクノロジー(TGR Biosciences ALSU-TST3-A50K)を使用するIL2の存在下のIL23による誘導に続くSTAT3リン酸化によって引き起こされる遺伝子発現を定量化することによって、TYK2活性を監視する。細胞を、10% FBS(Invitrogen 10082)、1XPen/Strep(Gibco 15140-122)、200ng/ml ピューロマイシン(Sigma P9620)、および新鮮な10ng/ml 組換えヒトIL2(R&D Systems 202-IL-50)を添加したRPMI1640(Gibco 22400)で培養する。
【0078】
アッセイ準備のために、細胞をDMEM(Sigma D5796)中のBiocoatブラックポリ-d-リジン被覆透明底384ウェルプレート(Becton Dickinson Bio-Coat 35-4640)内に300,000細胞/ウェルで分注し、37℃で一晩インキュベートさせる。DMSOに可溶化された化合物を、1:3で段階希釈し、10点濃度応答曲線を作成する(最終DMSO=0.1%)。細胞を、実施例1と共に37℃で1時間プレインキュベートし、次にIL23(最終25ng/ml)で30分間刺激する。2000rpmで10分間遠心分離した後、細胞ペレットを、1:1溶解バッファー(TGR Biosciences)およびHalt Protease&Phosphatase阻害剤カクテル(Thermo Scientific 1861281)の混合物で30分間溶解する。AlphaLISA反応を、ベンダーが推奨するプロトコルに従って実行し、ルシフェラーゼレベルを、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して測定する。相対的IC50を、実施例1の化合物について0.009μM(±0.001μM、N=4)および実施例2の化合物について0.010μM(±0.002μM、n=3)のIC50を与える4パラメータ非線形ロジスティック方程式(GeneData Screener 13.0.5)を使用して計算し、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表す。この結果は、実施例1および実施例2の化合物が、細胞ベースのアッセイにおいてIL-23シグナル伝達の阻害剤であることを実証する。