IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥールの特許一覧

特許7179162ダンパを組み込んだ接続スリーブを備えた回転電気機械
<>
  • 特許-ダンパを組み込んだ接続スリーブを備えた回転電気機械 図1
  • 特許-ダンパを組み込んだ接続スリーブを備えた回転電気機械 図2
  • 特許-ダンパを組み込んだ接続スリーブを備えた回転電気機械 図3
  • 特許-ダンパを組み込んだ接続スリーブを備えた回転電気機械 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】ダンパを組み込んだ接続スリーブを備えた回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   F16D 1/02 20060101AFI20221118BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20221118BHJP
   F16D 3/06 20060101ALI20221118BHJP
   F16D 3/12 20060101ALI20221118BHJP
【FI】
F16D1/02 110
H02K7/116
F16D3/06 P
F16D3/12 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021513972
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019074553
(87)【国際公開番号】W WO2020053420
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】1858311
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】アルン、ティラガナタン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、スクイティエロ
(72)【発明者】
【氏名】ウサマ、ルイ
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-54447(JP,U)
【文献】実開昭63-126620(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00
F16D 3/00
H02K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(10)であって、
シャフト(13)と、
前記シャフト(13)に実装された回転子(12)と、
特に前記回転子(12)を囲む固定子(11)と、
回転している前記シャフト(13)を誘導する転がり軸受(19)を受容するための凹部を有する前部軸受(15)と
を有し、
前記シャフト(13)は、前記転がり軸受(19)に対して軸方向に突出する末端を有し、前記シャフト(13)の末端はスプラインを有する、回転電気機械(10)と、
スプラインを有するシャフト(47)が設けられた減速要素(22)と、
接続スリーブ(48)であって、
前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端と協働するように意図される第1スプライン部分(48.1)と、
前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端と協働するように意図される第2スプライン部分(48.2)と、
前記接続スリーブ(48)の前記第1スプライン部分(48.1)と前記第2スプライン部分(48.2)との間に軸方向に設けられたダンパ(51)と、
を有する接続スリーブ(48)と、
を備え
前記ダンパ(51)は、潤滑剤が前記接続スリーブ(48)の前記第1スプライン部分(48.1)から前記第2スプライン部分(48.2)へ、およびその逆に移動できるように、潤滑剤通路を有することを特徴とする、自動車アセンブリ。
【請求項2】
回転電気機械(10)であって、
シャフト(13)と、
前記シャフト(13)に実装された回転子(12)と、
特に前記回転子(12)を囲む固定子(11)と、
回転している前記シャフト(13)を誘導する転がり軸受(19)を受容するための凹部を有する前部軸受(15)と
を有し、
前記シャフト(13)は、前記転がり軸受(19)に対して軸方向に突出する末端を有し、前記シャフト(13)の末端はスプラインを有する、回転電気機械(10)と、
スプラインを有するシャフト(47)が設けられた減速要素(22)と、
接続スリーブ(48)であって、
前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端と協働するように意図される第1スプライン部分(48.1)と、
前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端と協働するように意図される第2スプライン部分(48.2)と、
前記接続スリーブ(48)の前記第1スプライン部分(48.1)と前記第2スプライン部分(48.2)との間に軸方向に設けられたダンパ(51)と、
を有する接続スリーブ(48)と、
を備え
前記シャフト(13、47)と前記ダンパ(51)との間の軸方向クリアランスは、前記シャフト(13、47)のショルダと前記接続スリーブ(48)との間の軸方向クリアランスよりも小さいことを特徴とする、アセンブリ。
【請求項3】
回転電気機械(10)であって、
シャフト(13)と、
前記シャフト(13)に実装された回転子(12)と、
特に前記回転子(12)を囲む固定子(11)と、
回転している前記シャフト(13)を誘導する転がり軸受(19)を受容するための凹部を有する前部軸受(15)と
を有し、
前記シャフト(13)は、前記転がり軸受(19)に対して軸方向に突出する末端を有し、前記シャフト(13)の末端はスプラインを有する、回転電気機械(10)と、
スプラインを有するシャフト(47)が設けられた減速要素(22)と、
接続スリーブ(48)であって、
前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端と協働するように意図される第1スプライン部分(48.1)と、
前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端と協働するように意図される第2スプライン部分(48.2)と、
前記接続スリーブ(48)の前記第1スプライン部分(48.1)と前記第2スプライン部分(48.2)との間に軸方向に設けられたダンパ(51)と、
を有する接続スリーブ(48)と、
を備え
前記ダンパ(51)は環状形状を有することを特徴とする、アセンブリ。
【請求項4】
前記ダンパ(51)は、前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端と前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端との間の直接的な軸方向接触を防止するように、前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端と前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端との間に軸方向に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ダンパ(51)は、前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端と前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端との間で軸方向に介在していることを特徴とする、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ダンパは、前記回転電気機械(10)の前記シャフト(13)の前記スプライン端のスプラインの外側、および/または前記減速要素(22)の前記シャフト(47)の前記スプライン端のスプラインの外側に設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ダンパ(51)は弾性材料で作られていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ダンパ(51)は、前記接続スリーブ(48)の内部溝(53)内に設けられていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記接続スリーブ(48)の前記内部溝(53)は、前記接続スリーブ(48)の前記第1スプライン部分(48.1)と前記第2スプライン部分(48.2)との間で軸方向に配置されていることを特徴とする、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記接続スリーブ(48)は、互いに軸方向に離れた2つの内部溝を備え、前記ダンパはU字型断面を有し、その2つの脚は、前記2つの内部溝にそれぞれ挿入されることを特徴とする、請求項8または9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記接続スリーブ(48)の一端に設けられた少なくとも1つのシール(54)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記減速要素(22)は自動車ギアボックスであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記減速要素(22)は、車両の車軸システムに実装されて前記回転電気機械(10)に結合された減速ギアであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のアセンブリを有することを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパを組み込んだ接続スリーブが設けられた回転電気機械に関する。本発明は、特に有利には、ただし排他的ではなく、オルタネータモードおよびモータモードで動作することができ、減速要素に結合された、高出力可逆電気機械に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
それ自体が知られている方法で、回転電気機械は、固定子と、シャフトに固定された回転子とを有する。固定子は、転がり軸受によって軸受上のシャフトを回転させるように構成されたケーシング内に実装されている。
【0003】
回転子は、適切な締結システムによってパックの形態で保持された積層のスタックによって形成された本体を有する。回転子は、たとえば回転子の磁気塊に設けられた空洞に収容された永久磁石によって形成された極を有する。あるいは、「突極」アーキテクチャとして知られるものにおいて、極は、回転子のアームに巻かれたコイルによって形成される。
【0004】
さらに、固定子は、リングを形成する薄い積層のスタックによって形成された本体を有し、その内面には、巻線を受容するように内側に向かって開放したスロットが設けられている。巻線は、たとえば、エナメルで覆われた連続ワイヤから、または溶接によって互いに接続されたピンの形態の導電性要素から、得られる。巻線は、星形または三角形に接続された相巻線を有し、その出力は電子制御モジュールに接続される。
【0005】
内燃機関から車両の車輪に機械的動力を伝達する特定のタイプの自動車駆動列では、高出力可逆回転電気機械は、接続片を介して、減速要素に結合されることが可能である。減速要素は、車両のギアボックス、または車両の車軸システムに実装されて回転電気機械に結合された減速ギアの形態をとることができる。
【0006】
回転電気機械は、特に、エネルギーを電池および車両の車載ネットワークに供給するようにオルタネータモードで、ならびに内燃機関を始動させ、および/または単独もしくは内燃機関と組み合わせて車両に動力を提供するようにモータモードで、動作することができる。
【0007】
電気機械のシャフトと減速要素のシャフトとの間の機械的接続を保証するために、回転電気機械のシャフトのスプライン端と協働するように意図される第1スプライン部分と、減速要素のシャフトのスプライン端と協働するように意図される第2スプライン部分とを有する、略管状形状の接続スリーブを使用することが可能である。
【発明の概要】
【0008】
動作中、接続スリーブは、その軸に沿って自由に並進運動できる。スリーブの並進は、これがシャフトのショルダと接触したときに停止する。これら2つの間の軸方向クリアランスは小さく、具体的には2mm未満である。このため、鋼で作られた接続スリーブとシャフトとの間の接触は、騒音およびガタつきを生じる。極端な場合には、スリーブは、共振してシステムを損傷させる可能性さえある。
【0009】
本発明は、自動車アセンブリを提案することによって、これらの欠点を効果的に解消することを目的とし、自動車アセンブリは、
回転電気機械であって、
シャフトと、
シャフトに実装された回転子と、
特に回転子を囲む固定子と、
回転しているシャフトを誘導する転がり軸受を受容するための凹部を有する前部軸受と
を備え、
シャフトは、転がり軸受に対して軸方向に突出する末端を有し、シャフトの末端はスプラインを有する、回転電気機械と、
スプラインを有するシャフトが設けられた減速要素と、
接続スリーブであって、
回転電気機械のシャフトのスプライン端と協働するように意図される第1スプライン部分と、
減速要素のシャフトのスプライン端と協働するように意図される第2スプライン部分と、
接続スリーブの第1スプライン部分と第2スプライン部分との間に軸方向に設けられたダンパと、
を有する接続スリーブと
を有する。
【0010】
本発明は、ダンパの存在により、シャフトと接続スリーブとの間の衝撃を回避することを可能にする。これにより、自動車の動作中の騒音およびガタつきを低減する。
【0011】
一実施形態によれば、ダンパは、回転電気機械のシャフトのスプライン端と減速要素のシャフトのスプライン端との間の直接的な軸方向接触を防止するように、回転電気機械のシャフトのスプライン端と減速要素のシャフトのスプライン端との間に軸方向に設けられている。
【0012】
一実施形態によれば、ダンパは、回転電気機械のシャフトのスプライン端と減速要素のシャフトのスプライン端との間で軸方向に介在している。
【0013】
一実施形態によれば、ダンパは、回転電気機械のシャフトのスプライン端のスプラインの外側、および/または減速要素のシャフトのスプライン端のスプラインの外側に設けられている。言い換えると、ダンパは、シャフトからスリーブにトルクを伝達しない。
【0014】
一実施形態によれば、ダンパは弾性材料で作られている。
【0015】
一実施形態によれば、シャフトとダンパとの間の軸方向クリアランスは、シャフトのショルダと接続スリーブとの間の軸方向クリアランスよりも小さい。
【0016】
一実施形態によれば、ダンパは、潤滑剤が接続スリーブの第1スプライン部分から第2スプライン部分へ、およびその逆に移動できるように、潤滑剤通路を有する。
【0017】
一実施形態によれば、ダンパは環状形状を有する。
【0018】
一実施形態によれば、ダンパは、接続スリーブの内部溝内に設けられている。
【0019】
一実施形態によれば、接続スリーブの内部溝は、接続スリーブの第1スプライン部分および第2スプライン部分を軸方向に分離する。
【0020】
一実施形態によれば、接続スリーブの内部溝は、接続スリーブの第1スプライン部分と第2スプライン部分との間で軸方向に配置されている。
【0021】
一実施形態によれば、接続スリーブは、互いに軸方向に離れた2つの内部溝を備え、ダンパはU字型断面を有し、その2つの脚は、2つの環状溝にそれぞれ挿入される。
【0022】
一実施形態によれば、前記アセンブリは、接続スリーブの一端に設けられた少なくとも1つのシールを有する。
【0023】
一実施形態によれば、減速要素は自動車ギアボックスである。
【0024】
一実施形態によれば、減速要素は、車両の車軸システムに実装されて回転電気機械に結合された減速ギアである。
【0025】
本発明の別の対象は、上記で定義されたようなアセンブリを有することを特徴とする自動車である。
【0026】
本発明は、以下の説明を読み、添付図を検討することで、より良く理解されるだろう。これらの図は、本発明の完全に非限定的な例示としてのみ与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による回転電気機械の斜視図である。
図2】本発明による回転電気機械の縦断面図である。
図3】本発明による接続スリーブによる回転電気機械のシャフトと減速要素のシャフトとの間の結合を示す、縦断面図である。
図4】本発明による接続スリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
同一、同様、または類似の要素は、図ごとに同じ参照符号を維持する。
【0029】
説明の残りの部分では、前から後に向かう配向、図1および図2の左から右に向かう配向が考慮される。したがって、「前部」要素は前部転がり軸受19の側に位置する要素を意味すると理解され、「後部」要素は反対側、すなわち電子制御モジュール34の側に位置する要素を意味すると理解される。
【0030】
図1および図2は、回転電気機械10の軸に対応する軸Xのシャフト13に実装された回転子12を囲む多相固定子11を有する回転電気機械10を示す。固定子11は、固定子11の内周と回転子12の外周との間にエアギャップを存在させて、回転子12を囲んでいる。固定子11は、前部軸受15および後部軸受16を有するケーシング14内に実装されている。前部軸受15および後部軸受16は各々、回転しているシャフト13を誘導(案内)する対応する転がり軸受19、20を受容するための凹部17、18を有する。
【0031】
この電気機械10は、図3に示されるように、接続スリーブ48を介して減速要素22に結合されるように意図される。減速要素22は、自動車ギアボックス、または車両の車軸システムに実装されて回転電気機械10に結合された減速ギアの形態をとることができる。
【0032】
電気機械10は、特に、エネルギーを電池および車両の車載ネットワークに供給するようにオルタネータモードで、ならびに車両の内燃機関を始動させ、必要に応じて単独もしくは内燃機関と組み合わせて車両に動力を提供するようにモータモードで、動作することができる。機械の出力は、たとえば15kWから50kWの間であり得る。
【0033】
より具体的には、回転子12は、積層のパックの形態の本体24を有する。本体24の空洞26内には永久磁石25が取り付けられている。磁石25は、機械の用途および所望の出力に応じて、希土類またはフェライトで作られることが可能である。
【0034】
さらに、回転子12は、回転子12の軸方向端面に対して各々押しつけられた2つのフランジ28、29を有する。これらのフランジ28、29は、磁石の軸方向維持を保証し、回転子12のバランスをとるのにも役立つ。
【0035】
さらに、固定子11は、積層のパックによって形成された本体31、および巻線32を有する。本体31は、リベットなどの適切な締結システムによってパックの形態で保持された積層のスタックによって形成されている。
【0036】
固定子11の本体には、巻線32を実装するためのスロットを区切るティースが設けられている。巻線32は、スロットを通過し、固定子11の本体のいずれかの側に突出する可視部分を形成する、1組の相巻線を有する。巻線32は、この場合、たとえば溶接によって互いに接続された、ピンの形態の導電性要素から得られる。巻線32は、たとえば、星形または三角形に接続された二重三相タイプの相巻線を有する。位相出力は、電子制御モジュール34に接続されるように意図される。
【0037】
電子制御モジュール34は、たとえばねじ留めによって、特にパワーモジュール36に締結された、ヒートシンク35を有する。これらのパワーモジュール36は、それ自体が知られている方法で、たとえばMOSトランジスタの形態のスイッチを組み込み、モータモードまたはオルタネータモードで回転電気機械10の位相を制御することを可能にする。これらのトランジスタの切り替えは、制御ユニットによって制御される。電子制御モジュール34は、ヒートシンク35を介して、後部軸受16の横壁の後面に対して押しつけられるように実装されている。
【0038】
有利には、電気機械10は、水性または油性の液体などの冷却液のための入口39および出口40を有する、冷却回路38を有する。冷却回路38は、ヒートシンク35の塊に設けられた冷却チャンバ41と、固定子11を囲む冷却チャンバ42とを有する。
【0039】
冷却チャンバ42は、前部軸受15の環状壁の外周および後部軸受16の環状壁の内周によって区切られている。この冷却チャンバ42は、Oリングタイプの2つのシール46によってその軸方向末端が閉鎖されている。固定子11は、固定子11の本体の外周と前部軸受15の横壁の内周との間の密接な接触を確立するように、前部軸受15の内側に締まりばめで実装されている。
【0040】
図3に見られるように、電気機械10のシャフト13および減速要素22のシャフト47は、軸X1の接続スリーブ48によって結合されている。接続スリーブ48は、電気機械10のシャフト13および減速要素22のシャフト47と同軸である。
【0041】
この目的のために、略管状形状の接続スリーブ48は、転がり軸受19に対して軸方向に突出する電気機械10のシャフト13のスプライン端49と協働するように意図される、第1スプライン部分48.1を有する。接続スリーブ48はまた、減速要素22のシャフト47のスプライン端と協働するように意図される第2スプライン部分48.2も有する。
【0042】
接続スリーブ48はまた、スプラインがなく、スプライン部分48.1、48.2よりも大きい直径を有する、2つの末端部分55.1、55.2も有することができる。末端部分55.1、55.2と対応するスプライン部分48.1、48.2との間の直径の差は、ショルダを画定する(図4参照)。シャフト13、47のショルダは、スリーブ48の対応するショルダに荷重をかけるようになり得る。
【0043】
電気機械10のシャフト13の末端および減速要素22のシャフト13の末端に設けられたスプライン、ならびに接続スリーブ48の対応するスプラインは、軸Xに対して軸方向の配向を有する。
【0044】
図4に見られるように、2つのスプライン部分48.1、48.2は環状形状を有する。部分48.1、48.2のスプラインは、各環状部分48.1、48.2の内周に設けられている。2つの環状部分48.1、48.2は、互いに同軸である。
【0045】
有利には、ダンパ51は、接続スリーブ48の第1の部分48.1と第2の部分48.2との間、すなわちシャフト13と47との間で軸方向に設けられている。
【0046】
ダンパ51は、特にクリアランスを伴って、回転電気機械10のシャフト13のスプライン端と減速要素22のシャフト47のスプライン端との間で軸方向に介在している。このため、2つのシャフト間の直接接触に対抗することができる。
【0047】
有利には、ダンパは、回転電気機械10のシャフト13のスプライン端のスプラインの外側、および/または減速要素22のシャフト47のスプライン端のスプラインの外側に設けられている。このため、ダンパは、シャフトからスリーブにトルクを伝達しない。
【0048】
ダンパ51は、この目的のために設けられた接続スリーブ48の内部溝53内に設けられている。図3の実施形態では、ダンパ51は、U字型断面を有するように、対応する溝に挿入される2つの環状リムを有する。
【0049】
ダンパ51は、たとえばゴムなどの弾性材料、または変形可能なプラスチック材料で作られている。選択される材料は、好ましくは、炭化水素および衝撃に対して良好な耐性を有する。
【0050】
シャフト13、47とダンパ51との間の軸方向クリアランスは、シャフト13、47のショルダと接続スリーブ48との間の軸方向クリアランスよりも小さい。このため、その移動中、接続スリーブ48は、ダンパ51の圧縮を制限するシャフト13、47と接触する前に、ダンパ51と接触する。これにより、動作中の騒音および振動を低減することを可能にする。
【0051】
ダンパ51は、潤滑剤がスリーブ48の第1の部分48.1から第2の部分48.2へ、およびその逆に移動できるように、潤滑剤通路を有する。これにより、スリーブ48の内部の潤滑剤の最適な分布を得ることを可能にする。ダンパ51は、ダンパ51の内周が潤滑剤通路を画定するように、環状形状を有することができる。潤滑剤は、たとえばグリースからなる。
【0052】
シール54は、接続スリーブ48の一端に設けられている。シール54は、たとえば、減速要素22のシャフト47の溝内に設けられることが可能である。シーリングは、電気機械のシャフトの側でも保証されることが可能である。
【0053】
当然ながら、上記の説明は、単なる例示として与えられており、本発明の範囲を限定するものではなく、様々な要素を他のいずれかの同等物に置き換えても、前記範囲から逸脱することはない。
【0054】
さらに、本発明の様々な特徴、変形、および/または実施形態は、これらが互いに両立しない、または互いに排他的ではない限り、様々な組み合わせで互いに組み合わせられることが可能である。
図1
図2
図3
図4