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特許7179166バッテリサイクルにおけるカソード保護方法、カソード保護装置及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】バッテリサイクルにおけるカソード保護方法、カソード保護装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20221118BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20221118BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221118BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20221118BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/10 H
H02J7/00 S
G01R31/389
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021516868
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2019115659
(87)【国際公開番号】W WO2021056690
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201910936150.6
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 珊
(72)【発明者】
【氏名】関 ▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 飛
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046667(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022354(WO,A1)
【文献】特開2016-082728(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110176795(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G01R 31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリサイクルにおけるカソード保護方法であって。
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態(SOC)でのバッテリのカソード分極インピーダンス(nは0よりも大きいか若しくは等しい整数である)を取得するサブステップと、
前記バッテリの異なる荷電状態でのカソード開回路電圧と前記バッテリのカソード限界電位を取得するサブステップと、
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を、前記カソード開回路電圧と前記カソード限界電位と前記カソード分極インピーダンスとから算出するサブステップと、を含み、
前記カソード限界電位は、CV走査して取得したバッテリの材料の酸化反応に応じた電位であることを特徴とするカソード保護方法。
【請求項2】
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのカソード分極インピーダンスを取得するステップは、
前記バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得するサブステップと、
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するサブステップと、
前記バッテリ分極インピーダンスと前記アノード分極インピーダンスとに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのカソード分極インピーダンスを算出するサブステップと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のカソード保護方法。
【請求項3】
前記バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得するステップは、
前記バッテリのアノードの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得するサブステップと、
所定電流を用いて前記バッテリを放電して、前記バッテリのアノードの放電曲線を取得するサブステップと、
前記アノードのSOC-OCV対応関係と前記アノードの放電曲線とに基づいて、前記アノード分極インピーダンスを得るサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のカソード保護方法。
【請求項4】
前記アノードのSOC-OCV対応関係と前記アノードの放電曲線とに基づいて、前記アノード分極インピーダンスを得るステップは、
前記アノードのSOC-OCV対応関係に基づいて、前記アノードの放電曲線を正規化処理する第1処理ステップと、
前記アノードのSOC-OCV対応関係及び正規化処理された後の前記アノードの放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのアノード開回路電圧とアノード電圧とを得る第1取得ステップと、
前記アノード開回路電圧と前記アノード電圧とに基づいて、前記アノード開回路電圧から前記アノード電圧を差し引いた差分を前記所定電流で除算した値に等しい、荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを算出するステップと、
前記バッテリの異なる荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ前記第1取得ステップから第1重複ステップまでを繰り返して実行する第1重複ステップと、を含むことを特徴とする請求項3に記載のカソード保護方法。
【請求項5】
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するステップは、
前記バッテリの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得するサブステップと、
所定電流を用いて前記バッテリを放電して、n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの放電曲線を取得するサブステップと、
前記バッテリのSOC-OCV対応関係と前記放電曲線とに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを得るサブステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のカソード保護方法。
【請求項6】
前記バッテリのSOC-OCV対応関係と前記放電曲線とに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを得るステップは、
前記バッテリのSOC-OCV対応関係に基づいて、前記バッテリの放電曲線を正規化処理する第2処理ステップと、
前記バッテリのSOC-OCV対応関係及び正規化処理された後の前記放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのバッテリ開回路電圧及びバッテリ電圧をそれぞれ得る第2取得ステップと、
前記バッテリ開回路電圧及び前記バッテリ電圧に基づいて、前記バッテリ開回路電圧から前記バッテリ電圧を差し引いた差分を前記所定電流で除算した値に等しいバッテリ分極インピーダンスを算出する第2算出ステップと、
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ前記第2取得ステップから第2重複ステップまでを繰り返して実行する第2重複ステップと、を含むことを特徴とする請求項5に記載のカソード保護方法。
【請求項7】
前記バッテリ分極インピーダンスと前記アノード分極インピーダンスとに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのカソード分極インピーダンスを算出するステップは、
ある荷電状態での前記バッテリの前記アノード分極インピーダンスを取得する第1取得ステップと、
n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの前記荷電状態での前記バッテリ分極インピーダンスを取得する第2取得ステップと、
前記バッテリ分極インピーダンスから前記アノード分極インピーダンスを減算して、前記カソード分極インピーダンスを得る第3算出ステップと、
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記カソード分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ前記第1取得ステップ~第3重複ステップを繰り返して実行する第3重複ステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のカソード保護方法。
【請求項8】
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を、前記カソード開回路電圧と前記カソード限界電位と前記カソード分極インピーダンスとから算出するステップは、
n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリのある荷電状態での前記カソード分極インピーダンスRを取得するサブステップと、
前記バッテリの前記荷電状態での前記カソード開回路電圧OCVを取得するサブステップと、
n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの前記荷電状態での最大充電電流Iを算出するサブステップと、
n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ上記のステップを繰り返して実行するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のカソード保護方法。
【請求項9】
n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの前記荷電状態での最大充電電流Iは、以下の式で算出され、I=(U-OCV)/Rであり、ここで、Uは、前記カソード限界電位であることを特徴とする請求項8に記載のカソード保護方法。
【請求項10】
バッテリと、請求項1~9の何れか一項に記載の前記カソード保護方法を実行するためのプロセッサと、備えるカソード保護装置。
【請求項11】
少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータ命令は、プロセッサによりロードされ、且つ請求項1から9のいずれか一項に記載の前記カソード保護方法を実行するために用いられることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年09月29日に提出した出願番号が201910936150.6であり、発明の名称が「バッテリサイクルにおけるカソード保護方法、カソード保護装置及び記憶媒体」の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが本出願に援用される。
【0002】
本願は、バッテリ技術分野に関し、特にバッテリサイクルにおけるカソード保護方法、カソード保護装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の一般的な充電方法は、定電流定電圧充電方法又は急速充電方法であり、いずれもバッテリのアノードからリチウムが析出されているか否かで充電電流の限界を判定するものである。アノードの観点から、バッテリにリチウム析出現象が現れないことを保証し、安全リスクを低減でき、バッテリの性能に大きく寄与できる。しかしながら、アノード角度からのみ限界電流の決定を行なうことは、カソードや電解液等の材料の保護を図ることができず、バッテリのサイクル寿命に大きな影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、バッテリの循環充放電プロセスを保護でき、バッテリのサイクル寿命を確保できるバッテリサイクルにおけるカソード保護方法、カソード保護装置及び記憶媒体の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る電極アセンブリは、第1電極シート、第2電極シート及びセパレータを含み、前記第2電極シートの極性は前記第1電極シートの極性と逆であり、前記セパレータは、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられている。前記電極アセンブリは、前記第1電極シート、前記セパレータ及び前記第2電極シートを巻き取ることにより形成される。前記電極アセンブリは、第1タブ、第2タブ及び第3タブをさらに含み、前記第1タブは、前記第1電極シートに設けられ、前記第2タブと前記第3タブは、前記第2電極シートに設けられている。前記電極アセンブリの厚さ方向に沿って、前記第1タブと前記第2タブと前記第3タブとの投影は、重なり合わない。3つのタブは、2つの正極タブ及び1つの負極タブ、または2つの負極タブ及び1つの正極タブに配置されてもよい。複数のタブで並列に分流することにより、電極アセンブリの温度上昇が低減される。
【0006】
本開示の一実施形態に係るバッテリサイクルにおけるカソード保護方法は、以下のステップを備えるものである。n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態(SOC)でのバッテリのカソード分極インピーダンス(nは0よりも大きいか若しくは等しい整数であるである)を取得し、前記バッテリの異なる荷電状態でのカソード開回路電圧と前記バッテリのカソード限界電位を取得し、前記バッテリのn回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での最大充電電流を、前記カソード開回路電圧と前記カソード限界電位と前記カソード分極インピーダンスとから算出する。
【0007】
本願の幾つかの態様によれば、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態(SOC)でのバッテリのカソード分極インピーダンスを取得するステップは、前記バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得するサブステップと、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するサブステップと、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのカソード分極インピーダンスを、前記バッテリ分極インピーダンスと前記アノード分極インピーダンスとから算出するサブステップと、をさらに含む。
【0008】
本願の幾つかの実施形態によれば、バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得するステップは、前記バッテリのアノードの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得するサブステップと、所定電流を用いて前記バッテリを放電して、前記バッテリのアノードの放電曲線を取得するサブステップと、前記アノードのSOC-OCV対応関係と前記アノードの放電曲線から前記アノード分極インピーダンスを得るサブステップと、を含む。
【0009】
本願の幾つかの態様によれば、前記アノードのSOC-OCV対応関係と前記アノードの放電曲線から前記アノード分極インピーダンスを得るステップは、前記アノードのSOC-OCV対応関係に基づいて、前記アノードの放電曲線を正規化処理する第1処理ステップと、前記アノードのSOC-OCV対応関係及び正規化処理後の前記アノードの放電曲線から、ある荷電状態でのアノード開回路電圧とアノード電圧とをそれぞれ得る第1取得ステップと、前記荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを、前記アノード開回路電圧と前記アノード電圧とに基づいて算出する第1算出ステップと、前記バッテリの異なる荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ前記第1取得ステップ~第1重複ステップを繰り返して実行する第1重複ステップと、を含み、前記アノード分極インピーダンスは、前記アノード開回路電圧から前記アノード電圧を差し引いた差分を前記所定電流で除算した値に等しい。
【0010】
本願の幾つかの態様によれば、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するステップは、前記バッテリの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得するサブステップと、所定電流を用いて前記バッテリを放電して、n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの放電曲線を取得するサブステップと、前記バッテリのSOC-OCV対応関係と前記放電曲線とに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記電極分極インピーダンスを得るサブステップと、を含む。
【0011】
本願の幾つかの態様によれば、前記バッテリのSOC-OCV対応関係及び前記放電曲線に基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するステップは、前記バッテリのSOC-OCV対応関係に基づいて、前記バッテリの放電曲線を正規化処理する第2処理ステップと、前記バッテリのSOC-OCV対応関係及び正規化処理された後の前記放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのバッテリ開回路電圧及びバッテリ電圧をそれぞれ得る第2取得ステップと、前記バッテリ開回路電圧及び前記バッテリ電圧から、前記バッテリ開回路電圧から前記バッテリ電圧を差し引いた差分を前記所定電流で除算した値に等しいバッテリ分極インピーダンスを算出する第2算出ステップと、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ前記第2取得ステップ~前記第2重複ステップを繰り返して実行する第2重複ステップと、をさらに含む。
【0012】
本願の幾つかの態様によれば、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するステップは、前記バッテリの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得するサブステップと、所定電流を用いて前記バッテリを放電して、n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの放電曲線を取得するサブステップと、前記バッテリのSOC-OCV対応関係及び前記放電曲線に基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを得るサブステップと、を備える。
【0013】
本願の幾つかの態様によれば、前記バッテリ分極インピーダンスと前記アノード分極インピーダンスとに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態でのバッテリのカソード分極インピーダンスを算出するステップは、ある荷電状態での前記バッテリの前記アノード分極インピーダンスを取得する第1取得ステップと、n回目の充放電サイクルにおける荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを取得する第2取得ステップと、前記バッテリ分極インピーダンスから前記アノード分極インピーダンスを減算して、前記カソード分極インピーダンスを得る第3算出ステップと、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記カソード分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ前記第1取得ステップ~第3重複ステップを繰り返して実行する第3重複ステップと、をさらに含む。
【0014】
本願の幾つかの態様によれば、前記バッテリのn回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での最大充電電流を、前記カソード開回路電圧と前記カソード限界電位と前記カソード分極インピーダンスとから算出するステップは、前記バッテリのn回目の充放電サイクルにおけるある荷電状態での前記カソード分極インピーダンスRを取得するサブステップと、前記荷電状態での前記バッテリの前記カソード開回路電圧OCVを取得するサブステップと、n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの前記荷電状態での最大充電電流Iを算出するサブステップと、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ上記のステップを繰り返して実行するサブステップと、を含む。
【0015】
本願の幾つかの態様によれば、n回目の充放電サイクルにおける荷電状態での前記バッテリの最大充電電流Iは、以下の式で算出される。I=(U-OCV)/R(Uは前記カソード限界電位である)。
【0016】
本開示の一実施形態に係るカソード保護装置は、バッテリと、上述のようなバッテリサイクルにおけるカソード保護方法を実行するためのプロセッサと、備える。
【0017】
本開示の一実施形態に係る記憶媒体には、上述のようなバッテリサイクルにおけるカソード保護方法を実行するための前記プロセッサによりロードされた少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶されている。
【発明の効果】
【0018】
従来の技術に比べて、上記のバッテリサイクルにおけるカソード保護方法、カソード保護装置及び記憶媒体は、前記バッテリの最大充電電流を算出することで、循環充放電過程において、前記バッテリに最大充電電流という制限条件を与えることで、バッテリを急速充電するとともに、バッテリのサイクル寿命をさらに保護でき、バッテリの長期使用に大きな参考意義がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明の一実施形態によるカソード保護装置の概略構成図である。
図2】本開示の一実施形態によるバッテリサイクルにおけるカソード保護方法のフローチャートである。
図3】バッテリの荷電状態と開回路電圧との関係を示すグラフである。
図4】バッテリの放電曲線図である。
図5】バッテリの荷電状態とアノード分極インピーダンスとの関係を示すグラフである。
図6】本願におけるバッテリの荷電状態とバッテリ分極インピーダンスとの関係を示すグラフである。
図7】本開示の一実施形態によるカソード保護システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願において現れた専門用語についての解釈または説明は、本願の理解を助けるためのものである。
【0021】
本願の目的、技術提案及び利点をより明確にするため、以下、図面及び実施例に基づいて、本願を更に詳細に説明する。なお、ここで述べる具体的な実施形態は、本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するものではない。本願の実施形態に基づき、当業者は、創造的な労働なしに得られるあらゆる他の実施形態も、本願の保護範囲内に属される。
【0022】
なお、本明細書において、用語「含む」、「包含する」または他の任意の変形表現は、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素だけでなく、明示的に列記されていない他の要素、またはこのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の要素を含むように、排他的でないものを含むことを意図している。これ以上の制限がない場合に、「1つの…を含む」という語句で限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品、または装置の中に他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0023】
図1に示すように、カソード保護システム10は、カソード保護装置1において運行される。カソード保護装置1は、メモリ11、少なくとも1つのプロセッサ12及びバッテリ13を備えるが、これらに限定されるものではない。上記の部品同士は、バスラインによって接続されていてもよく、直接接続されていてもよい。
【0024】
一実施形態において、カソード保護装置1は、少なくとも1つのプロセッサ12及びバッテリ13を含むが、これらに限らない。前記少なくとも1つのプロセッサ12とバッテリ13とは、バスラインで接続されてもよいし、直接接続されてもよい。
【0025】
なお、図1は、カソード保護装置1を例示的に説明するのみである。他の実施形態において、カソード保護装置1は、より多く又はより少ない要素を含んでもよく、異なる構成要素を有してもよい。上記のカソード保護装置1は、電動バイク、電動自転車、電気自動車、携帯電話、タブレットパソコン、個人デジタルアシスタント、パソコンや他の任意の適切な充電式装置であってもよい。
【0026】
一実施形態において、バッテリ13は、カソード保護装置1に電力を供給する充電可能なバッテリである。例えば、バッテリ13は、リチウムイオンバッテリ、リチウムポリマーバッテリ、及びリン酸鉄リチウムバッテリなどであってもよい。バッテリ13は、サイクル再充電が可能な少なくとも1つのバッテリセル(battery cell)を含む。バッテリ13は、プロセッサ12と電源管理システムで論理的に接続されており、前記電源管理システムにより充電、放電、及び消費電力管理などの機能を実現する。
【0027】
図示されていないが、上述したカソード保護装置1は、無線忠実度(Wireless Fidelity,WiFi)ユニット、ブルートゥース(登録商標)ユニット、スピーカなどの他のモジュールを含んでいてもよく、ここでは説明を省略する。
【0028】
図2に示すように、図2は本願の一実施形態によるバッテリサイクルにおけるカソード保護方法のフローチャートである。なお、前記フローチャートにおけるステップの順序は、異なるニーズに応じて変更されてもよいし、幾つかのステップは省略されてもよい。前記バッテリサイクルにおけるカソード保護方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0029】
ステップS1では、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態(SOC)でのバッテリのカソード分極インピーダンス(nは0よりも大きいか若しくは等しい整数である)を取得する。
【0030】
本実施形態では、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態(SOC)でのバッテリのカソード分極インピーダンスを、以下の方法により取得することができる。
【0031】
(1)バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得する。
【0032】
(2)n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得する。
【0033】
(3)n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのカソード分極インピーダンスを、前記バッテリ分極インピーダンスと前記アノード分極インピーダンスとから算出する。
【0034】
本実施形態では、前記バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得する方法は、前記バッテリのアノードの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得するサブステップと、所定電流を用いて前記バッテリを放電して、前記バッテリのアノードの放電曲線を取得するサブステップと、前記アノードのSOC-OCV対応関係と前記アノードの放電曲線とに基づいて、前記アノード分極インピーダンスを得るサブステップと、を含む。
【0035】
また、他の実施形態では、新しいバッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを、前記バッテリの異なる荷電状態(SOC)でのアノード分極インピーダンスとして取得してもよい。バッテリが循環して使用される過程でのアノード分極インピーダンスの変化がカソード分極インピーダンスの変化に対して小さく、且つバッテリ分極インピーダンスの成長は主にカソードに由来するため、前記バッテリの異なる荷電状態(SOC)でのアノード分極インピーダンスを容易に取得するために、新しいバッテリから、3電極モニタリングの手法を用いて取得した異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを、前記異なるバッテリの荷電状態(SOC)でのアノード分極インピーダンスとする。なお、前記新しいバッテリとは、出荷したばかりの循環して使用されていないバッテリ、または、出荷後のサイクル充放電回数が予め設定された回数(例えば10回、他の回数であってもよい)より小さいバッテリのことをいう。新しいバッテリを用いてバッテリパラメータ(例えば、アノード分極インピーダンス)を取得し、且つ得したパラメータから最長寿命のバッテリの充電過程における最大充電電流を算出することができる。新しいバッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得する方法は、バッテリの異なる荷電状態でのアノード分極インピーダンスを取得する方法と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0036】
なお、nが一定の回数(例えば10回、20回等)より小さい場合、前記バッテリを前記新しいバッテリとして理解することができる。
【0037】
一実施形態においては、前記バッテリのアノードの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を、以下の方法により取得することができる。
【0038】
1)1つのバッテリを取って、前記バッテリをフル充電状態まで充電した後、第1の所定電流を用いて前記バッテリを空に放電する。本実施形態においては、前記第1の所定電流は、0.01Cのような小倍率電流であるが、他の電流であってもよい。
【0039】
2)3電極でバッテリのカソード電位及びアノード電位を監視しながら、上記の充放電過程における前記バッテリの電圧及び容量変化を記録する。
【0040】
3)前記バッテリの放電中の荷電状態を取得する。例えば、前記バッテリの放電最大容量を前記バッテリの満充電容量とし、前記バッテリの放電中に経時的に変化する容量値を前記満充電容量で除算して、前記バッテリの放電中の荷電状態を得る。
【0041】
4)前記バッテリの放電中に異なる荷電状態でのバッテリ電圧とカソード電位とアノード電位との対応関係をそれぞれ確立し、バッテリのSOC-OCV曲線と、カソードのSOC-OCV曲線と、アノードのSOC-OCV曲線とをそれぞれ得て、図3に示す。他の実施形態において、これらのSOC-OCV曲線は、他の放電方法によって取得されてもよい。
【0042】
一実施形態において、前記バッテリのアノードの放電曲線は、以下の方法により取得されてもよい。
【0043】
1)1つのバッテリを取って、前記バッテリをフル充電状態まで充電する。
【0044】
2)30min静置し、静置後の前記バッテリの電圧を記録し、且つ3電極で前記バッテリのカソード電位及びアノード電位を監視する。
【0045】
3)第2のプリセット電流を使用して前記バッテリを放電状態まで放電し、前記バッテリの放電中の電圧、放電容量、カソード電位及びアノード電位の変化を記録する。なお、第2のプリセット電流は、0.2Cでもよく、0.5Cであってもよく、他の電流であってもよい。
【0046】
4)電気が空になった後の前記バッテリを30分間静置し、静置後の前記バッテリの電圧を記録し、且つ3電極で前記バッテリのカソード電位及びアノード電位を監視する。
【0047】
5)図4に示すように、放電過程における前記バッテリの電圧と容量又はSOCとの対応関係、カソード電位と容量又はSOCとの対応関係、及びアノード電位と容量又はSOCとの対応関係を確立して、前記バッテリの放電曲線、カソード放電曲線及びアノード放電曲線を得る。
【0048】
本実施形態では、前記アノードのSOC-OCV対応関係と前記アノードの放電曲線とに基づいて、前記アノード分極インピーダンスを得る方法は、以下のステップを含む。
【0049】
(a1)前記アノードのSOC-OCV対応関係に基づいて、前記アノードの放電曲線を正規化処理する。
【0050】
(b1)前記アノードのSOC-OCV対応関係及び正規化処理された後の前記アノードの放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのアノード開回路電圧及びアノード電圧をそれぞれ得る。
【0051】
(c1)前記アノード開回路電圧と前記アノード電圧とに基づいて、前記荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを算出し、ここで、前記アノード分極インピーダンスは、前記アノード開回路電圧から前記アノード電圧を差し引いた差分を、前記所定電流(即ち、前記第2の所定電流)で除算した値に等しい。
【0052】
(d1)図5に示すように、前記バッテリの異なる荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ上記の(a1)~(d1)を繰り返し実行する。
【0053】
本実施形態では、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのバッテリ分極インピーダンスを取得するステップは、以下のステップをさらに含む。
【0054】
(1)前記バッテリの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得する。なお、バッテリーシステムが確定されると、前記バッテリのSOC-OCV対応関係は通常一定である。前記バッテリをnサイクル充放電させて使用しても、そのSOC-OCV対応関係が変化しない。前記バッテリの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)対応関係を取得する方法については上述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0055】
(2)前記所定電流を用いて前記バッテリを放電して、n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの放電曲線を取得する。なお、前記所定電流は、上記の第2の所定電流である。
【0056】
(3)n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを、前記バッテリのSOC-OCV対応関係と、前記放電曲線とから得る。
【0057】
具体的には、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを以下のような方法で得る。
【0058】
(a2)前記バッテリの放電曲線に対して、前記バッテリのSOC-OCV対応関係に基づいて正規化処理を行なう。
【0059】
(b2)前記バッテリのSOC-OCV対応関係及び正規化処理された後の前記放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのバッテリ開回路電圧及びバッテリ電圧をそれぞれ得る。
【0060】
(c2)前記バッテリ開回路電圧と前記バッテリ電圧とに基づいて、前記バッテリ分極インピーダンスを算出し、ここで、前記バッテリ分極インピーダンスは、前記バッテリ開回路電圧から前記バッテリ電圧を差し引いた差分を、前記所定電流(即ち、前記第2の所定電流)で除算した値に等しい。
【0061】
(d2)図6に示すように、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記バッテリ分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ上記の(a2)~(d2)を繰り返して実行する。
【0062】
本実施形態では、前記バッテリのカソード分極インピーダンスは、前記バッテリ分極インピーダンスから前記アノード分極インピーダンスを差し引いた差分に等しい。
【0063】
具体的には、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリのカソード分極インピーダンスを、以下のような方法で得る。
【0064】
(a3)前記バッテリのある荷電状態での前記アノード分極インピーダンスを取得する。
【0065】
(b3)n回目の充放電サイクルにおける前記バッテリの前記荷電状態での前記バッテリ分極インピーダンスを取得する。
【0066】
(c3)前記カソード分極インピーダンスは、前記バッテリ分極インピーダンスから前記アノード分極インピーダンスを差し引いた差分に等しい。
【0067】
(d3)n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの前記カソード分極インピーダンスを得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ上記の(a3)~(d3)を繰り返して実行する。
【0068】
ステップS2では、前記バッテリの異なる荷電状態でのカソード開回路電圧と前記バッテリのカソード限界電位を取得する。
【0069】
本実施形態では、上記で得られたバッテリのカソードのSOC-OCV曲線から、前記バッテリの異なる荷電状態でのカソード開回路電圧を取得することができる。
【0070】
一実施形態において、前記バッテリのカソード限界電位は、前記バッテリの材料特性によって決定される。前記カソード限界電位は、前記バッテリのカソード及び電解液などの材料特性に関わり、即ち、カソード材料の安定性を確保しつつ、電解液の分解量及びカソードと電解液との副反応などを制御することが可能であることが分かる。具体的には、異なる材料(カソード材料及び電解液等)に応じてCV走査して、材料の酸化反応に応じた電位を取得し、且つこの電位を前記バッテリのカソード限界電位とすることができる。または、それぞれ異なる限界電位を用いて前記バッテリを循環充放電試験を行い、循環充放電された後の前記バッテリの電気セルの容量減衰が受容範囲以内(例えば45℃の環境温度下で、500cycleを経たバッテリの容量減衰が20%未満である)にあることを保証して、循環充放電過程における前記バッテリの限界電位を決定する。
【0071】
ステップS3では、前記カソード開回路電圧と前記カソード限界電位と前記カソード分極インピーダンスとに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を算出する。
【0072】
本実施形態では、前記バッテリの最大充電電流は、前記カソード限界電位から前記カソード開回路電圧を差し引いた差分を、前記カソード分極インピーダンスで除算した値に等しい。
【0073】
具体的には、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を算出するステップは、n回目の充放電サイクルにおけるある荷電状態での前記バッテリの前記カソード分極インピーダンスRを取得するサブステップと、前記バッテリの前記荷電状態での前記カソード開回路電圧OCVを取得するサブステップと、n回目の充放電サイクルにおける前記荷電状態での前記バッテリの最大充電電流Iを算出し、I=(U-OCV)/R(Uは前記カソード限界電位)を算出するサブステップと、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの許容する最大充電電流を得るために、前記荷電状態を変化させ、且つ上記のステップを繰り返して実行する。
【0074】
上記のステップS1~S3により、前記バッテリの最大充電電流を算出することで、循環充放電過程において前記バッテリに限界充電電流の制限条件を提供し、急速な充電を保証しつつバッテリのサイクル寿命を保証し、バッテリの長期使用には重要な意味がある。
【0075】
なお、n回目以降の予め設定された回数の充放電サイクルの各々の充電過程において、前記最大充電電流に基づいて前記各々の充電過程におけるバッテリの充電電流を決定し、且つ決定した充電電流に基づいて前記バッテリを充電することができる。具体的には、前記バッテリを充電する過程において、前記最大充電電流を前記バッテリのカソードを保護する限界電流とし、この最大充電電流に基づいて、n回目以降の予め設定された回数の充放電サイクルの各々の充電過程における充電電流を決定し、且つ決定した充電電流に基づいて前記バッテリを充電する。これにより、前記バッテリのカソードを保護する役割を果たすとともに、前記バッテリを保護し、前記バッテリのサイクル寿命を延ばす役割も果たす。前記予め設定された回数の充放電サイクルは、50回の充放電サイクルであってもよいし、他の回数であっても良いし、具体的な状況によって決める。n回目以降の充放電サイクルにおいて前記バッテリを充電する電流は、カソードの限界電流だけでなく、アノードの限界電流も考慮する必要がある。そこで、本願では、前記最大充電電流を、前記バッテリのn回目以降の充放電サイクルにおける充電電流を決定する基準とすることができる。これにより、本願発明で提供されるバッテリのカソード保護方法を他の様々な急速カソード保護方法と組み合わせて、バッテリのカソード保護の観点から充電限界電流の制限条件を与えて、急速充電の過程でバッテリのサイクル寿命を確保して、バッテリを保護する役割を果たすことができる。
【0076】
なお、充放電サイクル毎にバッテリのインピーダンスは増加するので、n回目以降の毎回の充電中に、上記決められた充電電流を用いて前記バッテリを充電すると、前記バッテリのカソードを保護できない場合が生じる。しかし、前記バッテリのn回目以降の充電回数を限定して、前記決定された充電電流を利用して前記バッテリを充電する際にバッテリのカソードを保護する役割を果たすことができる。例えば、前記バッテリのn回目以降の50回の充電中は、決定された充電電流に応じて前記バッテリを充電する。そして、50回の充放電サイクル後、再計算された最大充電電流に基づいて充電電流を決定し、決定された充電電流で前記バッテリを充電する必要がある。
【0077】
また、図7に示すように、一実施形態において、カソード保護システム10は、メモリ11に格納された1つまたは複数のモジュールに分割されてもよく、且つ少なくとも1つのプロセッサ(本実施形態では、1つのプロセッサ12)によって実行され、本願発明を実現する。前記1つまたは複数のモジュールは、特定の機能を果たす一連のコンピュータプログラムコマンドセグメントである。前記コマンドセグメントは、カソード保護システム10のカソード保護装置1における実行過程を説明するために用いられる。例えば、カソード保護システム10は、図7における第1取得モジュール101、第2取得モジュール102、及び演算モジュール103に分割されてもよい。
【0078】
また、その他の実施形態において、カソード保護システム10は、プロセッサ12に格納され、少なくとも1つのプロセッサ(本実施形態では、1つのプロセッサ12)によって実行される1つ又は複数のモジュールに分割されて、本願発明を完成させてもよい。前記1つまたは複数のモジュールは、特定の機能を果たす一連のコンピュータプログラムコマンドセグメントである。前記コマンドセグメントは、カソード保護システム10のカソード保護装置1における実行過程を説明するために用いられる。例えば、カソード保護システム10は、図7における第1取得モジュール101、第2取得モジュール102、及び演算モジュール103に分割されてもよい。
【0079】
具体的には、第一取得モジュール101は、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態(SOC)でのバッテリのカソード分極インピーダンス(nは0よりも大きいか若しくは等しい整数である)を取得する。第2取得モジュール102は、前記バッテリの異なる荷電状態でのカソード開回路電圧と前記バッテリのカソード限界電位を取得する。演算モジュール103は、前記カソード開回路電圧、前記カソード限界電位及び前記カソード分極インピーダンスに基づいて、n回目の充放電サイクルにおける異なる荷電状態での前記バッテリの最大充電電流を算出する。本開示のカソード保護システム10は、バッテリが急速に充電されることを保証できるだけではなく、バッテリのサイクル寿命を相対的に向上させることが可能である。具体的には、上述したバッテリサイクルにおけるカソード保護方法の実施形態を参照することが可能であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0080】
本実施形態において、メモリ11は、カソード保護装置1の内部記憶装置、即ち、カソード保護装置1に内蔵される記憶装置であってもよい。他の実施形態において、メモリ11は、カソード保護装置1の外部記憶装置、即ち、カソード保護装置1に外付けされる記憶装置であってもよい。
【0081】
幾つかの態様において、メモリ11は、プログラムコードや各種のデータを記憶するために使用される。例えば、カソード保護装置1に搭載されたカソード保護システム10のプログラムコードを記憶し、且つカソード保護装置1の稼働中に、プログラムやデータのアクセスを高速で且つ自動的に完成することができる。例えば、本実施形態では、カソード保護システム10は、上記の方法を利用して、バッテリ充電中にカソードを保護する最大充電電流を得ることができる。
【0082】
幾つかの実施形態において、メモリ11は、ランダムアクセスメモリを有してもよいし、不揮発性メモリを有してもよい。例えば、ハードディスク、メモリ、プラグインハードディスク、スマートメモリカード(Smart Media(登録商標) Card, SMC)、セキュアデジタル(Secure Digital, SD)カード、フラッシュメモリカード(Flash Card)、少なくとも1つのディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイスやその他の揮発性固体記憶装置が挙げられる。
【0083】
一実施形態において、プロセッサ12は、中央処理ユニット(Central Processing Unit,CPU)であってもよいし、他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、専用集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、既存のプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェアデバイス等であってもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよい。上記のプロセッサ12は、他の任意の従来のプロセッサなどであっても良い。
【0084】
また、カソード保護システム10内のモジュールは、ソフトウェア機能部として実現され、且つ独立した製品として販売又は使用される場合に、1つのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されてもよい。このような理解に基づいて、本願は上記実施形態の方法における全部又は一部の流れを実現することは、コンピュータプログラムによって関連ハードウェアを指示することによって完成されてもよい。上記のコンピュータプログラムは、1つの不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよい。前記コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行される際に、上述した各方法実施形態のステップを実現する。ここで、前記コンピュータプログラムは、ソースコード形式、オブジェクトコード形式、実行可能ファイル、または幾つかの中間形式などのコンピュータプログラムコードを含む。
【0085】
前記不揮発性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータ可読命令コードを携帯可能な任意のエンティティや装置、記録媒体、Uディスク、モバイルハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,RОM)などを含み得る。
【0086】
なお、上記説明したモジュール分割は、論理的な機能分割のみであり、実際に実現するには別の分割方式があり得る。なお、本願の各実施形態における各機能ブロックは同一の処理ユニットに集約されてもよいし、各ブロックが単独で物理的に存在してもよいし、2つまたは2つ以上のモジュールが同一のユニットに統合されてもよい。上記統合されたモジュールは、ハードウェアの形で実現されてもよいし、ハードウェアプラスソフトウェア機能モジュールの形で実現されてもよい。
【0087】
当業者にとって、本発明は上記の例示的な実施形態の詳細に限定されなく、本願の精神または基本的な特徴から乖離しない場合、他の具体的な形で本発明を実現できることは明らかである。従って、いずれの点からも、本願の上記した実施形態を例示的で、非限定的なものと見なされるべきである。本願の範囲は、上記の説明ではなく、付記した請求項の範囲によって限定されるので、請求項の等価要素の意味及び範囲内に属される全ての変化を本願に含ませることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1 カソード保護装置
10 カソード保護システム
11 メモリ
12 プロセッサ
13 バッテリ
101 第1取得モジュール
102 第2取得モジュール
103 演算モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7