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特許7179215コールセンタ装置、プログラム、コールセンタシステム、及び処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-17
(45)【発行日】2022-11-28
(54)【発明の名称】コールセンタ装置、プログラム、コールセンタシステム、及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/51 20060101AFI20221118BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20221118BHJP
【FI】
H04M3/51
G06Q30/02 470
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022107674
(22)【出願日】2022-07-04
【審査請求日】2022-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517330830
【氏名又は名称】アシュリオンジャパン・ホールディングス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】本間 康将
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-135910(JP,A)
【文献】特開2015-032157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が使用する端末装置である顧客端末からテレメトリデータを取得し、該顧客端末の識別情報と関連付けて記憶するデータ取得装置と、顧客からの問合せに応じるオペレータが使用する端末装置であるオペレータ端末と、に通信ネットワークを介して接続可能に設けられ、
前記データ取得装置及び前記オペレータ端末との間で、前記通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信インタフェースと、
顧客に関する情報を顧客端末の識別情報と共に格納する顧客情報データベースと、
前記オペレータ端末から顧客に関する情報を受信し、該顧客に関する情報に基づいて前記顧客情報データベースを検索することにより、当該顧客の顧客端末の識別情報を抽出する顧客情報管理部と、
当該顧客端末の識別情報に基づいて、当該顧客端末に関するテレメトリデータを前記データ取得装置から取得するテレメトリデータ取得部と、
前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づいて、当該顧客の問合せ内容を予測する予測部と、
を備え、
前記予測部は、当該顧客端末にインストールされた複数のアプリケーション間における遷移パターンに基づいて、特定のアプリケーションに関する内容を問合せ内容として予測し、
前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づく情報、及び、前記予測部により予測された問合せ内容を前記オペレータ端末に送信して表示させる、コールセンタ装置。
【請求項2】
前記テレメトリデータ取得部は、前記データ取得装置において所定期間内に取得されたテレメトリデータを取得する、請求項1に記載のコールセンタ装置。
【請求項3】
前記予測部は、顧客の問合せ内容をカテゴリ別に予測する、請求項1に記載のコールセンタ装置。
【請求項4】
問合せ内容のカテゴリは、端末装置の物理的障害と、端末装置の通信障害と、端末装置に対する操作又は設定と、端末装置にインストールされた特定のアプリケーションの操作又は設定と、のうちの少なくともいずれかを含む、請求項3に記載のコールセンタ装置。
【請求項5】
前記予測部は、複数の問合せ内容を予測すると共に、予測した各問合せ内容の確度を算出し、前記複数の問合せ内容及び確度を前記オペレータ端末に送信し、確度の高い順に前記複数の問合せ内容を表示させる、請求項1に記載のコールセンタ装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータから所定の特徴量を抽出又は算出し、該特徴量を、過去の問合せ内容及び該過去の問合せ内容に対応するテレメトリデータにより学習した予測モデルに入力することにより、問合せ内容を予測する、請求項1に記載のコールセンタ装置。
【請求項7】
記憶部と、
顧客からの問合せ内容を前記オペレータ端末から受信し、該問合せ内容を、前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータと関連付けて前記記憶部に記憶させる問合せ履歴管理部と、
前記記憶部に記憶された問合せ内容と、該問合せ内容と関連付けられたテレメトリデータとに基づいて前記予測モデルを構築する予測モデル作成部と、
をさらに備える、請求項に記載のコールセンタ装置。
【請求項8】
顧客が使用する端末装置である顧客端末からテレメトリデータを取得し、該顧客端末の識別情報と関連付けて記憶するデータ取得装置と、顧客からの問合せに応じるオペレータが使用する端末装置であるオペレータ端末と、に通信ネットワークを介して接続可能に設けられたコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータは、
前記データ取得装置及び前記オペレータ端末との間で、前記通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信インタフェースと、
顧客に関する情報を顧客端末の識別情報と共に格納する顧客情報データベースと、
を備え、
前記オペレータ端末から顧客に関する情報を受信し、該顧客に関する情報に基づいて前記顧客情報データベースを検索することにより、当該顧客の顧客端末の識別情報を抽出する抽出ステップと、
当該顧客端末の識別情報に基づいて、当該顧客端末に関するテレメトリデータを前記データ取得装置から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得されたテレメトリデータに基づいて、当該顧客の問合せ内容を予測する予測ステップと、
当該顧客端末にインストールされた複数のアプリケーション間における遷移パターンに基づいて、特定のアプリケーションに関する内容を問合せ内容として予測するステップと、
前記取得ステップにおいて取得されたテレメトリデータに基づく情報、及び、前記予測ステップにおいて予測された問合せ内容を前記オペレータ端末に送信して表示させる表示ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項9】
顧客が使用する端末装置である顧客端末に関する問合せを受け付けるコールセンタシステムであって、
顧客が使用する端末装置である顧客端末からテレメトリデータを取得し、該顧客端末の識別情報と関連付けて記憶するデータ取得装置に、通信ネットワークを介して接続可能に設けられたコールセンタ装置と、
前記コールセンタ装置に前記通信ネットワークを介して接続可能に設けられ、顧客からの問合せに応じるオペレータが使用する端末装置であるオペレータ端末と、
を備え、
前記コールセンタ装置は、
顧客に関する情報を顧客端末の識別情報と共に格納する顧客情報データベースと、
前記オペレータ端末から顧客に関する情報を受信し、該顧客に関する情報に基づいて前記顧客情報データベースを検索することにより、当該顧客の顧客端末の識別情報を抽出する顧客情報管理部と、
当該顧客端末の識別情報に基づいて、当該顧客端末に関するテレメトリデータを前記データ取得装置から取得するテレメトリデータ取得部と、
前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づいて、当該顧客の問合せ内容を予測する予測部と、
を備え、
前記予測部は、当該顧客端末にインストールされた複数のアプリケーション間における遷移パターンに基づいて、特定のアプリケーションに関する内容を問合せ内容として予測し、
前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づく情報、及び、前記予測部により予測された問合せ内容を前記オペレータ端末に送信して表示させる、コールセンタシステム。
【請求項10】
前記オペレータ端末は、当該顧客の問合せ内容を入力するための入力欄であって、前記予測部により予測された問合せ内容が選択肢として表示される入力欄を画面に表示する、請求項に記載のコールセンタシステム。
【請求項11】
前記オペレータ端末は、前記入力欄に入力された情報に基づいて、当該顧客の問合せに関する報告書を自動作成し、前記コールセンタ装置に送信する、請求項10に記載のコールセンタシステム。
【請求項12】
顧客が使用する端末装置である顧客端末に関する問合せを受け付けるコールセンタにおいて実行される処理方法であって、
顧客端末からテレメトリデータを取得し、該顧客端末の識別情報と関連付けて記憶するデータ収集ステップと、
顧客からの問合せに応じるオペレータが使用する端末装置であるオペレータ端末において、顧客に関する情報を入力する入力ステップと、
前記入力ステップにおいて入力された顧客に関する情報に基づいて、顧客に関する情報を顧客端末の識別情報と共に格納する顧客情報データベースを検索することにより、当該顧客端末の識別情報を抽出する抽出ステップと、
当該顧客端末の識別情報に基づいて、前記データ収集ステップにおいて取得されたテレメトリデータの中から、当該顧客端末に関するテレメトリデータを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得されたテレメトリデータに基づいて、当該顧客の問合せ内容を予測する予測ステップと、
当該顧客端末にインストールされた複数のアプリケーション間における遷移パターンに基づいて、特定のアプリケーションに関する内容を問合せ内容として予測するステップと、
前記取得ステップにおいて取得されたテレメトリデータに基づく情報、及び、前記予測ステップにおいて予測された問合せ内容を表示する表示ステップと、
を含む処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンタ装置、プログラム、コールセンタシステム、及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンや携帯電話等の端末装置に関する問合せを受け付けるコールセンタにおいては、オペレータが、顧客からトラブル等の問合せ内容や端末の状態をヒアリングし、トラブルの原因を推定して端末への操作を顧客に指示することにより解決に導いていく。
【0003】
モバイルデバイスのサポートに関連する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6396887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コールセンタのオペレータが、顧客との電話口での会話やチャットから、顧客の問合せ内容や端末の状態を正確に把握し、的確な対応策を提示することは容易ではない。オペレータが顧客への質問や端末への操作の指示を何度か繰り返すことにより、試行錯誤でトラブルの解決に至ることも多い。しかしながら、このような試行錯誤を繰り返していると、応対時間が長くなり、オペレータ及び顧客の双方が疲弊してサービス低下を招いてしまうおそれがある。また、顧客が端末を操作している間の待ち時間のため、オペレータの業務効率が低下するおそれもある。
【0006】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、サービス低下を招くことなく、コールセンタのオペレータの業務効率を向上させることができるコールセンタ装置、プログラム、コールセンタシステム、及び処理方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるコールセンタ装置は、顧客が使用する端末装置である顧客端末からテレメトリデータを取得し、該顧客端末の識別情報と関連付けて記憶するデータ取得装置と、顧客からの問合せに応じるオペレータが使用する端末装置であるオペレータ端末と、に通信ネットワークを介して接続可能に設けられ、前記データ取得装置及び前記オペレータ端末との間で、前記通信ネットワークを介してデータの送受信を行う通信インタフェースと、顧客に関する情報を顧客端末の識別情報と共に格納する顧客情報データベースと、前記オペレータ端末から顧客に関する情報を受信し、該顧客に関する情報に基づいて前記顧客情報データベースを検索することにより、当該顧客の顧客端末の識別情報を抽出する顧客情報管理部と、当該顧客端末の識別情報に基づいて、当該顧客端末に関するテレメトリデータを前記データ取得装置から取得するテレメトリデータ取得部と、前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づいて、当該顧客の問合せ内容を予測する予測部と、を備え、前記テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づく情報、及び、前記予測部により予測された問合せ内容を前記オペレータ端末に送信して表示させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サービス低下を招くことなく、コールセンタのオペレータの業務効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るコールセンタシステムの構成例を示す図である。
図2】データ取得装置及びコールセンタ装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】オペレータ端末のハードウェア構成例を示す図である。
図4】データ取得装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図5】コールセンタ装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図6】コールセンタ装置の記憶部に記憶されるデータを例示する図である。
図7】予測モデルにおける学習の例を説明するための模式図である。
図8】オペレータ端末の機能ブロック構成例を示す図である。
図9】オペレータ端末に表示される顧客管理画面の例を示す図である。
図10】コールセンタシステムにおける処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下においては、コールセンタシステムを、スマートフォンの不具合や操作等に関する問合せを受け付けるコールセンタに適用する例を説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。本実施形態に係るコールセンタシステムは、スマートフォンや携帯電話等の携帯端末の他、例えば、通信ネットワークに接続されて使用されるスピーカや掃除機など所謂IoT家電又はスマート家電に関するサポートを提供するコールセンタ全般に適用することができる。
【0011】
<システム構成>
図1は、本発明の実施形態に係るコールセンタシステムの構成例を示す図である。本実施形態に係るコールセンタシステム1は、顧客が使用する端末装置である顧客端末10に関する問合せを受け付け、顧客へのサポートを提供するためのシステムである。顧客端末10は通信ネットワークNを介してデータ取得装置20に接続されている。本実施形態に係るコールセンタシステム1は、通信ネットワークNを介してデータ取得装置20と接続可能に設けられたコールセンタ装置30と、該コールセンタ装置30と接続可能に設けられたオペレータ端末40とを含む。
【0012】
通信ネットワークNは、データ取得装置20とコールセンタ装置30との間、及び、コールセンタ装置30とオペレータ端末40との間で相互に情報を送受信可能な通信網であり、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0013】
顧客端末10は、通信ネットワークNに接続されて使用される通信機能付きの機器である。具体的には、顧客端末10は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC等の情報処理装置や、携帯電話等の通信機器を含んでもよい。或いは、顧客端末10は、通信ネットワークNに接続して使用されるスピーカ、掃除機、調理機器等の所謂IoT家電又はスマート家電を含んでもよい。
【0014】
データ取得装置20は、顧客端末10からテレメトリデータを取得し、当該顧客端末10の識別情報と関連付けて記憶するサーバ装置である。テレメトリデータとは、顧客端末10の状態監視のために収集されるデータのことであり、具体的には、電源に関する情報(チャージ、ディスチャージなど)、通信状態に関する情報(電波状態シグナル:圏内、圏外、強弱など)、メモリの使用状況、各種設定値の設定若しくは変更イベント、顧客端末10にインストールされたアプリケーションの起動イベント及び/又は終了イベント、アプリケーションの操作内容及び/又は操作履歴、アプリケーションのインストール日時、ウェブサイトへのアクセス情報、各種イベントの発生時刻及び/又は終了時刻、位置情報(GPS)、顧客端末10に設けられたセンサ(例えば加速度センサ)による検出データ等のデータが挙げられる。
【0015】
ここで、顧客端末10においては、テレメトリデータの収集の可否、及び、収集可能なテレメトリデータの設定が可能であり、データ取得装置20は、顧客端末10において収集可能と設定されたテレメトリデータのみを取得する。データ取得装置20は、顧客端末10からテレメトリデータを連続的に取得してもよいし、所定の周期でスナップショット的に取得してもよい。また、データ取得装置20は、所定期間内(例えば、直近の1日間内)に取得されたテレメトリデータのみを保存し、新たなテレメトリデータを受信した際に古いテレメトリデータを順次削除することとしてもよい。
【0016】
コールセンタ装置30は、コールセンタシステム1において使用される装置である。コールセンタ装置30は、オペレータ端末40から受信した各種情報や要求に基づいて、データ取得装置20からテレメトリデータを取得し、該テレメトリデータに基づいて、顧客端末10の使用者(顧客)からの問合せ内容を予測するといった処理を実行する。
【0017】
これらのデータ取得装置20及びコールセンタ装置30は、1又は複数の情報処理装置から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。
【0018】
オペレータ端末40は、コールセンタ等において顧客からの問合せに応じるオペレータが使用する端末装置である。なお、オペレータ端末40は、コールセンタシステム1に複数設けられていてもよい。
【0019】
<ハードウェア構成>
図2は、データ取得装置20及びコールセンタ装置30のハードウェア構成例を示す図である。データ取得装置20及びコールセンタ装置30は、例えば、演算処理能力の高いコンピュータによって構成される。データ取得装置20及びコールセンタ装置30は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ21,31、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置22,32、有線又は無線通信を行う通信インタフェース(IF)23,33、入力操作を受け付ける入力デバイス24,34、及び情報の表示を行う表示デバイス25,35を有する。入力デバイス24,34は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等である。表示デバイス25,35は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。
【0020】
図3は、オペレータ端末40のハードウェア構成例を示す図である。オペレータ端末40は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末等のコンピュータによって構成される。オペレータ端末40は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ41、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置42、有線又は無線通信を行う通信インタフェース(IF)43、入力操作を受け付ける入力デバイス44、及び情報の表示を行う表示デバイス45を有する。入力デバイス44は、キーボード、タッチパネル、マウス等である。表示デバイス45は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。また、オペレータ端末40は、音声入力を受け付けるマイク46、音声を出力するスピーカ47、撮像を行うカメラ48をさらに有してもよい。
【0021】
<機能ブロック構成>
図4は、データ取得装置20の機能ブロック構成例を示す図である。データ取得装置20は、テレメトリデータ201を記憶する記憶部200と、通信部211と、テレメトリデータ管理部212と、テレメトリデータ抽出部213とを有する。
【0022】
このうち、記憶部200は、データ取得装置20が備える記憶装置22を用いて実現することができる。通信部211は、データ取得装置20が備える通信インタフェース23を用いて実現することができる。また、テレメトリデータ管理部212及びテレメトリデータ抽出部213は、データ取得装置20のプロセッサ21が、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。なお、プログラムは、記憶媒体に記憶させることができる。当該プログラムを記憶した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0023】
テレメトリデータ管理部212は、顧客端末10からテレメトリデータを受信するタイミング及び期間を管理すると共に、受信したテレメトリデータを顧客端末10の識別情報(以下、端末ID)と関連付けて記憶部200に記憶させる。端末IDとしては、例えばIMEI(International Mobile Equipment Identifier)又はIPアドレス等を用いることができる。また、テレメトリデータ管理部212は、記憶部200におけるテレメトリデータの保存期間を管理する。
【0024】
テレメトリデータ抽出部213は、コールセンタ装置30からの要求に応じて、特定の顧客端末10に関するテレメトリデータを抽出し、通信部211からコールセンタ装置30に送信させる。
【0025】
図5は、コールセンタ装置30の機能ブロック構成例を示す図である。コールセンタ装置30は、記憶部300と、通信部311と、顧客情報管理部312と、テレメトリデータ取得部313と、予測部314とを有する。また、コールセンタ装置30は、問合せ履歴管理部315及び予測モデル作成部316をさらに有してもよい。
【0026】
記憶部300は、コールセンタ装置30が備える記憶装置32を用いて実現することができる。通信部311は、コールセンタ装置30が備える通信インタフェース33を用いて実現することができる。また、顧客情報管理部312と、テレメトリデータ取得部313と、予測部314と、問合せ履歴管理部315と、予測モデル作成部316とは、コールセンタ装置30のプロセッサ31が、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。なお、コールセンタ装置30においても、プログラムは、記憶媒体に記憶させることができる。
【0027】
記憶部300は、顧客情報データベース(DB)301と、問合せ履歴データベース(DB)302と、テレメトリデータ303と、予測モデル304とを記憶する。図6は、記憶部300に記憶されるデータを例示する図である。
【0028】
顧客情報データベース301は、顧客端末10を使用する顧客に関する情報(以下、顧客情報)を、顧客端末10の端末IDと共に格納する。顧客情報は、顧客(契約者)の識別情報(以下、顧客ID)及び氏名、電話番号や生年月日等の本人確認情報、使用中の顧客端末10の機種名及び使用期間等の情報を含む。なお、顧客情報データベース301に記憶される情報の全部又は一部は、コールセンタ装置30と通信可能な他の情報処理装置に記憶されていてもよい。コールセンタ装置30は、必要に応じて、当該他の情報処理装置にアクセスすることで、顧客に関する情報を取得するようにしてもよい。
【0029】
問合せ履歴データベース302は、顧客からの問合せに関する履歴情報(以下、問合せ履歴情報)を格納する。問合せ履歴情報は、問合せをしている顧客の顧客ID及び端末ID、問合せの日時、問合せ内容、問合せに対する応対内容、応対したオペレータのID等の情報を含む。
【0030】
問合せの内容は特に限定されず、顧客端末10の物理的障害又は通信障害に関すること、顧客端末10に対する操作又は設定に関すること、顧客端末10にインストールされた特定のアプリケーションの操作又は設定に関することなど、幅広い内容が含まれる。問合せ内容の具体例として、電話の受け方・かけ方、留守電の設定、キャリアメールの開き方、受信メールの迷惑フォルダへの仕分け方、メール削除方法、連絡先の追加・編集・削除の方法、メッセージの送受信方法、受信拒否設定、写真の添付、宛先追加、写真や動画の保存方法、Wi-Fiの設定、Bluetooth(登録商標)の設定等の他、トークアプリにおける友達追加方法やトークの保存方法など、特定のアプリケーションの使用方法や設定方法等が挙げられる。
【0031】
テレメトリデータ303は、コールセンタ装置30がデータ取得装置20から取得した特定の顧客端末10に関する所定期間分のテレメトリデータである。テレメトリデータは、端末IDと関連付けて記憶される。
【0032】
予測モデル304は、顧客端末10を使用する顧客の問合せ内容を予測するために構築された数理モデルである。予測モデル304は、顧客端末10のテレメトリデータから抽出又は算出された特徴量が入力されると、問合せ内容を予測して出力する。予測する問合せ内容としては、上述したような問合せ内容を一定の粒度のカテゴリごとにまとめたものであってもよいし、オペレータによる実際の応対でヒアリングされた細かい内容であってもよい。
【0033】
このような予測モデル304は、実際の問合せ内容(問合せ履歴情報)と、当該問合せのあった時刻以前の所定期間に取得されたテレメトリデータとを照合し、テレメトリデータにより示される顧客端末10の状態と問合せ内容のパターンを学習することにより構築できる。
【0034】
数理モデルとしては、テレメトリデータにおいて抽出された各種イベントと問合せ内容との時系列相関を見る方法が挙げられる。或いは、決定木ベースの勾配ブースティング(Gradient Boosting)、Factorization-Machine、深層学習など、一般的に用いられる機械学習を利用して予測モデル304を構築してもよい。
【0035】
顧客情報管理部312は、オペレータ端末40から受信した顧客情報に基づき、顧客情報データベース301への顧客情報の新規登録や更新等の管理を行う。また、顧客情報管理部312は、オペレータ端末40から受信した顧客情報に基づいて顧客情報データベース301を検索することにより、問合せしている顧客が使用している顧客端末10の端末IDを抽出する。
【0036】
テレメトリデータ取得部313は、顧客情報管理部312により抽出された端末IDに基づいて、当該顧客端末10に関するテレメトリデータをデータ取得装置20から取得する。テレメトリデータを取得する範囲は、直近の30分間分、1時間分、数時間分、前日分など、適宜設定することができる。
【0037】
予測部314は、テレメトリデータ取得部313により取得されたテレメトリデータに基づいて、顧客の問合せ内容を予測する。詳細には、予測部314は、テレメトリデータから所定の特徴量を抽出又は算出し、これらの特徴量を予測モデル304に入力することにより、問合せ内容の予測結果を得る。
【0038】
予測モデル304に入力される特徴量としては、テレメトリデータにおける各種イベントの発生頻度や発生状態(通信状態やメモリの状態など)、或いは、イベント列からTF-IDF等の自然言語処理において用いられる手法により計算された量などを利用することができる。また、顧客端末10にインストールされた複数のアプリケーション間の遷移パターンを表す量を特徴量として用いてもよい。この場合、予測モデル304は、特徴的な遷移パターンに関わる特定のアプリケーションに関する内容を、問合せ内容として予測することができる。
【0039】
予測部314は、問合せ内容の予測と共に、予測した問合せ内容の確度を算出してもよい。また、予測部314は、複数の問合せ内容を予測してもよい。この場合、コールセンタ装置30は、複数の問合せ内容及び各問合せ内容の確度をオペレータ端末40に送信し、確度の高い順に複数の問合せ内容を表示させてもよい。
【0040】
問合せ履歴管理部315は、問合せ履歴データベース302への情報の記録や更新等の管理を行う。詳細には、問合せ履歴管理部315は、顧客からの問合せ内容及びオペレータの応対等が記録された報告書をオペレータ端末40から受信し、報告書に記録された問合せ内容等の情報を顧客ID及び端末IDと共に問合せ履歴データベース302に格納する。これにより、顧客からの問合せ内容が、端末IDを介して、テレメトリデータ取得部313により取得されたテレメトリデータと関連付けられる。
【0041】
予測モデル作成部316は、問合せ履歴データベース302に格納された問合せ履歴情報及びテレメトリデータを用いて予測モデル304を構築又は再構築する。詳細には、予測モデル作成部316は、問合せ履歴データベース302とテレメトリデータ303とを照合し、問合せ内容に対応するテレメトリデータ、即ち、当該問合せのあった時刻以前の所定期間に取得されたテレメトリデータを抽出する。そして、問合せ内容に対応する顧客端末10の状態や各種イベントのパターンを予測モデル304に学習させる。
【0042】
図7は、予測モデル304における学習の例を説明するための模式図であり、4人の顧客(Aさん~Dさん)が各自の顧客端末10において利用しているアプリケーションの遷移履歴を示している。この例においては、Aさん~Dさんが、トークアプリ(アプリ名「Lトーク」)における友達追加の操作を問い合わせてきたものとする。図7に示すように、Aさん~Dさんのテレメトリデータにおいては、「Lトーク」のチャットから「Lトーク」のアカウントに移行し、その後、再び「Lトーク」のチャットに戻るという共通の遷移パターンが見られる。そのため、テレメトリデータにおいて同様の遷移パターンが見られる場合に、顧客は「Lトーク」における友達追加の操作に関して困っていると推定することができる。
【0043】
図7に示す例のように、同一のアプリケーション内における遷移パターン(操作の遷移パターン)を学習することに限定されず、複数のアプリケーション間における操作の遷移パターンを学習することにより、特定のアプリケーションに関する問合せ内容を予測可能なモデルを構築するようにしてもよい。また、アプリケーションにはOS(Operating System)が含まれいてもよく、操作の遷移パターンにはOS上の操作が含まれていてもよい。例えば、電話アプリケーションAで操作1を行い、OSのホーム画面に戻る操作2を行い、WebアプリケーションBで操作3を行い、OSのホーム画面に戻る操作4を行い、電話アプリケーションAに戻って操作5を行うという遷移パターンが見られる場合、顧客は電話のかけ方に関する操作について困っていると推測するようにしてもよい。更に、複数のアプリケーション間における遷移パターンに対し、さらに、各種設定値の変更、バッテリの状況、スクリーンのオン/オフの設定、Wi-Fiのオン/オフの設定といったイベントを組み合わせて学習することとしてもよい。
【0044】
或いは、予測モデル作成部316は、問合せ内容と該問合せ内容に対応するテレメトリデータとを教師データとして機械学習のアルゴリズムに学習させることにより、問合せ内容の予測モデルを構築してもよい。
【0045】
図8は、オペレータ端末40の機能ブロック構成例を示す図である。オペレータ端末40は、記憶部400と、通信部411と、表示制御部412と、入力受付部413と、報告書作成部414とを有する。
【0046】
記憶部400は、オペレータ端末40が備える記憶装置42を用いて実現することができる。通信部411は、オペレータ端末40が備える通信インタフェース43を用いて実現することができる。また、表示制御部412と、入力受付部413と、報告書作成部414とは、オペレータ端末40のプロセッサ41が、記憶装置42に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。
【0047】
表示制御部412は、表示デバイス45における画面の表示を制御する。詳細には、表示制御部412は、問合せをしている顧客に関する情報をオペレータに入力させたり、予測された問合せ内容をオペレータに提示したりするための顧客管理画面を表示デバイス45に表示させる。顧客管理画面は、記憶装置42に記憶されたプログラムに基づき、オペレータ端末40側で構成されるものであってもよいし、コールセンタ装置30から送信されるデータに基づき、WEBブラウザを利用して表示されるものであってもよい。
【0048】
入力受付部413は、入力デバイス44に対する操作に応じた信号の入力を受け付け、該信号に応じて顧客管理画面に対する操作や該画面への情報の表示を実行する。
【0049】
報告書作成部414は、顧客管理画面に入力された情報に基づいて、顧客の問合せに関する報告書を自動で作成する。
【0050】
図9は、オペレータ端末40に表示される顧客管理画面の例を示す図である。図9に示すように、顧客管理画面M1には、契約者情報表示欄m11と、テレメトリ情報表示欄m12と、問合せ予測表示欄m13と、問合せ内容入力欄m14とが設けられている。
【0051】
契約者情報表示欄m11は、問合せをしている顧客(契約者)に関する情報(例えば氏名)が表示される領域である。
【0052】
テレメトリ情報表示欄m12は、顧客端末10の状態を表す情報であるテレメトリ情報が表示される領域である。テレメトリ情報は、コールセンタ装置30がデータ取得装置20から取得したテレメトリデータに基づいて生成される。テレメトリ情報表示欄m12に表示されるテレメトリ情報として、例えば、顧客端末10の機種及び特有の症状、OSのバージョン、顧客端末10の利用期間、インストールされているアプリケーションの起動回数、新規にインストールしたアプリケーション及びその時期等が挙げられる。
【0053】
問合せ予測表示欄m13は、コールセンタ装置30において予測された問合せ内容が表示される領域である。図9においては、問合せ予測表示欄m13に3つのアイコンm15~m17が表示されている。各アイコンm15~m17には、予測された問合せ内容のカテゴリ及び予測の確度がテキスト表示されると共に、予測の確度が図示されている。また、これらのアイコンm15~m17は、確度が高い順に配置されている。予測された問合せ内容の具体例として、図9には、メールアプリ(アプリ名「Bメール」)における迷惑メールの設定(確度74%)、Wi-Fiの接続/切断(確度45%)、及び、同メールアプリにおけるフォルダの振り分け(確度38%)が表示されている。
【0054】
なお、問合せ予測表示欄m13において同時に表示される問合せ内容は1つ以上であればよい。また、問合せ予測表示欄m13に対する操作により、予測の確度がより下位の問合せ内容が新たに表示されるようにしてもよい。或いは、各アイコンm15~m17に対する操作(例えばクリック又はタップ操作)に応じて、より詳細な問合せ内容の予測が当該アイコンm15~m17に表示されるように構成してもよい。
【0055】
顧客管理画面M1には、問合せ内容が表示されたアイコンm15~m17のいずれかにカーソルm19を合わせることによりポップアップ表示される確認事項表示欄m18を設けてもよい。図9に例示する確認事項表示欄m18は、カーソルm19をアイコンm15に合わせたことにより表示されたものであり、メールアプリ(アプリ名「Bメール」)の関連事項として顧客に確認すべき事項が記載されている。オペレータは、確認事項表示欄m18に表示された事項を電話口やチャットで顧客に確認することにより、顧客の問合せ内容をより正確に把握することができる。
【0056】
問合せ内容入力欄m14は、顧客からの実際の問合せ内容をオペレータが入力するための領域である。図9においては、問合せ内容入力欄m14に、問合せ内容の項目を入力するための1つ以上(図9においては3つ)の項目入力欄m20~m22が設けられている。各項目入力欄m20~m22は、展開ボタンm23に対する操作(例えばクリック又はタップ操作)に応じて、予測された複数の問合せ内容が選択肢として表示されるように構成されている。各項目入力欄m20~m22においては、表示された問合せ内容のいずれかを選択する操作(例えば、カーソルを合わせる操作)に応じて、選択された問合せ内容が自動入力される。なお、項目入力欄m20~m22のいずれかにおいて1つの問合せ内容が選択されると、別の項目入力欄m20~m22には別の選択肢が表示されるようにしてもよい。また、各項目入力欄m20~m22に問合せ内容が自動入力された後、オペレータが手動で問合せ内容を修正することも可能である。また、顧客管理画面M1に、手動によるテキスト入力が可能な詳細入力欄m24を設けてもよい。
【0057】
報告書作成部414は、顧客管理画面M1に設けられた登録ボタンm25に対する操作(例えばクリック又はタップ操作)に応じて、問合せ内容入力欄m14及び詳細入力欄m24に入力された内容が転記された報告書を自動作成し、コールセンタ装置30に送信する。
【0058】
<システムの動作>
図10は、コールセンタシステム1における処理を示すシーケンス図である。
顧客端末10は、データ取得装置20にテレメトリデータを随時又は所定の周期で送信する(ステップS101)。データ取得装置20は、受信したテレメトリデータを、送信元の顧客端末10の端末IDと関連付けて記憶する(ステップS102)。
【0059】
オペレータは、顧客から電話等による問合せを受けると、顧客から氏名、電話番号、生年月日等の本人確認情報を聞き取り、オペレータ端末40に入力する。オペレータ端末40は、本人確認情報の入力を受け付けると(ステップS111)、本人確認情報をコールセンタ装置30に送信する(ステップS112)。
【0060】
コールセンタ装置30は、受信した本人確認情報に基づいて顧客情報データベース301を検索する(ステップS113)。続いて、コールセンタ装置30は、当該顧客の顧客情報を抽出すると共に、この顧客情報に関連付けられた問合せ履歴情報を抽出し(ステップS114)、顧客情報及び問合せ履歴情報をオペレータ端末40に送信する(ステップS115)。オペレータ端末40は、受信した顧客情報及び問合せ履歴情報に基づいて顧客管理画面M1(図9参照)を表示する(ステップS116)。
【0061】
また、コールセンタ装置30は、データ取得装置20に対し、顧客情報に含まれる端末IDを送信し、所定期間に顧客端末10から取得されたテレメトリデータを要求する(ステップS117)。データ取得装置20は、受信した端末IDに基づいて該当するテレメトリデータを抽出し(ステップS118)、抽出したテレメトリデータをコールセンタ装置30に送信する(ステップS119)。コールセンタ装置30は、受信したテレメトリデータを記憶部300に記憶させる(ステップS120)。
【0062】
続いて、コールセンタ装置30は、受信したテレメトリデータに基づいて問合せ内容を予測する(ステップS121)。即ち、コールセンタ装置30は、テレメトリデータから所定の特徴量を抽出又は算出し、該特徴量を予測モデル304に入力することにより、問合せ内容の出力を得る。
【0063】
コールセンタ装置30は、受信したテレメトリデータに基づいてテレメトリ情報を生成し、テレメトリ情報及び予測した問合せ内容をオペレータ端末40に送信する(ステップS122)。オペレータ端末40は、受信したテレメトリ情報及び予測された問合せ内容を顧客管理画面M1に表示する(ステップS123)。
【0064】
これにより、オペレータは、テレメトリ情報及び予測された問合せ内容を参照しながら、顧客に応対することができる。一例として、オペレータは、顧客からの「アプリケーションをインストールできない」という問合せに対し、表示されたテレメトリ情報からストレージの空き容量が少ないことを確認できれば、通信環境やOSのバージョンの確認に先んじて、ストレージの空き容量を増やすよう顧客に案内することができる。また、別の例として、オペレータは、顧客からの「友人からのメッセージが届かない」という問合せに対し、予測された問合せ内容を参照することで、ショートメッセージサービス(SMS)やトークアプリではなく、メールアプリ(アプリ名「Bメール」)でのメッセージが届かないという問合せであると推定し、顧客に確認することができる。
【0065】
オペレータ端末40は、顧客管理画面M1に対する操作に応じて、項目入力欄m20~m22及び詳細入力欄m24への問合せ内容の入力を受け付ける(ステップS124)。
【0066】
続いて、オペレータ端末40は、顧客管理画面M1に設けられた登録ボタンm25に対する操作に応じて報告書を自動作成し(ステップS125)、報告書をコールセンタ装置30に送信する(ステップS126)。
【0067】
コールセンタ装置30は、受信した報告書の内容を問合せ履歴情報として記憶する(ステップS127)。さらに、コールセンタ装置30は、問合せ履歴情報を対応するテレメトリデータと関連付け(ステップS128)、予測モデル304に学習させる(ステップS129)。なお、予測モデル304の学習は、問合せ履歴情報がある程度蓄積された段階で行ってもよいし、所定の周期で行うこととしてもよい。
【0068】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、コールセンタ装置30は、顧客端末10のテレメトリデータに基づいて顧客の問合せ内容を予測し、予測された問合せ内容をオペレータ端末40に表示させる。これにより、オペレータは、予測された問合せ内容を参照することで、顧客が困っていることを想定しながら顧客に応対できるようになるため、顧客からの問合せ内容をスムースに把握し、顧客に対して的確な指示やアドバイスをできるようになる。従って、サービス低下を招くことなく、応対時間を削減し、オペレータの業務効率を向上させることが可能となる。
【0069】
また、コールセンタ装置30は、テレメトリデータのうち、顧客端末10の電源状態や通信状態といった物理的状態だけでなく、コマンドや操作履歴、複数のアプリケーション間の遷移パターンといった情報に基づいて問合せ内容を予測するので、顧客端末10にインストールされた特定のアプリケーションにおける操作や設定、使用方法等に関する問題についても予測可能となる。従って、オペレータは、オペレータの経験やスキルによらず、顧客に対してより的確なサポートサービスを提供することが可能となる。
【0070】
<変形例>
上記実施形態においては、テレメトリ情報及び予測された問合せ内容を顧客管理画面に表示することとしたが、これらの情報をもとに、トラブル予防や機能改善のための提案をまとめた一覧を、オペレータ端末40にさらに表示してもよい。提案の具体例として、テレメトリ情報から顧客端末の駆動時間が長いことが把握される場合には、定期的な再起動を勧める、バッテリ消費に関する問合せ内容が予測された場合には、画面の輝度を自動に設定しておくことを勧めるといった内容が挙げられる。オペレータは、このような一覧を参照することにより、顧客からの問合せに応対した後で、顧客に追加のアドバイスをすることができる。
【0071】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…コールセンタシステム、10…顧客端末、20…データ取得装置、21・31・41…プロセッサ、22・32・42…記憶装置、23・33・43…通信インタフェース(IF)、24・34・44…入力デバイス、25・35・45…表示デバイス、30…コールセンタ装置、40…オペレータ端末、46…マイク、47…スピーカ、48…カメラ、200・300・400…記憶部、201・303…テレメトリデータ、211・311・411…通信部、212…テレメトリデータ管理部、213…テレメトリデータ抽出部、301…顧客情報データベース(DB)、302…問合せ履歴データベース(DB)、304…予測モデル、312…顧客情報管理部、313…テレメトリデータ取得部、314…予測部、315…履歴管理部、316…予測モデル作成部、412…表示制御部、413…入力受付部、414…報告書作成部
【要約】
【課題】サービス低下を招くことなく、コールセンタのオペレータの業務効率を向上させる技術を提供すること。
【解決手段】コールセンタ装置は、顧客端末からテレメトリデータを取得する取得データ取得装置及びオペレータ端末に通信ネットワークを介して接続可能に設けられ、顧客情報を顧客端末の識別情報と共に格納する顧客情報データベースと、オペレータ端末から受信した顧客情報に基づいてデータベースを検索することにより顧客端末の識別情報を抽出する顧客情報管理部と、該識別情報に基づいて顧客端末に関するテレメトリデータをデータ取得装置から取得するテレメトリデータ取得部と、該テレメトリデータに基づいて顧客の問合せ内容を予測する予測部とを備え、テレメトリデータ取得部により取得されたテレメトリデータに基づく情報及び予測部により予測された問合せ内容をオペレータ端末に送信して表示させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10