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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】有機金属化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20221121BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20221121BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
C09K11/06 660
H05B33/14 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021529427
(86)(22)【出願日】2019-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2019115182
(87)【国際公開番号】W WO2020134570
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】201811610359.5
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲えん▼ 亮亮
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0315222(US,A1)
【文献】特開2016-076696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0090981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式のうちの一つを有する有機金属化合物。
【化1】
【請求項2】
請求項1に記載の化合物の有機電界発光素子における使用。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を発光層におけるリン光ホスト材料としたドーパント材料である請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光に関し、特に有機電界発光素子に適する有機発光材料に関し、特に有機金属化合物及びその有機電界発光素子への応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、新世代のディスプレー技術である有機電界発光素子(OLED)はディスプレーと照明技術においてますます多くの注目を集めており、応用の将来性は非常に広い。しかし、市場応用の要求と比べて、OLED素子の発光効率、駆動電圧、使用寿命などの性能は引き続き強化と改善が必要である。
【0003】
一般にOLED素子は、基本的に、金属電極の間に各種の機能の有機機能材料薄膜を介在させるようなサンドイッチのような構造であり、電流の駆動で、陰陽両極から正孔と電子をそれぞれ注入し、正孔と電子を一定の距離だけ移動させた後、発光層に複合させ、光や熱の形で放出させることで、OLEDの発光を発生させる。しかし、有機機能材料は有機電界発光素子の核心構成部分であり、材料の熱安定性、光化学安定性、電気化学安定性、量子生産率、成膜安定性、結晶性、色飽和度などはすべて素子の性能表現に影響する主要な要素である。
【0004】
一般的に、有機機能材料には蛍光材料とリン光材料がある。蛍光材料は通常有機小分子材料であり、一般的には25%の一重項発光しか利用できないため、発光効率が低い。一方、リン光材料は、重原子効果によるスピン軌道結合作用により、25%の一重項に加え、75%の三重項励起子のエネルギーを利用することで、発光効率を向上させることができる。しかし、蛍光材料に比べ、リン光材料の発足は遅く、材料の熱安定性、寿命、色飽和度なども向上する必要があり、これは挑戦性のある課題である。現在、リン光材料として様々な有機金属化合物が開発されている。例えば、特許文献CN107973823号明細書にはキノリル系イリジウム化合物が開示されているが、このような化合物の色飽和度及び素子性能、特に発光効率及び素子寿命は改善する必要がある。特許文献CN106459114号明細書にはβ-ジケトン配位子で配位するイリジウム化合物が開示されているが、このような化合物は昇華温度が高く、色飽和度が良くなく、特に、素子性能の表現が理想的ではなく、更に改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、昇華温度が低く、光学、電気化学的安定性が高く、色飽和度が高く、発光効率が高く、素子寿命が長い等の利点を有するリン光化合物を提供することであり、有機電界発光素子に応用することができる。特に赤色発光ドーパントとしてOLED産業への応用が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
有機金属化合物であって、構造式は式Iに示され、
【化1】
【0007】
式中、A1~A4のうち、一つはC-C結合がE環に結合され、一つはC-M結合が金属Mに結合され、一つはCR4であり、もう一つはCR0またはNであり、A5~A8のうち、一つはCR3であり、他の三つは独立してCR0またはNを表し、Mは原子量が40より大きい金属であり、
0~R4は独立して水素、重水素、ハロゲン、置換または無置換のC1~C10アルキル基、置換または無置換のC3~C20シクロアルキル基、置換または無置換のC1~C10ヘテロアルキル基、置換または無置換のC6~C30アラルキル基、置換または無置換のC1~C10アルコキシ基、置換または無置換のC6~C30アリールオキシ基、アミノ基、置換または無置換のC1~C10シリル基、置換または無置換のC6~C30アリール基、置換または無置換のC1~C8ヘテロアリール基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基から選ばれ、前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1~C4アルキル基、C1~C4アルコキシ基、C3~C6シクロアルキル基、C1~C4アルキル基で置換されたアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリルまたはホスフィノ基に置換され、且つ、R3、R4は少なくとも一つが水素ではなく、
Zは独立してO、S、Se、C(R)2、Si(R)2、NR、BR、PORから選ばれ、Rは独立して置換または無置換のC1~C10のアルキル基またはアルコキシ基、置換または無置換のC2~C30のシクロアルキル基、置換または無置換のC6~C30アリール基、置換または無置換のC1~C18ヘテロアリール基から選ばれ、
X-Yはモノアニオン性二座配位子であり、aとbの和は金属Mの価数に等しい。
【0008】
好ましくは、X-YはOO型、CN型配位子であり、MはOs、Ir、Pt、Pd、Ru、Rh、Auのうちの一つである。
【0009】
好ましい化合物は以下の式IIの構造を有する。
【化2】
【0010】
nは1~2の正の整数であり、AはCR0またはNであり、R0~R4は独立して水素、重水素、置換または無置換のC1~C8アルキル基、置換または無置換のC1~C8ヘテロアルキル基、置換または無置換のC3~C20シクロアルキル基、置換または無置換のC1~C8アラルキル基、置換または無置換のC1~C8シリル基、C1~C4アルキル基で置換されるか、または置換されていないC1~C8アリール基またはヘテロアリール基から選ばれ、かつ、R3、R4は少なくとも一つが水素ではない。
【0011】
好ましい化合物として、AはCHである。
【0012】
好ましい化合物として、AはNである。
【0013】
好ましい化合物として、R3置換基はNの隣接位置にある。
【0014】
好ましい化合物として、R3は、Dであるか4つの炭素原子を超えないアルキル基であり、特に、少なくとも1つのDを含むアルキル基であることが好ましく、CD3が特に好ましい。
【0015】
好ましい化合物として、ZはO、S、NR、C(R)2であり、Rは独立して置換または無置換のC1~C8のアルキル基から選ばれる。
【0016】
好ましい化合物として、R4置換基の位置は金属-炭素結合の隣接位置である。
【0017】
好ましい化合物として、R4置換基の位置は金属-炭素結合の対向位置である。
【0018】
好ましい化合物として、X-Yは左の配位子と異なる。
【0019】
好ましい化合物として、X-Yは1、3-ジケトン類化合物である。
【0020】
好ましい化合物は、以下の化合物である。
【化3】
【0021】
好ましくは、ZはO、S、C(R)2であり、R1-~R4は独立して水素、重水素、置換または無置換のC1~C4アルキル基、置換または無置換のC3~C20シクロアルキル基、置換または無置換のC1~C8アラルキル基、C1~C4アルキル基で置換されるか、または置換されていないC1~C8アリール基またはヘテロアリール基から選ばれ、かつ、R3、R4は少なくとも一つが水素ではない。
【0022】
1~R4は独立して水素、重水素、置換または無置換のC1~C4アルキル基、置換または無置換のC3~C20シクロアルキル基、フェニル基で置換されるC1~C4アルキル基、C1~C4アルキル基で置換されるフェニル基から選ばれ、かつ、R3、R4は少なくとも一つが水素ではない。
【0023】
好ましい化合物は、以下の化合物である。
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
本発明の目的の1つは、上記化合物を含むOLEDリン光材料を提供することである。
【0028】
本発明の目的の1つは、上記化合物を含むOLED素子を提供することである。
【0029】
本発明による材料は、昇華温度が低く、光学、電気化学的安定性が高く、色飽和度が高く、発光効率が高く、素子寿命が長い等の利点を有する。本発明の材料は、リン光材料として、三重項励起状態を光に変換することができるので、有機電界発光素子の発光効率を向上させ、エネルギー消費量を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の実施形態は、単に発明を技術的に理解しやすくするためのものであり、本発明の具体的な制約とみなすべきではない。
【0031】
本発明における化合物合成に係る原材料や溶媒等は、いずれもAlfa、Acros等の当業者に知られているサプライヤーから購入したものである。
【0032】
実施例1:
共通中間体の合成:
【化8】
【0033】
化合物2の合成:
化合物1(27.2g,0.12mol,1.2eq)、1-クロロイソキノリン(16.3g,0.1mol,1.0eq)とCs2CO3(97.5g,0.3mol,3.0eq)およびPd(dppf)Cl2(3.655g,0.05mol,0.05eq)をフラスコに入れて、無水トルエンを1L加え,N2保護下で,110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却し、有機溶剤を濃縮除去し、残渣にジクロロメタン1Lと水1Lを加え、撹拌分層し、有機相を順にH2O(500ml×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(500ml×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムを乾燥させてろ過し、ろ液を有機溶剤に濃縮する。オフホワイト色の固体を得て、固体をEtOHで叩解精製し、化合物2(24.33g、収率:78.7%)を得る。マススペクトル:310.12(M+H)、1HNMR:8.42(d,1H),7.92(dd,1H),7.87(dd,1H),7.71(dd,1H),7.50-7.57(m,3H),7.30(dd,1H),6.99-7.20(m,4H),2.35(S,3H)。
【0034】
化合物3の合成:
化合物2(18.5g,0.06mol,3.0eq)、IrCl33H2O(7.04g,0.02mol,1.0eq)をフラスコに入れて、2-エトキシエタノール(133.4ml)及び脱イオン水(66.7ml)中に加えて、混合液をN2保護下で、110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却した後、濾過し、ろ過残渣を順にメタノール(100ml×3)、n-へキサン(100ml×3)で乾燥して化合物3(9.38g,55.4%)を得る。得られた化合物は精製されることなく次のステップに直接使用される。
【0035】
CPD1の合成:
【化9】
【0036】
化合物3(5.08g,3mmol,1.0eq)をエチレングリコールモノエチルエーテル(30ml)に溶解し、順に無水炭酸ナトリウム(6.36g,60mmol,20.0eq)およびアセチルアセトネート(3g,30mmol,10.0eq)を加え、加え終えた後に、混合液をN2保護下で、40Cで16時間撹拌した後に室温まで冷却する。反応液に珪藻土2gとジクロロメタン300mlを加え、混合液を珪藻土とシリカゲルでろ過し、得られた濾液からジクロロメタンを除去し、残液にイソプロパノール40mlを加えて赤色固体を析出させ、ろ過する。固体を酢酸エチルで叩解処理して目的化合物CPD1(2.56g、46.8%)を得る。2.56グラムのCPD1粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD1(2g、78.1%)を得る。マススペクトル:909.23(M+H)。
【0037】
CPD3の合成:
【化10】
【0038】
化合物3(5.08g,3mmol,1.0eq)をエチレングリコールモノエチルエーテル(30ml)に溶解し、順に無水炭酸ナトリウム(6.36g,60mmol,20.0eq)および3,7-ジエチル-4,6-ノナンジオン(6.36g,30mmol,10.0eq)を加え、加え終えた後に、混合液をN2保護下で、40Cで16時間撹拌した後に室温まで冷却する。反応液に珪藻土2gとジクロロメタン300mlを加え、混合液を珪藻土とシリカゲルでろ過し、得られた濾液からジクロロメタンを除去し、残液にイソプロパノール40mlを加えて赤色固体を析出させ、ろ過する。固体を酢酸エチルで叩解処理して目的化合物CPD3(2.69g、43.9%)を得る。2.69グラムのCPD3粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD3(1.78g、66.2%)を得る。マススペクトル:1021.36(M+H)。
【0039】
実施例2:
共通中間体の合成:
【化11】
【0040】
化合物5の合成:
化合物4(28.92g,0.12mol,1.2eq)、1-クロロ-6イソプロピルイソキノリン(20.5g,0.1mol,1.0eq)とCs2CO3(97.5g,0.3mol,3.0eq)およびPd(dppf)Cl2(3.655g,0.05mol,0.05eq)をフラスコに入れて、無水トルエンを1L加え,N2保護下で,110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却し、有機溶剤を濃縮除去し、残渣にジクロロメタン1Lと水1Lを加え、撹拌分層し、有機相を順にH2O(500ml×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(500ml×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムを乾燥させてろ過し、ろ液を有機溶剤に濃縮する。オフホワイト色の固体を得て、固体を酢酸エチル/石油エーテルで叩解精製し、化合物5(28.12g、収率:76.8%)を得る。マススペクトル:367.18(M+H)、1HNMR:8.4(d,1H),7.81(dd,1H),7.74(dd,1H),7.71(s,1H),7.50(s,1H),7.27-7.36(m,3H),7.1(d,1H),3.12(q,1H),2.55(s,3H),2.35(s,3H),1.29(d,6H)。
【0041】
化合物6の合成:
化合物5(22g,0.06mol,3.0eq)、IrCl33H2O(7.04g,0.02mol,1.0eq)をフラスコに入れて、2-エトキシエタノール(133.4ml)及び脱イオン水(66.7ml)中に加えて、混合液をN2保護下で、110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却した後、濾過し、ろ過残渣を順にメタノール(100ml×3)、n-へキサン(100ml×3)で乾燥して化合物6(9.86g,51.3%)を得る。得られた化合物は精製されることなく次のステップに直接使用される。
【0042】
CPD13の合成:
【化12】
【0043】
化合物6(5.76g,3mmol,1.0eq)をエチレングリコールモノエチルエーテル(30ml)に溶解し、順に無水炭酸ナトリウム(6.36g,60mmol,20.0eq)およびアセチルアセトネート(3g,30mmol,10.0eq)を加え、加え終えた後に、混合液をN2保護下で、40℃で16時間撹拌した後に室温まで冷却する。反応液に珪藻土2gとジクロロメタン300mlを加え、混合液を珪藻土とシリカゲルでろ過し、得られた濾液からジクロロメタンを除去し、残液にイソプロパノール40mlを加えて赤色固体を析出させ、ろ過する。固体を酢酸エチルで叩解処理して目的化合物CPD13(2.33g、38%)を得る。2.33グラムのCPD13粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD13(1.72g、73.8%)を得る。マススペクトル:1023.34(M+H)。
【0044】
CPD16の合成:
【化13】
【0045】
化合物6(5.76g,3mmol,1.0eq)をエチレングリコールモノエチルエーテル(30ml)に溶解し、順に無水炭酸ナトリウム(6.36g,60mmol,20.0eq)および2,8-ジメチル-4,6-ノナンジオン(6.36g,30mmol,10.0eq)を加え、加え終えた後に、混合液をN2保護下で、40Cで16時間撹拌した後に室温まで冷却する。反応液に珪藻土2gとジクロロメタン300mlを加え、混合液を珪藻土とシリカゲルでろ過し、得られた濾液からジクロロメタンを除去し、残液にイソプロパノール40mlを加えて赤色固体を析出させ、ろ過する。固体を酢酸エチルで叩解処理して目的化合物CPD16(2.12g、32%)を得る。2.12グラムのCPD16粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD16(1.65g、77.8%)を得る。マススペクトル:1107.43(M+H)。
【0046】
CPD17の合成:
【化14】
【0047】
化合物6(5.76g,3mmol,1.0eq)をエチレングリコールモノエチルエーテル(30ml)に溶解し、順に無水炭酸ナトリウム(6.36g,60mmol,20.0eq)および2-アセチルフェノール(4.08g,30mmol,10.0eq)を加え、加え終えた後に、混合液をN2保護下で、40℃で16時間撹拌した後に室温まで冷却する。反応液に珪藻土2gとジクロロメタン300mlを加え、混合液を珪藻土とシリカゲルでろ過し、得られた濾液からジクロロメタンを除去し、残液にイソプロパノール40mlを加えて赤色固体を析出させ、ろ過する。固体をカラムクロマトグラフィーで分離して目的化合物CPD17(2.58g、41%)を得る。2.58グラムのCPD17粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD17(1.88g、73.1%)を得る。マススペクトル:1059.34(M+H)。
【0048】
CPD18の合成:
【化15】
【0049】
化合物7の合成:
化合物6(19.2g,0.01mol,1.0eq)をDCM(500ml)に溶解し、反応液に順にトリフルオロメタンスルホン酸銀(5.25g,0.02mol,2.0eq)およびメタノール(50ml)を加え、加え終えた後、混合液をN2保護下で、80℃で16時間還流撹拌した後に室温まで冷却する。反応液をシリカゲルと珪藻土を介して不溶性固体を除去し、ろ液をスピン乾燥して化合物7(22g)を得て、得られた生成物を直接次の反応に用いる。
【0050】
CPD18の合成:
化合物7(3.41g,3mmol,1.0eq)と2-フフェニルピリジン(1.4g,9mmol,3.0eq)を無水エタノール(100ml)に溶解し、加え終えた後、混合液をN2保護下で、80Cで16時間還流撹拌した後に室温まで冷却する。濾過し、ろ過残渣を順にメタノール、n-へキサンで3回洗浄する。乾燥して目的化合物CPD18(1.68g、52%)を得る。1.68グラムのCPD18粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD18(1.24g、73.8%)を得る。マススペクトル:1078.36(M+H)。
【0051】
CPD24の合成:
【化16】
【0052】
化合物CPD18(2.15g、2mmol,1.0eq)と全重水素化エタノール(100ml)を無水THF(50ml)に溶解し、加え終えた後、混合液をN2保護下で、80Cで16時間還流撹拌した後に室温まで冷却する。濾過し、ろ過残渣を順にメタノール、n-へキサンで3回洗浄する。乾燥して目的化合物CPD24(2.15g、99%)を得る。2.15グラムのCPD24粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD24(1.54g、71.6%)を得る。マススペクトル:1078.36(M+H)。
【0053】
CPD19の合成:
【化17】
【0054】
CPD24の合成と同じ方法で、目的化合物CPD19(1.88g、99%)を得る。1.88グラムのCPD19粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD19(1.42g、75.5%)を得る。マススペクトル:1028.38(M+H)。
【0055】
CPD22の合成:
【化18】
【0056】
CPD24の合成と同じ方法で、目的化合物CPD22(2.35g、99%)を得る。2.35グラムのCPD22粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD22(1.64g、69.9%)を得る。マススペクトル:1113.47(M+H)。
【0057】
CPD23の合成:
【化19】
【0058】
CPD24の合成と同じ方法で、目的化合物CPD23(2.52g、99%)を得る。2.52グラムのCPD23粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD23(1.92g、76.2%)を得る。マススペクトル:1065.38(M+H)。
【0059】
実施例3:
CPD79の合成:
【化20】
【0060】
化合物9の合成:
化合物8(29.1g,0.12mol,1.2eq)、1-クロロイソキノリン(16.3g,0.1mol,1.0eq)とCs2CO3(97.5g,0.3mol,3.0eq)およびPd(dppf)Cl2(3.655g,0.05mol,0.05eq)をフラスコに入れて、無水トルエンを1L加え,N2保護下で,110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却し、有機溶剤を濃縮除去し、残渣にジクロロメタン1Lと水1Lを加え、撹拌分層し、有機相を順にH2O(500ml×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(500ml×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムを乾燥させてろ過し、ろ液を有機溶剤に濃縮する。オフホワイト色の固体を得て、固体をカラムクロマトグラフィーで分離して、化合物9(23.41g、収率:72.1%)を得る。マススペクトル:326.1(M+H)、1HNMR:8.51(d,1H),7.71-7.82(m,5H),7.50-7.60(m,3H),7.30-7.4(m,2H),7.10(d,1H),2.21(s,3H)。
【0061】
化合物10の合成:
化合物9(19.5g,0.06mol,3.0eq)、IrCl33H2O(7.04g,0.02mol,1.0eq)をフラスコに入れて、2-エトキシエタノール(133.4ml)及び脱イオン水(66.7ml)中に加えて、混合液をN2保護下で、110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却した後、濾過し、ろ過残渣を順にメタノール(100ml×3)、n-へキサン(100ml×3)で乾燥して化合物3(8.54g,48.6%)を得る。得られた化合物は精製されることなく次のステップに直接使用される。
【0062】
CPD79の合成:
CPD1の合成および精製と同じ方法で、目的化合物CPD79(3.26g、46.8%)を得る。3.26グラムのCPD79粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD79(2.33g、71.6%)を得る。マススペクトル:941.18(M+H)。
【0063】
実施例4:
CPD80の合成:
【化21】
【0064】
化合物12の合成:
化合物11(30.3g,0.12mol,1.2eq)、1-クロロイソキノリン(16.3g,0.1mol,1.0eq)とCs2CO3(97.5g,0.3mol,3.0eq)およびPd(dppf)Cl2(3.655g,0.05mol,0.05eq)をフラスコに入れて、無水トルエンを1L加え,N2保護下で,110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却し、有機溶剤を濃縮除去し、残渣にジクロロメタン1Lと水1Lを加え、撹拌分層し、有機相を順にH2O(500ml×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(500ml×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムを乾燥させてろ過し、ろ液を有機溶剤に濃縮する。オフホワイト色の固体を得て、固体をカラムクロマトグラフィーで分離して、化合物12(21.34g、収率:63.7%)を得る。マススペクトル:336.17(M+H)、1HNMR:8.51(d,1H),7.71-7.82(m,5H),7.50-7.60(m,3H),7.30-7.4(m,2H),7.10(d,1H),2.32(s,3H),1.67(s,6H)。
【0065】
化合物13の合成:
化合物12(20.1g,0.06mol,3.0eq)、IrCl33H2O(7.04g,0.02mol,1.0eq)をフラスコに入れて、2-エトキシエタノール(133.4ml)及び脱イオン水(66.7ml)中に加えて、混合液をN2保護下で、110℃で撹拌して16時間還流する。室温に冷却した後、濾過し、ろ過残渣を順にメタノール(100ml×3)、n-へキサン(100ml×3)で乾燥して化合物3(8.96g,49.9%)を得る。得られた化合物は精製されることなく次のステップに直接使用される。
【0066】
CPD80の合成:
CPD1の合成および精製と同じ方法で、目的化合物CPD80(3.54g、47.9%)を得る。3.54グラムのCPD80粗生成物を昇華精製して昇華精製されたCPD80(2.45g、69.2%)を得る。マススペクトル:961.33(M+H)。
【0067】
対応する材料を選び、同様の方法で他の化合物を合成し昇華させて得ることができる。
【0068】
(応用例:有機電界発光素子の製作)
50mm×50mm×1.0mmのITO(100nm)透明電極を有するガラス基板をエタノール中で10分間超音波洗浄してから、150度乾燥させた後、N2Plasmaで30分間処理する。洗浄後のガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに取り付けてから、まず、透明電極線を有する側の面で、透明電極を覆うように化合物HATCNを蒸着し,膜厚5nmの薄膜を形成し、続いてHTM1層を蒸着して膜厚60nmの薄膜を形成し、さらにHTM1薄膜上にHTM2層を蒸着して膜厚10nmの薄膜を形成する。その後、HTM2膜層に共蒸着のモードで蒸着ホスト材料CBPとドーパント化合物(比較化合物X、CPDX)を蒸着した。膜厚は30nmであり、ホスト材料とドーパント材料の比率は90%:10%である。発光層には順にAlQ3膜層(25nm)、LiF膜層(1nm)蒸着し、最後に電極として金属Al(100nm)層を蒸着する。
【化22】
【0069】
評価:上記の素子に対して素子性能テストを行うと、各実施例および比較例では、定電流電源(Keithley2400)を用いて、固定された電流密度を用いて発光素子に流して、分光放射輝度計(CS2000)を用いて発光スペクトルを測定する。また、電圧値および測定輝度が初期輝度の90%の時の時点を測定する(LT90)。結果は以下のとおりである:
【表1】
【0070】
以上の表のデータから明らかなように、本発明の化合物をドーパントとして用いた有機電界発光素子は、比較化合物に対して、駆動電圧、発光効率、寿命ともに、より優れた性能を示している。
【0071】
昇華温度比較:昇華温度の定義:10~7Torrの真空度、1オングストローム/秒の蒸着速度に対応する温度。テスト結果は以下のとおりである:
【表2】
【0072】
以上の表のデータから明らかなように、本発明の化合物は低い昇華温度を有し、産業化応用に有利である。
【0073】
以上の結果から分かるように、本発明の化合物は、昇華温度が低く、光学、電気化学的安定性が高く、色飽和度が高く、発光効率が高く、素子寿命が長い等の利点を有し、有機電界発光素子に応用することができる。特に赤色発光ドーパントとしてOLED産業への応用が可能である。