IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サタケの特許一覧

<>
  • 特許-穀物乾燥機 図1
  • 特許-穀物乾燥機 図2
  • 特許-穀物乾燥機 図3
  • 特許-穀物乾燥機 図4
  • 特許-穀物乾燥機 図5
  • 特許-穀物乾燥機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/14 20060101AFI20221121BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
F26B17/14 A
B02B7/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018201008
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020067239
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】竹中 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】大滝 直司
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-279591(JP,A)
【文献】特開平05-256577(JP,A)
【文献】特開2005-152684(JP,A)
【文献】特開平04-060377(JP,A)
【文献】特開2019-078474(JP,A)
【文献】特開平10-019463(JP,A)
【文献】特開2017-003161(JP,A)
【文献】特開2016-061521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/14
B02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥機の機体の正面側に、該穀物乾燥機の運転操作を指示する操作部と、離れた位置から作業者が前記穀物乾燥機の運転状況を視認可能とする表示部とを設け、前記表示部は、穀物乾燥機の運転状況を色で表示するとともに、複数色に発光可能に形成されていて、前記穀物乾燥機が正常に運転されている正常運転状態と、前記穀物乾燥機の運転を停止せざるを得ない異常状態とを作業者に色別に表示する発光表示部となし、
前記発光表示部は、機体正面側に設けたバーナボックスのカバー体上部に逆八の字状に左右一対設けられている ことを特徴とする穀物乾燥機。
【請求項2】
前記発光表示部は、前記穀物乾燥機が正常運転状態である場合に、多数の作業工程のうち、現在どの作業工程を実行しているのかの運転状況を作業者に色別に表示してなる請求項1記載の穀物乾燥機。
【請求項3】
前記カバー体には、外気取入用の長孔開口が多数穿設された多孔部を設け、前記長孔開口は前記カバー体の中央に向かって斜め下向きに設けられ、前記多孔部が前記カバー体の中央で左右対称に設けられる 請求項1又は2に記載の穀物乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物調製機に関するものであり、特に、穀物の乾燥を行う穀物乾燥機の運転状況を、作業者に分かり易く、しかも、離れた位置からでも容易に視認することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
穀物乾燥機を使って穀物の乾燥を行うには、穀物乾燥機に穀物を張り込んだ後、バーナを点火して乾燥を開始し、通常、乾燥開始から8~12時間もの長時間をかけて一回の乾燥作業が終了する。その間、穀物乾燥機が正常に稼働しているか否か、また、過乾燥を避けるために、所定時間内に所定の水分値に到達しているか否かなど都度監視する等、多数の監視作業が必要となる。これは、乾燥作業を安全に終了させるために最低限必要な作業工程である。
【0003】
従来、上記のような穀物乾燥機の作業状況を監視する装置として、特許文献1及び2に開示されたものがある。すなわち、特許文献1にあっては、穀物乾燥機の制御を行うコントロールボックスに、水分値や、熱風温度を表示する複数個のデジタル表示器を設け、穀物乾燥機の機体の外面、その他、穀物乾燥機の機体から離れた所望箇所のそれぞれにデジタル表示器を配設して作業状況の監視を行うことの記載がある。また、特許文献2にあっては、穀物乾燥機の制御を行うコントロールボックス内に、液晶ディスプレイからなる表示部を設けたことの記載がある。
【0004】
上記特許文献1によれば、穀物乾燥機から離れた所望の場所で作業状況の的確な監視を行えるといったメリットがある。しかし、前記デジタル表示器については、必ずしも視認性が優れているとは言い難い。つまり、この表示器は、穀物乾燥機のコントロールボックス内に配置させているため、比較的小さなサイズ(例えば、縦が30mmで横が60mm程度のデジタルセグメント表示器)となっていて、作業者がコントロールボックスに近寄ることで(例えば、2~3m程度)初めて視認することができるものである。また、特許文献2記載の液晶ディスプレイにあっても、上記同様にコントロールボックス内に収容する制約があるために、せいぜい7インチ(縦が87mmで横が154mm)程度の大きさが限度であって、必ずしも視認性が優れているとは言い難い。
【0005】
一方、穀粒計量袋詰機から離れた位置にいる作業者であっても、作業状況を的確に監視するという先行技術として、特許文献3に開示されたものがある。
【0006】
このものは、穀粒計量袋詰装置の袋詰終了報知装置に関するものであり、穀粒を溜めるタンク壁面の一部あるいは全体を半透明にするとともに、このタンク内の上部に発光体を設け、穀粒袋への穀粒投入量が所定量あるいは所定量近傍に達したら、該発光体を点滅あるいは点灯させるように構成したものである。
【0007】
上記構成によれば、袋詰終了時において、タンクの不透明な壁面が全体的に大きく輝くので、作業者がタンクから離れた位置に居た場合でも、確実に袋詰作業の終了を確認することができるようになり、効率的な袋詰作業を行えるといった作用・効果がある。
【0008】
しかしながら、上記特許文献3に開示された穀粒計量袋詰装置の袋詰終了報知装置にあっては、発光体を点滅あるいは点灯し、袋詰作業が作業中であるのか又は袋詰作業が終了したかを報知するだけのものであり(わずか二つの情報を報知するのみ)、穀物乾燥機の穀物乾燥処理を行うための張込・送風・乾燥・排出など多数の作業工程(運転状況)を作業者に分かりやすく表示することはできなかった。さらに、ライスセンタなど複数の穀物乾燥機を併設している施設にあっては、どの穀物乾燥機が何の作業をしているかを一目で把握することは、作業者にとって容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開昭62-238983号公報
【文献】特開2000-266467号公報
【文献】実開昭63-37516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点にかんがみ、運転状況を作業者に分かり易く、しかも、離れた位置からでも容易に視認することができる穀物調製機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明は、穀物乾燥機の機体の正面側に、該穀物乾燥機の運転操作を指示する操作部と、離れた位置から作業者が前記穀物乾燥機の運転状況を視認可能とする表示部とを設け、前記表示部は、穀物乾燥機の運転状況を色で表示するとともに、複数色に発光可能に形成されていて、前記穀物乾燥機が正常に運転されている正常運転状態と、前記穀物乾燥機の運転を停止せざるを得ない異常状態とを作業者に色別に表示する発光表示部となし、
前記発光表示部は、機体正面側に設けたバーナボックスのカバー体上部に逆八の字状に左右一対設ける、という技術的手段を講じた。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記発光表示部は、前記穀物乾燥機が正常運転状態である場合に、多数の作業工程のうち、現在どの作業工程を実行しているのかの運転状況を作業者に色別に表示することを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、前記カバー体には、外気取入用の長孔開口が多数穿設された多孔部を設け、前記長孔開口は前記カバー体の中央に向かって斜め下向きに設けられ、前記多孔部を前記カバー体の中央で左右対称に設けるとよい。
【0014】
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、穀物乾燥機の機体の正面側に、該穀物乾燥機の運転操作を指示する操作部と、離れた位置から作業者が前記穀物乾燥機の運転状況を視認可能とする表示部とを設け、前記表示部は、穀物乾燥機の運転状況を色で表示するとともに、複数色に発光可能に形成されていて、前記穀物乾燥機が正常に運転されている正常運転状態と、前記穀物乾燥機の運転を停止せざるを得ない異常状態とを作業者に色別に表示する発光表示部となし、
前記発光表示部は、機体正面側に設けたバーナボックスのカバー体上部に逆八の字状に左右一対設ける構成とした。したがって、穀物乾燥機の設置場所において、機体正面となるバーナボックス前側に(外気取入用の長孔開口を塞がないよう)広い空間取られていて、操作部や発光表示部を遮る障害物が存在しなくなるため、作業者は機械に近寄ることなく運転状況を容易に把握でき、しかも、離れた位置から視認することができる。特に、機械にエラーが発生した時など緊急性を要する場合に、いち早く修理の対策を講じることが可能となる。
そして、前記発光表示部は、機体正面側に設けたバーナボックスのカバー体上部に逆八の字状に左右一対設け、例えば、人の目やロボットの目にアレンジさせる。これにより、作業者が機械に対して親しみやすく、愛着がわくようになる。
【0016】
また、前記発光表示部の表示により作業者は前記穀物乾燥機の運転状況を正常に運転されている正常運転状態と、運転を停止せざるを得ない異常状態とを色により容易に把握することができる。
【0017】
そして、請求項記載のように、前記発光表示部は、前記穀物乾燥機が正常運転状態である場合に、多数の作業工程のうち、現在どの作業工程を実行しているのかの運転状況を作業者に色別に表示させることとすれば、作業者は前記穀物乾燥機が正常運転状態である場合に、多数の作業工程のうち、現在どの作業工程を実行しているのかの運転状況を色により容易に把握することができる。
【0018】
請求項記載の発明によれば、前記カバー体には、外気取入用の長孔開口が多数穿設された多孔部を設け、前記長孔開口は前記カバー体の中央に向かって斜め下向きに設けられ、前記多孔部を前記カバー体の中央で左右対称に設けたので、前記多孔部を、例えば、人の顔の頬やロボットの顔の頬にアレンジさせることができる。これにより、作業者が機械に対して親しみやすく、愛着がわくようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の穀物乾燥機の全体を示す斜視図である。
図2】同縦断面図である。
図3】バーナボックスの表面部に嵌合されカバー体の正面図である(図3(a)は一実施例、図3(b)は他の実施例)。
図4】液晶タッチパネルからなる操作画面の模式図である。
図5】液晶タッチパネルを含む穀物乾燥機全体の制御系の構成を示すブロック図である。
図6】ライスセンタなど複数の穀物乾燥機を併設している施設における実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態にかかる穀物調製機のうち、穀物乾燥機につき図面を参照しながら説明する。本発明は穀物乾燥機の構成に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない穀物調製機であれば、適宜変更してもよい。
【0021】
図1に示すように、穀物乾燥機1は、穀物を貯留する穀物貯留部2を上部に、その下部に、熱風室4、排風室5及び穀物乾燥室6を有する穀物乾燥部3をそれぞれ配置してなる。そして、穀物乾燥機1の正面側には、内部に熱風発生装置40や制御部30を収容するコントロールボックス等を収納したバーナボックス8(箱体)を一体化して設ける。さらに、バーナボックス8(箱体)の表面部には、カバー体8aが嵌合される。このカバー体8aには、穀物乾燥機1の各種運転操作の選択をする液晶タッチパネルからなる操作部7と、離れた位置から作業者に穀物乾燥機1の運転状況を色で表示する細長の発光表示部10とが備えられる。
前記バーナボックス8(箱体)の近傍には、バケットエレベータ9が隣接して立設される(図1図2参照)。
【0022】
前記操作部7は、画面上のアイコンやボタンをタッチし、穀物乾燥機1の各種運転操作の実行の選択ができる大型の液晶タッチパネル(例えば、7インチ程度)から構成される。一方、前記発光表示部10は、離れた位置から作業者に穀物乾燥機1の運転状況を色で表示することのできる横長のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)から構成される。
【0023】
前記発光表示部10の一例としては、一つのLED電球の中に、赤(R),緑(G),青(B)からなる三原色の発光素子(チップ)を3個備えたマルチカラーLEDを使用するのが好ましく、3個の発光素子(チップ)の光の強弱によって複数の色(例えば、白,赤,青,緑,ピンク,黄及び水の7色)の光を発光することができる。そして、このマルチカラーLEDを多数用意して横長に形成し、これをバーナボックス8上部に配設して長尺状の発光表示部10に構成するのがよい。
【0024】
図2を参照しながら前記穀物乾燥部3について説明する。
穀物乾燥部3は、穀物貯留部2から流下する穀粒が通過する一対の穀物乾燥室6が主要部となる。穀物乾燥室6は通気性のある多孔壁部材により形成されている。そして、これらの一対の穀物乾燥室6によって囲繞される空間を熱風室4となし、該熱風室4の一端には前記バーナボックス8(箱体)が配設される。前記バーナボックス8(箱体)内部には、灯油式バーナ等による熱風発生装置40(図5参照)が設けられる。また、前記一対の穀物乾燥室6の前記熱風室4の両側には、前記熱風室4から前記穀物乾燥室6を通過した熱風を回収する一対の排風室5を形成する。
該一対の排風室5の前記バーナボックス8(箱体)と反対側には排風口14がそれぞれ開口されるとともに、一対の排風口14を覆うように、ファンボックス15が設けられる。ファンボックス15には吸引式の排風ファン17が装着され、該排風ファン17の駆動により、前記熱風発生装置40で生成された熱風と外気とが混合された熱風が、熱風室4から穀物乾燥室6を通過して排風室5に流入し、その後、排風口14及びファンボックス15を経由して排風ファン17から機外へ排風されるよう構成される。
【0025】
前記一対の穀物乾燥室6は、断面がV字状に形成され、該穀物乾燥室6の各下端部には、繰出モータ34により駆動する共通の繰出バルブ11が横設される。前記繰出バルブ11の下方には、漏斗状の集穀ホッパ12が設けられ、該集穀ホッパ12の底部には、前記繰出バルブ11から繰り出される穀物を排出するため、本機モータ18によって駆動する下部スクリューコンベア13が横設される。前記上部スクリューコンベア19と前記バケットエレベータ9を駆動させる昇降機用モータ9aが前記バケットエレベータ9の上部に取り付けられる。さらに、前記上部スクリューコンベア19から排出される穀粒を前記穀物貯留部2内へ均等に投入するための回転分散盤16が、前記穀物貯留部2の天板部から垂下して設けられる。前記回転分散盤16は前記上部スクリューコンベア19とベベルギア等を介して連動させることができる。
【0026】
図3は、上記バーナボックス8の表面部に嵌合されカバー体8aの正面図である。図3において、カバー体8aには、外気取入用の長孔開口20が多数穿設された多孔部21と、穀物乾燥機1の各種運転操作の選択をする液晶タッチパネルからなる操作部7と、離れた位置から作業者に穀物乾燥機1の運転状況を色で表示する発光表示部10とを備えて構成される。
【0027】
前記カバー体8aは、車のフロントデザインのような人の顔やロボットの顔のようにアレンジして設計することもできる。図3においては、発光表示部10を左右一対設けることで、人の目やロボットの目に相当するように設計するとともに、外気取入用の長孔開口20の向きを、カバー体8aの中央に向かって斜め下向きに設け、多孔部21a,21bを左右対称に設けることで、人の顔の頬やロボットの顔の頬に相当するように設計するとよい。また、人の顔の鼻やロボットの顔の鼻に相当するようにカバー体8aの中央上部寄りに機械のエンブレム35を設けてもよい。
【0028】
なお、図3(a)は発光表示部10の形状を、逆八の字状、すなわち、人の表情で言えば「つり目」状に形成した例であり(符号10a)、図3(b)は発光表示部10の形状を、人の瞼(まぶた)に沿って湾曲させてアイライン状に形成した例であり(符号10b)、より人の表情に近いものとしている。これにより、人が親しみやすく、愛着のわく機械設計とすることができる
【0029】
図4は、上記液晶タッチパネル7aからなる操作部7の操作画面である。図4において、符号22は、張り込みボタン22a,循環送風ボタン22b,乾燥ボタン22c,排出ボタン22dからなる各種作業を選択する運転選択ボタンである。また、符号23は、乾燥速度の速度を選択する乾燥速度ボタン23a,水分計36(図1参照)による運転かタイマーによる運転かを選択する乾燥モードボタン23b,穀物の種類を選択する種類選択ボタン23c,仕上げ水分を設定する水分設定ボタン23d,張り込み量を自動設定するか手動設定するかを選択する張り込み量選択ボタン23eからなるモード選択ボタンである。
【0030】
図5は、前記操作部7の液晶タッチパネル7aを含む穀物乾燥機1全体の制御系の構成を示すブロック図である。制御部30には、操作部7の液晶タッチパネル7aを信号の入出力が可能となようタッチパネルインターフェース回路31,液晶パネル駆動回路32を介して接続する。また、制御部30には、各種データを格納した記憶部33が接続され、操作部7及び制御部30の指示に従って排風ファン17,本機モータ18,昇降機用モータ9a,熱風発生装置40,繰出モータ34及びブザーなどの音声出力装置38が駆動される仕組みとなっている。同時に、操作部7及び制御部30の指示に従って発光表示部10の点灯制御が行われる。
【0031】
表1は操作部7及び制御部30の指示に従って発光表示部10の点灯制御の一例を示したものである。
【表1】
【0032】
表1によれば、発光表示部10の点灯制御として、電源投入時は白色を点灯し、電源断電時は消灯する。
【0033】
エラー発生時には赤色が点滅する(エラーの発生とは、穀物乾燥機1の運転状態が「正常運転」ではない「異常運転」の場合。例えば、復帰が可能なエラーとして、張り込みホッパ56(図1)が開いていて風圧センサに異常を発するとか、ねずみ侵入防止シャッタが閉じられていて水分計36(図1)に異常を発するとかが挙げられる。復帰が不能なエラーとして、リード線の断線等により温度センサ、風圧センサなど各種センサの異常が挙げられる。そのほか復帰が不能なエラーとして、コントロールボックス内のCPUボードなど基板の異常、トランス・電源ボードの異常が挙げられる。)。
また、ブザー解除時は赤色が点灯し(ブザーの解除とは、エラーが発生した場合に、作業者にエラーの内容を分かり易く告知するために音声出力装置38(図4)でブザーを鳴らすのであるが、ブザーが鳴った後に、液晶タッチパネル7aに表示したブザー解除ボタンを押してブザーを停止することである。)。
【0034】
そして、復帰が可能なエラーの場合に、エラーを解決した後は白色が点灯する。
【0035】
次に、運転準備OK時は青色が点灯し、運転準備NGは青色が消灯する。
【0036】
また、運転状況として穀物の張り込み時は緑色が点灯し、張り込みが満量に至ると緑色が点滅する。さらに、運転状況として穀物の排出時はピンク色が点灯し、排出終了時はピンク色が点滅する。穀物の乾燥時は黄色が点灯し、乾燥終了時は黄色が点滅する。そして、穀物の送風循環時は薄い青(水色)が点灯し、送風循環終了時は薄い青(水色)が点滅する。
【0037】
以上のように、発光表示部10が穀物乾燥機1の運転状況(すなわち、張り込み、乾燥、排出、送風循環の各工程)に応じて、色を異ならせて表示することができるので、運転状況を作業者に分かり易く、しかも、発光表示部10が鮮明に輝いて光って離れた位置からでも容易に視認することができる。
【0038】
なお、前記発光表示部10は、運転状況を作業者に分かり易く、しかも、離れた位置からでも容易に視認するものであれば何でもよく、例えば、文字や絵を表示する電光掲示板、信号機、横断幕、旗などが想定し得る。
【0039】
図6はライスセンタなど複数の穀物乾燥機を併設している施設における実施形態を示す模式図である。
【0040】
図6は、建家50内に複数、例えば6台の穀物乾燥機1a~1fが併設されるとともに、その他の調製機械として籾摺選別機51、光学式穀物選別機52及び穀粒計量袋詰機53が設けられている事例である。この施設おける運転状況として、まず、収穫日の初日に穀物乾燥機1a~1cの3台に対して穀物を張り込んで乾燥処理を開始し、次いで、収穫日の第2日目に穀物乾燥機1d~1fの3台に対して穀物を張り込んで乾燥処理を開始すると仮定する。
【0041】
上記仮定においては、前記6台の穀物乾燥機1a~1fは全てが同じ運転状況(張り込み、乾燥、循環又は排出の各工程)で運転しているわけではない。例えば、収穫日の初日は3台の穀物乾燥機1a~1cは稼動中であるため、前記発光表示部10は何らかの色で発光表示している(例えば、乾燥時であれば「黄色」を呈している。)。一方、3台の穀物乾燥機1d~1fは未稼働であるから前記発光表示部10は消灯しているのである。
建家50の中は日中でも薄暗いのであるが、作業者が穀物乾燥機1の運転状況を確認するため、出入り口の扉54又はシャッタ55を開けると、離れた位置からどの穀物乾燥機1が何の作業(上記仮定では、穀物乾燥機1a~1cが乾燥作業中である)をしているか瞬時に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る運転状況を色で表示することのできる発光表示部は、穀物乾燥機に限らず、籾摺選別機、光学式穀物選別機及び穀粒計量袋詰機など各種の農家用の穀物調製機械においても採用することができる。また、農家用の穀物調製機械に限らず、ライスセンタやカントリーエレベータなどの穀物共同乾燥調製施設などに設置している大型の穀物調製機械においても採用することができる。
特に、ライスセンタやカントリーエレベータなどの薄暗い建家内においては、複数の穀物調製機械が存在する中で、どの穀物調製機械が何の作業をしているのかを作業者が離れた位置から一瞬で把握することができ、有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 穀物乾燥機
2 穀物貯留部
3 穀物乾燥部
4 熱風室
5 排風室
6 穀物乾燥室
7 操作部
8 バーナボックス
9 バケットエレベータ
10 発光表示部
11 繰出バルブ
12 集穀ホッパ
13 下部スクリューコンベア
14 排風口
15 ファンボックス
16 回転分散盤
17 排風ファン
18 本機モータ
19 上部スクリューコンベア
20 長孔開口
21 多孔部
22 運転選択ボタン
23 モード選択ボタン
30 制御部
31 タッチパネルインターフェース回路
32 液晶パネル駆動回路
33 記億部
34 繰出モータ
35 エンブレム
36 水分計
38 音声出力装置
40 熱風発生装置
50 建家
51 籾摺選別機
52 光学式穀物選別機
53 穀粒計量袋詰機
54 扉
55 シャッタ
56 張り込みホッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6