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  • 特許-配管用固定型支持脚 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】配管用固定型支持脚
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/08 20060101AFI20221121BHJP
   F16L 3/24 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
F16L3/08 D
F16L3/24 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018037480
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019152265
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591172799
【氏名又は名称】港製器工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】岡室 昇志
(72)【発明者】
【氏名】来栖 徳治
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-071187(JP,U)
【文献】特開2006-219822(JP,A)
【文献】特開2000-104839(JP,A)
【文献】特開2010-261525(JP,A)
【文献】特開平11-304054(JP,A)
【文献】特開2012-107454(JP,A)
【文献】特開2013-213333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0241240(US,A1)
【文献】特開2002-130539(JP,A)
【文献】特開2011-226095(JP,A)
【文献】実開昭59-171137(JP,U)
【文献】実開昭60-170405(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/08
F16L 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた設置部に固定される配管用固定型支持脚であって、
配管を載置する横架材を保持する一対のボルトを含み、
前記一対のボルトはアンカーボルトを用いて現場施工で据付けられ、前記設置部から立ち上がるように設けられ、前記一対のボルトの前記設置部からの立ち上がり部の周囲には、防水構造が設けられ、
前記設置部から突出して設置可能な一対の連結材を含み、
前記一対の連結材は、前記アンカーボルトを用いて現場施工で据付けられ、
前記一対の連結材は、前記一対の連結材の周囲に前記防水構造を立ち上げ、
前記アンカーボルトを用いて現場施工で据付けられる前記一対のボルトは、前記連結材に設けられ、
前記連結材は、前記連結材を回転させるための切欠き部を有する、配管用固定型支持脚。
【請求項2】
前記横架材は矩形状の鉛直面を有し、前記鉛直面の鉛直方向の上端部にフランジ部を有し、前記上端部のフランジ部に前記ボルトが貫通する、請求項1に記載の配管用固定型支持脚。
【請求項3】
前記横架材は矩形状の鉛直面を有し、前記鉛直面の鉛直方向の下端部にフランジ部を有し、前記下端部のフランジ部に前記一対のボルトが貫通する、請求項1または2に記載の配管用固定型支持脚。
【請求項4】
前記ボルトは全ねじボルトである、請求項1~のいずれかに記載の配管用固定型支持脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は配管用固定型支持脚に関し、特に、押えコンクリートに対応した配管用固定型支持脚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配管用固定型支持脚の一例としての配管架台が、例えば、特開平11-132361号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、互いに隣り合う配管カバー同士の間に配管架台を設置する。配管架台を一対の脚部材と、脚部材)同士を連結する連結部材及びカバー部材より構成する。空調用ダクトを流用した配管カバーのフランジを脚部材及びカバー部材に接続する。それによって、屋上に延設される冷媒配管を保護する配管カバーを支持する配管架台を改良し、配管カバー設備の設計の簡略化及び配管カバーの設置作業性の向上を図り、これによってコストを削減すると共に工事の短期化を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-132361号公報(要約等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の配管用固定型支持脚は上記のように構成されていた。このような構成では、一般に、一対の支持脚は固定脚を介して屋上等の部分に設置され、防水層が固定脚の下に張られるために、防水の更新のときに、固定脚の一時移動と、復旧工事とを別途行う必要があり、費用がかさむ。なお、防水層を固定脚の下に張らず、固定脚に防水層端部を突き付けて納める方法は、防水性能の信頼性に劣るため、推奨されない。また、一対の支持脚をコンクリートブロックで支持することも考えられるが、重量が増えるため、好ましくない。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、軽量化が図られ、防水更新においても余分な費用がかからずより確実な防水が可能な、配管用固定型支持脚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る、配管用固定型支持脚は、外部に設けられた設置部に固定される。配管用固定型支持脚は、配管を裁置する横架材を保持する一対のボルトを含み、一対のボルトはアンカーボルトを用いて現場施工で据付けられ、設置部から立ち上がるように設けられ、一対のボルトの設置部からの立ち上がり部の周囲には、防水構造が設けられる。
【0007】
好ましくは、設置部から突出して設置可能な一対の連結材を含み、一対の連結材は、アンカーボルトを用いて現場施工で据付けられ、一対のボルトは、連結材に設けられる。
【0008】
さらに好ましくは、横架材は矩形状の鉛直面を有し、鉛直面の鉛直方向の上端部にフランジ部を有し、上端部のフランジ部にボルトが貫通する。
【0009】
横架材は矩形状の鉛直面を有し、鉛直面の鉛直方向の下端部にフランジ部を有し、下端部のフランジ部に一対のボルトが貫通してもよい。
【0010】
ボルトは全ねじボルトであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかる配管用固定型支持脚はコンクリートブロックを使用しない。また、配管を支持するための横架材を保持する一対のボルトはアンカーボルトを用いて現場施工で据付けられ、設置部から立ち上がるため、ボルトの周囲に防水施工が可能になる。
【0012】
その結果、軽量化が図られ、工事が簡単で、防水更新においても費用がかからずより確実な防水が可能な、配管用固定型支持脚を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施の形態に係る配管用固定型支持脚の斜視図である。
図2】配管用固定型支持脚の正面図および側面図である。
図3】配管用固定型支持脚を例えば、屋上のような、設置部に設置した場合の斜視図である。
図4】設置部に載置された連結材の防水構造を示す断面図である。
図5】横架材の他の実施の形態を示す図である。
図6】アンカーの他の実施の形態を示す図である。
図7】防水施工の他の実施の形態を示す図である。
図8】横架材の他の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の1実施の形態に係る配管用固定型支持脚の斜視図であり、図2(A)は正面図であり、図2(B)は、図2(A)において、矢印IIB-IIBで示す側面図であり、図3は、配管用固定型支持脚を例えば、屋上のような、設置部30に設置した場合の配管用固定型支持脚10の設置状態を示す斜視図であり、図4は、その部分の防水構造を示す断面図である。
【0015】
図1図3を参照して、この実施の形態に係る配管用固定型支持脚10は、屋上のような、設置部30に連結するための設置部30に設けられた一対の連結材11a,11bと、それぞれの連結材11a,11bの上端に設けられ、鉛直方向に伸びるボルト12a,12bと、ボルト12a,12bに固定され、配管を裁置する横架材13と、を含む。連結材11a,11bは円筒状であり、雄ねじ型アンカーボルトで設置部30に固定される。ボルト12a,12bと連結材11a,11bとは、一体的に設けられる。なお、連結材11a,11bの長さは少なくとも50mm以上が好ましい。
【0016】
横架材13は、幅方向に長い矩形状の鉛直面13bを有し、上下端にフランジ部13a,13cを有する、断面が「コ」の字状の金属製の板材である。矩形状の鉛直面13bの幅方向の両端部の近傍の上下端のフランジ部13a,13cにそれぞれ一対の切欠き孔14a,14bおよび14c,14dが設けられ、そこを、ボルト12a,12bが貫通する。ボルト12a,12bには、上下端のフランジ部13a,13cを高さ方向に位置決めするために、上端のフランジ部13aを挟むナット15a,15b、および、15c,15dが設けられ、下端のフランジ部13cを挟むナット16a,16b、および、16c,16dが設けられている。
【0017】
ここで、ボルト12a、12bは全ねじボルトとして示しているが、必要な位置決め箇所のみにねじ山を設けてもよい。
【0018】
また、切欠き孔は設けなくてもよい。
【0019】
横架材13の縦方向の位置を調整するときは、これらのナット15a~15d、および、16a~16dの位置を調整する。
【0020】
上端のフランジ部13bには、一対の幅方向に細長い貫通孔17a,17bが設けられ、その貫通孔17a,17bを介して、U字状のボルト26を取付け、横架材13の上に、配管25を裁置する。なお、ここでは、配管25および、それを固定するためのU字状のボルト26およびナット27a,27bを一点鎖線で示している。
【0021】
ここで、配管25および、それを固定するためのU字状のボルト26およびナット27a,27bを固定するためのU字状のボルト26およびナット27a,27bを取り付ける貫通孔17a,17bは、図に示すように長穴であるため、予めU字状のボルト26の位置に合わせた位置に貫通孔を設ける必要はない。また、U字状のボルト26等を固定するための一定の間隔の長穴が開いた汎用のアングル材を用いる場合は、それを現場作業で準備する必要があるが、そのようなことも不要で、配管等の取付の施工が容易になる。
【0022】
さらに、ここで取り付けられる配管を、主に集合住宅で採用される通気管に限定すれば、長穴の幅方向の寸法をさらに限定可能になる。
【0023】
また、貫通孔17a,17bは、上下端のフランジ部13a,13cの配管を支持する方向の中央よりも、鉛直面13b側に設けるのが好ましい。これは、ナット27a,27bを締めたとき、貫通孔17a,17bが鉛直面13bに近いほどフランジ部13a,13bの反りが小さいからである。
【0024】
図3に示すように、連結材11は、後に説明するように、アンカーボルトに固定されるため、円筒状の連結材11をスパナ等で回転させるための切欠き部を、その円周方向に180度の間隔を開けて設けている。なお、この切欠き部の位置および形状は任意である。
【0025】
なお、横架材13を、断面が「コ」の字状の金属製の板材の代わりに、上下に間隔を開けて配置した一対のアングルを、それぞれの一方の面が1つの面を構成するようにボルト12a,12bに配置して横架材を構成してもよい。この場合、一対のアングル間の距離が離れる場合は、横架材の強度を増すために、筋交いを設けてもよい。そのような場合の図2に対応する図を図7に示す。
【0026】
次に、設置部の防水構造について、図4を参照して説明する。図4を参照して、連結材11a,11bは、設置部30に現場施工できる雄ねじ型アンカーボルトで固定される。設置部30には防水施工がされるが、連結材11が円筒状で、設置部30から立ち上がっているため、その周囲に防水部31立ち上げることができる。ここでは、防水部31は、防水シート32とその下に設けられた鋼板33とを含み、連結材11の周囲を囲む防水シート32を用いて防水が施工される。
【0027】
防水の仕様によっては、鋼板33が省略されることもある。
【0028】
なお、連結材11a,11bの防水シート32の上端部近傍は、ステンレスバンド34で防水シート32を連結材11a,11bにしっかりと固定することもある。また、連結材11a,11bの上端部には、ボルト12が埋め込まれ、そのボルトの位置を固定するために、ナット12cが設けられる。
【0029】
ナット12cと連結材11の上端部の間には、連結材11の上端部より径の大きい笠36が設けられ、笠36の下部の外周には、防水シート31の上端部を覆うようにシール材35が設けられ、雨等が連結材11の外周と防水シート31との間に入り込まないようにしている。
【0030】
なお、鋼板33は固定ねじ41,42で設置部30に固定されてもよい。
【0031】
以上のように、この実施の形態においては、配管の裁置のために、コンクリートブロックを使用しない。したがって、軽量化が図られる、また、連結材はアンカーボルトを用いて現場施工で据付けられ、設置部から立ち上がるため、その周囲に防水層を立ち上げることができる。
【0032】
その結果、軽量化が図られ、工事が簡単で、防水更新においても費用がかからずより確実な防水が可能である。
【0033】
次に、横架材の他の実施の形態について説明する。図5(A),(B)は、図1に示した横架材の他の実施の形態を示す図である。図5(A),(B)は、先の実施の形態の図1(A)、(B)に対応する。図5を参照して、この実施の形態では、横架材を2枚のL形の鋼板20,21をその横方向への突出部20b,21bが上下の両端部で同じ方向を向くように配置し、それらを上下方向の中央部の両端で位置決めボルトナット18a,18bで連結して構成している。
【0034】
図5に示すように、2枚のL形の鋼板20,21はそれぞれの幅方向の両端部近傍に上下方向に伸びる一対の溝22a,22b、および、23a,23bを設け、それによって、上下の突出部20b,21b間の間隔が調整できるようになっている。
【0035】
これらの点以外は、先の実施の形態と同様であるので、先の実施の形態と同一、または、同様の該当箇所に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
次に、アンカーボルトの他の実施の形態について説明する。図6は、アンカーボルトの他の実施の形態としての、雌ねじ型アンカー28を示す断面図である。図6を参照して、ここでは、例えばコンクリート製の設置部30の表面に雌ねじ型アンカー28を設ける。このアンカー28は内側に雌ねじ部を有し、その中に、ボルト12をねじ込むことができる。この場合は、連結部11を省略できるため、より構成が簡単になる。
【0037】
この実施の形態における防水施工について説明する。図7は、この実施の形態における防水施工の状態(図7(A))と、同様の防水施工を、図4に示した構成に適用した場合の防水施工の状態(7(B))と、を示す図4に対応する断面図である。
【0038】
図7(A)を参照して、この実施の形態においては、防水施工は、塗膜防水を用いて行う。塗膜防水とは、粘性の大きい液状の防水材を防水面に塗布することによって行う。図7(A)に示すように、この例では、雌ねじ型アンカー28をコンクリートのような設置部30に打ち込み、そこに挿入されたボルト12をナット12cで固定し、その外部を覆うように三角形状のシール38を設け、その外表面に塗膜防水37を設ける。塗膜防水37の高さは設置部30から数cm~10cm程度あればよい。
【0039】
以上のように、雌ねじ型アンカー28を用いた場合においても、容易に塗膜防水による防止施工が可能になる。なお、この場合は、ボルト12が細いため、図4に示したような防水シートによる防水はできない。
【0040】
なお、同様の防水施工は先の実施の形態においても利用できる。同様の防水施工を、図4に示した先の実施の形態において用いた場合について図7(B)に示す。図7(B)を参照して、この場合は、雄ねじ型アンカーボルトで固定された連結材11の上端部にボルト12が挿入され、その下端部の周囲が下方向にテーパ状になるようにシール38でシールされる。そのシール38を覆って、連結材11の上端部近傍まで塗膜防水37が設けられる。
【0041】
次に横架材の他の実施の形態について説明する。横架材13を、断面が「コ」の字状の金属製の板材の代わりに、上下に間隔を開けて配置した一対のアングルを、それぞれの一方の面が1つの面を構成するようにボルト12a,12bに配置して一組の横架材24a,24bを構成してもよい。この場合、一対のアングル間の距離が離れる場合は、横架材の強度を増すために、筋交い24cを設けてもよい(図8(A)のみに示す)。そのような場合の図2に対応する図を図7に示す。この場合、筋交い24cはその一方端を一方のボルト12aに、他方端を他方のボルト12bに固定するのが好ましい。
【0042】
なお、上記実施の形態においては、横架材として、上下にフランジのあるものについて説明したが、これに限らず、下部のフランジは無くてもよい。この場合、図7に示した構成において、下側のアングルが省略された構成になる。
【0043】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明によれば、軽量化が図られ、防水更新においても余分な費用がかからずより確実な防水が可能な、配管用固定型支持脚を提供できるため、配管用固定型支持脚として有利に利用される。
【符号の説明】
【0045】
10 配管用固定型支持脚、11 連結材、12 ボルト、13,20,24 横架材、14 切欠き孔、15,16 ナット、17 貫通孔、28 雌ねじ型アンカー、30 設置部、38 シール、40 雄ねじ型アンカーボルト、41,42 固定ねじ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8