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特許7179290展開式リフレクタ及び展開式リフレクタ用展開構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】展開式リフレクタ及び展開式リフレクタ用展開構造物
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/08 20060101AFI20221121BHJP
   B64G 1/22 20060101ALI20221121BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20221121BHJP
   H01Q 15/20 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H01Q1/08
B64G1/22 100C
B64G1/66 C
H01Q15/20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018239922
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2019195151
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2018088076
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512308340
【氏名又は名称】株式会社テクノソルバ
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中村 和行
(72)【発明者】
【氏名】中村 信子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 悟
(72)【発明者】
【氏名】西 顕太郎
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-220096(JP,A)
【文献】特開2001-036334(JP,A)
【文献】特開平10-200329(JP,A)
【文献】特開平01-252007(JP,A)
【文献】特開昭60-113503(JP,A)
【文献】特開平02-133300(JP,A)
【文献】特開2008-100652(JP,A)
【文献】特開2014-171091(JP,A)
【文献】特開平11-112228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102796(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0101172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/20
H01Q 1/08
B64G 1/22
B64G 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準軸と、
前記基準軸の周囲に展開可能に構成されており、展開状態において凹面状の支持面を一方の面側に形成する支持構造部と、
前記支持構造部の前記支持面に支持され、前記支持面に沿ったリフレクタ面を形成するリフレクタ部と、
を備え、
前記支持構造部は、
前記基準軸を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体と、
隣り合う前記メイン支持体どうしの間に架設されているサブ支持体と、
を含んで構成されており、
前記複数のメイン支持体の少なくとも1つは、前記基準軸に軸支されており、隣の前記メイン支持体との間の角度が前記基準軸を軸中心として開閉可能となっており、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体と、当該メイン支持体の隣の前記メイン支持体との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体が前記基準軸を中心とする周方向に展開して複数のファセットを画定する格子構造となり、
展開状態において、前記複数のメイン支持体と、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体と、により前記支持面が形成される展開式リフレクタ。
【請求項2】
前記複数のメイン支持体の各々は、前記基準軸に対して平行な面状に形成されている請求項1に記載の展開式リフレクタ。
【請求項3】
前記複数のメイン支持体の各々は、薄板状に形成されている請求項2に記載の展開式リフレクタ。
【請求項4】
前記サブ支持体は、前記格子構造を形成する複数の支持要素を備えて構成されており、
前記支持要素の各々は前記基準軸に対して平行な面状に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項5】
前記支持要素の曲げ剛性よりも前記メイン支持体の曲げ剛性の方が大きい請求項4に記載の展開式リフレクタ。
【請求項6】
前記複数の支持要素は、格子状に交差しており、前記支持要素どうしの交差部は、前記支持要素どうしを相互に揺動可能とさせる揺動部となっている請求項4又は5に記載の展開式リフレクタ。
【請求項7】
前記支持要素どうしが部分的に接合されている接合部を有し、
前記接合部が、前記支持要素どうしを相互に揺動可能とさせる揺動部となっている請求項4又は5に記載の展開式リフレクタ。
【請求項8】
前記複数の支持要素の各々は、薄板状に形成されている請求項4から7のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項9】
前記複数の支持要素の各々は、薄板状に形成されており、
互いに交差する前記支持要素は、各々の対応箇所に形成されたスリットに他方が差し込まれることで互いに係合しており、且つ、この係合箇所が前記揺動部となっている請求項6に記載の展開式リフレクタ。
【請求項10】
前記支持構造部の前記一方の面側における前記複数の支持要素の各々の縁辺は、前記リフレクタ部を支持可能な線状の第1支持部となっている請求項4から9のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項11】
前記支持構造部の前記一方の面側における前記複数のメイン支持体の各々の縁辺は、前記リフレクタ部を支持可能な線状の第2支持部となっている請求項1から10のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項12】
前記複数のファセットの過半数は、前記放射方向に長尺な形状である請求項1から11のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項13】
前記複数のファセットの過半数は、前記放射方向に長尺な菱形である請求項12に記載の展開式リフレクタ。
【請求項14】
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体の数が2つ以上であり、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体のうちの少なくとも1つは、回転駆動される駆動支持体であり、
当該展開式リフレクタは、更に、前記基準軸を回転中心として前記駆動支持体を周方向に回転させることによって前記支持構造部を展開状態にする回転動力付与機構を備えている請求項1から13のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項15】
互いに隣り合うメイン支持体どうしを相互に連結しているとともに、これらメイン支持体どうしを互いに離間させる方向に弾性的に付勢する付勢部を備えている請求項1から13のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
【請求項16】
基準軸と、
前記基準軸を基準として展開可能に構成されており、展開状態において一方の面側に凹面状の支持面を形成する支持構造部と、
を備え、
展開式リフレクタのリフレクタ面を形成するリフレクタ部を前記支持面によって支持する展開式リフレクタ用の展開構造物であって、
前記支持構造部は、
前記基準軸を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体と、
隣り合う前記メイン支持体どうしの間に架設されているサブ支持体と、
を含んで構成されており、
前記複数のメイン支持体の少なくとも1つは、前記基準軸に軸支されており、隣の前記メイン支持体との間の角度が前記基準軸を軸中心として開閉可能となっており、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体と、当該メイン支持体の隣の前記メイン支持体との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体が前記基準軸を中心とする周方向に展開して複数のファセットを画定する格子構造となり、
展開状態において、前記複数のメイン支持体と、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体と、により前記支持面が形成される展開式リフレクタ用展開構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開式リフレクタ及び展開式リフレクタ用展開構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙空間で用いられるアンテナ用などのリフレクタとしては、折り畳まれた状態で宇宙空間に運搬された後、宇宙空間において展開される、展開式リフレクタがある。
【0003】
特許文献1には、折り畳み中心軸の周囲に放射状に複数配置された平面トラスを有し、折り畳み中心軸を中心にして折り畳み傘のようにして折り畳み及び展開が可能な展開アンテナについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-112228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、アンテナの展開動作の終了位置の誤差に起因して、鏡面(リフレクタ面)の形状に大きな誤差が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、展開動作の終了位置の誤差に起因するリフレクタ面の形状の誤差を抑制することが可能な構造の展開式リフレクタ、及び、展開式リフレクタ用展開構造物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、基準軸と、
前記基準軸の周囲に展開可能に構成されており、展開状態において凹面状の支持面を一方の面側に形成する支持構造部と、
前記支持構造部の前記支持面に支持され、前記支持面に沿ったリフレクタ面を形成するリフレクタ部と、
を備え、
前記支持構造部は、
前記基準軸を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体と、
隣り合う前記メイン支持体どうしの間に架設されているサブ支持体と、
を含んで構成されており、
前記複数のメイン支持体の少なくとも1つは、前記基準軸に軸支されており、隣の前記メイン支持体との間の角度が前記基準軸を軸中心として開閉可能となっており、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体と、当該メイン支持体の隣の前記メイン支持体との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体が前記基準軸を中心とする周方向に展開して複数のファセットを画定する格子構造となり、
展開状態において、前記複数のメイン支持体と、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体と、により前記支持面が形成される展開式リフレクタが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、基準軸と、
前記基準軸を基準として展開可能に構成されており、展開状態において一方の面側に凹面状の支持面を形成する支持構造部と、
を備え、
展開式リフレクタのリフレクタ面を形成するリフレクタ部を前記支持面によって支持する展開式リフレクタ用の展開構造物であって、
前記支持構造部は、
前記基準軸を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体と、
隣り合う前記メイン支持体どうしの間に架設されているサブ支持体と、
を含んで構成されており、
前記複数のメイン支持体の少なくとも1つは、前記基準軸に軸支されており、隣の前記メイン支持体との間の角度が前記基準軸を軸中心として開閉可能となっており、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体と、当該メイン支持体の隣の前記メイン支持体との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体が前記基準軸を中心とする周方向に展開して複数のファセットを画定する格子構造となり、
展開状態において、前記複数のメイン支持体と、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体と、により前記支持面が形成される展開式リフレクタ用展開構造物が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持構造部が基準軸を中心とする周方向に展開することでリフレクタ面が形成されるため、展開動作の終了位置の誤差に起因するリフレクタ面の形状の誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る展開式リフレクタの斜視図であり、展開状態を示す。
図2】実施形態に係る展開式リフレクタの平面図であり、展開状態を示す。
図3】実施形態に係る展開式リフレクタの平面図であり、収納状態(折り畳み状態)を示す。
図4】実施形態に係る展開式リフレクタの斜視図であり、収納状態(折り畳み状態)を示す。
図5】実施形態に係る展開式リフレクタの単位モジュールの平面図であり、展開状態を示す。
図6】実施形態に係る展開式リフレクタの単位モジュールの平面図であり、収納状態(折り畳み状態)を示す。
図7】実施形態に係る展開式リフレクタの単位モジュールの斜視図であり、展開状態を示す。
図8】実施形態に係る展開式リフレクタの単位モジュールの斜視図であり、収納状態(折り畳み状態)を示す。
図9図9(a)及び図9(b)は実施形態に係る展開式リフレクタを構成するメイン支持体と支持要素との連結構造を説明するための図であり、このうち図9(a)は分解斜視図、図9(b)は連結状態の斜視図である。
図10】実施形態に係る展開式リフレクタを構成するメイン支持体と支持要素との連結構造並びに支持要素どうしの連結構造を説明するための図であり、このうち図10(a)は分解斜視図、図10(b)は連結状態の斜視図である。
図11】実施形態に係る展開式リフレクタを構成する支持要素どうしの連結構造を説明するための平面図である。
図12図2のA-A線に沿った断面図である。
図13図13(a)及び図13(b)は支持要素に対するメッシュ(リフレクタ部)の固定構造を説明するための図であり、このうち図13(a)は支持要素及びメッシュを支持要素の板面の長手方向に視た図、図13(b)は斜視図である。
図14】実施形態に係る展開式リフレクタの展開動作を説明するための図である。
図15図15(a)及び図15(b)は展開式リフレクタを構成する支持要素どうしの連結構造の変形例を説明するための図であり、このうち図15(a)は平面図、図15(b)は支持要素の斜視図である。
図16図16(a)は単位モジュールにおける支持要素の配置の変形例1を示す模式的な平面図であり、図16(b)は単位モジュールにおける支持要素の配置の変形例2を示す模式的な平面図である。
図17図17(a)及び図17(b)は展開機構の変形例1を説明するための模式的な平面図であり、このうち図17(a)は収納状態(折り畳み状態)を示し、図17(b)は展開状態を示す。
図18図18(a)及び図18(b)は展開機構の変形例2を説明するための模式的な平面図であり、このうち図18(a)は収納状態(折り畳み状態)を示し、図18(b)は展開状態を示す。
図19】展開機構の変形例3を説明するための模式的な平面図である(全体図)。
図20図20(a)及び図20(b)の各々は展開機構の変形例3を説明するための模式的な部分図であり、このうち図20(a)は平面図、図20(b)は斜視図である。
図21図21(a)及び図21(b)の各々は展開機構の変形例4を説明するための模式的な部分図であり、このうち図21(a)は平面図、図21(b)は斜視図である。
図22図22(a)は展開機構の変形例5を説明するための模式的な平面図(部分図)であり、図22(b)は展開機構の変形例6を説明するための模式的な平面図(部分図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0012】
本実施形態に係る展開式リフレクタ100は、基準軸11と、支持構造部12と、リフレクタ部50(図2図13(a)、図13(b))と、を備えている。リフレクタ部50は、図13(b)に示すように、金属線51により構成されたメッシュである。
支持構造部12は、基準軸11の周囲に展開可能に構成されている。支持構造部12は、展開状態において、凹面状の支持面13(図12参照)を、当該支持構造部12の一方の面側に形成する。
図2においては、展開状態におけるリフレクタ部50の外形線52を示している。リフレクタ部50は、支持構造部12の支持面13のほぼ全域を覆っている。また、図13(a)及び図13(b)の各々には、リフレクタ部50の一部分のみを示している。
リフレクタ部50は、支持構造部12の支持面13に支持され、支持面13に沿ったリフレクタ面を形成する。
基準軸11は、直線状の棒状に形成されている。
支持構造部12は、基準軸11を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体20と、隣り合うメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30と、を含んで構成されている。
複数のメイン支持体20の少なくとも1つは、基準軸11に軸支されており、隣のメイン支持体20との間の角度が基準軸11を軸中心として開閉可能となっている。
基準軸11に軸支されているメイン支持体20と、当該メイン支持体20の隣のメイン支持体20との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30が基準軸11を中心とする周方向に展開する。これにより、サブ支持体30は、複数のファセット37(図2図15)を画定する格子構造となる。
展開状態において、複数のメイン支持体20と、これらメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30と、により支持面13が形成される。
【0013】
また、本実施形態に係る展開式リフレクタ用展開構造物80は、本実施形態に係る展開式リフレクタ100からリフレクタ部50を除いたものである。
すなわち、本実施形態に係る展開式リフレクタ用展開構造物80は、基準軸11と、基準軸11を基準として展開可能に構成されており展開状態において一方の面側に凹面状の支持面13を形成する支持構造部12とを備え、展開式リフレクタ100のリフレクタ面を形成するリフレクタ部50を支持面13によって支持する展開式リフレクタ用の展開構造物であって、支持構造部12は、基準軸11を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体20と、隣り合うメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30とを含んで構成されており、複数のメイン支持体20の少なくとも1つは、基準軸11に軸支されており、隣のメイン支持体20との間の角度が基準軸11を軸中心として開閉可能となっている。
基準軸11に軸支されているメイン支持体20と、当該メイン支持体20の隣のメイン支持体20との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30が基準軸11を中心とする周方向に展開して複数のファセット37を画定する格子構造となり、展開状態において、複数のメイン支持体20と、これらメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30と、により支持面13が形成される。
展開式リフレクタ用展開構造物80は、リフレクタ部50を支持する骨組である、と言える。
【0014】
図1図3図8図12、及び、図14図16では、リフレクタ部50の図示を省略している。
本明細書においては、便宜的に、支持構造部12の表裏の面のうち、支持面13が位置する側を上といい、その反対側を下という場合がある。この便宜的な上下方向は、展開式リフレクタ100を製造または使用する際における上下方向とは必ずしも一致しない。また、基準軸11を中心とする放射方向のことを、径方向と称する場合がある。
【0015】
展開式リフレクタ100は、例えば、宇宙空間で展開されて、電波を送信又は受信するための電波の反射に用いられるものである。
展開式リフレクタ100は、例えば、SAR(SAR:Synthetic Aperture Radar)、合成開口レーダー、又は通信用の送信又は受信アンテナなどとして用いることができる。
なお、展開式リフレクタ100を使用する場所は、宇宙空間に限らず、例えば、地上や成層圏などであってもよい。
【0016】
本実施形態の場合、図4等に示すように、複数のメイン支持体20の各々は、基準軸11に対して平行な面状に形成されている。
より詳細には、本実施形態の場合、複数のメイン支持体20の各々は、薄板状に形成されている。
すなわち、複数のメイン支持体20の各々は、基準軸11を中心とする放射方向に長尺で基準軸11に対して平行な薄板状に形成されている。
メイン支持体20どうしは、平面視(基準軸11の軸方向に支持構造部12を視たとき)において、概ね回転対称な配置とされている。支持面13は、例えば、平面視略円形である。
ただし、本実施形態の場合、支持面13は、オフセットパラボラ面である。また、基準軸11を中心とする放射方向におけるメイン支持体20の長さは、例えば互いに若干異なっている(図3参照)。
【0017】
支持構造部12が備えるメイン支持体20の数は、特に限定されないが、本実施形態の場合、支持構造部12は、例えば、13個のメイン支持体20を備えている。
このうち、1つのメイン支持体20(後述する固定支持体20b)は、後述するブーム61に固定されている。
また、固定支持体20bに対して一方側に隣接する他の1つのメイン支持体20(後述する駆動支持体20a)は、展開状態において、固定支持体20bと面接触する状態となる(図2参照)。駆動支持体20aと固定支持体20bと間には、サブ支持体30が架設されていない。
複数のメイン支持体20のうち、駆動支持体20a及び固定支持体20b以外の11個のメイン支持体20は、従動支持体20cと称する。
隣り合う従動支持体20cどうしの間、固定支持体20bに対して隣接する従動支持体20cと固定支持体20bとの間、駆動支持体20aに対して隣接する従動支持体20cと駆動支持体20aとの間には、それぞれサブ支持体30が架設されている。
従って、本実施形態の場合、支持構造部12は、合計12個のサブ支持体30を備えている(図1図2)。
【0018】
支持構造部12において、隣り合う一対のメイン支持体20間の部分を、単位モジュール15と称する場合がある。隣り合う単位モジュール15は、それらの境界に位置するメイン支持体20を共有している。なお、駆動支持体20aと固定支持体20bとの間には単位モジュール15が存在していない。
本実施形態の場合、支持構造部12は、12個の単位モジュール15により構成されている。
【0019】
ここで、メイン支持体20は、より詳細には、例えば、図7及び図8に示すように、平板状の板状部21と、板状部21に固定されている第1支持アーム25及び第2支持アーム26と、を備えて構成されている。
板状部21は、基準軸11を中心とする放射方向に長尺で基準軸11に対して平行な薄板状に形成されている。
第1支持アーム25及び第2支持アーム26の各々は放射方向に長尺に形成されている。第1支持アーム25及び第2支持アーム26の各々は、例えば、板面が上下を向く平板状の部材であり、且つ、径方向外側に向けて次第に先細になっている。すなわち、基準軸11を中心とする周方向における第1支持アーム25及び第2支持アーム26の寸法が、径方向外側に向けて縮小している。
【0020】
第1支持アーム25及び第2支持アーム26は、基準軸11に軸支されている。
すなわち、第1支持アーム25の一端部には、挿通孔25aが形成されており、この挿通孔25aに基準軸11が挿通されることによって、第1支持アーム25は基準軸11の軸周りに回転可能に軸支されている。
同様に、第2支持アーム26の一端部には、挿通孔26aが形成されており、この挿通孔26aに基準軸11が挿通されることによって、第2支持アーム26は基準軸11の軸周りに回転可能に軸支されている。
なお、固定支持体20bの第1支持アーム25及び第2支持アーム26は、基準軸11に対して固定されていてもよいし、基準軸11に軸支されていてもよい。すなわち、固定支持体20bは、基準軸11に軸支されておらず基準軸11に固定されていてもよいし、基準軸11に軸支されていてもよい。
【0021】
第1支持アーム25の他端部すなわち先端部25b、及び、第2支持アーム26の他端部すなわち先端部26bは、板状部21における径方向内側の端部に固定されている。
板状部21は、例えば、径方向内側に延出している2つ又は3つの延出部を有している。
一例として、固定支持体20b及び従動支持体20cの各々の板状部21は、当該板状部21の径方向内側の端部における下部に位置する第1延出部22と、当該板状部21の径方向内側の端部における上部に位置する第2延出部23と、当該板状部21の径方向内側の端部における上端部に位置する第3延出部24と、の3つの延出部を有する。
また、駆動支持体20aの板状部21は、当該板状部21の径方向内側の端部における下部に位置する第1延出部22と、当該板状部21の径方向内側の端部における上端部に位置する第2延出部23と、の2つの延出部を有しており、第3延出部24は有していない。
各メイン支持体20において、第2支持アーム26は第1支持アーム25の上側に離間して配置されている。
第1支持アーム25の先端部25bは、板状部21の第1延出部22に固定されており、第2支持アーム26の先端部26bは、板状部21の第2延出部23に固定されている。これにより、板状部21は、上下一対の支持アーム(第1支持アーム25、第2支持アーム26)を介して基準軸11に軸支されている。すなわち、板状部21、第1支持アーム25及び第2支持アーム26を含むメイン支持体20が、基準軸11に軸支されている。ただし、固定支持体20bの第1支持アーム25及び第2支持アーム26については、上記のように、基準軸11に固定されていてもよく、従って、固定支持体20bは基準軸11に固定されていてもよい。
各メイン支持体20において、第1延出部22が配置されている高さ位置と第2延出部23が配置されている高さ位置との高低差は、第1支持アーム25が配置されている高さ位置と第2支持アーム26が配置されている高さ位置との高低差と等しくなっている。
【0022】
ここで、互いに隣り合うメイン支持体20の第1支持アーム25どうしは、第1支持アーム25の厚み分だけ、互いに高さ位置が異なっている。
同様に、互いに隣り合うメイン支持体20の第2支持アーム26どうしは第2支持アーム26の厚み分だけ、互いに高さ位置が異なっている。
図4及び図8に示すように、第1支持アーム25どうしは互いに重ねて配置されているとともに、第2支持アーム26どうしは互いに重ねて配置されている。
また、複数の第1支持アーム25のうち最上位置の第1支持アーム25と、複数の第2支持アーム26のうち最下位置の第2支持アーム26とは互いに重ねて配置されている。
なお、サブ支持体30の折り畳み状態においても、サブ支持体30及びリフレクタ部50の嵩張りに応じて、互いに隣り合うメイン支持体20の第1支持アーム25どうしの回転位相、並びに、互いに隣り合うメイン支持体20の第2支持アーム26どうしの回転位相は、基準軸11の周方向において若干ずれている(図4参照)。
【0023】
ブーム61は、例えば、ブーム展開機構(不図示)を介して、宇宙機の構体(以下、宇宙機構体)に連結されている。
ブーム61は、一方向に長尺な棒状に形成されている。ブーム61は、基準軸11を中心とする放射方向に延在している。
上記のように、固定支持体20bはブーム61に固定されている。より詳細には、固定支持体20bの板状部21の下縁部が、ブーム61の長手方向に沿って固定されている(図4図12参照)。
支持構造部12が備える複数のメイン支持体20(本実施形態の場合、13個のメイン支持体20)のうち、少なくとも、固定支持体20bを除く12個のメイン支持体20は、基準軸11に軸支されており、基準軸11を中心軸として、ブーム61及び固定支持体20bに対して回転可能となっている。
基準軸11に軸支されている12個のメイン支持体20のうち、1個は駆動支持体20aであり、他の11個は従動支持体20cである。
【0024】
図3及び図4に示す折り畳み状態(収納状態)では、支持構造部12が備える複数のメイン支持体20は、周方向において互いに近接するとともに、周方向において互いに重なった状態となる。
図1及び図2に示す展開状態では、隣り合うメイン支持体20どうしの間の角度が開き(例えば、それぞれ30度に開き)、それに伴い、隣り合うメイン支持体20どうしの間に架設されているサブ支持体30が展開する。
展開状態では、サブ支持体30は、複数のファセット37を画定する形状(格子構造)となる。
【0025】
サブ支持体30は、格子構造を形成する複数の支持要素31を備えて構成されている。支持要素31の各々は、基準軸11に対して平行な面状に形成されている。
より詳細には、本実施形態の場合、複数の支持要素31の各々は、薄板状に形成されている。
【0026】
支持要素31の曲げ剛性よりもメイン支持体20の曲げ剛性の方が大きいことが好ましい。例えば、メイン支持体20と支持要素31とは互いに同様の材料により構成されており、メイン支持体20の板厚が、支持要素31の板厚よりも厚い。
支持要素31及びメイン支持体20の板状部21の材料は、特に限定されないが、支持要素31及び板状部21の各々は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)により構成することができる。
【0027】
複数の支持要素31は、格子状に交差している。展開状態においては、これら複数の支持要素31によりファセット37が形成されるようになっている。
本実施形態の場合、図5に示すように、サブ支持体30の複数の支持要素31により形成されるファセット37の形状は菱形である。なお、ファセット37には、複数の支持要素31により囲まれているファセット37と、複数の支持要素31とメイン支持体20とにより囲まれているファセット37とが含まれている。
【0028】
展開状態のサブ支持体30が画定する複数のファセット37の過半数は、基準軸11を中心とする放射方向に長尺な形状となっていることが好ましい。放射方向に長尺であるとは、ファセット37の面内において、放射方向におけるファセット37の寸法が、放射方向に対して直交する方向におけるファセット37の寸法よりも大きいことを意味する。
本実施形態の場合、複数のファセット37の過半数は、基準軸11を中心とする放射方向に長尺な菱形である。
より詳細には、本実施形態の場合、実質的にすべてのファセット37(支持構造部12の周縁部のファセット37を除くファセット37)が、基準軸11を中心とする放射方向に長尺な菱形である。
【0029】
本実施形態の場合、サブ支持体30は、当該サブ支持体30を間に挟む一対のメイン支持体20のうち、一方のメイン支持体20に対して平行に配置された複数の支持要素31(例えば、図5に示すように、7つの支持要素31)と、他方のメイン支持体20に対して平行に配置された複数の支持要素31(例えば、図5に示すように、7つの支持要素31)と、を備えている。
そして、一方のメイン支持体20に対して平行に配置された複数の支持要素31と、他方のメイン支持体20に対して平行に配置された複数の支持要素31と、が互いに交差している。このため、図5及び図7に示すように、展開状態において各ファセット37が菱形となる構造を容易に実現できる。
【0030】
ここで、張力を付与した状態のリフレクタ部50をファセット37に架設した状態でのリフレクタ部50の形状と、理想形状との誤差を解析(非線形解析)した結果について説明する。この解析は、リフレクタ部50の物性(弾性率、厚さ及び張力)も考慮して行った。
ファセットの形状が菱形の場合、狭い方の内角(以下、頂角と称する)がより小さいほど、誤差が小さくなることが分かった。
また、菱形の一辺の長さがより短くなるほど、誤差が小さくなることが分かった。
ファセットの形状が正方形(一辺の長さが300mm)の場合と、ファセットの形状が正三角形の場合(一辺の長さが300mm)とを比較すると、後者の方が誤差が小さくなることが分かった。
ファセットの形状が正三角形の場合(一辺の長さが300mm)と、ファセットの形状が菱形(一辺の長さが312.5mmで、頂角が45度)の場合とを比較すると、後者の方が誤差が小さくなることが分かった。
以上より、ファセットを菱形にすることが、張力を付与した状態のリフレクタ部50をファセット37に架設した状態でのリフレクタ部50の形状と、理想形状との誤差を低減する観点で好ましいことが分かる。
【0031】
上記のようにファセット37の過半数が放射方向に長尺であることにより、張力を付与した状態のリフレクタ部50をファセット37に架設した状態でのリフレクタ部50の形状と、理想形状との誤差を低減することができる。また、複数のファセット37の過半数が放射方向に長尺な菱形であることにより、この誤差をより一層低減することができる。
菱形のファセット37の頂角は、60度未満であることが好ましく、45度未満であることがより好ましい。
【0032】
本実施形態の場合、サブ支持体30の複数の支持要素31は、格子状に交差している。支持要素31どうしの交差部32(図5)は、互いに交差している支持要素31どうしを相互に揺動可能とさせる揺動部となっている。この揺動部の揺動軸は、基準軸11に対して平行である。本実施形態の場合、揺動部は、後述するように、支持要素どうし31が差し込み構造によって連結されることにより構成されたヒンジである。ただし、本発明は、この例に限らず、揺動部は、支持要素31自体の弾性変形で揺動する部分であってもよい。
サブ支持体30を間に挟む一対のメイン支持体20どうしの間の角度が開く際には、交差部32(揺動部)において、互いに交差している支持要素31どうしが揺動し、サブ支持体30が展開する。
逆に、サブ支持体30を間に挟む一対のメイン支持体20どうしの間の角度が閉じる際には、交差部32(揺動部)において、互いに交差している支持要素31どうしが揺動し、サブ支持体30が折り畳まれる。
【0033】
より詳細には、本実施形態の場合、支持要素31の一方の端部34(図5)は、メイン支持体20に連結されており、この連結部も揺動部となっている。この揺動部の揺動軸も、基準軸11に対して平行である。
サブ支持体30を間に挟む一対のメイン支持体20どうしの間の角度が開く際には、各支持要素31が一方の端部34の揺動部において、メイン支持体20に対して揺動し、サブ支持体30が展開する。
逆に、サブ支持体30を間に挟む一対のメイン支持体20どうしの間の角度が閉じる際には、各支持要素31が一方の端部34の揺動部において、メイン支持体20に対して揺動し、サブ支持体30が折り畳まれる。
【0034】
ここで、図9(a)から図10(b)を用いて、メイン支持体20と支持要素31との連結構造の一例、並びに、支持要素31どうしの連結構造の一例を説明する。
【0035】
例えば、図9(a)に示すように、各メイン支持体20の板状部21には、上向きに開いた複数のスリット21cが上下に直線状に形成されている。つまり、スリット21cの上端は、板状部21の上縁21aに達しており、スリット21cの下端は、板状部21の下縁21bには達していない。
これら複数のスリット21cは、例えば、放射方向(径方向)において等間隔に配置されている。一例として、各板状部21には、7つのスリット21cが形成されている。各スリット21cの上下寸法は、メイン支持体20と支持要素31との連結箇所における支持要素31の上下寸法と対応している。すなわち、径方向外側に位置するスリット21cほど、上下寸法が大きくなっている。
【0036】
また、例えば、隣り合うサブ支持体30の支持要素31は、互いに一体に形成されている。図9(a)に示すように、隣り合うサブ支持体30のうち一方のサブ支持体30を構成する支持要素31(支持要素31a)と、他方のサブ支持体30を構成する支持要素31(支持要素31b)と、が一体に形成されている。
これら支持要素31a、31bは、互いの境界線(各支持要素31a、31bの端部34)において、相互に折り曲げられており、この境界線を揺動軸として相互に揺動可能となっている。つまり、端部34が支持要素31aと支持要素31bとの間の揺動部となっている。
なお、支持要素31a、31bどうしを揺動可能とするためには、例えば、端部34において、支持要素31を構成する炭素繊維強化プラスチックの樹脂肉厚が局部的に薄くなっている構造、又は、局部的に炭素繊維が樹脂を含浸していない構造を採用することができる。
【0037】
以下、支持要素31aと支持要素31bとの集合体を、支持要素集合体310と称する。
支持要素集合体310は、平面視V字状の折れ曲がり形状の薄板である。
本実施形態の場合、図5に示すように、サブ支持体30を構成する支持要素31には、複数種類の長さ(例えば7種類の長さ)のものがある。板状部21において径方向内側の部分に連結されている支持要素31ほど長さが長く、板状部21において径方向外側の部分に連結されている支持要素31ほど長さが短い。
支持要素集合体310についても、支持要素31の長さの種類に応じて、複数種類の寸法のものが準備されている(図10(a)参照)。
【0038】
展開式リフレクタ100は、図9(a)及び図9(b)に示すように上向きに開いたスリット33を有する支持要素31と、図10(a)に示すように下向きに開いたスリット33を有する支持要素31と、を有している。つまり、展開式リフレクタ100は、上向きに開いたスリット33を有する支持要素集合体310と、下向きに開いたスリット33を有する支持要素集合体310と、を有する。
支持要素31のスリット33は、サブ支持体30における支持要素31どうしの交差部32と対応する位置に形成されている。より多くの支持要素31と交差する支持要素31には、より多くのスリット33が形成されている。
【0039】
先ず、図9(a)及び図9(b)に示すように、上向きに開いたスリット33を有する支持要素集合体310の中央部(支持要素31の端部34)を、メイン支持体20のスリット21cに差し込む。ここで、複数のメイン支持体20のうち、周方向における配置順序が奇数番目のメイン支持体20に対し、上向きに開いたスリット33を有する支持要素集合体310を差し込む。
【0040】
次に、図10(a)及び図10(b)に示すように、下向きに開いたスリット33を有する支持要素集合体310の中央部を、メイン支持体20のスリット21cに差し込む。ここで、複数のメイン支持体20のうち、周方向における配置順序が偶数番目のメイン支持体20に対し、下向きに開いたスリット33を有する支持要素集合体310を差し込む。
この際に、互いに交差する支持要素31については、各支持要素31のスリット33に対し、他方を差し込む。これにより、支持要素31どうしの交差部32(本実施形態の場合、ヒンジである揺動部)が形成される。
なお、固定支持体20bと駆動支持体20aに対しては、それぞれ支持要素31の端部34を揺動可能に連結する。
【0041】
このように、本実施形態の場合、複数の支持要素31の各々は薄板状に形成されており、互いに交差する支持要素31は、各々の対応箇所に形成されたスリット33に他方が差し込まれることで互いに係合しており、且つ、この係合箇所が揺動部(本実施形態ではヒンジ)となっている。
このため、簡易な構造によって、支持要素31どうしを連結することができるとともに、支持要素31どうしが揺動する構成を実現できる。
【0042】
また、本実施形態の場合、隣り合うサブ支持体30間で、支持要素集合体310を共用する構造となっている。このため、サブ支持体30どうしの一体性が高い構造を実現できる。
【0043】
例えば、図11に示すように、互いに交差する支持要素31には、交差部32を跨いで、カプトンテープ(登録商標)などの可撓性の粘着テープ91が貼り付けられている。
この構成により、揺動部の動作の自由度は確保しつつ、互いに交差する支持要素31が互いのスリット33から脱落することを抑制できる。
または、互いに交差する支持要素31は、支持要素31と同様の材料により構成されているシートが、交差部32を跨いで接着されていてもよい。すなわち、交差部32は、ダブラ構造にして補強されていてもよい。
【0044】
支持面13は、メイン支持体20の板状部21の上縁21aと、支持要素31の上縁35と、によって構成されている。
本実施形態の場合、展開状態でも複数のメイン支持体20の板状部21の上縁21aと各サブ支持体30の複数の支持要素31の上縁35とを含む仮想的な1個の凹曲面が、支持面13である(図1図12参照)。ただし、支持面13の形状は、多面体の表面の一部分(格子面)であってもよい。
【0045】
ここで、各メイン支持体20の板状部21は、先端側(径方向外側)に向けて、当該板状部21の上下寸法が徐々に大きくなっている。より詳細には、図12に示すように、板状部21の下縁21bは、基準軸11に対して直交する直線状に延在しているのに対し、板状部21の上縁21aは、先端側に向けて徐々に上向きに湾曲している。
同様に、各支持要素31は、基準軸11から遠ざかるにつれて、当該支持要素31の上下寸法が徐々に大きくなっている。より詳細には、支持要素31の下縁36は、複数のメイン支持体20の板状部21の上縁21aを含む平面に対して平行に延在している。これに対し、支持要素31の上縁35は、基準軸11から遠ざかるにつれて、徐々に上向きに湾曲している。
これにより、滑らかな凹曲面である支持面13を実現できるようになっている。
なお、板状部21の上下寸法、すなわちメイン支持体20の上下寸法(基準軸11の軸方向に対して平行な方向における板状部21及びメイン支持体20の寸法)は、支持要素31の上下寸法(基準軸11の軸方向に対して平行な方向における支持要素31の寸法)よりも大きい。つまり、各支持要素31の下縁36は、複数のメイン支持体20の板状部21の下縁21bを含む平面よりも上方に位置している。
換言すれば、サブ支持体30は、メイン支持体20の上部(支持面13側の部分)に設けられている。
【0046】
図13(b)に示すように、リフレクタ部50は、複数の金属線51を目が細かいメッシュ状に編むことによって構成されている。
リフレクタ部50を構成する金属線51は、支持要素31の上縁35及びメイン支持体20の板状部21の上縁21aに固定される。図13(b)には、金属線51を支持要素31の上縁35に固定した状態を示す。
金属線51を固定する方法は、特に限定されないが、例えば、リフレクタ部50を支持面13に沿って配置した状態で、図13(a)に示すように、比較的柔らかい接着剤92を支持面13の下側から上縁35又は上縁21aと金属線51との接合箇所にポッティングすることによって接着固定することが挙げられる。
なお、リフレクタ部50を支持面13に沿って配置するためには、例えば、支持面13と嵌合する形状の凸面を有するマンドレル(不図示)に沿う形状となるようにリフレクタ部50を引き延ばした状態(リフレクタ部50に張力を付与した状態)で、展開状態の支持構造部12の支持面13を、リフレクタ部50を介してマンドレルの凸面と突き合わせる。
リフレクタ部50の外形線52を図2に示すように、リフレクタ部50は、展開状態において支持構造部12のほぼ全域を覆うように設けられている。
展開状態において、リフレクタ部50は、支持面13に沿った形状となる。すなわち、リフレクタ部50は、展開状態においてオフセットパラボラ面に沿った形状に湾曲するように、支持構造部12に固定されている。
例えば、リフレクタ部50を支持構造部12に固定した後で、リフレクタ部50からマンドレルを引き離すことで、リフレクタ部50の張力により支持構造部12が若干湾曲する。支持構造部12がリフレクタ部50の張力により湾曲した状態において、支持面13及びリフレクタ部50が理想形状となるように、マンドレルの凸面の形状は、支持面13及びリフレクタ部50の理想形状と対応する形状とは若干異なる形状となっていてもよい。
或いは、リフレクタ部50の張力が小さい場合には、マンドレルの凸面の形状は、支持面13及びリフレクタ部50の理想形状と対応する形状であってもよい。
【0047】
ここで、支持構造部12の一方の面側(上側)における複数の支持要素31の各々の縁辺(上縁35)は、リフレクタ部50を支持可能な線状の第1支持部となっている。すなわち、第1支持部は、複数の支持要素31の各々の上縁35に連続して配置されている。このため、リフレクタ部50を支持要素31によって高い位置精度で且つ高い自由度で支持することができる。
【0048】
また、支持構造部12の一方の面側(上側)における複数のメイン支持体20の各々の縁辺(板状部21の上縁21a)は、リフレクタ部50を支持可能な線状の第2支持部となっている。すなわち、第2支持部は、複数のメイン支持体20の上縁21aに連続して配置されている。このため、リフレクタ部50をメイン支持体20によって高い位置精度で且つ高い自由度で支持することができる。
【0049】
上記のように、複数のメイン支持体20のうちの1つは、駆動支持体20aとなっている。駆動支持体20aは、以下に説明する回転動力付与機構70によって、基準軸11を回転軸として回転駆動される。駆動支持体20aが回転駆動されることによって、展開式リフレクタ100が折り畳み状態(収納状態)(図3図4図12)(単位モジュール15については図6図8)から展開状態(図1図2図5)(単位モジュール15については図7)に変形する。
【0050】
図12に示すように、回転動力付与機構70は、一例として、ブーム61に固定されているモータ71と、基準軸11内に挿通されているドライブシャフト(不図示)に対してモータ71の回転動力を伝達する駆動伝達機構72と、を備えて構成されている。
モータ71の出力軸がブーム61に対して平行に配置されている場合、駆動伝達機構72は、例えば、互いに噛み合っている一対のかさ歯車を有していることなどによって、出力軸の回転を、当該回転に対して直交する方向の回転に変換して、ドライブシャフトに伝達できるように構成されている。
駆動伝達機構72は、モータ71の出力軸からドライブシャフトに回転動力を伝達する過程で回転速度を低速にする減速機を備えていてもよい。
回転動力付与機構70は、モータ71に電力を供給する図示しない電源を備えていてもよいし、宇宙機構体からケーブルを介してモータ71に電力が供給されるようになっていてもよい。
【0051】
展開式リフレクタ100を折り畳み状態(収納状態)から展開状態に変形させるには、回転動力付与機構70によって、基準軸11を回転中心として駆動支持体20aを周方向に回転させる。すなわち、駆動支持体20aを図14において反時計回りに回転させる。なお、図14において、基準軸11を中心とする反時計回りの方向を、回転方向と称し、その反対方向(時計回りの方向)を回転方向後方と称する。
【0052】
回転動力付与機構70によって駆動支持体20aを回転させることによって、先ず、駆動支持体20aと、当該駆動支持体20aに対して回転方向後方側に隣接する従動支持体20cと、の間の角度が徐々に開く。これに伴い、これら駆動支持体20a及び従動支持体20cの間のサブ支持体30が徐々に展開する。
【0053】
図14に示す状態は、駆動支持体20aと、当該駆動支持体20aに対して回転方向後方側に隣接する従動支持体20cと、の間のサブ支持体30の展開が完了した状態である。この状態では、駆動支持体20aと、当該駆動支持体20aに対して回転方向後方側に隣接する従動支持体20cと、の間の角度は30度となっている。
例えば、引き続き駆動支持体20aが回転駆動されることによって、順次、回転方向後方側のサブ支持体30が展開するようになっている。そのような動作を実現するため、例えば、メイン支持体20どうしが連結(常時連結とは限らない)されているか、又は、ドライブシャフトとメイン支持体20とが係合している。
展開動作の結果、展開式リフレクタ100は図2に示すような展開状態となる。
展開状態では、例えば、駆動支持体20aと固定支持体20bとが面接触する状態となる。
なお、展開状態となった後、モータ71の駆動が停止する。
【0054】
展開式リフレクタ100は、収納状態(折り畳み状態)では、図3に示すように平面形状が扇形とであり、展開状態では、図2に示すように平面形状が略円形になる。
本実施形態の場合、展開式リフレクタ100の展開動作において、各メイン支持体20の回転軸が共通の基準軸11である(つまり回転軸が1つである)。このため、展開動作の誤差(バラツキ)を抑制できるため、容易に、高精度の形状の支持面13を形成することができる。
また、展開動作自体がシンプルなため、駆動伝達機構72として簡易な構成を採用することができる。
【0055】
一例として、基準軸11は、筒状に形成されており、基準軸11内には、棒状のドライブシャフトが挿通されている。ドライブシャフトは、基準軸11を貫通して配置されている。
基準軸11の一端(下端)の外部(下側)において、ドライブシャフトの一端部(下端部)には、下側固定部材42が固定されている。
回転動力付与機構70は、例えば、下側固定部材42を回転させることによって、ドライブシャフトを基準軸11の軸中心を中心として軸回転させる。
また、基準軸11の他端(上端)の外部(上側)において、ドライブシャフトの他端部(上端部)には、上側固定部材43が固定されている。
上側固定部材43は、駆動支持体20aの第2支持アーム26の上面に配置されている。上側固定部材43には、駆動支持体20aの第2支持アーム26が固定されている。
【0056】
例えば、各メイン支持体20の第2支持アーム26は、上下に隣接して配置されている。
複数の第2支持アーム26の中では、駆動支持体20aの第2支持アーム26が最も上に配置されており、駆動支持体20aと隣接する従動支持体20cの第2支持アーム26が上から2番目に配置されている。以下、図2において時計回りの順に従って、各従動支持体20cの第2支持アーム26が上から順に配置されている。そして、固定支持体20bの第2支持アーム26が最も下に配置されている。
同様に、各メイン支持体20の第1支持アーム25は、上下に隣接して配置されている。
複数の第1支持アーム25の中では、駆動支持体20aの第1支持アーム25が最も上に配置されており、駆動支持体20aと隣接する従動支持体20cの第1支持アーム25が上から2番目に配置されている。以下、図2において時計回りの順に従って、各従動支持体20cの第1支持アーム25が上から順に配置されている。そして、固定支持体20bの第1支持アーム25が最も下に配置されている。
【0057】
このため、各メイン支持体20の第1支持アーム25と第2支持アーム26との上下間隔を互いに同等にできるため、各メイン支持体20を互いに同等の支持強度で基準軸11により支持させることができる。
【0058】
また、各メイン支持体20の第1支持アーム25が互いに段違いに配置されているとともに、各メイン支持体20の第2支持アーム26が互いに段違いに配置されている。また、複数のメイン支持体20の第1支持アーム25が配置されている領域と、複数のメイン支持体20の第2支持アーム26が配置されている領域とが、上下に分かれている。
このため、第1支持アーム25どうしが干渉せず、第2支持アーム26どうしが干渉せず、しかも、第1支持アーム25と第2支持アーム26とが干渉しないようになっている。
このため、展開式リフレクタ100の収納状態における寸法(扇形の角度)をコンパクトにすることができるとともに、展開動作をスムーズに行うことができるようになっている。
【0059】
このように、本実施形態に係る展開式リフレクタ100において、基準軸11に軸支されているメイン支持体20の数が2つ以上であり、基準軸11に軸支されているメイン支持体20のうちの少なくとも1つは、回転駆動される駆動支持体20aである。
当該展開式リフレクタ100は、更に、基準軸11を回転中心として駆動支持体20aを周方向に回転させることによって支持構造部12を展開状態にする回転動力付与機構70を備えている。
【0060】
なお、展開式リフレクタ100は、展開式リフレクタ100を展開状態に維持させるラッチ機構(不図示)を備えていてもよい。このラッチ機構は、例えば、展開動作の完了後において、駆動支持体20aと固定支持体20bとが相互に離間することを規制する。
また、展開動作のときとは逆方向に駆動支持体20aを周方向に回転させることによって、展開式リフレクタ100を展開状態から収納状態(折り畳み状態)に変形させることが可能であってもよい。また、必要により展開動作を途中で停止させ、展開式リフレクタ100を折り畳み、その後、展開動作をやり直すことが可能であってもよい。
【0061】
展開式リフレクタ100における板状部21及び支持要素31以外の各部の材料は、特に限定されないが、軽量で且つ十分な強度を確保できる材料であることが好ましく、一例として、炭素繊維強化プラスチックを用いてもよいし、金属材料を用いてもよい。
【0062】
以上のような実施形態によれば、支持構造部12が基準軸11を中心とする周方向(円周方向)に展開することでリフレクタ面が形成される。このため、特許文献1のようにアンテナの展開動作がアンテナの面直方向成分を持つ向きに行われる場合とは異なり、展開動作の終了位置の誤差に起因するリフレクタ面の形状の誤差を大幅に低減することができ、高精度のリフレクタ面を形成することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の場合、メイン支持体20の板状部21の上縁21aと、支持要素31の上縁35に対して直にリフレクタ部50の金属線51が固定されている。このため、本実施形態に係る展開式リフレクタ100は、一般的な展開式リフレクタで用いられるようなケーブルネットワークを備える必要がない。よって、ケーブルのカテナリ変形によるピロー変形への対策が不要となり、また、このピロー変形を低減するためにケーブルの張力を増大させることに起因する不具合も生じないようにできる。
【0064】
<支持要素どうしの連結構造の変形例>
次に、図15(a)及び図15(b)を用いて、サブ支持体30を構成する支持要素31どうしの連結構造の変形例を説明する。
図15(a)に示すように、本変形例の場合、支持要素31どうしが交差していない。サブ支持体30は、支持要素31どうしが部分的に接合(面接合)されている接合部38を有し、接合部38が揺動部となっている。
なお、図15(b)に示すように、支持要素31において、接合部38を形成する部分の両側には、それぞれ他部よりも柔軟に屈曲可能な屈曲部39が形成されていることが好ましい。
屈曲部39は、支持要素31を構成する炭素繊維強化プラスチックの樹脂肉厚が局部的に薄くなっている部分、又は、局部的に炭素繊維が樹脂を含浸していない部分とすることができる。
【0065】
<単位モジュールにおける支持要素の配置の変形例1>
次に、図16(a)を用いて、単位モジュール15における支持要素31の配置の変形例1を説明する。
本変形例の場合、単位モジュール15を構成するサブ支持体30は、周方向に延在する支持要素111を有している。より詳細には、支持要素111は、基準軸11を中心とする円周に対する接線方向に延在している。また、サブ支持体30は、複数の支持要素111を有しており、これら支持要素111は展開状態において互いに平行に延在するようになっている。支持要素111は、例えば、隣り合うメイン支持体20間に架設されている。ファセット37の形状は、それぞれ三角形状(例えば二等辺三角形状)となっている。
支持要素111の縁辺(上縁)は、支持要素31の縁辺(実施形態で説明した上縁35)及びメイン支持体20の縁辺(実施形態で説明した上縁21a)とともに、支持面13を構成し、リフレクタ部50を支持する。
支持要素111は、周方向において容易に伸縮可能となるように、支持要素31よりも更に柔軟に構成されている。
本変形例の場合、その他の構造については、上記の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
なお、サブ支持体30は、支持要素111のうち、最外周の支持要素111である支持要素112については、備えていないことも好ましい。ただし、上記の実施形態においても、支持要素112を備える構成を採用してもよい。
【0066】
<単位モジュールにおける支持要素の配置の変形例2>
次に、図16(b)を用いて、単位モジュール15における支持要素31の配置の変形例2を説明する。
本変形例の場合、単位モジュール15を構成するサブ支持体30は、単位モジュールにおける支持要素の配置の変形例1と同様に、周方向に延在する支持要素111を有する。
また、本変形例の場合、上記の実施形態及び変形例1(図16(a))とは異なり、支持要素31は、支持要素111に対して直交する方向に延在している。
本変形例の場合も、支持要素111の縁辺(上縁)は、支持要素31の縁辺(上縁35)及びメイン支持体20の縁辺(上縁21a)とともに、支持面13を構成し、リフレクタ部50を支持する。
本変形例の場合も、支持要素111は、周方向において容易に伸縮可能となるように、支持要素31よりも更に柔軟に構成されている。
本変形例の場合も、サブ支持体30は、支持要素111のうち、最外周の支持要素111である支持要素112については、備えていないことも好ましい。
【0067】
<展開機構の変形例1>
次に、図17(a)及び図17(b)を用いて、展開式リフレクタの展開機構の変形例1(多関節展開方式)を説明する。なお、図17(a)及び図17(b)において、サブ支持体30及びリフレクタ部50については図示を省略している。
本変形例に係る展開式リフレクタ100は、以下に説明する点で、上記の実施形態に係る展開式リフレクタ100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態に係る展開式リフレクタ100と同様に構成されている。
【0068】
本変形例の場合、展開式リフレクタ100は、各メイン支持体20を個別に支持する複数の相対回転部材121と、隣り合う相対回転部材121どうしを相互に回転可能に連結している連結ヒンジ122と、を備えている。
各相対回転部材121は、例えば、平面形状が台形状となっている。相対回転部材121は、図17(a)の紙面に対して直交する方向に厚みがある形状、すなわち、平断面形状が台形の立体形状に形成されている。
【0069】
図17(a)に示すように、収納状態においては、相対回転部材121は一列に並んで配置されており、各メイン支持体20は対向する相対回転部材121から一方向に突出している。収納状態において、メイン支持体20どうしは互いに平行に配置されている。
【0070】
隣り合う相対回転部材121は、台形状の上底と下底とのうち寸法が大きい方(以下、長辺と称する)の角部どうしが、連結ヒンジ122を介して相互に連結されている。
【0071】
展開式リフレクタ100は、更に、複数の相対回転部材121間に架け渡されているケーブル123と、このケーブル123を巻き取ることによって展開式リフレクタ100を図17(a)に示す展開状態に変形させるためのケーブル巻取機構124と、を備えている。
ケーブル123は、相対回転部材121の台形状の上底と下底とのうち寸法が小さい方(以下、短辺と称する)に沿って引き回されている。相対回転部材121の短辺には、例えば、図示しないリング部材が固定されており、ケーブル123は、各相対回転部材121のリング部材に順次に通されている。
より詳細には、展開式リフレクタ100は、例えば、2つ(又は2組)のケーブル123を有しており、一方のケーブル123は、中央の相対回転部材121と、図17(a)において当該中央の相対回転部材121の左側に配置されている他の6個の相対回転部材121のリング部材に順次に挿通されている。この6個の相対回転部材121のうち中央の相対回転部材121から最も遠い相対回転部材121のリング部材に対して、一方のケーブル123の先端が固定されている。
また、他方のケーブル123は、中央の相対回転部材121と、図17(a)において当該中央の相対回転部材121の右側に配置されている他の5個の相対回転部材121のリング部材に順次に挿通されている。この5個の相対回転部材121のうち中央の相対回転部材121から最も遠い相対回転部材121のリング部材に対して、他方のケーブル123の先端が固定されている。
なお、本変形例に係る展開式リフレクタ100は、上記の実施形態で説明した回転動力付与機構70を備えていない。
【0072】
ケーブル巻取機構124は、例えば、中央の相対回転部材121に設けられている。ケーブル巻取機構124は、2組のケーブル123を互いに同期させて巻き取るためのモータ125を有する。
モータ125を駆動させて2組のケーブル123を互いに同期させて巻き取ることにより、隣り合う相対回転部材121の、平面視において斜辺となる部分どうしが互いに近接する。これにより、図17(b)に示すように、展開式リフレクタ100が展開状態となる。
【0073】
本変形例の場合、図17(a)に示すように、展開式リフレクタ100の平面形状は、収納状態では長方形状となる。このため、打ち上げ時において、宇宙機構体による展開式リフレクタ100の保持を容易に行うことができる。
【0074】
<展開機構の変形例2>
次に、図18(a)及び図18(b)を用いて、展開式リフレクタの展開機構の変形例2(弾性ヒンジ展開方式)を説明する。なお、図18(a)及び図18(b)において、サブ支持体30及びリフレクタ部50については図示を省略している。
【0075】
本変形例に係る展開式リフレクタ100は、以下に説明する点で、図17(a)及び図17(b)に示す変形例1に係る展開式リフレクタ100と相違しており、その他の点では、変形例1に係る展開式リフレクタ100と同様に構成されている。
【0076】
本変形例の場合、展開式リフレクタ100は、図17(a)及び図17(b)に示すケーブル123、ケーブル巻取機構124(モータ125を含む)及び連結ヒンジ122を備えていない。
その代わりに、本変形例に係る展開式リフレクタ100は、弾性ヒンジ131及びラッチ機構134(モータ135を含む)を備えている。
【0077】
弾性ヒンジ131は、例えば、複数の相対回転部材121の長辺間に亘って連続的に配置されている。ただし、隣り合う相対回転部材121の長辺の端部どうしの間にのみ局部的に弾性ヒンジ131が架設されていてもよい。
弾性ヒンジ131は、図18(a)に示す展開式リフレクタ100の収納状態では、内部応力を有するひずみ状態となっており、図18(b)に示す展開状態では無ひずみ状態となる。
展開動作の際には、弾性ヒンジ131が有するバネの弾性エネルギにより、ある程度まで展開が可能である。展開式リフレクタ100は、最終的に展開式リフレクタ100を展開状態に維持させるためのラッチ機構134を備えている。ラッチ機構134は、当該ラッチ機構134を作動させるためのアクチュエータとしてのモータ135を備えている。
【0078】
本変形例の場合も、図18(a)に示すように、展開式リフレクタ100の平面形状は、収納状態では長方形状となる。このため、打ち上げ時において、宇宙機構体による展開式リフレクタ100の保持を容易に行うことができる。
また、本変形例の場合は、図17(a)及び図17(b)に示す変形例1とは異なり、相対回転部材121どうしの連結に連結ヒンジ122を用いないため、連結ヒンジ122におけるガタによる展開動作の誤差を排除することができ、より高精度の支持面13を形成することが可能である。
【0079】
<展開機構の変形例3>
次に、図19から図20(b)を用いて、展開式リフレクタの展開機構の変形例3を説明する。なお、図19から図20(b)において、サブ支持体30及びリフレクタ部50については図示を省略している。
本変形例に係る展開式リフレクタ100は、以下に説明する点で、上記の実施形態に係る展開式リフレクタ100と相違しており、その他の点では、上記の実施形態に係る展開式リフレクタ100と同様に構成されている。
【0080】
上記の実施形態では、モータ71を含む回転動力付与機構70の駆動力により展開式リフレクタ100の展開を行う例を説明したが、本変形例の場合、展開式リフレクタ100は、回転動力付与機構70を備えていない。
その代わりに、図19に示すように、本変形例の場合、展開式リフレクタ100は、互いに隣り合うメイン支持体20どうしを相互に連結しているとともに、これらメイン支持体20どうしを互いに離間させる方向に弾性的に付勢する付勢部150を備えている。換言すれば、隣り合うメイン支持体20どうしが、付勢部150を介して弾性的に結合されている。
付勢部150は、互いに隣り合うメイン支持台20どうしの間に配置されている。ただし、例えば、駆動支持体20aと固定支持体20bとの間には付勢部150は配置されていない。すなわち、例えば、図19に示すように、駆動支持体20aと当該駆動支持体20aの隣に位置する従動支持体20cとの間、固定支持体20bと当該固定支持体20bの隣に位置する従動支持体20cとの間、及び、互いに隣り合う従動支持体20cどうしの間に、それぞれ付勢部150が配置されている。
各付勢部150が、互いに隣り合うメイン支持体20どうしを互いに離間させる方向に付勢する力によって、展開式リフレクタ100が図19に示すような展開状態となる。
【0081】
図20(a)及び図20(b)に示すように、本変形例の場合、各付勢部150は、1枚の板バネ151により構成されており、板バネ151の弾性力によって、互いに隣り合うメイン支持体20どうしを互いに離間させる方向に付勢する。
各板バネ151の板面の各部は、基準軸11の軸方向に対して平行となっている。基準軸11の軸方向に視たときの各板バネ151の形状は、展開式リフレクタ100の径方向内側に向けて凸のV字形状に屈曲している。各板バネ151の両端部は、互いに隣り合うメイン支持体20の一方ずつに固定されている固定部152である。各板バネ151において両端部(一対の固定部152)を除く部分は、互いに隣り合うメイン支持体20どうしの間に架設されていて宙に浮いている架設部153である。主として架設部153が、互いに隣り合うメイン支持体20どうしを互いに離間させる方向に付勢する弾性力を発揮する。
【0082】
板バネ151の材料は、特に限定されないが、軽量化の観点で、炭素繊維強化プラスチックであることが好ましい。ただし、板バネ151は、金属など、その他の材料により構成されていてもよい。
板バネ151の固定部152をメイン支持体20に固定する方法は、特に限定されず、接着固定であってもよいし、ボルトなどの止着部材を用いた止着による固定であってもよい。
例えば、固定部152は、メイン支持体20の板状部21に対して面接合により固定されている。
【0083】
本変形例の場合、モータ等の動力によらず、付勢部150の弾性力によって、展開式リフレクタ100を展開することができる。
また、付勢部150を介して隣り合うメイン支持体20どうしが機械的に連結されているので、基準軸11の軸方向(つまり、ほぼリフレクタ部50の面直方向、すなわち反射鏡の面外方向)におけるメイン支持体20どうしの位置ずれを、付勢部150によって規制することができる。特に、本変形例の場合、付勢部150は、板バネ151により構成されているとともに、板バネ151の面方向が基準軸11の軸方向に対して平行となっているため、付勢部150によって、より良好に、反射鏡の面外方向におけるメイン支持体20どうしの位置ずれを規制することができる。
このため、例えば、基準軸11と第1支持アーム25及び第2支持アーム26との連結部に多少のガタ(遊び)が存在していても、展開式リフレクタ100の展開動作を高い位置精度で行うことができ、リフレクタ部50の形状をより理想的な形状に近づけることができる。つまり、リフレクタ部50をより精度良く所望の形状に展開することが可能となる。
【0084】
なお、上記のように、メイン支持体20の数が合計13個であり、展開状態において駆動支持体20aと固定支持体20bとが互いに面接触する場合、図19に示すように、展開式リフレクタ100が備える付勢部150の数は12であり、隣り合うメイン支持体20どうしの角度(駆動支持体20aと固定支持体20bとの間の角度を除く)は、例えば、それぞれ30度となる。この場合、板バネ151に外力が作用していない通常状態において、板バネ151のV字形状の開角度は、30度よりも大きい角度であることが好ましい。
つまり、各付勢部150の板バネ151の弾性力によって展開式リフレクタ100が展開した状態において、隣り合う付勢部150の板バネ151どうしが、これらの間に位置するメイン支持体20を介して互いに押し合っている状態となることが好ましい。
各付勢部150の板バネ151のバネ力は、互いに等しいことが好ましい。
本変形例の場合、展開式リフレクタ100の収納状態では、隣り合うメイン支持体20どうしが近接しているとともに、各板バネ151のV字形状の開角度が狭まっており、各板バネ151はばね力を蓄えた状態となっている。
【0085】
展開式リフレクタ100は、展開時において隣り合うメイン支持体20どうしの開角度を制御する展開制御機構(不図示)を備えていてもよい。この展開制御機構は、展開式リフレクタ100の周方向に反って各メイン支持体20間に架け渡されたケーブルと、このケーブルの繰り出し動作をモータ駆動により行う巻取機と、巻取機の動作制御を行う制御部と、を備えて構成されている。
この場合、展開制御機構が徐々にケーブルを繰り出すことによって、展開式リフレクタ100が各付勢部150の付勢力に従って徐々に展開する。本変形例の展開動作においては、例えば、各板バネ151のV字形状の開角度が均等に広がるため、各サブ支持体30が並列的に展開する。
【0086】
本変形例の場合も、展開式リフレクタ100は、展開動作が完了した状態で展開式リフレクタ100を展開状態に維持させるためのラッチ機構を備えていてもよい。ラッチ機構は、例えば、駆動支持体20aと固定支持体20bとを相互にロックすることで、展開式リフレクタ100を展開状態に維持させる。
【0087】
図19から図20(b)には、展開式リフレクタ100の径方向における中心部に付勢部150が配置されている例を示している。より詳細には、例えば、図20(b)に示すように、架設部153は、展開式リフレクタ100の径方向において、板状部21よりも中心寄りの位置に配置されていることも好ましい。展開式リフレクタ100の径方向における中心部に付勢部150が配置されていることによって、板バネ151の寸法をより小さくすることができる。
ただし、展開式リフレクタ100の径方向における付勢部150の配置は、特に限定されない。例えば、展開式リフレクタ100の径方向における中間部に付勢部150が配置されていてもよい。また、展開式リフレクタ100の径方向における外側の部分(展開式リフレクタ100の周縁部)に付勢部150が配置されていてもよい。すなわち、基準軸11を基端としたメイン支持体20の先端部に付勢部150が設けられていてもよい。
展開式リフレクタ100の周縁部に近い位置に付勢部150が配置されているほど、板バネ151の寸法が大きくなるが、基準軸11の軸方向におけるメイン支持体20どうしの位置ずれを付勢部150によって規制する効果が高まる。
展開式リフレクタ100の径方向において、複数の付勢部150の位置は、互いに等しくてもよいし、互いに異なる位置になっているなど、他とは異なる位置に配置されている付勢部150が存在していてもよい。
また、互いに隣り合うメイン支持体20どうしの間において、展開式リフレクタ100の径方向における複数箇所に付勢部150が設けられていてもよい。
【0088】
また、上下方向における付勢部150の配置も、特に限定されない。例えば、図20(b)に実線で示される付勢部150のように、メイン支持体20の上部に付勢部150が設けられていてもよいし、図20(b)に二点鎖線で示される付勢部150のように、メイン支持体20の下部に付勢部150が設けられていてもよい。また、上下方向における複数箇所にそれぞれ付勢部150が設けられていてもよい。すなわち、例えば、図20(b)に実線で示される付勢部150と図20(b)に二点鎖線で示される付勢部150との双方が設けられていてもよい。
ここで、上記のように、サブ支持体30は、メイン支持体20の上部(支持面13側の部分)に設けられている(図4図7参照)。このため、展開式リフレクタ100の径方向における中間部や外側の部分(展開式リフレクタ100の周縁部)に付勢部150を配置する場合は、付勢部150とサブ支持体30との干渉を避けるため、付勢部150をメイン支持体20の下部に設けることが好ましい。
【0089】
<展開機構の変形例4>
次に、図21(a)及び図21(b)を用いて、展開式リフレクタの展開機構の変形例4を説明する。なお、図21(a)及び図21(b)において、サブ支持体30及びリフレクタ部50については図示を省略している。
本変形例の場合、基準軸11の軸方向に視たときの各板バネ151の形状は、展開式リフレクタ100の径方向外側に向けて凸の形状に屈曲している。
本変形例に係る展開式リフレクタ100は、その他の点では、図19から図20(b)に示す変形例に係る展開式リフレクタ100と同様に構成されている。
本変形例の場合も、展開機構の変形例3と同様の効果が得られる。
【0090】
なお、板バネ151の屈曲の方向は、変形例3及び変形例4の向きに限らず、下に凸でもよいし、上に凸でもよいし、その他の向きに凸であってもよい。
【0091】
<展開機構の変形例5>
次に、図22(a)を用いて、展開式リフレクタの展開機構の変形例5を説明する。なお、図22(a)において、サブ支持体30及びリフレクタ部50については図示を省略している。
本変形例に係る展開式リフレクタ100は、以下に説明する点で、図19から図20(b)に示す変形例に係る展開式リフレクタ100と相違しており、その他の点では、図19から図20(b)に示す変形例に係る展開式リフレクタ100と同様に構成されている。
【0092】
本変形例の場合、付勢部150は、ブロック部155と、2枚の板バネ151と、を備えて構成されている。
ブロック部155は、基準軸11の軸方向に視たときの形状が台形状又は扇形形状の、ブロック状のものである。ブロック部155の材料は、特に限定されないが、例えば、炭素繊維強化プラスチックとすることができる。ブロック部155は、展開式リフレクタ100の径方向外側ほど、展開式リフレクタ100の周方向において当該ブロック部155の寸法が大きくなる向きで、配置されている。
本変形例の場合、各板バネ151は、当該板バネ151に外力が作用していない通常状態において平板状のものである。各板バネ151の一端部154の各々の一方の面は、ブロック部155の側面に固定されている。各板バネ151は、ブロック部155を基準として、展開式リフレクタ100の径方向外側に突出している。各板バネ151の他方の面は、互いに隣り合うメイン支持体20のうちの一方ずつの板状部21に対して面接合により固定されている。
【0093】
本変形例の場合、展開式リフレクタ100の収納状態では、図22(a)に二点鎖線で示されるように、一の付勢部150を構成する2つの板バネ151が、各々の弾性力に抗して屈曲している。すなわち、各板バネ151において、ブロック部155よりも展開式リフレクタ100の径方向外側に突出している部分どうしが、互いに近づく方向に、各板バネ151が屈曲しており、各板バネ151はばね力を蓄えた状態となっている。
展開式リフレクタ100の展開時には、各板バネ151が平板状の状態に復帰しようとするばね力によって、展開式リフレクタ100が展開する。
【0094】
<展開機構の変形例6>
次に、図22(b)を用いて、展開式リフレクタの展開機構の変形例6を説明する。なお、図22(b)において、サブ支持体30及びリフレクタ部50については図示を省略している。
本変形例に係る展開式リフレクタ100は、以下に説明する点で、図19から図20(b)に示す変形例に係る展開式リフレクタ100と相違しており、その他の点では、図19から図20(b)に示す変形例に係る展開式リフレクタ100と同様に構成されている。
【0095】
本変形例の場合、付勢部150は、一端部156どうしが互いに面接合により固定された一対の板バネ151により構成されている。
一対の板バネ151の各々の他端部は、互いに隣り合うメイン支持体20の一方ずつに固定されている固定部152である。固定部152は、メイン支持体20の板状部21に対して面接合により固定されている。
これら一対の板バネ151の各々は、外力が付与されていない自然状態において、他端部側(固定部152側)に向けて互いの距離が広がるように、弧状に湾曲した形状に形成されている。
本変形例の場合、展開式リフレクタ100の収納状態では、一対の板バネ151における一端部156以外の部分どうしが、互いに近接又は面接触する状態となる。このため、展開式リフレクタ100の収納状態において、展開式リフレクタ100をよりコンパクトにすることができる。
【0096】
以上、図面を参照して実施形態及び変形例を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0097】
例えば、上記においては、隣り合うサブ支持体30で支持要素集合体310を共用する例を説明したが、個々のサブ支持体30を構成する支持要素31どうしが完全に分離していてもよい。つまり、支持要素31aと支持要素31bとが互いに別体となっていてもよい。この場合、各支持要素31の端部34は、例えば、メイン支持体20の板状部21に対して揺動可能に取り付けられている。或いは、各支持要素31の端部34は、図示しないヒンジ機構を介して板状部21に対して連結されていてもよい。
【0098】
また、上記においては、メイン支持体20が薄板状である例を説明したが、メイン支持体20は枠体(トラス構造の枠体など)であってもよい。
また、上記においては、メイン支持体20が基準軸11に対して平行な面状に形成されている例を説明したが、メイン支持体20は棒状のものであってもよい。
また、上記においては、支持要素31が薄板状である例を説明したが、支持要素31は枠体(トラス構造の枠体など)であってもよい。
【0099】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)基準軸と、
前記基準軸の周囲に展開可能に構成されており、展開状態において凹面状の支持面を一方の面側に形成する支持構造部と、
前記支持構造部の前記支持面に支持され、前記支持面に沿ったリフレクタ面を形成するリフレクタ部と、
を備え、
前記支持構造部は、
前記基準軸を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体と、
隣り合う前記メイン支持体どうしの間に架設されているサブ支持体と、
を含んで構成されており、
前記複数のメイン支持体の少なくとも1つは、前記基準軸に軸支されており、隣の前記メイン支持体との間の角度が前記基準軸を軸中心として開閉可能となっており、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体と、当該メイン支持体の隣の前記メイン支持体との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体が前記基準軸を中心とする周方向に展開して複数のファセットを画定する格子構造となり、
展開状態において、前記複数のメイン支持体と、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体と、により前記支持面が形成される展開式リフレクタ。
(2)前記複数のメイン支持体の各々は、前記基準軸に対して平行な面状に形成されている(1)に記載の展開式リフレクタ。
(3)前記複数のメイン支持体の各々は、薄板状に形成されている(2)に記載の展開式リフレクタ。
(4)前記サブ支持体は、前記格子構造を形成する複数の支持要素を備えて構成されており、
前記支持要素の各々は前記基準軸に対して平行な面状に形成されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(5)前記支持要素の曲げ剛性よりも前記メイン支持体の曲げ剛性の方が大きい(4)に記載の展開式リフレクタ。
(6)前記複数の支持要素は、格子状に交差しており、前記支持要素どうしの交差部は、前記支持要素どうしを相互に揺動可能とさせる揺動部となっている(4)又は(5)に記載の展開式リフレクタ。
(7)前記支持要素どうしが部分的に接合されている接合部を有し、
前記接合部が、前記支持要素どうしを相互に揺動可能とさせる揺動部となっている(4)又は(5)に記載の展開式リフレクタ。
(8)前記複数の支持要素の各々は、薄板状に形成されている(4)から(7)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(9)前記複数の支持要素の各々は、薄板状に形成されており、
互いに交差する前記支持要素は、各々の対応箇所に形成されたスリットに他方が差し込まれることで互いに係合しており、且つ、この係合箇所が前記揺動部となっている(6)に記載の展開式リフレクタ。
(10)前記支持構造部の前記一方の面側における前記複数の支持要素の各々の縁辺は、前記リフレクタ部を支持可能な線状の第1支持部となっている(4)から(9)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(11)前記支持構造部の前記一方の面側における前記複数のメイン支持体の各々の縁辺は、前記リフレクタ部を支持可能な線状の第2支持部となっている(1)から(10)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(12)前記複数のファセットの過半数は、前記放射方向に長尺な形状である(1)から(11)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(13)前記複数のファセットの過半数は、前記放射方向に長尺な菱形である(12)に記載の展開式リフレクタ。
(14)前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体の数が2つ以上であり、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体のうちの少なくとも1つは、回転駆動される駆動支持体であり、
当該展開式リフレクタは、更に、前記基準軸を回転中心として前記駆動支持体を周方向に回転させることによって前記支持構造部を展開状態にする回転動力付与機構を備えている(1)から(13)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(15)互いに隣り合うメイン支持体どうしを相互に連結しているとともに、これらメイン支持体どうしを互いに離間させる方向に弾性的に付勢する付勢部を備えている(1)から(13)のいずれか一項に記載の展開式リフレクタ。
(16)基準軸と、
前記基準軸を基準として展開可能に構成されており、展開状態において一方の面側に凹面状の支持面を形成する支持構造部と、
を備え、
展開式リフレクタのリフレクタ面を形成するリフレクタ部を前記支持面によって支持する展開式リフレクタ用の展開構造物であって、
前記支持構造部は、
前記基準軸を中心とする放射方向に長尺な複数のメイン支持体と、
隣り合う前記メイン支持体どうしの間に架設されているサブ支持体と、
を含んで構成されており、
前記複数のメイン支持体の少なくとも1つは、前記基準軸に軸支されており、隣の前記メイン支持体との間の角度が前記基準軸を軸中心として開閉可能となっており、
前記基準軸に軸支されている前記メイン支持体と、当該メイン支持体の隣の前記メイン支持体との間の角度が開くことにより、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体が前記基準軸を中心とする周方向に展開して複数のファセットを画定する格子構造となり、
展開状態において、前記複数のメイン支持体と、これらメイン支持体どうしの間に架設されている前記サブ支持体と、により前記支持面が形成される展開式リフレクタ用展開構造物。
【符号の説明】
【0100】
11 基準軸
12 支持構造部
13 支持面
15 単位モジュール
20 メイン支持体
20a 駆動支持体
20b 固定支持体
20c 従動支持体
21 板状部
21a 上縁(第2支持部)
21b 下縁
21c スリット
22 第1延出部
23 第2延出部
24 第3延出部
25 第1支持アーム
25a 挿通孔
25b 先端部
26 第2支持アーム
26a 挿通孔
26b 先端部
30 サブ支持体
31 支持要素
31a 支持要素
31b 支持要素
310 支持要素集合体
32 交差部
33 スリット
34 端部
35 上縁(第1支持部)
36 下縁
37 ファセット
38 接合部
39 屈曲部
42 下側固定部材
43 上側固定部材
50 リフレクタ部
51 金属線
52 外形線
61 ブーム
70 回転動力付与機構
71 モータ
72 駆動伝達機構
80 展開式リフレクタ用展開構造物
91 粘着テープ
92 接着剤
100 展開式リフレクタ
111 支持要素
112 支持要素
121 相対回転部材
122 連結ヒンジ
123 ケーブル
124 ケーブル巻取機構
125 モータ
131 弾性ヒンジ
134 ラッチ機構
135 モータ
150 付勢部
151 板バネ
152 固定部
153 架設部
154 端部
155 ブロック部
156 他端部
図1
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