(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置および紙葉類処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/20 20190101AFI20221121BHJP
G07D 11/23 20190101ALI20221121BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D11/23
(21)【出願番号】P 2019046924
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 博幸
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-002621(JP,A)
【文献】特開2017-027198(JP,A)
【文献】特開2012-150739(JP,A)
【文献】特開2018-092381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金部に投入された複数枚の紙葉類を、予め設定されたバッチ枚数ずつ計数して出金部に出金する紙葉類処理装置であって、
前記入金部に投入された紙葉類の保留および当該保留した紙葉類の繰り出しを行う一時保留部と、
前記紙葉類処理装置の稼動状況に関する情報を表示する表示部と、
前記一時保留部における紙葉類の繰り出し制御および前記入金部に投入された紙葉類の搬送制御を行う制御部と、を有し、
前記表示部は、
前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数以上である第1状態と、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数未満である第2状態とで、前記紙葉類処理装置の稼働状況を異なる表示態様で表示可能であり、
前記制御部は、
前記一時保留部に保留された紙葉類を前記バッチ枚数ずつ繰り出して前記出金部に分割して出金する
バッチ処理を行う際、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が前記第1状態から前記第2状態となる場合には、当該一時保留部に保留されているバッチ枚数未満の紙葉類の前記出金部への搬送を開始する前に、前記表示部が表示しているバッチ枚数の文字の表示態様を前記第1状態の表示態様から前記第2状態の表示態様にする
ことを特徴とする
紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記表示部が表示しているバッチ枚数の文字の表示態様とは、文字の色であり、
前記第2状態の表示態様は、前記第1状態の表示態様とは異なる文字の色である
ことを特徴とする
請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
入金部に投入された複数枚の紙葉類を、予め設定されたバッチ枚数ずつ計数して出金部に出金する紙葉類処理方法であって、
前記入金部に投入された複数枚の紙葉類のうち一時保留部に保留可能な枚数を算出し、
前記算出された前記一時保留部に保留可能な枚数の紙葉類を前記一時保留部に搬送して保留し、
前記一時保留部に保留された紙葉類を一枚ずつ前記バッチ枚数に到達するまで前記出金部に
分割して出金するバッチ処理を行う際、
前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数以上である第1状態から、
前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数未満である第2状態となる場合には、
当該一時保留部に保留されているバッチ枚数未満の紙葉類の前記出金部への搬送を開始する前に、表示部が表示しているバッチ枚数の文字の表示態様を前記第1状態の表示態様から前記第2状態の表示態様にする
ことを特徴とする
紙葉類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類処理装置および紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣を所定の金種ごとに分類して集積する紙葉類処理装置では、紙幣を所定の金種ごとに分類して集積する機能のほか、特定金種の紙幣を所定枚数(例えば、100枚)ごとに計数する整理計数機能を有しているものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の紙葉類処理装置は、入金された紙幣の搬送先として一時保留部と出金部との2箇所を有している。そのため、この種の紙葉類処理装置では、特定金種の紙幣を所定枚数ごとに分離して取り出し可能とするバッチ処理を行う場合、入金部にセットされた紙幣を所定のバッチ枚数だけ識別及び計数したのち一時保留部に一旦保留し、この一時保留部に保留されたバッチ枚数の紙幣を一時保留部から出金部に繰り出すようになっている。そして、出金部からバッチ枚数の紙幣が取り出されると、前述と同様に、入金部にセットされた紙幣からバッチ枚数の紙幣を一時保留部に一旦保留してから出金部に繰り出し、入金部に入金された紙幣が無くなるまでこの処理を複数回繰り返す。
【0005】
例えば、紙葉類処理装置の入金部に特定金種の紙幣が250枚投入され、ここから100枚ずつ計数して出金部に取り出す場合、まず初めに、入金部から100枚の紙幣が識別及び計数されて一時保留部に保留された後、一時保留部に保留されたこれら100枚の紙幣が出金部に繰り出される。続いて、入金部からさらに100枚の紙幣が識別及び計数されて一時保留部に保留された後、一時保留部に保留されたこれら100枚の紙幣が出金部に繰り出される。最後に入金部から残りの50枚の紙幣が識別及び計数されて一時保留部に保留された後、一時保留部に保留されたこれら50枚の紙幣が出金部又はリジェクト部に繰り出されて合計250枚のバッチ処理が終了する。
【0006】
そのため、入金部に投入された紙幣の枚数が多い場合、紙幣を入金部から一時保留部に搬送する回数が多くなり、入金部に投入された紙幣を所定枚数ずつ分離する処理時間が長くなってしまう。このような問題は、紙幣以外の紙葉類をバッチ処理する場合にも同様に生じる。
【0007】
したがって、本発明は、バッチ処理の効率を向上させることが可能な紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、入金部に投入された複数枚の紙葉類を、予め設定されたバッチ枚数ずつ計数して出金部に出金する紙葉類処理装置であって、前記入金部に投入された紙葉類の保留および当該保留した紙葉類の繰り出しを行う一時保留部と、前記紙葉類処理装置の稼動状況に関する情報を表示する表示部と、前記一時保留部における紙葉類の繰り出し制御および前記入金部に投入された紙葉類の搬送制御を行う制御部と、を有し、前記表示部は、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数以上である第1状態と、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数未満である第2状態とで、前記紙葉類処理装置の稼働状況を異なる表示態様で表示可能であり、前記制御部は、前記一時保留部に保留された紙葉類を前記バッチ枚数ずつ繰り出して前記出金部に分割して出金するバッチ処理を行う際、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が前記第1状態から前記第2状態となる場合には、当該一時保留部に保留されているバッチ枚数未満の紙葉類の前記出金部への搬送を開始する前に、前記表示部が表示しているバッチ枚数の文字の表示態様を前記第1状態の表示態様から前記第2状態の表示態様にすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、入金部に投入された複数枚の紙葉類を、予め設定されたバッチ枚数ずつ計数して出金部に出金する紙葉類処理方法であって、前記入金部に投入された複数枚の紙葉類のうち一時保留部に保留可能な枚数を算出し、前記算出された前記一時保留部に保留可能な枚数の紙葉類を前記一時保留部に搬送して保留し、前記一時保留部に保留された紙葉類を一枚ずつ前記バッチ枚数に到達するまで前記出金部に分割して出金するバッチ処理を行う際、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数以上である第1状態から、前記一時保留部に保留されている紙葉類の枚数が予め設定された前記バッチ枚数未満である第2状態となる場合には、当該一時保留部に保留されているバッチ枚数未満の紙葉類の前記出金部への搬送を開始する前に、表示部が表示しているバッチ枚数の文字の表示態様を前記第1状態の表示態様から前記第2状態の表示態様にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バッチ処理の効率を向上させることが可能な紙葉類処理装置および紙葉類処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の紙葉類処理装置の内部構成を概略的に示す側面図である。
【
図2】実施形態の紙葉類処理装置の演算装置等の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の紙葉類処理装置の内部構成を概略的に示す側面図であって、入金処理ルートおよびバッチ処理の往路処理ルートを太線で示すものである。
【
図4】実施形態の紙葉類処理装置の内部構成を概略的に示す側面図であって、収納処理ルートを太線で示すものである。
【
図5】実施形態の紙葉類処理装置を概略的に示す側面図であって、返却処理ルートおよびバッチ処理の復路処理ルートを太線で示すものである。
【
図6】実施形態の紙葉類処理装置を概略的に示す側面図であって、出金処理ルートを太線で示すものである。
【
図7】実施形態の紙葉類処理装置の操作表示部の表示例を示す正面図である。
【
図8】実施形態の紙葉類処理装置の操作表示部の表示例を示す正面図である。
【
図9】実施形態の紙葉類処理装置のバッチ処理の基本制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態の紙葉類処理装置を図面を参照して以下に説明する。本実施形態に係る紙葉類処理装置10は、紙葉類の一態様としての紙幣を処理するものである。勿論、紙幣以外の紙葉類を処理することも可能である。紙葉類処理装置10は、外部から投入された紙幣を内部に収納する入金処理と、内部に収納されている紙幣を外部に取り出し可能に出金する出金処理とが可能な紙幣入出金装置である。なお、以下の説明における「前」は操作者側を、「後」は操作者とは反対側を、「左」は操作者から見て左を、「右」は操作者から見て右を示す。
【0013】
図1に示すように、紙葉類処理装置10の前面側の上部には、入金用の紙幣が外部から投入される入金部11が設けられており、この入金部11の上方かつ後方に、入金用の紙幣のうち受け入れ不可なリジェクト紙幣が内部から繰り出されるとともに出金用の紙幣が内部から繰り出され、これらを外部に取り出し可能とする出金部12が設けられている。
【0014】
入金部11には、入金部11の紙幣の有無を検知する図示略のセンサが設けられており、出金部12にも、出金部12の紙幣の有無を検知する図示略のセンサが設けられている。入金部11と出金部12とは、高さ方向の位置を重ね合わせて設けられており、前後方向の位置も重ね合わせて設けられている。紙葉類処理装置10の上面の出金部12の後方には操作者の操作入力を受け付けるとともに操作者に対し表示を行うタッチパネル式の操作表示部14(表示部)と紙葉類処理装置10の全体を制御する演算装置15とが設けられている。操作表示部14は、紙葉類処理装置10の操作画面や稼働状況に関する情報画面を表示する。
【0015】
入金部11の後方には、紙幣を識別する識別部17が入金部11と高さ方向の位置を重ね合わせて設けられており、この識別部17の後方には、識別部17により識別された紙幣を一時的に保留する一時保留部18が入金部11および識別部17と高さ方向の位置を重ね合わせて設けられている。入金部11の下部と識別部17の上部とが高さ方向の位置を重ね合わせて設けられており、入金部11の上部と識別部17の下部とは高さ方向の位置をずらして設けられている。識別部17の全体と一時保留部18の中間部から下部とが高さ方向の位置を重ね合わせており、一時保留部18の上部は識別部17に対し高さ方向の位置をずらしている。一時保留部18は、その上部が出金部12の下部と高さ方向の位置を重ね合わせている。入金部11と識別部17と一時保留部18とが、装置前方から後方に向けて、入金部11、識別部17、一時保留部18の順に配置されている。入金部11と識別部17とは前後方向の位置を完全にずらしており、識別部17と一時保留部18とは前後方向の位置を完全にずらしている。
【0016】
入金部11には、載置板19が後下がりの姿勢で設けられており、この載置板19は、入金部11内で後上がりの方向に上昇し前下がりの方向に下降する。下降状態にある載置板19上に集積状態の紙幣が外部から載置されることになり、載置板19上に載置された紙幣は後上がりの方向に集積された状態となる。載置板19は上昇して集積状態の紙幣を後上がりの方向に搬送し、集積状態の紙幣を集積方向の上端のものから一枚ずつ紙葉類処理装置10の内部に繰り出す。
【0017】
紙葉類処理装置10は、入金部11と、出金部12と、識別部17と、一時保留部18と、後述する前方カセット51と、複数の収納庫52との間で紙幣を搬送する搬送機構20を内部に有している。
【0018】
搬送機構20は、入金部11の後端部から延びて、入金部11から繰り出された紙幣を識別部17に搬送する入金搬送路21を有している。入金搬送路21は、入金部11から後下がりに延出する傾斜送路部22と、傾斜送路部22の後端から水平後方に延出する水平送路部23とを有している。入金搬送路21は、水平送路部23の後端部において識別部17に接続されている。
【0019】
搬送機構20は、識別部17内で、入金搬送路21の水平送路部23と同一直線上に配置されて水平送路部23の後端部から水平後方に延出する内部搬送路25を有している。内部搬送路25は、水平送路部23から引き続き後方に紙幣を搬送する。識別部17は、内部搬送路25で搬送中の紙幣の真偽、正損、金種、重送、斜行等を識別する。
【0020】
搬送機構20は、識別部17の内部搬送路25の後端部から水平後方に延出する直線搬送路26を有しており、この直線搬送路26の後端部が一時保留部18に接続されている。直線搬送路26は、内部搬送路25から引き続き後方に紙幣を搬送する。入金搬送路21の水平送路部23と内部搬送路25と直線搬送路26とは同一直線上で一直線に並んでおり、識別部17と一時保留部18とが一直線の直線搬送路26で接続されている。例えば、入金部11に投入された紙幣が、入金部11から入金搬送路21で識別部17に向けて搬送され、識別部17で識別後に直線搬送路26で一時保留部18に搬送される。上記のように識別部17と一時保留部18とは高さ方向の位置を重ね合わせており、直線搬送路26が横方向、具体的には水平方向に延在して、これらを結んでいる。
【0021】
一時保留部18は、紙幣を保留するもので、直線搬送路26で搬送されてきた紙幣を一枚ずつ取り込んで収納し、収納している紙幣を一枚ずつ直線搬送路26に繰り出す。一時保留部18は、例えば、入金部11に投入された紙幣の保留および当該保留した紙幣の繰り出しを行う。この一時保留部18は、
図2に示すように、紙幣Sを一枚ずつ間隔をあけてテープ30とともにドラム31(回転体)に巻き付けて収納する巻付収納タイプであり、よって、保留している紙幣Sをテープ30とともにドラム31から解いて一枚ずつ間隔をあけて計数しながら繰り出す。言い換えれば、一時保留部18は、紙幣Sを一枚ずつ巻き取り可能に構成されたドラム31を有し、ドラム31は、巻き取った紙幣Sを一枚ずつ繰り出す。
【0022】
巻付収納タイプの一時保留部18は、保留する際の順番とは逆の順番で紙幣Sを繰り出すことになる。このため、複数金種の紙幣Sをランダムに混合して保留する場合であっても、演算装置15は、識別部17の識別結果から保留する各紙幣Sの金種を把握可能となっており、よって、一時保留部18から繰り出す各紙幣Sの金種を把握可能となっている。
【0023】
一時保留部18のドラム31は回転軸回りに回転可能に設けられており、ドラム31が回転軸回りの一方の方向(
図1、
図2では右回り)に回転することでテープ30が巻き取られるようになっている。ドラム31では、テープ30が巻き取られることで、巻き取られるテープ30の間で紙幣Sを一枚ずつ挟み込んで保持するようになっている。また、一時保留部18では、ドラム31を回転軸回りの他方の方向(
図1,
図2では左回り)に回転させて巻き取られたテープ30を送り出すことで、送り出されるテープ30の間に保持されている紙幣Sを一枚ずつ繰り出すようになっている。実施形態では、例えば、一時保留部18に保留できる紙幣Sの最大枚数は1000枚となっている。
【0024】
図1に示すように、搬送機構20は、直線搬送路26の中間位置から上方に分岐する出金搬送路35を有しており、この出金搬送路35が出金部12に接続されている。出金搬送路35が分岐することによって、直線搬送路26は、出金搬送路35の分岐位置から前側の前側送路部26aと、出金搬送路35の分岐位置から後側の後側送路部26bとに分けられる。前側送路部26aと後側送路部26bとの間は紙幣Sの行き来が可能であり、前側送路部26aと出金搬送路35との間は前側送路部26aから出金搬送路35への紙幣Sの搬送が可能であって、後側送路部26bと出金搬送路35との間は後側送路部26bから出金搬送路35への紙幣Sの搬送が可能である。
【0025】
出金搬送路35は、直線搬送路26で搬送されてきた紙幣Sを出金部12に搬送するもので、直線搬送路26の中間位置から鉛直上方に延出する鉛直送路部35aと、鉛直送路部35aの上端部から水平前方に延出する水平送路部35bと、水平送路部35bの前端部から鉛直上方に延出する鉛直送路部35cと、鉛直送路部35cの上端部から水平前方に延出して出金部12に繋がる水平送路部35dとを有している。
【0026】
ここで、出金部12は、出金搬送路35の水平送路部35dから繰り出された紙幣Sを前側かつ下側から後側かつ上側に斜めに集積させる。出金部12に集積された紙幣Sは、出金部12から外部に取り出される。出金搬送路35は、例えば、一時保留部18から直線搬送路26に繰り出された紙幣Sを直線搬送路26の途中から上方に分岐搬送して出金部12に搬送する。
【0027】
入金部11、出金部12、操作表示部14、内部搬送路25を含む識別部17、一時保留部18、入金搬送路21、直線搬送路26および出金搬送路35は、紙葉類処理装置10の上部を構成する上部ユニット41に設けられている。
【0028】
上部ユニット41の下側にあって紙葉類処理装置10の高さ方向の中間部から下部を構成する下部ユニット42には、前部位置に前方カセット51が設けられており、前方カセット51の後方に、上下2段、前後4列の合計8台の収納庫52が設けられている。8台の収納庫52のうち、上段の4台は高さ方向の位置を一致させており、下段の4台も高さ方向の位置を一致させている。前方カセット51の高さは、収納庫52の2台分の高さと同等であり、前方カセット51は、上下2段の収納庫52と高さ方向の位置を重ね合わせている。
【0029】
搬送機構20は、入金搬送路21の水平送路部23の中間位置から下方に分岐する上下搬送路55を有しており、この上下搬送路55が、水平送路部23から鉛直下方に延出して前方カセット51に接続されている。上下搬送路55が分岐することによって、入金搬送路21の水平送路部23は、上下搬送路55の分岐位置から前側の前側構成部23aと、上下搬送路55の分岐位置から後側の後側構成部23bとに分けられる。前側構成部23aと後側構成部23bとの間は、前側構成部23aから後側構成部23bへの紙幣Sの搬送が可能であり、上下搬送路55と後側構成部23bとの間は紙幣Sの行き来が可能である。上下搬送路55は、例えば、一時保留部18から直線搬送路26に繰り出され識別部17を通過後の紙幣Sを識別部17の直線搬送路26とは反対側の入金搬送路21の途中から下方に分岐搬送して前方カセット51に収納する。
【0030】
前方カセット51は、紙幣Sを一枚ずつ取り込んで収納可能であり、収納している紙幣Sを一枚ずつ繰り出し可能となっている。前方カセット51は、紙幣Sを上部から受け入れて水平状態で下から上に集積させて収納するとともに、収納している紙幣Sを上端部のものから繰り出す集積収納タイプとなっている。集積収納タイプの前方カセット51は、一時保留部18および後述する収納庫52のような巻付収納タイプに比べて紙幣Sの収納効率が大幅に高い。その一方で、一時保留部18および後述する収納庫52のような巻付収納タイプは、集積収納タイプの前方カセット51に比べて、紙幣Sの重送を生じる可能性が低く、保留している紙幣Sを正確に一枚ずつ分離し間隔をあけて繰り出し可能である。
【0031】
搬送機構20は、上下搬送路55の中間位置から後方に分岐する収納搬送路57を有している。この収納搬送路57は、上下搬送路55から水平後方に延出した後、紙葉類処理装置10の後端部付近で下方に延出して後端上段の収納庫52に接続されており、この収納庫52を介して後端の下段の収納庫52にも接続されている。収納搬送路57が分岐することによって、上下搬送路55は、収納搬送路57の分岐位置から上側の上側送路部55aと、収納搬送路57の分岐位置から下側の下側送路部55bとに分けられる。
【0032】
搬送機構20は、収納搬送路57の中間位置から下方に分岐する複数具体的には3カ所の分岐搬送路61、62、63を有している。分岐搬送路61、62、63は、前側3列の上段の収納庫52に接続されており、各上段の収納庫52を介して、それぞれの同列下段の収納庫52に接続されている。
【0033】
8台の収納庫52は、いずれも、紙幣Sを一枚ずつ間隔をあけてテープとともにドラム71に巻き付けて収納する巻付収納タイプであり、よって、保留している紙幣Sをテープとともにドラム71から解いて一枚ずつ間隔をあけて計数しながら繰り出す。巻付収納タイプの収納庫52は、保留する際の順番とは逆の順番で紙幣Sを繰り出す。このため、1台に複数金種の紙幣Sをランダムに混合して収納する場合であっても、演算装置15は、識別部17の識別結果から収納する各紙幣Sの金種を把握可能となっており、よって、収納庫52から繰り出す各紙幣Sの金種を把握可能となっている。
【0034】
収納搬送路57および分岐搬送路61、62、63は、例えば、一時保留部18から直線搬送路26に繰り出され識別部17を通過後の紙幣Sを入金搬送路21の途中から下方に分岐搬送し上下搬送路55の途中から後方に分岐搬送して8台の収納庫52に選択的に収納させる。8台の収納庫52は、例えば、8台全部を、それぞれが設定された単一金種の紙幣Sのみを収納する単金種収納庫に設定したり、そのうちの何台かを、それぞれが設定された単一金種の紙幣Sのみを収納する単金種収納庫に設定し、残りを、それぞれ複数金種の紙幣Sを金種混合で収納する金種混合収納庫に設定したりすることができる。
【0035】
下部ユニット42には、前方カセット51と、8台の収納庫52と、上下搬送路55の上側送路部55aの下部と、下側送路部55bと、収納搬送路57と、分岐搬送路61~63とが設けられている。上下搬送路55の上側送路部55aの上部は上部ユニット41に設けられている。
【0036】
下部ユニット42は、前方に開口する直方体の箱状の筐体75と、8台の収納庫52が設けられて筐体75内に配置されるユニット本体76と、筐体75の前部開口を開閉する扉体77とを有している。前方カセット51は、ユニット本体76に対し着脱可能に設けられている。
【0037】
図2に示すように、演算装置15は、紙葉類処理装置10の
図1に示す入金部11、一時保留部18、搬送機構20、前方カセット51および複数の収納庫52の駆動制御を行う制御部81と、一時保留部18に保留可能な紙幣Sの枚数等を算出する算出部82と、操作表示部14に表示する表示情報を生成する表示情報生成部83と、操作表示部14への操作入力に応じて紙葉類処理装置10の動作モードを切り替えるモード切替部84とを有している。
【0038】
制御部81は、例えば、入金部11における紙幣Sの繰り出し制御、一時保留部18における紙幣Sの繰り出し制御、入金部11に投入され入金部11から繰り出された紙幣Sの搬送機構20による搬送制御、および一時保留部18から繰り出された紙幣Sの搬送機構20による搬送制御を行うことになる。制御部81は、また例えば、一時保留部18に保留された紙幣Sをバッチ枚数ずつ繰り出して出金部12に分割して出金するバッチ処理の制御等を行うことになる。制御部81は、バッチ処理においては、算出部82で算出した、一時保留部18に保留可能な枚数の紙幣Sを、入金部11に投入された紙幣Sの中から最大限一時保留部18に保留する。
【0039】
次に、本実施形態に係る紙葉類処理装置10の主な作動について説明する。
【0040】
演算装置15のモード切替部84は、操作表示部14への操作入力に応じて、紙葉類処理装置10の動作モードを切り替える。実施形態では、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sを金種ごとに分類して金種ごとに決められた収納庫52に振り分けて収納する収納モードと、複数の収納庫52から紙幣Sを出金部12に取り出し可能に出金する出金モードと、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sから、同一の特定金種の紙幣Sを予め設定されたバッチ枚数ずつ計数しバッチ枚数ずつに分割して出金部12に出金する計数モードと、に切り替える。
【0041】
言い換えれば、モード切替部84は、紙葉類処理装置10について、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sのうち予め設定されたバッチ枚数だけ紙幣Sを計数して出金部12に搬送することを適宜繰り返す計数モードと、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sを所定の種類ごとに分類して収納する収納モードと、指定された種類の紙幣Sを出金部12に取り出し可能に出金する出金モードと、を切り替える。紙葉類処理装置10は、オペレータによる操作表示部14への操作に応じて、モード切替部84により収納モードと出金モードと計数モードとに切り替えられる。なお、紙葉類処理装置10が有している動作モードは、これら3つの動作モードに限定されるものではなく、他の動作モードを有していてもよい。
【0042】
操作表示部14への操作入力に応じて、モード切替部84が、紙葉類処理装置10を収納モードに切り替えると、制御部81は、操作表示部14への操作入力に応じて、以下の入金処理と収納処理と、あるいは、入金処理と返却処理とを行う。
【0043】
[入金処理]
入金部11に外部から紙幣Sが投入されたことを図示略のセンサで検知した状態で、操作表示部14へ入金処理開始の操作が入力されると、紙葉類処理装置10は、制御部81で制御されて、その入金部11および搬送機構20によって、
図3に太線で示す入金処理ルートにより紙幣Sを搬送する。
【0044】
つまり、入金部11が紙幣Sを一枚ずつ分離し所定の間隔をあけて繰り出し、繰り出された紙幣Sを、搬送機構20の入金搬送路21、識別部17の内部搬送路25および直線搬送路26の前側送路部26aが搬送する。内部搬送路25での搬送中に、識別部17が紙幣Sを識別することになり、識別部17が受け入れ可能と識別した紙幣Sを、直線搬送路26の前側送路部26aから後側送路部26bに搬送し、後側送路部26bが一時保留部18に搬送して、一時保留部18が保留する(
図3の太実線参照)。他方、識別部17が受け入れ不可と識別した紙幣Sについては、直線搬送路26の前側送路部26aから出金搬送路35に搬送し、出金搬送路35が出金部12に搬送する(
図3の太実線から太破線参照)。
【0045】
ここで、入金部11は厚さ方向に集積された状態の紙幣Sを分離して繰り出すものであるため、繰り出し時に、紙幣Sの重送、斜行等の搬送不良を生じる可能性がある。このような搬送不良の紙幣Sも識別部17が受け入れ不可と識別し、搬送機構20が出金部12に搬送する。なお、制御部81は、入金処理中に、出金部12に搬送する紙幣Sが生じた場合、それに応じて、一時保留部18を停止させ、一時保留部18に保留する紙幣Sと紙幣Sとの取り込み間隔が一定になるように制御する。
【0046】
入金部11に投入された紙幣Sをすべて一時保留部18および出金部12のいずれかに搬送した状態になると、識別部17の識別結果から一時保留部18に一時貯留させている紙幣Sの金種別の枚数および総額等の金額情報を操作表示部14が表示する。出金部12に搬送された紙幣Sは、外部に取り出し可能となる。なお、出金部12とは別に、紙幣Sを外部に取り出し可能とするリジェクト部を設けて、このリジェクト部に受け入れ不可の紙幣Sを搬送するようにしても良い。
【0047】
[収納処理]
入金処理後の金額情報の操作表示部14の表示後、操作者が操作表示部14に承認操作を入力すると、紙葉類処理装置10は、制御部81で制御されて、その一時保留部18、搬送機構20および8台の収納庫52によって、
図4に太線で示す収納処理ルートで紙幣Sを搬送する。
【0048】
つまり、一時貯留させていた紙幣Sを一時保留部18が一枚ずつ間隔をあけて繰り出し、直線搬送路26、識別部17の内部搬送路25、入金搬送路21の後側構成部23b、上下搬送路55の上側送路部55aおよび収納搬送路57が搬送する。内部搬送路25での搬送中に、識別部17が紙幣Sを識別することになり、その結果に基づいて、収納搬送路57および分岐搬送路61~63の適宜のものが8台の収納庫52の対応するものに紙幣Sを振り分ける。振り分けられた紙幣Sを8台の収納庫52の対応するものが収納する。
【0049】
ここで、一時保留部18は巻付収納タイプであるため、繰り出し時に、紙幣Sの重送、斜行等の搬送不良を生じることが基本的になく、一時保留部18が繰り出した紙幣Sに識別部17で収納不可と判断されるものは基本的にはない。
【0050】
[返却処理]
入金処理後の金額情報の操作表示部14の表示後、操作者が操作表示部14に返却操作を入力すると、紙葉類処理装置10は、制御部81で制御されて、その一時保留部18、搬送機構20および出金部12によって、
図5に太線で示す返却処理ルートで紙幣Sを搬送する。
【0051】
つまり、一時貯留させていた紙幣Sを、一時保留部18が一枚ずつ間隔をあけて繰り出し、直線搬送路26の後側送路部26bおよび出金搬送路35が出金部12に搬送する。出金部12に搬送された紙幣Sは、外部に取り出し可能となる。
【0052】
操作表示部14への操作入力に応じて、モード切替部84が、紙葉類処理装置10を出金モードに切り替えると、制御部81は、操作表示部14への操作入力に応じて、以下の出金処理を行う。
【0053】
[出金処理]
操作表示部14に、出金させる紙幣Sの金額情報とともに出金処理の選択操作が入力されると、単金種収納庫に設定された収納庫52から紙幣Sを出金する場合、紙葉類処理装置10は、制御部81で制御されて、出金対象金種の紙幣Sが収納された収納庫52から、搬送機構20および出金部12によって、
図6に太線で示す出金処理ルートで紙幣Sを搬送する。
【0054】
つまり、収納庫52のうちの対応するものが、収納していた紙幣Sを一枚ずつ分離し計数しつつ間隔をあけて繰り出し、繰り出された紙幣Sを、分岐搬送路61~63の適宜のもの、収納搬送路57、上下搬送路55の上側送路部55a、入金搬送路21の後側構成部23b、識別部17の内部搬送路25、直線搬送路26の前側送路部26aおよび出金搬送路35が出金部12に搬送する。ここで、収納庫52はすべて巻付収納タイプであるため、繰り出し時に、紙幣Sの重送、斜行等の搬送不良を生じることが基本的になく、収納庫52が繰り出した紙幣Sに識別部17で出金不可と判断されるものは基本的にない。出金部12に搬送された紙幣Sは、外部に取り出し可能となる。
【0055】
ここで、この出金処理時に、収納庫52のうちの対応するものから繰り出され、識別部17で汚損紙幣と識別された紙幣は、一時保留部18の巻き取りの最も奥側の領域に収納するようになっている。
【0056】
操作表示部14への操作入力に応じて、モード切替部84が、紙葉類処理装置10を計数モードに切り替えると、制御部81は、操作表示部14への操作入力に応じて、以下のバッチ処理を行う。
【0057】
[バッチ処理]
バッチ処理は紙幣Sを計数しつつ整理する整理計数処理である。操作表示部14に、バッチ処理するバッチ処理対象の紙幣Sの金種等の種別情報と所定のバッチ枚数Nkとの入力操作が入力される。ここで、バッチ枚数Nkは、紙幣Sを束にする所定枚数を意味し、オペレータにより予め設定されてもよく、紙葉類処理装置10により自動的に設定されてもよい。バッチ処理対象の紙幣Sの種別情報および所定のバッチ枚数Nkの入力操作が入力されると、演算装置15の算出部82が、これから一時保留部18に保留可能な紙幣Sの最大限の保留可能枚数Ntの算出を行う。
【0058】
具体的に、算出部82は、この一時保留部18が空の状態で物理的に最大限保留可能な紙幣Sの最大保留可能枚数Nmaxと、現時点で一時保留部18に既に保留されている紙幣Sの枚数Ndtとに基づいて、現時点で一時保留部18にこれから保留可能な紙幣Sの最大限の保留可能枚数Ntの算出を行う。言い換えれば、算出部82は、空状態の一時保留部18に保留可能な紙幣Sの最大保留可能枚数Nmaxと、一時保留部18に現在保留されている紙幣Sの枚数Ndtとに基づいて、現時点で一時保留部18にこれから保留可能な紙幣Sの保留可能枚数Ntを算出する。
【0059】
ここで、一時保留部18は、巻き取りの最も奥側の領域に、出金処理時に識別部17で汚損紙幣と識別された紙幣を収納することになり、この場合の枚数Ndtは、この汚損紙幣の枚数となる。
【0060】
保留可能枚数Ntは、一時保留部18における紙幣Sの最大保留可能枚数Nmaxから現時点で一時保留部18に既に保留されている紙幣Sの枚数Ndtを減算することで算出される(Nt=Nmax-Ndt)。したがって、一時保留部18に紙幣Sが保留されていない場合、一時保留部18の最大保留可能枚数Nmaxが現時点での保留可能枚数Ntとなる(Nmax=Nt)。算出部82で算出された保留可能枚数Ntに関する情報は制御部81に送信される。なお、算出部82から受信した保留可能枚数Ntがバッチ枚数Nk未満の場合、制御部81はバッチ処理ができないとして操作表示部14にその旨を表示させる。
【0061】
(往路処理)
算出部82から受信した保留可能枚数Ntがバッチ枚数Nk以上の場合、制御部81は、入金部11の紙幣Sを図示略のセンサが検知していることを条件に、保留可能枚数Ntに関する情報に基づいて入金部11、搬送機構20および一時保留部18の駆動制御を行い、入金部11に投入された複数枚数の紙幣Sを、
図3に太線で示す入金処理ルートと同様のバッチ処理の往路処理ルートにより搬送するバッチ処理の往路処理を行う。
【0062】
つまり、入金部11が紙幣Sを一枚ずつ分離し間隔をあけて繰り出し、繰り出された紙幣Sを、搬送機構20の入金搬送路21、識別部17の内部搬送路25および直線搬送路26の前側送路部26aが搬送する。内部搬送路25での搬送中に、識別部17が紙幣Sを識別および計数することになり、識別部17がバッチ処理対象と識別した紙幣Sを、保留可能枚数Ntまでの範囲で、最大限、直線搬送路26の前側送路部26aおよび後側送路部26bが一時保留部18に搬送し、一時保留部18に保留する(
図3の太実線参照)。
【0063】
このとき、制御部81は、一時保留部18を駆動制御して搬送機構20により搬送されてきた紙幣Sを一枚ずつ間隔をあけてドラム31にテープ30とともに巻き取らせて保留させる。その際に、枚数Ndtにカウントされている既に保留されている紙幣Sよりも巻き取りの手前側に、バッチ処理対象と識別した紙幣Sを保留させる。これにより、例えば入金部11にバッチ枚数Nkを超える枚数のバッチ処理対象の紙幣Sがあった場合に、一時保留部18は、バッチ枚数Nkを超える枚数のバッチ処理対象の紙幣Sを一時保留することになる。
【0064】
他方、識別部17がバッチ処理対象以外と識別した紙幣Sは、直線搬送路26の前側送路部26aから出金搬送路35が出金部12に搬送する(
図3の太実線から太破線参照)。ここでも、種別情報が指定と異なる紙幣Sに加えて、搬送不良の紙幣Sも識別部17がバッチ処理対象以外と識別し、搬送機構20が出金部12に搬送する。なお、出金部12とは別に、紙幣Sを外部に取り出し可能とするリジェクト部を設けて、このリジェクト部にバッチ処理対象以外と識別した紙幣Sを搬送するようにしても良い。ここで、制御部81は、出金部12に搬送する紙幣Sが生じた場合、それに応じて、一時保留部18を停止させ、一時保留部18に保留する紙幣Sの間隔が一定になるように制御する。
【0065】
今回の往路処理で一時保留部18に保留した紙幣Sの枚数が、保留可能枚数Ntに達すると予想されるタイミング、あるいは、図示略のセンサで入金部11に投入された紙幣Sが全てなくなった状態を検知した後、これらの紙幣Sが全て一時保留部18および出金部12のいずれかに搬送された状態になるタイミングで、制御部81は、入金部11、搬送機構20および一時保留部18を停止させる。このとき、出金部12に搬送された紙幣Sは、外部に取り出し可能となる。
【0066】
すると、演算装置15の表示情報生成部83は、識別部17の識別結果に基づいて、操作表示部14に表示する情報を生成して操作表示部14に送信する。ここで、表示情報生成部83は、オペレータが紙葉類処理装置10を使用する際の操作ボタンなどを操作表示部14に表示するための操作画面情報を生成して操作表示部14に送信する。これにより操作表示部14では、表示情報生成部83で生成された操作画面情報に基づいてオペレータの操作に使用される操作画面を表示する。また、表示情報生成部83は、紙葉類処理装置10の稼働状況情報を生成する。例えば、稼働状況情報は、今回の往路処理で一時保留部18に保留された紙幣Sの枚数に関する情報と、バッチ枚数Nk(例えば100枚)に関する情報とを含んでいる。
【0067】
ここでは、具体例として、入金部11に、第1種であるルーブル通貨(RUB)の375枚の纏まりが下に、第2種であるUSドル通貨(USD)の410枚の纏まりが上になるように重ねて投入され、バッチ処理対象として、ルーブル通貨とUSドル通貨とが設定された場合であって、バッチ処理の往路処理で出金部12に搬送される紙幣Sがなかった場合を例にとり説明する。この場合、往路処理で、一時保留部18には、枚数Ndtにカウントされている既に保留されている紙幣Sよりも巻き取りの手前側にUSドル通貨の紙幣410枚が保留され、その巻き取りの手前側にルーブル通貨の紙幣375枚が保留される。
【0068】
また、この場合、操作表示部14に表示されるバッチ処理の往路処理の結果は、
図7に示すようになる。すなわち、バッチ処理の往路処理において、識別部17で識別及び計数された結果、表示領域14aに一時保留部18にルーブル通貨375枚が保留されていることを表示し、表示領域14bにUSドル通貨410枚が保留されていることを表示する。また、
図7では、表示領域14cに紙幣Sを纏まりにするバッチ枚数Nkが100枚に設定されていることを表示している。
【0069】
ここで、表示情報生成部83は、今回の往路処理で一時保留部18に保留されている第1種の紙幣Sの枚数および第2種の紙幣Sの枚数が、いずれも、オペレータにより設定されたバッチ枚数Nk以上(第1状態)であると判断した場合、操作表示部14の表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字(例えば、100枚)を黒色で表示する表示態様にしてバッチ枚数Nkの紙幣Sの払い出しが可能であることを表示する。
【0070】
一方、表示情報生成部83は、今回の往路処理で一時保留部18に保留されている第1種の紙幣Sの枚数および第2種の紙幣Sの枚数のいずれかが、オペレータにより設定されたバッチ枚数Nk未満(第2状態)であると判断した場合、操作表示部14の表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字(例えば、100枚)を、一時保留部18に現時点で保留されている紙幣Sの数がバッチ枚数Nk以上である場合とは異なる、例えば橙色で表示する表示態様にしてバッチ枚数Nkの紙幣Sの払い出しができないことを表示する。
【0071】
すなわち、表示情報生成部83は、今回の往路処理で一時保留部18に保留される紙幣Sの枚数が予め設定されたバッチ枚数Nk以上である第1状態と、今回の往路処理で一時保留部18に保留される紙幣Sの枚数が予め設定されたバッチ枚数Nk未満である第2状態とで、紙葉類処理装置10の稼働状況を異なる表示態様で操作表示部14に表示させる。なお、今回の往路処理で一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数がバッチ枚数Nk未満である場合、前述した表示態様に限定されるものではなく、例えば、バッチ枚数の文字を点滅表示させたり、表示色を薄くしたりしてもよく、バッチ枚数未満である旨を音声等で報知してもよい。
【0072】
例えば、上記のように一時保留部18にルーブル通貨375枚、USドル通貨410枚が保留されていて、予め設定されたバッチ枚数Nkが100枚である場合、バッチ処理の後述する復路処理で、ルーブル通貨は100枚の纏まり3つと残りの75枚の纏まり1つとが分割されて出金部12に払い出され、USドル通貨は100枚の纏まり4つと残りの10枚の纏まり1つとが分割されて出金部12に払い出される。この場合、表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字を黒色で表示する表示態様にすることになる。
【0073】
なお、ルーブル通貨は100枚の纏まり3つとUSドル通貨は100枚の纏まり4つとを出金部12に払い出す際には、表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字を黒色で表示する表示態様にし、ルーブル通貨の残りの75枚の纏まり1つとUSドル通貨の残りの10枚の纏まり1つとが出金部12に払い出される際には、表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字を橙色で表示する表示態様にして、表示態様を異ならせるようにしても良い。
【0074】
ここで、操作表示部14に対し、
図7に示すように、通貨のテキスト(「RUB 375」、「USD 410」)を表示している表示領域14a、14bのいずれか一方をタッチすることで各々の通貨の保留状況の詳細が表示されるようになっている(
図8参照)。
【0075】
例えば、
図8は、ルーブル通貨の「RUB」のテキストを表示している表示領域14aをタッチした場合の詳細画面の一例を説明する図である。
図8に示すように、ルーブル通貨「RUB」のテキストを表示している表示領域14aをタッチすると、ルーブル通貨の金種ごとの保留枚数と保留金額とが操作表示部14に表示される。実施形態では、一時保留部18に保留されているルーブル通貨は、5000p、1000p、500p、100p、50p、10pの6金種に区分けされており、一時保留部18には、5000pが200枚、500pが120枚、100pが50枚、50pが5枚、1000pと10pとは0枚で、合計375枚が保留されていることが表示されている。
【0076】
(復路処理)
上記した往路処理後の操作表示部14の表示後、操作者が操作表示部14に復路処理の実行操作を入力すると、制御部81は、一時保留部18および搬送機構20の駆動制御を行い、
図5に太線で示す返却処理ルートと同様のバッチ処理の復路処理ルートで第1種であるルーブル通貨の紙幣Sをバッチ枚数Nkずつ一時保留部18から出金部12に搬送するバッチ処理の復路処理を行う。
【0077】
つまり、一時貯留させていた紙幣Sを、一時保留部18が一枚ずつ分離し間隔をあけて繰り出し、直線搬送路26の後側送路部26bおよび出金搬送路35で出金部12に搬送する。出金部12に搬送された紙幣Sは、出金部12で集積される。
【0078】
制御部81は、一時保留部18が繰り出した紙幣Sがバッチ枚数Nkである100枚になると、一時保留部18を一旦停止させ、一時保留部18が繰り出した紙幣Sが、出金部12でバッチ枚数Nkに達するタイミングで、搬送機構20の駆動を一旦停止させる。すると、表示情報生成部83が操作表示部14に、出金部12に出金した紙幣Sの種別がルーブル通貨である旨と、そのバッチ枚数Nkである100枚と、その取り出しを促す表示とを表示させる。これにより、オペレータは、出金部12にあるバッチ枚数Nkのルーブル通貨の紙幣Sを出金部12から取り出す。
【0079】
すると、図示略のセンサが出金部12の紙幣Sが取り出されたことを検知することになり、これによって、制御部81は、今回のバッチ処理において一時保留部18から出金部12へ繰り出したルーブル通貨の紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留したルーブル通貨の紙幣Sの保留枚数になったか否かを判定する。
【0080】
すなわち、今回のバッチ処理のそれまでの復路処理で一時保留部18から繰り出したルーブル通貨の紙幣Sの合計枚数が、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留されたルーブル通貨の紙幣Sの枚数未満であり、かつこれらの差がバッチ枚数Nk以上であると判断した場合、制御部81は、再び、一時保留部18および搬送機構20の駆動制御を上記と同様に行い、
図5に太線で示すバッチ処理の復路処理ルートで第1種であるルーブル通貨の紙幣Sをバッチ枚数Nkだけ出金部12に搬送する。
【0081】
その後、表示情報生成部83が、操作表示部14に、出金部12に出金した紙幣Sの種別がルーブル通貨である旨と、そのバッチ枚数Nkである100枚と、その取り出しを促す表示とを表示させる。これにより、オペレータは、出金部12にあるバッチ枚数Nkのルーブル通貨の紙幣Sを出金部12から取り出す。
【0082】
このような処理を適宜繰り返すことで、今回のバッチ処理のそれまでの復路処理で一時保留部18から繰り出したルーブル通貨の紙幣Sの合計枚数が、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留されたルーブル通貨の紙幣Sの枚数未満であり、かつこれらの差がバッチ枚数Nk未満であると判断した場合、制御部81は、表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字をそれまでの黒色とは異なる橙色で表示する表示態様にし、再び、一時保留部18および搬送機構20の駆動制御を上記と同様に行い、
図5に太線で示すバッチ処理の復路処理ルートで、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留され残っていたルーブル通貨の紙幣Sをすべて出金部12に搬送する。
【0083】
そして、制御部81は、一時保留部18から出金部12へ繰り出したルーブル通貨の紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留したルーブル通貨の保留枚数になると、一時保留部18を停止させ、一時保留部18が繰り出した紙幣Sが、すべて出金部12に出金されるタイミングで、搬送機構20の駆動を停止させる。
【0084】
それとともに、表示情報生成部83が、操作表示部14に、出金部12に出金した紙幣Sの種別がルーブル通貨である旨と、バッチ枚数Nkに満たない端数である旨と、その枚数である75枚と、その取り出しを促す表示とを表示させる。これにより、オペレータは、出金部12にある端数枚数のルーブル通貨の紙幣Sを出金部12から取り出す。
【0085】
すると、図示略のセンサが出金部12の紙幣Sが取り出されたことを検知することになり、これによって、制御部81は、今回のバッチ処理において一時保留部18から出金部12へ繰り出したルーブル通貨の紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留したルーブル通貨の紙幣Sの保留枚数になったと判定する。
【0086】
そして、再び、表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字を黒色で表示する表示態様にし、一時保留部18および搬送機構20の駆動制御を上記と同様に行い、
図5に太線で示すバッチ処理の復路処理ルートで第2種であるUSドル通貨の紙幣Sを、一時保留部18からバッチ枚数Nkだけ出金部12に搬送する。
【0087】
制御部81は、一時保留部18が繰り出した紙幣Sがバッチ枚数Nkである100枚になると、一時保留部18を一旦停止させ、一時保留部18が繰り出した紙幣Sが、出金部12でバッチ枚数Nkに達するタイミングで、搬送機構20の駆動を一旦停止させる。すると、表示情報生成部83が操作表示部14に、出金部12に出金した紙幣Sの種別がUSドル通貨である旨と、そのバッチ枚数Nkである100枚と、その取り出しを促す表示とを表示させる。これにより、オペレータは、出金部12にあるバッチ枚数NkのUSドル通貨の紙幣Sを出金部12から取り出す。
【0088】
すると、図示略のセンサが出金部12の紙幣Sが取り出されたことを検知することになり、これによって、制御部81は、今回のバッチ処理において一時保留部18から出金部12へ繰り出したUSドル通貨の紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留したUSドル通貨の紙幣Sの保留枚数になったか否かを判定する。
【0089】
すなわち、今回のバッチ処理のそれまでの復路処理で一時保留部18から繰り出したUSドル通貨の紙幣Sの合計枚数が、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留されたUSドル通貨の紙幣Sの枚数未満であり、かつこれらの差がバッチ枚数Nk以上であると判断した場合、制御部81は、再び、一時保留部18および搬送機構20の駆動制御を上記と同様に行い、
図5に太線で示すバッチ処理の復路処理ルートで第2種であるUSドル通貨の紙幣Sをバッチ枚数Nkである100枚だけ出金部12に搬送する。
【0090】
その後、表示情報生成部83が、操作表示部14に、出金部12に出金した紙幣Sの種別がUSドル通貨である旨と、そのバッチ枚数Nkである100枚と、その取り出しを促す表示とを表示させる。これにより、オペレータは、出金部12にあるバッチ枚数NkのUSドル通貨の紙幣Sを出金部12から取り出す。
【0091】
このような処理を適宜繰り返すことで、今回のバッチ処理のそれまでの復路処理で一時保留部18から繰り出したUSドル通貨の紙幣Sの合計枚数が、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留されたUSドル通貨の紙幣Sの枚数未満であり、かつこれらの差がバッチ枚数Nk未満であると判断した場合、制御部81は、表示領域14cに表示するバッチ枚数Nkの文字をそれまでの黒色とは異なる橙色で表示する表示態様にし、再び、一時保留部18および搬送機構20の駆動制御を上記と同様に行い、
図5に太線で示すバッチ処理の復路処理ルートで、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留され残っていたUSドル通貨の紙幣Sをすべて出金部12に搬送する。
【0092】
そして、制御部81は、一時保留部18から出金部12へ繰り出したUSドル通貨の紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留したUSドル通貨の保留枚数になると、一時保留部18を停止させ、一時保留部18が繰り出した紙幣Sが、すべて出金部12に出金されるタイミングで、搬送機構20の駆動を停止させる。
【0093】
それとともに、表示情報生成部83が、操作表示部14に、出金部12に出金した紙幣Sの種別がUSドル通貨である旨と、バッチ枚数Nkに満たない端数である旨と、その枚数である10枚と、その取り出しを促す表示とを表示させる。これにより、オペレータは、出金部12にある端数枚数のUSドル通貨の紙幣Sを出金部12から取り出す。
【0094】
すると、図示略のセンサが出金部12の紙幣Sが取り出されたことを検知することになり、これによって、制御部81は、今回のバッチ処理において一時保留部18から出金部12へ繰り出したUSドル通貨の紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留したUSドル通貨の紙幣Sの保留枚数になったと判定する。
【0095】
以上により、入金部11に投入された、ルーブル通貨の375枚の纏まりとUSドル通貨の410枚の纏まりとが、ルーブル通貨の紙幣Sのバッチ枚数である100枚の纏まり3つと、ルーブル通貨の紙幣Sのバッチ枚数に満たない75枚の纏まり1つと、USドル通貨の紙幣Sのバッチ枚数である100枚の纏まり4つと、USドルの紙幣Sのバッチ枚数に満たない10枚の纏まり1つと、に分けられて出金される。
【0096】
ここで、制御部81は、バッチ処理の往路処理において一時保留部18に保留した紙幣Sの枚数が、保留可能枚数Ntに達することになると予想されるタイミングで入金部11を停止させて、処理を復路処理に切り替えることになる。この場合、往路処理で一時保留部18に保留し切れずに入金部11に紙幣Sが残る場合がある。
【0097】
このため、制御部81は、復路処理において最後に一時保留部18からバッチ枚数に満たない紙幣Sを出金部12に繰り出す前に、入金部11に残っている紙幣Sがあれば、往路処理を行って、入金部11に残っている紙幣Sを一時保留部18に保留してから復路処理を行う。これらの処理を適宜繰り返して入金部11に残っている紙幣Sがなくなるようにする。
【0098】
つまり、制御部81は、一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数が、予め設定されたバッチ枚数未満であると判断した場合、入金部11に投入された紙幣Sを、一時保留部18に保留される紙幣Sの枚数が少なくともバッチ枚数以上となるように一時保留部18に保留する。
【0099】
例えば、上記の往路処理において、ルーブル通貨375枚とUSドル通貨410枚とで、一時保留部18に保留可能な保留可能枚数Ntに達した場合に、入金部11に紙幣Sがあることを図示略のセンサが検知していると、制御部81は、上記と同様に復路処理を行うことになるが、その最後の処理が異なることになる。
【0100】
すなわち、制御部81は、今回のバッチ処理のそれまでの復路処理で一時保留部18から繰り出したUSドル通貨の紙幣Sの合計枚数が、今回のバッチ処理の往路処理で一時保留部18に保留されたUSドル通貨の紙幣Sの枚数未満であり、かつこれらの差がバッチ枚数Nk未満(例えば10枚)であると判断した場合、往路処理を行って、入金部11に残っている紙幣Sを一時保留部18に、今回のバッチ処理で保留されて残っている紙幣Sの枚数(例えば10枚)との合計枚数が保留可能枚数Ntの範囲内となるように保留してから、再び復路処理を行う。これらの処理を適宜繰り返して入金部11に残っている紙幣Sがなくなるようにする。
【0101】
以上のバッチ処理の基本制御は、
図9に示すフローチャートに基づく。すなわち、演算装置15の制御部81が、図示略のセンサによる入金部11への紙幣Sの入金を検知すると(ステップS101)、演算装置15の算出部82が、その時点で一時保留部18に保留可能な紙幣Sの保留可能枚数Ntを算出する(ステップS102)。すると、制御部81が、入金部11および搬送機構20を駆動制御して、保留可能枚数Ntまでの範囲の紙幣Sを、可能な限り多く、入金部11から一時保留部18に向けて搬送し(ステップS103)、一時保留部18に保留する(ステップS104)。すなわち、算出部82により算出された、一時保留部18に保留可能な枚数の紙幣Sを一時保留部18に搬送して保留する。その際に、一時保留部18はドラム31によりテープ30とともに紙幣Sを一枚ずつ巻き取って保留する。
【0102】
次に、制御部81は一時保留部18を駆動制御して、一時保留部18に保留された紙幣Sのうち予め設定されたバッチ枚数Nkの紙幣Sを一時保留部18から繰り出し、搬送機構20により搬送して、出金部12に繰り出す(ステップS105)。すなわち、一時保留部18に保留された紙幣Sを一枚ずつバッチ枚数に到達するまで出金部12に出金する。そして、一時保留部18から出金部12へ繰り出した紙幣Sの合計枚数である合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留した保留枚数になったか否かを判定し(ステップS106)、合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留した保留枚数になった場合(ステップS106:YES)、制御部81は、一時保留部18に保留した紙幣Sの全てを整理計数したと判断してバッチ処理を終了する。
【0103】
一方、合計繰り出し枚数が、今回のバッチ処理において一時保留部18に保留した保留枚数になっていない場合(ステップS106:NO)、言い換えれば、紙幣Sの合計繰り出し枚数が保留枚数未満である場合、制御部81は今回のバッチ処理で一時保留部18に保留した紙幣Sのうち、その時点で、一時保留部18に残っている枚数である保留残がバッチ枚数Nk以上であるか否かを判定する(ステップS107)。保留残がバッチ枚数Nk以上である場合(ステップS107:YES)、一時保留部18に保留されている紙幣Sでバッチ枚数Nkを計数し繰り出すことができるので、ステップS105に戻って、バッチ枚数Nkの紙幣Sを一時保留部18から再び繰り出し、搬送機構20により出金部12に搬送する。
【0104】
一方、一時保留部18に保留される紙幣Sの保留残がバッチ枚数Nk以上でない場合(ステップS107:NO)、一時保留部18で保留されている紙幣Sでバッチ枚数Nkを計数し繰り出すことができないので、一時保留部18を駆動制御し、今回のバッチ処理で一時保留部18に保留した紙幣Sのうち、その時点で、一時保留部18に残っている枚数である保留残を一時保留部18から繰り出し、搬送機構20により搬送して出金部12に繰り出す(ステップS108)。
【0105】
以上の通り、実施形態では、
(1)入金部11に投入された複数枚の紙葉類(紙幣S)を、予め設定されたバッチ枚数ずつ計数して出金部12に出金する紙葉類処理装置10であって、入金部11に投入された紙幣Sの保留および当該保留した紙幣Sの繰り出しを行う一時保留部18と、一時保留部18における紙幣Sの繰り出し制御および入金部11に投入された紙幣Sの搬送制御を行う制御部81と、を有し、制御部81は、一時保留部18に保留された紙幣Sを前記バッチ枚数ずつ繰り出して出金部12に分割して出金する制御を行う構成とした。
【0106】
このように構成すると、紙葉類処理装置10は、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sを一時保留部18に保留し、この一時保留部18に保留した紙幣Sをバッチ枚数ずつ繰り出して出金部12に分割して出金する。すると、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sをバッチ枚数ずつ一時保留部18に保留してから、その保留したバッチ枚数の紙幣Sの全てを出金部12に搬送する処理を、入金部11に投入された紙幣Sが無くなるまで繰り返す場合に比べて、入金部11に投入された紙幣Sを一度に纏めて一時保留部18に保留する分だけ、入金部11から一時保留部18への紙幣Sの搬送回数を減らすことができ、紙幣Sをバッチ枚数ずつ取り出す時間を短くすることができる。したがって、バッチ処理の効率を向上させることができる。
【0107】
(2)一時保留部18は、紙幣Sを一枚ずつ巻き取り可能に構成された回転体(ドラム31)を有し、ドラム31は、巻き取った紙幣Sを一枚ずつ繰り出す構成とした。
【0108】
このように構成すると、一時保留部18が有するドラム31は、紙幣Sの巻き取り及び繰り出しを一枚ずつ正確に行うことが可能である。よって、紙葉類処理装置10では、このようなドラム31を有する一時保留部18に保留した複数枚の紙幣Sをバッチ枚数に到達するまで一枚ずつ繰り出すことで、入金部11から一時保留部18への紙幣Sの搬送回数を減らし、紙幣Sの所定枚数ずつの計数時間を短くすることができる。
【0109】
(3)一時保留部18に保留可能な紙幣Sの枚数を算出する算出部82を有し、制御部81は、算出部82で算出した一時保留部18に保留可能な枚数の紙幣Sを一時保留部18に保留する構成とした。
【0110】
このように構成すると、制御部81は、入金部11に投入された紙幣Sのうち、算出部82で算出した一時保留部18に保留可能な枚数の紙幣Sを一時保留部18に一度に保留するので、一時保留部18に効率良く紙幣Sを保留することができ、紙幣Sの入金部11から一時保留部18への搬送回数を減らすことができる。
【0111】
(4)算出部82は、空状態の一時保留部18に保留可能な紙葉類の最大保留可能枚数と、一時保留部18に現在保留されている紙幣Sの枚数とに基づいて、現時点で一時保留部18に保留可能な紙葉類の保留可能枚数を算出する構成とした。
【0112】
このように構成すると、紙葉類処理装置10は、算出部82により算出された、現時点で一時保留部18に保留可能な保留可能枚数の紙幣Sを一時保留部18に一度に保留したのち、この保留した紙幣Sをバッチ枚数に到達するまで一時保留部18から一枚ずつ繰り出すことができる。よって、紙葉類処理装置10は、現時点で一時保留部18に保留可能な保留可能枚数の紙幣Sを保留した一時保留部18から紙幣Sをバッチ枚数に到達するまで一枚ずつ繰り出す処理を、入金部11に投入された紙幣Sが無くなるまで繰り返せばいいので、入金部11から一時保留部18への紙幣Sの搬送回数を減らすことができ、紙幣Sの計数処理に必要な時間を一時保留部18の保留容量に応じて最大限短くすることができる。
【0113】
(5)入金部11に投入された複数枚の紙幣Sのうち予め設定されたバッチ枚数だけ紙幣Sを計数して出金部12に搬送する計数モードと、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sを所定の種類ごとに分類して収納する収納モードと、を切り替えるモード切替部84を有する構成とした。
【0114】
このように構成すると、紙葉類処理装置10は、モード切替部84により計数モードに切り替えることにより、入金部11に投入された紙幣Sを一時保留部18に保留した後、一時保留部18から出金部12に繰り出す。よって、紙葉類処理装置10では、入金部11に投入された紙幣Sを一時保留部18に巻取り可能な最大限の枚数だけ一時保留部18に一度に巻き取っておき、そこから一枚ずつバッチ枚数に到達するまで分けて出金部12に繰り出すことができる。これにより、紙葉類処理装置10では、入金部11に投入された紙幣Sをバッチ枚数ずつ取り出す計数モードにおいて、入金部11から一時保留部18への紙幣Sの搬送回数を減らすことができ、紙幣Sの計数処理の時間を短くすることができる。
【0115】
(6)制御部81は、一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数が、予め設定されたバッチ枚数未満であると判断した場合、入金部11に投入された紙幣Sを、一時保留部18に保留される紙幣Sの枚数が少なくともバッチ枚数以上となるように一時保留部18に保留する構成とした。
【0116】
このように構成すると、制御部81は、一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数がバッチ枚数よりも少ないと判断した場合、一時保留部18に保留される紙幣Sの枚数がバッチ枚数以上となるように入金部11から紙幣Sを搬送する。よって、紙葉類処理装置10は、入金部11に投入された紙幣Sを効率よく計数処理することができる。
【0117】
(7)紙葉類処理装置10の稼動状況に関する情報を表示する表示部(操作表示部14)をさらに有し、操作表示部14は、一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数が予め設定されたバッチ枚数以上である第1状態と、一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数が予め設定されたバッチ枚数未満である第2状態とで、紙葉類処理装置10の稼働状況を異なる表示態様で表示する構成とした。
【0118】
このように構成すると、紙葉類処理装置10では、一時保留部18に保留されている紙幣Sの枚数がバッチ枚数未満となった場合、操作表示部14によりその旨が明確に表示されるので、バッチ枚数の計数が行えない状況を視認により容易に把握することができる。
【0119】
(8)入金部11に投入された複数枚の紙幣Sを、予め設定されたバッチ枚数ずつ計数して出金部12に出金する紙葉類処理方法であって、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sのうち一時保留部18に保留可能な枚数を算出し、前記算出された一時保留部18に保留可能な枚数の紙幣Sを一時保留部18に搬送して保留し、一時保留部18に保留された紙幣Sを一枚ずつバッチ枚数に到達するまで出金部12に出金する構成とした。
【0120】
このように構成すると、紙葉類処理装置10は、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sを一時保留部18に保留し、この一時保留部18に保留した紙幣Sをバッチ枚数ずつ繰り出して出金部12に分割して出金する。すると、入金部11に投入された複数枚の紙幣Sをバッチ枚数ずつ一時保留部18に保留してから、その保留したバッチ枚数の紙幣Sの全てを出金部12に搬送する処理を、入金部11に投入された紙幣Sが無くなるまで繰り返す場合に比べて、入金部11に投入された紙幣Sを一度に纏めて一時保留部18に保留する分だけ、入金部11から一時保留部18への紙幣Sの搬送回数を減らすことができ、紙幣Sをバッチ枚数ずつ取り出す時間を短くすることができる。したがって、バッチ処理の効率を向上させることができる。
【0121】
(9)一時保留部18は、回転体(ドラム31)により紙幣Sを一枚ずつ巻き取って保留する構成とした。
【0122】
このように構成すると、制御部81は、入金部11に投入された紙幣Sのうち、算出部82で算出した一時保留部18に保留可能な枚数の紙葉類を一時保留部18に一度に保留するので、一時保留部18に効率良く紙幣Sを保留することができ、紙幣Sの入金部11から一時保留部18への搬送回数を減らすことができる。
【0123】
(10)空状態の前記一時保留部に保留可能な紙幣Sの最大保留可能枚数と、前記一時保留部に現在保留されている紙幣Sの枚数とに基づいて、現時点で前記一時保留部に保留可能な紙幣Sの保留可能枚数を算出する構成とした。
【0124】
このように構成すると、紙葉類処理装置10は、算出部82により算出された、現時点で一時保留部18に保留可能な保留可能枚数の紙幣Sを一時保留部18に一度に保留したのち、この保留した紙幣Sをバッチ枚数に到達するまで一時保留部18から一枚ずつ繰り出すことができる。よって、紙葉類処理装置10は、現時点で一時保留部18に保留可能な保留可能枚数の紙幣Sを保留した一時保留部18から紙幣Sをバッチ枚数に到達するまで一枚ずつ繰り出す処理を、入金部11に投入された紙幣Sが無くなるまで繰り返せばいいので、入金部11から一時保留部18への紙幣Sの搬送回数を減らすことができ、紙幣Sの計数処理に必要な時間を一時保留部18の保留容量に応じて最大限短くすることができる。
【0125】
以上においては、紙葉類として紙幣を処理する紙葉類処理装置10を例にとり説明したが、紙幣以外の、有価証券、金券等の、種々の紙葉類を同様に処理する装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0126】
10 紙葉類処理装置
11 入金部
12 出金部
14 操作表示部(表示部)
18 一時保留部
31 ドラム(回転体)
81 制御部
82 算出部
84 モード切替部
S 紙幣(紙葉類)