(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】トルクセンサのステータ構造
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
G01L3/10 301J
(21)【出願番号】P 2019128991
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴広
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5177661(JP,B2)
【文献】特許第4638713(JP,B2)
【文献】特開2008-203165(JP,A)
【文献】特開昭59-46527(JP,A)
【文献】特開昭59-43323(JP,A)
【文献】特開平11-14474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(90)に付与した磁歪部(110)の周知のビラリ効果(Villari Effect)を利用したステータ構造において、
前記軸(90)の外側に設けられ、複数個のコアを連設してなる磁路一体型の磁気コアブロック(10a)を備え、
前記各磁気コアブロック(10a)のバックヨーク(100)には、複数の溝(101、102)を介して形成された複数のティース端面(260a、260b、260c)と、
前記軸(90)を介して互いに対向する前記各ティース端面(260a~260c)に傾斜して形成された辺(30a~30c)と、
前記各溝(101、102)内に絶縁コート部(200)を介して形成された各コイルパターン(201、202)と、が設けられ、
前記各磁気コアブロック(10a)を輪状に形成した時、前記各辺(30a~30c)同士が前記軸(90)を介して向かい合うように配置された構成とすることにより、前記軸(90)の軸方向(E)に対して斜め方向(0°より大きく90°より小さい)に傾けた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として検出する構成よりなるトルクセンサのステータ構造。
【請求項2】
前記各溝(101、102)は、前記軸(90)の
前記軸方向(E)に対して非直角方向に形成されていることにより、前記各溝(101、102)に設けられた前記各コイルパターン(201、202)から互いに異なる方向の磁束が流れるようにした構成の請求項1記載のトルクセンサのステータ構造。
【請求項3】
前記各磁気コアブロック(10a)は、3個の
前記ティース端面(260a~260c)及び2個の
前記溝(101、102)が前記バックヨーク(100)と共に一体形成されている構成よりなる
請求項1又は2記載のトルクセンサのステータ構造。
【請求項4】
前記各コイルパターン(201、202)における第1、第2磁束方向(107、108)からの前記磁束は、前記各ティース端面(260a~260c)から前記軸方向(E)に対して、斜め方向(0°より大きく90°より小さい)で、かつ、上下又は左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号(V
L1、V
R1)を得て、その差分(111)をとる構成からなる請求項1
、2、3の何れか1項に記載のトルクセンサのステータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサのステータ構造に関し、特に、軸に付与した磁歪部の周知のビラリ効果(Villari Effect)を利用した歪み検出センサのステータ構造に関し、特に、互いに対向するティース端面に傾斜した辺を付け、各辺同士が向かい合うように配置し、軸方向に対して斜め方向に傾き主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として効率よく検出することである。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のトルクセンサとしては、特許文献1に開示された構成を挙げることができる。すなわち、
図7は、トルクセンサ10の構造を示す図であり、具体的には、回転軸90の軸に垂直な向きから見た断面図である。
このトルクセンサ10は、磁歪特性を利用して回転軸90に印加されるトルクを検出する。磁歪特性を利用するため、トルクセンサ10は、回転軸90の軸方向に対して+45°の透磁率の変動を検出する図上側の第1の磁気コアユニット20Rと、-45°の透磁率の変動を検出する図下側の第2の磁気コアユニット20Lとを有する。この2方向の透磁率変化を測定することにより、回転軸90に印加されたトルクの向き及び大きさを検出する。回転軸90は磁歪材料で形成され、例えばニッケル・クロム・モリブデン鋼で形成される。この材料は例えば自動車のエンジンにおけるクランクシャフト材として一般に使用される。
【0003】
また、第1の磁気コアユニット20R全体は、一般的なハウジング(図示せず)に収容されており、例えばモールド材(図示せず)を用いて固定される。また、ハウジングには、導出部が設けられ、この中に外部回路が設けられる。外部回路は、図示しない各コイルに電力を供給したり、検出された出力信号を取得したりする。また、ハウジングの周囲に設けられた固定用ボルト孔に固定用ボルトを貫通させ、外部の固定箇所にネジ止めすることによってハウジングが固定される。なお、第2の磁気コアユニット20Lも、同様にハウジングに収容されている。
【0004】
図8に示されるものは、
図7のトルクセンサに用いられている磁気コアの斜視図であり、巻線部105を構成する励磁用コイル214aと検出用コイル215aとを有するボビン250の軸方向両端に、貫通孔270を介して第1ティース端面260a及び第2ティース端面260bが設けられている。
前記各ティース端面260a、260bは、その先端に、前記軸90の表面にならって曲折形成された第1辺30a及び第2辺30bが形成されている。
また、前述の構成のトルクセンサ10において、励磁周波数20kHz、励磁電流50mA、励磁用コイル100ターン、検出用コイル200ターン、第1及び第2ティース端面260a、260bの凸部(図示せず)と回転軸表面の空隙(磁気ギャップ)を1mmとした。一方の磁気コアユニットは、
図9に示すように、第1及び第2ティース端面260a、260bの中央を結ぶ角度が45度となるのに対し、他方の磁気コアユニットでは-45度となるようにした。一方の磁気コアユニットと他方の磁気コアユニットを近づけて配置する場合、同じ極性の磁気コア端面同士が近接するように配置すると(N極同士を近接させ、S極同士を近接させる)、磁気コアユニット間における漏洩磁束を防止できるので好ましい。
【0005】
各コイルの繋げ方と巻きまわす方向については
図9に示すものとした。
図9はコイルの接続状態、励磁用コイルを巻き回す向きと磁束成分の向きを説明する回転軸表面の展開図、
図10は回転軸を示す一部構成図、
図11は軸と磁気コアとの関係を示す構成図である。
【0006】
図9における1個目の磁気コアのティース端面260a、260bは、おのおの
図9の領域S1、領域N1と対向し、領域S1及び領域N1間に実線矢印(太線)で示した向きの磁束が回転軸表面90f上に流される。2個目の磁気コアのティース端面260a、260bは、おのおの
図9の領域S2、領域N2と対向し、領域S2及び領域N2間に実線矢印(太線)で示した向きの磁束が
図11の回転軸表面90f上に流される。3個目の磁気コアのティース端面260a、260bは、おのおの
図9の領域S3、領域N3と対向し、領域S3及び領域N3間に実線矢印(太線)で示した向きの磁束が回転軸表面90f上に流される。4個目の磁気コアのヨーク端部の端面260a、260bは、おのおの
図9の領域S4、領域N4と対向し、領域S4及び領域N4間に実線矢印(太線)で示した向きの磁束が回転軸表面90f上に流される。
【0007】
図12は、前記回転軸90が回転した時に発生するトルクTに対する出力電圧Vの関係を示しており、第1信号V
L1と第2信号V
R1の信号との差分(トルクTを表わす)である第3信号V
O1が負側と正側とで得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のトルクセンサは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、回転方向によって透磁率が異なる構成からなる軸の周囲に磁気コアを、わずかなギャップを介して配設し、ギャップパーミアンスによって出力される信号の測定によって、回転軸の左右トルクを測定する構成であるが、前記磁束はもっとも磁気抵抗が低い部分を主として流れるため、主磁束は第1ティース端面と第2ティース端面との距離がもっとも近いところを軸方向に対して垂直に流れ、トルク検出に寄与しないため、検出効率が悪くなっていた。
また、巻線部と磁歪部に磁束を流すヨークとが分離しているため、磁気的損失が存在し、加工及び組立のばらつきにより誤差が発生する。
さらに、アッセンブリ化された磁気コアは、磁束の方向に関係なくそれぞれ分離しているため、トルクセンサの精度悪化の要因となっていた。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、軸に付与した磁歪部のビラリ効果を利用した歪み検出センサのステータ構造において、軸と対向するティース端面に傾斜した辺を付け、各辺同士が向かい合うように配置し、軸方向に対して斜め方向に傾き主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として効率よく検出することができるステータ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるステータ構造は、軸に付与した磁歪部の周知のビラリ効果(Villari Effect)を利用したステータ構造において、前記軸の外側に設けられ、複数個のコアを連設してなる磁路一体型の磁気コアブロックを備え、前記各磁気コアブロックのバックヨークには、複数の溝を介して形成された複数のティース端面と、前記軸を介して互いに対向する前記各ティース端面に傾斜して形成された辺と、前記各溝内に絶縁コード部を介して形成された各コイルパターンと、が設けられ、前記各磁気コアブロックを輪状に形成した時、前記各辺同士が前記軸を介して向かい合うように配置された構成とすることにより、前記軸の軸方向に対して斜め方向(0°より大きく90°より小さい)に傾けた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として検出する構成であり、また、前記各溝は、前記軸の軸方向に対して非直角方向に形成されていることにより、前記各溝に設けられた前記コイルパターンから互いに異なる方向の磁束が流れるようにした構成であり、また、前記各磁気コアブロックは、3個のティース端面及び2個の溝が前記バックヨークと共に一体形成されている構成であり、また、前記各コイルパターンにおける前記第1、第2磁束方向からの磁束は、前記各ティース端面から前記軸方向に対して、斜め方向(0°より大きく90°より小さい)で、かつ、上下又は左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号を得て、その差分をとるようにした構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるステータ構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、軸に付与した磁歪部の周知のビラリ効果(Villari Effect)を利用したステータ構造において、前記軸の外側に設けられ、複数個のコアを連設してなる磁路一体型の磁気コアブロックを備え、前記各磁気コアブロックのバックヨークには、複数の溝を介して形成された複数のティース端面と、前記軸を介して互いに対向する前記各ティース端面に傾斜して形成された辺と、前記各溝内に絶縁コート部を介して形成された各コイルパターンと、が設けられ、前記各磁気コアブロックを輪状に形成した時、前記各辺同士が前記軸を介して向かい合うように配置された構成とすることにより、前記軸の軸方向に対して斜め方向(0°より大きく90°より小さい)に傾けた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として検出する構成よりなるため、バックヨークとティース端面とが一体に構成されているため、機械的精度が従来より大幅に向上する。
また、前記各溝は、前記軸の軸方向に対して非直角方向に形成されていることにより、前記各溝に設けられた前記各コイルパターンから互いに異なる方向の磁束が流れるようにした構成により、主磁束を磁歪部の軸方向に対して斜め方向に形成されることで、検出効率(感度)を向上させることができる。
また、前記各磁気コアブロックは、3個のティース端面及び2個の溝が前記バックヨークと共に一体形成されている構成であるため、磁気的に効率の良い磁気コアをつくり、製造誤差を抑えることができる。
また、前記各コイルパターンにおける前記第1、第2磁束方向からの磁束は、前記各ティース端面から前記軸方向に対して、斜め方向(0°より大きく90°より小さい)で、かつ、上下又は左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号を得て、その差分をとる構成からなるため、同一の磁気コアにおいて、複数のティースを組み合わせたことにより、磁歪部の軸方向に対して斜めの磁束を上下または左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号を取得し、検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係るトルクセンサのステータ構造における1個の磁気コアブロックを示す斜視図である。
【
図2】
図1の磁気コアブロックの溝内にコイルパターンを装着した状態を示す磁歪部を示す模式図である。
【
図3】トルクセンサの作動時の出力信号の説明図である。
【
図4】
図1の磁気コアブロックを複数組み合わせ、斜めの磁束を形成するティース端面を上下及び左右対称に配置した模式図である。
【
図5】
図1の磁気コアブロックを複数組み合わせ、磁路一体型コアの形態を示す模式図である。
【
図7】従来のトルクセンサを示す概略断面図である。
【
図8】
図7の磁気コアを示す概略拡大断面図である。
【
図9】従来の磁気ステータの各ヨーク端部の中心が斜め45°になるように配置された磁気ステータの展開図である。
【
図11】従来の軸と磁気コアとの関係を示す構成図である。
【
図12】従来の出力電圧VとトルクTとの関係を示す特定図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるステータ構造は、軸に付与した磁歪部のビラリ効果を利用した歪み検出センサのステータ構造において、軸と対向するティース端面に傾斜した辺を付け、各辺同士が向かい合うように配置し、軸方向に対して斜め方向に傾いた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として効率よく検出することである。
【実施例】
【0015】
以下、図面と共に本発明によるステータ構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るトルクセンサのステータ構造の多数の磁気コアブロック10aの中の1個の磁気コアブロックを示すものである。
前記磁気コアブロック10aは、全体が磁性材を、例えば、金属射出成形機で一体に成形したもので、さらに詳しく言えば、基板の役目をなすバックヨーク100に対して一体に、第1ティース端面260a、第2ティース端面260b、及び第3ティース端面260cを形成した構成である。
【0016】
前記各ティース端面260a、260b、及び260c間には、第1溝101及び第2溝102が形成されており、前記各ティース端面260a、260b、260cの表面には、
図10で示される軸90の周面91の曲面に対向する曲折面からなる第1辺30a、第2辺30b及び第3辺30cが、軸90の表面からわずかなギャップを介して配設されている。
【0017】
前記各溝101、102には、表面側Pからみてハの字型をなすように、第1、第2絶縁コート部200、200aを介して一対の第1、第2コイルパターン201、202が配設され、第1磁束方向107及び第2磁束方向108が発生するように構成されている。
尚、前記各コイルパターン201、202は、各溝101、102に配設されていることが
図2に示されている。
従って、
図2の構成により、1個の磁歪部110が形成されている。
【0018】
図3は、
図4で示す多数の磁気コアブロック10a、すなわち、磁歪部110を筒状(
図5、
図6)に配設したステータ構造を用いて、前記軸90を回転させた時の第1磁束方向107から得られる第1信号V
L1と第2磁束方向108(すなわち、第1磁束方向107と対称)から得られる第2信号V
R1が得られ、その差分111が得られる。
尚、従来の状態では、
図8に示されるように、各巻線部105及び106の励磁用コイル214aで励磁し、軸90のねじれを検出用コイル215aで出力信号を得るようにした構成であるが、本実施の形態では、前記軸90の透磁率の変化を利用し、多数の磁歪部110で出力電圧差として取り出す構成である。本実施の形態では、前述の磁歪部110を用いた周知のビラリ効果(Villari Effect)、すなわち、応力の作用下での、磁場中にある強磁性物質内における透磁率の変化を利用している。
【0019】
図4は、一対の磁気コアブロック10aを用い、斜め磁束を形成するティース端面260a、260b、260cの組み合わせによって、上下及び左右対称に配置した構成図である。以下に
図4の基礎となる
図1の動作について説明する。
軸90に付与した磁歪部110のビラリ効果を利用した歪みの検出センサ150(
図2)において、軸90と対向するティース端面260a、260b、260cに傾斜した辺30a、30b、30cを付け、完成品としては、その辺同士が向かい合うように配置することにより、軸90の軸方向Eに対して斜め方向(0°より大きく90°より小さい)に傾けた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として、効率よく検出できる。磁束の傾きが45°のとき、効率最大となる。また、ティースとそれを繋ぐコイルパターン201、202及びバックヨーク100を一体化させ、連続した磁性体で構成することで、磁気的な損失の少ない効率的なコアとし、一対で製造することで製造誤差を抑える。さらに、同一コアで、複数のティースを用いて軸方向に対して斜め方向(0°より大きく90°より小さい)の磁束を上下又は左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号V
L1、V
R1を得ることができ、
図3のように、その差分111をとることで、検出精度を向上させることが出来る。
【0020】
図5の構成は、4個の磁気コアブロック10aを組み合わせた構成を示し、実際には、さらに5個の磁気コアブロック10aを設けて完成品とするが、ここでは4個を組み合わせた場合について述べる。
図4~
図6に本発明を実施する為の構成の一例を記載する。実施の形態の磁気コアブロックの最小単位を任意のN個とし、その磁気コアブロックを軸周方向に配置する。
本実施の形態では、軸90と対向するティース端面260a、260b、260cの傾斜した辺30a、30b、30c同士を向かい合わせ、
図2に示す軸方向Eに対して斜め方向に傾けた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として、効率よく検出できる。また、ティース端面260a、260b、260cとそれを繋ぐコイルパターン201、202及びバックヨーク100を一体化させ、連続した磁性体で構成することにより、磁気的な損失の少ない効率的な磁気コアブロックとする。さらに、同一の磁気コアブロックにおいて、上下または左右または上下左右対称な複数のティース端面260a、260b、260cの組み合わせにより、軸方向Eに対して斜め方向の磁束を上下または左右または上下左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号V
L1、V
R1を得ることができ、その差分111をとることで、検出精度を向上させることが出来る。
【0021】
従って、主磁束を磁歪部110の軸方向Eに対して斜め方向に形成することで、検出効率(感度)を向上させることができる。ティース端面260a、260b、260cとコイルパターン201、202及びバックヨーク100を一体の連続した磁性体で構成することで、磁気的に効率の良い磁気コアブロックをつくり、製造誤差を抑えることができる。
同一の磁気コアブロックにおいて、複数のティース端面260a、260b、260cを組み合わせにより、磁歪部110の軸方向Eに対して斜めの磁束を上下または左右対称に形成することで、歪み方向に対して対称な複数の信号VL1、VR1を取得し、その差分111によって検出精度を向上させる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ステータ構造に関し、特に、軸に付与した磁歪部の周知のビラリ効果(Villari Effect)を利用したステータ構造において、前記軸の外側に設けられ、複数個のコアを連設してなる磁路一体型の磁気コアブロックを備え、前記各磁気コアブロックのバックヨークには、複数の溝を介して形成された複数のティース端面と、前記軸を介して互いに対向する前記各ティース端面に傾斜して形成された辺と、前記各溝内に絶縁コート部を介して形成された各コイルパターンと、が設けられ、前記各磁気コアブロックを輪状に形成した時、前記各辺同士が前記軸を介して向かい合うように配置された構成とすることにより、前記軸の軸方向に対して斜め方向(0°より大きく90°より小さい)に傾けた主磁束を流すことができ、歪みとその方向を磁束の変化として、検出する構成である。
【符号の説明】
【0023】
10 トルクセンサのステータ構造
10a 磁気コアブロック(磁路一体型)
30a 第1辺
30b 第2辺
30c 第3辺
90 軸
100 バックヨーク
101 第1溝
102 第2溝
107 第1磁束方向
108 第2磁束方向(第1磁束方向と対称)
110 磁歪部
111 第1、第2磁束方向の信号の差分
150 検出センサ
201 第1コイルパターン
202 第2コイルパターン
214a 励磁用コイル
215a 検出用コイル
260a 第1ティース端面
260b 第2ティース端面
260c 第3ティース端面
E 軸方向
P 表面側
VL1 第1磁束方向から得られる第1信号
VR1 第2磁束方向108(第1磁束方向と対称)から得られる第2信号