IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人物質・材料研究機構の特許一覧

特許7179311積層電解質膜、該電解質膜の製造方法、及び燃料電池
<>
  • 特許-積層電解質膜、該電解質膜の製造方法、及び燃料電池 図1
  • 特許-積層電解質膜、該電解質膜の製造方法、及び燃料電池 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】積層電解質膜、該電解質膜の製造方法、及び燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1053 20160101AFI20221121BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20221121BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20221121BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20221121BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20221121BHJP
   H01M 8/1039 20160101ALI20221121BHJP
   H01M 8/1044 20160101ALI20221121BHJP
   H01M 8/1067 20160101ALI20221121BHJP
【FI】
H01M8/1053
C08J5/18
C08L101/00
C08L101/12
H01M8/10 101
H01M8/1039
H01M8/1044
H01M8/1067
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018142406
(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2020021549
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和哉
(72)【発明者】
【氏名】石本 仁
(72)【発明者】
【氏名】高田 祐助
(72)【発明者】
【氏名】金 済徳
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-209465(JP,A)
【文献】特開2009-295572(JP,A)
【文献】特開2006-155924(JP,A)
【文献】特開平06-076838(JP,A)
【文献】特開2008-234844(JP,A)
【文献】特開2005-336475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/10
H01M 8/02
C08L 101/00
C08L 101/12
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロトン伝導性高分子と合成樹脂とが複合化されている第1電解質膜と、
第2プロトン伝導性高分子を含み、前記第1電解質膜と一体化された第2電解質膜と、を備え、
前記合成樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及び尿素樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、積層電解質膜。
【請求項2】
前記第1プロトン伝導性高分子および前記第2プロトン伝導性高分子の少なくとも一方は、フッ素系高分子および炭化水素系高分子よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の積層電解質膜。
【請求項3】
前記第1電解質膜を両側から挟む一対の前記第2電解質膜を具備する、請求項1又は2に記載の積層電解質膜。
【請求項4】
前記第1電解質膜の厚さは、前記第2電解質膜の厚さよりも大きい、請求項に記載の積層電解質膜。
【請求項5】
前記積層電解質膜の厚さは、15μm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層電解質膜。
【請求項6】
前記第1電解質膜は、繊維状の補強材を含まない、請求項1~のいずれか1項に記載の積層電解質膜。
【請求項7】
前記第1プロトン伝導性高分子と前記第2プロトン伝導性高分子とは、同種の骨格を有している、請求項1~のいずれか1項に記載の積層電解質膜。
【請求項8】
前記第1電解質膜における前記合成樹脂の含有量は、1質量%以上、60質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層電解質膜。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の積層電解質膜と、
前記積層電解質膜を両側から挟む一対の触媒層と、
を備える燃料電池。
【請求項10】
前記触媒層は、第3プロトン伝導性高分子を含み、
前記第3プロトン伝導性高分子の骨格は、前記第2プロトン伝導性高分子の骨格と同種である、請求項に記載の燃料電池。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の積層電解質膜の製造方法であって、
前記第1プロトン伝導性高分子と、前記合成樹脂の前駆体とを含む溶液中で、前記前駆体を重合させて、前記第1電解質膜を形成することと、
前記第1電解質膜の少なくとも一方の面に、前記第2電解質膜を形成し、前記第1電解質膜と前記第2電解質膜とを一体化させることとを含む、積層電解質膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池の電解質層として用いられるプロトン伝導性を有する電解質膜に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料と酸化剤との電気化学反応により発電し、水を生成するクリーンな発電装置である。燃料電池は、例えば、プロトン伝導性を有する電解質膜と、電解質膜を挟むように配置された2つの触媒層と、各触媒層をそれぞれ介して電解質膜を挟むように配置された2つのガス拡散層と、各ガス拡散層をそれぞれ介して電解質膜を挟むように配置された2つのセパレータとを備える。プロトン伝導性を有する電解質膜としては、多くの高分子電解質膜が提案されている(非特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Applied Energy, 88, 981-1007 (2011)
【文献】J. Hydro. Eng., 38, 4901-4934 (2013)
【文献】J. ECS., 164, F387-F399 (2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロトン伝導性を有する電解質膜は、プロトン輸送とガス遮断の役割を担っている。プロトン伝導性を向上させる観点からは、電解質膜を薄膜化することが有効である。一方、電解質膜が薄くなると、電解質膜の機械的強度が低下し、ガス遮断性も低下する。すなわち、従来の高分子電解質膜は薄膜化に限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、第1プロトン伝導性高分子と合成樹脂とを含む第1電解質膜と、第2プロトン伝導性高分子を含み、前記第1電解質膜と一体化された第2電解質膜と、を備え、前記合成樹脂は、縮合性樹脂である、積層電解質膜に関する。
【0006】
本開示の別の側面は、第1プロトン伝導性高分子と合成樹脂とを含む第1電解質膜と、第2プロトン伝導性高分子を含み、前記第1電解質膜と一体化された第2電解質膜と、を備え、前記合成樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂およびポリアミドよりなる群から選択される少なくとも1種である、積層電解質膜に関する。
【0007】
本開示の更に別の面は、上記積層電解質膜と、前記積層電解質膜を両側から挟む一対の触媒層と、を備える燃料電池に関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、薄く、かつ機械的強度とガス遮断性に優れた積層電解質膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来の電解質膜(a)と、本開示の一実施形態に係る積層電解質膜(b)とを対比して示す概念図である。
図2】本開示の一実施形態に係る燃料電池の単セルの構造を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る積層電解質膜は、第1プロトン伝導性高分子と合成樹脂とを含む第1電解質膜と、第2プロトン伝導性高分子を含み、第1電解質膜と一体化された第2電解質膜とを備える。ここで、積層電解質膜は、以下の条件A~Cから選ばれる少なくとも1つの条件を満たす。
【0011】
条件Aは、合成樹脂が縮合性樹脂であるという条件である。縮合性樹脂とは、その前駆体が重縮合することにより得られる樹脂である。合成樹脂(縮合性樹脂)の前駆体は、例えば溶液中で、縮合または開環して合成樹脂を生成する。ここでは、合成樹脂の前駆体は、例えば、第1プロトン伝導性高分子を含む溶液に溶解し、かつ溶液中で縮合または開環して合成樹脂を生成し得るものであればよい。このような合成樹脂は、液相中で第1プロトン伝導性高分子と十分に混じり合い、複合化されるため、第1プロトン伝導性高分子を分子レベルで補強し得る。合成樹脂は、架橋構造を有してもよい。
【0012】
条件Bは、合成樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂およびポリアミドよりなる群から選択される少なくとも1種であるという条件である。これらの合成樹脂は、通常、条件Aも同時に満たし得る。中でもポリビニルアセタール樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂および尿素樹脂は、架橋構造を形成し得るため、第1電解質膜の機械的強度を高めやすい。ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化されたポリビニルアルコールであり、例えばホルマール化されたポリビニルアルコール(いわゆるビニロン(vinylon))であってもよい。
【0013】
条件Cは、第1電解質膜の引張強度が、第2電解質膜の引張強度よりも大きいという条件である。引張強度は、JIS K7161(2014)に準拠して測定される。第1および第2電解質膜の引張強度の測定方法は、特に限定されないが、電解質膜の厚さ方向に直交する方向についての引張強度で比較すればよい。例えば、積層電解質膜から第1または第2電解質膜を剥がして、それぞれの引張強度を測定し、引張強度で比較してもよい。また、積層電解質膜全体の引張強度(Nt)と、積層電解質膜と同じ厚さを有し、全体が第2プロトン伝導性高分子からなる膜の引張強度(N2)とを比較してもよい。Nt>N2であれば条件Cが満たされている。第1電解質膜の引張強度(n1)と、第2電解質膜の引張強度(n2)とが、1.1≦n1/n2を満たすことが好ましい。
【0014】
プロトン伝導性高分子とは、通常は分子内に複数の酸基を有する高分子である。プロトン伝導性高分子内でのプロトン移動は、例えば、スルホン酸基、リン酸基等を介して行われる。第1プロトン伝導性高分子と第2プロトン伝導性高分子とは、同じプロトン伝導性高分子であってもよく、互いに異なるプロトン伝導性高分子であってもよい。
【0015】
以下、スルホン酸基を有するプロトン伝導性高分子について記述する。
スルホン酸基を有するプロトン伝導性高分子は、少なくとも2000g/mol以下のEW(Equivalent Weight)値を有する。ここで、EW値とは、スルホン酸基1モル当たりの乾燥状態の高分子のグラム数を表す。例えば、乾燥状態の高分子Wg中にnモルのスルホン酸基が含まれる場合、EW値はW/n比で示される。よって、EW値が小さいほど、スルホン酸基が多く、プロトン伝導性が大きくなる傾向がある。
【0016】
EW値は、スルホン酸基の当量(イオン交換容量)から求められる。イオン交換容量(IEC)は、所定の濃度のNaOH溶液を用いてプロトン伝導性高分子試料の滴定を行い、pHが7になるまで中和するのに要するNaOH溶液の量([A]ml)と、そのNaOH溶液の濃度([B]g/ml)から以下の計算式によって求められる。
【0017】
イオン交換容量(IEC)(meq/g)=[A]×[B]/試料重量(g)
【0018】
合成樹脂とは、第1および第2プロトン伝導性高分子以外の人工的もしくは工業的に合成された樹脂である。合成樹脂は、多少のプロトン伝導性を有してもよいが、機械的強度を維持する観点から、合成樹脂のEW値は、少なくとも2000g/molを超えればよい。
【0019】
第1電解質膜における合成樹脂の含有量は、第1電解質膜の機械的強度を十分に大きい値にし得る観点から、例えば、1質量%以上、好ましくは5質量%以上であればよい。一方、第1電解質膜におけるプロトン伝導度を十分に確保する観点から、合成樹脂の含有量は、例えば、60質量%以下であればよい。
【0020】
第2電解質膜は、通常、合成樹脂を含まないが、微量の合成樹脂を含んでもよい。そのため、合成樹脂の含有量は第2電解質膜<第1電解質膜の関係性が成り立つ。また、十分なガス遮断性と柔軟性を確保する観点から、第2電解質膜中の99質量%超が第2プロトン伝導性高分子であればよい。この場合、第2電解質膜は、実質的に合成樹脂を含まないといえる。ただし、プロトン伝導性の観点からは、第2電解質膜は合成樹脂を含まないのが好ましい。なお、第1電解質膜と第2電解質膜との境界近傍においては、第1電解質膜から拡散した合成樹脂が第2電解質膜に存在してもよい。
【0021】
積層電解質膜は、第1電解質膜を両側から挟む一対の第2電解質膜を具備することが好ましい。この場合、積層電解質膜は、少なくとも1層の第1電解質膜と、少なくとも2層の第2電解質膜とを具備する。このようなサンドイッチ構造によれば、ガス遮断性を更に高めることができる。また、触媒層と第2電解質膜とを接触させる場合、積層電解質膜と触媒層との界面抵抗を抑制しやすくなる。
【0022】
図1(a)は、従来の電解質膜1aの概念図である。従来の電解質膜1aは、実質的に合成樹脂を含まず、プロトン伝導性高分子のみで形成されている。従来の電解質膜1aは、薄膜化すると、機械的強度を維持できず、生産性が低下し、ガス遮断性も低下する。繊維状の補強材(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維)を従来の電解質膜1aに添加すれば、電解質膜1aを薄くすることは可能である。しかし、繊維の太さよりも薄い電解質膜1aを得ることは不可能である。また、このような繊維状の補強材は、一般に高価である。更に、従来の電解質膜1aは、含水等により膨潤が生じやすい。
【0023】
機械的強度およびガス遮断性に優れ、かつ薄い電解質膜を得る観点からは、合成樹脂を含み、かつ十分に薄い電解質膜(第1電解質膜)と、実質的に合成樹脂を含まず、十分に薄い電解質膜(第2電解質膜)とを積層することが有効である。合成樹脂は、第1電解質膜の補強材として機能する。よって、第1電解質膜は、第2電解質膜よりも機械的強度が優れるため、薄膜化が容易である。ただし、合成樹脂を含む第1電解質膜には、クラック、ピンホール等の欠陥が発生しやすく、単独では、高度なガス遮断性の確保が困難となり得る。一方、第2電解質膜を第1電解質膜に積層すると、第2電解質膜が非常に薄い場合でも、ガス遮断性が大きく向上する。
【0024】
図1(b)は、本開示の一実施形態に係る積層電解質膜1の概念図である。図示例の積層電解質膜1は、第1電解質膜11と、第1電解質膜11を両側から挟む一対の第2電解質膜12を具備する。これにより、仮に第1電解質膜11にクラック、ピンホール等の欠陥が生成しても、欠陥の影響が低減され、ガス遮断性が大きく損なわれることがなくなり、含水等による膨潤も抑制される。また、第1電解質膜11の寄与による機械的強度の向上により、積層電解質膜1の生産性も向上する。この場合、機械的強度を維持したまま、積層電解質膜1の厚さを非常に小さくすることができる。また、合成樹脂は、補強材に比べて安価である。
【0025】
第1プロトン伝導性高分子および第2プロトン伝導性高分子の少なくとも一方には、フッ素系高分子および炭化水素系高分子よりなる群から選択される少なくとも1種を用い得る。フッ素系高分子および炭化水素系高分子は、いずれも優れたプロトン伝導性を有する。
【0026】
プロトン伝導性高分子のうち、フッ素系高分子は、フルオロハイドロカーボンスルホン酸、パーフルオロカーボンスルホン酸などであり得る。パーフルオロカーボンスルホン酸は、例えば、テトラフルオロエチレン骨格とスルホン酸基を有するパーフルオロ側鎖とを有する。このようなパーフルオロカーボンスルホン酸として、例えばテトラフルオロエチレンとパーフルオロビニルモノマーとの非架橋共重合体が挙げられる。パーフルオロビニルモノマーは、例えばビニルエーテルであればよく、中でも(2-スルホエトキシ)プロピルビニルエーテルが好ましい。第1プロトン伝導性高分子がフッ素系高分子である場合、第2プロトン伝導性高分子もフッ素系高分子であることが好ましい。パーフルオロカーボンスルホン酸は、例えば下記の一般式(A):
【0027】
【化1】
【0028】
で示される。ここで、x、y、mおよびnは、それぞれ、例えばx=1.5~14、y=500~1500、m=0~3およびn=1~5であり得る。
【0029】
プロトン伝導性高分子のうち、炭化水素系高分子は、例えば、ベンゼン環のような芳香環が直鎖状に結合した骨格を具備する。芳香環の少なくとも一部は、スルホン酸基、スルホアルキル基等によりスルホン化されている。具体的には、炭化水素系高分子は、例えば、ポリフェニルスルホン骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリイミド骨格、ポリエーテルスルホン骨格、ポリエーテルイミド骨格、ポリスルホン骨格、ポリスチレン骨格、ポリアリーレンエーテルスルホンケトン骨格などを有し、骨格に含まれる芳香環がスルホン化された構造を有する。第1プロトン伝導性高分子が炭化水素系高分子である場合、第2プロトン伝導性高分子も炭化水素系高分子であることが好ましい。
【0030】
第1プロトン伝導性高分子と第2プロトン伝導性高分子とは、同種の骨格を有してもよい。例えば、第1プロトン伝導性高分子がテトラフルオロエチレン骨格を有する場合、第2プロトン伝導性高分子もテトラフルオロエチレン骨格を有することが好ましい。また、第1プロトン伝導性高分子が、例えば、ポリフェニルスルホン骨格、ポリエーテルエーテルケトン骨格、ポリイミド骨格、ポリエーテルスルホン骨格、ポリエーテルイミド骨格、ポリスルホン骨格、ポリスチレン骨格またはポリアリーレンエーテルスルホンケトン骨格を有する場合、第2プロトン伝導性高分子も、それぞれ対応する骨格を有することが好ましい。このように同種の骨格を採用することで、外力、熱膨張等に起因する各電解質膜の寸法変化が同程度になるため、第1電解質膜と第2電解質膜との間の剥離が生じにくい。また、積層電解質膜の挙動が均一になるため、積層電解質膜の耐久性の低下およびプロトン伝導性の低下が抑制される。
【0031】
第2電解質膜のEW値(EW2)は、第1電解質膜のEW値(EW1)より小さくてもよい。このとき、第2電解質膜は、触媒層と接触させることが好ましい。例えば、積層電解質膜が、第1電解質膜を両側から挟む一対の第2電解質膜を具備する三層構造の場合、一対の第2電解質膜がそれぞれアノードおよびカソードの触媒層と接触する。EW値が小さく、相対的に多くのスルホン酸基を有する第2電解質膜が触媒層と接触すると、より多くのプロトン移動経路を確保でき、プロトン供給律速を抑制できる。なお、より多くのプロトン移動経路が確保される場合、発電の局所的集中が防げられるので、触媒および電解質膜の劣化が抑制されやすい。
【0032】
EW値が小さくなる(スルホン酸基が多くなる)と、親水性が増加するため、プロトン伝導性高分子による膜形成が困難になり、電解質膜の機械的強度が低下する傾向がある。これに対し、積層電解質膜の場合、第1電解質膜によって機械的強度が確保されるため、第2電解質膜のEW値を十分に小さくすることが可能である。換言すれば、EW値が小さく、機械的強度の小さい第2電解質膜を用いる場合でも、積層電解質膜の全体的な機械的強度を高く維持し得る。
【0033】
第2電解質膜のEW値(EW2)の第1電解質膜のEW値(EW1)に対する比:EW2/EW1は、例えば0.2≦EW2/EW1<1を満たし、より好ましくは0.5≦EW2/EW1≦0.9を満たす。また、EW1は、例えば400g/mol<EW1≦2000g/molを満たし、EW2は、例えば400g/mol≦EW1≦1500g/mol満たす。
【0034】
積層電解質膜の厚さは、例えば15μm以下とすることができ、10μm以下にまで小さくすることもできる。その際、補強材等を使用しなくても十分な機械的強度を維持できる。一方、合成樹脂を含まない従来の電解質膜の場合、補強材等を使用しなければ厚さを15μm以下にすると、機械的強度を維持することが困難である。
【0035】
第1電解質膜は、機械的強度を更に高める観点から繊維状の補強材を含んでもよいが、繊維状の補強材を使用すると、第1電解質膜の厚さT1が繊維の太さに規制され得る。よって、第1電解質膜は、繊維状の補強材を含まないことが好ましい。
【0036】
積層電解質膜が、第1電解質膜を両側から挟む一対の第2電解質膜を具備する三層構造の場合、第1電解質膜の厚さ(T1)は、第2電解質膜の厚さ(T2)よりも大きくてもよい。ここで、T2は、一対の第2電解質膜のそれぞれの厚さである。よって、三層構造の積層電解質膜の厚さ(T)は、T=T1+2×T2の式で導かれる。T1≧T2とすることで、積層電解質膜の全体の厚さTを小さくしつつ、機械的強度を効率的に高め得る。T2に対するT1の比:T1/T2は、例えば1.0≦T1/T2≦300を満たし、より好ましくは1.5≦T1/T2≦100を満たす。
【0037】
なお、T1は、例えば1μm≦T1≦150μmを満たし、T2は、例えば0.5μm≦T2≦50μmを満たす。例えば、積層電解質膜のプロトン伝導性を向上させたい場合、積層電解質膜の厚さTは15μm以下とするのが好ましい。プロトンの移動距離が短くなり、プロトン抵抗が小さくなるからである。一方、積層電解質膜のガスバリア性を重要視する場合、積層電解質膜の厚さTは15μm以下に限定されず、15μmを超える厚さとしてもよい。
【0038】
次に、本開示の実施形態に係る燃料電池は、上記積層電解質膜と、積層電解質膜を両側から挟む一対の触媒層とを備える。触媒層は、第3プロトン伝導性高分子を含んでもよい。第3プロトン伝導性高分子にも、フッ素系高分子および炭化水素系高分子よりなる群から選択される少なくとも1種を用い得る。
【0039】
第3プロトン伝導性高分子は、第1プロトン伝導性高分子および第2プロトン伝導性高分子の少なくとも一方と同じプロトン伝導性高分子であってもよく、第1プロトン伝導性高分子とも第2プロトン伝導性高分子とも異なるプロトン伝導性高分子であってもよい。
【0040】
積層電解質膜が、第1電解質膜を両側から挟む一対の第2電解質膜を具備する三層構造の場合、第3プロトン伝導性高分子の骨格は、第2プロトン伝導性高分子の骨格と同種であることが好ましい。例えば、第2プロトン伝導性高分子がテトラフルオロエチレン骨格を有する場合、第3プロトン伝導性高分子もテトラフルオロエチレン骨格を有することが好ましい。触媒層に含まれる第3プロトン伝導性高分子と触媒層と接触する第2電解質膜の第2プロトン伝導性高分子とが同種の骨格を有することで、触媒層と積層電解質膜との界面抵抗を低減できる。
【0041】
以下、第1電解質膜を両側から挟む一対の第2電解質膜を具備する三層構造の積層電解質膜の製造方法について、例示的に説明する。
【0042】
[1]第1電解質膜の製造
まず、第1プロトン伝導性高分子と、合成樹脂もしくは合成樹脂の前駆体とを含む混合溶液を調製する。混合溶液は、どのような方法で調製してもよい。例えば、第1プロトン伝導性高分子を含む第1溶液と、合成樹脂もしくは合成樹脂の前駆体を含む第2溶液とを調製し、第1溶液と第2溶液とを混合して調製してもよい。混合溶液、第1溶液または第2溶液の溶媒は、いずれも特に限定されないが、取り扱いを容易にする観点から、少なくとも水を含むことが好ましい。第1電解質膜の厚さは、例えば、混合溶液中の第1プロトン伝導性高分子の濃度や合成樹脂もしくはその前駆体の濃度により制御し得る。
【0043】
以下、代表的な合成樹脂の例について、第1電解質膜の製造方法を更に説明する。以下の合成樹脂は、いずれも溶液中において前駆体が縮合して生成し、または開環を経て生成し得る縮合性樹脂である。
【0044】
(1)ポリビニルアセタール樹脂(ここではビニロン)を用いる場合
まず、第1プロトン伝導性高分子を含む第1溶液を調製する。第1プロトン伝導性高分子としては、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸もしくはナフィオン(Nafion(登録商標))を用い得る。第1溶液の溶媒には、アルコールと水との混合溶媒を用い得る。アルコールとしては、例えばプロパノールを用い得る。
【0045】
また、ビニロンの前駆体であるポリビニルアルコール(PVA)を含む第2溶液を調製する。第2溶液の溶媒には、例えば水を用い得る。
【0046】
次に、第1溶液と第2溶液とを混合し、得られた混合溶液を平滑な表面を有する基板上にキャストし、乾燥させて中間膜を形成する。中間膜は、第1プロトン伝導性高分子とPVAとの複合物である。その後、ホルムアルデヒドを含む酸性水溶液に中間膜を浸すことで、PVAがホルマール化(アセタール化)され、架橋構造を有するビニロンが生成する。ホルマール化反応は、脱水縮合反応の一種である。その結果、合成樹脂であるビニロンと第1プロトン伝導性高分子とが複合化された第1電解質膜が得られる。ビニロンは、架橋構造を含むため、機械的強度に優れている。
【0047】
(2)ポリイミドを用いる場合
ポリアミド酸を含む第2溶液を調製し、上記と同様の第1溶液と混合して混合溶液を調製する。ポリアミド酸は、合成樹脂であるポリイミドの前駆体であり、一般的には芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを原料に合成される。その後、混合溶液から中間膜を形成し、加熱もしくはイミド化剤を用いて中間膜に含まれるポリアミド酸をイミド化すればよい。これにより、合成樹脂であるポリイミドと第1プロトン伝導性高分子とが複合化された第1電解質膜が得られる。イミド化反応は、ポリアミド酸の脱水縮合反応である。
【0048】
(3)フェノールホルムアルデヒド樹脂を用いる場合
フェノール化合物を含む第2溶液を調製し、上記と同様の第1溶液と混合して混合溶液を調製する。その後、混合溶液から中間膜を形成し、ホルムアルデヒドを含む酸性水溶液またはアルカリ性水溶液に中間膜を浸すことで、フェノール化合物へのホルムアルデヒドの付加反応(メチロール化)と縮合反応とが進行する。その結果、合成樹脂であるフェノールホルムアルデヒド樹脂と第1プロトン伝導性高分子とが複合化された第1電解質膜が得られる。フェノール樹脂は、三次元的な架橋構造を有する。
【0049】
(4)メラミンホルムアルデヒド樹脂を用いる場合
メラミン化合物を含む第2溶液を調製し、上記と同様の第1溶液と混合して混合溶液を調製する。その後、混合溶液から中間膜を形成し、ホルムアルデヒドを含むアルカリ性水溶液に中間膜を浸すことで、メラミン化合物へのホルムアルデヒドの付加反応(メチロール化)が進行する。その後、中間膜を加熱することで、メチロールメラミンが重縮合反応(メチレン化)して網目状に架橋し、メラミンホルムアルデヒド樹脂が生成する。その結果、合成樹脂であるメラミンホルムアルデヒド樹脂と第1プロトン伝導性高分子とが複合化された第1電解質膜が得られる。
【0050】
(5)尿素樹脂を用いる場合
尿素化合物を含む第2溶液を調製し、上記と同様の第1溶液と混合して混合溶液を調製する。その後、混合溶液から中間膜を形成し、ホルムアルデヒドを含む酸性水溶液またはアルカリ性水溶液に中間膜を浸すことで、尿素化合物へのホルムアルデヒドの付加反応(メチロール化)と重縮合反応(メチレン化)とが進行する。その結果、合成樹脂である尿素樹脂と第1プロトン伝導性高分子とが複合化された第1電解質膜が得られる。
【0051】
(6)ポリアミドを用いる場合
ポリアミド前駆体を含む第2溶液を調製し、上記と同様の第1溶液と混合して混合溶液を調製する。その後、混合溶液から中間膜を形成し、加熱重合すればポリアミドが生成する。その結果、合成樹脂であるポリアミドと第1プロトン伝導性高分子とが複合化された第1電解質膜が得られる。ポリアミド前駆体としは、水溶性のカプロラクタム、水溶性のAH塩などを用い得る。カプロラクタムは環状化合物であり、開環により重合体を生成する。AH塩とは、ジカルボン酸とジアミンとの当量混合物である。ジカルボン酸には、アジピン酸、セバシン酸等を用い得る。ジアミンには、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン等を用い得る。
【0052】
[2]第2電解質膜の製造
次に、第1電解質膜の少なくとも一方の面に第2電解質膜を形成し、第1電解質膜と第2電解質膜とを一体化させる。例えば、第2プロトン伝導性高分子を含む第3溶液を調製し、第3溶液を第1電解質膜の少なくとも一方の面にキャストし、乾燥させて、積層電解質膜を形成すればよい。第2プロトン伝導性高分子にも、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸を用い得る。第2溶液の溶媒にも、アルコールと水との混合溶媒を用い得る。第2電解質膜の厚さは、例えば、第3溶液中の第2プロトン伝導性高分子の濃度により制御し得る。なお、先に第2電解質膜を形成し、これに積層するように第1電解質膜を形成してもよい。また、中間膜と第2電解質膜との積層膜を形成した後、中間膜を合成樹脂に変化させてもよい。
【0053】
以下、本実施形態に係る燃料電池について、例示的に説明する。
燃料電池は、上記積層電解質膜と、積層電解質膜を両側から挟む一対の触媒層とを具備する。一対の触媒層の積層電解質膜とは反対側の主面には、それぞれガス拡散層が配されてもよい。
【0054】
図2は、本開示の実施形態に係る燃料電池(単セル)10の構造を示す断面模式図である。通常は、複数の単セル10が積層されてスタックを形成しているが、ここでは1つの単セル10を単独で示す。
【0055】
単セル10は、膜電極接合体(MEA)5と、膜電極接合体5を挟むように配置されたアノード側セパレータ6Aおよびカソード側セパレータ6Bとを備える。膜電極接合体5は、積層電解質膜1と、積層電解質膜1の一方の面側に順に配置されたアノード触媒層2Aおよびアノードガス拡散層3Aと、積層電解質膜1の他方の面側に順に配置されたカソード触媒層2Bおよびカソードガス拡散層3Bと、積層電解質膜1の周縁部を挟持する一対のシール部材4とを具備する。アノード側セパレータ6Aのアノードガス拡散層3A側の面には、燃料ガス流路7Aが形成されている。カソード側セパレータ6Bのカソードガス拡散層3B側の面には、酸化剤ガス流路7Bが形成されている。
【0056】
各触媒層は、例えば、炭素材料、炭素材料に担持された触媒粒子および第3プロトン伝導性高分子を含む。炭素材料には、導電性を有する材料、例えばカーボンブラック、カーボンナノファイバなどを用い得る。触媒粒子には、白金、コバルト、ルテニウム等の貴金属を用い得る。
【0057】
各ガス拡散層は、例えば、導電性を有する撥水層とこれを支持する基材層とを含む。撥水層は、例えば、導電剤と撥水剤とを含む。導電剤としては、カーボンブラックなどが挙げられる。撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が挙げられる基材層には、カーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。また、基材層を有さないガス拡散層を用いてもよい。このようなガス拡散層は、導電剤、フッ素樹脂等を含む混合物をシート状に成形すれば得ることができる。
【0058】
各セパレータの材質としては、例えば、炭素材料、金属材料などを用い得る。図2に示すように、各セパレータの一方の面には、複数の凹部または凸部によりガス流路を形成し得る。
【0059】
以下、本開示を実施例に基づいて、更に詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
[実施例1]
(1)積層電解質膜の作製
第1溶液として、5質量%Nafion(登録商標)溶液(DE520、1-propanol/2-propanol/HO、EW値1000g/mol、和光純薬(株)製)を使用した。
【0061】
第2溶液として、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(PVA含有量3.5質量%)を調製した。
【0062】
第1溶液と第2溶液とを質量比が95:5になるように混合し、混合液を得た。
【0063】
第3溶液としては、第1溶液と同じものを用いた。
【0064】
まず、第3溶液をガラス基板上に膜厚約2μmになるようにキャストし、12時間以上室温で乾燥し、第2電解質膜を形成した。次に、第2電解質膜上に第1溶液と第2溶液の混合液を膜厚約6μmになるようにキャストし、12時間以上室温で乾燥し、中間膜を形成した。最後に、中間膜上に第3溶液を膜厚約2μmになるようにキャストし、12時間以上乾燥し、三層構造の積層膜を形成した。
【0065】
次に、積層膜を60℃で3時間、その後、180℃で3時間、熱処理した。その後、HSO、NaSOおよびHCHOを用いて、PVAのホルマール化反応を行い、ビニロン化した。
【0066】
その後、沸騰水で2時間、80℃の1MのH水溶液で2時間、80℃の1MのHSO水溶液で2時間、更に沸騰水で2時間の活性化を行い、厚さ10μmの三層構造の積層電解質膜を完成化した。
【0067】
(2)触媒層の作製
カーボンブラック100質量部と、これに担持された触媒粒子(Pt)30質量部とを、適量の水に分散させ、得られた分散液に適量のエタノールを加えた後、パーフルオロカーボンスルホン酸(Nafion(登録商標)、EW値1100g/mol)40質量部を更に添加し、触媒層用の触媒分散液を調製した。
【0068】
次に、2枚のPETシートの平滑面に、スクリーン印刷法を用いて触媒分散液を均一な厚さで塗布し、乾燥して、アノード触媒層およびカソード触媒層(厚さ10μm)をそれぞれ形成した。
【0069】
<単セルの作製>
積層電解質膜の両面に得られた触媒層をそれぞれ転写して、積層電解質膜の一方の面にアノード触媒層を、他方の面にカソード触媒層を形成した。次に、カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレンを主成分とする撥水層およびカーボンペーパーを具備する一対のガス拡散層を準備し、各触媒層に接合してアノードおよびカソードを形成した。次に、アノードおよびカソードを囲むように枠状シール部材を配置し、MEAを形成した。次に、燃料ガス流路を有するアノード側セパレータと、酸化剤ガス流路を有するカソード側セパレータとでMEAを挟持し、単セルA1を完成させた。
【0070】
<評価>
アノードに露点65℃の水蒸気で加湿された水素ガスを75%の利用率となるように供給し、カソードに露点65℃の水蒸気で加湿された酸素ガスを55%の利用率となるように供給した。セル温度は80℃に設定した。そして、負荷制御装置を用いてアノードおよびカソードの電極面積に対する電流密度を0~約3.0A/cmの間で変化させ、単セルA1のIV特性と最大出力密度とインピーダンス(抵抗)を測定した。
【0071】
[実施例2]
第1溶液に用いるパーフルオロカーボンスルホン酸として、Nafionの代わりに、6質量%Aquivion(登録商標)溶液(D83-06A、1-propanol/2-propanol/HO、EW値830g/mol、Solvay社製)を用いたこと以外、実施例1と同様にした。そして、実施例1と同様に、厚さ約10μmの三層構造の積層電解質膜を作製し、燃料電池の単セルA2を組み立て、評価した。
【0072】
[比較例1]
積層電解質膜の代わりに、厚さ50μmの市販のパーフルオロカーボンスルホン酸膜(NRE212(登録商標)、EW値1100g/mol、デュポン社製)を電解質膜として用いたこと以外、実施例1と同様に、燃料電池の単セルB1を組み立て、評価した。
【0073】
単セルB1の最大出力密度と抵抗値をそれぞれ1としたときの、単セルA1およびA2の最大出力密度と抵抗値の相対値(倍数)を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
表3によれば、単セルA1、A2の抵抗が単セルB1に比べて大幅に減少しており、電解質膜の厚さの影響が大きいことが理解できる。このような電解質膜の低抵抗化により、最大出力密度も大幅に改善している。また、第1電解質膜のEW値がより低い単セルA2の場合、高電流密度領域でも抵抗が上昇しにくく、高い起電力を維持できることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示に係る積層電解質膜は、例えば、自動車、携帯電子機器、アウトドアレジャー用電源、非常用バックアップ電源等に使用される燃料電池に使用する材料として適している。特に、高電流密度で効果が得られ易いため、高出力用途の燃料電池に最適である。
【符号の説明】
【0077】
1:積層電解質膜、1a:従来の電解質膜、2A:アノード触媒層、2B:カソード触媒層、3A:アノードガス拡散層、3B:カソードガス拡散層、4:シール部材、5:膜電極接合体(MEA)、6A:アノード側セパレータ、6B:カソード側セパレータ、7A:燃料ガス流路、7B:酸化剤ガス流路、11:第1電解質膜、12:第2電解質膜、10:燃料電池(単セル)

図1
図2