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特許7179333固形燃料の製造方法及びリングダイ成形機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】固形燃料の製造方法及びリングダイ成形機
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/48 20060101AFI20221121BHJP
   B29C 48/04 20190101ALI20221121BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20221121BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20221121BHJP
   B29B 7/62 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
C10L5/48
B29C48/04
B29C48/92
B29B9/06
B29B7/62
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019023316
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020132663
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519367706
【氏名又は名称】株式会社エコ・マイニング
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(72)【発明者】
【氏名】相田 辰
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-282855(JP,A)
【文献】特開2000-186289(JP,A)
【文献】特開平08-216149(JP,A)
【文献】特開2002-283346(JP,A)
【文献】特開2016-112862(JP,A)
【文献】特開2004-269833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/40
B29B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックス廃材を含む廃プラスチックの破砕物を、押出し成形することにより固形燃料を得る固形燃料の製造方法であって、
リングダイ成形機のリングダイを所定の回転速度で回転する工程と、
前記破砕物を、前記リングダイ内へ投入する工程と、
前記リングダイに設けたダイ孔から前記破砕物を押出し成形する工程と、
得られた成形物をカッタで切断して固形燃料を得る工程と、
得られた固形燃料の形状を監視する工程と、
前記固形燃料が所定の形状を呈していないときに、前記リングダイの回転速度を減少する工程と、
前記固形燃料が所定の形状になったら、そのときの回転速度を維持する工程とからなることを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項2】
廃プラスチックの破砕物を、押出し成形することにより固形燃料にするリングダイ成形機であって、
多数のダイ孔を有し前記破砕物が投入されるリングダイと、このリングダイを回す電動モータと、この電動モータの回転速度を制御する回転速度制御部と、前記リングダイ内に配置される前記破砕物を前記リングダイの内周面に押圧する左ローラ及び右ローラと、前記リングダイの外周に沿って配置され前記ダイ孔から出てきた成形物を切断して固形燃料にするカッタとからなり、
前記リングダイの外側に、前記カッタで切断された固形燃料の形状を撮影するカメラを配置し、このカメラで取得した画像が所定の形状であるか否かを識別する画像解析部を備え、
この画像解析部の情報に基づいて前記回転速度制御部は、前記画像が所定の形状であるときには前記電動モータの回転速度を維持し、前記画像が所定の形状でないときに前記電動モータの回転速度を増す制御を実施することを特徴とするリングダイ成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料の製造方法及びリングダイ成形機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細なプラスチック粒(マイクロプラスチック)が生態系を脅かしていることが明らかになった。廃プラスチックの処理が急がれる。
プラスチックは、石油由来原料から製造されるため、廃プラスチックを石油に戻すことが理想とされ、そのような技術が種々提案されてきた(例えば、特許文献1(段落番号0084、図1)参照)。
【0003】
特許文献1には、500℃程度の反応釜及びFCC触媒を用いて、廃プラスチックを熱分解し、油を得る発明が開示されている。油分純収率は50%に達する。
廃プラスチックとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が対象とされる。
【0004】
反応釜を500℃程度に保つには熱エネルギーが必要であり、FCC触媒も高価であることから、得られる油の価格は割高になる。加えて、油分純収率は50%に留まるため、この油分純収率を高めることが求められる。
そこで、熱エネルギー及びFCC触媒が不要で、廃プラスチックの全てを使い切ることができる技術が提案されてきた(例えば、特許文献2(図1、段落番号0007)参照)。
【0005】
特許文献2には、廃プラスチックと古紙の破砕物を、押出し成形することにより固形燃料にする発明が開示されている。燃料として燃やしてしまうために、廃プラスチックの全てを使い切ることができる。
廃プラスチックとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の廃材が対象とされる。
【0006】
特許文献1、2は、共に、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)を処理対象とするが、これらは「汎用プラスチック」に分類される。この汎用プラスチックは、日用品、容器などとして家庭から大量に排出される。
【0007】
一方、汎用プラスチックより耐熱度が高く、機械強度に優れた「汎用エンジニアリングプラスチック」が産業廃棄物処理業者等から提供される。
更に、汎用エンジニアリングプラスチックに炭素、ガラス、セラミックなどの強化物を配合して、汎用エンジニアリングプラスチックより耐熱度が高く、機械強度に優れた「スーパーエンジニアリングプラスチック」が産業廃棄物処理業者等から提供される。
【0008】
今までは、「汎用プラスチック」の割合が大きく、「汎用エンジニアリングプラスチック」及び「スーパーエンジニアリングプラスチック」の割合が小さかったため、「汎用プラスチック」のみを、特許文献2の技術で処理してきた。
【0009】
近年、自動車部品や機械部品において、金属を高機能プラスチック(エンジニアリングプラスチック)に置き換える傾向が強まっている。金属よりプラスチックの方が、軽量であるため、自動車であれば燃料消費量の低減が図れるからである。
そのため、「汎用エンジニアリングプラスチック」及び「スーパーエンジニアリングプラスチック」が無視できない程度に増えてきた。
【0010】
多くの産業廃棄物処理業者等では、廃プラスチックを汎用プラスチック、エンエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックに、区別することなく、一括して破砕する。破砕物は、ミックスと呼ばれる混合プラスチックの形態で提供される。
混合プラスチックの段階になると、破砕物が何れの種類のプラスチックであるかを識別することは、ほぼ不可能である。
【0011】
現在、混合プラスチックを固形燃料にする技術は、ほぼ皆無である。
しかし、混合プラスチックの供給量が増える中、この混合プラスチックを受け入れて固形燃料にすることが望まれる。
【0012】
また、近年、鋳造技術の進歩に伴って、鋳造に占める精密鋳造の比率が高まる傾向が見られる。精密鋳造の一つに、ロストワックス法がある。
ロストワックス法では、製品と同形の模型をワックスで製造し、このワックス模型を造型材で包む。造型材に小穴を開ける。造型材を60℃程度に温めるとワックス模型が溶ける。溶けたワックスを小穴から排出する。排出されたものは「ワックス廃材」となる。造型材のキャビティへ溶湯を注入することで、ワックス模型と同形の製品を得ることができる。
【0013】
ロストワックス法が盛んになることにより、ワックス廃材が無視できない程度に増えてきた。従来は、ワックス廃材は焼却処分されてきたが、その有効活用が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2010-13657公報
【文献】特開平7-118673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、ワックス廃材を含まない混合プラスチックを受け入れて固形燃料を得ることができる技術と、ワックス廃材を含む廃プラスチックを受け入れて固形燃料を得ることができる技術とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項に係る発明は、ワックス廃材を含む廃プラスチックの破砕物を、押出し成形することにより固形燃料を得る固形燃料の製造方法であって、
リングダイ成形機のリングダイを所定の回転速度で回転する工程と、
前記破砕物を、前記リングダイ内へ投入する工程と、
前記リングダイに設けたダイ孔から前記破砕物を押出し成形する工程と、
得られた成形物をカッタで切断して固形燃料を得る工程と、
得られた固形燃料の形状を監視する工程と、
前記固形燃料が所定の形状を呈していないときに、前記リングダイの回転速度を減少する工程と、
前記固形燃料が所定の形状になったら、そのときの回転速度を維持する工程とからなることを特徴とする。
【0020】
請求項に係る発明は、廃プラスチックの破砕物を、押出し成形することにより固形燃料にするリングダイ成形機であって、
多数のダイ孔を有し前記破砕物が投入されるリングダイと、このリングダイを回す電動モータと、この電動モータの回転速度を制御する回転速度制御部と、前記リングダイ内に配置される前記破砕物を前記リングダイの内周面に押圧する左ローラ及び右ローラと、前記リングダイの外周に沿って配置され前記ダイ孔から出てきた成形物を切断して固形燃料
にするカッタとからなり、
前記リングダイの外側に、前記カッタで切断された固形燃料の形状を撮影するカメラを配置し、このカメラで取得した画像が所定の形状であるか否かを識別する画像解析部を備え、
この画像解析部の情報に基づいて前記回転速度制御部は、前記画像が所定の形状であるときには前記電動モータの回転速度を維持し、前記画像が所定の形状でないときに前記電動モータの回転速度を増す制御を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項に係る発明では、ワックス廃材を含むときであって、固形燃料が所定の形状を呈していないときに、リングダイの回転速度を減少する。回転速度を減少すると、摩擦熱が小さくなり、形状の良好な固形燃料が得られる。
すなわち、本発明により、ワックス廃材を含む混合プラスチックを受け入れて固形燃料を得ることができる製造方法が提供される。
【0026】
請求項に係る発明では、リングダイ成形機は、リングダイの回転速度が変更可能である。固形燃料が所定の形状を呈していないときに、リングダイの回転速度を増加して、形状の良好な固形燃料を得ることが可能となる。
すなわち、本発明により、混合プラスチックを受け入れて固形燃料を得ることができるリングダイ成形機が提供される。
【0027】
加えて、請求項に係る発明では、リングダイから排出される固形燃料を、カメラで監視し、画像解析部で解析するため、リングダイ成形機の無人運転(自動運転)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るリングダイ成形機の正面断面図である。
図2】本発明に係るリングダイ成形機の側面断面図である。
図3】リングダイの作用図である。
図4】(a)は所定の形状の固形燃料を示す図、(b)は形状が不良である固形燃料を示す図である。
図5】リングダイ成形機の変更例を示す図である。
図6】本発明に係る固形燃料の製造フロー図である。
図7】ワックス廃材を含む固形燃料の製造フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0030】
図1に示すように、リングダイ成形機10は、リングダイ11と、破砕物12をリングダイ11へ投入する投入ダクト13と、ダイ11内に配置される左ローラ14及び右ローラ15と、リングダイ11に開けた多数のダイ孔16と、リングダイ11の外周に沿って配置したカッタ17と、ケーシング18とを備えている。
【0031】
図2に示すように、ローラ支軸21が設備側に固定されており、このローラ支軸21にローラ支持板22が設けられ、このローラ支持板22でローラ14、15が回転自在に支持されている。
ローラ支軸21にベアリング23を介して小径筒24が回転自在に支持され、この小径筒24に円板25を介して大径筒26が支持され、この大径筒26の先端にリングダイ11が一体形成されている。
【0032】
リングダイ11は、設備側に固定された電動モータ27と、この電動モータ27のモータ軸に設けられたプーリ28と、小径筒24に設けたプーリ29と、プーリ28とプーリ29とに渡したベルト31とによって回される。リングダイ11が回転することで、内接するローラ14、15は自転する。
投入ダクト13は、L字断面を呈し、白抜き矢印のように投入される破砕物を、リングダイ11内へ導く役割を果たす。
【0033】
更に、電動モータ27の回転速度を制御する回転速度制御部33と、回転速度を設定する速度設定器34を備えている。
【0034】
回転速度制御部33は、例えば、インバータ回路を内蔵し、VVVF制御(電圧と周波数とを変更して、交流電動機(電動モータ27)の回転速度を制御)する。なお、高価ではあるが電動モータ27に直流電動機を採用すると、VV制御(電圧制御)のみで回転速度を制御することができる。
【0035】
速度設定器34は、ダイヤルやスライダー形式のアナログ設定器、テンキーで数値を設定するデジタル設定器の何れであってもよい。
【0036】
破砕物12を構成する「汎用プラスチック」、「汎用エンジニアリングプラスチック」及び「スーパーエンジニアリングプラスチック」の樹脂名、用途及び耐熱温度を、次表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
図3に示すように、回転速度Vでリングダイ11が移動し、このリングダイ11の内周面にローラ14が当たりながら回転している。破砕物12は、ローラ14で圧縮され、ダイ孔16へ押圧される。
破砕物12はローラ14で圧縮されて発熱する。加えて、破砕物12はダイ孔16を通過する際に摩擦により更に発熱する。この発熱により、樹脂が溶融する。溶融物は、ダイ孔16の外で空冷されて固まる。固まったものが成形物36となる。
この成形物36は、カッタ17で折り曲げられ、ほぼ一定長さの固形燃料38となる。
【0041】
結果、図4(a)に示す円柱状の固形燃料38が得られる。この固形燃料38は、「所定の形状を呈している固形燃料」に相当する。
ところで、回転速度Vが耐熱温度約100℃の「汎用プラスチック」に対応する設定である場合に、破砕物12を構成する「汎用プラスチック」に耐熱温度約140℃の「汎用エンジニアリングプラスチック」が一定量を超えて混じっていると、図4(b)に示すように、所望の形状でない固形燃料片39が出現する。この固形燃料片39は、「所定の形状を呈していない固形燃料」に相当する。
【0042】
固形燃料片39が出現する理由は、成形物36内における結合力(接着力)不足にある。温度を高めて溶融性を高めると、結合力(接着力)が高まる。
破砕物12及び成形物36の温度を高めるために、本発明ではリングダイ11の回転速度を高めるようにした。
【0043】
図2に示す速度設定器34を人為的に設定し、電動モータ27の回転速度を高める。すると、図4(a)の形態の固形燃料38が得られた。
図3において、回転速度が高まったため、ローラ14による発熱が増し、ダイ孔16を通過する際の摩擦熱が増して、成形物36の温度が高まる。結果、溶融不足が解消され、結合力不足が解消された。
【0044】
汎用プラスチック」専用のリングダイ成形機10に、図2に示すように、電動モータ27の回転速度を制御する回転速度制御部33と、回転速度を設定する速度設定器34を追加することにより、「汎用プラスチック」と「汎用エンジニアリングプラスチック」と「スーパーエンジニアリングプラスチック」との混合物を処理することができるリングダイ成形機10が得られた。
【0045】
次に、より好ましい変更例を説明する。
図5に示すように、ケーシング18の下に、固形燃料38や固形燃料片39の形状を撮影するカメラ41を配置し、このカメラ41で取得した画像が所定の形状であるか否かを識別する画像解析部42を備えている。
【0046】
更に、好ましくは、ケーシング18の下に、コンベア44を配置し、このコンベア44の横(すなわち、ライン外)にバケット45を配置し、ケーシング18とコンベア44のと間に揺動可能なガイド筒46を介在させ、このガイド筒46の下端がコンベア44とバケット45との何れかに臨むように切換えるシリンダユニット47を備える。
その他の構成は、図2と同じであるため、図2の符号を流用して、詳細な説明は省略する。
【0047】
図6に基づいて、本発明に係る固形燃料の製造方法を説明する。
ST01で、破砕物にワックス廃材が含まれていないことを確認する。含まれていなければST02に進み、含まれていれば、ST21(図7)に進む。
ST02にて、リングダイ成形機のリングダイを所定の回転速度で回転する(回転する工程)。
ST03にて、破砕物を、リングダイ内へ投入する(投入する工程)。
ST04にて、リングダイに設けたダイ孔から破砕物を押出し成形する(成形する工程)。
ST05にて、得られた成形物を切断して固形燃料とする(固形燃料を得る工程)
ST06にて、得られた固形燃料の形状を監視する(監視する工程)。具体的には、カメラで固形燃料を撮影する。そして、画像処理部で形状の判定する(ST07)。
【0048】
ST08で形状が良好であれば、すなわち、図4(a)の形状であれば、ガイド筒の下端はコンベアに向けたままとする(ST09)。
リングダイの回転速度は、所定の回転速度が維持される。
固形燃料の製造を続ける場合は、ST03に戻って、ST03~ST10を繰り返す。
【0049】
ST08で、形状が不良であれば、すなわち、図4(b)のような形状であれば、回転速度VをV+α(アルファーは正数。例えば、α=0.1×V)に置き換える(ST11)。このように、固形燃料が所定の形状を呈していないときには、リングダイの回転速度を増加する工程が実施される。
【0050】
ST08で、NOと判定される間は、回転速度が徐々に増やされ、ST08で、YSEと判断されると、回転速度の増加は中断され、そのときの回転速度が維持される。すなわち、固定燃料が所定の形状になったら、そのときの回転速度を維持する工程が実施される。
【0051】
ST08で、NOと判定される間は、ガイド筒の下端をバケットに切換え(ST12)、ST03に戻る。この間、固形燃料はバケットに溜められる。これにより、形状不良の固形燃料が、形状良好な固形燃料に混じる心配はなくなる。
【0052】
投入材料の切換えや、作業終了や、作業休止などのときには、ST10にて終了と認識され、ST13で、回転速度が初期値に戻される。
なお、ST02における回転速度Vは、「汎用プラスチック」に対応して決定することを原則とするが、作業者の経験や入荷する廃プラスチックの状態などに基づいて、高めの値にすることは差し支えない。
【0053】
本発明方法によれば、本発明のリングダイ成形機10を用いて、次に述べる7つの形態の廃プラスチックを固形燃料にすることができる。
・「汎用プラスチック」と「汎用エンジニアリングプラスチック」と「スーパーエンジニアリングプラスチック」の混合物
・「汎用プラスチック」と「汎用エンジニアリングプラスチック」の混合物
・「汎用プラスチック」と「スーパーエンジニアリングプラスチック」の混合物
・「汎用エンジニアリングプラスチック」と「スーパーエンジニアリングプラスチック」の混合物
・「汎用プラスチック」のみ
・「汎用エンジニアリングプラスチック」のみ
・「スーパーエンジニアリングプラスチック」のみ
【0054】
ST01で、破砕物にワックス廃材が含まれていると判断されたときには、図7のST21へ進む。ワックス廃材は、汎用プラスチックより低温で軟化し溶融する。
図7において、ST21~ST29は、図7のST02~ST10と同じであるため、説明は省略する。
【0055】
ST27で、形状が不良であれば、温度が高すぎてワックス廃材が流れてしまった。流れてしまったため、廃プラスチックを接着するバインダが不足したとみなす。対策として、回転速度VをV-β(ベーターは正数。例えば、β=0.1×V)に置き換える(ST30)。このように、固形燃料が所定の形状を呈していないときには、リングダイの回転速度を減少する工程が実施される。
【0056】
回転速度が徐々に減らされると、ワックス廃材及び廃プラスチックの温度が徐々に下がり、ワックス廃材が流れ落ちずに接着作用を発揮する程度の温度になると、ST27で、YSEと判断されると、回転速度の減少は中断され、そのときの回転速度が維持される。すなわち、固定燃料が所定の形状になったら、そのときの回転速度を維持する工程が実施される。
【0057】
以上により、ワックス廃材を含む破砕物(廃プラスチック)を、固形燃料にすることができ、廃プラスチックと共にワックス廃材の有効活用が図られる。
【0058】
尚、図5において、揺動式のガイド筒46は、逆Y字状のガイド筒に変更してもよい。逆Y字状のガイド筒は、非揺動式の固定された筒であり、このガイド筒のY分岐点に切換えダンパーを取付け、この切換えダンパーをシリンダユニット47で切換えればよい。また、バケット45は、回収コンベアに変更してもよい。
よって、本発明の固形燃料の製造方法に供するリングダイ成形機10は、図2図5に示す構造に限定されるものではなく、適宜、変更して差し支えない。
【0059】
また、破砕物12に古紙片を加えることは差し支えない。古紙片を加えることで、固形燃料38の発熱量を下げることができ、石炭焚き設備に対応させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複数種類の廃プラスチックが混じった破砕物を固形燃料にする技術に好適である。
【符号の説明】
【0061】
10…リングダイ成形機、11…リングダイ、12…破砕物、14…左ローラ、15…右ローラ、16…ダイ孔、17…カッタ、27…電動モータ、33…回転速度制御部、36…成形物、38…固形燃料、39…所定の形状を呈していない固形燃料(固形燃料片)、41…カメラ、42…画像解析部、V…所定の回転速度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7