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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】PCBサブコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20221121BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
H01R12/77
H01R43/20 Z
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018043867
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2018152338
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】15/456,740
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-075248(JP,A)
【文献】実開昭60-022777(JP,U)
【文献】登録実用新案第3207095(JP,U)
【文献】実開昭59-076081(JP,U)
【文献】米国特許第5133667(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109428227(CN,A)
【文献】特開2016-207323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 -12/91
43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
少なくとも1つの噛合表面を含む雌コネクタ本体であって、第1の長手方向端部と、前記第1の長手方向端部よりも狭い、前記雌コネクタ本体における前記第1の長手方向端部の反対側の端部である、第2の長手方向端部とを有し、前記噛合表面が、導電性雄コネクタ端子を有する雄コネクタ本体の外表面に適合された前記雌コネクタ本体の内表面である、雌コネクタ本体と、
前記雌コネクタ本体の前記内表面に結合された1つ又は2つ以上のプリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、前記雄コネクタ本体が前記雌コネクタ本体の内側にあるときに、前記雄コネクタ本体のそれぞれの端子に接触する導電性雌コネクタ端子を有し、前記プリント回路基板は前記雌コネクタ端子に連係されている終端部を有し、前記終端部はそれぞれ、前記プリント回路基板とガルバニック接触していて第2のサブコネクタと篏合するように構成されている、第1のサブコネクタを含む、プリント回路基板と、を備え
前記雌コネクタ本体の噛合表面と、前記雄コネクタ本体の外表面が、相補的な円錐形状である、装置。
【請求項2】
前記雌コネクタ端子のそれぞれの端子に連係されている前記プリント回路基板の前記終端部上にPCB接点を更に備え、前記第1のサブコネクタは、前記PCB接点のそれぞれの接点との複数の第1の電気接点と、複数の第2の電気接点とを有し、前記第2の電気接点は、前記第1のサブコネクタが前記第2のサブコネクタと嵌合するときに、前記第1の電気接点に電気接続され、電気信号を、前記第2のサブコネクタのそれぞれ整列された要素に導く、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のサブコネクタの前記第2の電気接点は、前記第2のサブコネクタのそれぞれのピンを受ける寸法にされたスロットである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のサブコネクタは、雌サブコネクタと雄サブコネクタのうちの一方であり、前記第2のサブコネクタは、前記雌サブコネクタと前記雄サブコネクタのうちのもう一方である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記雌コネクタ本体が、前記雌コネクタ本体の前記第2の長手方向端部から前記雌コネクタ本体の前記第1の長手方向端部に向かって突出する少なくとも1つの突出部を画成するように形作られており、前記突出部が前記雌コネクタ本体の横断方向中心にはない、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
製造方法であって、
少なくとも1つの噛合表面を含む雌コネクタ本体を準備する工程であって、前記雌コネクタ本体は、第1の長手方向端部と、前記第1の長手方向端部よりも狭い、前記雌コネクタ本体における前記第1の長手方向端部の反対側の端部である、第2の長手方向端部とを有する、工程と、
プリント回路基板を準備する工程であって、前記プリント回路基板は、前記噛合表面に適合され、雄コネクタ本体の電気的雄コネクタ端子に接触するように配設された複数の導電性雌コネクタ端子を有し、前記プリント回路基板は、終端部と、前記雌コネクタ端子のそれぞれの端子に連係されている前記終端部上のPCB接点とを有する、工程と、
前記プリント回路基板を前記雌コネクタ本体に挿入する工程と、
前記プリント回路基板を挿入する前に、前記終端部の前記PCB接点とガルバニック接触しているそれぞれの第1のサブコネクタを取り付ける工程であって、前記第1のサブコネクタは第2のサブコネクタと篏合するように構成されている、工程と、を含み、
前記雌コネクタ本体の噛合表面と、前記雄コネクタ本体の外表面が、相補的な円錐形状である、製造方法。
【請求項7】
前記第1のサブコネクタは、前記PCB接点のそれぞれの接点との複数の第1の電気接点と、複数の第2の電気接点とを有し、前記第2の電気接点は、前記第1のサブコネクタが前記第2のサブコネクタと嵌合するときに、前記第1の電気接点に電気接続され、電気信号を、前記第2のサブコネクタのそれぞれ整列された要素に導く、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1のサブコネクタの前記第2の電気接点は、前記第2のサブコネクタのそれぞれのピンを受ける寸法にされたスロットである、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1のサブコネクタは、雌サブコネクタと雄サブコネクタのうちの一方であり、前記第2のサブコネクタは、前記雌サブコネクタと前記雄サブコネクタのうちのもう一方である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
前記雌コネクタ本体を、前記雌コネクタ本体の前記第2の長手方向端部から前記雌コネクタ本体の前記第1の長手方向端部に向かって突出する少なくとも1つの突出部を画成するように形作る工程を更に含み、前記突出部が前記雌コネクタ本体の横断方向中心にはない、請求項6に記載の製造方法。
【請求項11】
前記雌コネクタ本体の噛合表面が、圧縮可能な材料層を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記雌コネクタ本体の噛合表面が、圧縮可能な材料層を備える、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(著作権情報)
本特許文献の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれる。著作権者は、特許文献又は特許情報開示のうちの任意のものによる複製に対して、それが特許商標庁特許出願又は記録において明らかであるとき、異議を唱えないが、そうでなければ、たとえ何であってもすべての著作権を保有する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、導電性コネクタに関する。より詳細には、本発明は、プリント回路板などの全体的に平坦な構造との接触に適合されている、複数の相互に絶縁された結合要素を有する結合デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
一部の用途では、遠位端に複数の電極を有するカテーテルは、心組織の感知及び/又はアブレーションに使用される。かかる用途では、カテーテルの近位端と遠位端との間で電気信号を通すため、十分な配線を設ける必要がある。
【0004】
プリント回路基板を使用するコネクタの一例は、米国特許出願公開第20060228922号に開示されている。開示された電気コネクタは、第1の電気接触領域と、少なくとも1つの方向に第1の電気接触領域を付勢するための弾性付勢要素とを含む第1の可撓性プリント回路基板を備える。第2のプリント回路基板は第2の電気接触領域を含み、弾性付勢要素は、第1の電気接触領域を第2の電気接触領域に向けて付勢して、第1の電気接触領域と第2の電気接触領域との間の実質的に同一平面上の電気接続を形成する。
【0005】
参照により本明細書に組み込まれる、共通に譲渡された同時係属中の米国特許出願第14/978,479号は、心臓カテーテル用のコネクタを記載している。コネクタは、第1の長手方向端部と、第1の長手方向端部よりも狭い第2の長手方向端部と、を有する、少なくとも1つの噛合表面を含むコネクタ本体を含む。複数の導電性端子は、コネクタ本体の噛合表面に結合される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
信号の測定は、心腔内の多数の電極から同時に取得される。電極は、バスケットカテーテル、PentaRay(登録商標)カテーテル、又はバルーンカテーテルのようなカテーテル上にある。信号は事実上ベースバンドであるため、同数の導体を電極に接続する必要がある。このため、このような多数の導体(いくつかの用途では、約400個の導体)を取り扱うことができるコネクタが必要となる。更に、コネクタの個々の終端部のアセンブリを簡素化することが重要である。
【0007】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの篏合表面を有する雌コネクタ本体を含むコネクタが提供される。雌コネクタ本体は、第1の長手方向端部と、この第1の長手方向端部よりも狭い第2の長手方向端部とを有する。噛合表面は、導電性雄コネクタ端子をその上に有する雄コネクタ本体の外表面に適合された雌コネクタ本体の内表面である。1つ又は2つ以上のプリント回路基板は、雌コネクタ本体の内表面に結合されている。プリント回路基板は、雄コネクタ本体が雌コネクタ本体の内側にあるときに、雄コネクタ端子のそれぞれの端子に接触する導電性雌コネクタ端子を有する。プリント回路基板は雌コネクタ端子に連係されている終端部を有し、終端部はそれぞれ、プリント回路基板とガルバニック接触していて第2のサブコネクタと篏合するように構成されている、第1のサブコネクタを含む。
【0008】
装置の一態様は、雌コネクタ端子のそれぞれの端子に連係されているプリント回路基板の終端部上にPCB接点を備え、第1のサブコネクタは、PCB接点のそれぞれの接点との複数の第1の電気接点と、複数の第2の電気接点とを有する。第2の電気接点は、第1のサブコネクタが第2のサブコネクタと嵌合するときに、第1の電気接点に電気接続され、電気信号を、第2のサブコネクタのそれぞれ整列された要素に導く。
【0009】
本装置の更に別の態様によれば、第1のサブコネクタの第2の電気接点は、第2のサブコネクタのそれぞれのピンを受ける寸法にされたスロットである。
【0010】
本装置の更なる態様によれば、第1のサブコネクタは、雌サブコネクタと雄サブコネクタのうちの一方であり、第2のサブコネクタは、雌サブコネクタと雄サブコネクタのうちのもう一方である。
【0011】
本装置の一態様によれば、雌コネクタ本体は、雌コネクタ本体の第2の長手方向端部から雌コネクタ本体の第1の長手方向端部に向かって突出する少なくとも1つの突出部を画成するように形作られており、突出部は雌コネクタ本体の横断方向中心にはない。
【0012】
本発明の実施形態によれば、製造方法が更に提供され、それは少なくとも1つの篏合表面と、第1の長手方向端部と、第1の長手方向端部よりも狭い第2の長手方向端部とを有する雌コネクタ本体を準備することによって実施される。この方法は、プリント回路基板を準備することであって、プリント回路基板は、噛合表面に適合され、雄コネクタ本体の電気的雄コネクタ端子に接触するように配設された複数の導電性雌コネクタ端子を有することによって更に実施される。プリント回路基板は、終端部と、雌コネクタ端子のそれぞれの端子に連係されている終端部上のPCB接点とを有する。この方法は、プリント回路基板を雌コネクタ本体に挿入することと、プリント回路基板を挿入する前に、終端部のPCB接点とガルバニック接触しているそれぞれの第1のサブコネクタを取り付けることであって、第1のサブコネクタは第2のサブコネクタと篏合するように構成されている、ことと、によって更に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明をより深く理解するため、本発明の詳細な説明を実例として参照するが、この説明は以下の図面と併せて読むべきものである。図中、同様の要素には同様の参照数字を付してある。
図1】本発明のいくつかの実施形態で使用される雄コネクタ及び雌コネクタの概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、嵌合位置にある図1に示す雄コネクタ及び雌コネクタの概略図である。
図3】本発明の実施形態で使用されるPCTの概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるコネクタ内のPCBの一部の概略側面図である。
図5】本発明の一実施形態による、雌コネクタのPCBの終端部の複合概略図である。
図6】本発明の代替の実施形態による、雌コネクタのPCBの終端部の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本発明の様々な原理が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細のすべてが本発明を実施する上で必ずしも必要であるとは限らない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0015】
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部分と見なされるべきであり、いずれかの用語が、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0016】
用語「連係する(link)」、「連係する(links)」、「結合する(couple)」、「結合する(couples)」は、間接的又は直接的接続を意味することが意図されている。したがって、第1の装置が第2の装置に結合する場合、この接続は直接の接続を経てもよく、若しくは他の装置及び接続を介して間接の接続を経てもよい。
【0017】
遠位端に複数の電極を有するカテーテルは、典型的に、カテーテルの近位端にあるそれぞれのコネクタで終端する、複数の接続ワイヤを要する。一部のカテーテル、例えば「バスケット」カテーテルは、100を超える電極、及びそれに対応して比較的多数の接続ワイヤを有することがある。
【0018】
1つの可能性として、ワイヤを、カテーテルの近位端の雌コネクタにおけるソケットの単一の二次元の直線的配置で終端させ、ソケットは、対応する雄コネクタのピンと噛合する(あるいはその逆)。しかしながら、必要な多数のピン及びソケットを収容するため、雄及び雌コネクタは、二次元の一方又は両方で望ましくない大型である必要があり得る。ピン及びソケットを稠密にパックするのが可能なことがあるが、かかる解決策は比較的高価な場合がある。
【0019】
本発明の実施形態は、円錐形状の、又は別の形で適切に形作られたコネクタを提供することによって、多数の接続ワイヤに適応する。複数の導電性接続端子は、コネクタの長手方向端部の間にあるコネクタの少なくとも1つの噛合表面に結合される。例えば、雌コネクタの場合、端子はコネクタの内表面に結合される。かかる構成は、有利には、上述した単一の二次元の直線的配置では利用されない、コネクタの第3の長手方向次元を利用する。したがって、コネクタの長さをいずれの次元でも過度に増加させることなく、また端子のパックが稠密すぎる必要なしに、比較的多数の端子をコネクタに結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コネクタは100個を超える(例えば、100~500個の)、又は更には500個を超える(例えば、500~700個の)端子を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、可撓性プリント回路基板(PCB)は、コネクタの噛合表面に結合され、PCB上の端子は接続端子として使用される。いくつかの実施形態では、圧縮可能な材料層は、PCBの下方でコネクタ本体に結合される。圧縮可能な材料層は、PCBをコネクタから離れる、補完的なコネクタに向かって押しやるので、その結果、それぞれの端子組間の接触が改善される。
【0021】
本明細書に記載する一部のコネクタは、雄コネクタが雌コネクタに挿入される過程での、端子間のあらゆる望ましくない接触を概ね防止するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、電気絶縁性コネクタシースは、雄コネクタが雌コネクタに完全に挿入される(また、雌コネクタに対して適正に配向される)まで、端子間の接触を阻害する。他の実施形態では、コネクタは、端子間が全く接触することなく雄コネクタを雌コネクタに完全に挿入できるように、形状及び/又はサイズが決められる。雄コネクタが完全に挿入されて初めて、雄コネクタの端子が雌コネクタの端子と接触するようにされる。
【0022】
ここで図面を参照し、まず図1を参照すると、図1は本発明のいくつかの実施形態による、雄コネクタ20及び雌コネクタ22の概略図である。
【0023】
コネクタはそれぞれ、少なくとも1つの噛合表面34を含み、第1の長手方向端部28と、第1の長手方向端部28よりも狭い第2の長手方向端部30とを有する、コネクタ本体26を含む。例えば、図1に示されるように、表面34は、円錐形状であってもよく、即ち、円錐の少なくとも一部分を画成するように形作られてもよい。コネクタそれぞれに関して、複数の導電性端子36が、コネクタ本体の第1の長手方向端部と第2の長手方向端部との間で表面34に結合される。コネクタ本体のそれぞれの形状は補完的であって、雌コネクタ本体は雄コネクタをぴったり受け入れるように形作られる。
【0024】
それぞれの表面34は、一方の噛合表面上の端子が他方の噛合表面上の端子に接触することによってコネクタが互いに噛合するという点で、本明細書では「噛合表面」と呼ばれる。コネクタ22は、コネクタ22の端子がコネクタ22の本体の内表面に結合されるという点で、本明細書では雌コネクタと呼ばれ;換言すれば、コネクタ22の噛合表面はコネクタの内表面である。逆に、コネクタ20は、コネクタ20の端子がコネクタ20の本体の外表面に結合されるという点で、本明細書では雄コネクタと呼ばれ;換言すれば、コネクタ20の噛合表面はコネクタの外表面である。雌コネクタ端子はそれぞれ、雄コネクタが雌コネクタの内部にあるとき、雄コネクタ端子のそれぞれ1つに接触するように位置付けられる。
【0025】
典型的に、端子36は、表面34に結合された1つ又は2つ以上のPCB38に属する。PCB38は、典型的には比較的可撓性であって、コネクタ本体の噛合表面に適応する。PCB38は端子を画成するように形作られてもよく、又は端子がPCBに付着(例えば、はんだ付け)されてもよい。代替実施形態では、端子はPCBに属さない。例えば、いくつかの実施形態では、端子は、コネクタ本体の噛合表面上に塗装又は3D印刷される。
【0026】
いくつかの実施形態では、コネクタの少なくとも1つは、コネクタ本体の少なくとも一部分と端子との間に、圧縮可能な材料層50を含む。層50は、補完的な端子組間での接触を容易にする、押す力を提供する。層50は、例えば、ポリエステル、PORON(登録商標)微孔性ウレタン発泡体などの微孔性ウレタン、又はシリコーンを含んでもよい。層50は、典型的に、コネクタ本体上にオーバーモールドされる。
【0027】
ここで図2を参照すると、図2は本発明のいくつかの実施形態による、噛合位置にある雄コネクタ20及び雌コネクタ22を示す概略図である。図2に示されるように、いくつかの実施形態では、雌コネクタ22は、カテーテル24の中、又は部分的にその中など、カテーテル24の近位端に配設される。上述したように、カテーテル24はその遠位端に複数の電極(図示なし)を含んでもよく、電極はそれぞれ雌コネクタ上の端子に接続される。例えば、電極はそれぞれ、端子のそれぞれ1つに接続されてもよい。あるいは、端子の1つ又は2つ以上が、例えば、多重化技術を使用して、複数の電極によって「共有」されてもよい。
【0028】
雄コネクタ上の端子はそれぞれ、例えば、カテーテルの近位側にあるコンソールの内部に配設される、例えば、高周波発生器(アブレーション用)及び/又は心電図モニタに接続されてもよい。
【0029】
代替実施形態では、雄コネクタは、カテーテルの中、又は部分的にその中など、カテーテルの近位端に配設され、雌コネクタはカテーテルの外部に配設される。
【0030】
いくつかの実施形態では、雌コネクタ本体は、雌コネクタ本体の第2の長手方向端部30から雌コネクタ本体の第1の長手方向端部28に向かって突出する、少なくとも1つの突出部を画成するように形作られる。例えば、図1は、雌コネクタ本体の内表面(即ち、端子が結合される噛合表面)に接触していない第1の突出部40と、内表面に接触している第2の突出部42と、を示している。かかる実施形態では、雄コネクタの第2の長手方向端部30は、少なくとも1つの補完的なオリフィスを画成するように形作られる。例えば、図1は、第1の突出部40を受け入れる第1のオリフィス44と、第2の突出部42を受け入れる第2のオリフィス46と、を示している。(第1のオリフィス44は、雄コネクタ本体の第2の長手方向端部によって完全に取り囲まれているが、第2のオリフィス46は取り囲まれていない。)
【0031】
第1の突出部42は雌コネクタ本体の横断方向中心にない(また同様に、第1のオリフィスは雄コネクタ本体の横断方向中心にない)。したがって、第1の突出部42及び第1のオリフィス44はコネクタの「対称性を壊して」いるので、1つの噛合位置しかあり得ない。換言すれば、第1の突出部42及び第1のオリフィス44は、各雄コネクタ端子が適切な雌コネクタ端子と接触するように、コネクタが位置合わせされる助けとなる。更に、第1の突出部40は、雌コネクタ端子の1つに指が不用意に触れるのを防ぐ助けとなる。
【0032】
第2の突出部42は、第2のオリフィス46と共に、コネクタが互いに噛合される際の、コネクタの望ましくない「揺れ」(またそれによる、望ましくない端子間の接触)を防ぐ助けとなる。第2の突出部42及び第2のオリフィス46も、第1の突出部及び第1のオリフィスに関して上述したように、コネクタ間の適切な位置合わせを提供する。いくつかの実施形態では、第2の突出部42及び第2のオリフィス46は、コネクタの正しくない対が互いに噛合されることを防ぐ「鍵」としても機能する。
【0033】
ここで図3を参照すると、図3は本発明の実施形態での使用に適したPCB38を示す概略図である。PCB38は、接続要素60の列が設けられた遠位部分62と、2列の接続要素66が設けられた近位部分64とを有する。「近位」及び「遠位」なる用語は、PCBの2つの別個の部分を区別するために本明細書で任意に用いられる。これらの用語は、PCBの実際の構成及びコネクタ内の接続要素に関して物理的な意味をもたない。
【0034】
いくつかの実施形態では、PCB38の少なくとも1つは、少なくとも一対の隣り合った端子36の間に、一対の端子36と同じ高さにある間隔要素48(図1にも示される)を含んでおり、即ち、間隔要素48はPCBから端子36と同じ距離だけ突出している。(典型的に、図3に示されるように、隣り合った端子の各対の間にそれぞれの間隔要素48がある。)間隔要素48は、それがなければ補完的なコネクタの端子を「捕える」ことがある端子間の空間を埋めることによって、コネクタが互いに噛合するのを容易にする。図3に示される特定の実施形態では、端子36とは反対側のPCB38の端部は接続要素60を含み、その接続要素により、電極まで通っている接続ワイヤ(図示せず)に、あるいは高周波発生器、心電図モニタ、及び/又はカテーテルの近位端にある他の装置に、端子を接続するのが容易になる。
【0035】
いくつかの実施形態では、一方のコネクタ上の端子の少なくともいくつかはピンであり、他方のコネクタ上の端子の少なくともいくつかは、ピンを受けるように形作られたソケットである。
【0036】
コネクタ20、22及びPCB38(図1)の更なる詳細は、上記の出願番号第14/978,479号に開示されている。
【0037】
上述のように、信号の測定は、心臓室内の高数の(約400)電極から同時に取得され、コネクタ20、22を介してルーティングされる。本発明の実施形態によれば、接続ワイヤ(図示せず)と端子36との間の接続部のアセンブリは、端子36に取り付けられたサブコネクタによって容易になる。端子36とサブコネクタは、安定したガルバニック接触でインターロックするように構成される。
【0038】
ここで図4を参照すると、図4は本発明の一実施形態によるコネクタ内のPCB68の一部の概略側面図である。PCB68は、PCB38(図3)のセクションに示される接続要素60及び端子36の部分を表す。電気接点70のアレイは、上述の方法の1つによってPCB68に取り付けられる。雌サブコネクタ74のピン72は、例えば、はんだ付けによって、電気接点70とガルバニック接触状態に固定されており、破線によって代表的に示されるように、コネクタ20、22(図1)を介してカテーテル電極からサブコネクタ74を通ってワイヤ76を介してそれぞれの信号を導く。電気接点70は、PCB68上の導体(図示せず)によって接続要素66に連係される(図3)。
【0039】
サブコネクタ74は、ソケット接点、例えば矢印で示されるようにソケット部分78と係合する雄サブコネクタ84のピン82を受け入れるスロット80を有するソケット部分78を有する。ピン82はスロット80に入り、破線によって代表的に示されるように、スロット80からワイヤスタブ86に至るワイヤ88を介して信号を導く。
【0040】
ここで図5を参照すると、図5は本発明の一実施形態による、雌コネクタ92のPCB68の終端部90の複合概略上面図である。雌サブコネクタ94は終端部90でPCB68に取り付けられる。雄サブコネクタ96は、雌サブコネクタ94に収容される。雄サブコネクタ96から延びるワイヤスタブ98は、カテーテル電極(図示せず)に接続可能である。製造中、雌サブコネクタ94はPCB68を雌コネクタ92に挿入する前に、自動的にPCB68に取り付けることができる。これにより、雌コネクタ92及びその終端部の全体的な組立が簡単になる。
【0041】
別の実施形態
ここで図6を参照すると、図6は、本発明の代替の実施形態による、終端部102を有するPCB100の上面図である。この実施形態は、雄サブコネクタ104がPCB100に取り付けられるという点で、前述の実施形態とは異なる。雌サブコネクタ106は、雄サブコネクタ104と嵌合するように雄サブコネクタ104の上に被さる。ワイヤスタブ108は雌サブコネクタ106から延び、カテーテル電極(図示せず)に接続する。
【0042】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組合せ及び部分的組合せ、並びに上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術にはない上述の特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
少なくとも1つの噛合表面を含む雌コネクタ本体であって、第1の長手方向端部と、前記第1の長手方向端部よりも狭い第2の長手方向端部とを有し、前記噛合表面が、導電性雄コネクタ端子を有する雄コネクタ本体の外表面に適合された前記雌コネクタ本体の内表面である、雌コネクタ本体と、
前記雌コネクタ本体の前記内表面に結合された1つ又は2つ以上のプリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、前記雄コネクタ本体が前記雌コネクタ本体の内側にあるときに、前記雄コネクタ端子のそれぞれの端子に接触する導電性雌コネクタ端子を有し、前記プリント回路基板は前記雌コネクタ端子に連係されている終端部を有し、前記終端部はそれぞれ、前記プリント回路基板とガルバニック接触していて第2のサブコネクタと篏合するように構成されている、第1のサブコネクタを含む、プリント回路基板と、を備える、装置。
(2) 前記雌コネクタ端子のそれぞれの端子に連係されている前記プリント回路基板の前記終端部上にPCB接点を更に備え、前記第1のサブコネクタは、前記PCB接点のそれぞれの接点との複数の第1の電気接点と、複数の第2の電気接点とを有し、前記第2の電気接点は、前記第1のサブコネクタが前記第2のサブコネクタと嵌合するときに、前記第1の電気接点に電気接続され、電気信号を、前記第2のサブコネクタのそれぞれ整列された要素に導く、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1のサブコネクタの前記第2の電気接点は、前記第2のサブコネクタのそれぞれのピンを受ける寸法にされたスロットである、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記第1のサブコネクタは、雌サブコネクタと雄サブコネクタのうちの一方であり、前記第2のサブコネクタは、前記雌サブコネクタと前記雄サブコネクタのうちのもう一方である、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記雌コネクタ本体が、前記雌コネクタ本体の前記第2の長手方向端部から前記雌コネクタ本体の前記第1の長手方向端部に向かって突出する少なくとも1つの突出部を画成するように形作られており、前記突出部が前記雌コネクタ本体の横断方向中心にはない、実施態様1に記載の装置。
【0044】
(6) 製造方法であって、
少なくとも1つの噛合表面を含む雌コネクタ本体を準備する工程であって、前記雌コネクタ本体は、第1の長手方向端部と、前記第1の長手方向端部よりも狭い第2の長手方向端部とを有する、工程と、
プリント回路基板を準備する工程であって、前記プリント回路基板は、前記噛合表面に適合され、雄コネクタ本体の電気的雄コネクタ端子に接触するように配設された複数の導電性雌コネクタ端子を有し、前記プリント回路基板は、終端部と、前記雌コネクタ端子のそれぞれの端子に連係されている前記終端部上のPCB接点とを有する、工程と、
前記プリント回路基板を前記雌コネクタ本体に挿入する工程と、
前記プリント回路基板を挿入する前に、前記終端部の前記PCB接点とガルバニック接触しているそれぞれの第1のサブコネクタを取り付ける工程であって、前記第1のサブコネクタは第2のサブコネクタと篏合するように構成されている、工程と、を含む、製造方法。
(7) 前記第1のサブコネクタは、前記PCB接点のそれぞれの接点との複数の第1の電気接点と、複数の第2の電気接点とを有し、前記第2の電気接点は、前記第1のサブコネクタが前記第2のサブコネクタと嵌合するときに、前記第1の電気接点に電気接続され、電気信号を、前記第2のサブコネクタのそれぞれ整列された要素に導く、実施態様6に記載の製造方法。
(8) 前記第1のサブコネクタの前記第2の電気接点は、前記第2のサブコネクタのそれぞれのピンを受ける寸法にされたスロットである、実施態様7に記載の製造方法。
(9) 前記第1のサブコネクタは、雌サブコネクタと雄サブコネクタのうちの一方であり、前記第2のサブコネクタは、前記雌サブコネクタと前記雄サブコネクタのうちのもう一方である、実施態様6に記載の製造方法。
(10) 前記雌コネクタ本体を、前記雌コネクタ本体の前記第2の長手方向端部から前記雌コネクタ本体の前記第1の長手方向端部に向かって突出する少なくとも1つの突出部を画成するように形作る工程を更に含み、前記突出部が前記雌コネクタ本体の横断方向中心にはない、実施態様6に記載の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6