(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】支持ユニットの製造方法、現像剤容器の製造方法、感光体ユニットの製造方法及びプロセスカートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20221121BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20221121BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20221121BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 176
G03G21/16 171
G03G21/18 110
G03G15/08 390Z
G03G15/00 651
(21)【出願番号】P 2018072822
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】沼田 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】林田 誠
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0013929(US,A1)
【文献】特開2014-215479(JP,A)
【文献】特開2017-151215(JP,A)
【文献】特開2017-067882(JP,A)
【文献】特開2003-029531(JP,A)
【文献】特開平08-220876(JP,A)
【文献】特開平10-319818(JP,A)
【文献】特開2005-049762(JP,A)
【文献】特開2018-045162(JP,A)
【文献】特開2003-316235(JP,A)
【文献】特開2003-241622(JP,A)
【文献】特開2005-246941(JP,A)
【文献】米国特許第06075962(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/10
G03G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を搬送する回転体を支持するための支持ユニットの製造方法であって、
前記支持ユニットは、
前記回転体の軸線と交差する方向に延びる第1の面と、前記第1の面と交差する方向に延びる第2の面と、を有する枠体と、
前記第1の面と対向するように構成された第1の対向面と、前記第2の面と対向するように構成された第2の対向面と、前記第2の対向面の裏側の第1裏面と、を有する被固定部材と、
を有し、
前記被固定部材と、前記枠体の少なくともいずれか一方を移動させて、前記第1の面と前記第1の対向面とを当接させ、かつ前記第2の面と前記第2の対向面とを対向させる工程と、
超音波スポット溶着を行う溶着ホーンを、前記被固定部材の前記第2の対向面と交差する方向から前記被固定部材に当接し、前記第1裏面に凹部が形成されるように、前記第2の対向面と、前記枠体の前記第2の面とを溶融させて、前記枠体と前記被固定部材とを結合する工程と、
を有することを特徴とする支持ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記枠体は、前記第1の面と交差する方向に延びる第3の面を有し、
前記被固定部材は、前記第3の面と対向する第3の対向面と、前記第3の対向面の裏側の第2裏面と、を有し、
前記被固定部材と、前記枠体の少なくともいずれか一方を移動させて、前記第1の面と前記第1の対向面とを当接させ、かつ前記第2の面と前記第2の対向面とを対向させ、かつ前記第3の面と前記第3の対向面とを対向させる工程と、
超音波スポット溶着を行う第1の溶着ホーンを、前記被固定部材の前記第2の対向面と交差する方向から前記被固定部材に当接し、かつ超音波スポット溶着を行う第2の溶着ホーンを、前記被固定部材の前記第3の対向面と交差する方向から前記被固定部材に当接し、前記第2の対向面と、前記枠体の前記第2の面とを溶融させ、かつ前記第2裏面に凹部が形成されるように、前記第3の対向面と、前記枠体の前記第3の面とを溶融させて、前記枠体と前記被固定部材とを結合する工程と、
を有することを特徴とする請求項
1に記載の支持ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記被固定部材は、
前記軸線と交差する方向において、前記第2の面と重なる第1の張り出し部と、
前記軸線と交差する方向において、前記第3の面と重なる第2の張り出し部と、
を有し、
前記第1の張り出し部に前記第2の対向面が設けられ、
前記第2の張り出し部に前記第3の対向面が設けられたことを特徴とする請求項
2に記載の支持ユニットの製造方法。
【請求項4】
前記第2の対向面と前記第3の対向面とが互いに対向して設けられていることを特徴とする請求項
3に記載の支持ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記枠体の材質と、前記被固定部材の材質とは、相溶性を有することを特徴とする請求項
1~4のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記枠体に、現像剤を収容する収容部が備えられ、
前記第2の対向面と前記第2の面とに対して直交し、前記第2の面と前記第2の対向面とが溶着された溶着部を通る直線を引いた場合に、その直線が前記収容部を通過することを特徴とする請求項
1~5のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記回転体は、前記枠体によって回転可能に支持されることを特徴とする請求項
1~6のいずれか1項に記載のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法。
【請求項8】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法を含み、
前記回転体は、収容部内に収容された現像剤を撹拌する撹拌部材であることを特徴とする現像剤容器の製造方法。
【請求項9】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法を含み、
前記回転体は、像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体であることを特徴とする現像装置の製造方法。
【請求項10】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法を含み、
前記回転体は、静電潜像を担持する像担持体であることを特徴とする感光体ユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の支持ユニットの製造方法を含み、
前記回転体は、静電潜像を担持する像担持体であることを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持ユニットの製造方法、現像剤容器の製造方法、感光体ユニットの製造方法及びプロセスカートリッジの製造方法に関するものである。ここで、支持ユニットとは、現像剤を搬送する回転体を支持するためのものである。現像剤容器とは、現像剤を収容する容器である。プロセスカートリッジは、感光ドラムと、感光ドラムに作用するプロセス手段とを一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着されるものである。
【背景技術】
【0002】
プロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをユーザ自身で行うことができるため操作性を格段に向上させることができ、ユーザビリティ(usability;使い易さ)に優れた画像形成装置を提供することができる。感光ドラムや現像剤担持体としての現像ローラは、枠体の両端部に固定された軸受部材により回転可能に支持されており、軸受部材は、枠体に対してビスで結合されているものが一般である。特許文献1では、軸受部材の枠体への結合をビスの代わりに超音波スポット溶着で固定したことが記載されている。軸受部材の枠体への結合に用いられていたビスを廃止することでコストダウンを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、軸受部材に、超音波スポット溶着のホーンを挿入するための凹部を設けていた。特許文献1では、ホーンは感光ドラムの軸線方向に移動し、軸受部材の凹部に挿入されていた。したがって、感光ドラムの軸線方向と交差する方向に延びる面に、凹部を設けるためのスペースを確保する必要があった。つまり、感光ドラムの軸線方向と交差する方向に軸受部材と枠体が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものである。本発明の目的は、回転体を支持する支持ユニットが、枠体と、枠体に超音波スポット溶着で溶着された被固定部材とを有する構成において、回転体の軸線と交差する方向で、支持ユニットが大型化することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る支持ユニットの製造方法の代表的な方法は、現像剤を搬送する回転体を支持するための支持ユニットの製造方法であって、前記支持ユニットは、前記回転体の軸線と交差する方向に延びる第1の面と、前記第1の面と交差する方向に延びる第2の面と、を有する枠体と、前記第1の面と対向するように構成された第1の対向面と、前記第2の面と対向するように構成された第2の対向面と、前記第2の対向面の裏側の第1裏面と、を有する被固定部材と、を有し、前記被固定部材と、前記枠体の少なくともいずれか一方を移動させて、前記第1の面と前記第1の対向面とを当接させ、かつ前記第2の面と前記第2の対向面とを対向させる工程と、超音波スポット溶着を行う溶着ホーンを、前記被固定部材の前記第2の対向面と交差する方向から前記被固定部材に当接し、前記第1裏面に凹部が形成されるように、前記第2の対向面と、前記枠体の前記第2の面とを溶融させて、前記枠体と前記被固定部材とを結合する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転体を支持する支持ユニットが、枠体と、枠体に超音波スポット溶着で溶着された被固定部材とを有する構成において、回転体の軸線と交差する方向で、支持ユニットが大型化することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る支持ユニットを備えたプロセスカートリッジを装着した画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
【
図2】本発明に係る支持ユニットを備えたプロセスカートリッジの第1実施形態の構成を示す断面説明図である。
【
図3】第1実施形態のプロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着された状態でのプロセスカートリッジと画像形成装置本体との駆動側の位置決め部の構成を示す斜視説明図である。
【
図4】第1実施形態のプロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着された状態でのプロセスカートリッジと画像形成装置本体との非駆動側の位置決め部の構成を示す斜視説明図である。
【
図5】第1実施形態のプロセスカートリッジの構成を示す分解斜視図である。
【
図7】第1実施形態のプロセスカートリッジの構成を示す分解斜視図である。
【
図9】第1実施形態の現像剤容器の容器本体とサイドカバーの構成を示す分解斜視図である。
【
図10】第1実施形態の現像剤容器の容器本体とサイドカバーの構成を示す断面説明図である。
【
図11】第1実施形態の現像剤容器の容器本体にサイドカバーを結合する前の組立方法を説明する断面説明図である。
【
図12】第1実施形態の現像剤容器の容器本体にサイドカバーを結合する前の組立方法を説明する断面説明図である。
【
図13】第1実施形態の現像剤容器の容器本体とサイドカバーの接合方法を説明する断面説明図である。
【
図14】第1実施形態の現像剤容器の容器本体とサイドカバーの接合方法を説明する断面説明図である。
【
図15】第1実施形態の現像剤容器の容器本体とサイドカバーの接合方法を説明する断面説明図である。
【
図16】第2実施形態の現像剤容器の容器本体と底部材とサイドカバーとを結合する前の組立方法を説明する断面説明図である。
【
図17】第2実施形態の現像剤容器の容器本体と底部材とサイドカバーとの接合方法を説明する断面説明図である。
【
図18】第2実施形態の現像剤容器の容器本体と底部材とサイドカバーとの接合方法を説明する断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図により本発明に係る支持ユニット、現像剤容器、現像装置、感光体ユニット、プロセスカートリッジ及び支持ユニットの製造方法の一実施形態を具体的に説明する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1~
図15を用いて本発明に係る支持ユニット、現像剤容器、現像装置、感光体ユニット、プロセスカートリッジ及び支持ユニットの製造方法の第1実施形態の構成について説明する。
【0011】
<画像形成装置>
図1及び
図2を用いて、本発明に係る支持ユニットを備えたプロセスカートリッジBを着脱可能に装着した画像形成装置Aの構成について説明する。
図1は、本発明に係る支持ユニットを備えたプロセスカートリッジBを装着した画像形成装置Aの構成を示す断面説明図である。
図2は、本発明に係る支持ユニットを備えたプロセスカートリッジBの構成を示す断面説明図である。
【0012】
図1に示す画像形成装置Aは、電子写真画像形成方式を用いて記録材Pに画像を形成するレーザビームプリンタの一例である。尚、以下の説明において、プロセスカートリッジBに設けられるトナー像(現像剤像)を担持する像担持体となる感光ドラム62の回転軸線方向を長手方向とし、感光ドラム62の回転軸線方向と直交する方向を短手方向とする。
【0013】
また、感光ドラム62の回転軸線方向(長手方向)において、画像形成装置A本体側に設けられた駆動部から感光ドラム62が回転駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。ここで、画像形成装置A本体とは、画像形成装置AからプロセスカートリッジBを除いた部分である。
【0014】
図1に示す画像形成装置Aは、
図2に示すプロセスカートリッジBが画像形成装置A本体に対して着脱可能に構成されている。
図1に示すように、画像形成装置A本体側には、露光手段となるレーザスキャナユニット3が設けられている。
図1に示すように、プロセスカートリッジBが画像形成装置A本体の画像形成位置に装着される。その状態で、プロセスカートリッジBに設けられた感光ドラム62が
図1の矢印R方向に回転される。感光ドラム62の表面は、帯電手段となる帯電ローラ66により一様に帯電される。
【0015】
一様に帯電された感光ドラム62の表面上にレーザスキャナユニット3から画像情報に応じたレーザ光Lが照射される。これにより感光ドラム62の表面上に画像情報に応じた静電潜像が形成される。プロセスカートリッジBに設けられた現像装置となる現像ユニット20には、トナーT(現像剤)を担持する現像剤担持体となる現像ローラ32が設けられている。
【0016】
感光ドラム62の表面上に形成された静電潜像に対して現像ローラ32の表面に担持されたトナーT(現像剤)が供給される。これにより感光ドラム62の表面上に形成された静電潜像がトナー像として現像される。感光ドラム62(像担持体)にトナーT(現像剤)を供給する現像ローラ32(現像剤担持体)は、トナーT(現像剤)を搬送する回転体であり、支持ユニットを構成する容器本体23(枠体)により回転可能に支持されている。
【0017】
画像形成装置A本体側には、装着されたプロセスカートリッジBの下側に記録材Pを収容した給送トレイ4が設けられている。更に、画像形成装置A本体側には、給送トレイ4から記録材Pの搬送方向Cに沿って、上流側から順に、ピックアップローラ5a、給送ローラ5b、レジストローラ5cが設けられている。レジストローラ5cの下流には、転写ガイド6が設けられている。感光ドラム62に対向して転写手段となる転写ローラ7が設けられている。感光ドラム62の表面と転写ローラ7の表面とにより転写位置N1が形成される。
【0018】
転写位置N1の下流には、定着手段となる定着装置9が設けられている。転写位置N1を通過した記録材Pは、搬送ガイド8により案内されて定着装置9に導かれる。定着装置9には、加熱ローラ9aと加圧ローラ9bが設けられている。加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとにより定着ニップ部N2が形成される。定着ニップ部N2の下流には、排出ローラ10が設けられている。排出ローラ10の下流には、排出トレイ11が設けられている。
【0019】
<画像形成動作>
次に、画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。
図1に示すように、プロセスカートリッジBが画像形成装置A本体の画像形成位置に装着される。その状態で、パーソナルコンピュータ等の外部装置から送られたプリントスタート信号に基づいて、画像形成装置A本体側に設けられた駆動部から感光ドラム62に回転駆動力が伝達される。そして、感光ドラム62は、
図1の矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。図示しない帯電バイアス電源から帯電バイアス電圧が印加された帯電ローラ66は、感光ドラム62の表面に接触し、感光ドラム62の表面を均一に帯電する。
【0020】
レーザスキャナユニット3は、画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。レーザ光Lは、プロセスカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられた開口71hを介して、一様に帯電された感光ドラム62の表面上を走査露光する。これにより感光ドラム62の表面上には、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0021】
図2に示すように、プロセスカートリッジBには、現像手段となる現像ユニット20が設けられている。現像ユニット20に設けられた撹拌室29内には、現像剤としてのトナーTが収容されている。撹拌室29内には、撹拌部材43,44,50が設けられている。撹拌部材43,44,50がそれぞれ
図2の時計回り方向に回転することにより撹拌室29内のトナーTは、撹拌部材43,44,50により撹拌されながら順次、
図2の左方向に搬送され、現像ローラ32が設けられた現像室28内に送り出される。
【0022】
現像室28内に供給されたトナーTは、現像ローラ32の内部に設けられた固定磁石からなるマグネットローラ34の磁力により現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32の表面に担持されたトナーTは、現像剤規制部材となる現像ブレード42により摩擦帯電されつつ現像ローラ32の周面上での層厚が規制される。現像ローラ32の表面に担持されたトナーTは、感光ドラム62の表面上に形成された静電潜像に供給される。これにより感光ドラム62の表面上に形成された静電潜像は、トナー像として現像されて可視像化される。
【0023】
一方、レーザスキャナユニット3から出射されるレーザ光Lの出力タイミングに合わせて、
図1に示すピックアップローラ5aが
図1の時計回り方向に回転されて給送トレイ4内に収容された記録材Pが繰り出される。その後、記録材Pは、給送ローラ5bにより挟持搬送されて、停止したレジストローラ5cのニップ部に記録材Pの先端部が突き当てられて記録材Pの斜行が補正される。
【0024】
その後、所定のタイミングでレジストローラ5cが回転する。これにより記録材Pは、レジストローラ5cにより挟持されて転写位置N1に向けて搬送される。
【0025】
そして、記録材Pが転写ガイド6を経由して、感光ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置N1へ搬送される。この転写位置N1において、図示しない転写バイアス電源から転写ローラ7に転写バイアスが印加されて感光ドラム62の表面上に形成されたトナー像が記録材Pに転写される。
【0026】
トナー像が転写された記録材Pは、感光ドラム62の表面から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。記録材Pは、定着装置9に設けられた加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとの定着ニップ部N2を通過する。この定着ニップ部N2で加熱及び加圧されてトナー像が記録材Pに熱定着される。
【0027】
トナー像が熱定着された記録材Pは、排出ローラ10により挟持搬送されて機外に設けられた排出トレイ11上に排出される。転写後に感光ドラム62の表面上に残留した残留トナーは、クリーニング部材77により除去され、感光ドラム62は、再び、画像形成動作に使用される。感光ドラム62の表面上から除去された残留トナーは、クリーニングユニット60に設けられた廃トナー室71b内に回収される。感光ドラム62に作用する画像形成プロセス手段は、
図1及び
図2に示す帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77等により構成される。
【0028】
クリーニングユニット60は、静電潜像を担持する像担持体としての感光ドラム62を回転可能に支持する感光体ユニットである。感光ドラム62は、トナーT(現像剤)を搬送する回転体である。
【0029】
<プロセスカートリッジの着脱操作>
次に、
図3及び
図4を用いて画像形成装置A本体に対するプロセスカートリッジBの着脱操作について説明する。
図3は、本実施形態のプロセスカートリッジBが画像形成装置A本体に装着された状態でのプロセスカートリッジBと画像形成装置A本体との駆動側の位置決め部の構成を示す斜視説明図である。
図4は、本実施形態のプロセスカートリッジBが画像形成装置A本体に装着された状態でのプロセスカートリッジBと画像形成装置A本体との非駆動側の位置決め部の構成を示す斜視説明図である。
【0030】
画像形成装置A本体に対してプロセスカートリッジBを着脱する際には、
図1に示す画像形成装置A本体に対して開閉可能に設けられた開閉扉13を開く。その後、トレイ18を引き出す。その後、トレイ18に対してプロセスカートリッジBを着脱する。プロセスカートリッジBはトレイ18に装着された状態で、画像形成装置A本体に設けられた図示しないガイドレールに沿って画像形成装置A本体内に装着される。
【0031】
図3に示すように、プロセスカートリッジBに設けられた第1カップリング70及び第2カップリング21に駆動を伝達するための第1駆動軸14及び第2駆動軸19が設けられている。第1駆動軸14及び第2駆動軸19は、画像形成装置A本体側に設けられた駆動源となる図示しないモータにより回転駆動される。
【0032】
これにより第1カップリング70と連結している感光ドラム62が画像形成装置A本体から駆動力を受けて回転する。また、第2カップリング21から回転駆動力が伝達されて現像ローラ32が回転する。帯電ローラ66及び現像ローラ32には、画像形成装置A本体側に設けられた図示しない給電部から帯電バイアスや現像バイアスがそれぞれ給電される。
【0033】
<プロセスカートリッジの支持部>
画像形成装置A本体にはプロセスカートリッジBを支持するための
図3に示す駆動側板15と、
図4に示す非駆動側板16が設けられている。
図3に示す駆動側板15には、第1支持部15aと、第2支持部15bと、回転支持部15cが設けられている。一方、
図4に示す非駆動側板16には、第1支持部16aと、第2支持部16bと、回転支持部16cが設けられている。
【0034】
一方、プロセスカートリッジB側の被支持部としては、
図3に示す感光ドラム62を回転可能に支持するドラム軸受73に設けられる被支持部73b,73dが設けられている。更に、クリーニング枠体71に設けられる駆動側ボス71aと、
図4に示す非駆動側突部71fと、非駆動側ボス71gとがそれぞれ設けられている。
【0035】
そして、
図3に示すように、被支持部73bが第1支持部15aに支持され、被支持部73dが第2支持部15bに支持され、駆動側ボス71aが回転支持部15cに支持される。また、
図4に示すように、非駆動側突部71fが第1支持部16aと第2支持部16bとに支持され、非駆動側ボス71gが回転支持部16cに支持される。これによりプロセスカートリッジBが
図1に示す画像形成装置A本体内の画像形成位置に位置決めされる。
【0036】
<プロセスカートリッジ>
次に、
図2、
図5~
図9を用いて、プロセスカートリッジBの構成について説明する。
図5は、本実施形態のプロセスカートリッジBの構成を示す分解斜視図である。
図6は、
図5を下から見た部分拡大図である。
図7は、本実施形態のプロセスカートリッジBの構成を示す分解斜視図である。
図8は、
図7を下から見た部分拡大図である。
図9は、本実施形態のプロセスカートリッジBの構成を示す分解斜視図である。尚、各部品を結合するビスは省略している。
【0037】
図2、
図5及び
図7に示すように、プロセスカートリッジBは、クリーニングユニット60と、現像ユニット20を有して構成される。尚、一般にプロセスカートリッジBは、感光ドラム62と、これに作用する画像形成プロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくとも一つとを一体的にカートリッジ化したものである。そして、プロセスカートリッジBは、画像形成装置A本体に対して着脱可能に構成される。本実施形態のプロセスカートリッジBは、少なくとも感光ドラム62と、クリーニングユニット60とを有して構成される。
【0038】
<クリーニングユニット>
図2に示すように、クリーニングユニット60は、クリーニング枠体71と、クリーニング枠体71に溶着等により固定される蓋部材72とを有する。クリーニング枠体71には、帯電ローラ66と、クリーニング部材77とが支持されている。クリーニングユニット60において、帯電ローラ66と、クリーニング部材77とは、それぞれ感光ドラム62の表面に接触して配置される。
【0039】
<クリーニング部材>
クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレード77aを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、感光ドラム62の
図2の矢印R方向で示す回転方向に対して、カウンター方向に配置され、感光ドラム62の表面に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部が感光ドラム62の回転方向の上流側に向かうように配置されて感光ドラム62の表面に当接している。
【0040】
<クリーニング枠体>
図2に示すように、クリーニング枠体71に支持されたクリーニング部材77により感光ドラム62の表面から除去された廃トナーは、廃トナー搬送部材としてのスクリュー86,88により搬送される。そして、クリーニング枠体71と蓋部材72とにより形成された廃トナー室71b内に回収される。
【0041】
スクリュー86は、図示しないギアを介して
図8に示すカップリング21から回転駆動力が伝達されて回転する。スクリュー86,88の間には、スクリュー86,88の回転軸線方向と直交する方向に回転軸線方向が配置された図示しないスクリューが設けられている。この図示しないスクリューを介してスクリュー86,88の間で回転駆動力が伝達されてスクリュー88も回転する。
【0042】
スクリュー86は、感光ドラム62の近傍に設けられ、図示しないスクリューは、クリーニング枠体71の長手方向の一端部に設けられ、スクリュー88は、廃トナー室71b内にそれぞれ配置されている。スクリュー86,88の回転軸線方向は、感光ドラム62の回転軸線方向と平行に配置され、図示しないスクリューの回転軸線方向は、感光ドラム62の回転軸線方向と直交している。
【0043】
図2に示すように、クリーニング枠体71の縁部には、封止シート65が設けられている。封止シート65は、感光ドラム62の表面に当接する。これによりクリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止する。感光ドラム62は、画像形成装置A本体側に設けられた駆動源となる図示しないモータから回転駆動力を受けることにより画像形成動作に応じて、
図2の矢印R方向に回転駆動される。
【0044】
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向(感光ドラム62の回転軸線方向と略平行)の両端部において、軸受67を介してクリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。帯電ローラ66は、軸受67が付勢部材68により感光ドラム62の回転中心に向けて加圧されることで感光ドラム62の表面に圧接されている。帯電ローラ66は、感光ドラム62の回転に従動回転する。
【0045】
<現像ユニット>
図2に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像剤容器24と、現像ブレード42等を有して構成される。現像剤容器24は、枠体としての容器本体23と底部材22と、被固定部材としてのサイドカバー26とを有する支持ユニットとして構成される。現像剤容器24(支持ユニット)は、現像剤(トナー)を搬送する回転体を支持する。容器本体23と底部材22とサイドカバー26とは熱可塑性樹脂により構成される。枠体としての容器本体23と底部材22の材質と、被固定部材としてのサイドカバー26の材質とは、相溶性を有する。枠体としての容器本体23と底部材22とによりトナーT(現像剤)を収容する収容部が形成される。
【0046】
容器本体23は、トナーT(現像剤)を搬送する回転体としてトナーT(現像剤)を撹拌する撹拌部材50,44,43を回転可能に支持するための枠体として構成される。撹拌部材50,44,43が
図1の時計回り方向に回転することにより容器本体23と底部材22との枠体により形成される収容部内に収容されたトナーT(現像剤)を撹拌しつつ
図1の右から左方向に順次搬送する。
【0047】
<支持ユニット>
現像剤容器24(支持ユニット)の容器本体23(枠体)には、熱可塑性樹脂からなるサイドカバー26(被固定部材)が超音波スポット溶着によって溶着される。
【0048】
<枠体>
容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)は、撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線と交差(好ましくは直交)する方向に延びている。容器本体23(枠体)に設けられた被当接面23i(第2の面)は、被当接面23g(第1の面)と交差(好ましくは直交)する方向に延びている。
【0049】
容器本体23の非駆動側(
図9及び
図10の左側)の側面には、外側に向かって突出する突出部23p,23qが設けられている。突出部23p,23qの内部には、サイドカバー26に設けられた基準穴26b、長穴26cと同様な外形で凹部からなる基準凹部23cと、現像ローラ32の軸線方向と交差(好ましくは直交)する方向に沿った長凹部23dが設けられている。尚、本実施形態において、突出部23p,23qは容器本体23に一体的に形成されている。
図9では、突出部23p,23qの構成を説明するため、突出部23p,23qは容器本体23から離れた位置に描かれている。
【0050】
<被固定部材>
【0051】
サイドカバー26(被固定部材)に設けられる当接面26g(第1の対向面)は、容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)と対向し、被当接面23g(第1の面)と当接する。
【0052】
この状態で、サイドカバー26(被固定部材)の張り出し部26jは、撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線と交差(好ましくは直交)する方向において、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と重なる。即ち、張り出し部26jの裏面側に設けられた当接面26j2(第2の対向面)と、容器本体23(枠体)の天面に設けられた被当接面23i(第2の面)とは、
図12の上下方向においてオーバーラップする。
【0053】
サイドカバー26(被固定部材)に設けられた当接面26j2(第2の対向面)は、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と対向し、かつ被当接面23i(第2の面)と超音波スポット溶着によって溶着される。
【0054】
張り出し部26jは、張り出し部26jの表裏面が凹凸が無く平坦面で構成された平板状で構成されている。少なくとも容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)に超音波スポット溶着される張り出し部26jの表側の対向面26j1と裏側の当接面26j2(第2の対向面)とが平坦面で構成される。
【0055】
現像ローラ32の内部には、マグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20には、現像ローラ32の表面上に担持されたトナーTの層厚を規制するための現像ブレード42が設けられている。
図5及び
図7に示すように、現像ローラ32の両端部には、間隔保持部材38が取り付けられている。間隔保持部材38と感光ドラム62とが当接することで、現像ローラ32は、感光ドラム62と微少な隙間をもって保持される。
【0056】
図2に示すように、底部材22の縁部には、現像剤封止シート33が現像ローラ32の表面に当接するように設けられている。現像剤封止シート33により現像ユニット20からトナーTが漏れることを防止する。容器本体23と底部材22とにより形成された撹拌室29内には、撹拌部材43,44,50が設けられている。撹拌部材43,44,50は、撹拌室29内に収容されたトナーTを撹拌すると共に現像室28内へトナーTを搬送する。
【0057】
図5及び
図7に示すように、プロセスカートリッジBは、クリーニングユニット60と現像ユニット20とを合体して構成される。クリーニングユニット60には、クリーニング枠体71と、蓋部材72と、感光ドラム62と、感光ドラム62を回転可能に支持するためのドラム軸受73と、ドラム軸78とが設けられている。
図8に示すように、駆動側においては、ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73a内に挿入されて感光ドラム62が回転可能に支持される。
【0058】
一方、
図6に示すように、非駆動側においては、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78がドラムフランジ64の穴部64a内に挿入されて感光ドラム62を回転可能に支持する構成となっている。現像ユニット20には、底部材22と、容器本体23と、現像ブレード42と、現像ローラ32等が設けられている。現像ローラ32は、容器本体23に設けられた軸受部材27,37により回転可能に支持されている。軸受部材27の外側には、サイドカバー26が設けられている。サイドカバー26は、超音波スポット溶着により容器本体23に結合されている。
【0059】
図6及び
図8に示すように、現像ユニット20の現像剤容器24の長手方向両端部には、支持穴23a,23bが設けられている。クリーニングユニット60のクリーニング枠体71の長手方向両端部には、吊り穴71i,71jが設けられている。クリーニング枠体71の吊り穴71i,71jと、容器本体23の支持穴23a,23b内に結合ピン69が挿通され、結合ピン69は吊り穴71i,71j内に圧入固定される。支持穴23a,23bは結合ピン69に対して摺動可能に嵌合する。これによりクリーニングユニット60と現像ユニット20とを結合ピン69により互いに回動可能に結合する。これによりプロセスカートリッジBを構成する。
【0060】
図8に示す駆動側の付勢部材46Rの穴部46Raは、ドラム軸受73の表面に突出したボス73cに掛けられ、付勢部材46Rの穴部46Rbがサイドカバー26の表面に突出したボス26aに掛けられている。
図6に示す非駆動側の付勢部材46Fの穴部46Faは、クリーニング枠体71に設けられたボス71kに掛けられ、付勢部材46Fの穴部46Fbが軸受部材37に設けられたボス37aに掛けられている。
【0061】
本実施形態の付勢部材46R,46Fは、引っ張りバネにより構成される。付勢部材46R,46Fの付勢力により現像ユニット20をクリーニングユニット60に対して付勢することで、現像ユニット20に設けられた現像ローラ32を、クリーニングユニット60に設けられた感光ドラム62に対して押し付ける。そして、現像ローラ32の軸線方向両端部に取り付けられた間隔保持部材38により現像ローラ32の表面は、感光ドラム62の表面から所定の間隔をもって保持される。
【0062】
<支持ユニットの製造方法>
次に、
図9~
図15を用いて、支持ユニットの製造方法について説明する。
図9は、本実施形態の容器本体23とサイドカバー26の構成を示す分解斜視図である。
図10は、本実施形態の容器本体23とサイドカバー26の構成を示す断面説明図である。
図11及び
図12は、本実施形態の容器本体23にサイドカバー26を結合する前の組立方法を説明する断面説明図である。
図13~
図15は、本実施形態の容器本体23とサイドカバー26の接合方法を説明する断面説明図である。
【0063】
<接合前のサイドカバーと枠体との組立>
図9及び
図10に示すように、容器本体23の駆動側(
図9及び
図10の右側)には、サイドカバー26が配置され、サイドカバー26の更に外側には、容器本体23にサイドカバー26を組み立てる際に用いられる組立治具90が配置されている。組立治具90は、サイドカバー26(被固定部材)を保持する第1保持部材として構成される。
【0064】
容器本体23の非駆動側(
図9及び
図10の左側)には、組立治具91が配置されている。組立治具91は、容器本体23(枠体)を保持する第2保持部材として構成される。サイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)との結合時には、予め容器本体23と底部材22とは接合されて一体化されている。このため組立治具91は、容器本体23と底部材22とからなる枠体を保持する第2保持部材として構成される。また、現像ローラ32の軸線方向と直交する方向における底部材22(枠体)の外側には、組立補助治具92が配置されている。
【0065】
サイドカバー26には、基準穴26bと、現像ローラ32の軸線方向と交差(好ましくは直交)する方向に沿った長穴26cが設けられている。基準穴26bと、長穴26cは、サイドカバー26を貫通して設けられる。組立治具90には、サイドカバー26に設けられた基準穴26bと、長穴26c内に嵌合される突起部90b1,90c1を有する軸90b,90cが設けられている。
【0066】
組立治具90を
図11の矢印S方向に移動させると、サイドカバー26の基準穴26bと、長穴26c内に軸90b,90cの先端部に設けた突起部90b1,90c1がそれぞれ嵌合する。そして、組立治具90の軸90b,90cの突起部90b1,90c1の根本に形成されている突当面90dと、サイドカバー26の被突当面26eとが当接する。これによりサイドカバー26は、組立治具90に把持される。
【0067】
組立治具91には、容器本体23の非駆動側(
図9及び
図10の左側)の側面に突出する突出部23p,23qの内部に設けられた基準凹部23cと、長凹部23d内に嵌合される突起部91b1,91c1を有する軸91b,91cが設けられている。
【0068】
組立治具91を
図11の矢印J方向に移動させると、容器本体23の基準凹部23cと、長凹部23d内に軸91b,91cの先端部に設けた突起部91b1,91c1がそれぞれ嵌合する。そして、組立治具91の軸91b,91cの突起部91b1,91c1の根本に形成されている突当面91dと、容器本体23の突出部23p,23qの天面からなる被突当面23eとが当接する。
【0069】
更に、組立補助治具92を
図11の矢印U方向に移動させると、組立補助治具92の突当面92bと、底部材22の底面に設けられた被突当面22fとが当接する。これにより容器本体23と底部材22とは、組立治具91と組立補助治具92とにより把持される。更に、組立治具90によりサイドカバー26を把持した状態で、組立治具90を
図12の矢印S方向に移動する。これにより
図12に示すように、サイドカバー26の当接面26g(第1の対向面)を、容器本体23(枠体)の側面から突出した被当接面23g(第1の面)に当接する。
【0070】
支持ユニットの製造方法としては、組立治具90(第1保持部材)により保持されたサイドカバー26(被固定部材)を第1の方向(
図11の矢印S方向)に移動させる。また、組立治具91(第2保持部材)により保持された枠体(容器本体23と底部材22)を第1の方向(
図11の矢印J方向)に移動させる。
【0071】
そして、容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26g(第1の対向面)とを当接する。これによりサイドカバー26と容器本体23との撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線方向の位置が決まる。
【0072】
このように、組立治具90,91と、組立補助治具92とによりサイドカバー26(被固定部材)と枠体(容器本体23と底部材22)との位置が決まる。このとき、サイドカバー26の張り出し部26jの裏面側に設けられた当接面26j2と、容器本体23の被当接面23iとが当接する。
【0073】
即ち、サイドカバー26(被固定部材)と容器本体23(枠体)の少なくとも何れか一方を移動させる。そして、容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26g(第1の対向面)とを当接させる。更に、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)とサイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)とを対向させる。このような製造工程を有する。これにより容器本体23にサイドカバー26を結合する前のサイドカバー26と容器本体23との組立が完了する。
【0074】
<超音波スポット溶着によるサイドカバーと枠体の結合>
次に、
図13~
図15を用いて、超音波スポット溶着によりサイドカバー26を容器本体23に結合する方法について説明する。
図13~
図15は、サイドカバー26と容器本体23との溶着箇所を示す拡大断面図である。
【0075】
<超音波スポット溶着>
本発明で用いる超音波スポット溶着での接合方法について説明する。超音波スポット溶着とは、2つの部材を、超音波を用いて接合する方法の一つである。超音波溶着では、超音波振動を発生する発振装置と、発振装置に取り付けられ、超音波振動を部材に伝える共鳴体が用いられる。共鳴体は、ホーン、或いは、溶着ホーンと呼ばれる。溶着ホーンが部材に一定の加圧力を与え、超音波振動を与える。これにより2つ部材の樹脂の間に摩擦熱が発生する。この摩擦熱により樹脂が溶融し、その後、樹脂が冷却されることで固化する。これにより、部材同士が接合される。
【0076】
超音波溶着によって接合される部材の材料は、熱可塑性樹脂を含むことが望ましい。また、二つの部材の接合強度を高めるために、少なくとも溶融する部分において、二つの部材の材料は、互いに相溶性を有することが好ましい。二つの部材の材料が同じであることがより望ましい。本実施形態においては、後述する第一の部材としての枠体(容器本体23、底部材22)と、第二の部材としてのサイドカバー26の材料として、同材質のスチレン系の熱可塑性樹脂を用いた。
【0077】
超音波スポット溶着で用いられる溶着ホーンについて説明する。
図13に示すように、溶着ホーン1は、直径D1を有する円筒部1cと、円筒部1cからホーン先端部1aに向かうに従って径が小さくなるテーパ部1bを有する。言い換えると、溶着ホーン1は、ホーン先端部1aが尖った形状を有している。このような先端形状を有する溶着ホーン1を用いることにより、接合する部材に超音波を伝える突起形状(いわゆる超音波ジョイント)を形成することなく、部材同士を接合することができる。
【0078】
図示しない発振装置により溶着ホーン1を超音波振動させる。溶着ホーン1の超音波振動を樹脂製のサイドカバー26と容器本体23とに伝えることにより2つの樹脂間に摩擦熱を発生させる。この摩擦熱により樹脂を溶融させて結合することが可能となる。尚、適用可能な樹脂としては、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0079】
図13に示すように、超音波スポット溶着を行う溶着ホーン1を、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)と交差する方向(好ましくは直交する
図13の矢印H1方向)からサイドカバー26(被固定部材)に当接する。そして、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)と、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)とを溶融させる。これにより容器本体23(枠体)とサイドカバー26(被固定部材)とを結合する。このような製造工程を有する。
【0080】
溶着ホーン1をサイドカバー26(被固定部材)に当接した状態で、溶着ホーン1を
図13の矢印H1方向で示すホーン侵入方向に移動する。そして、溶着ホーン1のホーン先端部1aがサイドカバー26の張り出し部26jの裏面側で容器本体23の被当接面23iに当接する当接面26j2に対向する張り出し部26jの表面側の対向面26j1と当接する。
【0081】
このとき、溶着ホーン1は、サイドカバー26の張り出し部26jの表面側の対向面26j1に対して、
図13の矢印H1方向に所定の荷重を加えている。溶着ホーン1は、サイドカバー26の張り出し部26jの表面側の対向面26j1に対して所定の荷重を加えた状態で、超音波振動することにより溶着ホーン1のホーン先端部1aと対向面26j1との間に摩擦熱が発生する。
【0082】
この摩擦熱により対向面26j1が溶融し、
図14に示すように、溶着ホーン1のホーン先端部1aは、サイドカバー26の張り出し部26jの内部に侵入する。即ち、溶着ホーン1の超音波振動による摩擦熱によりサイドカバー26(被固定部材)を溶融させて溶着ホーン1のホーン先端部1aをサイドカバー26(被固定部材)の内部に侵入させる。
【0083】
尚、
図14に示す撹拌室29(収容部)は、トナーT(現像剤)を収容する空間として構成される。ここで、
図14及び
図15に示すように、溶着される面となるサイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)と、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)とを考慮する。
【0084】
そして、当接面26j2(第2の対向面)と、被当接面23i(第2の面)とに対して直交し、かつ超音波スポット溶着によって溶着される溶着部(溶融部26m,23m)を通る直線aを考慮する。その直線aが撹拌室29(収容部)を通過する。即ち、容器本体23の長手方向(
図14及び
図15の左右方向)において、溶着部(溶融部26m,23m)と撹拌室29(収容部)との位置が重なっている。
【0085】
このように配置した場合であっても超音波スポット溶着によれば、
図15に示すように、溶融部26m,23mが形成されるため撹拌室29(収容部)の内部に通じる穴が開くことが無く、撹拌室29(収容部)からトナーT(現像剤)が漏れることが無い。このため撹拌室29(収容部)を撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線方向(
図14及び
図15の左右方向)に拡張することができ、撹拌室29(収容部)内のトナーT(現像剤)の収容量を増大することができる。撹拌室29(収容部)内のトナーT(現像剤)の収容量が同じであれば支持ユニットを小型化できる。
【0086】
溶着ホーン1は、サイドカバー26の内部に超音波振動を付与し、張り出し部26jの裏面側の当接面26j2にも超音波振動が伝わる。これにより当接面26j2が溶融し、溶融部26mが形成される。更に、溶融部26mが容器本体23の被当接面23iに当接することにより溶融部26mと被当接面23iとの摩擦熱により溶融部23mが形成される。
【0087】
その後、溶着ホーン1が
図15の矢印H2方向に退避し、各溶融部26m,23mが冷却されて固化する。即ち、溶着ホーン1の超音波振動による摩擦熱によりサイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)と、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)とが溶融した後、冷却されて固化する。これによりサイドカバー26の張り出し部26jと容器本体23とは固化した各溶融部26m,23mが一体化して結合された状態となる。これにより超音波スポット溶着によるサイドカバー26と容器本体23との結合が完了する。
【0088】
このとき、
図15に示すように、容器本体23(枠体)の被当接面(第1の面)23gと、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26g(第1の対向面)とが当接されている。その状態で、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)とが超音波スポット溶着によって溶着されている。
【0089】
本実施形態では、サイドカバー26の張り出し部26jと容器本体23とを撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線方向と交差(好ましくは直交)する
図13の矢印H1方向から溶着ホーン1を侵入させて超音波スポット溶着により結合する。これにより超音波スポット溶着する箇所に溶着ホーン1のホーン先端部1aを挿入するための凹部を設ける必要が無く、超音波スポット溶着用のスペースを小さくして容器本体23の小型化が図れる。
【0090】
また、組立治具90,91、組立補助治具92によりサイドカバー26と容器本体23とを把持した状態で超音波スポット溶着を行うことができる。これにより超音波スポット溶着時の荷重の影響で、サイドカバー26と容器本体23とが位置ずれを起こすことが無い。超音波スポット溶着は、簡易で低コストで安定した溶着による結合方法である。
【0091】
〔第2実施形態〕
次に、
図16~
図18を用いて本発明に係る支持ユニット、現像剤容器、現像装置、感光体ユニット、プロセスカートリッジ及び支持ユニットの製造方法の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
【0092】
図16は、本実施形態の枠体(容器本体23と底部材22)とサイドカバー26とを結合する前の組立方法を説明する断面説明図である。
図17は、本実施形態の枠体(容器本体23と底部材22)とサイドカバー26との接合方法を説明する断面説明図である。
図18は、本実施形態の枠体(容器本体23と底部材22)とサイドカバー26との接合方法を説明する断面説明図である。
【0093】
前記第1実施形態では、
図7、
図9~
図12に示されたように、サイドカバー26の張り出し部26jが容器本体23側にのみ設けられた構成であった。本実施形態では、
図16~
図18に示すように、容器本体23側と、底部材22側の両方にサイドカバー26の張り出し部26j,26kが設けられた一例である。
【0094】
<枠体>
底部材22(枠体)に設けられる被当接面22k(第3の面)は、容器本体23(枠体)に設けられる被当接面23g(第1の面)と交差(好ましくは直交)する方向に延びている。
【0095】
底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)は、容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)と交差(好ましくは直交)する方向に延びている。被当接面22k(第3の面)と被当接面23i(第2の面)とは平行である。
【0096】
<被固定部材>
張り出し部26j(第1の張り出し部)は、撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線と交差(好ましくは直交)する方向において、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と重なる平板状で構成されている。張り出し部26j(第1の張り出し部)には、当接面26j2(第2の対向面)が設けられている。
【0097】
一方、張り出し部26k(第2の張り出し部)は、撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線と交差(好ましくは直交)する方向において、底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)と重なる平板状で構成されている。張り出し部26k(第2の張り出し部)には、当接面26k2(第3の対向面)が設けられている。
【0098】
サイドカバー26(被固定部材)は、底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)と対向する当接面26k2(第3の対向面)を有している。
【0099】
張り出し部26j(第1の張り出し部)に設けられた当接面26j2(第2の対向面)と、張り出し部26k(第2の張り出し部)に設けられた当接面26k2(第3の対向面)とは、互いに対向して(向き合って)設けられている。尚、当接面26j2(第2の対向面)と当接面26k2(第3の対向面)とは、それらを延長した面が平行である必要はなく、第2の対向面と第3の対向面との延長した面が直交したり、所定の角度で交差する構成であっても良い。
【0100】
張り出し部26j,26kは、各張り出し部26j,26kの表裏面が凹凸が無く平坦面からなる平板状で構成される。少なくとも容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)に超音波スポット溶着される張り出し部26jの表側の対向面26j1と裏側の当接面26j2(第2の対向面)とが平坦面で構成される。
【0101】
また、少なくとも底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)に超音波スポット溶着される張り出し部26kの表側の対向面26k1と裏側の当接面26k2(第3の対向面)とが平坦面で構成される。サイドカバー26(被固定部材)に設けられた当接面26k2(第3の対向面)は、底部材22(枠体)に設けられた被当接面22k(第3の面)と対向する。
【0102】
ここで、
図17及び
図18に示すように、溶着される面となるサイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)と、底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)とを考慮する。
【0103】
そして、当接面26k2(第3の対向面)と、被当接面22k(第3の面)とに対して直交し、かつ超音波スポット溶着によって溶着される溶着部(溶融部26n,23n)を通る直線bを考慮する。その直線bが撹拌室29(収容部)を通過する。即ち、底部材22(枠体)の長手方向(
図17及び
図18の左右方向)において、溶着部(溶融部26m,23m)と撹拌室29(収容部)との位置が重なっている。
【0104】
底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)とは、超音波スポット溶着によって溶着されている。
【0105】
<接合前のサイドカバーと枠体との組立>
図12に示して前述した第1実施形態と同様に、サイドカバー26は、組立治具90により把持され、枠体(容器本体23と底部材22)は、組立治具91と組立補助治具92とにより把持される。そして、組立治具90,91、組立補助治具92によりサイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)とが把持される。その状態で、
図16に示すように、サイドカバー26の当接面26gと、容器本体23の被当接面23gとが当接する位置まで、組立治具90,91、組立補助治具92を移動する。
【0106】
前記第1実施形態と同様に、組立治具90(第1保持部材)により保持されたサイドカバー26(被固定部材)と、組立治具91(第2保持部材)により保持された枠体(容器本体23と底部材22)とを第1の方向(
図11の矢印S,J方向)に移動させる。そして、
図16に示すように、容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26g(第1の対向面)とを当接させる。これによりサイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)との撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線方向の位置が決まる。
【0107】
このとき、サイドカバー26の
図16の上下の張り出し部26j,26kのそれぞれの裏面側に設けられた当接面26j2,26k2と、容器本体23の被当接面23iと底部材22の被当接面22kとが
図16の上下方向にそれぞれオーバーラップする。
【0108】
更に、組立治具90,91、組立補助治具92によりサイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)との
図16の上下方向の位置を決める。このとき、サイドカバー26の
図16の上側の張り出し部26jの裏面側に設けられた当接面26j2と、容器本体23の
図16の上側の被当接面23iとの間には隙間G1が設けられる。一方、サイドカバー26の
図16の下側の張り出し部26kの裏面側に設けられた当接面26k2と、容器本体23の
図16の下側の被当接面22kとの間にも隙間G2が設けられる。
【0109】
組立治具90(第1保持部材)により保持されたサイドカバー26(被固定部材)と、組立治具91(第2保持部材)により保持された枠体(容器本体23と底部材22)とを第2の方向(
図11の矢印U方向)に移動させる。ここで、第2の方向(
図11の矢印U方向)は、第1の方向(
図11の矢印S,J方向)と直交する方向である。
【0110】
そして、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)とを対向させる。更に、底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)とを対向させる。
【0111】
即ち、サイドカバー26(被固定部材)と、枠体(容器本体23と底部材22)の少なくともいずれか一方を移動させる。そして、容器本体23(枠体)の被当接面23g(第1の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26g(第1の対向面)とを当接させる。更に、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)とを対向させる。更に、底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)とを対向させる。このような製造工程を有する。これにより接合前のサイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)との組立が完了する。
【0112】
<超音波スポット溶着によるサイドカバーと枠体の結合>
次に、超音波スポット溶着によるサイドカバー26と枠体(容器本体23及び底部材22)との結合方法について説明する。
図17に示すように、一対の溶着ホーン1,2をサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kに向けて、それぞれ
図17の矢印H1,K1方向で示すホーン侵入方向に移動する。
【0113】
すると、
図17に示すように、各溶着ホーン1,2のホーン先端部1a,2aがサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kのそれぞれの表面側に設けられた各対向面26j1,26k1に当接する。各対向面26j1,26k1は、各張り出し部26j,26kの裏面側に設けられた当接面26j2,26k2の反対側に位置する。尚、
図17に示す溶着ホーン2は、直径D1を有する円筒部2cと、円筒部2cからホーン先端部2aに向かうに従って径が小さくなるテーパ部2bを有する。
【0114】
即ち、超音波スポット溶着を行う第1の溶着ホーン1を、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)と交差する方向(好ましくは直交する
図17の矢印H1方向)からサイドカバー26(被固定部材)に当接する。更に、超音波スポット溶着を行う第2の溶着ホーン2を、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)と交差する方向(好ましくは直交する
図17の矢印K1方向)からサイドカバー26(被固定部材)に当接する。
【0115】
このとき、各溶着ホーン1,2は、各対向面26j1,26k1に対して、それぞれ
図17の矢印H1,K1方向(ホーン侵入方向)に所定の荷重を加えている。各溶着ホーン1,2は、各対向面26j1,26k1に対して所定の荷重を加えた状態で超音波振動する。
【0116】
これにより各溶着ホーン1,2のホーン先端部1a,2aと、各対向面26j1,26k1との間に摩擦熱が発生する。この摩擦熱によりサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kの表面側に設けられた各対向面26j1,26k1が溶融する。そして、
図18に示すように、各溶着ホーン1,2のホーン先端部1a,2aがサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kの内部に向かって、それぞれ
図18の矢印H1,K1方向に侵入する。
【0117】
次に、各溶着ホーン1,2のホーン先端部1a,2aと、サイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kの内部の摩擦熱によりサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kのそれぞれの裏面側に設けられた当接面26j2,26k2が溶融する。これにより各溶融部26m,26nが形成される。更に、各溶融部26m,26nが容器本体23の被当接面23iと底部材22の被当接面22kとにそれぞれ当接することにより各溶融部26m,26nと被当接面23i,22kとの摩擦熱により各溶融部23m,23nが形成される。
【0118】
その後、各溶着ホーン1,2がそれぞれ
図18の矢印H2,K2方向に退避し、各溶融部26m,26n及び溶融部23m,23nが冷却されて固化する。即ち、第1、第2の溶着ホーン1,2の超音波振動による摩擦熱によりサイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)と、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)とを溶融させる。更に、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)と、底部材22(枠体)の被当接面22k(第3の面)とを溶融させる。その後、それぞれが冷却されて固化する。
【0119】
これによりサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kと、容器本体23と底部材22とは、固化した各溶融部26m,26n及び溶融部23m,23nが一体化して結合された状態となる。即ち、超音波スポット溶着による枠体(容器本体23と底部材22)とサイドカバー26(被固定部材)とを結合する製造工程を有する。
【0120】
このとき、
図18に示すように、容器本体23(枠体)の被当接面(第1の面)23gと、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26g(第1の対向面)とが当接されている。その状態で、容器本体23(枠体)の被当接面23i(第2の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26j2(第2の対向面)とが超音波スポット溶着によって溶着されている。更に、底部材(収容部)22の被当接面22k(第3の面)と、サイドカバー26(被固定部材)の当接面26k2(第3の対向面)とが超音波スポット溶着によって溶着されている。
【0121】
第1実施形態では、
図12に示す接合前のサイドカバー26と容器本体23との組立完了位置でサイドカバー26の上の張り出し部26jの裏面側の当接面26j2と、容器本体23の被当接面23iとを当接した。
図16に示す接合前のサイドカバー26と容器本体23と底部材22との組立完了位置を考慮する。その位置で、サイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kのそれぞれの裏面側の当接面26j2,26k2と、容器本体23の被当接面23iと、底部材22の被当接面22kとをそれぞれ当接させる場合を考慮する。
【0122】
その場合、サイドカバー26と、枠体(容器本体23と底部材22)との2部品間の公差を考慮する。すると、
図16に示す接合前のサイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)との組立時に、サイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kと、枠体(容器本体23と底部材22)とが干渉してしまう懸念がある。
【0123】
本実施形態では、
図16に示す接合前のサイドカバー26と枠体(容器本体23と底部材22)との組立時を考慮する。そのとき、組立治具90,91、組立補助治具92によりサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kと、枠体(容器本体23と底部材22)との
図16の上下方向の位置を決める。その際に、サイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kのそれぞれの裏面側の当接面26j2,26k2と、容器本体23の被当接面23iと底部材22の被当接面22kとの間にそれぞれ隙間G1,G2を設ける。
【0124】
この隙間G1,G2がある状態でもサイドカバー26の上下の張り出し部26j,26kと、枠体(容器本体23と底部材22)とを超音波スポット溶着により結合することが可能である。したがって、枠体(容器本体23と底部材22)の上下で撹拌部材43,44,50(回転体)の軸線方向と直交する枠体(容器本体23と底部材22)の短手方向に沿って複数の箇所を超音波スポット溶着することが可能となる。このため前記第1実施形態よりも更に高い結合強度を得ることが可能となる。
【0125】
尚、前記各実施形態では、現像ユニット20に設けられた枠体(容器本体23と底部材22)とサイドカバー26との結合について説明したが、例えば、クリーニングユニット60に設けられたクリーニング枠体71とドラム軸受73との結合にも適用できる。更には、他の枠体や軸受やカバー等の接合にも適用できる。このとき、回転体は枠体か被固定部材の少なくともいずれか一方に回転可能に支持される構成であっても良い。
【0126】
例えば、トナーTを搬送する回転体の例として、撹拌部材43,44,50が挙げられる。本実施形態においては、撹拌部材43,44,50は、容器本体23に回転可能に支持される。そして、被固定部材としてのサイドカバー26が、容器本体23に超音波スポット溶着で固定される。この場合においては、容器本体23が枠体である。
【0127】
また、トナーTを搬送する回転体の例として、現像ローラ32が挙げられる。本実施形態においては、現像ローラ32は軸受部材27,37によって回転可能に支持される。そして、被固定部材としてのサイドカバー26が、容器本体23に超音波スポット溶着で固定される。この場合においては、少なくとも容器本体23と、軸受部材27,37を含む部分が枠体である。
【0128】
一方、軸受部材27,37を容器本体23に対して超音波スポット溶着で固定しても良い。つまり、この場合は、容器本体23が枠体であり、軸受部材27,37が被固定部材である。
【0129】
また、トナーTを搬送する回転体の例として、感光ドラム62が挙げられる。本実施形態においては、
図5に示すように、感光ドラム62の非駆動側は、ドラム軸78を介してクリーニング枠体71に支持される。感光ドラム62の駆動側は、ドラム軸受73によって回転可能に支持される。このとき、ドラム軸受73を、クリーニング枠体71に対して超音波スポット溶着で固定しても良い。つまり、この場合は、クリーニング枠体71が枠体であり、ドラム軸受73が被固定部材である。それぞれの枠体と被固定部材との接合方法は、各実施形態で説明した方法と同様の方法を用いることができる。
【0130】
また、溶着箇所として、例えば、ドラム軸受73のボス73c等のように、付勢部材46Rの力が作用し、変形が懸念される箇所の周辺の接合等にも適用できる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0131】
T…トナー(現像剤)
23…容器本体(枠体)
23g…被当接面(第1の面)
23i…被当接面(第2の面)
24…現像剤容器(支持ユニット)
26…サイドカバー(被固定部材)
26g…当接面(第1の対向面)
26j2…当接面(第2の対向面)
43,44,50…撹拌部材(回転体)