(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20221121BHJP
E04F 19/08 20060101ALI20221121BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20221121BHJP
E05F 15/73 20150101ALI20221121BHJP
E05F 15/79 20150101ALI20221121BHJP
【FI】
E04H1/12 301
E04F19/08 102J
E06B7/28 G
E05F15/73
E05F15/79
(21)【出願番号】P 2018133551
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】岡田 まり
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-045588(JP,U)
【文献】実開昭51-046620(JP,U)
【文献】特開2015-081411(JP,A)
【文献】特開2008-191162(JP,A)
【文献】米国特許第05375380(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00- 1/14
E04F 17/00-19/10
E06B 7/00- 7/36
E05F 15/00-15/79
A47G 1/00- 1/24
A47B 67/00-67/02
A47K 1/00- 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁部により屋外と仕切られた洗面室を備える建物であって、
前記外壁部には、前記洗面室を屋外に開放する窓部が設けられ、
前記洗面室には、前記窓部の付近に、床部上に設置され上下に延びる縦長の収納棚が設けられ、
前記収納棚は、物品を収納可能な本体部と、前記本体部に開閉可能に設けられた収納扉とを有しており、
前記収納扉は、その開状態において前記窓部の全域を覆う遮蔽位置に配置可能とされて
おり、
前記洗面室が利用される時間帯が予め利用時間帯として定められており、
前記洗面室に人がいるか否かを判定する判定手段と、
前記収納扉を開閉駆動する扉駆動部と、
前記判定手段により前記洗面室に人がいると判定され、かつ、今現在が前記利用時間帯である場合に、前記収納扉を前記遮蔽位置に移動させるよう前記扉駆動部を駆動制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする建物。
【請求項2】
前記収納扉の裏面には、上下方向に延びる縦長の姿見鏡が取り付けられており、
前記収納扉が前記遮蔽位置に配置されると、前記姿見鏡が前記窓部とは反対側を向けて配置されることを特徴とする請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記収納扉が前記遮蔽位置から閉側へ動作するのを規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記収納扉を前記遮蔽位置にて保持する保持手段を備え、
前記遮蔽位置では、前記収納扉が前記外壁部から屋内側に離間して配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面室を備える建物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等の建物には、洗面台が設置された洗面室が設けられている(例えば特許文献1参照)。洗面室は、例えば、朝の時間帯においては化粧やヘアメイク等を行う身支度スペースとして用いられ、夜の時間帯においては入浴する際の脱衣スペースとして用いられる。
【0003】
洗面室には屋外に開口する窓部が設けられていることがある。この場合、その窓部を通じて洗面室への採光や通風を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、洗面室に窓部が設けられている場合、洗面室の利用中に、窓部を通じて屋外から洗面室を覗かれてしまうことが懸念される。そこで、窓部に対してシャッタカーテン等の遮蔽部材を設け、それにより屋外からの視線を遮ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、遮蔽部材を窓部に設けるとなると、それに伴い設置費用がかかるといった問題が生じうる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、窓部が設けられた洗面室において、その窓部に遮蔽部材を設けなくても、窓部を通じた屋外からの視線を遮ることができる建物を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物は、外壁部により屋外と仕切られた洗面室を備える建物であって、前記外壁部には、前記洗面室を屋外に開放する窓部が設けられ、前記洗面室には、前記窓部の付近に物品を収納可能な収納部が設けられ、前記収納部は、開閉可能な収納扉を有しており、前記収納扉は、その開状態において前記窓部の全域を覆う遮蔽位置に配置可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、洗面室において窓部の付近に物品を収納可能な収納部が設けられている。また、収納部の収納扉は、その開状態において窓部の全域を覆う遮蔽位置に配置可能とされている。これにより、窓部にシャッタカーテン等の遮蔽部材を設けなくても、収納扉を遮蔽位置に配置することで、洗面室において窓部を通じた屋外からの視線を遮ることができる。
【0010】
第2の発明の建物は、第1の発明において、前記収納扉の裏面には姿見鏡が取り付けられており、前記収納扉が前記遮蔽位置に配置されると、前記姿見鏡が前記窓部とは反対側を向けて配置されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、収納扉の裏面に姿見鏡が取り付けられており、収納扉が遮蔽位置に配置されると、姿見鏡が窓部とは反対側を向けて配置される。これにより、収納扉を遮蔽位置に配置することで、姿見鏡で全身を見ながら身支度を行うことも可能となる。
【0012】
第3の発明の建物は、第1又は第2の発明において、前記収納扉が前記遮蔽位置から閉側へ動作するのを規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、収納扉が遮蔽位置にある場合に、収納扉が閉側へ動作するのを規制することができる。これにより、不審者等が窓部を通じて屋外から洗面室に侵入するのを防止できるため、屋外からの視線を遮りながら、防犯性の向上を図ることができる。
【0014】
第4の発明の建物は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記収納扉を前記遮蔽位置にて保持する保持手段を備え、前記遮蔽位置では、前記収納扉が前記外壁部から屋内側に離間して配置されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、保持手段により収納扉が遮蔽位置にて保持され、この保持状態では、収納扉が外壁部から屋内側に離間して配置される。これにより、収納扉が遮蔽位置にある場合において、収納扉と外壁部との間を通じて通気が可能となり、ひいては窓部を通じた洗面室内の通気が可能となる。そのため、収納扉により屋外からの視線を遮りながら、洗面室内の通気を行うことが可能となる。
【0016】
第5の発明の建物は、外壁部により屋外と仕切られた洗面室を備える建物であって、前記外壁部には、前記洗面室を屋外に開放する窓部が設けられ、前記洗面室には、前記窓部の付近に物品を収納可能な収納部が設けられ、前記収納部は、開閉可能な収納扉を有しており、前記収納扉は、その開状態において前記窓部を覆う遮蔽位置に配置可能とされ、前記洗面室に人がいるか否かを判定する判定手段と、前記収納扉を開閉駆動する扉駆動部と、前記判定手段により前記洗面室に人がいると判定された場合に前記収納扉を前記遮蔽位置に移動させるよう前記扉駆動部を駆動制御する制御手段と、備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、洗面室に人がいる場合には収納扉が自動で遮蔽位置に移動される。これにより、人が洗面室を利用するのに合わせて窓部を収納扉により遮蔽することができるため、洗面室の利用時に屋外からの視線を遮るにあたり好適な構成とすることができる。
【0018】
第6の発明の建物は、第5の発明において、前記洗面室が利用される時間帯が予め利用時間帯として定められており、前記制御手段は、前記判定手段により前記洗面室に人がいると判定され、かつ、今現在が前記利用時間帯である場合に、前記収納扉を前記遮蔽位置に移動させるよう前記扉駆動部を駆動制御することを特徴とする。
【0019】
洗面室は、例えば朝の時間帯においてはメイク等の身支度を行う身支度スペースとして利用され、夜の時間帯においては入浴の際の脱衣スペースとして利用される。つまり、洗面室が身支度等のために利用される時間帯はある程度決まっている。そこで本発明では、洗面室に人がいる場合であって、かつ今現在が所定の利用時間帯である場合に、収納扉を遮蔽位置に移動させるようにしている。これにより、人が身支度等のために利用するのに合わせて窓部を遮蔽することができるため、人が身支度等を行うに際し屋外からの視線を遮る上で好適な構成とすることができる。なお、利用時間帯としては、朝時間帯や夜時間帯が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】窓部周辺を示す平面図であり、(a)が収納扉の閉状態を示し、(b)が収納扉の開状態を示す。
【
図6】他の実施形態における洗面室の内部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は洗面室及びその周辺を示す平面図である。
図2は洗面室の内部を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、住宅等の建物10には、洗面室11と、その洗面室11に隣接する浴室12及び廊下13とが設けられている。洗面室11は、浴室12と間仕切壁15により仕切られている。間仕切壁15には、洗面室11から浴室12へ出入りするための出入口16が設けられ、その出入口16には折り戸からなる開閉戸17が設けられている。
【0023】
洗面室11は、廊下13と間仕切壁18により仕切られている。この間仕切壁18は、間仕切壁15と直交して配置されている。間仕切壁18には、廊下13から洗面室11へ出入りするための出入口21が設けられ、その出入口21には引き戸からなる開閉戸22が設けられている。
【0024】
洗面室11は、外壁部25により屋外と仕切られている。外壁部25は、互いに直角をなして配置された一対の壁部25a,25bを有している。これら壁部25a,25bのうち、壁部25aが洗面室11を挟んで間仕切壁18と対向配置され、壁部25bが洗面室11を挟んで間仕切壁15と対向配置されている。
【0025】
図1に加え
図2に示すように、壁部25bには、洗面室11を屋外に開放させる窓部26が設けられている。この窓部26には、当該窓部26を開閉する窓戸27が設けられている。窓戸27は、上下に並べられた複数のルーバ27a(横長の板ガラス)を有するルーバ窓からなる。但し、窓戸27は、内倒し窓等、ルーバ窓以外の窓戸により構成されていてもよい。
【0026】
洗面室11には、壁部25aの壁際に、洗面台31と収納棚32と洗濯機33とが並んで設けられている。これら洗面台31、収納棚32及び洗濯機33のうち、洗面台31が中央に配置され、その洗面台31を挟んだ両側に収納棚32及び洗濯機33が配置されている。収納棚32及び洗濯機33のうち、収納棚32は、洗面室11において各壁部25a,25bの間の隅部に配置され、洗濯機33は、壁部25aと間仕切壁15との間の隅部に配置されている。
【0027】
収納棚32は、窓部26の付近に配置されている。収納棚32は、壁部25bの壁幅方向(換言すると窓部26の幅方向)において、窓部26よりも壁部25a側に配置され、詳しくはその全体が窓部26よりも壁部25a側に位置するよう配置されている。また、収納棚32は、洗面室11において床部11a上に設置され、上下に延びる縦長の棚とされている。詳しくは、収納棚32は、洗面室11における床部11aから天井部11b付近に亘る高さ寸法を有している。
【0028】
収納棚32は、物品を収納可能な本体部32aと、その本体部32aに開閉可能に設けられた収納扉32bとを有する。収納扉32bは、横開き式の開き戸とされている。すなわち、収納扉32bは、上下に延びる回動軸32cを中心として回動可能とされ、その回動により開閉されるようになっている。なお、収納棚32が「収納部」に相当する。
【0029】
洗面室11には、間仕切壁18の壁際に収納棚35が設けられている。この収納棚35は、上記収納棚32と異なり、収納扉を有していない。そのため、収納棚35は、洗面室11に向けて開放された開放棚となっている。なお、洗面室11では、この収納棚35と洗面台31及び収納棚32との間に通路スペースが形成されており、その通路スペースの幅(窓部26の幅方向における長さ)が洗面台31の幅よりも小さくなっている。
【0030】
ここで、本実施形態では、収納棚32の収納扉32bが開状態とされることで、その収納扉32bにより窓部26全域を覆うことが可能となっている。そして、これにより、洗面室11にて窓部26を通じた屋外からの視線を遮ることが可能となっている。そこで、以下においては、その点に関する構成について
図3を用いながら説明する。
図3は、窓部26周辺を示す平面図であり、(a)が収納棚32の収納扉32bの閉状態を示し、(b)が収納扉32bの開状態を示す。
【0031】
図3(a)に示すように、収納扉32bは、その閉状態においては、その幅方向が壁部25bの壁幅方向(換言すると窓部26の幅方向)と直交する向きで配置されている。この場合、収納扉32bは、その回動軸32cが幅方向における壁部25b側に位置している。なお、以下においては、閉状態における収納扉32bの位置を「閉位置」ともいう。
【0032】
図3(b)に示すように、収納扉32bは、閉位置から90°開側に回動されると、壁部25bと重なるようにして配置される。この場合、収納扉32bは、その幅方向が壁部25bの壁幅方向(窓部26の幅方向)と同方向とされ、窓部26の全域を覆うように配置される。これにより、窓部26を通じた屋外からの視線を遮ることが可能となる。なお、以下では、この場合における収納扉32bの位置を「遮蔽位置」という。また、
図2では、収納扉32bが遮蔽位置にある状態が示されている。
【0033】
壁部25bには、収納扉32bを遮蔽位置にて保持する保持部38が設けられている。保持部38は、壁部25bにおいて収納扉32bの回動先端側付近に設けられている。保持部38は、例えばL字状に屈曲された棒材よりなり、壁部25bから屋内側(洗面室11内部側)に延びる軸部38aと、その軸部38aと直交する方向に延びる係合部38bとを有する。
【0034】
係合部38bは、収納扉32bの回動先端部(詳しくは回動先端面)に設けられた被係合部39に係合可能とされている。被係合部39は、溝部を有するコ字状の金物からなり、その溝部を上記回動先端部とは反対側に開放させた状態で当該回動先端部に取り付けられている。また、この取付状態において、被係合部39における溝部を挟んだ両側面は収納扉32bの厚み方向に対向している。
【0035】
保持部38は、その軸部38aを回動中心として壁部25bに回動可能に設けられている。保持部38は、その回動により、係合部38bが被係合部39に係合される係合位置(
図3(b)参照)と、その係合が解除される係合解除位置(
図3(a)参照)との間で変位可能とされている。
【0036】
収納扉32bが遮蔽位置にある場合において、保持部38が係合位置に配置されると、係合部38bは被係合部39の溝部内に入った状態で当該被係合部39に係合される。この場合、かかる係合によって、収納扉32bが遮蔽位置から閉側及び開側(壁部25b側)のいずれの側へ動作するのも規制(禁止)される。そのため、かかる規制により、収納扉32bが遮蔽位置において保持される。したがって、この場合、保持部38は、収納扉32bを遮蔽位置にて保持する保持状態とされる。
【0037】
一方、収納扉32bが遮蔽位置にある場合において、保持部38が係合解除位置に配置されると、係合部38bが被係合部39の溝部内から外れる。この場合、収納扉32bが遮蔽位置から閉側及び開側のいずれの側へ動作するのも許容される。そのため、保持部38は、収納扉32bの保持を解除する保持解除状態とされる。なお、保持部38が保持手段及び規制手段に相当する。
【0038】
収納扉32bが保持部38により遮蔽位置にて保持されている状態では、収納扉32bが壁部25bの厚み方向において当該壁部25bから屋内側(洗面室11側)に離間して配置される。この場合、収納扉32bと壁部25bとの間には通気用の隙間37が形成される。
【0039】
収納扉32bの裏面には、姿見鏡41が取り付けられている。姿見鏡41は、収納扉32bの上下方向に沿って延びる縦長の鏡であり、人の全身を映すことが可能となっている。収納扉32bが遮蔽位置に配置された状態では、姿見鏡41が窓部26(換言すると壁部25b)とは反対側を向けて配置される(
図3(b)参照)。つまり、この場合、姿見鏡41が壁部25b付近にて洗面室11の内部側を向けて配置される。
【0040】
上述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0041】
洗面室11において窓部26の付近に収納棚32を設け、その収納棚32の収納扉32bをその開状態において窓部26の全域を覆う遮蔽位置に配置可能とした。これにより、窓部26にシャッタカーテン等の遮蔽部材を設けなくても、収納扉32bを遮蔽位置に配置することで、洗面室11において窓部26を通じた屋外からの視線を遮ることができる。
【0042】
収納扉32bの裏面に姿見鏡41を取り付け、収納扉32bが遮蔽位置に配置されると、姿見鏡41が窓部26とは反対側を向けて配置されるようにした。これにより、収納扉32bを遮蔽位置にすることで、姿見鏡41で全身を見ながら身支度(メイクや衣服のコーディネート等)を行うことが可能となる。
【0043】
また、洗面室11は一般に狭小空間とされているため、洗面室11の床部11a上に姿見鏡を別途設置すると、洗面室11がますます狭くなり移動が困難になる等の不都合が生じるおそれがある。その点、収納扉32bに姿見鏡41を取り付けたことで、かかる不都合を回避しながら、洗面室11にて姿見鏡41を利用することが可能となる。
【0044】
収納扉32bを遮蔽位置にて保持する保持部38を設け、その保持状態では、収納扉32bが壁部25bから屋内側に離間配置されるようにした。これにより、収納扉32bが遮蔽位置にある場合において、収納扉32bと壁部25bとの間の隙間37を通じて通気が可能となり、ひいては窓部26を通じた洗面室11内の通気が可能となる。そのため、収納扉32bにより屋外からの視線を遮りながら、洗面室11内の通気を行うことが可能となる。
【0045】
また、保持部38による収納扉32bの保持状態では、収納扉32bが閉側へ動作することが規制されるため、不審者等が窓部26を通じて屋外から洗面室11に侵入するのを防止できる。このため、屋外からの視線を遮りながら、防犯性の向上を図ることもできる。
【0046】
ここで、本実施形態では、洗面室11に人がいる場合に、収納棚32の収納扉32bを自動で遮蔽位置に移動させる収納扉制御システムが設けられている。そこで、以下では、その収納扉制御システムについて
図1及び
図3に加え
図4を用いながら説明する。
図4は、収納扉制御システムの電気的構成を示す図である。
【0047】
図1に示すように、洗面室11には、出入口21より洗面室11に出入りする人を撮影するカメラ42が設けられている。カメラ42は、例えば壁部25aにおける出入口21の正面に設けられている。また、このカメラ42は、出入口21より洗面室11に入る人の顔を撮影することも可能となっている。
【0048】
図3(a)及び(b)に示すように、収納棚32には、収納扉32bを開閉駆動する扉用駆動部43(扉駆動部に相当)が設けられている。扉用駆動部43は、例えば電動モータからなる。この扉用駆動部43により、収納扉32bを閉位置(
図3(a)参照)と遮蔽位置(
図3(b)参照)との間で動作させることが可能となっている。
【0049】
壁部25bには、保持部38を回動駆動する保持部用駆動部44が設けられている。保持部用駆動部44は、例えば電動モータからなる。この保持部用駆動部44により、保持部38を、収納扉32bを遮蔽位置にて保持する保持状態(
図3(b)参照)と、その保持を解除する保持解除状態(
図3(a)参照)とに移行させることが可能となっている。
【0050】
図4に示すように、洗面室11には、制御手段としてのコントローラ45が設けられている。コントローラ45は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。コントローラ45には、カメラ42が接続されている。コントローラ45には、カメラ42より逐次撮影画像が入力される。コントローラ45は、カメラ42より入力される撮影画像を基に、洗面室11への人の出入りを確認し、その確認結果を基に洗面室11に人がいるか否かを判定する。
【0051】
上述したように、洗面室11に入る人についてはカメラ42により当該人の顔画像が撮影される。コントローラ45は、カメラ42より入力される撮影画像に顔画像が含まれている場合、その顔画像を基に、当該人が誰であるかを特定する特定処理を行う。コントローラ45は、建物10における各居住者の顔画像を予め記憶する記憶部45aを有している。コントローラ45は、カメラ42から入力された人の顔画像と、記憶部45aに記憶されている各居住者の顔画像とを対比することで、当該人が誰であるかを特定する。
【0052】
コントローラ45には、扉用駆動部43と保持部用駆動部44とが接続されている。コントローラ45は、洗面室11に人がいるか否かの判定結果等に基づいて、それら各駆動部43,44を駆動制御する。
【0053】
続いて、コントローラ45により実行される収納扉制御処理について
図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
【0054】
図5に示すように、まずステップS11では、カメラ42から入力される撮影画像に基づいて、洗面室11に人(居住者)がいるか否かを判定する(判定手段に相当)。洗面室11に人がいる場合、ステップS12に進み、今現在が朝時間帯(例えば6:00~9:00)であるか否かを判定する。今現在が朝時間帯である場合、ステップS16に進んで、洗面室11にいる人が誰であるかを特定する特定処理を行う。この特定処理では、カメラ42からの撮影画像に含まれる当該人の顔画像に基づき、当該人の特定を行う。
【0055】
続くステップS17では、特定処理により特定された人が女性であるか否かを判定する。つまり、本ステップでは、洗面室11にいる人が女性であるか否かを判定する。女性は、朝の時間帯において、洗面室11で化粧やヘアメイク等の身支度を行うことが考えられる。そこで、本ステップにて、洗面室11にいる人が女性(例えば母親や娘)であると判定された場合には、ステップS14に進んで、収納扉32bを遮蔽位置に移動させる処理を行う。この処理では、扉用駆動部43に遮蔽信号を出力することで、扉用駆動部43により収納扉32bを遮蔽位置に移動させる。これにより、朝の時間帯に女性が洗面室11を利用する際には収納扉32bにより窓部26全域が覆われることになる。
【0056】
続くステップS15では、保持部38を、収納扉32bを遮蔽位置にて保持する保持状態(
図3(b)参照)へと移行させる処理を行う。この処理では、保持部用駆動部44に保持信号を出力することで、保持部用駆動部44により保持部38を保持状態に移行させる。その後、本処理を終了する。
【0057】
なお、先のステップS17で、洗面室11にいる人が男性(例えば父親)であると判定された場合には、本処理を終了する。
【0058】
上述したステップS12において、今現在が朝時間帯でないと判定された場合、ステップS13に進み、今現在が夜時間帯(例えば19:00~24:00)であるか否かを判定する。夜の時間帯では、浴室12で入浴する際に、洗面室11を脱衣スペースとして利用することが考えられる。そこで、本ステップにて、今現在が夜時間帯であると判定された場合には、収納扉32bを遮蔽位置に移動させる処理(ステップS14)を行うとともに、保持部38を保持状態に移行させる処理(ステップS15)を行う。これにより、夜の時間帯に人(居住者)が洗面室11を利用する際には収納扉32bにより窓部26全域が覆われることになる。その後、本処理を終了する。一方、今現在が夜時間帯でない場合、つまり今現在が朝時間帯でもなく夜時間帯でもない場合には、ステップS14及びS15の処理を行うことなく、本処理を終了する。
【0059】
上述したステップS11において、洗面室11に人がいない場合には、例えば人が洗面室11の外に出た場合にはステップS18に進み、保持部38を保持解除状態に移行させる処理を行う。この処理では、保持部用駆動部44に保持解除信号を出力することで、保持部用駆動部44により保持部38を保持解除状態に移行させる。
【0060】
続くステップS19では、収納扉32bを閉位置に移動させる処理を行う。この処理では、扉用駆動部43に閉信号を出力することで、扉用駆動部43により収納扉32bを閉位置に移動させる。これにより、洗面室11に人がいない場合には、収納扉32bが閉状態とされる。その後、本処理を終了する。
【0061】
以上、詳述した本実施形態の収納扉制御システムによれば、以下の優れた効果が得られる。
【0062】
洗面室11に人がいる場合に扉用駆動部43により収納扉32bを自動で遮蔽位置に移動させるようにした。これにより、人が洗面室11を利用するのに合わせて窓部26を収納扉32bにより遮蔽することができるため、洗面室11の利用時に屋外からの視線を遮るにあたり好適な構成とすることができる。
【0063】
洗面室11に人がいる場合であって、かつ、今現在が夜時間帯(利用時間帯に相当)である場合に、収納扉32bを遮蔽位置に移動させるようにした。これにより、人が夜の時間帯に洗面室11を入浴の際の脱衣スペースとして利用するのに合わせて窓部26を遮蔽することができるため、脱衣時に窓部26を通じた屋外からの視線を遮ることができる。特に夜間においては、屋外から洗面室11が見易くなるため、かかる構成は有効となる。
【0064】
洗面室11に人がいる場合であって、かつ、今現在が朝時間帯(利用時間帯に相当)である場合には、その洗面室11にいる人が女性であるときに、収納扉32bを遮蔽位置に移動させるようにした。これにより、女性が朝の時間帯に洗面室11を身支度(例えば化粧やヘアメイク等)のために利用するのに合わせて窓部26を遮蔽することができるため、女性が身支度を行う際に窓部26を通じて屋外から覗かれるのを好適に防止できる。また、収納扉32bが遮蔽位置に配置されることで姿見鏡41が窓部26とは反対側(洗面室11内部側)を向けて配置されるため、女性が姿見鏡41を利用可能な状態に自ずと移行される。これにより、女性が朝の身支度に際し、姿見鏡41を利用する上でも好都合な構成となる。
【0065】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
(1)洗面室11に人がいると判定された場合に収納扉32bを扉用駆動部43により遮蔽位置に移動させる制御を行うにあたって、例えば以下の(a)~(c)のような制御を行ってもよい。
【0067】
(a)屋外の照度を取得する屋外照度取得手段を設け、洗面室11に人がいると判定され、かつ取得手段により取得された屋外の照度が所定照度以下となった場合に、収納扉32bを遮蔽位置に移動させる処理を行うようにしてもよい。この場合、屋外が暗く屋外から洗面室11内が見易くなっている場合には、収納扉32bにより窓部26が遮蔽されるため、洗面室11内を覗かれてしまうのを好適に防止できる。
【0068】
なお、屋外の照度を取得するにあたっては、例えば今現在の日時を取得し、その取得した日時に基づいて屋外の照度を推定することが考えられる。また、天候情報を取得し、その取得した天候情報を基に屋外の照度を推定するようにしてもよい。
【0069】
(b)洗面室11に人がいると判定された場合に、その人があらかじめ登録された登録者であるか否かを判定し、登録者と判定された場合に、収納扉32bを遮蔽位置に移動させる処理を行うようにしてもよい。この場合、洗面室11を化粧やヘアメイク等の身支度を行うために利用する母親や娘等を登録者として登録しておくことが考えられる。そうすれば、母親等が洗面室11を身支度のために利用するのに合わせて窓部26を遮蔽することができる。
【0070】
(c)洗面室11に人がいると判定された場合に、その人が洗面室11に滞在する滞在時間を測定する手段を設け、その測定された滞在時間が所定時間を超えた場合に収納扉32bを遮蔽位置に移動させる処理を行うようにしてもよい。人が洗面室11で身支度や脱衣を行う等、洗面室11を所定の目的で利用する際には、洗面室11に一定時間滞在することになる。このため、上記の構成とすれば、洗面室11を所定の目的で利用するのに合わせて窓部26を遮蔽することができる。
【0071】
(2)コントローラ45が、収納扉32bを遮蔽位置に移動させる際の制御モードとして、上記(1)における(a)の制御を行うための第1モード(照度モード)と、(b)の制御を行うための第2モード(個人モード)と、(c)の制御を行うための第3モード(入浴/身支度モード)とをそれぞれ有する構成としてもよい。そして、ユーザによる操作部に対するモード選択操作に基づき、コントローラ45が、制御モードを第1~第3モードのうちいずれかに切り替えるようにしてもよい。そうすれば、家族形態や生活習慣などに応じて、収納扉32bによる遮蔽制御を行うことが可能となる。
【0072】
(3)ユーザによる操作部の操作に基づき、コントローラ45により、収納扉32bを閉位置と遮蔽位置との間で移動させるようにしてもよい。つまり、操作部により遮蔽操作が行われると、収納扉32bを遮蔽位置に移動させ、操作部により閉操作が行われると、収納扉32bを閉位置に移動させるようにしてもよい。そうすれば、ユーザが洗面室11を利用するにあたって、屋外からの視線を遮りたい場合は収納扉32bを遮蔽位置に移動させ、採光性や通風性を高めたい場合は収納扉32bを閉位置に移動させたりといったことが可能となる。
【0073】
(4)上記実施形態では、収納扉制御システムにより、収納扉32bと保持部38とを自動で動作させる構成としたが、収納扉32bと保持部38とをユーザの手動操作により動作させるようにしてもよい。この場合、駆動部43,44等が不要となるため、構成の簡素化が図れる。
【0074】
(5)上記実施形態では、収納棚32が床部11a上に設置された縦長の床置きタイプとされていたが、収納棚としては、例えば外壁部25に取り付けられる壁付けタイプのものもある。そこで、かかる壁付けの収納棚の収納扉を用いて窓部26全域を覆うようにしてもよい。
【0075】
(6)上記実施形態では、保持部38により収納扉32bが遮蔽位置から閉側及び開側のいずれの側に動作することも規制したが、かかる保持部38に代えて、収納扉32bが遮蔽位置から閉側に動作することのみ規制する(すなわち開側への動作については許容する)規制部を設けてもよい。この場合にも、不審者等が窓部26を通じて洗面室11に侵入するのを防止できるため、屋外からの視線を遮りながら、防犯性の向上を図ることができる。
【0076】
(7)外壁部25には、洗面室11から屋外へ出入り可能な掃き出し窓(窓部に相当)が設けられる場合がある。そこで、かかる場合に、その掃き出し窓に対して本発明の収納扉32bを適用してもよい。
【0077】
(8)上記実施形態では、収納扉32bにより窓部26全域を覆うようにしたが、窓部26を通じた屋外からの視線を遮ることが可能であれば、必ずしも窓部26全域を覆う必要はない。つまり、収納扉32bにより窓部26の一部のみ覆うようにしてもよい。その場合の具体例を
図6に示す。
図6の例では、窓部26が上下方向に長い縦長形状とされている。また、収納棚32の収納扉は上下に二分割されており、それにより収納扉として下側収納扉32d及び上側収納扉32eが設けられている。下側収納扉32dは、その上下寸法が上側収納扉32eよりも大きくされ、その上端部が窓部26の上端部よりも下方に位置している。
【0078】
かかる構成では、下側収納扉32dが開状態とされることで、詳しくは下側収納扉32dが閉位置から90°開側に回動されることで、下側収納扉32dにより窓部26が覆われた状態となる。この場合、詳しくは、下側収納扉32dにより窓部26の一部が覆われた状態となり、より詳しくは窓部26における上側部分を除く大部分が覆われた状態となる。窓部26において下側収納扉32dにより覆われていない上側の一部分は屋外における人の視線高さよりも高い位置にある。そのため、かかる下側収納扉32dによっても、窓部26を通じた屋外からの視線を遮ることが可能となる。
【0079】
なお、この場合、下側収納扉32dが「収納扉」に相当し、その下側収納扉32dが開状態において窓部26を覆う位置(詳しくは、下側収納扉32dが閉位置から90°開側に回動された位置)が「遮蔽位置」に相当する。
【0080】
また、
図6の例では、下側収納扉32dを遮蔽位置に移動させるにあたり、上記実施形態の収納扉制御システムが適用される。したがって、例えば洗面室11に人がいる場合に、扉用駆動部43により下側収納扉32dが自動で遮蔽位置に移動される。また、具体的には、洗面室11に人がいる場合であって、かつ、今現在が夜時間帯である場合に、下側収納扉32dが遮蔽位置に移動される。さらに、洗面室11に人がいる場合であって、かつ、今現在が朝時間帯である場合に、下側収納扉32dが遮蔽位置に移動される。
【符号の説明】
【0081】
10…建物、11…洗面室、25…外壁部、26…窓部、32…収納部としての収納棚、32b…収納扉、38…規制手段及び保持手段としての保持部、41…姿見鏡、43…扉駆動部としての扉用駆動部、45…制御手段としてのコントローラ。