(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】検査室用機器の基礎板
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018148259
(22)【出願日】2018-08-07
【審査請求日】2021-07-20
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100164563
【氏名又は名称】佐々木 貴英
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ベルネット
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ザンガーマノ
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ジーゲンターラー
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-523812(JP,A)
【文献】特開平08-043403(JP,A)
【文献】特表2001-517789(JP,A)
【文献】米国特許第06284113(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室用機器(10)であって、
- 単一基礎板(12)であって、前記単一基礎板が少なくとも1つの埋込コンパートメント(14)を備え、前記埋込コンパートメント(14)及び前記単一基礎板(12)が、1の単一形成のピースからなり、前記少なくとも1つの埋込コンパートメント(14)が、内部容積(35)を取り囲む少なくとも2つの側壁(34)と底面(36)と開放上面(38)とを備え、前記少なくとも2つの側壁(34)が相互に対向するか又は相互に隣接し、前記埋込コンパートメントの少なくとも1つが、埋込消耗材コンパートメント(16)、埋込試料処理コンパートメント(18)、埋込廃物コンパートメント(20)、埋込起動装置コンパートメント(22)、埋込ラック受けコンパートメント(24)又はこれらの組合せからなる群から選択される、単一基礎板(12)、
を備え、
ここで、前記検査室用機器が、更に、
- 少なくとも1つの導電要素(48)であって、前記少なくとも1つの導電要素が前記単一基礎板(12)上に取り付けられ、前記導電要素が少なくとも1つの基準構造体(50)を備え、前記少なくとも1つの導電要素が、1枚又は複数枚の導電シート(49)を備え、前記1枚又は複数枚の導電シートの少なくとも1枚が少なくとも1つの貫通孔(52)を備え、前記少なくとも1つの貫通孔が少なくとも1つの埋込コンパートメント(14)の前記開放上面(38)と整列し、前記少なくとも1つの貫通孔(52)が前記少なくとも1つの基準構造体(50)である、導電要素(48)、
を備える、検査室用機器(10)。
【請求項2】
前記単一基礎板が熱可塑性重合体又はデュロプラスチック重合体で作られる、請求項1に記載の検査室用機器(10)。
【請求項3】
前記単一基礎板が射出成形板である、請求項1又は2に記載の検査室用機器(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの埋込コンパートメント(14)が、丸みのあるコーナー(30)又は丸みのある縁(32)又はこれらの組合せを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の検査室用機器(10)。
【請求項5】
前記単一基礎板が、更に、少なくとも1つの埋込支持要素を備え、前記埋込支持要素の少なくとも1つが、ケーブルチャンネル(40)、エアチャンネル(42)、ディスプレイフレーム(44)、識別装置またはセンサホルダ、機器インターロックモジュール(46)、ラッチフィットもしくはスナップラッチ、又はこれらの組合せの中から選択され、ここで前記埋込支持要素及び前記単一基礎板が、1の単一形成のピースからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の検査室用機器(10)。
【請求項6】
前記1枚又は複数枚の導電シートが1つ又は複数のスクリュー(56)を用いて前記単一基礎板上に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の検査室用機器(10)。
【請求項7】
前記1つまたは複数のスクリューがショルダスクリュー(56)であり、前記1枚又は複数枚の導電シートが、更に、少なくとも1つの固定点(58)で前記単一基礎板上に取り付けられる、請求項6に記載の検査室用機器(10)。
【請求項8】
-少なくとも1つのピペット装置(60)又は取扱い装置であって、前記少なくとも1つのピペット装置(60)又は取扱い装置が少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)を備える、少なくとも1つのピペット装置(60)または取扱い装置と、
-少なくとも1つの移送システム(64)であって、前記少なくとも1つの移送システムが前記少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置に接続され、前記少なくとも1つの移送システムが、前記検査室用機器内で三次元方向に前記少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置を移動するように構成される、少なくとも1つの移送システム(64)と、
-前記移送システム(64)の移動を制御するための制御装置(76)と
を更に備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の検査室用機器(10)。
【請求項9】
検査室用システムであって、
-請求項1~8のいずれか1項に記載の検査室用機器と、
-少なくとも1つの消耗材(66)又は少なくとも1つの試料処理装置(68)又は少なくとも1つのラック(70)又はこれらの組合せと、
を備える、検査室用システム。
【請求項10】
請求項8
に記載の検査室用機器
の、少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法であって、
a)前記少なくとも1つの移送システム(64)が前記少なくとも1つの基準構造体(50)へ向かって前記少なくとも1つのピペット装置(60)又は取扱い装置を移動するステップと、
b)前記少なくとも1つのピペット装置(60)又は取扱い装置の前記少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)が、前記少なくとも1つの基準構造体(50)を検出するステップであって、前記少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)が前記少なくとも1つの基準構造体(50)の検出時に少なくとも1つの信号を発生して、前記制御装置(76)へ前記少なくとも1つの信号を送る、ステップと、
c)前記制御装置(76)が、前記少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)から前記少なくとも1つの信号を受け取り、前記受け取った少なくとも1つの信号に基づいて前記少なくとも1つの基準構造体(50)の位置情報を測定するステップと、
d)前記制御装置(76)が、前記少なくとも1つの基準構造体(50)の前記測定位置情報を前記少なくとも1つの基準構造体(50)の予測位置情報と比較するステップと、
e)前記制御装置(76)が、前記少なくとも1つの基準構造体(50)の前記測定位置情報と前記少なくとも1つの基準構造体(50)の前記予測位置情報との間の偏差を測定し保存するステップと、
f)前記制御装置が、前記少なくとも1つの基準構造体の前記測定位置情報と前記少なくとも1つの基準構造体の前記予測位置情報との間の前記測定され保存された偏差に応じて前記検査室用機器
の前記少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の前記位置決めを調節するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化インビトロ診断用試料処理の分野に関する。この分野において、本発明は、検査室用機器、検査室用システム及び特定の試料処理ステップの正確性及び安全性を確保するために、検査室用機器又は検査室用システムのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断検査室において、自動化分析前、分析及び分析後用検査室用機器が、医師にとって重要な情報を表す正確かつ信頼できるテスト結果を生成する様々な試料処理ステップのために使用される。典型的には、このような検査室用機器は、検査室用機器内の作業面上に組み立てられた専用ユニットに収容される消耗材、試料処理装置、廃物容器、試料ラック及び試薬ラックを備える。このようにして、検査室用機器の内部及び作業面は、組み立てのために相互に正確に適合しなければならない複数のユニット及び構成要素と組み立てられる。
【0003】
信頼できかつ安全な作業のために、この種の検査室用機器は充分に保守する必要がある。検査室用機器の様々な構成要素及び作業面は、間違ったテスト結果を導く可能性がある相互汚染を避けるために定期的に清浄しなければならない。検査室用機器の内部の徹底的な清浄は、操作者の安全性も保証し、機器の寿命を延ばす。検査室用機器の運転停止はできる限り短くしなければならないので、検査室用機器の清浄は、出来る限り効率的でなければならない。但し、従来の検査室用機器は、組み立てられた複数のユニットおよび構成要素を持つので、検査室用機器の作業面は小さいギャップ及び裂け目を有し、これが、検査室用機器の内部の徹底的清浄を複雑にする。特に、非常に繊細な分析技術が使用される核酸分析の分野の検査室用機器においては、僅かな不純物も、テスト結果及びその後の診断に深刻な結果を及ぼす可能性がある。
【0004】
いくつかの試料処理ステップは、ピペット装置を用いて容器から液体試料及び試薬を吸引する及び/又は容器の中へこれを小分け供給するなどのピペット操作を含む。ピペット装置のピペットチップと試料容器又は試薬容器との間の物理的接触は試料の相互汚染、試薬の相互汚染及び/又は容器又は検査室用機器のピペット装置の損傷を生じる可能性があるので、このようなピペット操作のために、作業面上に配置された試料容器又は試薬容器に対するピペット装置の正確な位置決めが重要である。したがって、ピペット装置の位置決めは、定期的に調節又は校正されなければならない。
【0005】
米国特許出願第2014/0263879(A1)号明細書及び米国特許出願第2009/0090198(A1)号明細書は、装置の他の構成要素を取り付け又は位置決めするための基礎板又は作業面を提供する検査室用装置を開示する。
【0006】
臨床検査室用機器を単純かつ効率よく保守する必要がある。従来の機器の作業面を改良すること特に自動化インビトロ診断用試料処理の必要性により良く応じることが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、検査室用機器、検査室用システム及び検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法を開示する。
【0008】
検査室用機器は、少なくとも1つの埋込コンパートメントを備える単一基礎板を備える。前記埋込コンパートメントの少なくとも1つは、埋込消耗材コンパートメント、埋込試料処理コンパートメント、埋込廃物コンパートメント、埋込起動装置コンパートメント、埋込ラック受けコンパートメント又はこれらの組合せの中から選択される。
【0009】
本発明はまた、本明細書において説明する検査室用機器及び少なくとも1つの消耗材又は少なくとも1つの試料処理装置または少なくとも1つのラック又はこれらの組合せを備える検査室用システムに関する。
【0010】
本発明はまた、本明細書において説明する検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置の位置決めを調節する方法に関する。方法は、
・少なくとも1つの移送システムが、少なくとも1つの基準構造体へ向かって少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置を移動するステップと、
・少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の少なくとも1つの基準構造体検出装置が、少なくとも1つの基準構造体を検出し、少なくとも1つの基準構造体検出装置が、少なくとも1つの基準構造体を検出すると少なくとも1つの信号を発生して、少なくとも1つの信号を制御装置へ送るステップと、
・制御装置が、少なくとも1つの基準構造体検出装置から少なくとも1つの信号を受け取って、受け取った少なくとも1つの信号に基づいて、少なくとも1つの基準構造体の位置情報を測定するステップと、
・制御装置が、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報を少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報と比較するステップと、
・制御装置が、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報との間の偏差 (deviation)を測定して保存するステップと、
・制御装置が、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報との間の測定され保存された偏差に応じて検査室用機器又は検査室用システムのピペット装置又は取扱い装置の位置決めを調節するステップと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書において説明する検査室用機器の斜視図である。
【
図2A】本明細書において説明する導電要素を示す。
【
図2B】本明細書において説明する単一基礎板を示す。
【
図2C】本明細書において説明する単一基礎板上に取り付けられた導電要素を示す。
【
図3】本明細書において説明する単一基礎板及び導電要素の断面図である。
【
図4】本明細書において説明する単一基礎板及び導電要素の上面図である。
【
図5】本明細書において説明する検査室用システムの斜視図である。
【
図6A】本明細書において説明する検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法のフローチャートである。
【
図6B】本明細書において説明する検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、少なくとも1つの埋込コンパートメントを備える単一基礎板を備える検査室用機器に関する。前記埋込コンパートメントの少なくとも1つは、埋込消耗材コンパートメント、埋込試料処理コンパートメント、埋込廃物コンパートメント、埋込起動装置コンパートメント、埋込ラック受けコンパートメント又はその組合せの中から選択される。
【0013】
本明細書において使用する場合、「検査室用機器(laboratory instrument)」は、試料又は試料容器処理ステップを実施するための任意の分析前、分析又は分析後用機器に関する。分析前用機器は、通常、試料又は試料容器の予備処理のために使用できる。分析機器は、例えば、検体が存在するかどうか及び所望の場合にはどのような濃度かを測定する際の基準になる計測可能な信号を生成するために試料又は試料の一部及び試薬を使用するように設計できる。分析後用機器は、通常、試料のアーカイブなど試料の事後処理のために使用できる。分析前、分析及び分析後用機器は、例えば、試料又は試料容器を分類するための分類装置、試料容器のキャップ又は閉鎖体を取り外すためのキャップ取外し装置、標本容器にキャップ又は閉鎖体を嵌めるためのキャップ嵌め装置、試料をピペット操作するためのピペット装置、試料を分割するためのアリコート装置、試料を遠心分離するための遠心分離装置、試料を分析するための分析装置、試料を加熱するための加熱装置、試料を冷却するための冷却装置、試料を混合するための混合装置、試料の検体を隔離するための分離装置、試料を保管するための保管装置、試料をアーカイブするためのアーカイブ装置、試料容器を測定するための試料容器タイプ測定装置、試料の質を測定するための試料品質測定装置の中から少なくとも1つの装置を備えることができる。検査室用機器は、相互に直交するx方向、y方向及びz方向を備える三次元直交座標系を備えることができ、第1及び第2方向(x、y)は、平面を形成し、第3の方向(z)は、この平面に対して直角を成す。1つの実施形態において、第1及び第2方向(x、y)は、水平面を形成し、第3方向(z)は、垂直に配置できる(下垂方向)。以下の説明において、3つの方向x、y及びzを参照する。
【0014】
本明細書において使用する場合、「単一基礎板(single base plate)」は、検査室用機器の試料、試料容器、試薬及び/又は試薬容器処理ステップが実施される際の実際の作業面を表す検査室用機器内に取り付けられたプレートを意味する。このために、基礎板は、試料、試料容器、試薬及び/又は試薬容器処理ステップを実施するために必要な消耗材、試料処理装置、廃物容器、起動装置及びラックを収容するための埋込コンパートメントを備える。単一基礎板は、単一ピースから成り、充分な剛性を持つ適切な任意の材料(例えば、金属及び/又はプラスチック)で製造できる。単一基礎板は、検査室用機器の要件を満たすために様々な形状及び形式を持つことができる。
【0015】
本明細書において使用する場合「埋込コンパートメント(embedded compartment)」は、コンパートメント及び単一基礎板が1つの単一形成のピースから成ることを意味する。したがって、実際の作業面と埋込コンパートメントとの間にはギャップ又は裂け目がなく、それによって、検査室用機器の作業面の効率的かつ徹底的な清浄を可能にする。埋込コンパートメントは、内部容量を取り囲み、単一基礎板の凹部又は突出部として設計できる。
【0016】
本明細書において使用する場合、「埋込消耗材コンパートメント(embedded consumable compartment)」は、検査室用機器を作動するために使用される消耗材を受け入れ、保管しかつ/又は解放するように作られた単一基礎板の専用埋込コンパートメントを意味する。埋込消耗材コンパートメントには、例えばピペットチップラック、試料容器ラック、マルチウェルプレート、試薬容器、試薬容器ラック又は反応容器ラックなどの消耗材を手動又は自動でロード/アンロードできる。
【0017】
本明細書において使用する場合、「埋込試料処理コンパートメント(embedded sample processing compartment)」は、試料処理ステップを実行するために使用される1つ又は複数の試料処理装置を取り付け又は収容するように作られた単一基礎板の専用埋込コンパートメントを意味する。試料処理装置の例は、加熱装置、冷却装置、混合装置、分離装置、分析装置、保管装置又は遠心分離装置である。
【0018】
本明細書において使用する場合、「埋込廃物コンパートメント(embedded waste compartment)」は、廃物容器を受け入れ、保管しかつ/又は解放するように作られた単一基礎板の専用埋込コンパートメントを意味する。埋込廃物コンパートメントには、例えば、使用済み消耗材、試料又は試薬を処分するために使用される廃物チップラック又は廃物バッグなどの廃物容器を手動又は自動でロード/アンロードできる。
【0019】
本明細書において使用される場合、「埋込起動装置コンパートメント(embedded activation device compartment)」は、起動装置を収容するための単一基礎板の専用埋込コンパートメントを意味する。「起動装置」は、本明細書において使用される場合、ピペット装置または取扱い装置などの可動装置の一部分と係合できる静止構造体を意味する。又、起動装置は、可動装置の一部分と係合することによって可動装置の固有の機構又は機能性を起動または変更できる。起動装置は、国際公開第2017/064089号において
図11、12、13、14、16の参照番号176及び対応する図の説明において説明されるように設計できる。
【0020】
本明細書において使用する場合、「埋込ラック受けコンパートメント(embedded rack receiving compartment)」は、ラックをロード及びアンロードするように作られた単一基礎板の埋込コンパートメントを意味する。埋込ラック受けコンパートメントには、例えば試料容器ラック又は試薬容器ラックなどのラックを手動又は自動でロード/アンロードできる。
【0021】
本明細書において説明する検査室用機器の1つの実施形態において、検査室用機器はハウジングを備える。ハウジングはフレームを備え、単一基礎板は、検査室用機器内でフレームに取り付けられる。ハウジングは基礎板を支持するように構成されたフレームを備えるので、ハウジングは、支持構造体としても役立つ。ハウジングは、更に、底板、後壁、2つの対向する側壁、前壁及び上壁を備えることができる。したがって、検査室用機器の内部は、ハウジングによって環境から保護できる。それによって、外部からの汚染又は検査室用機器の内部への望ましくないアクセスが防止される。前壁及び/又は上壁は、ハウジング内部へのアクセスが防止される閉鎖位置からハウジングの内部にアクセスできるように露出する開放位置へ又はその逆へ移動できるフードを形成できる。フレームは、複数の形材を備えることができる。形材は、相互に接続される。このようにして、フレームは、形材で構成されて、モジュール式に設計できる。特に、形材を使用することによって、フレームの多様な設計及び拡大又は縮小構成が可能になる。「形材(profile)」は、本明細書において使用する場合、細長い構造部材を意味する。形材は、押出成形で製造できる。したがって、形材は、押出成形材と呼ぶことができる。形材は、スクリュー又はクランプなどの接続要素を用いて相互に接続できる。形材は、プラスチック及び/又は金属で製造できる。例えば、形材は、軽量構造のためにアルミニウムで製造される。単一基礎板はフレームに取り付けられるので、単一基礎板は、ハウジングの安定性に寄与する。
【0022】
別の実施形態において、検査室用機器は、環境から検査室用機器を保護するために検査室用機器の内部を被覆する検査室用機器ケースによって囲繞された足場又は支持構造体を備える。また、単一基礎板は、検査室用機器内で足場又は支持構造体に取り付けられる。
【0023】
単一基礎板の1つの実施形態において、単一基礎板は、技術上周知の熱可塑性又はデュロプラスチック重合体で製造される。エネルギーを供給することによって、これらの重合体は、様々な製造又は成形工程によって所望の形状又は形式の単一基礎板にすることができる。単一基礎板が冷却した後、基礎板はその形状および形式を保持する。例えば、単一基礎板は、軽量で同時に安定した構成を得るために、熱可塑性重合体ABS GF17(17%のガラス繊維を含むアクリロニトリルブタジエンスチレン)で製造される。
【0024】
単一基礎板の別の実施形態において、単一基礎板は、射出成形板である。射出成形は、熱可塑性又はデュロプラスチック重合体などの材料を型の中へ射出することによって単一基礎板などの加工品を生産するための製造又は成形プロセスである。第1基礎板用の材料は、加熱バレルの中へ供給され、混合され、型穴の中へ入れられ、ここで、冷却して、型穴の形態へ硬化する。射出成形を用いて、ほとんどすべての形状又は形式の単一基礎板及び単一ピースとして形成される少なくとも1つの埋込コンパートメントは、高精密にかつ低価格で製造できる。様々な可能な製造又は成形プロセスの中で、発泡熱可塑材射出成形は、検査室用機器に必要とされる特定のサイズを持つ単一基礎板の製造に適している。
【0025】
別の実施形態において、単一基礎板は、3Dプリンタ製品である。3Dプリンタは、熱可塑性又はデュロプラスチック重合体から成るフィラメントからほぼ自由成形の単一基礎板を生産できる。成形プロセスのためには型穴を使用しないので、3Dプリントは、バッチの小さい単一基礎板の生産に適している。
【0026】
単一基礎板の1つの実施形態において、単一基礎板は、紫外線及び試薬耐性のワニスでコーティングされる。紫外線は、検査室用機器の内部及び作業面の汚染除去のために広く使用されるので、ワニスの紫外線耐性特性は、単一基礎板を紫外線由来の劣化から保護できる。検査室用機器の作動時に、ピペット操作又は試料容器キャップ取外し/嵌合など試料及び試料容器処理ステップは、撥ね、飛沫又はエーロゾルを生じる可能性があるので、単一基礎板は様々な試薬(テスト試薬、溶離緩衝液、溶解緩衝液、洗浄緩衝液など)に曝される可能性がある。したがって、基礎板は、基礎板の損傷を防止するために、試薬からも清浄剤からも保護されなければならない。単一基礎板に適する優れた紫外線及び試薬耐性特徴を持つワニスの1例は、Duoplast U242である。
【0027】
少なくとも1つの埋込コンパートメントの1つの実施形態において、少なくとも1つの埋込コンパートメントは、丸みのあるコーナー又は丸みのある縁又はその組合せを備える。したがって、コーナーに不純物が蓄積せず、単一基礎板の清浄は、より徹底的かつ効率的になる。
【0028】
少なくとも1つの埋込コンパートメントの別の実施形態において、少なくとも1つの埋込コンパートメントは、内部容積を取り囲む少なくとも2つの側壁と、底面と、開放上面とを備え、少なくとも2つの側壁は、相互に相対するか又は相互に隣接する。埋込コンパートメントの側壁及び底面は、閉鎖面であるか又は側面又は下から内部容積へのアクセスを与えるために1つ又は複数の開口部を持つことができる。側面又は下からの内部容積へのアクセスは、試料処理コンパートメント内の試料処理装置に電力供給するため及び/又は試料処理装置を取り付けるために有利となる。更に、側壁及び底面の1つ又は複数の開口部は、熱放散に役立つ。
【0029】
埋込消耗材コンパートメントの1つの実施形態において、埋込消耗材コンパートメントは、相互に対向する4つの閉鎖側壁と、閉鎖底面と、開放上面とを持つことができ、この中へ少なくとも1つの消耗材を挿入できる。
【0030】
埋込廃物コンパートメントの1つの実施形態において、埋込廃物コンパートメントは、相互に対向する4つの閉鎖側壁と、閉鎖底面と、開放上面とを持つことができ、この中へ少なくとも1つの廃物容器を挿入できる。
【0031】
埋込ラック受けコンパートメントの1つの実施形態において、埋込ラック受けコンパートメントは、3つの側壁と、閉鎖後端及び開放前端を持つラックスロットを形成する閉鎖底面と、を持つことができ、ラックスロットの中へ1つ又は複数の試料容器ラック又は試薬容器ラックを挿入できる。
【0032】
埋込試料処理装置コンパートメントの1つの実施形態において、埋込試料処理装置コンパートメントは、4つの側壁と、少なくとも1つの開口部を持つ底面と、開放上面と、を持つことができ、この中へ少なくとも1つの試料処理装置を取り付けできる。
【0033】
単一基礎板の1つの実施形態において、単一基礎板は、更に、少なくとも1つの埋込支持要素を備える。前記埋込支持要素の少なくとも1つは、ケーブルチャンネル、エアチャンネル、ディスプレイフレーム、識別装置又はセンサホルダ、機器インターロックモジュール、ラッチフィット又はスナップラッチ、又はこれらの組合せの中から選択される。「埋込支持要素(embedded support element)」は、本明細書において使用される場合、支持要素及び単一基礎板が単一形成のピースから成ることを意味する。したがって、構成要素の数は検査室用機器の従来の構造に比べて更に少なくなる。
【0034】
単一基礎板の別の実施形態において、単一基礎板は、少なくとも1つの基準構造体を備える。少なくとも1つの基準構造体は、検査室用機器の三次元直交座標系内における基準位置情報を測定するための幾何学的形状を備える。少なくとも1つの基準構造体は、規定の基準ボルト又は単一基礎板の長方形凹部、丸い凹部、立方体突出部又は円筒形突出部として設計される基準マークとすることができる。単一基礎板の少なくとも1つの基準構造体は、圧力センサ、空気圧センサ、光学センサ、レーザー、超音波センサ又はこれらの組合せなどの基準構造体検出装置によって検出可能である。単一基礎板の基準構造体を検出すると、検査室用機器又は検査室用システムの内部における基準位置情報が測定されて、検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置の位置決めを調整又は校正するために使用される。
【0035】
検査室用機器の1つの実施形態において、検査室用機器は、更に、少なくとも1つの導電要素を備える。少なくとも1つの導電要素は、単一基礎板上に取り付けられる。導電要素は、任意の導電材料で製造でき、任意の幾何学形状及びサイズを持つことができる。「導電(性)(electrically conductive)」は、本明細書において使用される場合、要素の材料が電流を伝導する特性を持つことを意味する。
【0036】
少なくとも1つの導電要素の1つの実施形態において、少なくとも1つの導電要素は、少なくとも1つの基準構造体を備える。少なくとも1つの基準構造体は、検査室用機器の三次元直交座標系内における基準位置情報を測定するための幾何学形状を備える。少なくとも1つの基準構造体は、規定の基準ボルト又は導電要素の長方形凹部、丸い凹部、立方体突出部又は円筒形突出部として設計される基準マークとすることができる。
【0037】
少なくとも1つの基準構造体の1つの実施形態において、少なくとも1つの基準構造体は、導電要素の貫通孔として規定できる。導電要素の少なくとも1つの基準構造体は、導電性ピペットチップ、導電性ピペットノズル、導電性グリッパフィンガ、圧力センサ、空気圧センサ、光学センサ、レーザー、超音波センサ又はこれらの組合せなどの基準構造体検出装置によって検出可能である。基準構造体が検出されると、下に説明するように、検査室用機器の内部における基準位置情報が測定されて、検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節又は校正するために使用される。
【0038】
少なくとも1つの導電要素の別の実施形態において、少なくとも1つの導電要素は、1枚又は複数枚の導電シートを備える。1枚又は複数枚の導電シートの少なくとも1つは、少なくとも1つの貫通孔を備え、少なくとも1つの貫通孔は、単一基礎板の少なくとも1つの埋込コンパートメントの開放上面と整列する。少なくとも1つの貫通孔の形状は、埋込消耗材コンパートメントの中へ消耗材をロード/アンロードできるように、ピペット装置/取扱い装置の操作者が埋込試料処理コンパートメントの中の試料処理装置にアクセスできるように、埋込廃物コンパートメントの中へ廃物容器をロード/アンロードできるように、又は埋込ラック受けコンパートメントの中へラックをロード/アンロードできるように、少なくとも1つの埋込コンパートメントの開放上面と整合する。
【0039】
少なくとも1つの導電要素の具体的実施形態において、少なくとも1つの導電要素はアルミニウムで製造される。
【0040】
1枚又は複数枚の導電シートの1つの実施形態において、少なくとも1つの貫通孔は、少なくとも1つの基準構造体である。貫通孔は、長方形とすることができ、相互に直角を成す2つの縁は、基準位置情報のx値及びy値を規定する。又は、基準位置情報のx値及びy値は、丸い貫通孔で規定することもできる。基準位置情報のz値は、z方向に沿った導電シートの位置によって規定できる。基準構造体は、埋込消耗材コンパートメントの開放上面と整列し整合する貫通孔とすることができるので、障害物に遭遇することなく貫通孔の縁へ向かって基準構造体検出装置を移動するための充分な自由スペースがある。これによって、基準構造体を安全かつ正確に検出できるようにする。更に、基準構造体検出装置を基準構造体へ向かって移動するための付加的な自由スペースを必要としないので、検査室用機器内部の空間節約設計が可能である。
【0041】
1枚又は複数枚の導電シートの別の実施形態において、1枚または複数枚の導電シートは、少なくとも1つのラッチフィット又はスナップラッチを備える。ラッチフィット又はスナップラップは、対応するカウンタスナップラッチ又はラッチフィットを持つ消耗材を導電シートに正確かつ可逆的に取付けできるように、導電シートに配置される。このようにして、消耗材は、手動で容易にロード/アンロードでき、同時に、例えばピペットチップラックなどの消耗材は、検査室用機器の最適の作動のために正確かつ垂直に整列される。
【0042】
1枚又は複数枚の導電シートの1つの実施形態において、1枚又は複数枚の導電シートは、1つ又は複数のスクリューを用いて単一基礎板に取り付けられる。又は、1枚または複数枚の導電シートは、1つ又は複数のクランプを用いて単一基礎板に取り付けできる。
【0043】
更に具体的な実施形態において、1つ又は複数のスクリューは、ショルダスクリューであり、1枚又は複数枚の導電シートは、付加的に単一基礎板上の少なくとも1つの固定点を持つように取り付けられる。金属(例えば、アルミニウム)とプラスチップ(例えば、熱可塑性重合体)の異なる熱膨張が単一基礎板及び1枚又は複数枚の導電シートの引っ張りを一切生じないようにするために、1枚又は複数枚の導電シートは、x方向及びy方向における熱膨張の補正を許容しかつz方向の熱膨張の補正を防止するショルダスクリューを用いて取り付けられる。x方向及びy方向の熱膨張を制限するために、1枚又は複数枚の導電シートは、単一基礎板の少なくとも1つの固定点でピン留めされる。少なくとも1つの固定点は、1枚又は複数枚の導電シートにおいて正方形、丸形又は長円形の孔とすることができる。単一基礎板は、ピンが単一基礎板上に1枚又は複数枚の導電シートを浮動取付けするために固定点に係合できるように、固定点に垂直に整列するピンを備える。
【0044】
検査室用機器の1つの実施形態において、検査室用機器は、少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置を備える。少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置は、少なくとも1つの基準構造体検出装置を備える。検査室用機器は、更に、少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置に接続される少なくとも1つの移送システムを備える。少なくとも1つの移送システムは、検査室用機器内で三次元の方向に少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置を移動するように構成される。
【0045】
「ピペット装置(pipetting device)」は、本明細書において使用する場合、使い捨てピペットチップに結合されるか又はピペット針を備えて、試料処理ステップを実施するために必要な試料及び/又は試薬を吸引し小分け供給することができる装置を意味する。1つの実施形態において、ピペット装置は、試料又は試薬又はその組合せを吸引及び/又は小分け供給するための1つのピペットチップ又は針を有する。又は、ピペット装置は、同時に複数の試料又は試薬又はその組合せを吸引及び/又は小分け供給するための複数のピペットチップ又は針を有する。1つ又は複数のチップ又は針は、更に、基準構造体検出装置とすることができる。
【0046】
「取扱い装置(handling device)」は、本明細書において使用する場合、検査室用機器内の品目を掴んで移動できる装置を意味する。1つの実施形態において、取扱い装置は、対応する埋込消耗材コンパートメントにロード/アンロードするために、消耗材、廃物容器、試料容器又は試薬装置を掴んで移動するためのグリッパフィンガを備える。このような取扱い装置は、試料容器及び/又は試薬容器のキャップ又は閉鎖体を取り外し及び/又は嵌めるためにも使用できる。グリッパフィンガ又はフィンガは、更に、基準構造体検出装置とすることができる。
【0047】
「移送システム(transfer system)」は、本明細書において使用する場合、検査室用機器の内部で少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置を移動するための装置を意味する。1つの実施形態において、移送システムは、検査室用機器の三次元直交座標系の3つの方向x、y及びzの各々に沿って少なくとも1つのガイドレールを備える。ピペット装置または取扱い装置は、適切な駆動装置によってこれらのガイドレールに沿ってx、y及びz方向に移動可能である。別の実施形態において、移送システムは、移送システムは、x及びy方向の各々に沿って少なくとも1つのガイドレールを備え、ピペット装置は、z方向にピペットチップを移動するための駆動装置を含む。ピペット装置は、x方向に沿ったガイドレールに沿って移動可能である。また、x方向に沿ったガイドレールは、適切な駆動装置によってy方向に沿った少なくとも1つのレール上で移動可能である。y方向に沿った少なくとも1つのレールは、単一基礎板上に取り付けられる。別の実施形態において、移送システムは、検査室用機器内で三次元方向にピペット装置または取扱い装置を移動するために1つ又は複数の可動ジョイントを備える工業用ロボットのアームである。
【0048】
「基準構造体検出装置(reference structure detection device)」は、本明細書において使用する場合、基準構造体を検出でき、検出された基準構造体に基づいてx、y及びz値から成る基準位置情報を測定するために制御装置へ信号を送る装置を意味する。1つの実施形態において、少なくとも1つのピペット装置の少なくとも1つの基準構造体検出装置は、導電ピペットチップ、導電ピペットノズル、圧力センサ、空気圧センサ、光学センサ、レーザー、超音波センサ又はこれらの組合せの中から選択される。1つの実施形態において、少なくとも1つの取扱い装置の基準構造体検出装置は、導電グリッパフィンガ、圧力センサ、光学センサ、レーザー、超音波センサ又はこれらの組合せの中から選択される。
【0049】
本発明は、本明細書において説明する検査室用機器及び少なくとも1つの消耗材又は少なくとも1つの試料処理装置または少なくとも1つのラック又はこれらの組合せを備える検査室用システムに関する。
【0050】
「消耗材(consumable)」は、本明細書において使用する場合、ピペットチップ、ピペットチップラック、試料容器、試料容器ラック、マルチウェルプレート、試薬容器、試薬容器ラック、反応容器、反応容器ラックなどのプラスチック消耗材など(非限定的例として)、試料処理ステップにおいて使用されその後廃棄される品目を意味する。これらの消耗材は、技術上周知である。
【0051】
「試料処理装置(sample processing device)」は、本明細書において使用する場合、加熱装置、冷却装置、混合装置、分離装置、分析装置、保管装置又遠心分離装置など(非限定的例として)、試料を処理するための装置を意味する。これらの装置は技術上周知である。
【0052】
「ラック(rack)」は、本明細書において使用する場合、1つ又は複数のピペットチップ、試料容器、試薬容器又は反応容器などを直立的に挿入するための、1つ又は複数の挿入エリアを持つホルダを意味する。
【0053】
埋込消耗材コンパートメントの1つの実施形態において、埋込消耗材コンパートメントは内部容積を形成し、埋込消耗材コンパートメントの内部容積は、消耗材の寸法より大きい寸法を持つ。また、消耗材は、ピペットチップラック、試料容器ラック、マルチウェルプレート、試薬容器又は反応容器ラックの中から選択される。したがって、消耗材は、埋込消耗材コンパートメントの中へ手動又は自動でロード/アンロードでき、ここから、ピペット装置又は取扱い装置は、検査室用システムを作動するための消耗材にアクセスできる。
【0054】
埋込消耗材コンパートメントの別の実施形態において、埋込消耗材コンパートメントは、ピペットチップラック、試料容器ラック、試薬容器又は反応容器ラックの中から選択された消耗材を取り囲むように構成され配列され、埋込消耗材コンパートメントと消耗材との間には空間が存在する。したがって、消耗材の汚染を生じる可能性のある埋込消耗材コンパートメントと消耗材との間の直接接触が防止される。
【0055】
検査室用システムの1つの実施形態において、検査室用システムは、複数のタイプの消耗材を備え、どのタイプの消耗材も、固有のサイズ、特有の断面又は特有の表面形状など固有の及び特有の認識特徴を備える。単一基礎板は、複数の埋込消耗材コンパートメントを備えることができ、少なくとも1つの埋込消耗材コンパートメントは、1つのタイプの消耗材の前記特有の認識特徴を明白に認識するように構成され、配列される。
【0056】
埋込消耗材コンパートメントの具体的実施形態において、埋込消耗材コンパートメントは、固有の消耗材を認識するための少なくとも1つの固有の認識要素を有する。「認識要素(recognition element)」は、本明細書において使用される場合、1つのタイプの消耗材の特有の認識特性に固有にフィットする埋込消耗材コンパートメント内部に形成された案内要素などの要素を意味する。
【0057】
検査室用システムの具体的実施形態において、少なくとも1つの固有の認識要素は、埋込消耗材コンパートメントの特有の表面形状を備える。又、埋込消耗材コンパートメントの特有の表面形状は、固有の消耗材の特有の表面形状に対して相補的である。「表面形状(surface geometry)」は、表面構造、より具体的には、埋込消耗材コンパートメント及び消耗材の側壁の表面構造を意味する。「特有の表面形状(unique surface geometry)」は、所定タイプの消耗材及びこれに対応する埋込消耗材コンパートメントに特有であり、消耗材が対応する埋込消耗材コンパートメントの認識要素によって固有に認識されるように他の消耗材及びこれに対応する消耗材コンポーネントの表面形状とは実質的に異なる表面形状であると解釈される。
【0058】
固有の消耗材の特有の表面形状の具体的実施形態において、固有の消耗材の特有の表面形状は、固有の消耗材の特有の表面に一体的に形成された1つまたは複数の凹部及び/又はリッジを含む。したがって、消耗材の固有のタイプは、固有の埋込消耗材コンパートメントの中へのみロードできる。検査室用機器の中へ消耗材を手動ロードする場合、これは、操作者が、例えば消耗材が同じ水平断面を持っていても、固有の埋込消耗材コンパートメントの中へ間違った消耗材をロードすることを防止する。
【0059】
検査室用システムの別の実施形態において、少なくとも1つのラッチフィット又はスナップラッチが、少なくとも1つの埋込消耗外コンパートメントに隣接して単一基礎板上に配置される。又、これに対応する少なくとも1つのカウンタスナップラッチ又はラッチフィットが、単一基礎板のラッチフィット又はスナップラッチの中へ可逆的に係合するように消耗材に配置される。
【0060】
検査室用システムの別の実施形態において、少なくとも1つのラッチフィット又はスナップラッチは、少なくとも1つの貫通孔に隣接して1枚又は複数枚の導電シート上に配置され、消耗材は、導電シートのラッチフィット又はスナップラッチの中へ可逆的に係合するように配置される対応する少なくとも1つのカウンタスナップラッチ又はラッチフィットを備える。したがって、消耗材は、検査室用機器の最適かつ安全な作動のために単一基礎板に容易にロード/アンロードし、可逆的にこれに取り付けできる。
【0061】
埋込試料処理コンパートメントの1つの実施形態において、埋込試料処理コンパートメントは、少なくとも1つの試料処理装置を取り囲むように構成される。試料処理装置は、加熱装置、冷却装置、混合装置、分離装置、分析装置、保管装置又はこれらの組合せの中から選択される。又、試料処理コンパートメントと少なくとも1つの試料処理装置との間には空間が存在する。埋込試料処理装置の側壁及び底面は、更に、試料処理装置の電力供給、取付け及び熱放散のために1つ又は複数の開口部を備えることができる。
【0062】
埋込試料処理コンパートメントの別の実施形態において、埋込試料処理コンパートメントは、内部容積を形成し、埋込試料処理コンパートメントの内部容積は、加熱装置、冷却装置、混合装置、分離装置、分析装置、保管装置又はこれらの組合せの中から選択された少なくとも1つの試料処理装置の寸法より大きい寸法を有する。検査室用機器の構成に応じて、試料処理装置は、相互の悪影響を防止するために相互から遮蔽できるように、別個の埋込試料処理コンパートメントの中に取り付けできる。例えば、加熱装置と冷却装置は、望ましくない熱交換を防止するために、別個の埋込試料処理コンパートメントの中に取り付けできる。但し、複数の試料処理装置を同じ埋込試料処理コンパートメントの中に取り付けることもできる。例えば、検査室用機器内部をコンパクトな設計にするために、同種の複数の試料処理装置を同じ埋込試料処理コンパートメントの中に収容できる。
【0063】
検査室用システムの1つの実施形態において、埋込ラック受けコンパートメントは、少なくとも1つの試料容器ラック又は少なくとも1つの試薬容器ラックを受け入れるように構成される。
【0064】
埋込ラック受けコンパートメントの別の実施形態において、埋込ラック受けコンパートメントは、内部容積を形成し、埋込ラック受けコンパートメントの内部容積は、少なくとも1つの試料容器ラック又は少なくとも1つの試薬容器ラックの寸法より大きい寸法を有する。埋込ラック受けコンパートメントは、2つの側壁、後端、及びラックスロットを形成する開放前端を備えることができ、ラックスロットの中へ1つ又は複数の試料容器ラック又は試料容器ラックを手動又は自動で挿入できる。
【0065】
埋込ラック受けコンパートメントの更に具体的な実施形態において、埋込ラック受けコンパートメントは、スライド面を有し、少なくとも1つの試料容器ラック又は少なくとも1つの試薬容器ラックは、スライド面上で、ラック受けコンパートメントの前端と後端との間でスライド式に移動可能であり、スライド面は、ラック案内要素を備える。埋込ラック受けコンパートメントの中へラックをロードするために、ラックは、単に、埋込ラック受けコンパートメントの後端へ向かって案内要素に沿って直線的に移動するだけでよい。それによって、ラックを不正確に挿入するリスクが最小化する。スライド面は、複数の試料容器ラック及び/又は容器ラックを同じ埋込ラック受けコンパートメント中へロード/アンロードできるように、スライド面を様々なレーンに分割できる数個のラック案内要素を備えることができる。
【0066】
検査室用システムの具体的実施形態において、検査室用システムは、更に、少なくとも1つの移送システムの移動を制御するための制御装置を備える。「制御装置(control device)」は、本明細書において使用する場合、検査室用システムによって試料又は試料容器処理ステップを実行するように検査室用システムを制御するために構成可能な物理的又は仮想処理装置を含む。制御装置は、例えば、分析前、分析後及び分析試料処理ステップを実行するように検査室用システムに命令を与えることができる。制御装置は、特定の試料についてどのステップを実施する必要があるかに関する情報をデータ管理ユニットから受け取ることができる。制御装置は、例えば、検査室用機器の作動を実施するための命令を備えるコンピュータ可読プログラムを実行するように作られたプログラマブルロジックコントローラとして実現できる。この種の作動の一例は、検査室用機器内の目標位置まで三次元方向x、y及びzに少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置を移動するために、少なくとも1つの移送システムの移動を制御することである。このような作動の別の例は、下でさらに説明するように、検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法を実行することである。
【0067】
制御装置の1つの実施形態において、制御装置は、検査室用機器に含まれる。
【0068】
別の実施形態において、制御装置は、通信可能に検査室用機器に接続された外部装置である。
【0069】
本発明は、本明細書において説明する検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法にも関する。方法は、
a)少なくとも1つの移送システムが、少なくとも1つの基準構造体へ向かって少なく とも1つのピペット装置または取扱い装置を移動するステップと、
b)少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の少なくとも1つの基準構造体検 出装置が、少なくとも1つの基準構造体を検出するステップであって、少なくとも 1つの基準構造体検出装置が、少なくとも1つの基準構造体を検出すると少なくと も1つの信号を発生して、少なくとも1つの信号を制御装置へ送る、ステップと、
c)制御装置が、少なくとも1つの基準構造体検出装置から少なくとも1つの信号を受 け取って、受け取った少なくとも1つの信号に基づいて少なくとも1つの基準構造 体の位置情報を測定するステップと、
d)制御装置が、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報を少なくとも1つの基準 構造体の予測位置情報と比較するステップと、
e)制御装置が、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準 構造体の予測位置情報との間の偏差を測定して保存するステップと、
f)制御装置が、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準 構造体の予測位置情報との間の測定され保存された偏差に応じて、検査室用機器又 は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置又は取扱い装置の位置決めを 調節するステップと、
を含む。
【0070】
検査室用機器の作動時に、数百の試料処理ステップが1日に実行される可能性があり、ピペット装置または取扱い装置の位置決めの正確性は、時間経過に伴い低下して、検査室用機器の誤作動又は容器又は検査室用機器の少なくとも1つのピペット装置または取り扱い装置の損傷さえ生じる可能性がある。したがって、検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法は、随時、繰り返されなければならない。「位置決め(positioning)」は、本明細書において使用する場合、少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置が、目標位置において特定の試料処理ステップを実行するために検査室用機器内で移送システムによって目標位置まで移動されることを意味し、目標位置は、検査室用機器の三次元直交座標系内でのx、y及びz値から成る既定の位置情報を含む。
【0071】
本明細書において使用する場合、「調節(する)(adjusting)」は、少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報と実際の又は測定位置情報との間の偏差を修正又は補正するプロセスを意味する。移送システムは位置決めのために検査室用機器内でピペット装置又は取扱い装置を移動するので、この修正又は補正は、移動システムの駆動装置を新たに設定することによって行うことができ、駆動装置の新たな設定は、少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報と測定位置情報との間の偏差に応じて行われる。
【0072】
方法の具体的実施形態において、少なくとも1つの移送システムは、ステップa)においてz方向、x方向及びy方向から少なくとも1つの基準構造体へ向かって少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置を移動し、少なくとも1つの基準構造体検出装置は、ステップb)において、z方向、x方向及びy方向から少なくとも1つの基準構造体を検出したら少なくとも3つの信号を発生し、少なくとも3つの信号を制御装置へ送り、制御装置は、ステップc)において、少なくとも1つの基準構造体検出装置から少なくとも3つの信号を受け取り、受け取った少なくとも3つの信号に基づいて少なくとも1つの基準構造体の位置情報を測定する。
【0073】
より具体的な実施形態において、開示する方法のステップe)の直後に、制御装置は、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報との間の測定偏差が設定偏差範囲内であるか否かを測定する。少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予側位置情報との間の測定偏差が設定偏差範囲内である場合、ステップf)が実行される。又、少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報との間の測定偏差が設定偏差範囲内にない場合、警報が発せられる。設定偏差範囲は、少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めが移送システム駆動装置を設定することによって調節できる偏差を意味する。移送システムの駆動装置を設定することによって修正又は補正できない偏差の場合、測定位置情報が少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報と再び整合するように、移送システムの案内レールを手動で調節しなければならない。したがって、発せられた警報は、検査室用機器の目視検査及び移送システムの手動調節の勧告又は要求を含むことができる。
【0074】
本明細書において説明する検査室用システムの1つの実施形態において、前記制御装置は、本明細書において説明する方法を制御するように作られる。
【0075】
更に、プログラムが制御装置において実行されるとき本明細書に含まれる実施形態の1つ又はそれ以上で本発明に係る方法を実施するためのコンピュータ実行可能な命令を含むコンピュータプログラムが開示され、提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアに保存できる。したがって、具体的には、上述の方法のステップの1つ、複数又は全部を、制御装置を使用することによって、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって実施できる。
【0076】
更に、プログラムが制御装置において実行されるとき本明細書に含まれる実施形態の1つ又はそれ以上で本明細書に開示する方法を実施するためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品が開示され、提案される。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリアに保存できる。
【0077】
コンピュータによって実現される本発明の形態に関しては、本明細書に開示する実施形態の1つ又はそれ以上に従った方法のステップの1つ又は複数又は方法ステップの全部は、制御装置を用いて実施できる。したがって、概略的に、情報又はデータの提供及び/又は操作を含む方法のステップのいずれも、制御装置を使用することによって実施できる。
【0078】
図面の詳細な説明
図1は、本明細書において説明する検査室用機器(10)の斜視図である。図示するように、検査室用機器(10)は、単一基礎板(12)を備える。単一基礎板(12)は、
図2に更に詳細に示す埋込コンパートメント(14)を備える。検査室用機器(10)は、フレーム(28)を備えるハウジング(26)も有する。検査室用機器(10)のフードは、検査室用機器(10)の内部がよりよく見えるように、
図1においては省略される。単一基礎板(12)は、検査室用機器(10)内でフレーム(28)に取り付けられる。
図1に示すように、検査室用機器は、1つの基準構造体検出装置(62)を備えるピペット装置(60)を備える。図示する実施形態において、基準構造体検出装置(62)は、導電性ピペットチップである。検査室用機器(10)は、又、ピペット装置(60)に接続される移送システム(64)も有する。図示する実施形態において、検査室用機器(10)は、更に、移送システム(64)の移動を制御するための制御装置(76)も備える。略図的に図示するように、検査室用機器は、x方向、y方向及びz方向を備える三次元直交座標系を持つ。移送システム(64)は、検査室用機器内で三次元方向x、y及びzにピペット装置(60)を移動するように構成される。図示する実施形態において、検査室用機器は、更に、単一基礎板(12)上に取り付けられる2枚の導電シート(49)から成る導電要素(48)を備える。
【0079】
図2は、検査室用機器の単一基礎板を分離図(
図2B)で、導電要素(48)を分離図(
図2A)で、及び導電要素(48)が取り付けられた検査室用機器の単一基礎板(12)(
図2C)を示す。
図2Bに示すように、単一ピースから成る単一基礎板(12)は、5つの埋込消耗材コンパートメント(16)、2つの埋込試料処理コンパートメント、1つの埋込廃物コンパートメント、1つの埋込起動装置コンパートメント(22)、及び1つの埋込ラック受けコンパートメント(24)を備える。単一基礎板(12)は、更に、ケーブルチャンネル(40)、エアチャンネル(42)、ディスプレイフレーム(44)及び機器インターロックモジュール(46)などの統合支持要素を備える。
図2Aは、貫通孔(52)を備える2枚の導電シート(49)から成る導電要素(48)を示す。図示する実施形態において、貫通孔(52)の少なくとも1つは、基準構造体(50)である。但し、必要であれば、付加的基準構造体として他の貫通孔(52)も使用できる。
図2Cに示すように、2枚の導電シート(49)は、単一基礎板(12)上に取り付けでき、導電シート(49)の貫通孔(52)は、単一基礎板(12)の埋込消耗材コンパートメント(16()、埋込試料処理コンパートメント(18)、埋込廃物コンパートメント(20)及び埋込起動装置コンパートメント(22)と整列する。更に図示するように、起動装置(47)は、埋込起動装置コンパートメント(22)の中に収容される。
【0080】
図3は、単一基礎板(12)、埋込コンパートメント(14)及び導電シート(49)の断面図である。図示する埋込コンパートメント(14)は、埋込コンパートメント(14)の内部容積を取り囲む側壁(34)、閉鎖底面(36)及び開放上面(3)を備える。更に図示するように、埋込コンパートメント(14)は、丸みのあるコーナー(30)及び丸みのある縁(32)を備える。導電シート(49)は、スクリュー(56)を用いて単一基礎板(12)に取り付けられる。図示する実施形態において、導電シートを取り付けるためのスクリュー(56)は、単一基礎板(12)上に導電シート(49)を浮動取付けするためのショルダスクリューである。
【0081】
図4は単一基礎板(12)及びショルダスクリュー(56)及び固定点(58)で単一基礎板上に取り付けられる導電シート(49)の上面図である。
図4に示すように、導電シート(49)は、消耗材及び廃物容器をクリップ留めするために、埋込消耗材コンパートメント(16)及び埋込廃物コンパートメント(20)の開放上面と整列する貫通孔に隣接して配置されたスナップラッチ(54)を備える。図示するラック受けコンパートメント(24)は、3つのラック案内要素(74)を備えるスライド面(72)を有する。3つの案内要素は、試料容器ラック及び試薬容器ラックを同じ埋込ラック受けコンパートメント(24)の中へロード/アンロードするために、試料容器ラック並びに試薬容器ラックをラック受けコンパートメント(24)の前端と後端との間でスライド式に移動できるように、スライド面を2本のレーンに分割する。
【0082】
図5は、本明細書において説明する検査室用システム(65)の斜視図である。図示する検査室用システム(65)は、ピペットチップラックの形式の消耗材(66)と共に検査室用機器(10)を備える。図示する検査室用システム(65)は、更に、3つの分離・加熱装置及び1つの冷却装置の形式の試料処理装置(68)を備える。図示する検査室用システム(65)は、更に、埋込ラック受けコンパートメント(24)の中の1つの試料容器ラック(69)及び1つの試薬容器ラック(70)を備える。更に、図示する検査室用システム(65)は、使用済みピペットチップを処分するための廃物チップラックの形式の廃物ラック(71)を備える。移送システムの移動を制御するために、検査室用システムは制御装置(76)を備える。
【0083】
図6Aは、検査室用機器又は検査室用システムの少なくとも1つのピペット装置または取扱い装置の位置決めを調節する方法のフローチャートである。この方法を開始する前に、操作者は、どの消耗材(66)、廃物ラック(71)、試料容器ラック(69)又は試薬容器ラック(70)も少なくとも1つの基準構造体(50)へのアクセスを妨げないことを確認しなければならない。方法のステップa)(78)において、少なくとも1つの移送システム(64)は、少なくとも1つの基準構造体(50)へ向かってピペット装置(60)又は取扱い装置を移動する。方法のステップb)(80)において、少なくとも1つのピペット装置(60)又は取扱い装置の少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)は、少なくとも1つの基準構造体(50)を検出して、少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)は、少なくとも1つの基準構造体(50)を検出すると少なくとも1つの信号を発生する。少なくとも1つの信号は制御装置(76)へ送られる。方法のステップc)(82)において、制御装置(76)は、少なくとも1つの基準構造体検出装置(62)から少なくとも1つの信号を受け取って、受け取った少なくとも1つの信号に基づいて、少なくとも1つの基準構造体(50)の位置情報を測定する。その後、制御装置(76)は、方法のステップd)(84)において、少なくとも1つの基準構造体(50)の測定位置情報を少なくとも1つの基準構造体(50)の予測位置情報と比較する。方法のステップe)(86)において、制御装置(76)は、少なくとも1つの基準構造体(50)の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体(50)の予測位置情報との間の偏差を測定して保存する。少なくとも1つの基準構造体(50)の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体(50)の予測位置情報との間の測定され保存された偏差に応じて、制御装置は、方法のステップf)(88)において、少なくとも1つのピペット装置(60)又は取扱い装置の位置決めを調節する。
図6Bに示すように、方法の1つの実施形態は、2つの追加ステップ(90、92)を含むことができる。方法のステップe)(86)後に実行される第1の追加ステップ(90)において、制御装置(76)は、少なくとも1つの基準構造体(50)の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体(50)の予測位置情報との間の測定偏差が設定偏差範囲内であるか否かを測定する。少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報との間の測定偏差が設定偏差範囲内である場合、方法のステップf)(88)が実行される。少なくとも1つの基準構造体の測定位置情報と少なくとも1つの基準構造体の予測位置情報との間の測定偏差が設定偏差範囲内ではない場合、第2の追加ステップ(92)において警報が発せられる。
【符号の説明】
【0084】
10 検査室用機器
12 単一基礎板
14 埋込コンパートメント
16 埋込消耗材コンパートメント
18 埋込試料処理コンパートメント
20 埋込廃物コンパートメント
22 埋込起動装置コンパートメント
24 埋込ラック受けコンパートメント
26 ハウジング
28 フレーム
30 丸みのあるコーナー
32 丸みのある縁
34 側壁
35 内部容積
36 閉鎖底面
38 開放上面
40 ケーブルチャンネル
42 エアチャンネル
44 ディスプレイフレーム
46 機器インターロックモジュール
47 起動装置
48 導電要素
49 導電シート
50 基準構造体
52 貫通孔
54 スナップラッチ又はラッチフィット
56 スクリュー
58 固定点
60 ピペット装置
62 基準構造体検出装置
64 移送システム
65 検査室用システム
66 消耗材
68 試料処理装置
69 試料容器ラック
70 試薬容器ラック
71 廃物ラック
72 スライド面
74 案内要素
76 制御装置
78 方法のステップa
80 方法のステップb
82 方法のステップc
84 方法のステップd
86 方法のステップe
88 方法のステップf
90 方法の第1追加ステップ
92 方法の第2追加ステップ