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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/236 20180101AFI20221121BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20221121BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20221121BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20221121BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20221121BHJP
   F21S 43/13 20180101ALI20221121BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20221121BHJP
【FI】
F21S43/236
F21S43/249
F21S43/237
F21S43/239
F21S43/14
F21S43/13
F21W103:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018160811
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020035630
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】原 弘明
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116142(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074242(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0106903(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/236
F21S 43/249
F21S 43/237
F21S 43/239
F21S 43/14
F21S 43/13
F21W 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光源と、
棒状部、および内部に光拡散材を含有する複数の板状部を有する導光体と、を備え、
各板状部は、第1側面が前記棒状部に沿って延びるとともに前記第1側面が前記棒状部の周面と対向するように配置され、
前記棒状部は、前記第1光源の光が第1端部から入射され、前記第1光源の光を内部で導光しながら前記周面から各板状部の前記第1側面に出射し、
各板状部は、前記第1側面から入射する前記第1光源の光を内部で導光しながら前記光拡散材によって主表面から出射し、
複数の前記板状部は、前記棒状部を中心に放射状に広がるように配置され
前記導光体は、各板状部を連結する連結部を有し、
前記連結部は、隣り合う2つの前記板状部の間で前記棒状部の周面に沿って延びて当該2つの前記板状部の主表面に接続され、内部に前記光拡散材を含有し、前記棒状部および前記板状部の少なくとも一方から内部に入射した光を前記光拡散材によって出射することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
複数の前記板状部は、前記棒状部の周方向に均等に配置される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
第2光源をさらに備え、
前記棒状部は、前記第2光源の光が前記第1端部とは反対側の第2端部から入射され、前記第2光源の光を内部で導光しながら前記周面から各板状部の前記第1側面に出射し、
各板状部は、前記第1側面から入射する前記第2光源の光を内部で導光しながら前記光拡散材によって主表面から出射する請求項1または2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に自動車などの車両に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源の光を導光体を介して灯具前方へ出射する車両用灯具が知られている。例えば特許文献1には、板状導光体に側面から光を入射させ、灯具内側の主表面に設けられたステップ等の反射要素によって反射させて、灯具外側の主表面から灯具前方へ光を出射する構造を有する車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-116142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の車両用灯具では、板状導光体の側面に棒状導光体の周面を接続し、棒状導光体の端面から入射させた光を板状導光体に導いて、板状導光体の主表面から出射させていた。本発明者は、このような導光体を備える車両用灯具について鋭意検討した結果、従来の車両用灯具には光の利用効率を高める余地があることを認識するに至った。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具における光の利用効率を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、第1光源と、棒状部、および内部に光拡散材を含有する複数の板状部を有する導光体と、を備える。各板状部は、第1側面が棒状部に沿って延びるとともに第1側面が棒状部の周面と対向するように配置される。棒状部は、第1光源の光が第1端部から入射され、第1光源の光を内部で導光しながら周面から各板状部の第1側面に出射する。各板状部は、第1側面から入射する第1光源の光を内部で導光しながら光拡散材によって主表面から出射する。この態様によれば、車両用灯具における光の利用効率を高めることができる。
【0007】
上記態様において、複数の板状部は、棒状部を中心に放射状に広がるように配置されてもよい。また、上記態様において、複数の板状部は、棒状部の周方向に均等に配置されてもよい。また、上記いずれかの態様において、第2光源をさらに備え、棒状部は、第2光源の光が第1端部とは反対側の第2端部から入射され、第2光源の光を内部で導光しながら周面から各板状部の第1側面に出射し、各板状部は、第1側面から入射する第2光源の光を内部で導光しながら光拡散材によって主表面から出射してもよい。また、上記いずれかの態様において、導光体は、各板状部を連結する連結部を有してもよい。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両用灯具における光の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る車両用灯具の鉛直断面図である。
図2】車両用灯具が備える光源および導光体の斜視図である。
図3図3(A)および図3(B)は、板状部の光出射効率の測定方法を説明するための模式図である。
図4】実施の形態2に係る車両用灯具が備える導光体の平面図である。
図5】実施の形態3に係る車両用灯具が備える光源および導光体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る車両用灯具の鉛直断面図である。図2は、車両用灯具が備える光源および導光体の斜視図である。なお、図1では説明の便宜上、導光体については側面視した様子を図示している。車両用灯具1は、例えば車両後方に配置されるリアコンビネーションランプである。
【0013】
車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプボディ2の灯具前方側を覆う透光性のアウターカバー4とを備える。ランプボディ2とアウターカバー4とで形成される灯室6内には、第1光源8と、第2光源10と、導光体12と、が収容される。第1光源8、第2光源10および導光体12は、支持機構14を介してランプボディ2に固定される。
【0014】
第1光源8および第2光源10は、例えばLED(発光ダイオード)である。なお、第1光源8および第2光源10は、LD(レーザーダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)等の他の半導体発光素子や、白熱球、ハロゲンランプ、放電球等であってもよい。
【0015】
導光体12は、透光性を有する樹脂部材である。導光体12に用いられる樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の、透明な熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を挙げることができる。導光体12は、棒状部16と、複数の板状部18と、を有する。本実施の形態の導光体12は、4つの板状部18を有する。
【0016】
棒状部16は、任意の一方向に延在する円柱状の部分である。本実施の形態の棒状部16は、おおよそ鉛直方向に延びている。なお、棒状部16は、角柱状であってもよい。棒状部16は、第1端部16aと、第1端部16aとは反対側の第2端部16bとを有する。
【0017】
第1端部16aには、第1光源8が配置される。第1光源8は、その発光面が第1端部16aの端面と対向するように配置される。したがって、第1光源8の光は、第1端部16aの端面から棒状部16に入射する。また、第2端部16bには、第2光源10が配置される。第2光源10は、その発光面が第2端部16bの端面と対向するように配置される。したがって、第2光源10の光は、第2端部16bの端面から棒状部16に入射する。端面とは、棒状部材の端部において延伸軸と交わる方向に延びる表面である。
【0018】
複数の板状部18はそれぞれ、互いに背向する第1主表面18aおよび第2主表面18bと、第1主表面18aおよび第2主表面18bをつなぐ複数の側面とを有する平板状の部分である。複数の側面には、第1側面18cが含まれる。各板状部18は、第1側面18cが棒状部16に沿って延びるとともに、第1側面18cが棒状部16の周面16cと対向するように配置される。周面16cとは、棒状部材の延伸軸に沿って延び、2つの端面をつなぐ表面である。
【0019】
すなわち、複数の板状部18は、それぞれの第1側面18cが同じ方向に延びるとともに棒状部16を中心に集まるように配置されている。本実施の形態では、各板状部18は、棒状部16の周面16cから突出する。したがって、棒状部16は、各板状部18の第1側面18cに沿って延びるとともに、周面16cが各板状部18の第1側面18cに接続されている。
【0020】
また、複数の板状部18は、棒状部16を中心に放射状に広がるように配置される。さらに、複数の板状部18は、棒状部16の周方向に均等に配置される。本実施の形態では、4つの板状部18は、棒状部16を中心として90℃ずつずれて配置されている。
【0021】
図1における板状部18の拡大断面図Rに示されるように、板状部18は、内部に光拡散材19を含有する。光拡散材19としては、金属酸化物粒子、例えば二酸化チタン粒子を挙げることができる。二酸化チタン粒子の平均粒径は、例えば150~500nm、好ましくは160~450nm、より好ましくは170~450nm、さらに好ましくは200~400nm、特に好ましくは220~400nmである。光拡散材19の含有量は、板状部18の質量全体に対して例えば0.1~100質量ppm、好ましくは0.1~50質量ppm、より好ましくは0.1~10質量ppmである。
【0022】
二酸化チタン粒子は、ルチル変態の割合が例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。板状部18には、用いられる樹脂の主要モノマーと共重合可能な他のモノマーや、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、潤滑剤、流動性改善剤、充填剤、光安定剤等の一般的な添加剤が含有されてもよい。なお、棒状部16における光拡散材19の含有量は板状部18における含有量よりも少なく、本実施の形態の棒状部16は光拡散材19を含有しない。
【0023】
板状部18を構成する材料は、板厚4mmの平板として測定した場合に、少なくとも一部における板厚方向でのヘイズ値が7%超30%以下である。なお、棒状部16を構成する材料は、同条件で測定した場合にヘイズ値が7%以下である。また、板状部18を構成する材料は、板厚4mmの平板として測定した場合に、少なくとも一部における板厚方向での可視光の透過率(一方の主表面の法線方向で当該主表面から入射する光の量に対する、他方の主表面から全方向に出射する光の量の割合)が60%以上92%以下である。
【0024】
板状部18および棒状部16のヘイズ値は、ヘーズメーターHZ-2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7136に準拠して測定することができる。板状部18の可視光透過率は、ヘーズメーターHZ-2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7361-1に準拠して測定することができる。
【0025】
また、板状部18を構成する材料からなる平板材(以下では便宜上、この平板材を板状部18とする)は、2つの主要面をつなぐ側面から入射する光が主表面から出射される際の出射効率について、以下の条件を満たす。図3(A)および図3(B)は、板状部の光出射効率の測定方法を説明するための模式図である。図3(A)は、板状部18の寸法とLEDの配置とを示している。図3(B)は、固定枠Bが取り付けられた板状部18を光出射面C側から見た様子を示している。
【0026】
図3(A)に示すように、上下方向の長さ100mm、左右方向の長さ190mm、厚さ3.2mmの直方体状の板状部18を用意する。この板状部18の側面Aを光源光の入射面とする。そして、側面Aの法線方向にLEDを配置する。LEDは、焦点Pが側面Aを向き、且つ焦点Pから側面Aまでの距離が1.85mmとなるように配置される。LEDの発光面からは、180°の範囲で光が拡散する。
【0027】
また、図3(B)に示すように、用意した板状部18の周囲を固定枠Bで覆う。固定枠Bで覆われた状態で、板状部18の光出射面Cは、上下方向の長さが90mm、左右方向の長さが160mmとなる。固定枠Bは、表面および裏面ともに光を反射しない。また、光出射面Cの法線方向で光出射面Cから√10の距離に、受光面(図示せず)を配置する。
【0028】
この状態で、LEDから光を出射させる。そして、光出射面Cの中心を通る法線と受光面との交点を中心として、受光面上の上下15°×左右25°の矩形領域に照射される光の光束を測定する。板状部18の場合、当該矩形領域に照射される光の光束は、LEDから出射される光の光束を1としたときに0.3%以上となる。
【0029】
また、板状部18は、側面から光が入射されると、主表面からの単位面積当たりの出射光量の方が、光が入射した側面に背向する側面からの単位面積当たりの出射光量よりも多く、一方の主表面から光が入射されると、他方の主表面からの単位面積当たりの出射光量の方が側面からの単位面積当たりの出射光量よりも多い、という光学的特性を満たすように、光が入射する側面に対して十分な大きさの主表面を有する。
【0030】
すなわち、板状部18は、側面から光が入射される場合と、主表面から光が入射される場合とのいずれであっても、主表面から出射される光の割合が側面から出射される光の割合より高い。ただし、板状部18は、側面からも所定量の光が出射される。したがって、板状部18は、任意の1つの側面を光入射面とした場合に、2つの主表面と他の側面とが発光部として視認される。
【0031】
本実施の形態の導光体12は、例えば、光拡散材19を混合した樹脂材料で成形された複数の板状部18を、光拡散材19を非混合の樹脂材料で成形された棒状部16に、公知の方法で接合することで製造される。
【0032】
棒状部16は、第1光源8の光が第1端部16aから入射される。棒状部16は、第1光源8の光を内部で導光しながら、周面16cから各板状部18の第1側面18cに光を出射する。つまり、第1光源8の光は、棒状部16の周面16cで内面反射を繰り返しながら、棒状部16の内部を第1端部16aから第2端部16bに向かって進んでいく。この過程で、棒状部16の周面16cと各板状部18の第1側面18cとが接する領域において周面16cから各板状部18側に光が漏れ、各板状部18に進入する。各板状部18は、第1側面18cから入射する第1光源8の光を内部で導光しながら、光拡散材19によって第1主表面18aおよび第2主表面18bから出射する。
【0033】
また、棒状部16は、第2光源10の光が第2端部16bから入射される。棒状部16は、第2光源10の光を内部で導光しながら周面16cから各板状部18の第1側面18cに光を出射する。つまり、第1光源8の光と同様に、第2光源10の光は、棒状部16の内部で内面反射を繰り返して第2端部16bから第1端部16aに向かって進む過程で、周面16cから各板状部18側に進入する。各板状部18は、第1側面18cから入射する第2光源10の光を内部で導光しながら、光拡散材19によって第1主表面18aおよび第2主表面18bから出射する。なお、第1光源8および第2光源10の光は、第1側面18cを除く側面からも出射される。
【0034】
車両用灯具1は、第1光源8および第2光源10の点灯によって複数の板状部18から光を出射することで、例えばストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ等として機能することができる。また、車両用灯具1は、第1光源8の点灯により第1の灯具機能を発揮し、第2光源10の点灯により第2の灯具機能を発揮することもできる。なお、車両用灯具1は、車両前方に配置されてもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1は、第1光源8と、棒状部16、および内部に光拡散材19を含有する複数の板状部18を有する導光体12と、を備える。各板状部18は、第1側面18cが棒状部16に沿って延びるとともに第1側面18cが棒状部16の周面16cと対向するように配置される。棒状部16は、第1光源8の光が第1端部16aから入射され、第1光源8の光を内部で導光しながら周面16cから各板状部18の第1側面18cに出射する。各板状部18は、第1側面18cから入射する第1光源8の光を内部で導光しながら光拡散材19によって第1主表面18aおよび第2主表面18bから出射する。
【0036】
従来の車両用灯具では、1つの棒状導光体に対して1つの板状導光体が接続されていた。棒状導光体の一方の端部から入射した光は、棒状導光体の周面を内面反射しながら他方の端部に向かう過程で、板状導光体に入射する。しかしながら、板状部18に入射する光は一部のみであり、大部分は板状導光体に入射することなく他方の端部から外部に抜けてしまっていた。これに対し、本実施の形態では、1つの棒状部16に対して複数の板状部18が設けられている。これにより、板状部18から出射されることなく棒状部16から抜けてしまう光を、減らすことができる。
【0037】
よって、本実施の形態によれば、車両用灯具1における光の利用効率を高めることができる。また、板状部18からより多くの光を出射することができるため、車両用灯具1の被視認性を高めることができる。これにより、運転者や歩行者等の安全性を高めることができる。
【0038】
また、第1光源8の光は、棒状部16内を内面反射しながら進み、その過程で周面16cから第1側面18c側に漏れて板状部18に進入する。つまり、第1光源8の光は、棒状部16内を進行しながら徐々に板状部18に入射する。これにより、板状部18の発光の均一性を高めることができる。また、板状部18に入射した光は、板状部18内に分散する光拡散材19によって第1主表面18aおよび第2主表面18bから出射される。これによっても、板状部18の発光の均一性を高めることができる。これらの結果、車両用灯具1の被視認性をより高めることができる。
【0039】
また、棒状部16および各板状部18は、高い透明性を有する。また、各板状部18は透明であるとともに、第1側面18cから入射した光を第1主表面18aおよび第2主表面18bから均一に出射することができる。また、光は第1側面18c以外の側面からも出射される。すなわち、第1光源8の非点灯時は、導光体12は透明に見える。一方、第1光源8の点灯時は、各板状部18の全体が発光して見える。これにより、車両用灯具1の意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、複数の板状部18は、板状部18を中心に放射状に広がるように配置される。放射状に広がる板状部18から光を出射させることで、平らな導光体から光を出射する場合に比べて、導光体12の発光をより多方向から視認させることができる。よって、車両用灯具1の被視認性を高めることができる。また、立体的な発光を実現することができ、車両用灯具1の意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、複数の板状部18は、棒状部16の周方向に均等に配置される。これにより、導光体12の発光をより確実に多方向から視認させることができる。よって、車両用灯具1の被視認性をより確実に高めることができる。また、車両用灯具1の意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、第2光源10を備える。棒状部16は、第2光源10の光が第1端部16aとは反対側の第2端部16bから入射され、第2光源10の光を内部で導光しながら周面16cから各板状部18の第1側面18cに出射する。各板状部18は、第1側面18cから入射する第2光源10の光を内部で導光しながら、光拡散材19によって第1主表面18aおよび第2主表面18bから出射する。つまり、板状部18からは第1光源8および第2光源10の光が出射される。これにより、導光体12の発光強度を高めることができるため、車両用灯具1の被視認性をより高めることができる。なお、第2光源10の光についても、複数の板状部18から出射させることで利用効率を高めることができる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る車両用灯具は、導光体の構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る車両用灯具について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図4は、実施の形態2に係る車両用灯具が備える導光体の平面図である。
【0044】
本実施の形態の導光体12は、棒状部16と、複数の板状部18と、各板状部18を連結する連結部20を有する。具体的には、連結部20は、2つの板状部18の間で、棒状部16の周面16cに沿って延びる。連結部20は、一方の端部が一方の板状部18の第1主表面18aに接続され、他方の端部が他方の板状部18の第2主表面18bに接続される。本実施の形態では、4つの板状部18と4つの連結部20とが、棒状部16の周方向に交互に配置されている。
【0045】
各連結部20は、各板状部18の主表面における第1側面18c側の端部領域において、主表面に接続される。したがって、棒状部16の周面16cのうち、各板状部18の第1側面18cで被覆されていない領域は、連結部20によって被覆される。複数の板状部18と連結部20とは、互いに連結された単一部材である。この単一部材は、複数の連結部20と複数の板状部18の端部とで構成される環状部分と、各板状部18の残りの部分で構成され、環状部分の外周面から外側に突出する複数の羽部と、を有する。この単一部材は、光拡散材19を混合した樹脂材料を用いて、公知の射出成形等により一体成形することができる。
【0046】
本実施の形態によれば、複数の板状部18を、連結部20によって一体化することができる。これにより、導光体12の部品点数を削減することができるため、車両用灯具1の組み立て工程の簡略化を図ることができる。また、連結部20が光拡散材19を含有する場合、連結部20から光を出射させることができる。これにより、車両用灯具1の光利用効率、被視認性、意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0047】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る車両用灯具は、導光体の構造が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る車両用灯具について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図5は、実施の形態3に係る車両用灯具が備える光源および導光体の斜視図である。
【0048】
本実施の形態の導光体12は、棒状部16と、複数の板状部18と、複数の第2棒状部22と、を有する。棒状部16は、各板状部18の第1側面18cに沿って延びるとともに、周面16cが各板状部18の第1側面18cに接続される。
【0049】
複数の第2棒状部22はそれぞれ、棒状部16と同一の形状を有し、各板状部18に接続される。具体的には、各第2棒状部22は、各板状部18の第1側面18cとは異なる第2側面18dに沿って延びるとともに、その周面22cが第2側面18dに接続される。本実施の形態では、第2側面18dは、第1側面18cに背向する側面である。したがって、棒状部16と複数の第2棒状部22とは、互いに平行に延在する。
【0050】
各第2棒状部22の第1端部22aには、第3光源24が配置される。各第3光源24は、その発光面が第1端部22aの端面と対向するように配置される。したがって、第3光源24の光は、第1端部22aの端面から第2棒状部22に入射する。また、第1端部22aとは反対側の第2端部22bには、第4光源26が配置される。第4光源26は、その発光面が第2端部22bの端面と対向するように配置される。したがって、第4光源26の光は、第2端部22bの端面から第2棒状部22に入射する。
【0051】
各第2棒状部22は、第3光源24の光を内部で導光しながら、周面22cから各板状部18の第2側面18dに光を出射する。各板状部18は、第2側面18dから入射する第3光源24の光を内部で導光しながら、光拡散材19によって主表面から出射する。また、各第2棒状部22は、第4光源26の光を内部で導光しながら、周面22cから各板状部18の第2側面18dに光を出射する。各板状部18は、第2側面18dから入射する第4光源26の光を内部で導光しながら、光拡散材19によって主表面から出射する。なお、第3光源24および第4光源26の光は、第1側面18cおよび第2側面18dを除く側面からも出射される。
【0052】
したがって、本実施の形態の各板状部18からは、棒状部16を介して入射する第1光源8および第2光源10の光が出射されるとともに、第2棒状部22を介して入射する第3光源24および第4光源26の光が出射される。これにより、各板状部18の発光強度を高めることができる。よって、車両用灯具1の被視認性をより高めることができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0054】
各実施の形態において、板状部18は4枚であるが、板状部18の数は特に限定されない。また、板状部18は平坦形状であるが、板状部18は湾曲形状等であってもよい。また、複数の板状部18の配置は不均等であってもよい。また、棒状部16に対して第1光源8および第2光源10の一方のみが設けられてもよい。また、光源の光は、リフレクタで反射されて棒状部16に入射してもよい。また、導光体12の配置や姿勢も特に限定されない。また、板状部18は、一方の主表面のみから光を出射してもよい。また、第2棒状部22は、全ての板状部18に対して設けられなくともよい。また、第2棒状部22に対して第3光源24および第4光源26の一方のみが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用灯具、 8 第1光源、 10 第2光源、 12 導光体、 16 棒状部、 16a 第1端部、 16b 第2端部、 16c 周面、 18 板状部、 18c 第1側面、 19 光拡散材、 20 連結部。
図1
図2
図3
図4
図5