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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】路面評価装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
G01B11/30 W
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018180756
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051864
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501497264
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 靖博
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和明
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 謙治
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138238(JP,A)
【文献】国際公開第2014/170989(WO,A1)
【文献】特開2015-031018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/30
G01B 21/00
G01C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、路面横断方向各位置の高さを測定する路面横断方向高さ測定部と、
前記車両の路面縦断方向の走行位置と前記路面横断方向高さ測定部で測定された路面横断方向各位置の高さとに基づいて、路面縦断方向の各位置に対応づけて路面横断方向各位置の高さデータを生成する路面横断方向高さデータ生成部と、
前記路面横断方向高さデータ生成部で生成された路面縦断方向の各位置に対応づけられた路面横断方向各位置の高さデータを、路面横断方向の両側端位置における路面縦断方向各位置の各路面高さが同じ基準高さであるとみなして補正する路面横断方向高さデータ補正部と、
前記路面横断方向高さデータ補正部で補正された路面縦断方向の各位置に対応づけられた路面横断方向各位置の補正高さデータに基づいて、所望の路面横断方向位置における路面縦断方向形状データを生成する路面縦断方向形状データ生成部と、
前記路面縦断方向形状データ生成部で生成された前記所望の路面横断方向位置における路面縦断方向形状データを用いて、路面縦断方向に係る路面評価値を計測する路面評価値計測部と、
を備えた路面評価装置。
【請求項2】
前記路面縦断方向に係る路面評価値は、IRI(国際ラフネス指数)である請求項1に記載の路面評価装置。
【請求項3】
前記路面縦断方向に係る路面評価値は、平坦性である請求項1に記載の路面評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面縦断方向形状データを取得して、IRI(国際ラフネス指数)などの路面縦断方向に係る路面評価値を求める路面評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路面縦断方向に係る路面評価値のひとつに国際ラフネス指数(IRI:International Roughness Index)がある(以下、IRIという)。IRIは、路面の凹凸に関する評価指数である
【0003】
IRIは、路面性状測定車に搭載された路面縦断形状測定機器により路面縦断方向形状データを測定し、測定された路面縦断方向形状データに基づいて、クォーターカーシミュレーションにより求められる。クォーターカーシミュレーションとは、2軸4輪の車両の1輪だけを取り出して抽象化したクォーターカーモデルを用いたシミュレーションのことである。
【0004】
路面縦断形状測定機器は、例えば、レーザ変位計と加速度計により構成される。レーザ変位計では路面高が測定される。加速度計では上下方向の振動加速度が測定される。そして測定された路面高と振動加速度の積分値に基づいて、路面縦断方向に沿って車両が走行するときの車両自体の上下動を相殺して、レーザ変位計の搭載位置に対応する路面の縦断方向形状(縦断方向各位置の路面高さ)が求められる。
【0005】
一方で、路面性状測定車には、路面横断方向各位置の高さを測定する路面横断方向高さ測定機器が搭載されることがある。
【0006】
路面横断方向高さ測定機器は、路面横断方向に係る路面評価値、例えばわだち掘れ量を求めるために用いられる。
【0007】
特許文献1(特開平10-288516号公報)には、スキャナにより測定された路面の横断方向形状データとしての光照射ラインを用い、加工して、路面縦断方向形状データとしての縦断ラインを取得し、路面の凹凸プロフィールを3次元的に計測するという発明が記載されている。
【0008】
特許文献2(特開平7-98222号公報)には、5個の垂直変位計により測定された路面の横断方向形状データとしての路面横断凹凸量を用い、加工して、路面縦断凹凸の平坦性を求めるという発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平10-288516号公報
【文献】特開平7-98222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
路面縦断方向に係る路面評価値であるIRIを求めるためには、路面性状測定車に、路面横断方向高さ測定機器とは別に、路面縦断方向形状データ取得専用の路面縦断形状測定機器を搭載する必要がある。
【0011】
また従来の専用の路面縦断形状測定機器では、レーザ変位計の搭載位置に対応した特定の横断位置の路面縦断形状データしか取得することができない。
【0012】
そこで、本発明は、IRIなどの路面縦断方向に係る路面評価値を求めるに際して、必要となる路面縦断方向形状データの取得を、専用の路面縦断形状測定機器を要することなく、路面横断方向高さ測定機器だけで可能とすることを課題とする。また任意の所望する路面横断方向位置における路面縦断方向形状データを取得できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、車両に設けられ、路面横断方向各位置の高さを測定する路面横断方向高さ測定部と、前記車両の路面縦断方向の走行位置と前記路面横断方向高さ測定部で測定された路面横断方向各位置の高さとに基づいて、路面縦断方向の各位置に対応づけて路面横断方向各位置の高さデータを生成する路面横断方向高さデータ生成部と、前記路面横断方向高さデータ生成部で生成された路面縦断方向の各位置に対応づけられた路面横断方向各位置の高さデータを、路面横断方向の両側端位置における路面縦断方向形状が直線であるとみなして補正する路面横断方向高さデータ補正部と、前記路面横断方向高さデータ補正部で補正された路面縦断方向の各位置に対応づけられた路面横断方向各位置の補正高さデータに基づいて、所望の路面横断方向位置における路面縦断方向形状データを生成する路面縦断方向形状データ生成部と、前記路面縦断方向形状データ生成部で生成された前記所望の路面横断方向位置における路面縦断方向形状データを用いて、路面縦断方向に係る路面評価値を計測する路面評価値計測部と、を備えた路面評価装置である。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記路面縦断方向に係る路面評価値は、IRI(国際ラフネス指数)である。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記路面縦断方向に係る路面評価値は、平坦性である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、車両に、専用の路面縦断形状測定機器を搭載することなく、路面横断方向高さ測定機器を搭載するだけで、路面縦断方向形状データを取得することができる。また任意の所望する路面横断方向位置における路面縦断方向形状データを取得することができる。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、任意の所望する路面横断方向位置に対応する路面縦断方向形状のIRI(国際ラフネス指数)を求めることができる。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、任意の所望する路面横断方向位置に対応する路面縦断方向形状の平坦性を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、路面評価装置を示す機能ブロック図である。
図2図2は、路面評価装置の一部の構成要素が組み込まれた車両の側面図である。
図3図3は、実施形態に適用される光切断法を説明する斜視図である。
図4図4は、路面の横断方向各位置の高さのデータを例示するグラフである。
図5図5は、わだち掘れ量、代表わだち掘れ量、局所沈下量を説明する図である。
図6図6は、路面縦断方向の各位置に対応づけて路面横断方向各位置の高さデータを示す図である。
図7図7は、路面横断方向高さデータ補正部で行われる処理を説明する図である。
図8図8は、クォーターカーモデルの運動を説明する図である。
図9図9は、計測したIRIについて実施例と比較例とを対比する図である。
図10図10は、計測したIRIについて実施例と比較例とを対比する図である。
図11図11は、計測したIRIについて実施例と比較例とを対比する図である。
図12図11は、計測したIRIについて実施例と比較例とを対比する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る路面評価装置の実施の形態について説明する。
【0021】
(路面評価装置の構成)
【0022】
図1は、路面評価装置100を示す機能ブロック図である。
【0023】
図2は、路面評価装置100の一部の構成要素が組み込まれた車両10の側面図である。
【0024】
路面評価装置100は、車両10に設けられた路面横断方向高さ測定部11および走行位置測定部12と、車両10の外部に設けられた各機能部とから構成される。車両10の外部に設けられた各機能部は、制御部39と、路面横断方向高さデータ生成部31と、路面横断方向高さデータ補正部32と、路面縦断方向形状データ生成部33と、路面評価値計測部34とで構成される。制御部39、路面横断方向高さデータ生成部31、路面横断方向高さデータ補正部32、路面縦断方向形状データ生成部33、路面評価値計測部34は、パーソナルコンピュータのハードウェアおよびソフトウェアで構成される。
【0025】
制御部39は、上記パーソナルコンピュータ内で行われる各処理を制御する。
【0026】
車両10に設けられた路面横断方向高さ測定部11で測定されたデータおよび走行位置測定部12で測定されたデータは、記憶媒体を介して、あるいはインターネットなどの情報通信手段を介して、上記パーソナルコンピュータに取り込まれる。なお、制御部39、路面横断方向高さデータ生成部31、路面横断方向高さデータ補正部32、路面縦断方向形状データ生成部33、路面評価値計測部34の一部あるいはすべてを車両10に搭載する実施形態も可能である。
【0027】
路面横断方向高さ測定部11は、舗装路面の横断方向各位置の高さを測定する。舗装路面の横断方向各位置の高さは、光切断法を用いて取得される。
【0028】
図3は実施形態に適用される光切断法を説明する斜視図である。
【0029】
図2図3を併せて説明する。
【0030】
路面横断方向高さ測定部11は、スリットレーザ発振器13と、エリアカメラ14とを含んで構成される。スリットレーザ発振器13と、エリアカメラ14は、車両10の屋上の後方に取り付けられている。
【0031】
スリットレーザ発振器13は、スリットレーザ21を発振する。スリットレーザ発振器13は、車両10の進行方向22に対して直交する路面の横断方向23に平行となるスリット状のスリットレーザ21を、路面に対して垂直に上方から照射できるように車両10に取り付けられている。路面上には、スリットレーザ21の照射によって、路面の横断方向23に平行な線状のマーカ24が形成される。
【0032】
エリアカメラ14は、線状のマーカ24が撮影エリア25内に収まるように、路面に対して斜めな方向から撮影できるように車両10に取り付けられている。
【0033】
したがって光切断法の原理にしたがい、エリアカメラ14は、路面の横断方向に沿って路面が平坦であれば、線状のマーカ24を直線として撮影し、路面の横断方向に沿って路面に凹凸があれば、線状のマーカ24を凹凸がある歪んだものとして撮影する。
【0034】
エリアカメラ14は、輝度情報を取得することができる。取得された輝度情報は、路面の領域の判別などに用いられる。
【0035】
路面横断方向高さ測定部11は、線状のマーカ24を撮影したデータに基づいて舗装路面の横断方向各位置の高さを測定する。
【0036】
走行位置測定部12は、たとえばGPS(グローバル・ポジショニング・システム)と、車速センサとから構成され、車両10の路面縦断方向の走行位置データを測定する。
【0037】
路面横断方向高さデータ生成部31は、車両10の路面縦断方向の走行位置と路面横断方向高さ測定部11で測定された路面横断方向各位置の高さとに基づいて、路面縦断方向の各位置に対応づけて路面横断方向各位置の高さデータを生成する。
【0038】
図6に示すように、車両10が縦断方向に所定距離だけ走行する毎に、所定距離ずつ離間した路面横断方向各位置の高さデータC1、C2、C3…CNが逐次測定される。路面横断方向各位置の高さデータC1、C2、C3…CNはそれぞれ、路面横断方向の各位置P1、P2、P3…PD…PMに対応づけられた路面高さのデータから構成されている。路面横断方向各位置の高さデータC1、C2、C3…CNはそれぞれ、路面縦断方向の各位置Q1、Q2、Q3…QNに対応づけられる。
【0039】
図4は、路面の横断方向各位置の高さのデータを例示するグラフである。たとえば、路面の横断方向の高さの平均値を基準高さとして0mmに設定する。図4のグラフでは、例えば、70mmを基準高さ0mmとする。
【0040】
図5は、わだち掘れ量、代表わだち掘れ量、局所沈下量を説明する図である。図5において実線は、評価地点における路面横断方向の路面形状を示している。図5において破線は、評価地点から前後10mの路面縦断区間における路面横断方向の代表路面形状を示している。
【0041】
局所沈下量は、評価地点のわだち掘れ量を代表わだち掘れ量から差分した局所的な相対わだち掘れ量として定義される。代表わだち掘れ量として、例えば評価地点から前後10mの路面縦断区間におけるわだち掘れ量の中央値を採用することができる。
【0042】
以上のように、路面横断方向高さ測定部11を用いて、路面横断方向に係る路面評価値として、わだち掘れ量、代表わだち掘れ量、局所沈下量が求められる。
【0043】
図7は、路面横断方向高さデータ補正部32で行われる処理を説明する図である。図6と対比して説明する。
【0044】
図6に示すように、路面横断方向高さデータ生成部31で生成された路面横断方向各位置の高さデータC1、C2、C3…CNの同一横断方向位置(たとえばPD)を結んだ路面縦断方向形状LD´は、車両10自体の上下動の揺れを含んでいる。
【0045】
そこで、図7に示すように、路面横断方向の両側端位置P1、PMにおけるそれぞれの路面縦断方向形状L1´、LM´を直線であるとみなす補正を行う。すなわち路面横断方向の左側端位置P1における路面縦断方向各位置Q1、Q2、Q3…QNの各路面高さを同じ基準高さ0mmとする。また、路面横断方向の右側端位置PMにおける路面縦断方向各位置Q1、Q2、Q3…QNの各路面高さを同じ基準高さ0mmとする。これにより路面横断方向各位置の高さデータC1、C2、C3…CNをそれぞれ、路面横断方向各位置の補正高さデータC1´、C2´、C3´…CN´に補正する。
【0046】
このように補正したのは、通常、舗装路面は、車両が走行する箇所が損傷し、車両が走行しない箇所、つまり路面横断方向の左右側端位置P1、PMは損傷しないとみなすことができるからである。この補正によって路面縦断方向の勾配は考慮されなくなるが、IRIを計測することには影響しない。ここで、路面横断方向の左右側端位置P1、PMとは、実際の道路で白線が引かれた位置に対応する。
【0047】
これにより路面横断方向各位置の補正高さデータC1´、C2´、C3´…CN´の同一横断方向位置(たとえばPD)を結んだ路面縦断方向形状LD´は、車両10自体の上下動の揺れを含まないものとなる。
【0048】
路面縦断方向形状データ生成部33では、路面横断方向各位置の補正高さデータC1´、C2´、C3´…CN´上の同一横断方向位置P1、P2、P3…PD…PMを結んだ路面縦断方向形状L1、L2、L3…LD…LMが、各横断方向位置P1、P2、P3…PD…PM毎に生成される。したがって任意の所望する路面横断方向位置(たとえばPD)における路面縦断方向形状データLDを取得することができる。
【0049】
路面評価値計測部34では、路面縦断方向形状データ生成部33で生成された所望の路面横断方向位置(たとえばPD)における路面縦断方向形状データLDを用いて、路面縦断方向に係る路面評価値としてのIRIが計測される。
【0050】
IRIは、図8に示すように、2軸4輪の自動車の一輪だけを取り出した仮想車両モデルであるクォーターカーモデル50の運動によって求められる。
【0051】
IRI(mm/m)は、クォーターカーモデル50が路面縦断方向形状データLDに対応する仮想の路面を走行させるシミュレーションによって求められる。
【0052】
IRI(mm/m)は、クォーターカーモデル50が規定の車速(80km/h)で走行した際のバネ上質量msとバネ下質量muとの相対運動変位量の総和である累積運動変位量Σを評価長Lで除して基準化することで得られる。したがってIRI(mm/m)は、
【0053】
IRI(mm/m)=Σ/L
【0054】
で定義される。
【0055】
(実施例)
【0056】
以下、上述した本実施形態で得られた路面縦断方向形状データLDを用いて計測されたIRI(mm/m)の値(実施例)と、専用の路面縦断形状測定機器により測定された路面縦断方向形状データLDを用いて計測されたIRI(mm/m)の値(比較例)とを対比する。ここで、路面縦断方向形状データLDは、外側線から55cm離れた路面横断方向位置における路面縦断方向形状データである。
【0057】
図9は、評価長Lを10mとして、舗装道路上の所定の区間KPにおいて、評価長L(10m)毎にIRI(mm/m)を測定した結果を示す。図9は、実施例(横軸に予測値として示す)と比較例(縦軸に実測値として示す)とを対比して示す。
【0058】
図9には、14kmの区間において測定した1400個のIRI(mm/m)を各座標値としてプロットしており、それら各座標値の回帰式を直線で示している。決定係数R2は0.5622となった。図9から、実施例の予測値が比較例の実測値よりも過大になる傾向はあるものの、実施例のIRI(mm/m)の値は、比較例のIRI(mm/m)の値にほぼ一致しており、正確に路面評価値としてのIRIを計測できることがわかる。
【0059】
図10は、評価長Lを20mとして、舗装道路上の所定の区間KPにおいて、評価長L(20m)毎にIRI(mm/m)を測定した結果を示す。図10は、実施例(横軸に予測値として示す)と比較例(縦軸に実測値として示す)とを対比して示す。
【0060】
図10には、14kmの区間において測定した700個のIRI(mm/m)を各座標値としてプロットしており、それら各座標値の回帰式を直線で示している。決定係数R2は0.6876となった。図10から、実施例の予測値が比較例の実測値よりも過大になる傾向はあるものの、実施例のIRI(mm/m)の値は、比較例のIRI(mm/m)の値にほぼ一致しており、正確に路面評価値としてのIRIを計測できることがわかる。
【0061】
図11は、評価長Lを200mとして、舗装道路上の所定の区間KPにおいて、評価長L(200m)毎にIRI(mm/m)を測定した結果を示す。図11は、実施例(横軸に予測値として示す)と比較例(縦軸に実測値として示す)とを対比して示す。
【0062】
図11には、14kmの区間において測定した70個のIRI(mm/m)を各座標値としてプロットしており、それら各座標値の回帰式を直線で示している。決定係数R2は0.5206となった。図11から、実施例のIRI(mm/m)の値が過大になることなく実施例のIRI(mm/m)の値は、比較例のIRI(mm/m)の値に一致していることがわかる。実施例のIRI(mm/m)の値と、比較例のIRI(mm/m)の値との間に相関があり、実施例によって正確に路面評価値としてのIRIを計測できることがわかる。
【0063】
図12は、評価長Lを10mとして、舗装道路上の所定の区間KPにおいて、評価長L(10m)毎にIRI(mm/m)を測定した結果を示す。ただし、IRI(mm/m)の値は、測定地点前後100mの移動平均値を用いている。図12は、実施例(横軸に予測値として示す)と比較例(縦軸に実測値として示す)とを対比して示す。
【0064】
図12には、14kmの区間において測定した1400個のIRI(mm/m)を各座標値としてプロットしており、それら各座標値の回帰式を直線で示している。決定係数R2は0.8998となった。図12から、実施例のIRI(mm/m)の値が過大になることなく実施例のIRI(mm/m)の値は、比較例のIRI(mm/m)の値に一致していることがわかる。実施例のIRI(mm/m)の値と、比較例のIRI(mm/m)の値との間に高い相関があり、実施例によって正確に路面評価値としてのIRIを計測できることがわかる。
【0065】
実施態様では、路面縦断方向形状データ取得専用の路面縦断形状測定機器を車両10に搭載することなく、路面横断方向高さ測定部11を用いて、路面縦断方向に係る路面評価値であるIRIを求めることができる。また任意の所望する路面横断方向位置に対応する路面縦断方向形状のIRIを求めることができる。
【0066】
実施態様では、路面縦断方向に係る路面評価値としてIRIを求めるようにしているが、路面縦断方向に係る路面評価値として、路面縦断方向形状の平坦性を求める実施形態も可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 車両
11 路面横断方向高さ測定部
12 走行位置測定部
31 路面横断方向高さデータ生成部
32 路面横断方向高さデータ補正部
33 路面縦断方向形状データ生成部
34 路面評価値計測部
39 制御部
100 路面評価装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12