(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】ロボットグリッパー指
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20221121BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018180930
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2020-09-11
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518102470
【氏名又は名称】トヨタ リサーチ インスティテュート,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アマカー
(72)【発明者】
【氏名】アルシャン ポールソヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ヤオ
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-056595(JP,A)
【文献】特開2010-221359(JP,A)
【文献】実開平05-060792(JP,U)
【文献】特公昭47-027671(JP,B1)
【文献】特開2005-257343(JP,A)
【文献】特開2006-079157(JP,A)
【文献】特開2009-274204(JP,A)
【文献】特開2013-248729(JP,A)
【文献】特開2016-203264(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014221294(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00-19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物係合面を画定する第1指と、
前記第1指の前記第1対象物係合面から外側に面している少なくとも1つの第1センサであって、前記第1指により操作される対象物を検出するように構成されている少なくとも1つの第1センサと、
半透明または透明であり、前記第1指の前記少なくとも1つの第1センサにかぶせられたカバーリング材と、
を備え、
前記カバーリング材は2つの隆起部と1つの窪みとを画定し、前記2つの隆起部は前記窪みを挟んで両側に位置し、前記少なくとも1つの第1センサは前記窪みに沿って設けられている、グリッパーアセンブリ。
【請求項2】
第2対象物係合面を画定する第2指であって、前記第1指の前記第1対象物係合面が前記第2指の前記第2対象物係合面と対向している、第2指と、
前記第1指と通信している少なくとも1つのアクチュエータであって、前記第2指に対して前記第1指を相対的に動かすように構成されている少なくとも1つのアクチュエータと、
をさらに備える、請求項1に記載のグリッパーアセンブリ。
【請求項3】
前記第2指の前記第2対象物係合面から外側に面している少なくとも1つの第2センサをさらに備え、前記少なくとも1つの第2センサは、前記第2指に対して前記第1指を相対的に動かすことで操作される対象物を検出するように構成されている、請求項2に記載のグリッパーアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1センサは、前記第1指の前記第1対象物係合面から外側に面している複数の第1センサを備え、前記複数の第1センサは各々、近距離センサである、請求項1から3の何れか一項に記載のグリッパーアセンブリ。
【請求項5】
少なくとも1つの長距離センサをさらに備え、前記第1指は基端部と末端部とを備え、前記少なくとも1つの長距離センサは前記第1指の前記末端部に設けられている、請求項1から4の何れか一項に記載のグリッパーアセンブリ。
【請求項6】
前記第1指は、
保持ブラケットと、
前記第1指及び前記保持ブラケットと連結した少なくとも1つの付勢部材であって、前記第1指は前記保持ブラケットと係合するように付勢されており、前記第1指が前記保持ブラケットから離れる方向に引かれると、前記第1指は前記保持ブラケットから離れる方向に移動可能である、少なくとも1つの付勢部材と、
前記保持ブラケットに対する前記第1指の位置を示す信号を出力するように構成されたセンサと、
をさらに備える、請求項1から5の何れか一項に記載のグリッパーアセンブリ。
【請求項7】
1つ以上のプロセッサと、
前記センサ及び前記1つ以上のプロセッサと通信可能に連結され、機械可読命令を保存する1つ以上の非一時的メモリモジュールと、をさらに備え、
前記機械可読命令は、実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、少なくとも
前記センサにより生成された前記信号を監視し、
前記
第1指が引かれて伸長位置にある場合、前記センサにより生成された前記信号に基づき、前記
第1指が前記保持ブラケットから離れる方向に引かれたと判断することを実行させる、請求項
6に記載のグリッパーアセンブリ。
【請求項8】
第2指を
更に含み、前記第1指は、対象物を把持するため前記第2指に対して相対的に移動可能であり、前記機械可読命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに対し、
前記
第1指が前記伸長位置にあるという判断に応じて、前記第1指と前記第2指の間に把持されている前記対象物を解放させる、請求項
7に記載のグリッパーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年9月26日に出願された米国仮特許出願第62/563459号明細書の利益を主張するものであり、その内容を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概してロボットグリッパー指に関する。本開示は、特に、第2指に対して相対的に移動可能な第1指と、グリッパーアセンブリに操作される対象物を検出するように構成された少なくとも1つのセンサとを備えたグリッパーアセンブリに関する。また、各実施形態は、付勢部材により保持ブラケットに連結された指に関する。
【背景技術】
【0003】
ロボットは、指を備えたグリッパー等のエンドエフェクタを利用することにより、動作環境において対象物を把持し操作することができる。このようなグリッパーを使用すると、動作環境において様々な対象物の運搬、組立、その他の取扱いができる。例えば、エンドエフェクタを利用したロボットを、塗装、溶接、組立等の工程に使用できる。ロボットのグリッパーは、対象物を押しつぶすなどして変形させることなく、対象物をしっかりと把持する必要がある。ロボットは、任意の数のアプローチによりエンドエフェクタを操作することができる。例えば、従来の一部のロボットは、人間である作業者にエンドエフェクタの観察及び制御を要求する場合がある。別の方法として、カメラ等のセンサを用いて、ロボットのエンドエフェクタを表す画像を撮影する場合もある。ロボットは、カメラが撮影した画像の解析に基づいて対象物を把持する適切な力及び位置を決定するため、1つ以上のコンピュータを備える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、グリッパーアセンブリは、第1対象物係合面を画定する第1指と、第2対象物係合面を画定する第2指とを備える。第1指の第1対象物係合面は、第2指の第2対象物係合面と対向する。グリッパーアセンブリは、第1指と通信している少なくとも1つのアクチュエータであって、第2指に対して第1指を相対的に動かすように構成されたアクチュエータも備える。グリッパーアセンブリは、第1指の第1対象物係合面から外側に面している少なくとも1つの第1センサを備える。当該少なくとも1つの第1センサは、第2指に対して第1指を相対的に動かすことにより操作される対象物を検出するように構成されている。
【0005】
別の実施形態では、グリッパーアセンブリは、少なくとも1つの指と、保持ブラケットと、当該少なくとも1つの指及び保持ブラケットと連結した少なくとも1つの付勢部材と、センサとを備える。当該少なくとも1つの指は、保持ブラケットと係合するように付勢されており、保持ブラケットから離れる方向に当該少なくとも1つの指が引かれると、保持ブラケットから離れる方向に移動できる。上記センサは、保持ブラケットに対する当該少なくとも1つの指の相対位置を示す信号を出力するように構成されている。
【0006】
図面と併せて下記の詳細説明を参照すれば、本明細書に記載の実施形態が提供する上記特徴及び追加の特徴がより充分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面において説明する実施形態は説明のための例示的なものであり、請求項で定義される主題を限定することを意図していない。説明のための実施形態に関する下記詳細説明は、下記図面と併せて読むことで理解することができる。なお、下記図面において、同様の構造は同様の参照番号で示されている。
【
図1A】
図1Aは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指の模式的正面図である。
【
図1B】
図1Bは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指の斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指の模式的背面図である。
【
図2B】
図2Bは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指の背面図である。
【
図2C】
図2Cは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、ワイパー保持凹部に保持されたワイパーを備えたロボットグリッパー指の背面図である。
【
図3A】
図3Aは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指及びスクレーパーの模式的上面図である。
【
図3B】
図3Bは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、カバーリング材に覆われたロボットグリッパー指の斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指の上面図である。
【
図3D】
図3Dは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットグリッパー指及びスクレーパーの斜視図である。
【
図4】
図4は、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットの構成要素を模式的に示した図である。
【
図5】
図5は、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係るロボットの構成要素を示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、ロボットアームに連結されたグリッパーアセンブリの互いに対向する指を示した図である。
【
図7A】
図7Aは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、後退位置にあるロボットグリッパー指を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、伸長位置にあるロボットグリッパー指を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る指の分解斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、
図8Aに示す指と対向する指の斜視図である。
【
図8C】
図8Cは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、
図8Aに示す指が組み立てられた状態を示す図である。
【
図8D】
図8Dは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、
図8Bに示す指が組み立てられた状態を示す図である。
【
図8E】
図8Eは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、
図8Cに示す指の一部分が指係合ブラケットと係合している状態を示す斜視図である。
【
図8F】
図8Fは、本明細書に示し記載する1つ以上の実施形態に係る、
図8Dに示す指が指係合ブラケットと係合している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態は、ロボットグリッパーの指に関する。より具体的には、本開示は、第1指と、第1指に対向する第2指と、を備えたグリッパーアセンブリに関するものである。第1指は第1対象物係合面を画定し、第2指は第2対象物係合面を画定し、第1対象物係合面と第2対象物係合面は互いに対向している。第1指が第2指に対して相対的に動くことにより、第1指と第2指の間で対象物を把持することができる。
【0009】
一実施形態では、第1指は、第1対象物係合面から外側に面する少なくとも1つのセンサを備え、このセンサは、第1指が第2指に対して相対的に動くことにより操作される対象物を検出するように構成されている。具体的には、第1指は、グリッパーアセンブリが把持する対象物を検出するための、1つ以上の近距離センサ及び/又は1つ以上の遠距離センサを備えてよい。本開示の一実施形態では、これらの指がカバーリング材を備えてもよい。このカバーリング材は、実質的に透明で、センサにかぶせて設置されてよく、対象物を把持しやすくすると共にセンサを保護する働きをする。
【0010】
本開示の別の一実施形態では、保持ブラケットに対する指の相対位置をロボットが判断する。より具体的には、ロボットは、ポテンショメータ等のセンサが生成する信号出力を基に、指が引かれたと判断することができる。指が引かれたという判断に応じて、ロボットは、その指が把持している対象物を解放することができる。対象物を解放する旨を記載しているが、本開示が、対象物を解放するロボットに限定されないことを認識するべきである。例えばロボットは、指が引かれたという判断に応じて、触覚や光を出力してもよい。本開示の一実施形態では、グリッパーアセンブリは、少なくとも1本の指と、保持ブラケットと、当該少なくとも1本の指及び保持ブラケットと連結した少なくとも1つの付勢部材と、センサとを備える。この指は、保持ブラケットと係合するように付勢されており、保持ブラケットから離れる方向に指が引かれると、保持ブラケットから離れる方向に移動できる。センサは、保持ブラケットに対する指の相対位置を示す信号を出力するように構成されている。
【0011】
まず
図1A、1Bを参照すると、ロボットのグリッパーアセンブリ(例えば、
図6に示すようにロボットアームに連結されたグリッパーアセンブリ)の部品として使われる指100と、指保持ブラケット170とが模式的に図示されている。指保持ブラケット170は、指100を保持しロボットアームと連結されるように構成されており、これにより、
図6に示すように、指100がロボットアームに連結されるようになる。
図1A、1Bを参照すると、指保持ブラケット170は、底部172と、第1側面部174aと、第2側面部174bとを備える。底部172は、第1側面部174aと第2側面部174bとの間に伸びている。第1側面部174aは、第1バネ係合部176aを備え、第1バネ係合部176aは、第1付勢部材すなわちバネ180aと係合してバネ180aを保持するように構成されており、バネ180aは指100を指保持ブラケット170に連結させている。これにより、(例えば
図7Aに示すように)指100は指保持ブラケット170と係合するように付勢されるが、指100は、指保持ブラケット170から離れる方向に引かれると、(例えば
図7Bに示すように)指保持ブラケット170から遠ざかるように移動できる。
図1A、1Bを参照すると、第2側面部174bは、第2バネ係合部176bを備え、第2バネ係合部176bは、第2バネ180bと係合して第2バネ180bを保持するように構成されており、第2バネ180bは指100を指保持ブラケット170に連結させている。これにより、(例えば
図7Aに示すように)指100は指保持ブラケット170と係合するように付勢されるが、指100は、指保持ブラケット170から離れる方向に引かれると、(例えば
図7Bに示すように)指保持ブラケット170から遠ざかるように移動できる。
【0012】
再び
図1A、1Bを参照すると、指100は、基端部102と末端部104とを備える。指100がグリッパーアセンブリの一部としてロボットアームに設置されている(例えば
図6、7A、7Bに示す状態)のとき、基端部102は末端部104よりロボットアームに近い位置にある。
図1A、1Bを参照すると、指100はさらに、指100と係合する対象物に面するように構成された対象物係合面110と、センサアセンブリ130と、第1側面140aと、第2側面140bとを備える。
【0013】
引き続き
図1A、1Bを参照すると、センサアセンブリ130は、フレキシブルプリント基板132と、第1近距離センサ134aと、第2近距離センサ134bと、第3近距離センサ134cと、長距離センサ136とを備える。フレキシブルプリント基板132は、対象物係合面110の中央経路に沿って指100の基端部102から末端部104へと伸び、指100の上面の中央経路に沿って伸び(
図3Aを参照)、さらに指100の裏側120の中央経路に沿って伸びている(
図2A~2Cを参照)。いくつかの実施形態では、フレキシブルプリント基板132の配置は上記と異なる。例えば、対象物係合面110の中心からずれた位置にフレキシブルプリント基板132を配置する実施形態もあれば、フレキシブルプリント基板132が、必ずしも対象物係合面110、指100の上面、及び指100の裏側120の3つすべてに沿って伸びていない実施形態もある。
【0014】
再び
図1A、1Bを参照すると、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cの各々は、近距離又は低深度(例えば、いくつかの実施形態ではセンサから約1~3cm)の対象物を検出するように構成されている。いつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cは、同一深度にある対象物を検出するように構成されている。いくつか別の実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの少なくとも1つは、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの当該少なくとも1つ以外の少なくとも1つとは異なる深度にある対象物を検出するように構成されている。一実施形態では、第1近距離センサ134aは、第1深度にある対象物を検出するように構成され、残りのセンサのうち少なくとも1つ(すなわち、第2近距離センサ134bと第3近距離センサ134cの一方又は両方)は、第2深度にある対象物を検出するように構成されている。この場合、第1近距離センサ134aが測定する第1深度は、第2近距離センサ134bと第3近距離センサ134cの一方又は両方が測定する第2深度よりも大きいか又は小さい。
【0015】
第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cは、フレキシブルプリント基板132上に配置され、指保持ブラケット170の底部172から次第に離れる位置に対象物係合面110から外側に面して配置されている。これにより、第1近距離センサ134aは底部172から離れた第1の距離に位置し、第2近距離センサ134bは底部172から離れた第2の距離(第1の距離より長い距離)に位置し、第3近距離センサ134bは底部172から離れた第3の距離(第2の距離より長い距離)に位置するようになっている。いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの1つ以上は、(例えば、指100でこれから把持する対象物を検出しやすくする目的で)対象物係合面110と直交する方向を向いている。いくつか別の実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの1つ以上は、(例えば、対象物係合面110の最も近くに位置する対向指と、対象物の把持に使われる対向指と指100との間にある対象物とを区別する目的で)対象物係合面110と直交しない方向を向くように構成されている。いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの1つ以上は、フレキシブルプリント基板132上に配置されていなくてもよい。例えば、ある実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの1つ以上は、対象物係合面110又は同種のものと一体化して形成されている。
【0016】
引き続き
図1A、1Bのセンサアセンブリ130を参照すると、いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134aと第2近距離センサ134bとの間の距離、及び第2近距離センサ134bと第3近距離センサ134cとの間の距離は、実質的に同一であり、よって第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cは等間隔に配置されている。いくつか別の実施形態では、第1近距離センサ134aと第2近距離センサ134bとの間の距離は、第2近距離センサ134bと第3近距離センサ134cとの間の距離より大きいか又は小さい。よって第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cの間の間隔は不均一である。
図1A、1Bに図示する実施形態では、3つの近距離センサを備えているが、別の実施形態では、近距離センサの数は3を超えていても3未満でもよい。
【0017】
図1A、1Bをさらに参照すると、いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cの各々は、赤外線発光部と赤外線検出部とを備える。いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの1つ以上は、赤外線カメラ、可視光カメラ、紫外線カメラ、超音波振動子、レーダー、LIDAR、又は対象物を検出するなどして感知できる他のセンサを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cは、実質的に同一の感知構成要素を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、及び第3近距離センサ134cのうちの1つ以上は、互いに異なる感知構成要素を備えていてもよい。
【0018】
図1A、1B、2A、2Bを参照すると、長距離センサ136は指100の末端部104に設けられている。より具体的には、これらの図に示す実施形態において、長距離センサ136は指100の上部に設けられている。長距離センサ136は、長距離又は高深度(例えば、近距離センサのうちの1つ以上が感知するように構成されている距離又は深度より大きな距離又は深度、例えばいくつかの実施形態では、センサからの距離が約1~3cmを超える距離)にある対象物を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、長距離センサ136は飛行時間型センサを備える。いくつかの実施形態では、長距離センサ136は、レーザー発光部と、これに対応するセンサであって、レーザー発光部から発せられたレーザー光が当該センサで検出されるまでの時間を検出するセンサと、を備える。いくつかの実施形態では、この長距離センサは、カメラ、超音波振動子、レーダー、LIDAR、又は同種のものを備えてよい。いくつかの実施形態では、長距離センサ136は他の構成要素を備えてよい。いくつかの実施形態では、指100は複数の長距離センサ136を備えてよい。いくつかの実施形態では、長距離センサ136を、図示とは異なる場所に配置してよい。
【0019】
図1Aを参照すると、第1側面140aは、第1バネ係合部142aを備え、第1バネ係合部142aは、第1バネ180aと係合して第1バネ180aを保持するように構成されており、第1バネ180aは、指100を指保持ブラケット170の第1側面部174aの第1バネ係合部176aに連結させている。これにより、指100は指保持ブラケット170と係合するように付勢されるが、指100は、指保持ブラケット170から離れる方向に引かれると、指保持ブラケット170から遠ざかるように移動できる。第2側面140bは、第2バネ係合部142bを備え、第2バネ係合部142bは、第2バネ180bと係合して第2バネ180bを保持するように構成されており、第2バネ180bは、指100を指保持ブラケット170の第2側面部174bの第2バネ係合部176bに連結させている。これにより、指100は指保持ブラケット170と係合するように付勢されるが、指100は、指保持ブラケット170から離れる方向に引かれると、指保持ブラケット170から遠ざかるように移動できる。いくつかの実施形態では、指保持ブラケット170が上記と異なる方法で指100と連結されてよい。例えば、バネ以外の付勢部材を介して連結されてもよく、指100は指保持ブラケット170に対して相対的に移動可能であるが指保持ブラケット170に対して付勢はされない構成で連結されてもよい。
【0020】
次に
図2A~2Cを参照すると、指100の背面が図示されている。指100は背面120を有し、この背面は、ワイパー154を保持するためのワイパー保持凹部122を備える。指100が指保持ブラケット170から遠ざかるように引かれると(例えば
図7Bに示す状態になると)、ワイパー154は、ポテンショメータ152に対して相対的に移動する(
図7A、7Bを参照)。指100が指保持ブラケット170に対して相対的に移動するとき、ポテンショメータ152は固定位置に残る(例えば、ポテンショメータ152が指保持ブラケット170やロボットアーム又は同種のものに連結されている場合)。また、ポテンショメータ152は信号を出力するように構成されており、この信号の値は、ポテンショメータ152に対するワイパー154の相対位置に応じて異なる。いくつかの実施形態では、指100の位置、及び/又は指100が指保持ブラケット170から遠ざかるように引かれたどうかを、別の方法で判断してよい。例えば、カメラからの出力信号に基づいて判断したり、LVDT又は同種のものからの出力信号に基づいて判断してもよい。いくつかの実施形態では、ワイパー154は金属製である。
【0021】
次に、カバーリング材300を備えた指について、
図3A~3Dを参照しながら説明する。
図3Aを参照すると、指100及びスクレーパー400の上面図が模式的に示されている。指100は、長距離センサ136の連結先である上部124を備える。長距離センサ136は上部124の中心に位置しているが、いくつか別の実施形態では、長距離センサ136は上部124の中心から外れた場所、又は上部124以外の場所に位置している(例えば、長距離センサ136は、対象物係合面に配置され、対象物係合面から見て外側に面している場合もある)。
【0022】
図3A(上面図)、
図3B(対象物係合面を示す斜視図)、及び
図3C(上面斜視図)を参照すると、カバーリング材300は、対象物係合面110に設けられたセンサアセンブリ130の少なくとも一部分を覆うように対象物係合面110にかぶされている。カバーリング材300を設けることにより、対象物係合面110に設置されたセンサに、操作対象の対象物が直接接することに関連する問題を軽減できる。
【0023】
図3A~3Cを参照すると、カバーリング材300は、窪み314を挟んで両側に配置された第1隆起部312aと第2隆起部312bを備える輪郭を有する。このため、第1隆起部312aにおけるカバーリング材300の厚さd2は、窪み314におけるカバーリング材300の厚さd1より大きく、第2隆起部312bにおけるカバーリング材300の厚さd3は、窪み314におけるカバーリング材300の厚さd1より大きい。いくつかの実施形態では、厚さd1と厚さd2とは実質的に同じであるため、対象物係合面110から伸びる量は、第1隆起部312aと第2隆起部312bとで実質的に同じである。いくつか別の実施形態では、厚さd1と厚さd2は異なる。第1隆起部312a、窪み314、及び第2隆起部312bを備えたカバーリング材300は、カバーリング材300に覆われたセンサアセンブリ130の各センサ134a、134b、134c、136を同時に保護することができ、対象物との望ましい接触点となる第1隆起部312aと第2隆起部312bとを用いることにより、対象物の把持、移動、及び/又は操作を容易にすることができる。図示されているカバーリング材300の輪郭は、グリッパーの中心に向けて下方に伸びる窪みを備え、両側には充分な基部を有する。これにより、カバーリング材300で覆われたセンサを有効な状態に保ちながら、対象物が対象物係合面110の端に直接接するのを防止することができる。いくつかの実施形態では、カバーリング材300は、図示の輪郭とは異なる輪郭を有する。例えば、カバーリング材300が2つ以上の隆起部を有する実施形態や、カバーリング材300の厚さが断面全体を通じて実質的に同じである実施形態などがある。
【0024】
いくつかの実施形態では、カバーリング材300は無色透明のシリコーンシール材(例えば、CRローレンス社(CR Laurence, Inc.)が提供するカタログ番号WCS5のウォータークリア・シリコーン・シーラント(water clear silicone sealant)である。このシール材は、対象物を効果的に把持するための適切な質感を有するだけでなく、実質的に透明であり得るため、カバーリング材300に覆われたセンサ群が適切に動作できる。いくつかの実施形態では、カバーリング材300は、シリコーン以外の材料で形成されていてもよい。例えば、シリコーンとは異なる実質的に透明若しくは半透明の物質でカバーリング材300が形成されている場合、及び/又は、対象物を把持し操作するのに望ましい質感を有する、シリコーンとは異なる材料でカバーリング材300が形成されている場合がある。いくつかの実施形態では、カバーリング材300が含まれなくてもよい。例えば、対象物係合面110上に配置されたセンサが対象物係合面110に一体的に形成されている実施形態などである。
【0025】
図3Aには、カバーリング材300の輪郭と相補的な(complimentary)輪郭を有するスクレーパー400も図示されている。特に、スクレーパー400は、第1窪み412aと第2窪み412bとの間に隆起部414を備える。
図3Aに示す輪郭を有するカバーリング材300を形成する目的で、厚みのあるシリコーン膜を対象物係合面110に塗布してから、対象物係合面110にスクレーパー400を押し当て、対象物係合面110に沿って引きずることにより、余分なカバーリング材をかき落として、
図3A~3Cに示す輪郭を有するカバーリング材300を残すことができる。
図3Dに、スクレーパー400及び対象物係合面110の斜視図を示す(カバーリング材300の図示は省略)。図示されている輪郭を持つカバーリング材300を形成するには、
図3Dのスクレーパー400を対象物係合面110に沿って上下に平行移動させることになる。スクレーパー400を形成する材料として、プラスチック材料、金属材料、複合材料、又は、カバーリング材300を適切な輪郭に形成する上で効果的な他の任意の材料を用いてよい。
【0026】
図4を参照すると、ロボットの各種構成要素の相互接続が模式的に図示されている。
図4に示す第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、第3近距離センサ134c、長距離センサ136、ポテンショメータ152、プロセッサ162、メモリモジュール164、及びアクチュエータ駆動ハードウェア166はすべて、通信経路161を介して通信可能に連結している。
【0027】
さらに
図4において、通信経路161は、導電ワイヤ、導電トレース、光導波路、又は同種のもののような、信号を送信できる任意の媒体で形成されてよい。さらに、通信経路161は、信号を送信できる複数の媒体の組み合わせで形成されていてもよい。一実施形態では、通信経路161は、導電トレース、導電ワイヤ、コネクタ、及びバスの組み合わせを備え、これらが協業して、電気データ信号をプロセッサ、メモリ、センサ、入力装置、出力装置、通信装置等の構成要素に送信することを可能にする。したがって、通信経路161にバスが含まれていてよい。加えて、「信号」という用語は波形(例えば、電気波形、光波形、磁気波形、力学的波形、電磁波波形)を意味することに留意される。具体的には、媒体を通じて伝達可能なDC、AC、正弦波、三角波、方形波、振動、及び同種のものを意味する。通信経路161は、ロボットの各種構成要素を通信可能に連結する。本明細書で使用する用語「通信可能に連結」とは、例えば、導電媒体を経由する電気信号、空気を経由する電磁信号、光導波路を経由する光信号など、連結された構成要素間でデータ信号を交換できることを意味する。
【0028】
プロセッサ162は、機械可読命令を実行可能な任意のデバイスであってよい。したがって、プロセッサ162は、コントローラ、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、又は他の任意のコンピューティングデバイスであってよい。プロセッサ162は、通信経路161によりロボットの他の構成要素と通信可能に連結されている。したがって、通信経路161は、任意の数のプロセッサを互いに通信可能に連結して、通信経路161に連結した各構成要素を分散コンピューティング環境において動作させてよい。具体的には、構成要素の各々がノードとして動作しデータの送信及び/又は受信を行ってよい。
図4に示す実施形態は単一のプロセッサ162を含むが、他の実施形態では複数のプロセッサを含んでよい。
【0029】
さらに
図4を参照すると、メモリモジュール164が通信経路161に連結して、プロセッサ162と通信可能に連結している。メモリモジュール164は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、又は機械可読命令を保存可能な任意の非一時的記憶装置を備えてよい。これにより、プロセッサ162は、機械可読命令にアクセスして機械可読命令を実行することができる。機械可読命令には、任意の世代のプログラミング言語(例えば1GL、2GL、3GL、4GL、5GL)で書かれたロジック又はアルゴリズムが含まれていてよく、その例として、プロセッサが直接実行できる機械言語、又は、機械可読命令へとコンパイル又はアセンブルされてメモリモジュール164に保存可能なアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコード等が挙げられる。あるいは、機械可読命令はハードウェア記述言語(HDL)で書かれていてもよく、その例として、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)構成、若しくは特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれらの均等物を介して実装されるロジックが挙げられる。したがって、本明細書に記載の機能性は、従来の任意のコンピュータプログラミング言語を用いて実装でき、あらかじめプログラムされたハードウェア要素としても、又はハードウェア要素とソフトウェア要素の組み合わせとしても実装できる。
図4に示す実施形態は単一のメモリモジュール164を含むが、他の実施形態では複数のメモリモジュールを含んでよい。
【0030】
ポテンショメータ152は、指100の相対位置を判断できるようにするため、指100のワイパー154(
図2A参照)の相対位置に応じた信号を出力する。
【0031】
アクチュエータ駆動ハードウェア166は、指100を動かす(例えば、対象物の把持、ピックアップ等の操作を行うため、別の指に対して指100を相対的に動かす(
図6参照))ように構成された1つ以上の構成要素(サーボ駆動ハードウェア等)を備える。なお、アクチュエータ駆動ハードウェア166は、ロボットの各種アクチュエータを制御するための関連のソフトウェアを備えていてもよい。
【0032】
第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、第3近距離センサ134c、及び長距離センサ136からの出力信号を使用して、標的対象物の探知、識別、追跡といった様々な目的を達成できる。いくつかの実施形態では、メモリモジュール164には機械可読命令が含まれる。この機械可読命令をプロセッサ162が実行すると、ロボットは、第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、第3近距離センサ134c、及び長距離センサ136から出力される1つ以上の信号に基づき、持上げ、操作、又は把持すべき対象物を識別する、指100に最も近くにある対象物を感知する、指100の周囲環境を検出する、対象物をロボットで持上げ又は把持できるかどうかを判断する、といった作業をする。いくつかの実施形態では、ロボットは、対象物の識別情報、対象物の場所、ロボットが対象物の持上げ及び操作を実行できるという事実、又は同種の情報を、ディスプレイ画面、触覚ハードウェア、スピーカー、又は同種のものを介して示すなどして出力することができる。上記センサは、指100に連結されて指100と一緒に動くので、固定位置に配置された(例えば、ロボットの「目」などの働きをする場所に配置された)カメラ又は他のセンサとは対照的に、対象物の周囲を移動し対象物に対して相対的に移動することができる。このようなセンサを提供することにより、対象物の検出、識別等が向上し得る。また、このようなセンサを設けることにより、指と指の間にある対象物の認識もしやすくなり(例えば、指と指の間にある対象物を把持し操作する目的で、2本の対向する指100がロボットアームに連結されている場合)、その結果、ロボットは、指と指の間に位置する対象物を認識でき、人間からロボットに対象物が手渡されたとき、さらなる入力やプロンプトを受けることなく当該対象物を把持することができる。
【0033】
図5は、ポテンショメータ152、ワイパー154、第1バネ180a、第2バネ180b、及びフレキシブルプリント基板132に連結された第1近距離センサ134a、第2近距離センサ134b、第3近距離センサ134c、長距離センサ136の一例を示す図である。
【0034】
図6は、ロボットアーム500のグリッパーアセンブリの一構成要素として設置されている指100を示す図である。
図6に示すグリッパーアセンブリは、指100と、対向指450とを備える。
図6に示すように、対向指450は、表面に質感を持たせたブロックであってよい。具体的には、一実施形態における対向指450は、質感を持った1つ以上の外面502を備えてよい。一実施形態では、対向指450は、指100の対象物係合面110と対向する質感を持った表面(
図6では図示せず)を備えてよい。すなわち、グリッパーアセンブリは、第1対象物係合面を画定する第1指(例えば指100)と、第2対象物係合面を画定する第2指(例えば、対向指450と、
図6では非図示の質感を持った表面)とを備え、第1指の第1対象物係合面は第2指の第2対象物係合面と対向している。少なくとも1つのアクチュエータが第1指と通信しており、このアクチュエータは、第2指に対して第1指を相対的に動かすように構成されている。また、このアクチュエータは、
図4に示すアクチュエータ駆動ハードウェア166の一部分であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、2本の対向する指100がロボットアーム500に設置されて、一緒になってグリッパーアセンブリとして機能するようにするため、対向指の構成が指100と同じであってよい。すなわち、第1指と第2指の両方が同様の構成を有する。より具体的には、第1指と第2指の両方が、それぞれ、近距離センサ群(例えば、
図1A、1Bに示すセンサ134a、134b、134c)と、1つ以上の長距離センサ(例えば、
図1A、1Bに示すセンサ136)とを備える。
【0036】
図7A、7Bと
図4を併せて参照すると、メモリモジュール164は機械可読命令を備え、この機械可読命令をプロセッサ162が実行すると、ロボットは、ポテンショメータ152から出力される信号に基づき、指100の位置(例えば、指保持ブラケット170に対する相対位置、ロボットアームに対する相対位置など)を特定し、かつ/又は、指100が引かれたと判断する。なお、ポテンショメータから出力される信号の値は、ポテンショメータ152に対するスライダーの位置(
図2Cを参照)に応じて変化する。例えば、
図7Aに示すように、ロボットは、ポテンショメータ152の出力に基づき、指100が後退位置にある(例えば、指100が伸長位置にあるときと比べて指保持ブラケット170に近い位置にある)と判断できる。他方、
図7Bに示すように、ロボットは、指100がロボットアームから引っ張られたことにより生じたポテンショメータ152の出力に基づき、指100が伸長位置にある(例えば、指100が後退位置にあるときと比べて指保持ブラケット170から遠い位置にある)と判断できる。
【0037】
メモリモジュール164は機械可読命令を備える。この機械可読命令をプロセッサ162が実行すると、ロボットは、ポテンショメータ152からの出力信号を基に、指100が引かれたと判断し、指100が引かれたという判断に応じて、ロボットのグリッパーを広げて対象物を落下又は解放させる(例えば、対象物を落下又は解放させるため、アクチュエータ駆動ハードウェア166を利用して、ロボットアームの端部に設置された互いに対向する指100を動かす)。すなわち、指100が伸長位置にあるという判断に応じて、指100と別の指(例えば、
図6に示す指450)の間で把持されていた対象物が解放される。指100の位置を示すポテンショメータ152の出力を用いて、ロボットの他の動作(例えば、特定場所への移動、特定動作の遂行、触覚の出力、光の出力、音の出力等)を開始させ、かつ/又はロボットに入力情報(例えば、特定動作を遂行するための入力情報、電源をオン/オフするための入力情報等)を提供してもよい。
【0038】
図8Aは、第1指100aの分解図である。
図8Bは、対向する第2指100bを示す図である。
図8Aを参照すると、第1指100aは、第1本体部品101aと第2本体部品103aとを備え、第1指保持ブラケット170aで保持されるように構成されている。
図8Bを参照すると、第2指100bは、第1本体部品101bと第2本体部品103bとを備え、第2指保持ブラケット170bで保持されるように構成されている。
【0039】
図8Cは、第1指100aに含まれる第1本体部品101aと第2本体部品103bとが一緒になった状態を示す図である。
図8Dは、第2指100bに含まれる第1本体部品101bと第2本体部品103bとが一緒になった状態を示す図である。
図8Eは、第2指の第1本体部品101bが第2指保持ブラケット170bに連結された状態を示す図である。
図8Fは、一緒になった第1本体部品101bと第2本体部品103bとが第2指保持ブラケット170bに連結された状態を示す図である。
【0040】
ここで理解すべきことは、上記で開示したロボットグリッパーアセンブリが、このロボットグリッパーアセンブリの一方の指と一緒に動くように構成された少なくとも1つのセンサを備えることである。上記で開示したグリッパーアセンブリは、向かい合う2本の指を備える。グリッパーアセンブリの少なくとも一方の指は、グリッパーアセンブリが把持する対象物を検出するように構成された近距離センサ又は遠距離センサを備える。より具体的には、このセンサは、それぞれの指の対象物係合面に沿って配置されている。したがって、グリッパーが操作されるのと同時にセンサが各指と一緒に移動でき、その結果、対象物の検出、対象物の認識といった作業を向上することができる。対照的に、従来の一部のロボットグリッパーシステムは、ロボットの指が把持する対象物を見る手段として、固定位置に配置されたカメラ又は他のセンサを備える。
【0041】
開示したロボットグリッパーアセンブリの一実施形態では、指のうちの少なくとも1本が保持ブラケットに連結されてよい。この指は、保持ブラケットを基部として伸長位置と後退位置の間を移動できる。この指が保持ブラケットから離れる方向に引かれて伸長位置へと移動したとロボットが判断した場合、ロボットは、この判断に応じて、グリッパー又は他の構成要素に対して特定の動作を開始するように指示することができる。例えば一実施形態において、ロボットは、2本の指の間で把持している対象物を落下又は解放するようにグリッパーアセンブリに指示することができる。
【0042】
本明細書において特定の実施形態を図示し説明したが、請求項に記載されている主題の精神と範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を加えてよいことを理解すべきである。また、請求項に記載されている主題の様々な態様を本明細書で説明したが、これらの態様を組み合わせて利用する必要はない。すなわち、添付の請求項は、請求項に記載されている主題の範囲内にある上記変更及び修正をすべて含むことが意図されている。
【0043】
例1
第1対象物係合面を画定する第1指と、
第2対象物係合面を画定する第2指であって、第1指の第1対象物係合面が第2指の第2対象物係合面と対向している、第2指と、
第1指と通信しているアクチュエータであって、第2指に対して第1指を相対的に動かすように構成されている少なくとも1つのアクチュエータと、
第1指の第1対象物係合面から外側に面している少なくとも1つの第1センサであって、第2指に対して第1指を相対的に動かすことで操作される対象物を検出するように構成されている少なくとも1つの第1センサと
を備えるグリッパーアセンブリ。
例2
第2指の第2対象物係合面から外側に面している少なくとも1つの第2センサであって、第2指に対して第1指を相対的に動かすことで操作される対象物を検出するように構成されている少なくとも1つの第2センサ
をさらに備える、例1に記載のグリッパーアセンブリ。
例3
上記少なくとも1つの第1センサと上記少なくとも1つの第2センサの両方が近距離センサである、例2に記載のグリッパーアセンブリ。
例4
上記少なくとも1つの第1センサは、第1指の第1対象物係合面から外側に面している複数の第1センサを備え、この複数の第1センサは各々、近距離センサである、例1に記載のグリッパーアセンブリ。
例5
上記複数の第1センサの各々は、同一深度にある対象物を検出するように構成されている、例4に記載のグリッパーアセンブリ。
例6
上記複数の第1センサのうちの1つは、第1深度にある対象物を検出するように構成され、上記複数の第1センサのうちの別の1つは、第2深度にある対象物を検出するように構成されており、第1深度は第2深度よりも大きいか又は小さい、例4に記載のグリッパーアセンブリ。
例7
上記複数のセンサは、第1対象物係合面と直交する方向、又は第1指の第1対象物係合面と直交しない方向を向いている、例4に記載のグリッパーアセンブリ。
例8
第1指は少なくとも1つの長距離センサをさらに備える、例1に記載のグリッパーアセンブリ。
例9
第1指は基端部と末端部とを備え、上記少なくとも1つの長距離センサは第1指の末端部に設けられている、例8に記載のグリッパーアセンブリ。
例10
実質的に透明であり、第1指の上記少なくとも1つの第1センサにかぶせられたカバーリング材をさらに備える、例1に記載のグリッパーアセンブリ。
例11
上記カバーリング材は、第1指の第1対象物係合面に沿って伸びる少なくとも1つの隆起部を画定する、例10に記載のグリッパーアセンブリ。
例12
上記カバーリング材は2つの隆起部と1つの窪みとを画定し、この2つの隆起部は窪みを挟んで両側に位置し、上記少なくとも1つの第1センサは窪みに沿って設けられている、例10に記載のグリッパーアセンブリ。
例13
第1指は、
保持ブラケットと、
第1指及び保持ブラケットと連結した少なくとも1つの付勢部材であって、第1指は保持ブラケットと係合するように付勢されており、第1指が保持ブラケットから離れる方向に引かれると、第1指は保持ブラケットから離れる方向に移動可能である、少なくとも1つの付勢部材と、
保持ブラケットに対する第1指の相対位置を示す信号を出力するように構成されたセンサと
をさらに備える、例1に記載のグリッパーアセンブリ。
例14
第2指は質感を持つ外面を画定するブロックである、例1に記載のグリッパーアセンブリ。
例15
少なくとも1つの指と、
保持ブラケットと、
上記少なくとも1つの指及び保持ブラケットと連結した少なくとも1つの付勢部材であって、上記少なくとも1つの指は保持ブラケットと係合するように付勢されており、当該少なくとも1つの指が保持ブラケットから離れる方向に引かれると、当該少なくとも1つの指は保持ブラケットから離れる方向に移動可能である、少なくとも1つの付勢部材と、
保持ブラケットに対する上記少なくとも1つの指の相対位置を示す信号を出力するように構成されたセンサと
を備えるグリッパーアセンブリ。
例16
1つ以上のプロセッサと、
上記センサ及び上記1つ以上のプロセッサと通信可能に連結され、機械可読命令を保存する1つ以上の非一時的メモリモジュールとをさらに備えるグリッパーアセンブリであって、
上記機械可読命令が実行されると、上記1つ以上のプロセッサが、少なくとも
上記センサにより生成された信号を監視することと、
少なくとも1つの指が引かれて伸長位置にある場合、上記センサにより生成された信号に基づき、当該少なくとも1つの指が保持ブラケットから離れる方向に引かれたと判断することと
を遂行する、例15に記載のグリッパーアセンブリ。
例17
上記少なくとも1つの指は、第1指と第2指を含み、第1指は、対象物を把持するため第2指に対して相対的に移動可能であり、上記機械可読命令はさらに、上記1つ以上のプロセッサに対し、
上記少なくとも1つの指が伸長位置にあるという判断に応じて、第1指と第2指の間に把持されている対象物を解放させる、
例16に記載のグリッパーアセンブリ。
例18
上記少なくとも1つの指は、上記少なくとも1つの指と係合することになる対象物に面するように構成された対象物係合面を画定する、例15に記載のグリッパーアセンブリ。
例19
第1の対象物係合面から外側に面する少なくとも1つの近距離センサをさらに備え、当該少なくとも1つの近距離センサは、上記少なくとも1つの指と係合する対象物を検出するように構成されている、例18に記載のグリッパーアセンブリ。
例20
上記少なくとも1つの指は少なくとも1つの長距離センサをさらに備える、例15に記載のグリッパーアセンブリ。