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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20221121BHJP
   E06B 9/80 20060101ALI20221121BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/80 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018183627
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020051177
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 巧
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299804(JP,A)
【文献】特開2011-214237(JP,A)
【文献】特開平7-324568(JP,A)
【文献】特表2004-507632(JP,A)
【文献】特開2002-194969(JP,A)
【文献】特開2001-303873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンと、
シャッターカーテンの幅方向両端部位をそれぞれ受け入れて案内する左右のガイドレールと、
シャッターカーテンを巻き取る巻取体と、
開閉機と、
前記巻取体、巻取体に巻き取られたシャッターカーテン、前記開閉機を収容するシャッターケースと、
を備え、
前記巻取体の駆動軸と前記開閉機の出力軸が伝動連結部を介して直線的に連結されており、
前記シャッターケースの幅方向一側部位は、開口幅を越えて外側に延びる延出部位であり、
前記開閉機及び前記伝動連結部は、開口部上方の外側に位置して前記延出部位内に収容されており、
前記延出部位の前面部及び下面部から側面視L形状に形成された部位が分割部として取り外し可能に構成されており、
前記延出部位内には、前記開閉機に近接して自動閉鎖装置が設けてあり、
前記自動閉鎖装置には、当該自動閉鎖装置を手動操作するためのワイヤが連結されており、
前記一側のガイドレールの外側に隣接して前記ワイヤを収容するワイヤ収容部が高さ方向に亘って設けてあり、前記一側のガイドレールの見付面と前記ワイヤ収容部の見付面は面一であり、前記ワイヤ収容部の前記見付面には、前記ワイヤの下端側が連結された操作部が設けてあり、
前記ワイヤ収容部は前記延出部位の内部空間と連通しており、前記ワイヤの上方部位は、前記ワイヤ収容部の上端から前記延出部位内に延びている、
シャッター装置。
【請求項2】
前記開口部の一側のガイドレール前記見付面は正面視垂直状の外端縁を形成しており、前記外端縁と前記分割部の前記前面部の側端縁は垂直方向に連続しており、
前記正面視垂直状の外端縁は、前記ガイドレールの前記見付面と前記ワイヤ収容部の前記見付面の境界である、
請求項1に記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記ガイドレールの上端と前記ワイヤ収容部の上端は同じ高さ位置にある、
請求項1、2いずれか1項に記載のシャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置に係り、より詳しくは、シャッターケースの構成に特徴を備えたシャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンと、シャッターカーテンの幅方向両端部位をそれぞれ受け入れて案内する左右のガイドレールと、シャッターカーテンを巻き取る巻取体と、開閉機と、前記巻取体、巻取体に巻き取られたシャッターカーテン、前記開閉機を収容するシャッターケースと、を備えたシャッター装置において、従来のシャッターケースの正面ケース板は、シャッターケース全幅において一体物で形成されている。
【0003】
シャッターケースの正面板が全幅において一体物で形成されていると、シャッターケース内に収容された開閉機や伝動連結部のメンテナンス等が必要な時に、正面ケース板全体を取り外す必要があることから、特に正面ケース板の外形寸法が大きく重量がある場合には、メンテナンス作業等の作業性が悪くなっていた。
【0004】
特許文献1には、幅方向一側部位が開口幅を越えて外側に延びる延出部位となっているシャッターケース(すなわち、幅寸法が大きい)が開示されているが、シャッターケースの正面ケース板についての具体的な記載は無い。
【0005】
特許文献1は、手動閉鎖装置を備えた遮煙シャッターが開示するものであるが、遮煙シャッターないし防煙シャッターは、火災検知信号の入力によって自動閉鎖装置が作動して開閉機のブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させて防火区画ないし防煙区画を形成するようになっている。このような防煙シャッターは、手動操作によってもシャッターカーテンの自重降下が可能なように構成されており、自動閉鎖装置と手動閉鎖装置をワイヤで接続し、手動閉鎖装置の非常ボタンを押してワイヤの移動規制を解除することで、自動閉鎖装置を作動させて、開閉機のブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる。手動閉鎖装置のワイヤの配線やワイヤと自動閉鎖装置の接続等のメンテナンス作業を行う場合には、正面ケース板全体を取り外す必要があると考えられる。
【0006】
また、このような手動閉鎖装置の操作部は、建物の壁に取り付けられているため、ワイヤを通すための配管が必要であるが、従来は、特許文献1のように配管を壁内で行ったり、あるいは、ワイヤ配管を壁面に露出させて行っており、前者では作業が手間となっており、後者では意匠性を損ねることになる。
【文献】特開2004-299804
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、シャッターケースを分割することで、メンテナンス作業等の作業性を向上させることを目的とする。
本発明の他の目的は、シャッターケースを分割するものにおいて、作業性及び意匠性を考慮したシャッターケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
シャッターカーテンと、
シャッターカーテンの幅方向両端部位をそれぞれ受け入れて案内する左右のガイドレールと、
シャッターカーテンを巻き取る巻取体と、
開閉機と、
前記巻取体、巻取体に巻き取られたシャッターカーテン、前記開閉機を収容するシャッターケースと、
を備え、
前記巻取体の駆動軸と前記開閉機の出力軸が伝動連結部を介して直線的に連結されており、
前記シャッターケースの幅方向一側部位は、開口幅を越えて外側に延びる延出部位であり、
前記開閉機及び前記伝動連結部は、開口部上方の外側に位置して前記延出部位内に収容されており、
前記延出部位の少なくとも前面を含む部位が分割部として取り外し可能に構成されている、
シャッター装置、である。
【0009】
1つの態様では、前記開口部の一側のガイドレールは正面視垂直状の外端縁を形成しており、前記外縁端と前記分割部の側端縁は垂直方向に連続している。
シャッターケースの前面を幅方向に分割するものでありながら、シャッターケース前面の分割線とガイドレールの外側縁が高さ方向に連続状に延びる垂直線を形成することで、正面視において整然とした意匠となる。
【0010】
1つの態様では、前記延出部位内には、前記開閉機に近接して自動閉鎖装置が設けてあり、
前記自動閉鎖装置には、当該自動閉鎖装置を手動操作するためのワイヤが連結されている。
分割部を取り外すのみで、シャッターケースの正面ケース板全体を取り外すことなく、手動閉鎖装置のワイヤの配線作業や自動閉鎖装置との接続作業、メンテナンス作業を行うことができる。
【0011】
1つの態様では、前記一側のガイドレールの外側に隣接して前記ワイヤを収容するワイヤ収容部が高さ方向に亘って設けてあり、
前記正面視垂直状の外端縁は、前記ガイドレールと前記ワイヤ収容部の境界であり、
前記ワイヤの上方部位は、前記ワイヤ収容部の上端から前記延出部位内に延びている。
手動閉鎖装置のワイヤをワイヤ収容部内に設けることで、ワイヤの配管が外部に露出しないので意匠性が良好であり、さらに、ワイヤ収容部とガイドレールとの境界を、分割部の境界と一致させることで、意匠性を向上させている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、開閉機及び開閉機と巻取体の伝動連結部を収容するシャッターケースの延出部位内の少なくとも前面を含む部位を分割部として取り外し可能に構成したので、正面ケース板全体を取り外すことなく、分割部を取り外すことによって、メンテナンス作業等(手動閉鎖装置を備える場合には、ワイヤの配線作業や接続作業)を行うことができる。
【0013】
シャッターケースの延出部位は、開口幅を越えて外側に延びる部位、すなわち、一側のガイドレールの上方の外側に位置する部位であるので、正面視において前記ガイドレールの外縁端が形成する垂直線(ワイヤ収容部を備える場合には、ガイドレールの見付面とワイヤ収容部の見付面の境界)を分割部の側端縁と垂直方向に連続させることで、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係るシャッター装置の正面図である。
図2】本実施形態に係るシャッター装置の側面図である。
図3】本実施形態に係るシャッター装置の一部省略横断面図である。
図4】本実施形態に係るシャッター装置の上方部位を示す縦断面図である。
図5】(A)はシャッターケースの内部を示す正面図、(B)はシャッターケースの内部を示す底面図である。
図6】(A)はガイドレールとワイヤ収容部の上面図、(B)はワイヤ収容部を当該ワイヤ収容部の見込面側から見た側面図、(C)は図6(B)においてワイヤ収容部の見込面の切り欠き部を墨入れして示す図である。
図7】(A)は手動閉鎖装置のワイヤの配置態様を示すシャッター装置の部分正面図、(B)は手動閉鎖装置のワイヤの配置態様を示すシャッター装置の部分側面図である。
図8】ケース本体と分割部の前面部の接続部及びガイドレールとワイヤ収容部の接続部を示す部分正面図、及び、接続されたガイドレールとワイヤ収容部の上面図である。
図9図8におけるα―α線縦断面図である。
図10】(A)本実施形態に係るシャッターケースの分解斜視図である。(B)は本実施形態に係る分割部のケース本体への取付を示す部分斜視図である。
図11】分割部を取り除いた状態のケース本体の斜視図を示す。
図12】分割部を示す図であり、(A)は側面図、(B)は図(A)の部分拡大図、(C)は正面図、(D)は底面図である。
図13】本実施形態に係るシャッターケースの延出部位の縦断面図である。
図14】(A)は吊持状態にある分割部が第1の方向に回動した状態を示し、(B)は同分割部が第2の方向に回動した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本実施形態に係るシャッター装置の正面図、図2は同シャッター装置の側面図、図3は同シャッター装置の一部省略横断面図である。本実施形態に係るシャッター装置は、エレベータの出入口E1の前方の三方枠(側枠E2、E3、上枠E4からなる)が設けられた躯体Cに設置され、通常時にはシャッター開放姿勢にあり、火災発生時にエレベータの出入口E1の前方空間を閉鎖するようになっている。
【0016】
シャッター装置は、シート状のシャッターカーテン1と、シャッターカーテン1の幅方向両端部をそれぞれ受け入れて案内する左右のガイドレール2、3と、シャッターカーテン1が巻き取られる巻取体4と、巻取体4に回転力を伝達可能に連結されている開閉機5と、火災時等の非常時に全開姿勢にあるシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6を備えている。自動閉鎖装置6は、火災検知信号の入力に応答して作動して、全開姿勢にあるシャッターカーテン1を自重降下させて火災発生時にエレベータの出入口E1の前方空間を閉鎖する。全開姿勢にあるシャッターカーテン1は手動閉鎖装置7からの手動操作によっても自重降下可能となっている。手動閉鎖装置7は、操作部70と、操作部70と自動閉鎖装置6とを連結するワイヤWとを備えており、操作部70の操作によってワイヤWを介して自動閉鎖装置6を作動させてシャッターカーテン1を自重降下させる。シャッター装置は、巻取体4及び巻取体4に巻き取られたシャッターカーテン1、開閉機5、自動閉鎖装置6を収納するシャッターケース8を備えている。
【0017】
シャッターカーテン1は、耐火性のシートからなり、より具体的な態様では、防火性能と防煙性能を備えた耐熱ガラスクロス製スクリーンから形成されている。シャッターカーテン1の幅方向両端部には、抜け止め部材10が設けてあり、下端には座板11が設けてある。シャッターカーテン1の全開姿勢時では、開閉機5に内蔵されたブレーキによって巻取体4の回転を規制することでシャッターカーテン1は自重降下規制状態にあり、自動閉鎖装置6の作動によって開閉機5のブレーキが解除されると、シャッターカーテン1は座板11の重みで降下して全閉姿勢となる。シャッターカーテン1の自重降下時また全閉後に、シャッターカーテン1内外に差圧が生じてシャッターカーテン1が膨らもうとした時には抜け止め部材10によってシャッターカーテン1の幅方向端部の抜けが防止される。
【0018】
図1に示すように、ガイドレール2は、躯体C(側枠E2の側方の前壁)に高さ方向に亘って設けてある。図3に示すように、ガイドレール2は、高さ方向に延びる長尺部材であり、正面の第1見付面20と、背面の第2見付面21と、外側の見込面22と、内側の見込面23と、を備え、内側の見込面23には、高さ方向に延びる細幅のガイド溝24が形成されており、ガイド溝24からシャッターカーテン1の幅方向の一端がガイドレール2の内部空間に受け入れられている。ガイドレール2の第2見付面21には、断面視コ字形状の固定部材25が設けてあり、躯体Cの前壁には、断面視コ字形状の被固定部材26が設けてあり、ガイドレール2は、固定部材25の立ち上がり片を螺子によって被固定部材26の立ち上がり片に固定することで、躯体Cに取り付けられている。
【0019】
図1に示すように、ガイドレール3は、躯体C(側枠E3の側方の前壁)に高さ方向に亘って設けてある。図3に示すように、ガイドレール3は、高さ方向に延びる長尺部材であり、正面の第1見付面30と、背面の第2見付面31と、外側の見込面32と、内側の見込面33と、を備え、内側の見込面33には、高さ方向に延びる細幅のガイド溝34が形成されており、ガイド溝34からシャッターカーテン1の幅方向の一端がガイドレール3の内部空間に受け入れられている。ガイドレール3の第2見付面31には、断面視L形状の固定部材35が設けてあり、躯体Cの前壁には、断面視コ字形状の被固定部材36が設けてあり、ガイドレール3は、固定部材35の立ち上がり片を螺子によって被固定部材36の幅方向の一側の立ち上がり片に固定することで、躯体Cに取り付けられている。
【0020】
ガイドレール3の外側に隣接してワイヤ収容部9が高さ方向に亘って設けてある。本実施形態では、ワイヤ収容部9は、ガイドレール3に隣接して設けられ、高さ方向に亘って延びる枠体9´によって形成される。枠体9´は、ガイドレール3の見付面30と面一で見付面30に隣接して高さ方向に延びる見付面90と、ガイドレール3の外側の見込面32に離間対向して高さ方向に延びる見込面91と、を備えている。枠体9´は、ガイドレール3の外側の見込面32に隣接して高さ方向に延びる内側見込面92(見込寸法は見込み面91よりも小さい)を備えており、ガイドレール3と枠体9´は、外側の見込面32と内側見込面92を連結することで一体化されている。枠体の見込面91の基端側はL形状の連結片910が一体形成されており、被固定部材36の幅方向の他側の立ち上がり片に固定することで、躯体Cに取り付けられている。一体化されたガイドレール3と枠体9´は、被固定部材36を介して躯体Cの前壁に取り付けられている。
【0021】
本実施形態では、ワイヤ収容部9は、枠体9´とガイドレール3の外側の見込面32から形成されており、枠体9´の見付面90及び見込面91、ガイドレール3の外側の見込面32とで囲まれた高さ方向に延びる空間にワイヤWを収容するようになっている。ガイドレール3の内部空間とワイヤ収納空間はガイドレールの外側の見込面32によって仕切られているため、ワイヤWがシャッターカーテン1の幅方向端部と干渉することがない。本実施形態では、枠体9´の下端は床面FLに達しており、上端はガイドレール3と共にシャッターケース8内まで延びている。
【0022】
図2図4に示すように、シャッターケース8は、躯体C(上枠E4の上方の前壁)に取り付けられている。図4図5に示すように、シャッターケース8は、上面80、前面81、下面82、側面83、84、後面85を備えており、上面80は後側の水平面800前側の傾斜面801とからなる。シャッターケース8は、巻取体4、巻取体4に巻き取られたシャッターカーテン1、開閉機5、自動閉鎖装置6を収納している。
【0023】
図5に示すように、巻取体4は、シャッターカーテン1が巻き取られる巻取ドラム40と、巻取ドラム40の一端側の固定軸41、巻取ドラム40の他端側の回転軸42、回転軸42に回転を伝達する駆動軸43、駆動軸43の先端に設けたスプロケット44を備えており、固定軸41が側板45に支持されており、回転軸42と駆動軸43は側板46に回転自在に支持されている。巻取ドラム40は巻取ホイールやコイルスプリング(これらは図示せず)を備えているが、このような巻取体4は当業者に既知なので詳細な説明は省略する。また、巻取体4の構成や動作については、特許文献1の記載を参照することができる。側板45、46は、下端が内まぐさ材47に支持されており、側板45、46の上端、後端がシャッターケース8の上面80、後面85の内面に固定されている。
【0024】
開閉機5は、開閉機取付台50に持ち出し状に支持されている。開閉機取付台50は、板状の面部の下端が内まぐさ材47に支持されており、面部の上端、後端がシャッターケース8の上面80、後面85の内面に固定されている。開閉機5は、ケーシング51と、ケーシング51から突出した出力軸52を備えており、出力軸52は、開閉機取付台50の面部から突出している。ケーシング51は周面を備えており、ケーシング51には出力軸52を回転させるモータと、出力軸52の回転を規制するブレーキが内蔵されている。
【0025】
開閉機5の出力軸52の先端にはスプロケット53が設けてある。スプロケット53には、出力軸52の一方向の回転のみが伝達されるクラッチが内蔵されている。スプロケット44とスプロケット53はローラチェーンカップリング(図示せず)によって回転が伝動可能に連結されている。すなわち、巻取体4の駆動軸43と開閉機5の出力軸52が伝動連結部(スプロケット44、スプロケット53、ローラチェーンカップリング)を介して直線的に連結されている。
【0026】
図5図7等に示すように、開閉機5の下方に隣接して自動閉鎖装置6が設けてある。自動閉鎖装置6が作動すると開閉機5のブレーキを解放する姿勢となって全開姿勢にあるシャッターカーテン1を自重降下させて火災発生時にエレベータの出入口E1の前方空間を閉鎖して、防火区画ないし防煙区画を形成する。自動閉鎖装置6は、火災発生時に煙感知器(図示せず)から火災検知信号が入力されると、ブレーキ解放姿勢となって、開閉機5のブレーキを解放し、シャッターカーテン1を自重降下させる。
【0027】
全開姿勢にあるシャッターカーテン1は手動閉鎖装置7からの手動操作によっても自重降下可能となっている。手動閉鎖装置7は、操作部70と、操作部70と自動閉鎖装置6とを連結するワイヤWとを備えており、操作部70は、自動閉鎖装置6を作動させる押圧部71を備え、押圧部71の押圧操作によってワイヤWの移動規制を解除して自動閉鎖装置6を作動させてシャッターカーテン1を自重降下させる。操作部70はレバー72を備え、レバー72の回動操作によって、ワイヤWを引っ張ることで自動閉鎖装置6を復帰させる。このような、自動閉鎖装置6及び手動閉鎖装置7の基本的な構成や動作は当業者に既知であるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
本実施形態に係る手動閉鎖装置7の特徴は、押圧部71、レバー72を含む操作部70がワイヤ収容部9の見付面90に設けられており、ワイヤWがワイヤ収容部9内を延びている点にある(図7参照)。本実施形態では、ワイヤ収容部9を形成する枠体9´の下端は床面FLに達しており、上端はガイドレール3と共にシャッターケース8内まで延びている。図6(B)に示すように、ワイヤ収容部9の見込面91の上端縁911は、ガイドレール3の上端縁320と一致しているが、見込面91の上端部位は方形状に切り欠かれており(図6(C)参照)、切り欠き縁は、縦縁912と下縁913とからなる。ワイヤ収容部9の内部空間を通って上方に延びるワイヤWは、下縁913の上側を通って延びている。なお、ガイドレール3の外側の見込面32の上端には側面視L形状の部材321が連結されている。
【0029】
本実施形態では、開閉機5及び自動閉鎖装置6は、一方のガイドレール3の上方の外側に位置している。すなわち、シャッターケース8の幅方向一側部位は、開口幅を越えて外側に延びる延出部位であり、延出部位の収納空間に開閉機5及び自動閉鎖装置6が収納されている。ワイヤ収容部9の内部空間を通って上方に延びるワイヤWは、見込面91の上方部位の下縁913の上側を通ってシャッターケース8の延出部位の収納空間に延びている。収納空間には、開閉機5及び開閉機5の下方に近接して自動閉鎖装置6が設けてあり、自動閉鎖装置6にはワイヤWが連結されている。
【0030】
本実施形態では、図7(A)に示すように、シャッターケース8の延出部位の収納空間は、開閉機5の取付台50によってワイヤ収容部9の上方に位置する第1空間S1と開閉機5及び自動閉鎖装置6が位置する第2空間S2とに分けられている。開閉機5の取付台50には、奥側かつ下方に位置して開口500が形成されており、第1空間S1と第2空間S2は取付台50に形成された開口500によって連通しており、ワイヤWは、開口500を通って第1空間S1から第2空間S2に延びている。ワイヤ収容部9の内部空間を通って上方に延びるワイヤWは、下縁913の上側を通って取付台50の開口500を緩やかな角度で挿通して傾斜状に延びており、ワイヤWの曲げ半径を可及的に大きくしている。
【0031】
図7に示すように、開閉機5の取付台50の開口500を通って第2空間S2に延びるワイヤWは、第2空間S2において開閉機5のケーシング51の周面に沿って螺旋状に大きく周回して、自動閉鎖装置6に接続されている。より具体的には、第2空間S2に延びるワイヤWは、開閉機5の後側から上側を通り、前側を通って下方に延び、前側から自動閉鎖装置6に接続されている。さらに具体的には、ワイヤWは、開閉機5のケーシング51の後側とシャッターケース8の後面85との間の空間を通って延び、ケーシング51の上側とシャッターケース8の上面80との間の空間を通って前方に延び、ケーシング51の前側とシャッターケース8の前面(分割部8´の前面部86)の間の空間を通ってシャッターケース8の下方に延びており、開閉機5の下側に連結した自動閉鎖装置6に前面から接続される。本実施形態では、手動閉鎖装置7をガイドレール3に隣接して設けたワイヤ収容部9に内蔵することで、ワイヤ収容部9内をワイヤWが延びるようにしたので、ワイヤを通す配管を壁内に設ける必要がなく、また、配管を壁面に沿って露出させて設ける必要がない。
【0032】
本実施形態では、シャッターケース8の幅方向一側部位は、開口幅を越えて外側に延びる延出部位であり(図1参照)、巻取体4と開閉機5の伝動連結部、開閉機5、自動閉鎖装置6、手動閉鎖装置7のワイヤWは、開口部上方の外側(ガイドレール3の上方の外側)に位置して前記延出部位内に収容されており、前記延出部位の少なくとも前面86を含む部位が分割部8´として取り外し可能に構成されている(図10図11参照)。すなわち、シャッターケース8は、ケース本体と、ケース本体に対して着脱可能な分割部8´と、から構成され、本実施形態では、分割部8´は、前記延出部位の前面部86及び下面部87から側面視L形状に形成されている。
【0033】
ケース本体の上面80は、シャッターケース8の全幅に亘って延びているが、ケース本体の前面81´は延出部位まで延びておらず、ケース本体の前面81´と分割部8´の前面部86からシャッターケースの前面81が形成されている。シャッターケース8の下面82は延出部位までは延びておらず、ケース本体の延出部位の下面は分割部8´の下面部87から形成される。すなわち、シャッターケース8の上面80、前面81、下面82、側面83、84、後面85において、上面80、下面82、側面83、84、後面85はケース本体から形成されているが、前面81はケース本体の前面81´と分割部8´の前面部86から形成されている。シャッターケース8の延出部位の上面80、側面84、後面85はケース本体から形成されており、延出部位の前面、下面は、分割部8´の前面部86、下面部87から形成されている。
【0034】
図12に示すように、分割部8´の前面部86は、正面視横長方形状の垂直板部であり、垂直状の第1側縁860、垂直状の第2側縁861、水平状の上縁862を備えており、下端から下面部87が後方に向かって一体的に水平に延びている。
【0035】
分割部8´の下面部87は、底面視略横長方形状の水平板部であり、第1側縁870、第2側縁871、後縁872を備え、前端から前面部86が一体的に垂直に立ち上がり形成されている。下面部87の第1側縁870は後縁872側に位置して切り欠かれており、ワイヤ収納部9の上端を受け入れるようになっている。
【0036】
前面部86において、第1側縁860、第2側縁861、上縁862の近傍領域からなる三方の周縁部には、複数の孔863~868が形成されている(図10(B)、図12(C))。より具体的には、一方の側方周縁部には高さ方向に間隔を設けて孔863、864が形成されている。他方の側方周縁部には高さ方向に間隔を設けて孔865、866が形成されており、上側周縁部には幅方向に間隔を設けて孔867、868が形成されている。
【0037】
下面部87において、第1側縁870の近傍領域からなる周縁部には孔873が形成されており、第2側縁871の近傍領域からなる周縁部には孔874が形成されている(図12(D))。さらに、下面部87には、後縁872の近傍領域からなる周縁部に位置して螺子孔876、877が形成されており、下面部87の後端部位は側面視L形状の取付部材875に螺子878を用いて固定される(図13参照)。
【0038】
前面部86の幅方向中央の上端部位には、裏面から後方に水平に突出するように軸状部材88が突設されている。軸状部材88は、軸部880と、軸部880の先端側の大径部881と、軸部880の基端の大径部882からなる。本実施形態では、軸状部材88は、雄ねじからなる軸部880と、軸部880の雄ねじに螺合させた2つのナット(大径部881、882)からなる。基端の大径部882を構成するナットは軸状部材88の前面部86に対する固定手段としても機能する。軸状部材88の頭部883は、分割部8´をケース本体に取り付けるための螺子89と識別可能な形状を有している。こうすることで、分割部8´を取り外す際に、誤って軸状部材88を取り外そうとすることを防止している。本実施形態では、軸状部材88の頭部883は六角穴であり、螺子89の頭部は十字穴である。
【0039】
ケース本体の延出部位の前面には、一方の側方周縁部810、他方の側方周縁部811、上側周縁部812からなる三方の周縁見付部が形成されている。側方周縁部810には高さ方向に間隔を設けて螺子孔813、814が形成され、側方周縁部811には高さ方向に間隔を設けて螺子孔815、816が形成され、上側周縁部812には、幅方向に間隔を設けて螺子孔817、818が形成されている。
【0040】
ケース本体の延出部位の下面には、一方の側方周縁部820、他方の側方周縁部821が形成されている。側方周縁部820(図9参照)、側方周縁部821(図11参照)にはそれぞれ螺子孔(図示せず)が形成されている。
【0041】
側方周縁部810、側方周縁部820は、ケース本体の前面81´の側端縁810´及び下面82の端部に設けた側面視L形状の帯状部材から形成されている(図9参照)。側方周縁部811、側方周縁部821は、それぞれ、ケース本体の側面84の周縁を折り曲げてなる折り曲げ片から形成されている(図11参照)。上側周縁部812は、上面80の傾斜面801の延出部位から垂下する垂下片からなる(図11等参照)。
【0042】
上側周縁部812は、幅方向の中央に位置して孔819が形成されている。孔819の径は、軸状部材88の先端側の大径部881の外径、及び、軸部880の基端の大径部882の外径よりも僅かに大きい寸法を有している。分割部8´は、軸状部材88をケース本体の延出部位の上側周縁部812に形成された孔819に差し込んで、基端の大径部882を孔819に嵌めた状態で、周縁部の複数ヵ所においてケース本体の周縁見付部(側方周縁部810、側方周縁部811、上側周縁部812)、側方周縁下面部(側方周縁部820、側方周縁部821)に螺子89で固定される。
【0043】
分割部8´の裏面に突設した軸状部材88の基端の大径部882が孔819に嵌まった状態において、分割部8´の前面部86の三方の周縁部をケース本体の三方の周縁見付部(810、811、812)に重ね、下面部87の側方の周縁部をケース本体の側方周縁部820、821に重ねた時に、孔863~868と螺子孔813~818、孔873、874と側方周縁部820、821に形成された螺子孔が一致するようになっている。軸状部材88の基端の大径部882を孔819に嵌めることで分割部8´はケース本体に対して仮吊持状態となり(正面ケース板を押さえながら螺子を外したり、螺入させる必要が無い)、同時に、ケース本体に対する分割部8´の位置決めが行われ、螺子89の螺入の作業性及び分割部8´の取付作業性が向上する。
【0044】
分割部8´をケース本体に取り付けた状態では、後面85の下端の外面は外まぐさ48の上端部位に固定され、分割部8´の下面部87の後端部位は側面視L形状の取付部材875を介して外まぐさ48の下端部位に固定されている(図13参照)。なお、ケース本体の後面85の下端の内面には、幅方向に延びる遮煙材850及び遮煙材押え板851が固定されているが、遮煙材850及び遮煙材押え板851は開口部の上方部位に位置して設けられ、シャッターケース8の延出部位までは延びていない。
【0045】
図1図8に示すように、正面視において、ガイドレール3の見付面30と枠体9´の見付面90の境界から形成された垂直線L1と、ケース本体の前面81´と分割部8´の前面部86の境界(ケース本体の側端縁810´と前面部86の第1側縁860の境界)から形成される垂直線L2は連続して垂直状に延びており、正面から見た時の意匠性を向上している。
【0046】
本実施形態では、シャッターケース8の延出部位の少なくとも前面を分割部8´として取り外し可能としたことで、分割部8´を取り外すことで、巻取体4と開閉機5の伝動連結部、開閉機5、自動閉鎖装置6、手動閉鎖装置7のワイヤWの上方の配線、ワイヤ収容部9の上端部位を露出させることができる(図11)。したがって、分割部8´を取り外すことで、これらの要素のメンテナンス作業や、ワイヤWの配線を行うことができ、メンテナンス作業性、ワイヤWの配線作業性が向上する。
【0047】
軸状部材88と孔819は、分割部8´の落下防止の役割を有している。 分割部8´をケース本体から取り外した時に、上側周縁部812の孔819に軸状部材88が係止して、分割部8´が吊持状態となり、分割部8´の落下を防止する。すなわち、軸状部材88は落下防止要素である。
【0048】
ケース本体から分割部8´を取り外すと、分割部8´(重心位置をPで示す)は自重により、下方部位が前方に移動するよう移動するが(図14(A))、この移動方向は、孔819に軸状部材88の基端の大径部882が引っ掛かる方向への移動であり、分割部8´は落下することなく吊持される。
【0049】
分割部8´がケース本体から取り外された状態で、分割部8´は、下方部位が前方に移動した姿勢から後方に移動し得るが(図14(B))、この時、軸状部材88が孔819から外れる方向に移動したとしても、分割部8´は、孔819に位置する小径の軸部880を視点として吊持された状態となるため、先端の大径部881が孔819の周縁に係止することで落下が防止される。
【符号の説明】
【0050】
1 シャッターカーテン
2 ガイドレール
3 ガイドレール
4 巻取体
43 駆動軸
5 開閉機
52 出力軸
6 自動閉鎖装置
7 手動閉鎖装置
70 操作部
8 シャッターケース
8´ 分割部
86 前面部
87 下面部
9 ワイヤ収容部
W ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14