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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-18
(45)【発行日】2022-11-29
(54)【発明の名称】含窒素複素環化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20221121BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221121BHJP
【FI】
C07D519/00 301
C07B61/00 300
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018531782
(86)(22)【出願日】2017-07-04
(86)【国際出願番号】 JP2017024488
(87)【国際公開番号】W WO2018025554
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】P 2016151695
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308014846
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 修一
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/102992(WO,A1)
【文献】特開2012-049518(JP,A)
【文献】LEE,C.W. et al.,High Quantum Efficiency Blue Phosphorescent Organic Light-Emitting Diodes Using 6-Position-Modified,ACS Applied Materials & Interfaces,2013年,Vol.5,p.2169-2173,スキーム1
【文献】KITAWAKI,T. et al.,One-step construction of carbazoles by way of the palladium-catalyzed double N-arylation reaction an,Tetrahedron,2006年,Vol.62,p.6792-6801,イントロダクション,図1, 表1,2, スキーム1,2,コンクルージョン
【文献】NOZAKI,K. et al.,The Double N-Arylation of Primary Amines: Toward Multisubstituted Carbazoles with Unique Optical Pro,Angewandte Chemie International Edition,2003年,Vol.42,p.2051-2053,スキーム1-2, 表1
【文献】SURRY,D.S. et al.,Biaryl Phosphane Ligands in Palladium-Catalyzed Amination,Angewandte Chemie International Edition,2008年,Vol.47,p.6338-6361,イントロダクション
【文献】STRIETER,E.R. et al.,Evidence for the Formation and Structure of Palladacycles during Pd-Catalyzed C-N Bond Formation wit,Angewandte Chemie International Edition,2006年,Vol.45,p.925-928,スキーム1
【文献】JOVER,J. et al.,Expansion of the Ligand Knowledge Base for Monodentate P-Donor Ligands (LKB-P),Organometallics,2010年,Vol.29,p.6245-6258,スキーム6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で表される構造を有する化合物と下記一般式[4]で表される構造を有する化合物とを、Pd触媒及び下記一般式[6]で表される構造を有するホスフィンリガンドの存在下で反応させ、下記一般式[5]で表される構造を有する化合物を合成する含窒素複素環化合物の製造方法。
【化1】
(式中、Xは、ハロゲン原子を表す。及びZは、それぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。 は、単なる結合手を表す。は、酸素原子を表す。R~Rは、それぞれ水素原子を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。)
【化2】
(式中、R~Rは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含窒素複素環化合物の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用な含窒素複素環化合物を高収率で提供することができる含窒素複素環化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビピリジルジハライドとアミン化合物からジアザカルバゾールを形成する合成法として、Pd触媒存在下でイミダゾリニウム塩を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、この合成法を、含窒素複素環化合物に使用すると、反応が途中でとまり、触媒を追加しても反応が進行しない場合があることがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-260815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高収率かつ高純度で含窒素複素環化合物が得られる含窒素複素環化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく上記問題の原因等について検討した結果、特定構造を有するジハロゲン等の反応基を有する化合物と特定構造を有するアミン化合物とを、Pd触媒及びホスフィンリガンドの存在下で反応させることにより、高収率かつ高純度で特定構造の含窒素複素環化合物が得られることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
【0007】
1.下記一般式[1]で表される構造を有する化合物と下記一般式[4]で表される構造を有する化合物とを、Pd触媒及び下記一般式[6]で表される構造を有するホスフィンリガンドの存在下で反応させ、下記一般式[5]で表される構造を有する化合物を合成する含窒素複素環化合物の製造方法。
【化3】
(式中、Xは、ハロゲン原子を表す。及びZは、それぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。 は、単なる結合手を表す。は、酸素原子を表す。R~Rは、それぞれ水素原子を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。)
【化4】
(式中、R~Rは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記手段により、高収率かつ高純度で含窒素複素環化合物を得られる含窒素複素環化合物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の含窒素複素環化合物の製造方法は、前記一般式[1]で表される構造を有する化合物と前記一般式[]で表される構造を有する化合物とを、Pd触媒及び前記一般式[6]で表される構造を有するホスフィンリガンドの存在下で反応させ、前記一般式[]で表される構造を有する化合物を合成することを特徴とする。この特徴は、下記実施態様に共通する又は対応する技術的特徴である。
【0014】
前記ホスフィンリガンドが、前記一般式[6]で表される構造を有することが、収率及び純度の観点から好ましい。
【0015】
前記Zが、単なる結合手であることが好ましい。
【0016】
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
【0017】
《含窒素複素環化合物の製造方法の概要》
本発明の含窒素複素環化合物の製造方法は、下記一般式[1]で表される構造を有する化合物と下記一般式[2]で表される構造を有する化合物とを、Pd触媒及びホスフィンリガンドの存在下で反応させ、下記一般式[3]で表される構造を有する化合物を合成することを特徴とする。
一般式[1]で表される構造を有する化合物において、二つの芳香族炭化水素環又は芳香族複素環がZを介して連結し、それぞれのオルト位にハロゲン原子が置換していることが構造的な特徴である。
なお、一般式[1]~[3]で使用される記号のうち、同じ記号は同じ原子、原子団又は置換基等を表す。
【0018】
【化4】
【0019】
式中、Xは、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基又はアリールスルホネート基を表す。Z及びZは、それぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zは、単なる結合手又は2価の連結基を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。A~Aは、それぞれ窒素原子又はCRを表す。ただし、A~Aのうち少なくとも一つは窒素原子である。R及びR~Rは、それぞれ水素原子又は置換基を表す。
【0020】
Xが表すハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子があげられる。これらのうち特に好ましいものは、塩素原子及び臭素原子である。
また、Xが表すアルキルスルホネート基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられる。
また、Xが表すアリールスルホネート基としては、例えば、ベンゼンスルホニル基、トシル基等が挙げられる。
【0021】
及びZを含む芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o-テルフェニル環、m-テルフェニル環、p-テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾジオフェン環、カルバゾール環等が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものはベンゼン環である。
及びZを含む芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環等が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものはピリジン環である。
及びZを含む環として、特に好ましいものは芳香族複素環である。
【0022】
が表す2価の連結基としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレンなどの炭化水素基の他、ヘテロ原子を含むものであってもよく、またチオフェン-2,5-ジイル基やピラジン-2,3-ジイル基のような芳香族複素環を有する化合物(ヘテロ芳香族化合物ともいう。)に由来する2価の連結基であってもよいし、酸素や硫黄などのカルコゲン原子であってもよい。
また、アルキルイミノ基、ジアルキルシランジイル基やジアリールゲルマンジイル基のようなヘテロ原子を介して連結する基でもよい。単なる結合手とは、連結する置換基同士を直接結合する単なる結合手である。これらのうちで好ましいものは単なる結合手である。
【0023】
一般式[2]及び一般式[3]において、R及びR~Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、複素環(例えば、ジベンゾフラン環、アザジベンゾフラン環、ジベンゾジオフェン環、カルバゾール環等)基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、イミド基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシ基等が挙げられる。
これらの内で好ましいものはアザジベンゾフラン環基である。
は、酸素原子又は硫黄原子を表し、Xで表される基のうち特に好ましいものは、酸素原子である。
【0024】
〈パラジウム(Pd)触媒〉
Pd触媒としては、例えばPdCl、Pd(OAc)、Pd(pph、PdCl(dppf)、Pd(dba)、Pd/C等が挙げられる。
Pd触媒の使用量は、一般式[2]で表される構造を有する化合物1molに対して0.01~0.3molの範囲内で用いることが好ましく、0.02~0.2molの範囲内で用いることが特に好ましい。
【0025】
〈ホスフィンリガンド〉
パラジウムに対するホスフィンリガンドとしては、トリアルキルホスフィン(例えば、トリブチルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン)、アリール基を少なくとも一つ有するホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、SPhos(2-Dicyclohexylphosphino-2′,6′-dimethoxybiphenyl)、XPhos(2-Dicyclohexylphosphino-2′,4′,6′-triisopropylbiphenyl)等)が挙げられる。これらの内好ましいものはアリール基を一つ有するホスフィンであり、特に好ましくはSPhosである。
ホスフィンリガンドは、Pd触媒lmolに対して0.3~3molの範囲内で用いることが好ましく、0.5~2molの範囲内で用いることが特に好ましい。
ホスフィンリガンドは、一般式[1]で表される構造を有する化合物1molに対して0.02~0.5molの範囲内で用いることが好ましいが、0.03~0.1molの範囲内で用いることが特に好ましい。
上記反応には塩基を併用するのが好ましい。塩基としては、例えば、アルカリ金属塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、ナトリウムt-ブトキサイド等)、アミン誘導体(トリエチルアミン等)等が挙げられる。
【0026】
〈反応溶媒等〉
反応溶媒は、例えばキシレン、トルエン、THF、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、1,4-ジオキサン等が挙げられる。これらのうち好ましいものはキシレンである。
反応温度は通常50~140℃の範囲内で行われるのが好ましく、60~100℃の範囲内で行われるのが特に好ましい。
【0027】
また、前記一般式[2]で表される構造を有する化合物が、下記一般式[4]で表される構造を有する化合物であり、かつ前記一般式[3]で表される構造を有する化合物が、下記一般式[5]で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
【0028】
【化5】
式中、Z及びZは、それぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zは、単なる結合手又は2価の連結基を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。R~Rは、それぞれ水素原子又は置換基を表す。
【0029】
及びZが表す非金属原子群は、一般式[1]及び[2]のZ及びZ同じものを使うことができ、Zが表す2価の連結基も同じものを使うことができる。
また、R~Rで表される置換基は、一般式[1]及び[2]のR~Rで表される置換基と同じものを使うことができ、さらに置換基で置換されていてもよい点も同様である。
【0030】
また、前記ホスフィンリガンドが、下記一般式[6]で表される構造を有することが好ましい。
【0031】
【化6】
【0032】
式中、R~Rは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
で表される基のうち、特に好ましいものはシクロアルキル基である。
及びRで表される基のうち、特に好ましいものはアルキル基である。
~Rが表すシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基などが挙げられる。
~Rが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、ペンチル基、オクチル基等が挙げられる。
~Rが表すアリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0033】
〈本発明に用いられる化合物の具体例〉
以下に、本発明の一般式[1]で表される構造を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
【化7】
【0035】
以下に、本発明の一般式[2]又は一般式[4]で表される構造を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
以下に、本発明の一般式[3]又は一般式[5]で表される構造を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
以下に、本発明の一般式[6]で表される構造を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化12】
【実施例
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
【0044】
合成例1(比較例)
《例示化合物3-6の合成》
例示化合物1-1を7.6g、例示化合物2-6を10g、t-CONaを11g、キシレンを300mL投入し、窒素気流下で20分間撹拌を行った。この懸濁液にPd(dba)を1.7g、Ligand Aを1.3g投入し120℃で5時間加熱した。
減圧濃縮し、得られた固体を水洗、乾燥した。トルエン及びメタノールの1:1混合液5Lを投入し、不溶分を除去後、減圧濃縮した。得られた粗製物をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、褐色結晶7.0gを得た(収率50%、純度87.5%)。
【0045】
【化13】
【0046】
合成例2(本発明)
《例示化合物3-6の合成》
例示化合物1-1を7.6g、例示化合物2-6を10g、t-CONaを11g、キシレンを300mL投入し、窒素気流下で20分間撹拌を行った。この懸濁液にPd(dba)を1.7g、例示化合物6-1を1.1g投入し4時間120℃で加熱した。水冷下3時間撹拌し、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥した。トルエン及びメタノールの1:1混合液5Lを投入し、不溶分を除去後、減圧濃縮した。得られた粗製物をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、褐色結晶12.6gを得た(収率91%、純度98.0%)。
【0047】
【化14】
【0048】
合成例3(本発明)
《例示化合物3-6の合成》
例示化合物1-1を7.6g、例示化合物2-6を10g、t-CONaを11g、キシレンを300mL投入し、窒素気流下で20分間撹拌を行った。この懸濁液にPd(dba)を1.7g、例示化合物6-2を0.96g投入し、4時間120℃で加熱した。水冷下3時間撹拌し、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥した。トルエン及びメタノールの1:1混合液5Lを投入し、不溶分を除去後、減圧濃縮した。得られた粗製物をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、褐色結晶12.6gを得た(収率88%、純度97.0%)。
【0049】
【化15】
【0050】
合成例4(比較例)
《例示化合物3-12の合成》
例示化合物1-1を7.6g、例示化合物2-12を10.4g、t-CONaを11g、キシレンを300mL投入し、窒素気流下で20分間撹拌を行った。この懸濁液にPd(dba)を1.7g、Ligand Aを1.3g投入し120℃で5時間加熱した。減圧濃縮し、得られた固体を水洗、乾燥した。トルエン及びメタノールの1:1混合液5Lを投入し、不溶分を除去後、減圧濃縮した。得られた粗製物をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、褐色結晶6.5gを得た(収率45%、純度86.5%)。
【0051】
【化16】
【0052】
合成例5(参考例
《例示化合物3-12の合成》
例示化合物1-1を7.6g、例示化合物2-12を10.4g、t-CONaを11g、キシレンを300mL投入し、窒素気流下で20分間撹拌を行った。この懸濁液にPd(dba)を1.7g、例示化合物6-1を1.1g投入し4時間120℃で加熱した。水冷下3時間撹拌し、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥した。
トルエン及びメタノールの1:1混合液5Lを投入し、不溶分を除去後、減圧濃縮した。得られた粗製物をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、褐色結晶12.7gを得た(収率88%、純度97.5%)。
【0053】
【化17】
【0054】
合成例6(参考例
《例示化合物3-12の合成》
例示化合物1-1を7.6g、例示化合物2-12を10.4g、t-CONaを11g、キシレンを300mL投入し、窒素気流下で20分間撹拌を行った。この懸濁液にPd(OAc)を0.62g、例示化合物6-1を1.1g投入し4時間120℃で加熱した。水冷下3時間撹拌し、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥した。トルエン及びメタノールの1:1混合液5Lを投入し、不溶分を除去後、減圧濃縮した。得られた粗製物をトルエン/アセトニトリルで再結晶し、褐色結晶11.7gを得た(収率81%、純度96.5%)。
【0055】
【化18】
【0056】
実施例中の各化合物の同定はMASS及びNMRスペクトルで行い、それぞれ目的化合物であることを確認した。その他の例示化合物も上記の方法に準じて合成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の含窒素複素環化合物の製造方法は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として用いられる含窒素複素環化合物を製造するために好適に用いることができる。